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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1063608
審判番号 不服2001-1034  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-06-01 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-24 
確定日 2002-08-15 
事件の表示 平成 3年特許願第321565号「ジョイステック」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 6月 1日出願公開、特開平 5-134804]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成3年11月11日に特許出願されたものであって、その発明は、平成12年12月1日付け及び平成13年2月5日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 ベースプレートに玉軸受により支持されて少なくとも一方向に傾倒操作され、端部に球面押圧部を有する操作ロッドと、前記操作ロッドが傾倒されたときに前記球面押圧部に接して押圧される受圧面を有し、その押圧力に相関するレベルの信号を出力する圧力センサとで構成されることを特徴とするジョイステック。」
【2】引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由で引用された特開平2ー35514号公報(以下「引用例1」という。)には、その実施例及び図面の第1〜6図とこれに係わる記載を参酌すると、以下のような記載が認められる。
「第1図はこの発明の原理を示し、ステック21は手22の掌に適合しており、ステック21の下端部が支持部23に挿入される。支持部23は基体24上に配され、かつゴムのような弾性体で構成され、ステック21を四方八方に傾けることができる。手22でステック21にX、Y方向に圧力を加えると支持部23に歪が発生し、この歪は図に示していない感圧抵抗体により電気信号に変換され、その電気信号は変換回路により電気パルスに変換され、コンピュータに与えられる。手 22の指の動きにより押しボタンスイッチZ1〜Z5を操作することができる。通常は押しボタンスイッチは2個で十分である。第2図乃至第4図にステック21及び支持部23の具体例を示す。ステック21は第3図に示すように手の掌に適合する本体211と、本体211の下端面より突出した突部212とよりなり、突部212は第2図に示すように支持部23の中孔231に嵌合される。ステック21はプラスチックのような硬い材料で作られる。支持部23はゴムのような弾性体よりなり、第4図に示すように感圧導電性ゴム232、233、234、235が等間隔で設けられ、これら感圧導電性ゴムの間は絶縁性ゴムが挿入されている。ステック21によりX、Y方向に圧力を加えると、感圧導電性ゴム232の抵抗が減少し、感圧導電性ゴム233の抵抗が増加する。感圧導電性ゴムに対するリード線25が第2図に示すように導出される。感圧導電性ゴムよりの電気信号は変換回路により電気パルスに変換される。その変換回路の具体例を第5図に示す。感圧導電性ゴム232、233は抵抗器26、27と共にブリッジ回路を構成し、感圧導電性ゴム232、233はブリッジ回路の隣接アームを構成する。このブリッジ回路に電線28が接続され、ブリッジ回路の出力側に不感帯発生回路29が接続され、不感帯発生回路29の出力は電圧制御発振器31へ供給される。第4図において支持部23にX、Y方向に圧力が加えられると、感圧導電性ゴム232の抵抗は減少し、前記ブリッジ回路の平衡がくずれるので出力電圧が発生し、不感帯発生回路29に与えられる。不感帯発生回路29は入力電圧が予め定められた値を超えると出力を出す。電圧制御発振器31は入力電圧に比例した周波数のパルスを出力し、入力が+ならば出力端子32に出力パルスを出し、入力が-ならば出力端子33に出力パルスを出す。このように電気的に接続されているので第1図の説明で示したように手の動きが直接コンピュータ表示装置上のカーソルの動きとなるので、カーソルを容易に制御することができる。不感帯発生回路29は圧力が殆んど加えられてない時にカーソルが左右上下に動くことを防止するものである。第6図にこの発明の実施例の断面を示し、第1図と対応する部分には同一符号を付けてある。基体24上に電子回路34が取付けられ、また押しボタンスイッチ35が取付けられ、全体がカバー36で覆われ、リード線37がカバー36より導出される。」(第2頁左上欄第6行〜同頁右下欄第5行)
(2)同じく引用された実願昭57ー70528号(実開昭58ー174741号)のマイクロフイルム(以下「引用例2」という。)は、ジョイスティックユニットに関わるもので、このジョイスティック(「ジョイステック」、以下同じ。)において、「操作ロッド(ジョイステック2)をベースプレート(フレーム3)に玉軸受(球面コロ軸受、球状部2a)により支持し、その下方端部(下方自由端部2b)に操作ロッドの傾倒状態を検出する検出素子(可変抵抗器7x-7y、マイクロスイッチ9x-9y-10x-10y)を押圧する押圧部(環状部材4、円盤8)を設ける」ことが記載されている。(第2頁第13行〜第3頁第1行、第3頁第14行〜第4頁第5行、第2〜8図参照)
【3】対比・判断
(対比)
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と上記引用例1に記載された発明とを対比する。
本願発明における「球面押圧部」について、本願の請求項1には「端部に球面押圧部を有する操作ロッド」と規定されており、操作ロッドの端部に位置するものではあるが、該操作ロッドを支持する玉軸受との位置関係(関連構成)については何ら規定されていないものであり、また、明細書及び図面の記載からみて、この「球面押圧部」は操作ロッドが傾倒されたときに受圧面を押圧するものであって、その「端部」は受圧面を押圧できる操作ロッドの下方端部に設けられるものと認められる。そして、引用例1におけるステック(21)は、「四方八方に傾けることができる」(前掲摘示参照)ものであって、「基体24上に配され、かつゴムのような弾性体で構成され」(前掲摘示参照)る支持部(23)で支持されるものであり、また、ステック(21)の下方の「突部(212)」はその円筒面で「感圧導電性ゴム(232〜235)」を押圧するものであるから、それぞれ本願発明における「玉軸受」「球面押圧部」に対応させることができ、何れも「軸受」「押圧部」といえるものである。さらに、引用例1における「基体(24)」「ステック(21)」「感圧導電性ゴム(232〜235)」及び「感圧導電性ゴム(232〜235)の内側(中孔(231)側)の面」は、それぞれ本願発明における「ベースプレート」「操作ロッド」「圧力センサ」及び「圧力センサの受圧面」に相当する。
したがって、両者は以下のとおりの一致点及び相違点を有するものと認められる。
(一致点)
「ベースプレートに軸受に支持されて少なくとも一方向に傾倒操作され、押圧部を有する操作ロッドと、前記操作ロッドが傾倒されたときに前記押圧部に接して押圧される受圧面を有し、その押圧力に相関するレベルの信号を出力する圧力センサとで構成されるジョイステック。」
(相違点)
本願発明にあっては、操作ロッドを支持する軸受が玉軸受であり、圧力センサを押圧する押圧部が操作ロッドの端部に有する球面押圧部であるのに対して、引用例1にあっては、ステック(21、操作ロッド)を支持する軸受が弾性体の支持部(23)であり、感圧導電性ゴム(232〜235、圧力センサ)を押圧する押圧部がステック(21、操作ロッド)の下方に有する円筒面の突部(212)である点、
(検討)
上記相違点について検討すると、本願発明において、操作ロッドの軸受を「玉軸受」で構成することの技術的意義は、その明細書の記載によれば、「操作ロッドは玉軸受によりベースプレートに支持されているので、操作ロッドが傾倒されたときに球面押圧部は玉軸受を中心にした円弧上を移動され」る(段落【0018】)として、「操作ロッドの傾倒角度の違いにかかわらず、常時圧力センサに対して一定の面積で押圧されることになり、結果として圧力センサからは操作ロッドの傾倒角度に比例した、かつ安定なレベルの信号を出力することが可能になる。」(段落【0018】)ということから、通常、軸受として有する「玉軸受」の作用効果を得るためのものと認められるところ、ジョイステックにおける具体的な構成として操作ロッドの軸受を「玉軸受」により構成することは当業者が適宜になし得るものであって、例えば、前記引用例2には、ジョイステックにおいて「操作ロッド(ジョイステック2)をベースプレート(フレーム3)に玉軸受(球面コロ軸受、球状部2a)により支持し、その下方端部(下方自由端部2b)に操作ロッドの傾倒状態を検出する検出素子(可変抵抗器7x-7y、マイクロスイッチ9x-9y-10x-10y)を押圧する押圧部(環状部材4、円盤8)を設ける」ことが記載されているところである。そして、圧力センサの押圧装置において、圧力センサの押圧部を球面押圧部とすることも周知の技術的事項(例えば、実願平1-28709号(実開平2-119326号)のマイクロフイルム、特に第6図(a)参照)であるから、押圧部を球面押圧部として構成することは当業者が適宜になし得ることと認められる。
したがって、本願発明のように構成することは、引用例1乃至引用例2に記載された発明、及び周知の技術的事項を斟酌することにより当業者が容易になし得ることと認められる。
また、本願発明により奏する作用効果も、当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。
【4】むすび
以上のとおりであって、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、前記引用例1乃至2に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-06-11 
結審通知日 2002-06-18 
審決日 2002-07-01 
出願番号 特願平3-321565
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 圓道 浩史  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 千葉 輝久
治田 義孝
発明の名称 ジョイステック  
代理人 鈴木 章夫  

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