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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  B09B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B09B
管理番号 1064296
異議申立番号 異議2001-73045  
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-12-03 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-11-08 
確定日 2002-06-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3164418号「厨芥乾燥処理機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3164418号の訂正後の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3164418号の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成4年5月19日に特許出願されたものであって、平成13年3月2日にその発明について特許の設定登録がなされたものである。
これに対して、及川孝(以下、「申立人A」という)より請求項1、2に係る発明の特許について、株式会社食品機械開発(以下、「申立人B」という)より請求項1に係る発明の特許についてそれぞれ特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成14年4月18日付けで訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
本件訂正の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。
(1)訂正事項a
請求項1を、「【請求項1】厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする厨芥乾燥処理機。」と訂正する。
(2)訂正事項b
請求項2を、「【請求項2】厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする厨芥乾燥処理機。」と訂正する。
(3)訂正事項c
明細書中の段落【0007】の記載(本件特許掲載公報第2頁第3欄第43行〜第4欄第14行)を、「【0007】【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。」と訂正する。
(3)訂正事項d
明細書中の段落【0016】の記載(本件特許掲載公報第3頁第5欄第38行)を、「3(原文は○に3)過熱蒸気の温度上昇に伴い、機内空気の膨張、蒸気の増加により内圧が上昇するが、脱臭装置50の入口51、出口52を介して一定圧力以上の乾燥媒体は脱臭され、無臭状態で排出される。4(原文は○に4)過熱蒸気の一部は放熱板23によって冷却される。そして臭気は凝縮水に溶解し、凝縮水はフロート22を押し上げ排出口21より排出される。」と訂正する。
(4)訂正事項e
明細書中の段落【0017】の記載(本件特許掲載公報第3頁第5欄第45行〜第6欄第6行)を、「5(原文は○に5)厨芥乾燥処理工程の終了に近い時刻t1になると、流出路17内過熱蒸気の温度が急激に上昇する。そこで、例えば10〜20℃上昇した時刻t1より一定時間tにわたって前記上昇した温度を設定温度Tとしてそのまま保持させる。このように温度制御すると、肉、果実等ブロック状の厨芥が十分乾燥される(図4参照)。6(原文は○に6)ヒータ30をオフし、ファン40をそのまま駆動させ、徐々に冷却し過熱蒸気を凝縮させる。これによって機内は完全に脱臭される。機内の温度低下とともに内圧が減少するため、脱臭装置50を介して外気が機内にはいり、圧力のバランスを保つ。」と訂正する。
(5)訂正事項f
明細書中の段落【0018】の記載(本件特許掲載公報第3頁第6欄第7〜14行)を、「7(原文は○に7)常温付近でドア11を開き、乾燥した厨芥をバスケット13ととともに取出す。前記において、機内の最高温度を250℃以下に設定すると、つぎのような利点がある。すなわち、パッキング材料にプラスチックを採用できること、紙の着火温度(290〜300℃といわれる)に比して低く安全であること、放熱板23の外壁側から上昇する気流の温度を低くし安全であることである。」と訂正する。
(6)訂正事項g
明細書中の段落【0020】の記載(本件特許掲載公報第3頁第6欄第23行〜第7欄第9行)を、「【0020】【発明の効果】請求項1に係る厨芥乾燥処理機は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。従って、次のような効果がある。1(原文は○に1)低温で厨芥を処理できるから、省エネルギーに寄与できる。2(原文は○に2)乾燥処理された厨芥は別途燃焼エネルギー源として利用できる。3(原文は○に3)乾燥処理に外気を用いないため、外部に放出される乾燥媒体は少なく、大半の臭気は凝縮水に溶解する。4(原文は○に4)焼却しないため、煙、煤等が発生しない。5(原文は○に5)設置場所が狭くてもよく、一般家庭、業務用として利用することができる。6(原文は○に6)乾燥媒体の温度を一定温度に維持した状態から更に温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うので、従来は処理が困難であった肉や果実等のブロック状の厨芥を十分に乾燥させることができる。また、請求項2に係る厨芥乾燥処理機は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。従って、この厨芥乾燥処理機は、上述した1(原文は○に1)から6(原文は○に6)までの効果の他に、機外に排出される乾燥媒体は脱臭装置を介して排出されるので、臭気が機外に漏れることがないという効果も奏する。」と訂正する。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
上記訂正事項aは、主に「前記乾燥媒体の温度が所定値上昇した時刻から一定時間にわたって上昇した温度を維持し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気である」を、「前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行う」と訂正するものであるが、文章が前後入れ替わった箇所を除いて大別すると、a-1.「乾燥媒体の温度が所定値上昇した時刻から一定時間にわたって上昇した温度を維持し」を「過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する・・・制御を行う」と具体的に限定し、さらに、a-2.「一定時間経過後に加熱を停止する制御を行う」と限定したものであるから、上記訂正事項aは特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして上記訂正事項aは、明細書中の段落【0017】の記載(本件特許掲載公報第3頁第5欄第45行〜第6欄第6行)からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
次に上記訂正事項bは、文章が前後入れ替わった箇所を除いて大別すると、b-1.「乾燥媒体の温度が所定値上昇した時刻から一定時間にわたって上昇した温度を維持し」を「過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する・・・制御を行う」と具体的に限定し、さらに、b-2.「一定時間経過後に加熱を停止する制御を行う」と限定したものであるから、上記訂正事項bは特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして上記訂正事項bは、上記訂正事項aと同じ理由で、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記訂正事項c、gは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項a、bの訂正に伴うものであり、減縮された特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるために明りょうでない記載の釈明を行うことを目的とする訂正に該当するものであり、しかも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記訂正事項d〜fは、項目番号を訂正したものであるから、誤記の訂正を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2-3.まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、本件訂正を認める。
3.特許異議申立てについて
3-1.申立人Aの特許異議の申立ての理由の概要
(i) 申立人Aは、証拠方法として甲第1〜4号証を提出し、(イ)請求項1、2に係る発明は甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものである旨、(ロ)請求項1、2に係る発明は甲第4号証に記載された発明と同一であるから、請求項1、2に係る発明の特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものである旨主張している。
(ii) 申立人Bは、証拠方法として甲第1〜3号証を提出し、請求項1に係る発明は甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものである旨主張している。
3-2.本件訂正発明
特許権者が請求した上記訂正は、上述したとおり、認容することができるから、訂正後の本件請求項1、2に係る発明は訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載(上記2-1.(1)、(2)参照)されたとおりのものである(以下、それぞれ「本件訂正発明1、2」という)。
3-3.申立人Aの上記3-1.(i)の主張について
3-3-1.甲号各証の記載内容
(1)甲第1号証:特開平3-140790号公報
(a)「箱体内に厨芥を収納する網袋を掛着し、上記箱体内に送風機と、この送風機により生じる空気流を加熱して上記網袋に供給するヒータとを設け、上記網袋を上記厨芥とのはく離性の良い合成樹脂繊維で構成してなる厨芥乾燥機。」(請求項1)
(b)「第1及び第2図中、(1)は箱体で、上面に厨芥の投入口(1a)、側面に空気出口(1b)を有している。(2)は箱体(1)に枢持され投入口(1a)を開閉するふた、(3)はふた(2)の開閉を検出するふたスイッチ、(4)は箱体(1)内に固着された保持片、(5)は周縁部にゴム等の弾性体(6)が装着され保持片(4)に掛着され厨芥(7)を収納する網袋で、厨芥(7)とのはく離性の良い合成樹脂繊維で作られている。(8)は上下動モータ、(9)はモータ(8)により回転するピニオン、(10)はピニオン(9)にかみ合うラックを有し上端が網袋(5)の底部に当接する作動棒、(11)は箱体(1)内上部に設けられたヒータ、(12)は同じく下部に設けられた送風機、(13)は出口(1b)に設けられた脱臭フィルタ、(14)(15)は箱体(1)内上部及び下部に設けられた温度検知器、(16)は同じく上部に設けられた湿度検知器、(17)はマイクロコンピュータ(以下マイコンという)により構成された制御装置で、CPU(17A)、メモリ(17B)、入力回路(17C)及び出力回路(駆動回路を含む)(17D)を有し、入力回路(17C)は電源スイッチ(18)、ふたスイッチ(3)、温度検知器(14)(15)及び湿度検知器(16)が接続され、出力回路(17D)はヒータ(11)、送風機(12)及び上下動モータ(8)が接続されている。」(第2頁左下欄第12行〜右下欄第15行)
(c)「この実施例のものでは、箱体(1)は半密閉形であり、熱による内部圧力の上昇により洩出する分だけを脱臭すればよいので、脱臭フィルタ(13)の脱臭能力は小さくてもよい。」(第3頁右上欄第12〜16行)
(d)「ステップ(23)で電源スイッチ(18)オン後30分以上経過したと判断されると、ステップ(24)で温度検知器(14)の検出温度T1及び温度検知器(15)の検出温度T2を比較し、T1=T2であるかを判断する。T1=T2でなければ、ステップ(27)により乾燥運転が続行される。T1=T2になれば、ステップ(25)で湿度検知器(16)の検出湿度が所定値よりも低いかを判断し、低ければ十分乾燥されたものとして、ステップ(26)でヒータ(11)を断電し、送風機(12)及び上下動モータ(8)を停止して、乾燥運転を終了する。ステップ(25)で検出湿度が所定値以上と判断されると、ステップ(27)で乾燥運転が再開される。」(第3頁右上欄第17行〜左下欄第9行)
(2)甲第2号証:「生活科学論集 第23号」松蔭女子学院大学学術研究会 第43頁、第50頁〜第57頁(平成4年3月20日)
(a)「・・・熱エネルギの消費の少ない乾燥法として過熱蒸気乾燥について述べたい。この乾燥はある温度以上になると乾いた空気中より湿った空気中での方が良く乾くという常識に反した乾燥法である。」(第43頁下から第12〜10行)
(b)「過熱蒸気乾燥とは一般の乾燥の場合のように媒体として空気を用いずに水を蒸発させる場合には水の過熱蒸気(過熱水蒸気)を用いて乾燥する方法がある。」(第50頁第3〜4行)
(b)「水蒸気を含んでいない空気を乾燥空気(dry air)というが、この空気が水蒸気を含んでくると湿った空気、すなわち湿潤空気(humid air)という。・・・そして最大の限界まで水蒸気を含んだ空気を飽和空気(saturated air)という。」(第50頁第7〜8行)
(c)「1気圧の時100℃になって始めて水蒸気ばかりの状態が存在する。この点Fが100℃の飽和蒸気(saturated steam)である。この蒸気圧のままさらに加熱するとそれが1気圧の過熱水蒸気である。この過熱蒸気が本レポートに使用されているものである。」(第51頁第1〜4行)
(d)「過熱蒸気乾燥とは蒸発する液体の過熱蒸気中で材料を乾燥することである。このことは材料中の水分を蒸発乾燥させる場合は過熱水蒸気を用いることである。」(第53頁第2〜3行)
(e)「図7に示す乾燥機内は最初空気で満たされているが乾燥物より蒸発する蒸気で次第に空気は置きかわり、ある時間経過するとほとんど乾燥機内は蒸気でおきかわるだろう。ここでV(m3)を乾燥機の本体、過熱部、ファン部、ダクトを含めた体積とし、・・・乾燥機の大きさと配置は図7の上部に記してある。乾燥機の上部にバルブがついているがここから系内を1気圧に保つため蒸発蒸気と同体積の蒸気が排出される。しかし始めは空気との混同ガスが排出されるだろう。この論文はアメリカの学会誌に掲載され、アメリカのGulf Machinery社が二年後に高さ長さ共30mの膨大なプラントとして完成した。この会社では乾燥機よりの排ガスを二つの蒸発缶に導き、凝縮熱を利用して廃液の濃縮に利用している。日本でもその後大川原製作所が実用化し、現在主として日本各地のみかんの産地でジュースを作ったあとの絞りかすの乾燥に使用されている。これはそれまで量も多く処理に困っていたものである。燃焼消費量は以前の装置の40%ですむという熱エネルギーの消費の少ない装置である。この外観とロータリー式乾燥機は図8、図9に示されている。」(第54頁第11行〜第56頁第1行)
(3)甲第3号証:特開昭61-211202号公報
(a)「厨芥が投入される容器と、前記厨芥を加熱するマイクロ波加熱装置とを具備したことを特徴とする厨芥処理装置。」(特許請求の範囲第1項)
(b)「例えば、この処理過程中で、厨芥50の温度(若しくは厨芥50から生じた蒸気の温度)が設定温度(例えば、厨芥50の発火温度以下の温度)に達したことを温度センサー(図示省略)で検知した時点でマイクロ波加熱装置40の作動を停止し、その後、厨芥50の温度が設定温度以下になった時点でマイクロ波加熱装置40の作動を再開させるようにする。このような操作は、厨芥50が充分に乾燥するまで繰り返し実施される。」(第2頁右上欄第10〜19行)
(4)甲第4号証:特願平3-320631号(特開平5-155681号)の願書に最初に添付した明細書及び図面
(a)「有機廃棄物を入れる収容槽内に撹拌羽根を回転駆動する撹拌機構が配設され、有機廃棄物を加熱し撹拌しながら乾燥処理或は発酵処理する有機廃棄物処理装置において、該収容槽の底部の下側に熱風通路が配設され、該収容槽内の上部に槽内を加熱する加熱器が配設され、該収容槽上部と該熱風通路がダクトにより連通接続され、該熱風通路の熱風を吸引して熱風を循環させるように該収容槽内上部に送風するブロワが配設され、該熱風の温度を検出する熱風温度センサが熱風の通路内に配設され、該収容槽の底部近傍に廃棄物の温度を検出する廃棄物温度センサが配設され、該熱風温度センサの検出温度に基づいて該加熱器の加熱動作を制御し、該廃棄物温度センサの検出温度に基づいて該加熱器と該ブロワの運転停止を制御する運転制御装置が配設されていることを特徴とする有機廃棄物処理装置。」(請求項1)
(b)「図1は処理装置の正面図を、図2はその右側面図を、図3はそのIII-III断面図を示している。【0015】1は有機廃棄物を入れる収容槽で、断面半円形状の底部を有し、上部に投入用ハッチ2が、底部に取出し用ハッチ3が開閉可能に設けられる。収容槽1の底部下側には、底部を覆うように、熱風通路4が設けられる。【0016】熱風通路4は、図5に示すように、閉鎖された空間内に仕切板4aを配設して蛇行する通路を形成するように構成され、熱風通路4の一端はダクト5を介して収容槽1の上部と連通接続される。熱風通路4の他端には後述のブロワ8の吸気側が接続される。【0017】収容槽1及び熱風通路4の周囲は断熱材を入れた断熱壁によって包囲され、収容槽1内の上部には、その正面側から加熱器6が挿入されるように設置される。加熱器6の加熱源としては燃焼バーナが使用されるが、電気ヒータを使用することもできる。この加熱器6は後述の運転制御装置20によってオンオフ制御される構造を有している。」(公開公報第3頁左欄第22〜33行、以下同じ)
(c)「収容槽1の右側面には、熱風循環用のブロワ8が配設され、ブロワの吸気側がダクトを介して前述の熱風通路4に接続され、ブロワ8の吐出側には循環ダクト9が接続される。循環ダクト9の先端は収容槽1の上部内に入り、そこに吹出し口9aが下向きに設けられる。したがって、ブロワ8の運転により、熱風通路4及びダクト5を介して収容槽1の上部、つまり加熱器6によって加熱された熱気が吸引され、熱風通路4を通った熱風が循環ダクト9を通り、再び収容槽1の上部に送風される。」(第3頁左欄第44行〜右欄第3行)
(d)「生ごみ等の有機廃棄物は、上部の投入用ハッチ2を開いて収容槽1内に投入される。そして、有機廃棄物を乾燥処理する場合、運転制御装置20の温度設定器に、熱風の最高温度(例えば300℃)と通常温度(例えば200℃)、及び廃棄物終了温度(乾燥終了時の有機廃棄物の含水率と収容槽底部つまり処理品の温度は、実験結果から予め判明しており、例えば、乾燥処理後の廃棄物の含水率を7%とする場合には105℃)にセットする。」(第3頁右欄第37〜45行)
(e)「このような効率の良い加熱によって、熱風の温度は、図6のグラフに示すように、急激に上昇し、運転制御装置20の動作によって、熱風が設定された最高温度の300℃に達した時点で、加熱器6がオンオフ制御され、熱風温度は設定温度近傍に保持される。【0032】一方、槽内の有機廃棄物は撹拌・加熱されながら、その温度が徐々に上昇し、グラフに示すように約75℃の一定温度に達すると、その温度がしばらく継続される。これは、収容槽1内の生ごみ中の水分が加熱によって蒸発し、加熱器6の熱量がその蒸発に消費され、温度上昇が生じないためである。【0033】そして、運転制御装置20は、熱風の最高温度での継続時間が予め設定した設定時間(ここでは1時間30分)を経過したとき、熱風の制御温度を通常温度(ここでは200℃)に変更する。これにより、加熱器6がオフ制御され、熱風の温度が200℃に低下した時点で、再び加熱器6はオンオフ制御を繰り返し、熱風がその温度近傍に保持される。【0034】 このように、熱風の制御温度を所定時間後に、最高温度から通常温度(例えば200℃)まで低下させることにより、運転当初の加熱を充分に行いながら、有機廃棄物の焦付きや発煙が防止される。【0035】このような加熱と撹拌の運転が継続され、処理品の含水率が約25%程度まで低下すると、有機廃棄物の温度上昇が再び発生して乾燥が急速に進み、収容槽底部つまり廃棄物の温度が設定温度(ここでは105℃)に達する。運転制御装置16が廃棄物温度センサ19を介してこの温度を検出したとき、加熱器6とブロワ8が停止され、その後、撹拌機構10の運転だけが予めセットした時間(例えば2時間)だけ継続運転される。この間、処理品の有機廃棄物は、温度を徐々にさましながら撹拌され、塊のない均一ない粒の粉粒体となって、所定の含水率を持つ乾燥処理品が製造される。」(第4頁左欄第18〜50行)
3-4-2.特許法第29条第2項違反の主張について
(1)本件訂正発明1について
甲第1号証には、上記(1)(a)から「箱体内に厨芥を収納する網袋を掛着し、上記箱体内に送風機と、この送風機により生じる空気流を加熱して上記網袋に供給するヒータとを設け、上記網袋を上記厨芥とのはく離性の良い合成樹脂繊維で構成してなる厨芥乾燥機。」が記載されている。この場合、上記(1)(b)から、箱体内には空気流の循環通路が存在し、かつ厨芥の上方と下方にそれぞれ温度検知器が設けられており、また上記(1)(d)から、上方の温度検知器の検知温度T1と下方の温度検知器の検知温度T2を比較してT1=T2になれば、湿度検知器で湿度を確認し、ヒータを断電する制御を行うことが記載されている。そして、循環する空気流は加熱されているので加熱空気流であり、かつ、厨芥を乾燥させる以上、加熱空気流には水蒸気が含まれていることは明らかである。
これら事項を本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には「厨芥を加熱空気流によって加熱乾燥させる厨芥乾燥機において、厨芥を介して加熱空気流が循環する循環通路と、この循環通路通路中に設けられ、前記加熱空気流を循環させる送風機と、前記循環通路を通過する加熱空気流を加熱するヒータとを具備しており、前記加熱空気流は厨芥より発生する水蒸気を含み、厨芥の上方と下方にそれぞれ温度検知器が設けられており、上方の温度検知器の検知温度T1と下方の温度検知器の検知温度T2を比較してT1=T2になれば、湿度検知器で湿度を確認し、加熱を停止する制御を行う厨芥乾燥機。」という発明(以下、「甲1A発明」という)が記載されていると云える。
そうすると本件訂正発明1と甲1A発明とを対比すると、甲1A発明の「加熱空気流」、「送風機」、「厨芥乾燥機」は、本件訂正発明1の「乾燥媒体」、「ファン」、「厨芥乾燥処理機」にそれぞれ相当するから、両者は「厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含む厨芥乾燥処理機。」で一致し、次の点で相違している。
相違点:本件訂正発明1では、乾燥媒体はヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うのに対して、甲1A発明では、厨芥の上方と下方にそれぞれ温度検知器が設けられており、上方の温度検知器の検知温度T1と下方の温度検知器の検知温度T2を比較してT1=T2になれば、湿度検知器で湿度を確認し、加熱を停止する制御を行う点
そこで上記相違点を検討する。
甲第1号証に記載されたT1=T2の時点とは、厨芥を通る前の加熱空気流の温度と、通った後の加熱空気流の温度が同じとなるという時点であるから、この時点は言い換えれば厨芥から水蒸気が発生し気化熱を奪って加熱空気流の温度が下がるということがなくなり、厨芥の前後で加熱空気流の温度が同じとなるという時点である。この時点は、大部分の水蒸気の発生が終わった時点であり、厨芥が乾燥し大部分の水蒸気が発生している状態である本件訂正発明1でいう「過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態」の終了の時点に相当している。してみると、甲第1号証では、T1=T2の時点で加熱を停止する制御を行うのであるから、本件訂正発明1にいう「更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する」という工程、言い換えれば厨芥が乾燥され大部分の水蒸気の発生終了後、更に一段上の温度で一定時間保持するという工程は記載も示唆もされていないと云える。
甲第2号証には、過熱蒸気乾燥について一般的に記載されており、また甲第3号証には、マイクロ波加熱装置を具備した厨芥処理装置について記載されているが、両者とも上記の「更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する」という工程は記載されていないし、示唆もされていない。
そして、本件訂正発明1は上記の「更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する」という工程により、「従来は処理が困難であった肉や果実等のブロック状の厨芥を十分に乾燥させることができる。」(本件訂正明細書第7頁第17〜18行)という効果を奏する。
したがって、本件訂正発明1は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1の構成に、「循環通路中に設けられた脱臭装置」、「脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し」という構成を付加したものであるから、上記(1)と同じ理由で、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
3-4-3.特許法第29条の2違反の主張について
甲第4号証の記載内容を、本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第4号証には「生ごみを熱風によって乾燥処理する処理装置であって、生ごみを介して熱風が循環する熱風通路と、この熱風通路中に設けられ熱風を循環させるブロワと、熱風通路を通過する熱風を加熱する電気ヒータとを具備しており、熱風には最高温度(例えば300℃)と通常温度(例えば200℃)があり、熱風が最高温度に達した時点で電気ヒータはオンオフ制御され、生ごみが約75℃の一定温度に達するとその温度がしばらく継続し、その後通常温度でオンオフ制御され、生ごみの含水率が約25%(105℃)の温度を検出したとき電気ヒータは停止される制御を行う処理装置。」という発明(以下、「先願明細書発明」という)が記載されていると云える。
そうすると、本件訂正発明1と、先願明細書発明とを対比すると、先願明細書発明の「生ごみ」、「熱風」、「熱風通路」、「ブロワ」は、本件訂正発明1の「厨芥」、「乾燥媒体」、「循環通路」、「ファン」にそれぞれ相当し、先願明細書発明の熱風は100℃以上に加熱しているから、過熱蒸気と云える。
したがって、両者は「厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気である厨芥乾燥処理機。」で一致し、次の点で相違している。
相違点:本件訂正発明1では、過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うのに対して、先願明細書発明では、熱風は最高温度(例えば300℃)と通常温度(例えば200℃)であり、熱風が最高温度に達した時点で電気ヒータはオンオフ制御され、生ごみが約75℃の一定温度に達するとその温度がしばらく継続し、その後通常温度でオンオフ制御され、生ごみの含水率が約25%(105℃)の温度を検出したとき電気ヒータは停止される制御を行う点
そこで検討すると、先願明細書発明の「生ごみが約75℃の一定温度に達するとその温度がしばらく継続し、」という状態は、厨芥が乾燥し大部分の水蒸気が発生している状態である本件訂正発明1の「過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態」に相当する。そして先願明細書発明では、105℃で加熱を停止しており、この105℃の時点は、本件訂正発明1の「更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻」、言い換えれば厨芥が乾燥し大部分の水蒸気の発生が終了し過熱蒸気の温度が上昇する時点を意味する。先願明細書発明では、まさにこの時点で加熱を停止しているのである。そうすると、先願明細書発明では、「前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する」という工程が存在しないと云える。
そして、この点で本件訂正発明1は上記3-4-2.(1)で述べた効果を奏する。
したがって、本件訂正発明1は、先願明細書発明と同一であるとすることはできない。
(2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1の構成に、上記3-4-2.(2)で述べた構成を付加したものであるから、上記(1)と同じ理由で、先願明細書発明と同一であるとすることはできない。
3-5.申立人Bの上記3-1.(ii)の主張について
3-5-1.甲号各証の記載内容
(1)甲第1号証:竹内龍三著「穀物加工機械学 光琳全書3」株式会社光琳書院、第42〜47頁、52〜55頁(昭和39年11月15日)
(a)「構造は面厚15cmの籾殻壁をつくり,通風上2〜3段のあらい垂木だなをつくってその上に甘藷を入れる。最下層の縁の下には電熱を均等に分布しておく。別に電熱利用の発湿装置と通風用ファンがある。電熱はサーモスタットになっていて自動的に定温となる。」(第45頁第7〜17行)
(b)「第1・21図は乾燥室の制御の回分式乾燥室で,乾燥野菜製造制御系をみると,野菜はたなのたくさんある車にのって乾燥室へはいり,空気は蒸気で加熱されて通る。2ペン型温度調節計は加熱空気の乾球温度と湿球温度とを測定記録する。乾燥終わりのころになると乾燥速度がおそくなってくるので,所要の乾燥度まで乾燥室へ入れておくと時間がかかる。」(第53頁第23行〜第54頁第5行)
(c)第54頁第1・21図には、再循環通路にファン、ヒータを設置することが示されている。
(2)甲第2号証:「化学工学」第28巻第7号 第17〜21頁、(1964年)
(a)「本報では湿潤多孔質球状粒子の厚い層に低流速の空気を貫流する場合,その乾燥機構を明らかにするために行った一連の実験結果を報告する。」(第17頁左欄第10〜12行)
(b)「時間に対する重量変化および温度分布の例を平均粒径6.8mm,層高10cmに対してFig.2,平均粒径1.4mm,層高10cmの場合をFig.3に示した。」(第18頁左欄第2〜4行)
(3)甲第3号証:「化学工学」第30巻第10号 第97〜98頁、(1966年)
(a)「過熱蒸気乾燥法の種々の利点・・・基礎的な研究はまだあまりなされていない。本乾燥法における材料一気体間の伝熱係数について桐栄らは従来の熱風乾燥の場合と本質的には異ならないことを確かめた。」(第97頁左欄第1〜6行)
(b)第97頁第1図には、被乾燥物の温度変化の範囲は100℃〜127℃であることが示されている。
3-4-2.対比・判断
(1)本件訂正発明1について
甲第1号証には、甘藷の貯蔵や乾燥野菜の製造装置が記載されており、甲第2号証には、湿潤多孔質球状粒子の乾燥について記載されており、甲第3号証には、過熱蒸気乾燥について一般的に記載されているが、どれにも厨芥乾燥処理機については何も記載されておらず、ましてや、上記3-4-1.(1)で述べた「更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持する」という工程について何も示唆されていない。そしてこの点において本件訂正発明1は上記3-4-1.(1)で述べたとおりの効果を奏する。
したがって、、本件訂正発明1は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
4.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、訂正後の本件請求項1、2に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願にされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
厨芥乾燥処理機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、
厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、
この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、
前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、
前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、
前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする厨芥乾燥処理機。
【請求項2】 厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、
厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、
この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、
前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、
前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、
前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、
前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、
前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする厨芥乾燥処理機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は一般家庭、飲食店等から発生する厨芥を乾燥処理する厨芥乾燥処理機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より一般家庭、生鮮食品を扱う事業場、飲食店等から発生する多量の厨芥類の処理について種々の方法が考案され実施されているが、いずれも次のような問題点があった。
【0003】
バクテリヤの醗酵作用を利用して厨芥類を堆肥化する技術がある。しかし、堆肥化させるためには広い敷地を要するので、この方法は土地の広い住宅、農家でなければ実施できない。
家庭用、業務用として厨芥焼却炉が市販されているが、高価であり、設置場所の制約があるほか、維持保全が面倒である。
一方、厨芥を空気乾燥させる乾燥機が考案されている。これは外気を吸入加熱しこれを乾燥媒体として乾燥機内に送り、高温高湿度の熱気を機外へそのまま排気するオープンタイプと、乾燥機から出た加湿された空気を熱交換器により冷却除湿し、これを再加熱する除湿タイプとがある。しかしながら、いずれのタイプにおいても大量の臭気ガスが発生するほか、この臭気処理が困難なため、実用化されていない。従って、厨芥の殆どは自治体が集収して大型の焼却炉で焼却しているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、厨芥を焼却するためには非常に大きなエネルギーが必要である。例えば2Kgの厨芥を電力で焼却しようとすると、約10KWHのエネルギーが必要とされている。その理由としては第1に煙や煤を出さずに完全に燃焼させるために、焼却炉内温度を800°C以上に保持する必要があること、第2に十分な酸素を供給するために大量の空気を送り込みこれを800°C以上に加熱する必要があることによる。
【0005】
一方、厨芥をマイクロ波で加熱焼却する方法は、他の熱源を使った場合と比較してマイクロ波が厨芥の内部まで浸透して均一な加熱ができる。しかしながら、マイクロ波変換効率が約50%と低いことも一因して非常に大きなエネルギーを必要とする。
【0006】
また炉内の800°Cに達する熱を遮断するために強力な断熱構造体を要する。さらに前記断熱構造体の加熱・冷却のために長時間(7〜8時間)を要する。従って、厨芥を焼却することは経済性の問題もあって自治体以外では実用化の域に達していない。そのうえ厨芥を乾燥する方式は前記したように実用性がない。本発明は上記事情に鑑みて創案されたもので、厨芥を焼却せずに加熱乾燥させて省エネルギー化を図った厨芥乾燥処理機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。
【0008】
【実施例】
はじめに過熱蒸気乾燥(請求項1記載の発明)の場合について説明する。一般に物体の乾燥を行う場合、熱の導入方法として対流伝熱が最も広く用いられており、この媒体として加熱空気が使用されている。この場合、空気の温度が高いほど、又湿度が低いほど乾燥速度は早くなる。そして加熱空気は飽和湿度に近づくが、飽和湿度以上にはなり得ない。一方、媒体として水蒸気を使用する場合、100°C以下では飽和蒸気であるから乾燥能力はない。すなわち、乾燥速度は0である。水蒸気を100°C以上に加熱した、いわゆる過熱蒸気はその温度上昇ととともに乾燥速度も増大する。
【0009】
図3は乾燥媒体として空気および過熱蒸気をそれぞれ使用したときの蒸発(乾燥)速度と温度との関係を示したものである。この図で過熱蒸気は100°Cを起点として右上がりの蒸発曲線を描く。そして空気の曲線との交点、いわゆる逆転点を境にして、この点より右側すなわち、この点より高温側では空気乾燥よりも過熱蒸気乾燥が乾燥速度が速いことを示している。
【0010】
この逆転点温度は風量、乾燥装置の構造、過熱蒸気のガス輻射等によって変化するが、100〜170°C近辺であることが実験と計算によって確認した。また過熱蒸気による伝熱は空気と異なり、対流伝熱以外にガス輻射がプラスされるので、空気だけによる場合に比して熱を多く伝えることができる。
【0011】
本発明に係る厨芥乾燥処理機は乾燥媒体として100°C以上に加熱した過熱蒸気を使用している。以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は厨芥乾燥処理機の概略構造を示す側面視断面図、図2は図1のA-A線断面図、図3は蒸発速度と乾燥媒体温度の関係図、図4は乾燥媒体温度と時間の関係図、図5は他の実施例を示す側面視断面図である。
【0012】
本発明に係る厨芥乾燥処理機は本体10に設けられたヒータ30と、ファン40と、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路20と脱臭装置50を含んでいる。本体10は上部が開口した箱状に形成されている。前記開口にはドア11が開閉可能に取付けられており、ドア11を閉じたときパッキン12によって機内が密閉されるようになっている。ドア11の下方には厨芥Wを投入したバスケット13を載置するバスケット受け14が設けられている。
【0013】
前記バスケット13と本体10の外壁15とによって囲まれる空間は乾燥媒体の流入路16と乾燥媒体の流出路17になっている。またバスケット受け14と本体10の下部隔壁18の間には、循環ダクト19が形成されており、それぞれ流入路16及び流出路17の下部に連通している。そして、前記流入路16、流出路17及び循環ダクト19によって厨芥Wを介して乾燥媒体が循環する循環通路20が形成されている。ヒータ30、ファン40は流入路16の下部に設けられている。
【0014】
脱臭装置50は入口51と出口52とを有する箱状に形成され、図外の脱臭剤が充填されている。前記入口51は循環ダクト19に開口しており、出口52は隔壁18下方に開口している。脱臭剤は粒状活性炭、活性炭繊維等であって、脱臭剤の量や入口51及び出口52の開口面積は本体10の保持内圧によって適宜定められる。また、図中、21は流出路17に連なる排出口、22はフロート、23は流出路17に設けられた放熱板、24はバスケット受け14に取付けられたフィルタである。
【0015】
つぎに本発明の厨芥乾燥処理機の動作について説明する。▲1▼厨芥Wを投入したバスケット13をバスケット受け14に載置し、ドア11を閉める。機内は外気と遮断され密閉状態になる。ただし、脱臭装置50を介して外気とは連通しているが、作動すると加熱によって内圧が高まるので外気は機内には侵入しないので、気密状態と同じことになる。▲2▼ヒータ30、ファン40をオンすると、機内の空気は図1矢印で示すように厨芥Wを経て循環通路20を通り、循環しながらヒータ30によって急速に加熱され温度が上昇する。これにより、厨芥Wから発生した蒸気は、機内の空気に含有され短時間でほぼ100%に近い過熱蒸気となる。前記過熱蒸気は乾燥速度を高めるために逆転温度近辺あるいはそれ以上の温度に加熱される(図3参照)。
【0016】
▲3▼過熱蒸気の温度上昇に伴い、機内空気の膨張、蒸気の増加により内圧が上昇するが、脱臭装置50の入口51、出口52を介して一定圧力以上の乾燥媒体は脱臭され、無臭状態で排出される。
▲4▼過熱蒸気の一部は放熱板23によって冷却される。そして臭気は凝縮水に溶解し、凝縮水はフロート22を押し上げ排出口21より排出される。
【0017】
▲5▼厨芥乾燥処理工程の終了に近い時刻t1になると、流出路17内過熱蒸気の温度が急激に上昇する。そこで、例えば10〜20°C上昇した時刻t1より一定時間tにわたって前記上昇した温度を設定温度Tとしてそのまま保持させる。このように温度制御すると、肉、果実等ブロック状の厨芥が十分乾燥される(図4参照)。
▲6▼ヒータ30をオフし、ファン40をそのまま駆動させ、徐々に冷却し過熱蒸気を凝縮させる。これによって機内は完全に脱臭される。機内の温度低下とともに内圧が減少するため、脱臭装置50を介して外気が機内にはいり、圧力のバランスを保つ。
【0018】
▲7▼常温付近でドア11を開き、乾燥した厨芥をバスケット13ととともに取出す。前記において、機内の最高温度を250°C以下に設定すると、つぎのような利点がある。すなわち、パッキング材料にプラスチックを採用できること、紙の着火温度(290〜300°Cといわれる)に比して低く安全であること、放熱板23の外壁側から上昇する気流の温度を低くし安全であることである。
【0019】
図5に示す他の実施例においては、ヒータ30は流入路16の下部に設けられておらず、流出路17の上部に発熱源であるマグネトロン31と導波管32が設けられている。運転開始に伴って、マグネトロン31で発生したマイクロ波は導波管32を介してバスケット13に投入した厨芥Wに放射される。以後の動作は前記と同様である。本実施例によると均一な乾燥状態が得られるという利点がある。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に係る厨芥乾燥処理機は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。
従って、次のような効果がある。▲1▼低温で厨芥を処理できるから、省エネルギーに寄与できる。▲2▼乾燥処理された厨芥は別途燃焼エネルギー源として利用できる。▲3▼乾燥処理に外気を用いないため、外部に放出される乾燥媒体は少なく、大半の臭気は凝縮水に溶解する。▲4▼焼却しないため、煙、煤等が発生しない。▲5▼設置場所が狭くてもよく、一般家庭、業務用として利用することができる。▲6▼乾燥媒体の温度を一定温度に維持した状態から更に温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うので、従来は処理が困難であった肉や果実等のブロック状の厨芥を十分に乾燥させることができる。
また、請求項2に係る厨芥乾燥処理機は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。
従って、この厨芥乾燥処理機は、上述した▲1▼から▲6▼までの効果の他に、機外に排出される乾燥媒体は脱臭装置を介して排出されるので、臭気が機外に漏れることがないという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
厨芥乾燥処理機の概略構造を示す側面視断面図である。
【図2】
図1のA-A線断面図である。
【図3】
蒸発速度と乾燥媒体温度の関係図である。
【図4】
乾燥媒体温度と時間の関係図である。
【図5】
他の実施例を示す側面視断面図である。
【符号の説明】
10 本体
11 ドア
13 バスケット
16 流入路
17 流出路
19 循環ダクト
20 循環通路
30 ヒータ
31 マグネトロン
40 ファン
50 脱臭装置
W 厨芥
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第3164418号発明の明細書を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに、
(1)訂正事項a
請求項1を、「【請求項1】厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする厨芥乾燥処理機。」と訂正する。
(2)訂正事項b
請求項2を、「【請求項2】厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする厨芥乾燥処理機。」と訂正する。
(3)訂正事項c
明細書中の段落【0007】の記載(本件特許掲載公報第2頁第3欄第43行〜第4欄第14行)を、「【0007】【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。」と訂正する。
(3)訂正事項d
明細書中の段落【0016】の記載(本件特許掲載公報第3頁第5欄第38行)を、「3(原文は○に3)過熱蒸気の温度上昇に伴い、機内空気の膨張、蒸気の増加により内圧が上昇するが、脱臭装置50の入口51、出口52を介して一定圧力以上の乾燥媒体は脱臭され、無臭状態で排出される。4(原文は○に4)過熱蒸気の一部は放熱板23によって冷却される。そして臭気は凝縮水に溶解し、凝縮水はフロート22を押し上げ排出口21より排出される。」と訂正する。
(4)訂正事項e
明細書中の段落【0017】の記載(本件特許掲載公報第3頁第5欄第45行〜第6欄第6行)を、「5(原文は○に5)厨芥乾燥処理工程の終了に近い時刻t1になると、流出路17内過熱蒸気の温度が急激に上昇する。そこで、例えば10〜20℃上昇した時刻t1より一定時間tにわたって前記上昇した温度を設定温度Tとしてそのまま保持させる。このように温度制御すると、肉、果実等ブロック状の厨芥が十分乾燥される(図4参照)。6(原文は○に6)ヒータ30をオフし、ファン40をそのまま駆動させ、徐々に冷却し過熱蒸気を凝縮させる。これによって機内は完全に脱臭される。機内の温度低下とともに内圧が減少するため、脱臭装置50を介して外気が機内にはいり、圧力のバランスを保つ。」と訂正する。
(5)訂正事項f
明細書中の段落【0018】の記載(本件特許掲載公報第3頁第6欄第7〜14行)を、「7(原文は○に7)常温付近でドア11を開き、乾燥した厨芥をバスケット13ととともに取出す。前記において、機内の最高温度を250℃以下に設定すると、つぎのような利点がある。すなわち、パッキング材料にプラスチックを採用できること、紙の着火温度(290〜300℃といわれる)に比して低く安全であること、放熱板23の外壁側から上昇する気流の温度を低くし安全であることである。」と訂正する。
(6)訂正事項g
明細書中の段落【0020】の記載(本件特許掲載公報第3頁第6欄第23行〜第7欄第9行)を、「【0020】【発明の効果】請求項1に係る厨芥乾燥処理機は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータとを具備しており、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。従って、次のような効果がある。1(原文は○に1)低温で厨芥を処理できるから、省エネルギーに寄与できる。2(原文は○に2)乾燥処理された厨芥は別途燃焼エネルギー源として利用できる。3(原文は○に3)乾燥処理に外気を用いないため、外部に放出される乾燥媒体は少なく、大半の臭気は凝縮水に溶解する。4(原文は○に4)焼却しないため、煙、煤等が発生しない。5(原文は○に5)設置場所が狭くてもよく、一般家庭、業務用として利用することができる。6(原文は○に6)乾燥媒体の温度を一定温度に維持した状態から更に温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うので、従来は処理が困難であった肉や果実等のブロック状の厨芥を十分に乾燥させることができる。また、請求項2に係る厨芥乾燥処理機は、厨芥を乾燥媒体によって加熱乾燥させる厨芥乾燥処理機であって、厨芥を介して乾燥媒体が循環する循環通路と、この循環通路中に設けられ、前記乾燥媒体を循環させるファンと、前記循環通路を通過する乾燥媒体を加熱するヒータと、前記循環通路中に設けられた脱臭装置とを具備しており、前記脱臭装置は、機内の加熱及び冷却時における内圧の変動を調整するとともに、排出される蒸気中の臭気を除去し、前記乾燥媒体は、厨芥より発生する水蒸気を含み、前記ヒータにて100℃以上に加熱した過熱蒸気であり、前記過熱蒸気の温度を一定温度に維持した状態から更に過熱蒸気の温度が上昇した時刻より、前記上昇した温度を設定温度として一定時間にわたって保持するとともに、前記一定時間経過後に加熱を停止する制御を行うことを特徴とする。従って、この厨芥乾燥処理機は、上述した1(原文は○に1)から6(原文は○に6)までの効果の他に、機外に排出される乾燥媒体は脱臭装置を介して排出されるので、臭気が機外に漏れることがないという効果も奏する。」と訂正する。
異議決定日 2002-05-27 
出願番号 特願平4-152623
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B09B)
P 1 651・ 16- YA (B09B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 由紀夫斉藤 信人  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 西村 和美
野田 直人
登録日 2001-03-02 
登録番号 特許第3164418号(P3164418)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 厨芥乾燥処理機  
代理人 木下 雅晴  
代理人 木下 雅晴  
代理人 小池 隆彌  
代理人 小池 隆彌  

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