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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G03G
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G03G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G03G
管理番号 1061028
異議申立番号 異議2000-74606  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-02-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-12-25 
確定日 2002-04-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3058013号「電子写真用ベルト感光体」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3058013号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3058013号の発明についての出願は、平成6年7月15日に特許出願され、平成12年4月21日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、尾谷勉より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年6月18日に訂正請求がなされた。その後訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内に意見書、手続補正書がなされ、その後、再度取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年3月25日に訂正請求がなされ、先の平成13年6月18日付け訂正請求は取り下げられたものである。

II.訂正の適否
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1〜5を、次の如く訂正する。
「【請求項1】少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、
前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が、感光体上に付着するキャリアの半径以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とするベルト感光体。
【請求項2】 請求項1記載のベルト感光体において、塗布する樹脂が、重合反応により硬化する樹脂または溶剤揮発により硬化する樹脂のいずれかであることを特徴とするベルト感光体。
【請求項3】 少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、
前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が50μm以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とするベルト感光体。」
(2)訂正事項b
明細書段落【0007】の「超寿命化」を、「長寿命化」と訂正する。
(3)訂正事項c
明細書段落【0008】の「後処理がなされてた」を、「後処理がなされた」と訂正する。
(4)訂正事項d
明細書段落【0008】、【0009】のそれぞれ「後処理領域の端部と感光体表面の接触角の少なくとも一方が」を、「後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が」と訂正する。
(5)訂正事項e
明細書段落【0008】の「15度以下であるようにする。」を、「15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であるようにする。」と訂正する。
(6)訂正事項f
明細書段落【0012】の「この後処理部のブレードが進入する側の端面の角度(以下、入口角度と称す。)」を、「この後処理部のブレードが進入する側の端面、すなわち前記処理部端部5-1の斜面と感光体表面とがなす角度(以下、入口角度と称す。)」と訂正する。
(7)訂正事項g
明細書段落【0013】の「端面の角度(入口角度)」を、「前記入口角度」と訂正する。
(8)訂正事項h
明細書段落【0014】の「クリーニングブレード先端と感光体表面の接触角度」を、「クリ-ニングブレードの接触先端下面と感光体表面とがなす角度」と訂正する。
(9)訂正事項i
明細書段落【0017】の「下塗りの樹脂との接触角度」を、「上塗りの樹脂端部と下塗りの樹脂端部とがなす角度」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)上記訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項2、3を削除し、請求項4、5を繰り上げ、かつ請求項1、5中の「後処理がなされてた」を、誤記の訂正を目的として「後処理がなされた」とし、また、「前記後処理領域の端部と感光体表面の接触角の少なくとも一方が15度以下である」を「前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とする」と、明確でなかった後処理領域の端部と感光体表面とがなす角度のブレードの進入する側の角度を、明確に入口角度と限定し、その後処理領域の角度の限定に加え、塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを更に限定するものである。これらの点は明細書段落【0011】【0012】、及び図面の記載によって支持されている。
したがって、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明、及び誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当する。又該訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)上記訂正事項b、cは、明らかな誤記を正すものであって、訂正事項d〜iは、特許請求の範囲の訂正に基づき訂正後の請求項と整合するよう発明の詳細な説明を訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。又該訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議申立てについて
1.特許異議申立ての概要
(1)特許異議申立人尾谷勉は、証拠として下記の甲第1号証〜甲第4号証を提出し、(理由1)訂正前の請求項1、2、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反しており、また、訂正前の請求項1〜5に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反しており、更に、(理由2)本件特許明細書は、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、これを取り消すべき旨、主張する。

甲第1号証:特開平5-269850号公報(以下、「刊行物1」という)甲第2号証:特開昭60-225872号公報(以下、「刊行物2」という)
甲第3号証:特開昭61-185753号公報(以下、「刊行物3」という)
甲第4号証:「岩波理化学辞典第4版」1988年7月5日第4版第2刷、株式会社岩波書店発行、第690〜691頁、「接触角」の欄(以下、「刊行物4」という)

2.本件発明
本件特許第3058013号の請求項1〜3に係る発明は、上記のとおり訂正が認められたから、平成14年3月25日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものである。(上記II.訂正の適否欄、(1)訂正事項aの記載を参照)

3.各刊行物に記載の発明
刊行物1〜4には、次の事項が記載されている。
(1)刊行物1:(特開平5-269850号公報)
(1-a)「【請求項1】第1の縁端領域および第2の縁端領域を有するシートと;シートに対して横方向に延在するほぼ平な面があり、前記平らな面の一端は前記シートの一端と隣接した前記シートと一体とされ、前記平らな面の他端は前記シートの他端と隣接した前記シートと一体とされて、前記シートの前記第1の縁端領域および前記第2の縁端領域を互いに固定すると共に前記シートの応力を最小限とする手段と;を備えることを特徴とする継合せ可撓性部材。」(特許請求の範囲)
(1-b)「【産業上の利用分野】本発明は、電子写真機器内等で使用する可撓性部材に関する。」(【0001】)
(1-c)「【実施例】図1を参照すると、シートとしての可撓性部材10が示されている。可撓性部材10は、第2の縁端領域14に重ねられ、重なり領域を形成する第1の縁端領域12を有する。可撓性部材10は、電子写真画像形成装置内で使用することができ、・・・・可撓性部材は、多種多様な塗料および特別な塗装材料を含む画像形成部材や、中間転写部材(トナー転写部材)、イオノグラフィック部材、誘電部材などの形をとることができる。」(【0015】)
(1-d)「可撓性部材10は、単一層であっても多層であっても良い。可撓性部材10の層は、所望の機械的特性を有する多数の適当な材料を備える。・・・・可撓性部材10を負に荷電した受光体(photoreceptor) 装置に構成する場合には、可撓性部材10は導電性面と電荷移動層との間に挟まれた電荷発生層を有する。」(【0016】)
(1-e)「縁端領域12および14は、ベルト、・・・・などの連続部材を形成するために接着、テーピング、ステープル止め、圧力融解および加熱融解などの手段を含む何らかの適当な手段によって結合できる。・・・・可撓性部材10は、図1に示すような光導電性画像形成材料シートから、図2に示すような連続した光導電性画像形成ベルトに変えられる。」(【0018】)
(1-f)「重なり領域を溶接して継目30とした後、重なり領域を図2および図4に示すような重なり接触領域に変形する。・・・・溶接継目30は、図2および図4に示すように、各端に上下のはみ出し部すなわちスプラッシング68および70を含む。・・・・継目30の端と側面とを越えたスプラッシング68および70が延在することは、静電複写コピー機や印刷機、さらには動作中に可撓性部材10の端位置を正確に位置決めする必要のあるコピー機などの多くの機器においては好ましくないものである。一般に、可撓性部材10の端におけるスプラッシング68および70の延在物は、ノッチングによって除去される。」(【0027】)
(1-g)「固定手段の表面輪郭は(その形状の変更および厚みを薄くすることなどを含む)化学的処理、溶接、研磨、ブラインド、磨きなどを含む機械処理などの様々な周知の表面処理方法によって改善することができる。」(【0041】)
(1-h)「接合点76および78における可撓性部材10の断面厚の急激な変化に加えて、スプラッシング68および70を含む固定手段の全体的な厚みも小さくすることができる。・・・・好ましくは、形状を変えてスプラッシング96および98を形成し、スプラッシング68および70の最大厚さ(約68ミクロン)を13.4ミクロン未満にする。」(【0060】)
(1-i)「上述した方法を含む適当な方法を使用して固定手段の輪郭、すなわちスプラッシング68および70を変形すると共に、可撓性部材10の縁端領域12および14の厚みを小さくする。・・・・図6に示すように断面を徐々に変化させることも可能である。角度θ、より詳細に言えば、可撓性部材10のスプラッシング68と上面32の自由側面72とで、スプラッシング70と底面34の自由側面72とで各々形成された角度θ1およびθ2は、最初のほぼ直角から90°以上となって継目30の不連続さを減少させる。」(【0054】)
(1-j)実施例の第6図、表1には、接合接触角として、θを170°、180°としたこと(【0061】【0062】)

(2)刊行物2:(特開昭60-225872号公報)
(2-a)「導電性支持体上に光導電層を設けてなる電子写真感光体の両端を接合してなるベルト状電子写真感光体において接合部に接合補強樹脂層を設け、更にその上に導電層を設けたことを特徴とするベルト状電子写真感光体」(特許請求の範囲)
(2-b)接合補強樹脂層は、「例えば、ポリエステル樹脂、・・・・等を溶剤で溶解し、これを接合部上にスリット状に塗布し、乾燥させて形成することができる。また、二液混合型のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、一液型のエポキシ樹脂、・・・・用いることができる。」(第2頁右上欄第11〜末行)

(3)刊行物3:(特開昭61-185753号公報)
「シート状感光体の両端を接合してなるエンドレスベルト感光体において、該接合部の表面に黒鉛、二硫化モリブデン・・・・ポリ四弗化エチレン、ポリ三弗化エチレン、ポリアミド、ポリアセタール及びポリエチレンからから選ばれた少なくとも一種の固体潤滑剤を含有する保護皮膜が形成されてなることを特徴とする電子写真用エンドレスベルト感光体。」(特許請求の範囲)

(4)刊行物4:(「岩波理化学辞典第4版」、「接触角」)
接触角とは、「静止液体の自由表面が固体壁に接する場所で液面と固体面とのなす角(液の内部にある角をとる)をいう。」

4.対比判断
(1)理由1について
本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という)と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1には、シートの縁端領域が結合され光導電性画像形成ベルトであって、結合した溶接継目のはみ出し部を、化学的処理、溶接、研磨、ブラインド、磨きなどを含む機械処理などの表面処理方法によって処理し、そのはみ出し部(スプラッシング)の最大厚さを13.4ミクロン未満にし、可撓性部材の上面とスプラッシングの側面とがなす接合接触角θを170°、180°としたことが記載され、該「光導電性画像形成ベルト」は本件発明1の「ベルト感光体」に相当し、該「接合接触角」は可撓性部材の上面とスプラッシングの側面とがなす角を云うから、接合接触角170°、180°は、本件発明1の入口角度でいうと、10°、0°になり、これらは、本件発明1の入口角度が15度以下であることに相当し、段差の高さも0のものであるから、
両者は、「少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が、感光体上に付着するキャリアの半径以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であるベルト感光体。」で一致しているが、接合部の形状を補正する後処理について、本件発明1が樹脂を塗布したもので、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であるとしているのに対して、刊行物1の記載では、表面処理するとだけしており、これらの点についての記載がない点で相違している。
そして、接合部の形状を補正する後処理において、樹脂を塗布する処理で、かつ塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることが、自明なこととも認められないから、本件発明1を刊行物1に記載された発明とすることはできない。
次に、上記相違点について検討すると、刊行物2には、ベルト状電子写真感光体の接合に補強樹脂層を設けること、刊行物3には、接合部に樹脂などの固体潤滑剤を含有する保護皮膜を形成することは記載されているが、その接合部の表面段差や塗布した樹脂の入口角度の大きさや塗布した樹脂の硬化後の硬度については、記載や示唆は何もない。そして、本件発明1では、後処理領域でもある程度の弾性が必要となり、樹脂の硬化後の硬度の最適範囲を選択したものである。そうすると、上記相違点は、刊行物2、3の記載からは導き出すことができず、本件発明1の構成を当業者であっても容易に想到することはできない。
そして、本件発明1は、上記した構成により、明細書記載の刊行物1〜3の記載からは予測することのできない格別な効果を奏しているものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるとも、また、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、請求項2に係る発明は、本件発明1において、更に塗布する樹脂を限定するもので、請求項3に係る発明は、本件発明1において、更に表面段差の値を限定するものであるから、上記本件発明1について述べたと同じ理由によって、請求項2、3に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるとも、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)理由2について
異議申立人は、本件特許明細書には以下の記載不備があるから、本件特許は、特許法第36条第4項および第5項の要件を満たしていない出願に対してされた旨主張している。
a.請求項1、5に、「後処理がなされてた後処理領域」と記載されているが、過去に後処理がなされてたが、現在は後処理された事実が残っていない事も意味し、後処理領域について不明瞭である。
b.請求項1、5に記載の「表面段差」とは、図5の5-2を意味するとのことだが(【0014】欄)、具体的にどこからどこまでを表面段差と言っているのか不明瞭である。
c.請求項1に、「表面段差がキャリアの半径以下」と記載されているが、明細書中には、100μmのキャリアを用いたとの記載があるのみで、キャリアがどのようなものかについて記載されず、またキャリアの半径がどの程度であるかについて記載されておらず、その範囲が定まらず、その結果発明が不明瞭である。
d.請求項1、5に、「後処理領域の端部と感光体表面の接触角の少なくとも一方が15度以下」と記載されているが、明細書の記載では、どの部分をもって後処理領域の端部の角度とするのかが明確でなく、又、この感光体の接触角についての定義規定がない。当業者であれば、感光体表面の接触角として、感光体表面に水滴を付けたときの感光体表面と液面とのなす角であると一義的に理解するが、本件発明は、感光体表面の接触角とは何ら関係のある発明ではなく、発明が不明確である。

そこで、上記の主張について検討する。
a.の点;接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有することは、明細書の記載によれば明白であって、明らかな誤記として「後処理がなされた」と訂正されたから、上記記載不備は解消したものである。
b.の点;明細書【0014】欄に、「図5は、処理部表面段差とクリーニングブレードとの関係を示す図である。図に示すように、粘度の低い樹脂を塗ると前記の入口角度は、一般に小さくなるが、接合部の段差位置における段差5-2(以下、表面段差と称す。)を完全に補正することができない。」と記載され、第5図を参酌すれば、接合部で重ね合わせたシート部材の下側部材の感光体層表面と、塗布した樹脂の最も高い位置との間の距離を意味することは明白であって、上記記載不備はないものである。
c.の点;「キャリアの半径」についての測定方法が、明細書には明記されていないが、キャリアの半径の測定には、ふるいによる粒度測定、即ちふるい分け法が用いられるのが通常であって、この方法によって、キャリアの半径を求めることは、当業者であれば適宜なし得ることであるから、上記記載不備はないものである。
d.の点;後処理領域には、後処理部のクリーンニングブレードが進入する際にブレード先端が接触を保ちつつ乗り上がっていくこととなる入口側斜面、即ち、第5図の処理部端面5-1の斜面と、段差部近傍の盛り上がり頂部通過後の出口側斜面とがあり、その入口側斜面の処理部端面5-1の斜面と感光体表面とがなす角度(入口角度)が、15度以下であることは、明細書の【0011】〜【0013】欄の記載、及びこれに関する図面の記載から明白に理解できることである。また、訂正前の請求項1、5記載の「後処理領域の端部と感光体の接触角」は、明細書の【0012】欄記載の「後処理部のブレードが進入する側の端面の角度(以下、入口角度と称す。)」を意味することが明細書、及び図面の記載から自明であって、両者のその技術的意義ないし作用効果も全く同じである。そして、この点は訂正により明りょうにされているから、訂正後の請求項1、3における後処理領域の15度以下である角度について、上記記載不備はないものである。
したがって、本件発明の特許は、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとすることはできない。

VI.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1〜3に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子写真用ベルト感光体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、
前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が、感光体上に付着するキャリアの半径以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とするベルト感光体。
【請求項2】 請求項1記載のベルト感光体において、塗布する樹脂が、重合反応により硬化する樹脂または溶剤揮発により硬化する樹脂のいずれかであることを特徴とするベルト感光体。
【請求項3】 少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、
前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が50μm以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とするベルト感光体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真記録装置に係り、特にベルト状感光体をシート部材を接合してベルト状に加工する際の接合部の処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光体を利用して画像を形成する電子写真記録装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの印写装置として広く用いられている。ところで、感光体としては、ドラムタイプとベルトタイプのものがある。ベルトタイプはドラムタイプに比較して、感光体ベルトおよびその周囲の印写プロセスは位置自由度が高く、各印写プロセスを効率よく配置する上で、有効である。
【0003】
エンドレスの感光体ベルトは、ニッケル等の電鋳メッキでの作成方法が知られている。しかし、製作が難しくコスト的にも高くつくことから、シート感光体の端面を接合したベルト感光体が用いられる場合が多い。この感光体は、PETなどのフィルム上にアルミ蒸着で導電層を形成し、その上に感光層を塗布した長尺シートを作成し、適当な長さに切断して、両端を超音波融着などの方法で接続して作成される.
【0004】
この様に作成した感光体ベルトを利用する場合、接続部での接合強度が問題となる。特に、感光体上のトナーを弾性ブレードで.き落とすブレードクリーニング方式を用いた印写プロセスで利用する場合、接続部での亀裂や破断などが発生する。この為、特開平1-288860号公報では、超音波融着で接合するとともに、接合後の形状として接合部からのはみ出し量を1.2mm以下とし、接合部の段差を100μm以下に規定することが提案されている。さらに、特開昭61-185753号公報では、継ぎ目部に個体潤滑材を含有する保護皮膜を形成する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術によって作成した感光体ベルトは、クリーニングブレードを用いる電子写真記録装置に適用しても、接続部での亀裂や破断などを防止することができる。
【0006】
しかし、上記構成においても接続部における不連続な形状変化や段差が存在する。この段差部をブレードが通過する際に、ブレードはその挙動が不安定となる。ブレードには、トナー以外に感光体上の異物が.き取られており、この段差部におけるブレードの挙動変化によって、異物がブレードと感光体の隙間に挟み込まれる危険がある。特に、二成分現像方式などを適用した電子写真プロセスでは、キャリアがブレードと感光体に挟み込まれる。ブレードと感光体の間に挟まれたキャリアなど異物粒子の一部は、ブレードをすり抜けること無くブレードと感光体の間に、保持されてしまう。前記プロセスで、ブレードに保持されたキャリアなどの硬い異物は、ほとんど移動すること無く、感光体の回転によって、感光体表面の一ケ所に線状の傷を発生させる。この傷によって、印写画像に白抜けや黒筋などの画像欠陥が生じるとともに、感光体の寿命が大幅に短くなるという問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、前記問題点を解決するためベルト継ぎ目の段差部にトナーやキャリアが残留しない形状に、継ぎ目部の形状や、継ぎ目部を塗料等で保護する場合の形状等を規定することにより、画像欠陥のない印刷画像を得ること、及び感光体ベルトの長寿命化を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が、感光体上に付着するキャリアの半径以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であるようにする。
【0009】
【作用】
上記手段では、接続部に後処理を施すとともに、後処理領域内における表面段差が、ベルト感光体を利用する電子写真プロセスにおいて、感光体上に付着することが予想されるキャリアやその他の異物等の半径以下であるために、ブレードと後処理面の間にキャリアやその他の異物等の進入する大きさの隙間が発生せず、キャリアやその他の異物等のブレードヘの挟み込みを防止できる。さらに、後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であるように処理されているために、クリーニングブレードが処理領域に突入する際の衝撃が小さく、キャリアやその他の異物等がクリーニングブレードが処理領域への進入時もキャリアやその他の異物等のブレードヘの挟み込みを防止できる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1から図12を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例を説明するための図である。PETフィルムからなるベースフィルム層3上にアルミ蒸着処理により形成したアルミ層2と、その上に感光体層1を形成したシート感光体を、約1mm程度の幅で超音波融着4によって接続している。接続部の表面には、樹脂を塗布し形状を補正した後処理領域5が施されている。
【0011】
図2は、処理部の形状とクリーニングブレードとの関係を示す図である。感光体ベルトは、矢印8の方向に移動する。接合部4に図のような盛り上がった後処理を施した場合、クリーニングブレードが後処理領域5に進入する際に、図中の異物6(例えば、キャリアなど)がブレード先端と処理部端部5-1に挟まれる形となり、図3に示す様にブレード下面に異物が進入する。キャリアに挟まれた異物は、感光体の回転にともない感光体表面に傷を発生させる。粘度の高い樹脂等を塗布することで、後処理を行うと図2の様な盛り上がった形状に成る。
【0012】
この後処理部のブレードが進入する側の端面、すなわち前記処理部端部5-1の斜面と感光体表面とがなす角度(以下、入口角度と称す。)と傷の発生(目視により確認)の関係を調べた結果を図13に示す。図13の実験条件はキャリア粒径が100μmのものを使用して100回程度印刷した後で観測したものである。この図からも明らかなように、入口角度が15度以上では、100μm程度のキャリアの挟み込みが多数発生し、感光体に多くの傷が発生した。しかし、この角度は異物の形状や粒径および塗布した材料の表面性状などで変化する。球形の異物や前記キャリアよりも粒型の大きな異物では25度から30度程度でも傷が発生しない場合もあった。逆に、キャリア6の異形度が大きく処理領域5の表面の摩擦抵抗が大きいなどの厳しい条件下では、処理領域5の入口角度を5から10度以下にすることが望ましい。このように感光体に傷が発生すると、その発生本数に応じて印刷画像に印刷斑が発生し、画質が低下していることが分かった。
【0013】
図4は、入口角度が小さい後処理領域の他の一例を図示したものである。図の様に処理領域が厚い場合でも、処理層と感光体層の塗れ性が良い場合は、前記入口角度は小さくなる。図のような形状の処理層でも、入口角度が前記規定の角度範囲であり、処理面内で滑らかに形状が変化している場合、傷の発生を防止することができる。
【0014】
図5は、処理部表面段差とクリーニングブレードとの関係を示す図である。図に示すように、粘度の低い樹脂を塗ると前記の入口角度は、一般に小さくなるが、接合部の段差位置における段差5-2(以下、表面段差と称す。)を完全に補正することができない。クリーニング特性を維持する都合上、クリーニングブレードの接触先端下面と感光体表面とがなす角度は数度程度に設定されている。この為、前記段差の深さがキャリア等の異物半径よりも深い場合、図6に示されるように、ブレードがキャリアを挟み込んでしまう。この様なキャリアの挟み込みを防止する為には、キャリアなどの異物の直径に対して、発生する隙間が十分小さくなければならない。実験的には、キャリア直径の半分以下であればかなり有効であることがわかっている.しかし、実際はキャリアの粒径や形状にばらつきがあることなどを考慮すると、使用するキャリア平均粒径の1/3から1/4以下が望ましいと思われる。
【0015】
図14に表面段差と感光体の傷の発生状況の関係を示す。なお本図に示す実験で用いたキャリアの粒径は100μmで約100回程度印刷を行った後のデータである。図に示すように、段差がキャリア粒径の半分程度である50μm程度までは傷の発生も1本程度で、画質低下に影響を及ぼしていないが、それを越えると急激に傷の発生が増加し、画質の低下が著しい。
【0016】
樹脂を塗布することで、前記したような入口角度と表面段差を実現するためには、塗布時の樹脂の粘度を適切に調整する必要がある。一般に、粘度を小さくすると、入口角度は小さくなるが、表面段差は大きくなる。また、逆に粘度を大きくすると、表面段差は小さくなるが、入口角度は大きくなる。使用する樹脂によって異なるが、実験の結果1から100ポアズ程度の粘度が適当である。また、感光体に塗布することから、熱硬化性樹脂や紫外線硬化型樹脂は好ましくなく、溶剤揮発型もしくは重合反応により硬化するエポキシ樹脂などが、適当である。溶剤揮発型樹脂の場合は、塗布時と硬化後では体積減少することから、若干粘度が高めの状態で塗布する。実験的には数十ポアズ程度の粘度が好ましい。これに対して、エポキシなどの重合硬化型の樹脂では、硬化後の体積変化が小さいことから、若干低めが適正値となる。塗布方法は、スクリーン印刷が望ましいが、粘度などの条件によっては、デイスペンサを用いる方法も利用できる。
【0017】
作業行程を簡略にするためには一度の樹脂塗りが好ましいが、入口角度および表面段差を厳しく管理する方法として、二度塗布を行う方法が有効である。図7に二度塗布した例を示す。同一条件の樹脂を塗ることでも効果はあるが、下側の樹脂の粘度を高く、上側の樹脂の粘度を低くすることで、入口角度が小さく表面段差の小さい処理部形状を実現することができる。囲7の塗布例では、下塗りの幅よりも上塗りの幅を大きくした二度塗り方法である。これに対して、図8は下塗りの幅よりも上塗りの幅を小さくした二度塗りの実施例である。この場合、下塗りの粘度は低めにし、上塗りの粘度は高めであるとともに、下塗りの樹脂に対する表面エネルギの小さな樹脂を選択する必要がある。これによって、上塗りの樹脂の粘度が高い場合においても、上塗りの樹脂端部と下塗りの樹脂端部とがなす角度を小さく設定することができる。この方法二度塗りをより簡便に実施する方法として、下塗り層に樹脂ではなく、プライマを塗布する方法も有効である。これによって、下塗り層の乾燥時間を大幅に削減できる。なお二度塗りの状態でも図8でもかなり良い結果を得ているが、図15に示すように高い段の方は一層目5-3の上に二層目5-4が有り、下段の方は二層目5-4の塗料で感光体層1を覆う形で、塗料を塗布した場合が最も傷の発生が見られなかった。
【0018】
塗布する樹脂は、反転現像プロセスで用いる場合は絶縁性に、正規現像プロセスで用いる場合は、導電性のものを利用する必要がある。導電性樹脂は、カーボンなどを樹脂に分散させることによって得られる。絶縁性の場合の樹脂の体積抵抗値としては、帯電から現像までの電荷の保持時間を考慮すると、感光体の非露光時抵抗値である1013から1015Ω・Cm以上の高抵抗が必要である。溶剤揮発型樹脂を使用する場合、完全に溶剤を揮発させる必要性から、加熱する必要がある。しかし、感光体特性を損なわない加熱温度は50から100℃以下であり、あまり高温にすることはできない。この為、樹脂に用いる溶剤としては、沸点の数十度から百数十度程度のトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤やシクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤あるいは、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤およびアルコール系溶剤など利用することができる。
【0019】
また、感光体ベルトは繰り返し屈曲を受けることから、継目の処理領域にもある程度の弾性が必要である。前記の樹脂を塗布する方法においても硬化後の樹脂の弾性は重要である。特に、エポキシ樹脂などは硬化後の硬度が高く亀裂などが表面に発生する危険がある。エポキシなどは、シリコン系のフィラー等を添加して、硬化後の硬度を低下させ弾性を持たせることができる。塗布する樹脂の硬化後の硬度としては、50から100程度(JIS-A)が望ましい。
【0020】
継ぎ目部の形状を、補正する後処理の他の方法として、段差エッジを削る方法がある。図9に削った後の継ぎ目状態を示す。削ることによって接合部の強度が低下するために、超音波融着や接着剤による接続幅4を、数mm以上の幅で広く取る必要がある。削るためには、高精度に刃先を継ぎ目部に導く必要があり、前記樹脂塗布に比べて、技術的な難しさがある。このため、継ぎ目近傍を研磨する方法が、比較的容易で有効である。
【0021】
継ぎ目部の形状を、補正する後処理の他の方法として、段差エッジを熱的に溶かす方法がある。図10に熱的に融解させた継ぎ目状態を示す。継ぎ目を溶かすことで接合部の強度が低下するために、超音波融着や接着剤による接続幅4を、数mm程度の幅で広く取る必要がある。溶かす温度としては、PET等のベースフィルムが融けず、ポリカーボネイトなどの感光体のバインダ樹脂を溶かす温度に設定することで、接着強度の低下を少なく、滑らかな形状に溶かすことができる。図11に加熱部材の形状を示す。ベルトの感光体塗布面側には、図に示すような形状の加熱部材10、ベースフィルム面には表面に弾性体9-1を配したガイド部材9とによって、挟み込み接合面を加熱することで、図10に示すような形状に接合面を後処理する。加熱部材10の両端部は、穏やかな曲線を有する形状に加工することで、溶かす領域の両端部の形状を滑らかにできる。
【0022】
図12に本発明の感光体ベルト11を適用した装置の一例を示す。図は、感光体ベルト11を用いたフルカラーレーザプリンタである。ベルト感光体上にスコロトロン帯電器12で一様な帯電を行った後、レーザ露光装置13でイエロー画像パターンに従った露光を行い感光体上に静電潜像を形成する。感光体上の静電潜像をイエロー現像器14Yで現像し、現像後の画像を中間転写ドラム16に転写する。次に、感光体上の残留トナーは、ブレードクリーナ15によって.き取られ、再び、帯電・露光行程で、感光体上にマゼンタの画像パターンに従った静電潜像を形成する。そして、マゼンタの現像器14Mで現像した後、イエロー画像に重ねてマゼンタ画像を中間転写ドラムに転写する。これらの行程を、シアン画像および黒画像についても同様に行い、中間転写ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の合成画像を形成する。中間転写ドラム上に形成した4色画像は、給紙カセット17から搬送された用紙に転写ローラ18により一括転写され、定着機19で加熱定着し印写を完了する。本発明の感光体ベルトは、この他に電子写真プロセスを利用する様々なプリンタ、複写機、ファクシミリなどに適用することが可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明による加工方法などを用いて、感光体継ぎ目部を後処理することで、本感光体ベルトをブレードクリーニング方式を用いた印写装置に適用しても、継ぎ目部でクリーニングブレードにキャリアなどの異物を挟み込むことがなく、異物による感光体の傷発生を防止することができる。これによって、感光体ベルトの寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の後処理を行った継ぎ目部を示す図である。
【図2】
粘度の高い樹脂を継ぎ目に塗布した状態を示す図である。
【図3】
継ぎ目処理領域の端部でのキャリア巻込みを説明する図である。
【図4】
継ぎ目領域端部の一形状を示す図である。
【図5】
粘度の低い樹脂を継ぎ目に塗布した状態を説明する図である。
【図6】
継ぎ目処理領域の段差部でのキャリア巻込みを説明する図である。
【図7】
継ぎ目の二度塗り処理を説明する図である。
【図8】
継ぎ目の二度塗り処理の他の例を説明する為の図である。
【図9】
端面を削ることで後処理した継ぎ目部を示す図である。
【図10】
熱で融解することで後処理した継ぎ目部を示す図である。
【図11】
熱で融解するための加熱部材を示す図である。
【図12】
本発明のベルトを利用した装置の一実施例を示す図である。
【図13】
入口角度と感光体状の傷の発生本数を示した図である。
【図14】
表面段差と感光体状の傷の発生本数を示した因である。
【図15】
継ぎ目二度塗り処理の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…感光体層
2…アルミ層
3…ベースフィルム層
4…接着領域(超音波融着領域)
5…後処理領域
5-1…処理部端部
5-2…表面段差
5-3…一層目
5-4…二層目
6…異物(キャリアなど)
7…クリーニングブレード
8…感光体ベルト移動方向
9…ガイド部材
9-1…弾性体
10…加熱部材
11…感光体ベルト
12…スコロトロン帯電器
13…レーザ露光装置
14Y…イエロー現像器
14M…マゼンタ現像器
14C…シアン現像器
14K…黒現像器
15…ブレードクリーナ
16…中間転写ドラム
17…給紙カセット
18…転写ローラ
19…定着機
20…中間転写クリーナ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1〜5を、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明、及び誤記の訂正を目的として、次の如く訂正する。
「【請求項1】少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、
前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が、感光体上に付着するキャリアの半径以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とするベルト感光体。
【請求項2】 請求項1記載のベルト感光体において、塗布する樹脂が、重合反応により硬化する樹脂または溶剤揮発により硬化する樹脂のいずれかであることを特徴とするベルト感光体。
【請求項3】 少なくともベース層上に感光体層が形成された後、接合された電子写真プロセスで利用されるベルト感光体において、
前記接合された接合部の形状を補正する後処理がなされた後処理領域を有し、前記後処理領域内における表面段差が50μm以下であるとともに、前記後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であることを特徴とするベルト感光体。」
(2)訂正事項b
明細書段落【0007】の「超寿命化」を、誤記の訂正を目的として、「長寿命化」と訂正する。
(3)訂正事項c
明細書段落【0008】の「後処理がなされてた」を、誤記の訂正を目的として、「後処理がなされた」と訂正する。
(4)訂正事項d
明細書段落【0008】、【0009】のそれぞれ「後処理領域の端部と感光体表面の接触角の少なくとも一方が」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「後処理領域の端部と感光体表面とがなす入口角度が」と訂正する。
(5)訂正事項e
明細書段落【0008】の「15度以下であるようにする。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「15度以下であり、しかも該ベルト感光体の接合部に樹脂を塗布したものであって、前記塗布した樹脂の硬化後の硬度がJIS-Aで50から100であるようにする。」と訂正する。
(6)訂正事項f
明細書段落【0012】の「この後処理部のブレードが進入する側の端面の角度(以下、入口角度と称す。)」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「この後処理部のブレードが進入する側の端面、すなわち前記処理部端部5-1の斜面と感光体表面とがなす角度(以下、入口角度と称す。)」と訂正する。
(7)訂正事項g
明細書段落【0013】の「端面の角度(入口角度)」を、「前記入口角度」と訂正する。
(8)訂正事項h
明細書段落【0014】の「クリーニングブレード先端と感光体表面の接触角度」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「クリ-ニングブレードの接触先端下面と感光体表面とがなす角度」と訂正する。
(9)訂正事項i
明細書段落【0017】の「下塗りの樹脂との接触角度」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「上塗りの樹脂端部と下塗りの樹脂端部とがなす角度」と訂正する。
異議決定日 2002-04-05 
出願番号 特願平6-163554
審決分類 P 1 651・ 531- YA (G03G)
P 1 651・ 113- YA (G03G)
P 1 651・ 534- YA (G03G)
P 1 651・ 121- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤田 裕子  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 伏見 隆夫
植野 浩志
登録日 2000-04-21 
登録番号 特許第3058013号(P3058013)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 電子写真用ベルト感光体  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  
代理人 作田 康夫  
代理人 作田 康夫  

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