• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A47L
管理番号 1062000
審判番号 訂正2001-39193  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-02-13 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-10-24 
確定日 2002-05-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3207201号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3207201号に係る明細書本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.本件訂正審判に係る特許第3207201号(以下「本件特許」という。)は、平成5年6月24日の出願であって、平成13年5月29日付けで特許査定がされ、平成13年7月6日に特許権の設定の登録がされたものである。

2.本件訂正審判は、明細書中の発明の名称「二重サイクロン式真空掃除機」を「真空掃除機」と訂正するものである。
そこで、上記訂正事項について検討すると、この訂正は、特許法第126条第1項第3号の「明りようでない記載の釈明」に該当し、同条第2項及び第3項に規定する訂正の要件にも適合するものと認められる。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
真空掃除機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】空気流通路によって清浄空気排出口に連結された汚染空気吸入口(12,14)と、上記空気流通路に配設されたサイクロン(18)であって、使用時に、上記汚染空気吸入口(12,14)から上記清浄空気排出口への上記空気流通路に沿った空気の流れが該サイクロンを通り抜けるようにされたサイクロン(18)とを備え、上記汚染空気吸入口(12,14)の下流には、漏出した大気からの空気を上記サイクロン(18)に導入してそこにおける空気の流れを維持するための少なくとも一のブリーダーバルブ(20)が備えられ、上記または各ブリーダーバルブ(18)は、使用時に、上記空気流通路に沿った空気の流れの圧力が所定の水準に落ち、またはそれ以下となったとき、あるいは上記清浄空気排出口における、またはそれに隣接した空気中の粉体の量が所定の水準を超えたときに作動可能とされていることを特徴とする真空掃除機。
【請求項2】上記少なくとも一のブリーダーバルブ(20)が、上記サイクロン(18)の上流の上記空気流通路の壁に配設されている請求項1に請求された真空掃除機。
【請求項3】2つのサイクロン(16,18)が上記空気流通路に連続して配設され、上記ブリーダーバルブ(20)が上記2つのサイクロン(16,18)の間に配設されている請求項2に請求された真空掃除機。
【請求項4】複数のブリーダーバルブ(20)が互いに隣接して備えられている請求項1から3のいずれか一に請求された真空掃除機。
【請求項5】上記ブリーダーバルブ(20)が互いに実質的に同一である請求項4に請求された真空掃除機。
【請求項6】3つのブリーダーバルブ(20)が互いに隣接して備えられた請求項4または5に請求された真空掃除機。
【請求項7】上記または各ブリーダーバルブ(20)がバネ加重されている上述の請求項のいずれか一に請求された真空掃除機。
【請求項8】上記ブリーダーバルブ(20)の有効範囲、または上記ブリーダーバルブ(20)の合計有効範囲が120mm2と150mm2との間である上述の請求項のいずれか一に請求された真空掃除機。
【請求項9】上記ブリーダーバルブ(20)の有効範囲、または上記ブリーダーバルブ(20)の合計有効範囲が実質的に132mm2である請求項8に請求された真空掃除機。
【請求項10】上記または各ブリーダーバルブ(20)が扉(78)を備え、この扉は、使用時において該ブリーダーバルブ(20)を通って漏出される空気の流れが制限される第1の位置と、使用時において該ブリーダーバルブ(20)を通って漏出される空気の流れが、該扉(78)が上記第1の位置にあるときよりも、より少ない量に制限される第2の位置との間を移動可能とされている上述の請求項のいずれか一に請求された真空掃除機。
【請求項11】上記扉(78)の位置が、上記サイクロン(18)の空気の流れの圧力に応じて制御される請求項10に請求された真空掃除機。
【請求項12】上記扉(78)の位置が、上記サイクロン(18)から排出される空気中の粉体の集中度に反応する手段(94)によって制御される請求項10または11に請求された真空掃除機。
【請求項13】上記または各ブリーダーバルブ(20)は、上記空気流通路の圧力が、10mmと15mm径との間の有効オリフィスに相当する空気の流れにより生じる圧力、あるいはそれ以下であるときに開くように設計されている上述の請求項のいずれか一に請求された真空掃除機。
【請求項14】上記または各ブリーダーバルブ(20)は、上記空気流通路の圧力が、13mm径の有効オリフィスに相当する空気の流れにより生じる圧力、またはそれ以下であるときに開くように設計されている請求項13に請求された真空掃除機。
【請求項15】上記清浄空気排出口における、またはそれに隣接した空気中の粉体の量が、上記サイクロン(18)の下流に備えられたセンサー(94)によって決定される請求項1から12のいずれ一に請求された真空掃除機。
【請求項16】上記センサー(94)が光源(96)と探知機(98)とを備えている請求項15に請求された真空掃除機。
【請求項17】連続して配設された第1および第2のサイクロン(16,18)を有するサイクロン式真空掃除機の操作の方法であって、
a)汚れた空気を上記第1のサイクロン(16)に収容し、
b)上記第1のサイクロン(16)において上記汚れた空気を部分的に清浄化して一部濾過された空気をなし、
c)上記一部濾過された空気を上記第1のサイクロン(16)から上記第2のサイクロン(18)に導入し、
d)さらに上記第2のサイクロン(18)において上記一部濾過された空気を清浄化して、より清浄な空気をなし、
e)上記より清浄な空気を上記第2のサイクロンから排出する
行程を備え、
上記一部濾過された空気に加え、上記より清浄な空気における粉体の減少のため、漏出する空気を上記第2のサイクロン(18)に収容することを特徴とする真空掃除機の操作方法。
【発明の詳細な説明】
本発明は、真空掃除機に係わり、特に限定されはしないが2重サイクロン式真空掃除機に関するものである。
二重サイクロン式真空掃除機は、空気流通路によって清浄空気排出口に連結された汚染空気吸入口を備え、二つのサイクロンがこの空気流通路に連続して配設されている。使用時には、汚染空気吸入口から清浄空気排出口に向けて空気流通路に沿った空気の流れが、2つのサイクロンのうちの一つ目を通り抜け、続いて2つのサイクロンのうちの二つ目を通り抜ける。第1のサイクロンは、空気の流れから比較的大きな微片を除去するように設計された「低効率」サイクロンである一方、第2の「高効率」サイクロンは、空気の流れから細かい粉塵を除去するように設計されている。これらの特徴を有する真空掃除機は、他の公知の真空掃除機に比べてより高い度合いで汚れやごみの少ない空気を排出する。この種の真空掃除機の例としては、公表されたヨーロッパ出願0489565号やヨーロッパ特許0042723号および0134654号が知られている。
もう一つの二重サイクロン式真空掃除機の利点は、集塵容器が、その大きさおよび剛性により、詰まるようなことがほとんどないことにある。とはいえ、ホースや竿棒に取り付けられるクリーナーヘッドや治具の形状によっては、汚染空気吸入口が多かれ少なかれ塞がれることがあるのは避けられない。当然、これは空気流通路の沿った空気の流れを低減する。しかしながら、単一サイクロン式真空掃除機では、同じように操作しても、サイクロンを通る空気量が減少すると非効率的となる単一のサイクロンが使用されているだけである。
真空掃除機の空気流量は、様々なオリフィスの寸法によって測定される。流量は、50mm径の有効オリフィス寸法に始まり、0径で0に減じられる。それ故、提供されたどのような装置のどのような流量においても、それに相当する「有効オリフィス」寸法がある。実際には、典型的なホースまたは竿棒を通して用いられる真空掃除機は、全開とされた際に32mm径の有効オリフィス寸法を有している。クリーナーヘッドを通してカーペット上で操作する真空掃除機は、約19mm径の有効オリフィス径を有している。竿ハンドルの端部で使用される裂け目用治具は、約15mm径の有効オリフィス寸法を有する。従って、真空掃除機は、その通常の使用範囲において、15mm径から32mm径のオリフィスを通って得られるのと同等の空気の流れを取り扱わなければならないことが分かる。
通常の使用で達せられるこれらの流量のすべてにおいて、二重サイクロン式真空掃除機の第2のサイクロンは、細かなごみの分離を良好な水準で維持する。とはいえ、第2のサイクロンを通る空気流量が、13mm径の有効オリフィス寸法におけるそれより低く減じられると、第2のサイクロンによる分離効率が低減されることが見受けられる。これは、例えば空気流通路のいずれかの位置で生じる閉塞のような多数の事柄により、あるいは空気吸入口に使用者が手や他のものを当てたりすることにより引き起こされる。さらに、第2のサイクロンの効率は、脈動状態において流れが遮られたり、クリーナーヘッドを通しての吸引において掃除すべき面に対し、部分的または完全にクリーナーヘッドそれ自体が封鎖されたりした場合にも低減される。同様の問題は、単一サイクロン式真空掃除機のサイクロンを通しての空気の流れが低減したときにも発生する。
サイクロン式真空掃除機特有の設計によれば、サイクロン式真空掃除機から排出される空気は実質的にごみを含まず、実際にも袋や他のフィルター手段を用いた真空掃除機から放出される空気よりも清浄である。とはいえ、特定の操作状況の下においては、サイクロン式真空掃除機でも、要求される量よりも多くの細かい粒子状物質を放出することがある。例えば、真空掃除機が、特に大量に集中した細かい粒子状物質を吸い上げると、細かい粒子状物質の一部は2つのサイクロンを通り抜けて、第2のサイクロンから放出されることがある。これは、結果として部屋に細かいごみ塵の堆積を生じさせることとなる。また、フィルターを通った排出空気は、モーターの冷却のためにモータハウジングに通される。ここで、排出空気が時として要求される量よりも多くの細かな粒子状物質を含んでいると、モーターには細かな粒子状物質が蓄積されて、モーターの予定された寿命を短縮することになる。
それ故、本発明の目的は、真空掃除機の空気の流れが13mmの有効オリフィス寸法における流量より低い流量になったときでも、第2のサイクロンにおけるごみの分離を高い水準で維持することにある。また、本発明の他の目的は、汚染空気吸引口を通ってのすべての空気流量において、良好な分離水準を維持するサイクロン式真空掃除機を提供することにある。
本発明によれば、空気流通路によって清浄空気排出口に連結された汚染空気吸入口を備え、上記空気流通路にはサイクロンが、使用時に、上記汚染空気吸入口から上記清浄空気排出口に向けての上記空気流通路に沿う空気の流れが該サイクロンを通る抜けるように配設されており、少なくとも一のブリーダーバルブが、上記汚染空気吸入口の下流に、漏出した空気を上記サイクロンに導入してそこにおける空気の流れを維持するように備えられ、上記または各ブリーダーバルブは、使用時において、上記空気流通路に沿う空気の流れの圧力が所定の水準、あるいはそれ以下になったとき、あるいは上記清浄空気排出口における、またはそれに隣接した空気中の粉体の量が所定の水準を超えたときに作動可能とされていることを特徴とする真空掃除機が提供される。上記ブリーダーバルブは、上記サイクロンにおける空気流量を維持するように操作され、従ってそこにおける効率的なごみの分離を保持する。
上記少なくとも一のブリーダーバルブは、サイクロンの上流の空気流通路の壁に配設されるのが有利である。代わりに、上記少なくとも一のブリーダーバルブを、吸入口に隣接したサイクロンの壁に配設してもよい。
好ましくは、2つのサイクロンが空気流通路に連続して配設され、ブリーダーバルブは2つのサイクロンの間に配設される。この配置は、第2のサイクロンの効率が維持されることを図っている。
複数のブリーダーバルブが備えられるのが有利であり、好ましくは3つである。この配置によれば、汚染空気吸引口からの空気の流れが単一の段階で実質的に減少しないため、漏出した空気は増加して真空掃除機の空気の流れに導入される。発生するどのような減少も、漏出する空気の増加する導入によって増加せしめられる。
すべてのブリーダーバルブは互いに実質的に同じである。すなわちそれらが同じ有効範囲を有し、同じ圧力条件で開くように設計されていることが望ましい。これにより、漏出した空気がサイクロンに導入されない状態から、すべての空気が漏出してサイクロンに導入される状態への段階的な移行が満足される。この移行が段階的であることは、竿棒の端部の治具を通しての、あるいはクリーナーヘッドを通しての清掃が維持されることや、きわめて閉塞されうる状態である最後のバルブが稼働する位置への清掃ですら許容する。
上記または各ブリーダーバルブは、空気流通路における圧力が、10mmと15mm径の間、またはそれ以下の有効オリフィスに相当する空気の流れにより提供される圧力の時に開くように設計されるのが望ましい。より好ましくは、上記または各ブリーダーバルブは、空気流通路の圧力が、13mm径または以下の有効オリフィスに相当する空気の流れにより提供される圧力の時に開くように設計される。これにより、13mm径の有効オリフィスに相当する空気の流れがサイクロン内に維持されることが確実となり、従って確実に分離効率が維持される。
上記または各ブリーダーバルブがバネ加重され、また上記または各ブリーダーバルブの有効範囲、または総合有効範囲が120mm2と150mm2の間、好ましくは実質的に132mm2で、すなわち13mm径の有効オリフィスの範囲であれば、有利である。
少なくとも13mm径の有効オリフィス径の空気の流れを維持することにより、掃除機のモーターを冷却するに十分な空気の流れが確保されることは特筆すべきである。これは、モーターのオーバーヒートの危険性が最小限にされることを意味する。さらに、十分な分離を達する空気の流れの維持は、モーターへの損傷の実質的な危険性がないことを意味する。
選択される実施例においては、当該真空掃除機は、該真空掃除機が例えば細かい粒子が大量に集中するところを掃除する時に漏出する空気の流れの増加を許容するように、第2のサイクロンへの漏出した空気の流れを制御するための、単一のブリーダーバルブの寸法を変化させる調整手段をも含むようにしてもよい。上記調整手段は、可動的に取り付けられた扉を備えるのが有利である。この扉は、ブリーダーバルブを通って漏出する空気の流れをそれが制限する第1の位置と、該扉が第1の位置にあるときよりも少ない範囲に、ブリーダーバルブを通って漏出する空気の流れを該扉が制限する第2の位置との間で可動される。上記第1の位置から第2の位置に向けて上記扉を移動させるのに、サイクロン内の圧力が減少するのに対して、扉を取り付ける手段も備えられ得る。さらに、サイクロン内の圧力が低減すると第2の位置に向けて扉が動いてサイクロンへの漏出した空気の流れが増大するのを許容するように、扉を第1の位置に偏移させる手段もまた備えられ得る。
さらに選択される実施例においては、当該真空掃除機は、排出される空気内の粒子の量を感知し、それを表示する出力をなすための、排出口に連結された感知手段を含むようにしてもよい。また当該真空掃除機は、上記感知手段と扉との間に連結された制御手段を有することもでき、この制御手段は、排気における粒子の量の増大が探知されたときにサイクロンへの漏出する空気の流れの増大を許容するように扉を操作するための出力信号に反応する。
本発明によれば、連続して配設された第1および第2のサイクロンを有するサイクロン式真空掃除機の操作の方法も提供される。この方法は、汚れた空気を第1のサイクロンに収容し、第1のサイクロンでこの汚れた空気を部分的に清浄化して一部濾過された空気をなし、さらにこの一部濾過された空気を第1のサイクロンから第2のサイクロンに導くことを含む。この一部濾過された空気はさらに第2のサイクロンで清浄化されてより清浄な空気とされ、第2のサイクロンから排出される。一部濾過された空気に加え、より清浄な空気における粒子の減少のため、漏出した空気が第2のサイクロンに収容される。
漏出した空気を第2のサイクロンに供することが第2のサイクロンからの排出における粒子の放出を減じることが分かる。法則によって制限されることなく、細かい粒子の大量集中によってや、閉塞され、あるいは部分的に封じられた吸引が始まり、また終わるときに生じる脈動が妨害されることによって、あるいは他の妨害によって生じるサイクロンの動作への障害を、漏出した空気が多分に減ずることが確信される。従って、たとえ当該真空掃除機が粒子が大量に集中したところの掃除に使われたり、掃除すべき面に係わって部分的あるいは全体的に閉塞された吸引状態を生じたりしたとしても、該真空掃除機からの粒子の放出は大幅に低減される。
本発明の実施例が、添付の図面を参照してここに記載される。
図1aは本発明を適用した二重サイクロン式真空掃除機の第1実施例の第1の位置における側面図である。
図1bは、代わりの位置における図1aに示された掃除機の側面図である。
図2は、図1aおよび1bに示された掃除機の部分を形成するサイクロン部材の上部の透視図である。
図3は、本発明の部分を形成するブリーダーバルブを通った拡大断面図である。
図4は、本発明を適用した二重サイクロン式真空掃除機の第2実施例のハウジングの透視図である。
図5は、第3実施例の横断面図である。
図6は、第4実施例に関係する構成図である。
典型的なサイクロン式真空掃除機が、その非操作位置において図1aに示されている。この真空掃除機は、クリーナーヘッド12と、竿棒として使用する際に取り外し可能なハンドル(汚染空気吸入口)14とを有する本体10を備えている。竿棒のための様々な治具や付属物が用意されるが、図示はされていない。ハンドル14を取り外す手段や、空気の流れをハンドル(汚染空気吸入口)14やクリーナーヘッド(汚染空気吸入口)12から向ける手段については、本発明の要旨ではなく、他の特許および出願に記載されているので、ここでは説明されていない。
本体10は、第1のサイクロン16と第2のサイクロン18とを備えている。第1のサイクロン16は、送通する空気の流れから比較的大きな粉体を取り除くように設計された「低効率」サイクロンである。第2のサイクロン18は、空気の流れから細かい粉塵を取り除くための「高効率」サイクロンとして設計されている。使用時には、真空掃除機が図1aに示される、「シリンダー」形態の位置にあるときには、汚染空気吸入口は、取り外されて竿棒として使用されるハンドル14のノズルによって形成される。空気の流れは、この汚染空気吸入口から第1の低効率サイクロンに向かい、続いて第2の高効率サイクロンに、そして排出口(図示略)を介して大気中に放出される。通常は、空気の流れは、放出される前に、冷却効果を与えるためにモーターを通るように向けられる。掃除機が図1bに示される「直立」形態において使用されるときは、汚染空気吸入口はクリーナーヘッド12により形成され、空気の流れはそこから第1のサイクロンへ向かい、その後第2のサイクロンを介して清浄空気排出口へ向かう。
導入部において触れておくと、汚染空吸入口12、14において、第2のサイクロンを通った空気の流れが13mm径の有効オリフィスまたはそれ以下となるような範囲の閉塞が生じたとき、第2のサイクロンの粉塵分離効率が低下することが見受けられる。それ故ブリーダーバルブ20が、第1のサイクロンからの出口と第2のサイクロンの入り口との間の空気流通路の壁に配置されている。ブリーダーバルブ20の配置は図2に示されている。空気の流れは、入り口22を介して第1のサイクロン16に流入し、網状スクリーン24を介して第1のサイクロンから流出する。空気は、第2のサイクロン18に流入口26に上昇して通り、ブリーダーバルブ20が位置しているのはこの流入口26の直前である。
空気流通路の壁には、3つのブリーダーバルブ20が配置されている。各ブリーダーバルブ20は、図3において大きく拡大された横断面に示されている。各バルブ20は、固定円盤34によりゴムワッシャー32が取り付けられたバルブ本体30を備えている。固定円盤34にゴムワッシャー32の穴を通り抜け、バルブ本体の穴36に係合している。勿論、代わりの固定手段を用いることもできる。空気流通路壁38とバルブ本体30に配されたフランジ40との間で、エアブリーダーバルブスプリング42が動作する。スプリング42は、ゴムワッシャー32が空気流通路壁38の穴の縁に当たって密封した状態を維持するように、空気流通路壁38から離れるようにフランジ40を押圧する。スプリング42の動作と組み合わされた空気流通路の内側(すなわち、図3に示される空気流通路壁の右側)の圧力が、図3に示す位置にバルブ本体を保持するに十分な間は、この状態で勝っている。しかしながら、空気流通路の圧力が十分でなくなると、空気流通路の外側のバルブ本体に働く圧力が、スプリング42の動作に抗して図3に示される右側にバルブ本体を動かすことによりバルブ20を開くに十分となり、それによってバルブ20が開放する。そして、空気流通路の外側(すなわち、大気)からの空気が空気流通路に漏出する。
上述した配置は好適ではあるが、ブリーダーバルブ20を第2のサイクロンの壁に流入口26に隣接して配置することも等しく可能である。この場合には、例えば遮蔽板(図示略)により、漏出した空気が接線方向において第2のサイクロンに確実に流入するような手段を設けなければならない。
3つの実質的に同一なブリーダーバルブ20を第2のサイクロン18の直前の空気流通路壁に配することは、大気中の空気の空気流通路への段階的な漏出を促すことが分かる。空気流通路の圧力が閾圧以下に落ちると、第1のブリーダーバルブ20が開き、モーターの吸引動作に起因する循環圧力よりは未だに小さくはあるものの、空気流通路の圧力が上昇する。汚染空気吸入口からの空気の流れが減少し続けたとすると、汚染空気吸入口からの空気の流れと第1のバルブから漏出した空気とを合わせた圧力が、残りのバルブの閾圧に達したときに、第2のバルブが開く。さらに再び、上記の合わせた圧力がその後に減少すると、汚染空気吸入口と二つの開いたバルブとからの空気の流れとを合わせた圧力が閾圧より落ちたときに第3のバルブのみが作動させられ、それにより第3のバルブが開くように促される。これによれば、漏出する空気の漸進的な増加が達成される。これにより、たとえ空気が第2のサイクロンに漏出しても、汚染空気吸入口における清浄効果が確実に維持される。加えて、第2のサイクロンにおける空気の流れが維持され、そこを通り抜ける空気が効率的に粉塵から分離される。この第2のサイクロンらの空気は、冷却効果を提供するためにモーターの表面を通り過ぎるようにさせることもできる。
3つのブリーダーバルブの各々が同様の有効範囲を有していれば、有利であることが分かる。理想的には、3つのバルブを合わせた有効範囲は、ブリーダーバルブが作動するべき部分の空気の流れの有効オリフィスの範囲に相当するべきである。従って、ブリーダーバルブが13mm径の有効オリフィスの空気の流れにおいて作動するようになされていれば、上記バルブを合わせた総有効範囲は合計132mm2となる。しかしながら、バルブが14mm径の有効オリフィスに相当する空気の流れにおいて作動するようになされていれば、ブリーダーバルブは合わせて154mm2の有効範囲を有するべきである。この有効範囲は、配置されたブリーダーバルブの数により均等に分割されるべきであり、3つのブリーダーバルブが設けられていれば、それぞれに51mm2の有効範囲を有するべきであるが、4つのブリーダーバルブが設けられていれば、それぞれに38mm2の有効範囲を有するべきである。各ブリーダーバルブの有効範囲と作動範囲とは同じではないことは、記すべきことである。ブリーダーバルブの作動範囲は、バルブ穴の近くのバルブ本体の存在により制限される。従って、ブリーダーバルブの有効範囲は、少なからず穴の作動範囲よりも小さくなることとなる。
第2のサイクロンへの流入口の直前の空気流通路の壁に、いくつのブリーダーバルブを配置しようとも、本発明のこの趣旨の範囲となる。設けられるブリーダーバルブの数が多くなるほど、空気流通路に導入される漏出した空気の増加する段階が小さくなるのは、明らかである。これにより、漏出する空気のより漸増的な導入が図られるが、コストおよび保守の負担もまた増大することとなる。このため、好ましいブリーダーバルブの数は3つである。また、ブリーダーバルブを通り抜ける空気は既に第1のサイクロンを通り抜けていて、汚れた空気に混入した大きな粉塵のすべてが取り除かれているので、汚染空気吸入口から真空掃除機に導入された埃や浮遊粉体によってブリーダーバルブ自体が閉塞を生じるような危険性は、きわめて少ない。
真空掃除機が操作される特定の条件によっては、様々な量の漏出空気が要求されることは、考慮されることである。例えば、当該真空掃除機が、吸い上げるべき粉塵の集中の少ない範囲や、部分的あるいは全体的に閉塞された吸引が生じないような表面または範囲において操作されるのであれば、漏出空気はより少なく、あるいは選択的には空気が漏出しないような状態が要求されることもある。これに対して、図4、5、および6に示されるように、当該真空掃除機は、ブリーダーバルブ76の寸法を可変させる手段、およびこれに従って第2のサイクロンに通る漏出空気の量を制御する手段を備えることもできる。
図4に示す実施例では、外側サイクロンケーシング70に扉78が備えられている。扉78は、その一端にハンドル80を備えている。扉78は、旋回軸82によって外側サイクロンケーシング70に可動的に装着され、閉鎖位置と開放位置との間を移動可能とされている。扉78は、閉鎖位置にあるときにブリーダーバルブ76を完全に覆い、それによって第2のサイクロン18にブリーダーバルブ76を通って空気が漏出して流入するのが防止されるような大きさとされている。
図4においては、扉78は部分的に開放された位置にある。吸引の間、作業者は、真空掃除機が細かい粉塵が大量に集中したところを吸引する際に、漏出する空気の流れを増加させるように、完全に閉鎖した位置から部分的に開放した位置へ、または部分的に開放した位置から完全に解放した位置へと扉78を手動で調節することができる。選択的に作業者は、大量に吸引するために扉78を全開位置のままとすることを選択することもできる。
ブリーダーバルブ76は、第2のサイクロン18の圧力が減少した際に扉78を自動的に開放する手段を備えるようにしてもよい。そのような圧力の減少は、完全に、あるいは部分的に閉塞された吸引状態が生じたときに起こりうる。このような自動的な手段の例が、図5に示された選択的な好ましい実施例に図示されている。今一度説明すると、ブリーダーバルブ76は、閉鎖位置にあるときにブリーダーバルブ76を完全に覆って、それにより通常の吸引状態の間の第2のサイクロン18へ空気が漏出して流入するのを防ぐ扉78を備えている。また、扉78を閉塞位置に偏移させる手段が備えられている。従って、扉は第2のサイクロン18の圧力が減少した際に開放位置に向けて動き、それにより要求される第2のサイクロンへの漏出した空気の流れが増大するのを許容する。
図5に示されるように、第1の端部88と、第2の端部890と、第1のタブおよび第2の端部の間に延びる腕92とを有する部材が具備されている。第1の端部88は外側サイクロンケーシング70の内周面68に固定的に取り付けられている。第2の端部90は、扉78の後面84に固定的に取り付けられている。腕92は、図5に示すように扉78を閉塞位置に偏移せしめる如何なる材質からも形成される。例えば、腕92は、弾性材料から形成されたり、板バネのようなバネ手段に結合されたりする。
操作時に、第2のサイクロン18内の圧力が減少すると、扉78への内向きの力が扉78に部材86により作用する外向きの力よりも大きくなる点に空気流通路62内の吸引圧力が減少し、それにより扉78が閉塞位置から内側にずれて離れ、これにより第2のサイクロンへの空気の漏出が許容される。第2のサイクロン内の圧力が増加すると(要求される圧力以下のままでも)、部材86からの外向きの力が吸引圧力よりも大きくなる一つの点に吸引圧力が十分に増大し、扉78が閉塞位置に移動する。
さらに選択的な実施例においては、扉78は、第2のサイクロンの空気排出口から排出される粉体の量に応じて第2のサイクロン18への空気の漏出を許容するように、自動的に制御されてもよい。図6に示すように、センサー94が空気排出孔54に備えられている。センサー94は、第2のサイクロンからの排気中の粉体の量を感知する。これに応じて、センサー94は光源96(例えば、発光ダイオード)およびフォトダイオードを用いうる探知機98を備えている。孔54の粉体の量が増加すると、光源96から生じた光の一部が粉体に反射してフォトダイオード98に探知される。フォトダイオード98からの信号は、処理されて増幅され、第2のサイクロンからの排気中の粉体の量を示す出力信号100として出力される。この出力信号100は扉作動器102に伝えられる。扉作動器102には、出力信号100を受信して、一定の受信した出力信号100に対して所定量だけ扉78を動かすことができる適当な手段が用いられる。扉作動器102は100ボルト電源や、他の一般的に利用可能な動力供給源に連結される。軸104が扉作動器と扉78とを連結するように備えられている。図6に示すように、軸104は一端が扉作動器102に、他端が扉78の後面84に連結されている。
操作時に、第2のサイクロンからの放出粉体の水準が増大すると、孔54内の粉体の水準も増大する。これが、探知機98により探知される光源96からの光の反射の増大を引き起こし、一定の出力信号100を生じる結果となる。出力信号100は、排出空気中の粉体の水準を示す。この信号は、扉作動器102に伝えられ、この出力信号に対応して、ブリーダーバルブ76を通って漏出される空気の流れを扉が制限する第1の位置から、扉がブリーダーバルブ76を通して漏出される空気の流れをより少ない量へと限定する第2の位置へと、扉78の移動が生じ、これにより、排出空気内に探知される粉体の量の増加に対応して第2のサイクロンへの漏出空気の流れの増大が許容される。
より簡略な機構を使うとすれば、センサー94は単一の出力信号を出力する。所定の限度以上の粉体放出の水準が孔54内において探知されたときは、この出力信号に応じて閉塞位置から完全解放位置へと扉作動器102が扉78を移動さしめる。代わりに、より複雑な機構においては、センサー94は、孔54内の粉体の水準を、線形あるいは異なる所望の関係に変換した出力信号を出力する。孔54内の粉体の水準が所定の水準以上に増大すると、変換された出力信号が出力される。この信号に応じて、扉作動器102は、閉塞位置から部分的に開放された位置へと、または部分的に開放された位置からより完全に開放された位置へと、孔54の粉体の水準に対応して扉78を動かす。それにより、孔54内での粉体放出物の増加または減少が探知されると、扉78は所定の量だけ開閉して、第2のサイクロンに流入する漏出した空気の実際の量を調節する。
本発明は、直立型、シリンダー型、タンク型、背負い型、手持ち型等を含む如何なる真空掃除機にも適用可能である。また、特に二重サイクロン式真空掃除機に関しての記載しかしてないが、本発明が単一サイクロン式真空掃除機や、あるいは2つより多くのサイクロンを有するサイクロン式真空掃除機にも適用可能であることは、当業者には明白なことである。もう一つのサイクロンが用いられる場合には、ブリーダーバルブは、必要や要求によりいずれか一つまたはそれ以上のサイクロンにおける空気の流れの維持に用いることができる。
 
訂正の要旨 本件訂正審判は、明細書中の発明の名称「二重サイクロン式真空掃除機」を「真空掃除機」と訂正するものである。
審決日 2002-05-02 
出願番号 特願平6-502159
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A47L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 井上 茂夫
岡本 昌直
登録日 2001-07-06 
登録番号 特許第3207201号(P3207201)
発明の名称 二重サイクロン式真空掃除機  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 志賀 正武  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ