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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 B61L
管理番号 1060743
審判番号 不服2001-7809  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-01-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-10 
確定日 2002-07-23 
事件の表示 平成 6年特許願第163118号「列車制御装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 8年 1月 9日出願公開、特開平 8- 2414、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年6月22日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年2月17日、平成13年3月12日各付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「信号機の現示の種類に対応した複数の選択回路を有し、常時、その複数の選択回路のうちからその信号機の現在の現示に対応した一つの選択回路を選択する選択回路形成手段と、
前記複数の選択回路の数に対応して予め用意された複数の距離情報を含む列車制御情報を記憶した情報記憶部を有する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段の情報記憶部から前記選択回路形成手段で選択された選択回路に対応した列車制御情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された列車制御情報をレールを走行する列車に向けて送出する、そのレールを走行する列車から送出される電力波信号を受信して生成した駆動電源により駆動される送出手段と、
を有することを特徴とする列車制御装置。」

2.先願発明
原査定の拒絶理由において引用された本願の出願の日前の出願であって、本願の出願後に公開された特願平5-43185号(特開平6-227397号公報参照)の願書に最初に添付された明細書及び図面には、下記の構成を備えた発明(以下、先願発明という。)が記載されている。
A.地上側設備として、走行する列車のブレーキ距離を確保して閉そく区間内に設置された地上子と、前記地上子の識別情報とその閉そく区間の現示情報とを含む地上側情報を地上子を介して送出する送出手段とを有し、また、車上側設備として、前記地上子に列車が接近したとき前記地上側情報を受信し所定の列車制御を行う車上機器と、前記地上子に対応した次の閉そく区間までの距離情報や線路勾配情報等の路線情報を記憶してある前記車上機器に設けられた記憶手段と、前記受信した地上側情報の地上子識別情報に基づいて、前記記憶手段からその地上子に対応した前記路線情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された路線情報と前記受信した地上側情報の現示情報に基づいて列車制御を行う制御手段とを有する列車制御装置。(請求項1参照)
B.前記地上子は、送出する現示データ(現示情報)として、信号機の各現示データ、つまりR現示、Y現示、G現示の各現示データをそれぞれ出力できるよう構成されること、そのため前記各現示データはリレー回路の択一的な選択によって出力されること。([0022]及び図6参照)
(なお、[0022]には、前記地上子について「地上送信機3中の各現示の路線データが択一的に選択されて・・出力される」とあり、この記載からすると前記地上子側から路線データ(距離情報等の路線情報)が送出されることになるが、図6には路線データを送出するための構成が示されていないこと、路線データ(距離情報等の路線情報)は前記車上機器に設けられた記憶手段に記憶されているので地上側設備から重複して供給する必要がないことからみて、前記記載中の「各現示の路線データ」は「各現示データ」を誤って記載したものと解すべきである。)
C.前記地上子は、走行する列車からの電力波を受信して電力生成する電源回路を有すること。([0013]及び図3(a)参照)

3.当審の判断
そこで、本願発明と先願発明とを対比する。
本願発明における「信号機の現示の種類に対応した複数の選択回路を有し、常時、その複数の選択回路のうちからその信号機の現在の現示に対応した一つの選択回路を選択する選択回路形成手段」は、先願発明も地上設備として実質的に有しているものであり(前記Bの事項参照)、また、本願発明における「走行する列車から送出される電力波信号を受信して生成した駆動電源により駆動される」という点は、先願発明の地上側設備も有するものであって(前記Cの事項参照)、それらの点では両者は共通している。
しかし、本願発明は、地上設備として「前記複数の選択回路の数に対応して予め用意された複数の距離情報を含む列車制御情報を記憶した情報記憶部を有する情報記憶手段」、「前記情報記憶手段の情報記憶部から前記選択回路形成手段で選択された選択回路に対応した列車制御情報を抽出する抽出手段」、「前記抽出手段で抽出された列車制御情報をレールを走行する列車に向けて送出する送出手段」、つまり地上側設備から「距離情報を含む列車制御情報」を送出する構成を有するものであるの対し、先願発明は、地上側設備から識別情報と現示情報とを送出するものであって(前記Aの事項、前記Bの括弧書き参照)、その点において両者は相違している。
そして、本願発明に係る列車制御装置は、地上側設備として前記各手段を有するので、先願発明に比べて車上側設備を簡単化できるという効果を生じるものである。
したがって、本願発明は、先願発明と同一であるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできないから、本願発明が特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないとした原審の判断は妥当ではない。
なお、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-07-09 
出願番号 特願平6-163118
審決分類 P 1 8・ 161- WY (B61L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 本庄 亮太郎  
特許庁審判長 三友 英二
特許庁審判官 紀本 孝
菅澤 洋二
発明の名称 列車制御装置  
代理人 志賀 正武  
代理人 高柴 忠夫  

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