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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L |
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管理番号 | 1063922 |
審判番号 | 不服2000-19323 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-09-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-12-07 |
確定日 | 2002-08-29 |
事件の表示 | 平成8年特許願第57343号「データ通信システム」拒絶査定に対する審判事件[平成9年9月19日出願公開、特開平9-247215]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成8年3月14日の出願であって、特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年7月12日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項4に記載された以下のとおりのものと認める。 「1つの通信回線を複数の通信局が共有して使用する通信形態で各通信局は物理回線制御部、回線アクセス制御部、論理リンク制御部、論理チャンネル制御部から構成され、前記物理回線制御部は通信回線との信号の送信、受信を行い、前記アクセス制御部は前記複数の通信局が前記1つの通信回線へのアクセス権を分け合うための制御を行うことを特徴とするデータ通信システム。」 なお、平成12年10月6日付けの手続補正は原審において却下されており、平成13年1月9日付けの手続補正は補正後の発明が独立特許要件を満たしていないという理由で当審において別途却下されている。 2.引用例 これに対して、原審の拒絶理由に引用された特開昭63-132553号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (1)各パケット端末毎に、物理レベル、フレームレベル、パケットレベル及び上位レベルに階層化された構造をそれぞれ有し、上記パケットレベルは、前記上位レベルより受けたデータをパケット単位に組立て分解し、送信順序番号、受信順序番号等を付与してパケット送信要求情報として上記フレームレベルに送り、前記フレームレベルは、上記パケット送信要求情報としてパケットレベルから送られたパケット情報を情報フィールドに設定したIフレーム単位で他のパケット端末に送信し、他のパケット端末からのパケット情報の受信に応じ、その受信パケット情報をパケット受信通知情報として上記パケットレベルに送るとともに、相手パケット端末に受信応答情報を送信し、相手パケット端末からの受信応答情報に応じ、送信完了通知情報を上記パケットレベルに送るようにし、そして上記パケットレベルの論理チャンネル毎に、上記受信通知情報を受けるたびに1加算され、上記送信要求情報の受信順序番号として設定される応答番号ブロックを備えてなるパケット伝送方式において、・・・。(特許請求の範囲) 以上の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「パケット端末」、「物理レベル」、「フレームレベル」、「パケットレベル」はそれぞれ本願発明でいう「通信局」、「物理回線制御部」、「論理リンク制御部」、「論理チャンネル制御部」と同じ機能であり、また、上記「物理レベル」が通信回線との信号の送信、受信を行なうことおよび上記「パケット伝送方式」が「データ通信システム」であることは自明の事項である。 したがって、上記引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「各通信局は物理回線制御部、論理リンク制御部、論理チャンネル制御部から構成され、前記物理回線制御部は通信回線との信号の送信、受信を行うことを特徴とするデータ通信システム。」 また、同じく原審で引用された、電子通信学会編「パケット交換技術とその応用」(昭和55年12月10日発行)、p205-223(以下、「引用例2」という。)に記載されているように、衛星チャネルを地上局がアクセスするときに、複数の地上局が前記1つのチャネルへのアクセス権を分け合うための制御方式として、例えば「アロハ方式」等を採用することは衛星通信における慣用手段である。 3.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明と引用発明は、 「各通信局は物理回線制御部、論理リンク制御部、論理チャンネル制御部から構成され、前記物理回線制御部は通信回線との信号の送信、受信を行なうことを特徴とするデータ通信システム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 「データ通信システム」に関し、本願発明は「1つの通信回線を複数の通信局が共有して使用する通信形態」を有するとともに、「回線アクセス制御部」を有し、「前記アクセス制御部は前記複数の通信局が前記1つの通信回線へのアクセス権を分け合うための制御を行なう」ものであるのに対し、引用発明ではその点が不明である点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について検討するに、例えば衛星を利用したパケット(データ)通信システムは、例えば上記引用例2に開示されているように、従来から周知のシステムであり、当該衛星通信システムが「1つの通信回線を複数の通信局が共有して使用する通信形態」であることも広く知られていることである。また、衛星チャネルを地上局がアクセスするときに、複数の地上局が前記1つのチャネルへのアクセス権を分け合うための制御方式として、例えば「アロハ方式」等を採用することは衛星通信における慣用手段である。 したがって、引用発明のデータ通信システムを「衛星を利用したデータ通信システム」に適用してその構成を「1つの通信回線を複数の通信局が共有して使用する通信形態」とするとともに、「アロハ方式」等の「回線アクセス制御部」を追加して本願発明のように構成することは容易なことである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用例1および2に記載された発明ならびに上記周知技術ないし慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-06-26 |
結審通知日 | 2002-07-02 |
審決日 | 2002-07-16 |
出願番号 | 特願平8-57343 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
WZ
(H04L)
P 1 8・ 121- WZ (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 隆之 |
特許庁審判長 |
武井 袈裟彦 |
特許庁審判官 |
矢頭 尚之 浜野 友茂 |
発明の名称 | データ通信システム |
代理人 | 鈴木 章夫 |