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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1065581
審判番号 不服2000-17510  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-02 
確定日 2002-10-04 
事件の表示 平成 3年特許願第 19343号「コンピュータ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年 8月25日出願公開、特開平 4-236617]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成3年1月18日に特許出願されたものであって、その請求項1乃至4に係る発明は、平成12年12月4日付け手続補正書によって補正された全文補正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された「コンピュータ装置」であって、当該請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 コンピュータ本体と、磁気ディスクパックとを含むコンピュータ装置であって、
コンピュータ本体は、内蔵記憶装置を有すると共に、前記磁気ディスクパックを接続可能な接続部分を有しており、 前記磁気ディスクパックは、携帯型であって、磁気ディスク及び前記磁気ディスクに記録された情報を読み取る磁気ヘッド装置を内蔵していて、前記コンピュータ本体の前記接続部分に接続できるようになっており、 前記磁気ディスクは、前記コンピュータ本体のためのオペレーティングシステム.ソフトウエア及びアプリケーション.ソフトウエアを記録するために用いられるコンピュータ装置。」
【2】引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用した特開平2-223088号公報(以下「引用例」という。)には、従来技術、実施例及び図面を参酌すると、以下の各記載が認められる。
(i)「本発明はコンピュータ本体内に情報ファイルが収納された大容量記憶装置に係り、特に情報ファイルとして磁気ディスク装置(以下HDDと称する)の着脱を容易にした大容量記憶装置に関する。」(第1頁左下欄第14〜18行)
(ii)「(従来の技術)情報ファイルとしてのHDDはパーソナルコンピュータやワークステーションに内蔵又は組込みされており、情報ファイルを持ち運びたい場合は、従来はHDD内に収納されたまま本体とともに運ぶか、フロッピーディスクに記録しなおしてこのフロッピーディスクを運ぶかしていた。」(第1頁左下欄第19行〜同頁右下欄第5行)
(iii)「第1図に本発明の一実施例を示す。図において、コンピュータ本体1の一面にはカートリッジ型のHDD2を収容する収納部3が設けられており、この収納部3の上下面にはそれぞれガイドレール4が対向して平行に設けられている。また収納部3の内側端面には信号及び電源を入力する接点5が設けられており、収納部3の入口部にはロック機構6が設けられている。
一方、HDD2の上下面には前記収納部3の上下面に設けられたガイドレール4に摺動自在に係合するレール7が設けられており、HDD2の挿入側端面には前記接点5に当接可能な端子8が設けられている。これらの接点5及び端子8は複数対設けられており、HDD2を収納部3に収納したときにこれらの接点5及び端子8がそれぞれ当接し、信号及び電源の接続を行なうようになっている。また、HDD2の入口側には前記本体1に設けられたロック機構6に対向してHDD2側のロック機構9が設けられており、HDD2が収納部3に収納されたときにこれらのロック機構6、9が係合して、HDD2が収納部3から脱落することを防止している。またロック機構9は同時にテコとして作用し、HDD2を収納部3に対して着脱するときのレバーの機能をも有している。さらにHDD2の入口側端面にはチェン機構10が設けられており、このHDD2に、さらに別のHDDを接続できるようになっている。図示しないがHDD2に機密保持のためのキー機構や、物理的スイッチまたは論理的情報から識別して、複数台のHDDを接続するためのアイデンティファイ機構を設けてもよい。
次に本実施例の作用及び効果を説明する。HDD2はガイドレール4、7を介して容易に本体1に対して着脱可能であり、装着時には接点5及び端子8を介して信号及び電源が電気的に接続される。またこれらのレール4、7及びロック機構6、9を耐振構造とすることにより、HDD2の防振効果を得ることができる。またチェン機構10により複数台のHDDを接続することができるので、会議やプレゼンテーションなどの場合で、1台のコンピュータ本体を用いて同時に複数個の情報ファイルを得ることができ、コンピュータの共同利用が可能となり、またはHDD2の容量を容易に増やすこともできる。
上記のように本実施例によれば、情報ファイルとしてのHDDを容易に移動することができるので、会議室における会議や出張などのときに、小型軽量のHDDのみを持ち運べばよく、目的の場所に同型のコンピュータがあれば容易に必要な情報を再現することができる。また移動時の機密保持や、複数の人による複数台のHDDの同時使用も可能となる。」(第2頁右上欄第3行〜同頁右下欄第13行、第1図参照)
なお、この引用例における磁気ディスク装置(HDD2)の具体的構造は、上記(iii)の記載において明記されていないものの、通常、磁気ディスクとこれに記録された情報を読み取るための磁気ヘッド装置を内蔵するものであることは当業者に自明の技術的事項であり、当該引用例には実質的に磁気ディスク及び磁気ヘッド装置が開示されているものと認められる。
【3】対比・判断
(対比)
本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、上記引用例における「HDD(2)」及び「収納部(3)」は、それぞれ本願発明における「磁気ディスクパック」及び「コンピュータ本体の磁気ディスクパック接続部分」に相当するので、両者は、以下のとおりの一致点及び相違点を有するものと認められる。
(一致点)
「コンピュータ本体と、磁気ディスクパックとを含むコンピュータ装置であって、
コンピュータ本体は、前記磁気ディスクパックを接続可能な接続部分を有しており、
前記磁気ディスクパックは、携帯型であって、磁気ディスク及び前記磁気ディスクに記録された情報を読み取る磁気ヘッド装置を内蔵していて、前記コンピュータ本体の前記接続部分に接続できるようになっているコンピュータ装置。」
(相違点)
(i)コンピュータ本体が、本願発明にあっては、内蔵記憶装置を有しているのに対して、引用例にあっては、この点が明示されていない点、
(ii)磁気ディスクが、本願発明にあっては、コンピュータ本体のためのオペレーティングシステム.ソフトウエア及びアプリケーション.ソフトウエアを記録するために用いられるのに対して、引用例にあっては、情報ファイルとして用いられる点、
(検討)
前記相違点(i)(ii)について、以下に検討する。
相違点(i)について、コンピュータ本体に内蔵記憶装置(磁気ディスク装置)を具備することは当業者に自明の技術的事項であって、上記引用例の従来技術にも記載されており(前掲(ii)参照)、またコンピュータ本体(装置本体M)に専用のコネクタを介してデータ記憶装置(ハードディスク装置等)が接続(増設)されるコンピュータ装置(データ処理装置)において、前記コンピュータ本体を内蔵記憶装置(ハードディスク装置等)を有するものとすることも周知の技術的事項(例えば、特開昭63-85920号公報参照)であるので、本願発明のように、コンピュータ本体に内蔵記憶装置(磁気ディスク装置)を有する構成となすことは、前記周知の技術的事項を参酌することにより当業者が容易になし得ることと認められる。
相違点(ii)について、コンピュータ本体と、磁気ディスク(ハードディスク)装置とを含むコンピュータ装置において、磁気ディスクを、コンピュータ本体のためのオペレーティングシステム.ソフトウエア(OS)等の制御プログラムを記録するために用いることは周知の技術的事項(例えば、特開平2-19949号公報、特開平2-129745号公報参照)であり、またその制御プログラムをオペレーティングシステム.ソフトウエア及びアプリケーション.ソフトウエアとすることも、磁気ディスクに記録する制御プログラムとして当業者に自明のものであるから、これを磁気ディスクに記憶させることは当業者が適宜になし得る設計上の事項と認められる。
したがって、本願発明のように構成することは上記周知の技術的事項を参酌することにより当業者が容易になし得ることと認められる。
また、本願発明により奏する作用効果も、当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。
【4】むすび
以上のとおりであって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-08-06 
結審通知日 2002-08-07 
審決日 2002-08-26 
出願番号 特願平3-19343
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹井 文雄圓道 浩史津幡 貴生  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 千葉 輝久
植松 伸二
発明の名称 コンピュータ装置  
代理人 阿部 美次郎  

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