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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1062088
審判番号 不服2001-20020  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-08 
確定日 2002-07-18 
事件の表示 平成11年特許願第166242号「遊技機」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月25日出願公開、特開2000- 24271]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成2年12月28日に出願した特願平2-409507号の一部を平成11年6月14日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1〜7に係る発明は、平成13年12月7日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜7に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】 遊技機を制御するための電子装置が設けられた遊技制御メイン基板と、表示状態が変化可能な可変表示装置とを含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置を制御する電子回路が設けられたサブ基板と、
前記遊技制御メイン基板を収容するための基板収容ボックス本体と該基板収容ボックス本体に取付けられて前記遊技制御メイン基板を覆う透明カバー体とを有する基板用収容体とを含み、
該基板用収容体は、前記遊技制御メイン基板を収容した状態で該遊技制御メイン基板全体を外部から視認可能でかつ合成樹脂で構成されており、
前記透明カバー体を前記基板収容ボックス本体に係止保持するための弾性嵌合係止部が前記透明カバー体の一部で構成されており、
前記弾性嵌合係止部は、前記透明カバー体の一側とそれに対向する他側との両側位置に形成され、
前記遊技制御メイン基板には、その表面と裏面とにグランドラインが形成されているとともに、前記両グランドラインが複数箇所で電気的に接続されていることを特徴とする、遊技機。」

2.引用刊行物に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平2-45079号公報)には、以下の発明が記載されている。
a.「弾球遊技機の裏面側に設けられた主として合成樹脂材料で形成された機構板と、少なくとも弾球遊技機の遊技盤に配設された電気的遊技装置と、該電気的遊技装置を制御するための回路基板と、該回路基板を包囲した導電性の回路基板ケースとを含む弾球遊技機であって、前記機構板は、該機構板の上部に遊技者に払出す賞品玉を貯留するための賞品玉貯留部材と、該賞品玉貯留部材の下部に賞品玉を整列させるための整列経路と、該整列経路の終端に入賞態様に基づいて所定数の賞品玉を払出すための賞品玉払出機構とを備え、前記回路基板は、その表面と裏面にグランドラインが形成されるとともに複数の取付孔が形成され、該複数の取付孔のうち予め定められた取付孔に前記グランドラインを延在させ、前記回路基板ケースには、前記複数の取付孔に対応して複数の導電性の取付部を一体に設け、該複数の取付部に回路基板を取付孔を介して止着し、前記グランドラインを延在させた取付孔と前記回路基板ケースの取付部を接続させて、回路基板のグランドラインと回路基板ケースとを導通させたことを特徴とする、弾球遊技機。」(特許請求の範囲)、
b.「第1図は、本発明に係る弾球遊技機の一例であるパチンコ遊技機300を示す...電気的遊技装置の一例である可変表示装置206が可変表示を開始し...そして、停止した可変表示装置206によって表示されている識別情報が予め定める所定の組合せ(たとえば777)となれば、大当り状態となり、電気的遊技装置の一例である可変入賞球装置208が開成してパチンコ玉が入賞可能な状態となる。」(第3頁左上欄第11行〜同頁右上欄第12行、第1図参照)、
c.「第4図は、前記遊技制御部2を示す分解斜視図である。遊技制御部2は、上ケース4および下ケース8からなる回路基板ケースと、その回路基板ケース内に収納される回路基板6とからなる。回路基板6は、基板本体16の表面と裏面にグランドライン40(第6図)を付設して構成されている。その回路基板6には、制御回路の主要部であるMPU,RAM44と、制御回路の主要部であるROM46とが取付けられている。さらに回路基板6には、種々の回路素子や電子部品等が取付けられている。...下ケース8は、導電性材料の一例の金属で形成されており、...なお、導電性材料としては、合成樹脂であってもよい。」(第4頁左上欄第11行〜同頁左下欄第4行、第4〜6図参照)、
d.「左右1対の側面板14b,14cには、取付孔32a,32b,32c,32d(32c,32dは図面上見えない)が穿設されており、この取付孔32a,32b,32c,32dと前記下ケース8に穿設された取付孔34a,34b,34c,34dとを位置合わせして連通状態とし、ビス止めすることにより、上ケース4と下ケース8とが一体的に固定され、その両ケース内に回路基板6を収納することが可能となる。」(第4頁右下欄第1〜9行、第4図参照)、
e.「図中、42は表と裏のグランドライン40を電気的に導通させるための導通孔であり、回路基板6に多数形成されている。この複数の導通孔42は、静電気によって発生した電圧が制御回路の主要部44,46に到達するまでに極力電圧降下を起こさせるためのものである。つまり、パチンコ玉との摩擦により流下樋カバー58が高電圧に帯電し、その流下樋カバー58と下面板26との間で放電が発生した場合に、その放電に伴う電流が取付部36aを通ってまず回路基板6の裏面側のグランドライン40に流れ込むのであり、この裏面側に流れ込んだ電流が前記制御回路基板の主要部44,46に到達するまでに、前記導通孔42を何度もくぐり抜けてグランドライン40の裏面と表面との間を何度も巡回し、それによって電圧が制御回路の主要部44,46に到達するまでに極力電圧降下を起こさせることができる。すなわち、この導通孔42は、取付部36aから制御回路の主要部44,46までの電流の流れる距離を極力長くする機能を有する。」(第5頁右下欄第6行〜第6頁左上欄第5行、第6図参照)、
以上の記載によれば、刊行物1には以下の発明が記載されているものと認められる。
「電気的遊技装置を制御するための電子部品が設けられた回路基板6と、識別情報が可変表示可能な可変表示装置206とを含み、該可変表示装置206の識別情報が予め定める所定の組合せになった場合に大当たり状態となる弾球遊技機であって、
前記回路基板6を収容するための下ケース8と該下ケース8に取付けられて前記回路基板6を覆う上ケース4とを有する回路基板ケースとを含み、
該回路基板ケースは、下ケース8が合成樹脂で構成されており、
前記上ケース4を前記下ケース8にビス止めすることにより固定し、
前記ビス止め部は、前記上ケース4の一側とそれに対向する他側との両側位置に形成され、
前記回路基板6には、その表面と裏面とにグランドライン40が形成されているとともに、前記両グランドライン40が複数箇所で電気的に接続されていることを特徴とする、弾球遊技機。」
同じく引用された刊行物2(実願昭62-14014号(実開昭63-122469号)のマイクロフィルム)には、以下の発明が記載されている。
f.「また、従来のパチンコ遊技機の電子部品を収納するケースは、遊技球の転動により生ずる静電気から電子部品を守るため、導電性を有する樹脂等で作られていた。すなわち、ケースは導電性をもたせるためにカーボンを含む樹脂で作られており、したがってケースは不透明の黒色をしている。このため、この点からも、従来の電子部品を収納するケースは外部からはケースの内部が見えないようにできている。」(第3頁第16行〜第4頁第4行)、
g.「遊技内容を制御するCPUやROM等の電子部品に施された封印の異状の有無や封印番号を、電子部品を収納ケースに収納したままで、ケースの外側から簡易に検査することができるパチンコ遊技機を提供することを目的とするものである。」(第4頁第16〜20行)、
h.「第1図は本考案の1実施例であるパチンコ遊技機の制御部の拡大斜視図である。第1図において、制御部3は後述する封印紙が貼られたCPUやROM等の電子部品と、その電子部品が配置されているプリント基板10と、電子部品やプリント基板を収納する上部蓋11aと底板11bとを有するケース11とを含む。12はケース11内部のプリント基板10に配置されたCPUやROM等に貼られた封印紙の異状の有無や封印番号を検査するために上部蓋11aに設けられた透明な観察窓である。」(第6頁第9〜19行)、
j.「尚、上記の本実施例では、上部蓋の一部にやや大きめの視察窓を設けたが、本考案はこれに限定されるものではなく、たとえば、封印を施した電子部品のみを検査することができるような小さなものでもよいし、反対に、上部蓋の上面全部を観察窓としたり、上部蓋全体を観察窓としてもよい。また、観察窓として使用する材質は、静電気を帯びない材質で、且つ透明な材質たとえば金属の粉を混ぜた導電性のある樹脂等が好ましい。」(第8頁第17行〜第9頁第5行)。

3.対比・判断
本願発明と刊行物1に記載された発明とを比較すると、
刊行物1記載の発明の「電気的遊技装置を制御するための電子部品が設けられた回路基板6」、「識別情報が可変表示可能な可変表示装置206」、「識別情報が予め定める所定の組合せになった場合」、「大当り状態」、「弾球遊技機」、「下ケース8」、「上ケース4」、「回路基板ケース」、「グランドライン40」が、
本願発明の「遊技機を制御するための電子装置が設けられた遊技制御メイン基板」、「表示状態が変化可能な可変表示装置」、「表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合」、「遊技者にとって有利な特定遊技状態」、「遊技機」、「基板収容ボックス本体」、「カバー体」、「基板用収容体」「グランドライン」にそれぞれ相当する。
したがって、両者は「遊技機を制御するための電子装置が設けられた遊技制御メイン基板と、表示状態が変化可能な可変表示装置とを含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態となる遊技機であって、
前記遊技制御メイン基板を収容するための基板収容ボックス本体と該基板収容ボックス本体に取付けられて前記遊技制御メイン基板を覆うカバー体とを有する基板用収容体とを含み、
前記遊技制御メイン基板には、その表面と裏面とにグランドラインが形成されているとともに、前記両グランドラインが複数箇所で電気的に接続されていることを特徴とする、遊技機。」である点で一致し、
次の点で相違する。
(A)本願発明では「可変表示装置を制御する電子回路が設けられたサブ基板」を有するのに対して、刊行物1に記載された発明では遊技制御メイン基板(回路基板6が相当)により可変表示装置を制御しているように、上記のような「サブ基板」を設けていない点。
(B)「基板用収容体」が、本願発明では「遊技制御メイン基板を覆うカバー体が透明カバー体であり、遊技制御メイン基板を収容した状態で該遊技制御メイン基板全体を外部から視認可能でかつ合成樹脂で構成」されているのに対し、刊行物1に記載された発明では基板用収容体の基板収容ボックス(下ケース8が相当)が合成樹脂で構成された点(前記記載c.より)について記載されているが、基板用収容体のカバー体(上ケース4が相当)が透明であるかどうか、合成樹脂で構成されているかどうかについては明らかでない点、及び、遊技制御メイン基板全体を外部から視認可能であるかどうかについては明らかでない点。
(C)「カバー体と基板収納ボック本体の保持部の構成」が、本願発明では「カバー体を基板収容ボックス本体に係止保持するための弾性嵌合係止部がカバー体の一部で構成されており、弾性嵌合係止部は、カバー体の一側とそれに対向する他側との両側位置に形成」されているのに対して、刊行物1に記載された発明では「カバー体を基板収容ボックス本体にビス止めすることにより固定し、ビス止め部は、カバー体の一側とそれに対向する他側との両側位置に形成」している点。
そこで、上記相違点について検討する。
相違点(A)について
「可変表示装置を制御する電子回路が設けられたサブ基板」を遊技機を制御する遊技制御メイン基板とは別体に設けることは、周知である(必要ならば、特開平1-201286号公報、特開平2-124189号公報参照。)から、刊行物1に記載の発明において、遊技制御メイン基板から、遊技機の制御部分の一部である可変表示装置の制御部分を分割して別体のサブ基板とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
相違点(B)について
刊行物2には、電子部品を収納ケースに収納したままでケースの外側から簡単に検査することができるようにするために、基板用収容体のカバー体(上部蓋11aが相当)全部を透明な樹脂で構成し、遊技制御メイン基板(プリント基板10が相当)を収容した状態で、基板用収納体は遊技制御メイン基板を外部から視認可能に形成された点(前記記載f、g、h、jより)が記載されているから、刊行物1に記載の発明のカバー体(上ケース4が相当)を透明な樹脂で構成することは当業者が容易になし得るものであって、基板用収容体に収容されている遊技制御メイン基板の裏側も検査することが必要な場合、遊技制御メイン基板全部が外部から視認可能とすることは当業者が適宜なし得る設計的事項である。
相違点(C)について
「カバー体を基板収容ボックス本体に係止保持するための弾性嵌合係止部がカバー体の一部で構成されており、弾性嵌合係止部は、カバー体の一側とそれに対向する他側との両側位置に形成」することは、周知である(必要ならば、実願平1-28731号(実開平2-118592号)のマイクロフィルム、実公平1-24951号公報を参照。)から、刊行物1に記載の発明のビス止めによる保持部の構造を上記周知の保持部の構造に代えることは当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の奏する効果は刊行物1、2に記載された発明及び上記周知技術から当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとも認められない。

4.むすび
よって、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2002-05-02 
結審通知日 2002-05-14 
審決日 2002-05-28 
出願番号 特願平11-166242
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
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