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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A01K |
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管理番号 | 1059642 |
異議申立番号 | 異議2002-70199 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-01-16 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-01-22 |
確定日 | 2002-06-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3193569号「愛玩動物用畜舎」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3193569号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
(1)手続きの経緯・本件発明 本件特許第3193569号発明は、平成6年6月27日に出願され、平成13年5月25日にその特許の設定登録がなされ、その後、平成14年1月22日に株式会社リッチェルより特許異議の申立てがなされ、その副本の権利者への送達前の平成14年2月13日に訂正審判が請求され、平成14年5月8日付でその訂正を認める旨の審決(平成14年5月20日送達)がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、上記訂正審判において訂正が認められた特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。 「底板と周壁体と天井体とによって愛玩動物を収容する収容空間を形成するとともに、前記天井体を前記周壁体に対して複数のスライドバックルにより着脱自在とし、前記複数のスライドバックルの全てをアンロツク位置に操作すると前記天井体を取り外すことができ、前記複数のスライドバックルの一部のみをアンロック位置に操作すると前記天井体の一部が回動自在な扉として機能し、前記天井体は向きを左右に逆転させて前記複数のスライドバックルにより前記周壁体に対して取り付けることができることを特徴とする愛玩動物用畜舎。」(以下、「本件発明」という。) (2)申立ての理由の概要 異議申立人株式会社リッチェルは、証拠として、 ・甲第1号証(実願平1-122531号(実開平3-61864号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム)、 ・甲第2号証(実願昭50一101913号(実開昭52-15479号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム)、 ・甲第3号証(実公昭47一33667号公報)、 ・甲第4号証(実願昭54一87153号(実開昭56-5453号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム)、 ・甲第5号証(実願平4-77541号(実開平6一33454号)のCD-ROM)、 を提出し、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。 (3)各甲号証記載の発明 甲第1号証は、ペットのハウスに関するものであり、 「第1図は、この考案の実施例を示す一部破断した斜視図である。 (イ)第2図は、上面と、右側面、左側面に使用する枠(1)の斜視図である。 枠(1)には、多数の管柱(3)をつけた支柱(2)を設けて、枠(1)の-部と、支柱(2)との間に、隙間(4)を設ける。この枠(1)を上面、右側面、左側面として、それぞれを組み立てる。 (ロ)第3図は、正面に使用する枠(1)の斜視図である。枠(1)に一部に、ペットの出入口とした扉(12)を設けたものである。 (ハ)第4図は、背面として使用する枠(1)の斜視図である。 枠(1)は、第2図、第3図、第4図に、それぞれを示すように、ペットのハウスを構成させるために、複数の枠(1)を使用する。 枠(1)を、それぞれ組み合わせて、弾力性の止め金(6)でとめて、ペットのハウスを構成する。この実施例では、止め金(6)を着脱自在なコの字形とした。」(第4頁3行〜第5頁4行)、「(ホ)枠(1)を複数組み合わせて、止め金(6)でとめて、ペットのハウスを構成させたとき、ペットのハウスの底部となる床面には、第7図に示す床台(7)を設ける。」(第6頁4〜7行)、 が記載されている。 甲第2号証は、猟犬運搬用組立式ゲージに関するものであり、 「底板(1)の側壁(1)”(1)”上に側板(2)(2)を、前後側壁(1)’(1)’上に後板(5)と出入口付格子枠(3)を、それぞれ折畳み可能に蝶着し、該側板(2)(2)の前端は適宜角で傾斜させ、且該側板両内側端部に各々組立用金具(8)(9)を付して嵌込み溝を形成し、この金具による溝部にて側板と後板及び格子枠を函形に組合せ、この上に天蓋(7)を置き、前記側板(2)(2)、後板(5)及び格子枠(3)と天蓋(7)とを緊定掛金具(10)(12)にて着脱可能に連結固定してなる猟犬運搬用組立式ゲージ。」(第1頁の実用新案登録請求の範囲)、 「(10)は天蓋緊定掛金具で、両側板(2)と後板(5)に付設されており、(11)は天蓋(7)に設けた緊定掛金具の引掛け孔、(12)は天蓋側に取付けられた掛金具で、格子枠(3)上部に設けた係止片(13)に係止するようになっている。」(第3頁2〜6行)、 「そこでこの上部に天蓋(7)を置き、該天蓋に穿った引掛け孔(11)に緊定掛金具(10)を引き掛けて固定することによって第1図に示す如きケージが形成される。斯く形成されたケージはライトバンの積荷部に搭載し、前部格子枠(3)の出入口扉(4)を開いて猟犬を入れ運搬する。 又、本ケージを格納する場合は、緊定掛金具(10)を外して夫蓋(7)を取り、側板(2)と後板(5)及び格子枠(3)との嵌合部を外してケージを展開せしめ、格子枠(3)を底板(1)上に折り曲げ、その上に後板(5)を折り曲げて重ね、更に両側板(2)(2)を折り曲げて重ね合わせると第3図に示す如く折り畳まれる。」(第3頁14行〜第4頁5行)、 「叙上の如く本考案ケージは、天蓋を着脱するだけで組立、折畳みが簡単で、自動車に搭載したときは積荷室の後部傾斜に適合するように形成されて搭載しやすい構造で、取扱いが簡便であるなど実用的効果大なるものである。」(第4頁10〜14行)、 が記載されている。 甲第3号証は、生鶏等の運搬用容器に関するものであり、 「比較的可撓性を有する合成樹脂によって形成された略長方形で下方にややせばまった四つの側壁と底板よりなり上方開□の容器に於て、長側壁3の中心縦方向にリブ7、その両側にリブ8を設けリブ8の上縁近くに透孔10をそれぞれ穿設し、短側壁中央上縁近くには手掛け孔11を設けた容器本体1と、金属線によって略長方形に枠12及び格子13を形成し、その中央には生鶏等の出し入れ用小蓋14を開閉自在に取り付け枠12の短辺側と平行に両端部がクランク状を成し、その先端が本体の孔10に嵌る支持棒15を設け、枠12の短辺側中央には枠外に突出し本体1の手掛孔11に嵌まるコ字状小枠16を設け、蓋の枠12の長辺側中央には、蓋と容器本体を係止させる金属線より出来たクリップ状係止金具17を設けて成る蓋と2とによって構成され、蓋2と容器本体1が被着目在な生鶏等用運搬容器。」(第2頁の実用新案登録請求の範囲)、 「即ち、蓋と容器本体とは、組立自在であること従って必要に応じて蓋を取り外し、容器本体を入れ子式に積み重ねることが出来る」(第2頁左欄28〜30行)、 が記載されている。 甲第4号証は、犬小屋に関するものであり、 「(1)耐アルカリ性グラスファイバー強化コンクリートよりなる上部を開放され且つ一側立上り壁面に出入口を又床面に孔ないしはスリットを開穿するようにした箱状のフレームと、この箱状のフレーム上部開放端面上に係脱自在に被嵌され且つ耐アルカリ性グラスファイバー強化コンクリートよりなる角ないしはドーム状その他の屋根フレームとよりなることを特徴とする犬小屋。」(第1頁5〜14行)、 「更に又本考案に於いて予期される他の主たる目的の一つは犬小屋を構成すべき箱状の躯体フレームと屋根フレームとに二分したことによって、その成形コストの低廉化と共に取扱い面、就中小屋内の清掃管理あるいは犬自体の看護保育等に格別の実効を奏し得るようにした点におかれたものである。」(第5頁8〜15行)、 が記載されている。 甲第5号証は、犬小屋に関するものであり、 「本考案は、犬小屋の本体と屋根部とを分割自在とし、必要に応じて屋根部を取り外し、本体内部の清掃、洗浄.消毒、乾燥を容易にし、常に内部を衛生的に保つことができる犬小屋を提供することを目的とするものである。」(第4頁【0003】)、 「本考案の一実施例を図面に基づいて説明すれば、図1は組立て状態を示す一部切断組立正面図、図2はその一部背面図、図3は図1の縦断側面図、図4は本体と屋根部を分離した斜視図を示している。 本体10と屋根部20とは分割自在であって、そのために本体10の周壁頂縁には鍔部11が形成され、屋根部20の下端周縁には本体10の鍔部11が嵌入される嵌入溝21が形成されている。従って、組立状態にあっては、正面および側面では、図5に示すように本体10の鍔部11が屋根部20の嵌入溝21内に嵌入されて雨露の侵入を防止している。図6は背面図の嵌入状態を示し、嵌入溝21上面の平面部を正面および側面のそれより短くして塀などの壁面に接して据付ける場合を考慮してあるが、全周にわたって同様の形状にすることもできる。 さらに、屋根部20の正面の下端周縁の入口部の両側には開口部22が対称的に穿設され、本体10側の対向位置にはこの開□部22内に弾性的に嵌挿される嵌挿片12が図7に示すように、本体10の周壁頂縁に設けた折返し部13に形成されている。また屋根部20の背面の下端周縁の一部にも開口部23が形成され、本体10側の対向位置にはこの開□部23内に挿脱自在な嵌挿片14が形成されている。 従って、本体10に屋根部20をかぶせるには、屋根部20の背面の関口部23内に本体10の嵌挿片14を差し込んだ後、屋根部20の嵌入溝21と本体10の鍔部11を合わせながら、屋根部20の正面の開□部22内に本体10の嵌挿片12を弾性的にはめ込めばよく、その結果、風雨に対して抵抗力のある犬小屋が得られる。また、清掃.消毒などのために屋根部20を取り外すには、上記の逆の順序で行う。」(第5頁【0006】)、 が記載されている。 (4)対比・判断 本件発明と甲第1〜5号証記載の発明とを対比すると、上記甲第1〜5号証に記載の発明は、本件発明の「前記天井体を前記周壁体に対して複数のスライドバックルにより着脱自在とし、前記複数のスライドバックルの全てをアンロツク位置に操作すると前記天井体を取り外すことができ、前記複数のスライドバックルの一部のみをアンロック位置に操作すると前記天井体の一部が回動自在な扉として機能し、前記天井体は向きを左右に逆転させて前記複数のスライドバックルにより前記周壁体に対して取り付けることができる」点を備えておらず、また、上記甲第1〜5号証にはこの点を示唆する記載もない。 そして、本件発明は、上記点により、「天井体を取り外して愛玩動物用畜舎を上面開□状とすることができる構成としたことから、前記畜舎が大きなもの、すなわち収容空間が広いものであっても、天井体を取り外すことにより楽に掃除を行うことができる。また、愛玩動物が収容空間のどこに居ても楽に取り出すことができる。よって、その大きさに関係なく掃除等の作業を楽に行うことができる」という明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明は、甲第1〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-05-24 |
出願番号 | 特願平6-167426 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(A01K)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 長井 啓子 |
特許庁審判長 |
村山 隆 |
特許庁審判官 |
松川 直樹 久保 竜一 |
登録日 | 2001-05-25 |
登録番号 | 特許第3193569号(P3193569) |
権利者 | アイリスオーヤマ株式会社 |
発明の名称 | 愛玩動物用畜舎 |
代理人 | 畑中 芳実 |
代理人 | 石川 壽彦 |
代理人 | 佐々木 宗治 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 福迫 眞一 |