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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E02D
管理番号 1061192
異議申立番号 異議2000-74010  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-04-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-30 
確定日 2002-05-30 
異議申立件数
事件の表示 特許第3043320号「杭式桟橋施工方法及び杭式桟橋構造」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3043320号の請求項2に係る特許を取り消す。 同請求項1、3、4に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第3043320号の請求項1〜4に係る発明(以下、「本件請求項1〜4に係る発明」という。)は、平成10年9月17日に出願され、平成12年3月10日にその特許の設定登録がされ、その後、平成12年10月30日に株式会社横山基礎工事より、特許異議の申立てがあり、平成13年5月25日(発送日)に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年7月18日に特許異議意見書が提出されたものである。

2 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要
(1)異議申立人は、証拠として甲第1〜7号証を提出し、本件請求項1〜4に係る発明は、甲第2号証乃至甲第6号証の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、それらの特許は取り消されるべきであると主張している。
甲第2号証:特開平10-46523号公報
甲第3号証:基礎工,総合土木研究所,1997年2月,第25巻,第2号,表紙及び「今月の表紙」欄の掲載頁
甲第4号証:基礎工,総合土木研究所,1997年8月,第25巻,第8号,表紙及び「今月の表紙」欄の掲載頁
甲第5号証:基礎工,総合土木研究所,1998年6月,第26巻,第6号,表紙及び「今月の表紙」欄の掲載頁
甲第6号証:日経コンストラクション,BP社,1997年4月,第182号,p.35-36
(なお、甲第7号証として提出された刊行物は、本件の出願後の平成12年3月に頒布されたものであり、本件の出願前に頒布された証拠として採用することはできない。甲第1号証は、本件特許発明に係る特許公報の写しである。)
(2)取消理由は、刊行物1として上記甲第2号証の特開平10-46523号公報を採用し、周知例として刊行物2(特開平5-287709号公報)及び刊行物3(特開平9-71917号公報)を引用し、本件請求項1に係る発明は、刊行物1記載の発明に基づき、本件請求項2に係る発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2、刊行物3にあるように周知技術に基づき、それぞれ当業者が容易に発明することができたものであるから、本件請求項1、2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたもので、取り消されるべきものであるとしている。

3 本件請求項1〜4に係る発明
本件請求項1〜4に係る発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】桟橋完成部分から、杭頭固定用管が予め設置された延長すべき桟橋未完成部分の主桁を片持ち状に張り出し、当該桟橋未完成部分の主桁に沿うように当該桟橋未完成部分の主桁の張り出し先端部と桟橋完成部分との間にかけ渡された線材を、当該桟橋未完成部分の主桁とほぼ並行になるようにして張力調整することによって当該桟橋未完成部分の主桁を調整するとともに保持し、前記桟橋未完成部分の主桁に設置された杭頭固定用管を介して管状杭を杭打ちすることを特徴とする杭式桟橋施工方法。
【請求項2】桟橋完成部分から、杭頭固定用管が予め設置された延長すべき桟橋未完成部分の主桁を片持ち状に張り出し、当該桟橋未完成部分の主桁の張り出し先端部とその下方の地形との間に仮設杭を架設することによって当該桟橋未完成部分の主桁を調整するとともに保持し、前記桟橋未完成部分の主桁に設置された杭頭固定用管を介して管状杭を杭打ちすることを特徴とする杭式桟橋施工方法。
【請求項3】杭式桟橋に用いられる主桁の配置方向に対して、管状杭の杭打ちに用いられる杭頭固定用管の向きを自在に調整できるように、当該主桁と杭頭固定用管とを周方向に回転可能な二重管構造で接続することを特徴とする杭式桟橋構造。
【請求項4】前記二重管構造が横桁を構成することを特徴とする請求項3記載の杭式桟橋構造。」

4 甲各号証及び引用刊行物の記載事項
甲第2号証(刊行物1)
簡易仮橋仮桟橋架設の施工方法に関し、
「前段作業として図1に示す様に、所定の平らな作業用地盤上に於て桟橋パネル8を平場地組するに際し、次述する杭橋脚としての3本の鋼管10,10,10に対しこれを挿入すると共に、前後隣設するユニット桟橋パネル8,8を連結するための筒状連結部1,1(当該実施例においては3体)、及び、連結突起部2,2,2を有する杭橋脚フレーム3に対し両端部に該突起部2に対する連結用のフォーク状の各凹部2’を有してボルト6により連結する長短のフレーム5’,5”がサブフレーム4を介し梯子状に形成された縦フレーム5が当該図1の(イ)に示す様に、工場で製作された部品として搬入され、当該図1の(ロ)に示す様に、ユニット桟橋パネル3の突起部2,2,2に対し縦フレーム5の先端部のフォーク状の凹部2’がボルト6により連結されて当該図1の(ハ)に示す様に、平場地組され、更に、桟橋パネル8を所定の強度剛性を有するように縦フレーム5,5の相対向する長いフレーム5”,5”間にサブフレーム7,7を挿入し、ボルト6により連結固定して補強し、当該図1の(ニ)に示す様に、ユニット桟橋パネル8を所定数形成しておく。」(6欄9〜28行)、
「当該施工に併せて図2に示す様に、所定の傾斜地盤9の基端部に第1の所定のユニット桟橋橋脚本体としての鋼管10を杭橋脚フレーム3の筒状連結部1に挿通して設定深度打設してその基端部をモルタル等の根固材を充填し、埋め戻して固定状態に植立しておいて該鋼管10に対し上述した平場組み付けにより組み立てられた桟橋パネル8の床板11上にクローラークレーンの重機12を所定に搬入セットし、そのクレーン本体12’を介しワイヤ-14により柱体としての柱状構造物13を該桟橋パネル8、及び、各鋼管10の天端部の連結部2,2’に対しボルト、又は、ピン6,6…により連結固定して植立状態にし、そして、当該図2に示す様に、クローラークレーン12のクレーン本体12’にワイヤ一14を介し次段の桟橋パネル8を吊設して搬入し、その基端部の頭上のフォーク部の凹部2’をして杭橋脚フレーム8の各連結部としての突起部2に近接させ、当該図3に示す様に、桟橋パネル8側からボルト6、或いは、ピンを介し連結し、更に、ワイヤ一14を介し柱状構造物13と該桟橋パネル8を連結して仮桟橋の延設方向に連結架設し、その設計位置を保持する。」(6欄29〜49行)、
「したがって、当該次段に架設された桟橋パネル8は当該図3に示す様に、反力ポールとしての柱状構造物13を介しワイヤー14によりその自重を支持すると共に、桟橋パネル8上に於ける各種の軽作業の荷重に充分に耐えるようにし設置セットされる。」(6欄50行〜7欄4行)、
「そして、当該図3に示す様に、既設桟橋パネル8の床板11上に搬入セットされたクローラークレーン12のクレーン本体12’によりワイヤ一14を介し次段の杭橋脚の鋼管10を吊下搬入し、該次段の桟橋パネル8の横方向3つの(当該実施形態においては)の筒状の連結部1に対し静的に挿入していく。」(7欄12〜17行)、
「そして、鋼管10を杭橋脚として機能させる場合には、図6に示す様に、クローラークレーン12の所定位置後部に搬入セットされたミニクリートポンプ22によりセメントモルタルを次段設置の桟橋パネル8を介して吊設した鋼管10内にて削孔機20をクレーン本体12’を介して引き抜いた後にホース23を介しその先端削孔部位に根固材として注入し、埋め戻しを所定に行って該鋼管10を固定状態に植立する。」(8欄17〜24行)、
「このような施工態様を採ることにより、上部構造部の桟橋パネル各ユニットの組立作業が下部構造部の杭橋脚の打設作業に先行しながら互いに非同期的に行われ、該パネルの設計位置への架設構築作業を介して延設方向の杭橋脚打設作業が同時併工的に行われ、しかも、搬入するクローラークレーン12は地盤9の形状にかかわることなく、各桟橋パネル8のフラットの床板11上にて進退動出来、又、高所作業用の足場等も不要となり、高能率裡に安全で設計通りの簡易仮橋仮桟橋架設が行われる。」(9欄18〜27行)及び
「そして、桟橋パネルの架設に後行して地盤に打設した杭橋脚にユニット桟橋パネルを架設し(クレーンを介して)、そして、桟橋の延設方向に対し後行打設した杭橋脚に柱体を立設し、該柱体に次段のユニット桟橋パネルをワイヤ一を介して吊設して架設し、該次段のユニット桟橋パネルの端部の連結部に鋼管を挿通してその先端を地盤に打設し該鋼管の基端部に、更に、次段のユニット桟橋パネルを連結する工程を反復するようにすることにより、該鋼管をして杭橋脚とし、該杭橋脚の打設を行うと共にユニット桟橋パネルの延設架設を図ることが出来るために、極めて効率的で作業工数が少い架設を行うことが出来るという優れた効果が奏される。」(10欄23〜34行)との記載がある。
以上の明細書及び図面の記載によれば、甲第2号証(刊行物1)には、
「第1の所定のユニット桟橋橋脚本体としての桟橋パネル8(以下、「第1桟橋パネル8」という。)から、筒状連結部1が予め設置された延長すべき次段の桟橋パネル8(以下「第2桟橋パネル8」という。)の縦フレーム5を片持ち状に張り出し、当該第2桟橋パネル8の縦フレーム5に沿うように当該第2桟橋パネル8の縦フレーム5の張り出し先端部と第1桟橋パネル8との間に柱状構造物13を介してかけ渡されたワイヤ一14により、当該第2桟橋パネル8の縦フレーム5を設計位置に保持し、前記第2桟橋パネル8の縦フレーム5に設置された筒状連結部1を介して鋼管10を杭打ちする杭式桟橋施工方法。」という発明が記載されていると認める。
甲第3号証〜甲第5号証
仮橋・仮桟橋鋼製パネル斜張式架設工法であるLIBRA工法に関し、
「本工法は、平場にて組立てた鋼製パネルを反力ポール、斜張ケーブルを介した片持ち架設により設計位置に保持した後、延設方向に支持杭打設を行う仮橋・仮桟橋架設工法で、上部鋼製パネルを支持杭打設のガイドとすることにより杭芯確保を容易にし上部工架設までの足場材の設置を無くし、傾斜地における煩雑な橋脚部補強も少量化し、作業の大半を安定したパネル上に移し、安全、迅速な施工を実現した。」と概略記載されていると認める。
甲第6号証
「横山基礎工事・・・は,山間部での道路工事などに使う仮橋や仮桟橋の架設を簡略化した「LIBRA(リーブラ)工法」を開発した。」(35頁右欄下から4行〜36頁1行)と記載され、
36頁の「リーブラ工法の施工手順」の図によれば、「1)上部パネル吊り込み、2)上部パネルを既設橋脚部と斜めのケープルで連結、3)橋脚となる杭を架設上部パネルの先端部より打設、4)杭内に充填材を注入、杭頭を処理し、橋脚を完成、という手順からなる工法。」が記載されていると認める。
刊行物2
「この固定支持装置50と高さ調節装置60は、以上説明した移動桁20側に設けるレッグ40のみでなく、高架作業床10側に設けた各レッグ40のすべてに、個別的に組み付けていることはもちろんである。」(5欄21〜24行)、
「図3は、・・・可動高架作業台Aによる基礎工Bおよび橋脚Cの構築手順を、工程にしたがって示すものである。
(イ)は、可動高架作業台Aにおける高架作業床10の右側の作業口11からリバーサーキュレーションタイプの掘削機(図示せず)を用いて基礎工Bの杭孔を削孔し、左側の作業口11では、橋脚Cを構築している工程を示すものである。」(5欄45行〜6欄2行)との記載がある。
刊行物3
置換掘削作業架台に関し、
「レグ8を昇降装置7を使用して海2側に建て込み設置し、海底の不陸に対応させて張出し架台6が水平に設置されるよう一次レベル調整を行う(図5参照)。
次にケーシングジャッキ9を張出し架台6の張出し部に設置し、ケーシングパイプ10をセットし、さらに油圧ユニット12、発電機13も張出し架台6の上に設置する。そして、この状態でレグ8による張出し架台6の二次レベル調整を行う(図6参照)。」(3欄10〜17行)との記載がある。

5 対比・判断
(本件請求項1に係る発明について)
本件請求項1に係る発明と甲第2号証(刊行物1)記載の発明とを比較すると、甲第2号証(刊行物1)記載の発明の「ワイヤ一14により、第2桟橋パネル8の縦フレーム5を設計位置に保持」する技術事項には、縦フレーム5の方向や角度等を調整するとともに保持することが含まれていることは、自明な事項と認められ、また、甲第2号証(刊行物1)記載の発明の「第1桟橋パネル8」、「筒状連結部1」、「第2桟橋パネル8」、「縦フレーム5」、「ワイヤ一14」、「鋼管10」は、本件請求項1に係る発明の「桟橋完成部分」、「杭頭固定用管」、「桟橋未完成部分」、「主桁」、「線材」、「管状杭」に相当するから、両者は、「桟橋完成部分から、杭頭固定用管が予め設置された延長すべき桟橋未完成部分の主桁を片持ち状に張り出し、当該桟橋未完成部分の主桁に沿うように当該桟橋未完成部分の主桁の張り出し先端部と桟橋完成部分との間にかけ渡された線材によって当該桟橋未完成部分の主桁を調整するとともに保持し、前記桟橋未完成部分の主桁に設置された杭頭固定用管を介して管状杭を杭打ちする杭式桟橋施工方法。」である点で一致し、
線材による桟橋未完成部分の主桁の調整・保持を、本件請求項1に係る発明は、線材を桟橋未完成部分の主桁とほぼ並行になるようにして張力調整することによってなしているのに対し、甲第2号証(刊行物1)記載の発明は、桟橋未完成部分の主桁の張り出し先端部と桟橋完成部分との間に柱状構造物を介してかけ渡された線材によりなしている点、で相違している。
また、甲第3号証〜甲第6号証及び刊行物2、3のいずれにも、上記相違点における本件請求項1に係る発明のようにした技術事項は記載されていない。
そして、本件請求項1に係る発明は、上記相違点における技術事項を構成要件とすることにより、「線材の張力調整によって主桁の・・・歪みをも調整することが可能となるから、更にその分だけ杭打ち精度が向上し、これにより手間や時間,あるいは高所作業を大幅に低減することが可能となる。」(本件特許明細書の段落【0027】参照)(なお、該記載中の「歪み」の調整に関し、段落【0012】等には「この歪みの調整は、単に主桁を線材で吊るすだけの構造では到底達成できない。」とある。)という上記甲第2号証(刊行物1)〜甲第6号証及び刊行物2、3記載の発明からは期待できない作用効果を奏するものと認められる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第2号証(刊行物1)記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができないばかりでなく、上記甲第2号証(刊行物1)〜甲第6号証及び刊行物2、3記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることもできない。

(本件請求項2に係る発明について)
本件請求項2に係る発明と甲第2号証(刊行物1)記載の発明とを比較すると、甲第2号証(刊行物1)記載の発明の「第1桟橋パネル8」、「筒状連結部1」、「第2桟橋パネル8」、「縦フレーム5」、「鋼管10」は、本件請求項2に係る発明の「桟橋完成部分」、「杭頭固定用管」、「桟橋未完成部分」、「主桁」、「管状杭」に相当するから、両者は、「桟橋完成部分から、杭頭固定用管が予め設置された延長すべき桟橋未完成部分の主桁を片持ち状に張り出し、当該桟橋未完成部分の主桁を調整するとともに保持し、前記桟橋未完成部分の主桁に設置された杭頭固定用管を介して管状杭を杭打ちする杭式桟橋施工方法。」である点で一致し、
桟橋未完成部分の主桁の調整・保持が、本件請求項2に係る発明は、桟橋未完成部分の主桁の張り出し先端部とその下方の地形との間に仮設杭を架設することによってなしているのに対し、甲第2号証(刊行物1)記載の発明は、桟橋未完成部分の主桁の張り出し先端部と桟橋完成部分との間に柱状構造物を介してかけ渡されたワイヤーにより設計位置に保持している点、で相違している。
しかしながら、刊行物2、3に記載の「レグ或いはレッグ」は一種の仮設杭であるということができ、「杭打ち等の作業口を備えた作業台を仮設杭を架設することによって所定位置に調整・保持すること」は、刊行物2、3に記載されていると認められ、本件の出願前、周知技術にすぎないといえる。
そうしてみると、本件請求項2に係る発明の上記相違点における技術事項は、上記周知技術に基づいて甲第2号証(刊行物1)記載の発明の桟橋未完成部分の主桁の調整・保持に関する技術手段を設計変更することで当業者が容易に想到できたものである。
また、本件請求項2に係る発明の効果も、甲第2号証(刊行物1)記載の発明及び上記周知技術から予測できる程度のものであって格別のものは認められない。
したがって、本件請求項2に係る発明は、本件の出願前に頒布されたことが明らかな刊行物1記載の発明及び上記周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

(本件請求項3に係る発明について)
本件請求項3に係る発明の構成要件となっている「杭式桟橋に用いられる主桁の配置方向に対して、管状杭の杭打ちに用いられる杭頭固定用管の向きを自在に調整できるように、当該主桁と杭頭固定用管とを周方向に回転可能な二重管構造で接続すること。」は、甲第2号証(刊行物1)に記載されていないばかりでなく、甲第3号証〜甲第6号証及び刊行物2、3のいずれにも、記載されていない。
そして、本件請求項3に係る発明は、上記技術事項を構成要件とすることにより、「杭頭固定用管と主桁との向きを調整することによって、主桁とそれを支持する杭との種々の角度設定に対応でき、部品の種類を低減し、コストを低廉化することができる。」(本件特許明細書の段落【0029】参照)という優れた作用効果を奏するものと認められる。
したがって、本件請求項3に係る発明は、甲第2号証(刊行物1)記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができないばかりでなく、上記甲第2号証(刊行物1)〜甲第6号証及び刊行物2、3記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることもできない。

(本件請求項4に係る発明について)
本件請求項4に係る発明は、本件請求項3に係る発明を引用するものであるから、上記「(本件請求項3に係る発明について)」において判断したとおり、本件請求項4に係る発明についても、甲第2号証(刊行物1)記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができないばかりでなく、上記甲第2号証(刊行物1)〜甲第6号証及び刊行物2、3記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることもできない。

6 むすび
以上のとおりであるから、本件請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件請求項2に係る発明の特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
そして、特許異議の申立の理由によっては、本件請求項1、3及び4に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、3及び4に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-04-05 
出願番号 特願平10-283463
審決分類 P 1 651・ 121- ZC (E02D)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 赤木 啓二横井 巨人  
特許庁審判長 嶋矢 督
特許庁審判官 中田 誠
伊波 猛
登録日 2000-03-10 
登録番号 特許第3043320号(P3043320)
権利者 斎藤 恭司 株式会社高知丸高 豊和スチール株式会社
発明の名称 杭式桟橋施工方法及び杭式桟橋構造  
代理人 藤田 邦彦  
代理人 福田 進  
代理人 富田 幸春  
代理人 藤田 邦彦  
代理人 藤田 邦彦  
代理人 福田 進  
代理人 福田 進  

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