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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01G
管理番号 1065473
審判番号 審判1997-18021  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-10-30 
確定日 2002-09-06 
事件の表示 平成 7年特許願第164481号「花壇の植栽方法」拒絶査定に対する審判事件[平成8年12月17日出願公開、特開平8-331974]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年6月8日の出願であって、その請求項1ないし2に係る発明は、平成9年8月8日に提出した手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された「花壇の植栽方法」にあるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「草丈及び開花時期が相互に異る3種類以上の宿根草を不規則に配して植え付け、少なくとも3年間にわたり、前年とほぼ同様の植生を再現させることを特徴とする花壇の植栽方法。」
である。

2.引用例の発明
当審において、通知した拒絶の理由に引用した、三橋一也著「趣味の庭づくり全科」(社団法人 家の光協会 昭和54年10月1日発行)168〜169頁(以下、「引用例1」という)、特開平5-103538号公報(以下、「引用例2」という)及び特開平5-284849号公報(以下、「引用例3」という)には次の事項が記載されている。
(a)引用例1には、宿根草花壇の説明として、
(a-1)「一度植えておくだけで、毎年芽を出して花を咲かせる、手間のかからないのが、宿根草花壇です。」、
(a-2)「この宿根草花には、性質も丈夫な種類が多いので、育てるための手間もあまりかからず、重宝なものです。模様花壇のような、はでな美しさは望めませんが、咲く時期をうまく組み合わせて、種類を選んで植え込むと、季節ごとに変化のある花が楽しめる花壇となります。」、
(a-3)「この花壇は、草花の種類によって、形や育ちぐあいに違いがありますので、それらを配慮した植え込みの平面図や立体図をつくり、順序よく植え込むことが大切です。花の咲く時期や花色、草丈などを、各草花について考え、季節ごとに花の咲く種類を、あらかじめ検討しておかないと、絶え間なく花を見ることができません。」と記載されている。
上記「一度植えておくだけで、毎年芽を出して花を咲かせる」の記載は、本願発明の「少なくとも3年間にわたり、前年とほぼ同様の植生を再現させる」を示しているといえるから、引用例1には、草丈及び開花時期が相互に異る複数種類の宿根草を植え付け、少なくとも3年間にわたり、前年とほぼ同様の植生を再現させる花壇の植栽方法(以下、「引用例1の発明」という)が記載されていると認められる。
(b)引用例2(特開平5-103538号公報)
(b-1)「【産業上の利用分野】本発明は異種の種子を混合して色や高さを揃えた状態で開花させる草花混合種子を使用する開花継続緑化方法に関するものである。」(段落【0001】)、
(b-2)「【課題を解決するための手段】本発明の手段は同一系統色の異種類の種子及び草の大きさの揃う混合種子を、単位面積当りに期待する草花の株数、グランドカバー率を考慮して、利用する草花の混合比率を算出し、所定の場所に散布し開花させることにある。・・・下記の表1に示すものは、関東地方にて実施した一例である。表に示すように9種類の混合種子を同時に播いて、翌春3月空9月にかけて同一系統色で開花を継続させることができる。」(段落【0004】〜【0005】)。
(c)引用例3(特開平5-284849号公報)
「【請求項1】 複数の非再現型一年草の種子ならびに複数の再現型一年草および初年度開花型多年草の種子ならびに複数の翌年開花型多年草の種子を、非再現型一年草の種子の合計粒数が30%から50%、再現型一年草および初年度開花型多年草の種子の合計粒数が20%から40%、翌年開花型多年草の種子の合計粒数が20%から40%の比率となり、さらに、再現型一年草と初年度開花型多年草と翌年開花型多年草の総合計粒数の内容において、春咲種が20%から40%、夏咲種が40%から60%、秋咲種が10%から30%となるように配合し、かつ、配合種子全体の合計粒数において、日照遮蔽性の高い草花の種子が0%から20%、日照遮蔽性の中程度の草花の種子が25%から45%、日照遮蔽性の低い草花の種子が40%から70%の粒数比率となるように配合してなる混合種子群。」(【特許請求の範囲】)。

3.対比・判断
本願発明と引用例1の発明とを対比すると、両者は、
草丈及び開花時期が相互に異る宿根草を植え付け、少なくとも3年間にわたり、前年とほぼ同様の植生を再現させる花壇の植栽方法で一致し、
本願発明が、「3種類以上の宿根草を不規則に配して植え付け」ているのに対し、引用例1の発明は、3種類以上の宿根草を不規則に配して植え付けているか不明である点
で構成が相違する。
上記相違点について検討すると、草丈や育ちぐあいの違いにより花壇を区画して植え付けることがあるとしても、季節ごとに変化のある花が楽しめる花壇(上記(a-2)、(a-3)参照)とするためには、同一(区画)場所に開花時期の異なる複数の宿根草を植え付ける必要があり、この開花時期が異なる複数の宿根草を規則的に植え付ける必要はなく、しかも、3種類以上の植物を不規則に配して植え付けることは周知(例えば、引用例2、3参照)でもあるから、引用例1に記載の発明において、3種類以上の宿根草を不規則に配して植え付けることは当業者が容易に想到できることである。
そして、本願発明の効果は、引用例1記載の発明及び周知事項から予測できることであって格別のものではない。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明に基いて当業者がきわめて容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-06-28 
結審通知日 2002-07-09 
審決日 2002-07-26 
出願番号 特願平7-164481
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鈴木 寛治
平瀬 博通
発明の名称 花壇の植栽方法  
代理人 戸田 利雄  
代理人 西山 雅也  
代理人 福本 積  
代理人 石田 敬  

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