• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F04B
管理番号 1059028
審判番号 不服2000-7077  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-03-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-11 
確定日 2002-06-10 
事件の表示 平成10年特許願第252468号「脈動低減装置付きポンプ」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年 3月21日出願公開、特開2000- 80980、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成10年9月7日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、平成14年3月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。(以下、それぞれ「本願発明1〜3」という。)
「【請求項1】液体の流入路及び流出路を備えた仕切壁と、
上記仕切壁の一側部に配設されたケーシング内を軸線方向に沿って伸縮変形可能な第1ベローズと、この第1ベローズを駆動伸縮変形運動させるエアシリンダ部と、上記第1ベローズの内側に該第1ベローズの伸縮変形運動に伴い交互に開閉作動して液体の吸入作用及び吐出作用を行う逆止弁が設けられたポンプ作用室とを備えてなるエア駆動型往復動ポンプ部と、
上記仕切壁の他側部に配設されたケーシング内に上記第1ベローズに対向して配設されて該第1ベローズの伸縮変形方向に伸縮変形可能な第2ベローズと、この第2ベローズの内側に形成されて上記ポンプ作用室から吐出用逆止弁を経て吐出される液体を一時的に貯溜可能にする液体室と、上記第2ベローズの外側に上記液体室に対し隔離形成されて脈動低減用の空気が封入される装置側空気室とを備えて、上記第2ベローズの伸縮変形運動に伴う上記液体室の容量変化により上記ポンプ作用室から吐出される液体の吐出圧による脈動を吸収させるように構成した脈動低減部と、
を具備している脈動低減装置付きポンプにおいて、
上記装置側空気室とは別に、一つもしくは二つ以上の分離空気室が上記装置側空気室と連通状に設けられており、上記装置側空気室と上記分離空気室とが内圧を等しくするように配管接続されていることを特徴とする脈動低減装置付きポンプ。
【請求項2】上記装置側空気室内に挿入されて上記第2ベローズの閉鎖端側の変位に連動してその軸線方向に往復動作するシャフトと、
上記液体室の容量が所定範囲を越えて増大したときは上記シャフトを介して上記装置側空気室に通じる給排気用通路を給気口に連通させ、かつ、上記液体室の容量が所定範囲を越えて減少したときは上記シャフトを介して上記給排気用通路を排気口に連通させる弁体を備えた給排気用切換弁機構と、を具備している請求項1記載の脈動低減装置付きポンプ。
【請求項3】上記一つもしくは二つ以上の分離空気室の容積が上記液体室の容積の20倍までの範囲に設定してある請求項1又は2に記載の脈動低減装置付きポンプ。」

これに対して、原査定の拒絶の理由には、本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開平10ー196521号公報(以下、「引用例1」という。)、実願昭59ー24818号(実開昭60ー137156号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)が引用されている。また、当審で通知した拒絶の理由には、引用例1とともに、特開平2ー186101号公報(以下、「引用例3」という。)、及び実願昭55ー84081号(実開昭57ー8902号)のマイクロフィルム(以下、「引用例4」という。)が引用されている。
そして、引用例1には、「液体の流入路及び流出路を備えた仕切壁と、上記仕切壁の一側部に配設されたケーシング内を軸線方向に沿って伸縮変形可能な第1ベローズと、この第1ベローズを駆動伸縮変形運動させるエアシリンダ部と、上記第1ベローズの内側に該第1ベローズの伸縮変形運動に伴い交互に開閉作動して液体の吸入作用及び吐出作用を行う逆止弁が設けられたポンプ作用室とを備えてなるエア駆動型往復動ポンプ部と、上記仕切壁の他側部に配設されたケーシング内に上記第1ベローズに対向して配設されて該第1ベローズの伸縮変形方向に伸縮変形可能な第2ベローズと、この第2ベローズの内側に形成されて上記ポンプ作用室から吐出用逆止弁を経て吐出される液体を一時的に貯溜可能にする液体室と、上記第2ベローズの外側に上記液体室に対し隔離形成されて脈動低減用の空気が封入される装置側空気室とを備えて、上記第2ベローズの伸縮変形運動に伴う上記液体室の容量変化により上記ポンプ作用室から吐出される液体の吐出圧による脈動を吸収させるように構成した脈動低減部と、を具備している脈動低減装置付きポンプ」の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

本願発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、本願発明1は、「装置側空気室とは別に、一つもしくは二つ以上の分離空気室が上記装置側空気室と連通状に設けられており、上記装置側空気室と上記分離空気室とが内圧を等しくするように配管接続されている」のに対し、引用例1記載の発明は、分離空気室を有しない点で相違する。
この相違点について検討するに、分離空気室を装置側空気室とは別に設け、上記装置側空気室と上記分離空気室との内圧が等しくなるように配管接続することは、引用例2〜4にも記載されていないとともに、当業者が容易に想到し得るものでもない。
そして、本願発明1は、この点によって、脈動低減効果を高められるように脈動低減用の空気室の内部容積の拡大化を確保し得ながらも、ポンプ全体の小形化及び設置占有面積の減少を図ることができるという、明細書記載の効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用例1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
また、本願発明2、3は、本願発明1を引用して更に減縮したものであるので、本願発明1と同様の理由により、引用例1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-05-17 
出願番号 特願平10-252468
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F04B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 則夫佐藤 正浩中野 宏和  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 亀井 孝志
飯塚 直樹
発明の名称 脈動低減装置付きポンプ  
代理人 鈴江 正二  
代理人 鈴江 孝一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ