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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G06F |
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管理番号 | 1067364 |
異議申立番号 | 異議2001-72225 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-08-10 |
確定日 | 2002-08-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3137067号「高齢者に配慮した住宅改造計画立案方法」の請求項1ないし16に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3137067号の請求項1ないし9に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件特許第3137067号に係る出願は、平成10年3月9日に出願されたものであって、平成12年12月8日に特許の設定登録がされ、その後その特許請求の範囲における全請求項1〜16に係る発明について、異議申立人吉川俊雄により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年3月15日に訂正請求がなされたものである。 2 訂正の適否 (1)訂正の内容 a 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1中の「日常生活動作に関する動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、」に訂正し、「代表的動作能力レベルデータから選択した住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「代表的動作能力レベルデータから選択した高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、」に訂正し、「入力された住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「入力された高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読出し、」と訂正する。 b 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2中の「複数の改造費用を含む」を明りょうでない記載の釈明を目的として「複数の改造費用を含み、演算手段は第3記憶手段から価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、第4記憶手段から複数の改造費用を読み出し、表示手段は価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示する」に訂正する。 c 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4乃至請求項8を削除する。 d 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9中の「住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢者の居住する住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出し、」に訂正し、「住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、」に訂正し、「日常生活動作に関する動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出し、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出し、」に訂正し、請求項の項番を「請求項9」から「請求項4」に訂正する。 e 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10中の「複数の改造費用データを含む」を明りょうでない記載の釈明を目的として「複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示する」に訂正し、特許請求の範囲の請求項10中の「請求項9」を「請求項4」に訂正し、「請求項10」を「請求項5」に訂正する。 f 訂正事項6 明細書中の特許請求の範囲の請求項11中の「請求項9又は10」を「請求項4又は5」に訂正し、請求項の項番を「請求項11」から「請求項6」に訂正する。 g 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 h 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13中の「住宅の改造対象区画の現存の仕様を演算手段が読み出す手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢者が居住する住宅の改造対象区画の現存の仕様を演算手段が読み出す手順と、」に訂正し、「住宅居住者の日常生活動作に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の日常生活動作に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、」に訂正し、「日常生活動作に関する動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出す手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出す手順と、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出す手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出す手順と、」に訂正し、請求項の項番を「請求項13」から「請求項7」に訂正する。 i 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項14中の「複数の改造費用データを含む」を明りょうでない記載の釈明を目的として「複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示する」に訂正し、特許請求の範囲の請求項10中の「請求項13」を「請求項7」に訂正し、「請求項14」を「請求項8」に訂正する。 j 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項15中の「請求項13又は14」を「請求項7又は8」に訂正し、請求項の項番を「請求項15」から「請求項9」に訂正する。 k 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項16を削除する。 l 訂正事項12〜17 訂正事項1〜11に訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合するために、明細書中の発明の詳細な説明の記載を訂正する(訂正の内容省略)。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張、変更の存否 上記訂正事項1〜11は、特許請求の範囲の減縮又は明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正事項12〜17は、上記訂正事項1〜11に付随的に生じる記載不備を解消するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、及び第3項で準用する同第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3 特許異議の申立ての概要 異議申立人は、甲第1号証(TOTOレブリス推進部編集・発行「レブリスブック第3版」1997年7月1日発行」)、甲第2号証(特開平6-67602号公報)、甲第3号証(瀬口浩一編「住宅リフォームガイド’97」1997年7月発行」、甲第4号証(講談社編「新感覚の住まいのリフォーム」1995年1月10日発行)、甲第5号証(特開平8-77233号公報)、甲第6号証(特開平8-96032号公報)、甲第7号証(特開平8-193423号公報)、及び甲第8号証(知念万里子編「新しい住まいの設計別冊 リフォームしてみたい!2」1994年10月1日発行)を提出し、請求項1〜16(全請求項)に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべき旨主張している。 4 特許異議の申立てについての判断 (1)本件請求項1〜9に係る発明 訂正が認められるので、本件請求項1〜9に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データを記憶する第1記憶手段と、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データを記憶する第3記憶手段と、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データを記憶する第4記憶手段と、代表的現存仕様データから選択した改造対象区画の現在の仕様を入力し、代表的動作能力レベルデータから選択した高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、入力された高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読み出し、入力された住宅の改造対象区画の現在の仕様と第3記憶手段から読み出した適正仕様とに基づいて第4記憶手段から適正仕様への改造費用を読み出す演算手段と、演算手段が読み出した適正仕様と改造費用とを表示する表示手段とを備えることを特徴とするコンピュータにより住宅改造計画を立案する装置。 【請求項2】 適正仕様データは価格の異なる複数の適正仕様を含み、改造費用データは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用を含み、演算手段は第3記憶手段から価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、第4記憶手段から複数の改造費用を読み出し、表示手段は価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示することを特徴とする請求項1に記載の住宅改造計画を立案する装置。 【請求項3】 オプション仕様のデータとオプション仕様に要する費用のデータとを記憶する第5記憶手段を備え、演算手段は、第5記憶手段からオプション仕様とオプション仕様に要する費用とを読み出し、表示手段は演算手段が読み出したオプション仕様とオプション仕様に要する費用を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅改造計画を立案する装置。 【請求項4】 住宅の改造対象区画の仕様に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データファイルであって第1記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢者が居住する住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出し、高齢の住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出し、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データファイルであって第3記憶手段に記憶されたデータファイルから、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出し、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データファイルであって第4記憶手段に記憶されたデータファイルから、住宅の改造対象区画の現在の仕様から適正仕様への改造費用を演算手段が読み出し、当該適正仕様と改造費用とを、演算手段が表示手段に表示することを特徴とするコンピュータにより住宅改造計画を立案する方法。 【請求項5】 適正仕様データファイルは価格の異なる複数の適正仕様データを含み、改造費用データファイルは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示することを特徴とする請求項4に記載のコンピュータにより住宅改造計画を立案する方法。 【請求項6】 オプション仕様とオプション仕様に要する費用のデータファイルであって第5記憶手段に記憶されたデータファイルから、オプション仕様とオプション仕様に要する費用とを演算手段が読み出し、適正仕様と適正仕様への改造費用と共にオプション仕様とオプション仕様に要する費用をも、演算手段が表示手段に表示することを特徴とする請求項4又は5に記載のコンピュータにより住宅改造計画を立案する方法。 【請求項7】 住宅の改造対象区画の仕様に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データファイルであって第1記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢者が居住する住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出す手順と、高齢の住宅居住者の日常生活動作に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出す手順と、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データファイルであって第3記憶手段に記憶されたデータファイルから、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出す手順と、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データファイルであって第4記憶手段に記憶されたデータファイルから、住宅の改造対象区画の現在の仕様から適正仕様への改造費用を演算手段が読み出す手順と、当該適正仕様と改造費用とを演算手段が表示手段に表示する手順とを、コンピュータに実行させる住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項8】 適正仕様データファイルは価格の異なる複数の適正仕様データを含み、改造費用データファイルは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示することを特徴とする請求項7に記載の住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項9】 住宅改造計画立案プログラムは、オプション仕様とオプション仕様に要する費用のデータファイルであって第5記憶手段に記憶されたデータファイルから、オプション仕様とオプション仕様に要する費用とを演算手段が読み出す手順と、オプション仕様とオプション仕様に要する費用とを演算手段が表示手段に表示する手順とを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」 (2)引用刊行物 当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物5(上記甲第5号証)には、「建物リフォーム支援システム」の発明に関し、次の事項が記載されている。 ア「【請求項1】既存の建物部分の間取図及び/又は、増築あるいは改修のために新たに所望する建物部分の間取図を入力する間取図情報入力手段と、前記既存の建物部分の建具の種類に関するデータ及び/又は前記新たに所望する建物部分の建具の種類に関するデータを入力する建具情報入力手段と、前記既存の建物部分の設備の種類に関するデータ及び/又は前記新たに所望する建物部分の設備の種類に関するデータを入力する設備情報入力手段と、前記間取図情報入力手段と、前記建具情報入力手段と、前記設備情報入力手段により入力される各種情報の全部又は一部を表示する表示手段と、その表示手段により表示される表示内容の内、一つ又は複数箇所の領域を特定する領域特定手段と、その領域特定手段により特定される領域に対応して、少なくとも増築する、又は撤去する、又は改修する旨の別を選択する選択手段と、その選択手段により前記撤去する旨が選択された前記領域に関しては、前記既存の建物部分の前記入力された各種情報と、指定される前記既存の建物部分の仕上げ内容とに基づいて前記撤去に要する積算計算を行い、又、前記増築する旨が選択された前記領域に関しては、前記新たに所望する建物部分の前記入力された各種情報と、指定される所望の仕上げ内容とに基づいて前記増築に要する積算計算を行い、又、前記改修する旨が選択された前記領域に関しては、前記既存の建物部分及び前記新たに所望する建物部分の入力された各種情報と、指定される既存の建物部分の仕上げ内容及び指定される所望の仕上げ内容とに基づいて前記改修に要する積算計算を行う積算手段と、その積算手段による積算結果に基づいて、少なくとも前記特定される領域別に見積計算を行う見積手段と、を備えたことを特徴とする建物リフォーム支援システム。 【請求項2】建物の増築又は改修又は撤去時にCADを利用して間取り設計から積算、見積まで行えるものであって、入力装置と表示装置を有し、間取図描画と増改部分表示と仕上げ項目提示を行うCAD装置と、見積に必要な計算を行う積算装置と、少なくとも前記間取図の図形情報を格納する図形ファイルと、前記積算装置から出力される各種積算結果を格納する積算ファイルと、予め定められた工事名称及び仕上げ名称を格納する工種ファイルとを備え、増築又は改修又は撤去を行う部分を指定することによりその増築又は改修又は撤去部分のみの積算・見積書作成が行える建物リフォーム支援システム」(2頁左欄2行〜46行) イ「【0036】図6は、既存の建物部分を撤去し、新たに部屋を増築する場合にも対応可能な住宅リフォーム支援CAD積算システムのフローチャートである。 【0037】ステップ1;既存洋室を撤去し、その跡地にキッチンを増築する場合、ステップ1において、撤去しようと計画している洋室に関するデータとして、次のものを順次入力装置1(図1参照)を用いて入力する。 【0038】すなわち、先ず、既存建物の間取図を入力する。この間取図は、少なくとも撤去対象の領域を含むもので有ればよい。そして、撤去対象の部屋の種類を入力する。和室であるか、洋室であるか、あるいはキッチンであるかといった部屋の種類の中から、この場合、洋室を選択する。次に、内/外壁の各部分の指定を行う。この指定は、上記入力がなされて、表示装置3に表示されている間取図を見ながら入力装置1等を用いて行う。更に、建物の構造として、木造か鉄筋コンクリートかの区分を入力する。尚、撤去対象が壁、天井、床、等の建物の一部分である場合には、それらの情報を同様に入力する。 【0039】ステップ2;次に、撤去する洋室にあるドア、窓、引戸、親子扉、出窓等の建具の種類に関するデータを、間取図の中に追加する。 【0040】ステップ3;次に、撤去する洋室に設けられている設備について入力する。これは、設備の種類に関するデータが、表示装置3に一覧表示されるように構成されているので、その中から例えば、エヤコン等を選択する。ここまでで、撤去の見積に必要な主なデータが入力されたことになる。」(5頁右欄30行〜6頁左欄7行) ウ「【0041】続いて、オペレータの指示に従って、再びステップ1に戻り、今度は、増築計画しているキッチンに関する見積に必要なデータとして、上記の内容と同じプロセス(ステップ1〜ステップ3)で順次入力する。この場合、見取図は、上記ステップにて既に入力したものをコピー等して新たな部分のみ入力すればよい。」(6頁左欄8行〜13行) エ「【0042】ステップ4;次に、既存建物に関してモード選択をする場合は、先ず、表示装置3に既に入力した既存建物の間取図を表示させて、それを見ながら、本実施例の場合撤去するべき領域を、入力装置1を用いて表示装置3の画面表示上で特定する。例えば、そのように特定された領域の境界線を太線表示したり、その領域の表示色を変えたりして見やすくする。そして、表示装置3の右側に表示される増築モード、撤去モード、改修モード、取替モード、既存モードの5つの選択枝の中から、その領域に対して、撤去モードを選択する。」(6頁左欄14行〜23行) オ「【0054】ステップ7;ここでは、見積に必要なデータが全て入力されたか否かの確認が、積算実行の指示の有無によって行われる。引続きデータの入力を行う必要がある場合は、オペレータによりデータ入力の継続を行なうために、ステップ4に戻る。そして、再び、上述したプロセスを必要に応じて実行する。 【0055】一方、データの入力が完了した場合は、オペレータにより積算実行の指示がなされ、この指示に基づいて、上記変更された全てのデータが確定されて、ステップ8へ進む。 【0056】ステップ8;ここでは、上記ステップに既にて入力されている各種データに基づいて、積算装置5により積算が実行される。 【0057】本実施例の場合、先ず、洋室の撤去の見積に必要となる、壁や床、天井の面積や建物構造の区分、及び付帯する建具、設備も含めた積算が実行される。そして、増築部分であるキッチンについては、増築の見積に必要となる、上記各種データ以外に、木拾い計算をはじめとして、ステップ6において入力された仕上げ内容に関するデータ等を用いて積算が行われる。このようにして、全ての積算が完了すれば、ステップ9へ進む。 【0058】ステップ9;上記の演算結果に基づいて、撤去や増築等が指定された領域別に見積計算が実行される。」(6頁右欄32行〜7頁左欄5行) カ「【0059】ステップ10;オペレータの指示に基づいて、所定の書式で上記見積結果及び間取図面等が各種出力装置10から出力される。」(7頁左欄6行〜8行) キ「【0060】このように本実施例に因れば、上記実施例が有する効果に加え、既存の壁や部屋を一旦撤去した後に、その場所に新たに部屋を増築したり、あるいは、壁を改修したりする等の場合でも柔軟に対応できるといった優れた効果を有するものである。」(7頁左欄9行〜13行) 同じく当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物1(上記甲第1号証)には、「高齢者・家族・介助者を配慮した、新しい水まわりプランの提案」のサブタイトル(表紙面)で、次の事項が記載されている。 ク 「身体状況対応レベルマーク」として、 1・・・駆け足ができるなど、問題はない。 2-1・・・駆け足はできないが、手すり・杖にはいっさい頼らず歩ける。 2-2・・・手すり・杖が必要であるが、自立して歩ける。 3・・・歩くのに困難があるが、這ったり車いすで自力で動ける。 4・・・寝たきりあるいはそれに近い。 (4頁下欄表参照) ケ 「トイレおすすめプラン」、「浴室おすすめプラン」、「洗面所おすすめプラン」などにおいて、身体状況のレベルに適合するプランがその価格と共に記載されている。(28頁〜45頁、60頁〜73頁、78頁参照) (2)本件請求項1に係る発明について 本件請求項1係る発明と刊行物5に記載された発明とを対比すると、 (a)刊行物5に記載された発明は、既存の建物部分の間取図及び/又は、増築あるいは改修のために新たに所望する建物部分の間取図を入力する間取図情報入力手段と、前記既存の建物部分の建具の種類に関するデータ及び/又は前記新たに所望する建物部分の建具の種類に関するデータを入力する建具情報入力手段と、前記既存の建物部分の設備の種類に関するデータ及び/又は前記新たに所望する建物部分の設備の種類に関するデータを入力する設備情報入力手段を備えるものである(上記4(2)ア、イ参照)から、「改造対象区画の現在の仕様を入力する入力手段」を備えるという点で、本件請求項1に係る発明と一致する。 (b)刊行物5に記載された発明は、設備情報入力手段により入力される各種情報の全部又は一部を表示する表示手段と、その表示手段により表示される表示内容の内、一つ又は複数箇所の領域を特定する領域特定手段と、その領域特定手段により特定される領域に対応して、少なくとも増築する、又は撤去する、又は改修する旨の別を選択する選択手段と、その選択手段により前記撤去する旨が選択された前記領域に関しては、前記既存の建物部分の前記入力された各種情報と、指定される前記既存の建物部分の仕上げ内容とに基づいて前記撤去に要する積算計算を行い、前記改修する旨が選択された前記領域に関しては、前記既存の建物部分及び前記新たに所望する建物部分の入力された各種情報と、指定される既存の建物部分の仕上げ内容及び指定される所望の仕上げ内容とに基づいて前記改修に要する積算計算を行う積算手段と、その積算手段による積算結果に基づいて、少なくとも前記特定される領域別に見積計算を行う見積手段」を備えるものである(上記4(2)ア、ウ〜オ参照)から、「入力された住宅の改造対象区画の現在の仕様と改造対象区画の改造後の仕様とに基いて、改造後の仕様への改造費用を算出する演算手段」を備えるという点で、本件請求項1に係る発明と一致する。 (c)刊行物5に記載された発明は、オペレータの指示に基づいて、所定の書式で見積結果(改造費用)及び間取図面等(改造後の仕様)を各種出力装置10から出力するものである(上記4(2)カ参照)から、出力が表示手段で行われる点は別として、演算手段が算出した改造後の仕様と改造費用とを出力する出力手段」を備えるという点で、本件請求項1に係る発明と一致する。 (d)刊行物5に記載された発明は、建物の増築又は改修又は撤去時にCADを利用して間取り設計から積算、見積もりまで行える建物リフォーム支援システムである(上記4(2)ア参照)から、「コンピュータにより住宅改造計画を立案する装置」であるという点で、本件請求項1に係る発明と一致する。 したがって、本件請求項1に係る発明と刊行物5に記載された発明は、 「改造対象区画の現在の仕様を入力する入力手段と、入力された住宅の改造対象区画の現在の仕様と、改造対象区画の改造後の仕様とに基いて、改造後の仕様への改造費用を算出する演算手段と、演算手段が算出した改造後の仕様と改造費用とを出力する出力手段とを備えたコンピュータにより住宅改造計画を立案する装置」である点で一致し、演算手段による改造費用の算出アルゴリズム(相違点1)、及びそのハードウェア構成(相違点2)、及び表示手段(相違点3)の各点で相違する。 (相違点1) 本件請求項1に係る発明は、演算手段による改造費用の算出アルゴリズムが、 「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータ」から選択した「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベル」に基づき「各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データ」から得た「改造対象区画の適正仕様」と、 「住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データ」から選択した「改造対象区画の現在の仕様」と、 に基づき、 「改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正使用への改造費用を予め算出した改造費用データ」 から得ることにより行われるのに対して、刊行物5に記載された発明は、そのようには構成されていない点。 (相違点2) 本件請求項1に係る発明は、「代表的現存仕様データ」と「代表的動作能力レベルデータ」を「第1記憶手段」と「第2記憶手段」にそれぞれ記憶しておき、「入力手段」を用いてそれらのデータを選択し「演算手段」に入力すると共に、「適正仕様データ」と「予め算出した改造費用データ」を「第3記憶手段」と「第4記憶手段」に記憶しておき、「演算手段」を用いてそれらのデータを選択し「読み出す」ようにしているのに対して、刊行物5に記載された発明は、そのようには構成されていない点。 (相違点3) 本件請求項1に係る発明は、改造後の仕様と改造費用とを出力する出力手段が「表示手段」であるのに対して、刊行物5に記載された発明は、各種出力装置に出力するものであり、表示手段に出力する点について明記がない点。 そこで前記相違点1について検討すると、 刊行物1には、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベル(身体状況対応レベル)に予め分類した代表的動作能力レベルデータ(上記4(2)ク参照)と、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データがその価格と共に記載され(上記4(2)ケ参照)ているから、改造費用の算出に用いる適正仕様データを、 「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータ」から選択した「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベル」に基づき「各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データ」から得た「改造対象区画の適正仕様」とすることは、当業者が容易になし得ることである。 また、住宅の形式、床面積、間取り等、所定のパラメータによる顧客への質問に対する回答に基いて、予め設定した複数の住宅仕様の中から適正仕様を選択し、その見積額を提示するというように、代表的仕様データに対して費用の算出を行うことは、各種の設備、物品、サービス等の概算的な見積額を提示する手法として慣用的に行われていることであり、また、所与の条件に対する演算結果を予め算出しておき、所与の条件が与えられた場合には、その条件に合う演算結果を選択して提示するというようなことも、各種情報処理システムにおいて慣用されている演算手法にすぎないから、 改造費用を「改造対象区画の適正仕様」と「住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データ」から選択した「改造対象区画の現在の仕様」とに基づき、「改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正使用への改造費用を予め算出した改造費用データ」から得て算出するようなことも、当業者が容易になし得ることである。 以上総合すると、相違点1に係る本件請求項1の構成を採用することは、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。 次に相違点2について検討すると、 演算に必要なデータを予め記憶手段に記憶しておき、必要なデータを入力手段で選択して演算手段に入力すること、また入力手段により入力されたデータに基き演算手段自体により、前記記憶手段から必要なデータを読み出すことは、コンピュータを用いた情報処理システムにおける周知の技術手段にすぎないから、 改造費用の算出に必要な「代表的現存仕様データ」と「代表的動作能力レベルデータ」を「第1記憶手段」と「第2記憶手段」にそれぞれ記憶しておき、「入力手段」を用いてそれらのデータを選択し「演算手段」に入力すること、また、改造費用の算出に必要な「適正仕様データ」と「予め算出した改造費用データ」を「第3記憶手段」と「第4記憶手段」に記憶しておき、「演算手段」を用いてそれらのデータを選択して「読み出す」ようにすることは、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。 次に、相違点3について検討すると、 改造後の仕様と改造費用とを表示装置に表示するか出力装置で出力するかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎないから、相違点3に係る構成は、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。 (3)本件請求項4、7係る発明について 「住宅の改造対象区画の仕様に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示」、「高齢の住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示」等の構成は、本件請求項1に係る「住宅改造計画を立案する装置」の発明を「住宅改造計画を立案する方法」または「住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明とするに際して当然に採用される構成であり、本件請求項4、7に係る発明は、本件請求項1に係る発明のカテゴリーを変更し、それぞれ「方法」の発明、及び「記憶媒体」の発明としたものにすぎないから、かかる各発明は、本件請求項1に係る発明で示した判断と同趣旨により刊行物1、5に記載された発明、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)請求項2に係る発明について 本件請求項2に係る発明と刊行物5に記載された発明を対比すると、前記相違点1〜3に加え更に次の点で相違する。 (相違点4) 本件請求項2に係る発明は、「適正仕様データは価格の異なる複数の適正仕様を含み、改造費用データは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用を含み、演算手段は第3記憶手段から価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、第4記憶手段から複数の改造費用を読み出し、表示手段は価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示する」のに対して、刊行物5に記載された発明は、そのような構成を備えていない点。 相違点4について検討すると、 住宅計画や住宅の改造計画を立案する場合に、価格の異なる複数の案を検討して提示することは、周知のことである。 そして、相違点4に係る構成は、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを提示するための構成として、設計上容易に想起し得る程度のことであるから、かかる構成を採用することは、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。 (5)請求項5、8に係る発明について 本件請求項5、8係る発明は、本件請求項2に係る発明のカテゴリーを変更し、それぞれ「方法」の発明、及び「記憶媒体」の発明としたものにすぎないから、本件請求項2に係る発明で示した判断と同趣旨により刊行物1、5に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)請求項3に係る発明について 本件請求項3に係る発明と刊行物5に記載された発明を対比すると、前記相違点1〜4に加え更に次の点で相違する。 (相違点5) 本件請求項3に係る発明は、「オプション仕様のデータとオプション仕様に要する費用のデータとを記憶する第5記憶手段を備え、演算手段は、第5記憶手段からオプション仕様とオプション仕様に要する費用とを読み出し、表示手段は演算手段が読み出したオプション仕様とオプション仕様に要する費用を表示する」のに対して、刊行物5に記載された発明は、そのような構成を備えていない点。 相違点5について検討すると、 住宅計画や住宅の改造計画を立案する場合に、オプション案を用意して提示することは、刊行物6(上記甲第6号証)にも記載があるように、当業者に周知のことである。 そして、相違点5に係る構成は、オプションとしての改造計画案を提示するための構成として、設計上容易に想起し得る程度のことであるから、かかる構成を採用することは、当業者が格別の創意工夫を要することなく容易になし得ることである。 (7)請求項6、9に係る発明について 本件請求項6、9係る発明は、本件請求項3に係る発明のカテゴリーを変更し、それぞれ「方法」の発明、及び「記憶媒体」の発明としたものにすぎないから、本件請求項3に係る発明で示した判断と同趣旨により刊行物1、5に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8) まとめ したがって、本件請求項1〜9に係る発明は、刊行物1、5に記載された発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1〜9に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 高齢者に配慮した住宅改造計画立案方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データを記憶する第1記憶手段と、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データを記憶する第3記憶手段と、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データを記憶する第4記憶手段と、代表的現存仕様データから選択した改造対象区画の現在の仕様を入力し、代表的動作能力レベルデータから選択した高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、入力された高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読み出し、入力された住宅の改造対象区画の現在の仕様と第3記憶手段から読み出した適正仕様とに基づいて第4記憶手段から適正仕様への改造費用を読み出す演算手段と、演算手段が読み出した適正仕様と改造費用とを表示する表示手段とを備えることを特徴とするコンピュータにより住宅改造計画を立案する装置。 【請求項2】 適正仕様データは価格の異なる複数の適正仕様を含み、改造費用データは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用を含み、演算手段は第3記憶手段から価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、第4記憶手段から複数の改造費用を読み出し、表示手段は価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示することを特徴とする請求項1に記載の住宅改造計画を立案する装置。 【請求項3】 オプション仕様のデータとオプション仕様に要する費用のデータとを記憶する第5記憶手段を備え、演算手段は、第5記憶手段からオプション仕様とオプション仕様に要する費用とを読み出し、表示手段は演算手段が読み出したオプション仕様とオプション仕様に要する費用を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅改造計画を立案する装置。 【請求項4】 住宅の改造対象区画の仕様に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データファイルであって第1記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢者が居住する住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出し、高齢の住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出し、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データファイルであって第3記憶手段に記憶されたデータファイルから、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出し、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データファイルであって第4記憶手段に記憶されたデータファイルから、住宅の改造対象区画の現在の仕様から適正仕様への改造費用を演算手段が読み出し、当該適正仕様と改造費用とを、演算手段が表示手段に表示することを特徴とするコンピュータにより住宅改造計画を立案する方法。 【請求項5】 適正仕様データファイルは価格の異なる複数の適正仕様データを含み、改造費用データファイルは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示することを特徴とする請求項4に記載のコンピュータにより住宅改造計画を立案する方法。 【請求項6】 オプション仕様とオプション仕様に要する費用のデータファイルであって第5記憶手段に記憶されたデータファイルから、オプション仕様とオプション仕様に要する費用とを演算手段が読み出し、適正仕様と適正仕様への改造費用と共にオプション仕様とオプション仕様に要する費用をも、演算手段が表示手段に表示することを特徴とする請求項4又は5に記載のコンピュータにより住宅改造計画を立案する方法。 【請求項7】 住宅の改造対象区画の仕様に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データファイルであって第1記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢者が居住する住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出す手順と、高齢の住宅居住者の日常生活動作に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、前記質問に対して入力手段を介して手動入力された回答に基づいて、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出す手順と、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データファイルであって第3記憶手段に記憶されたデータファイルから、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出す手順と、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データファイルであって第4記憶手段に記憶されたデータファイルから、住宅の改造対象区画の現在の仕様から適正仕様への改造費用を演算手段が読み出す手順と、当該適正仕様と改造費用とを演算手段が表示手段に表示する手順とを、コンピュータに実行させる住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項8】 適正仕様データファイルは価格の異なる複数の適正仕様データを含み、改造費用データファイルは前記複数の適正仕様データに対応する複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示することを特徴とする請求項7に記載の住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項9】 住宅改造計画立案プログラムは、オプション仕様とオプション仕様に要する費用のデータファイルであって第5記憶手段に記憶されたデータファイルから、オプション仕様とオプション仕様に要する費用とを演算手段が読み出す手順と、オプション仕様とオプション仕様に要する費用とを演算手段が表示手段に表示する手順とを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の住宅改造計画立案プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は高齢者に配慮した住宅改造計画立案方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 高齢化社会の到来により、高齢者に配慮した住宅改造が緊急の課題として登場してきた。 従来、高齢者に配慮した住宅改造計画の立案は、施主の個別の要望に基づいて工務店等が行っていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 高齢者に配慮した住宅改造計画の立案に際しては、高齢者の動作能力に適した住宅仕様を立案することが肝要である。しかし、改造を実施する工務店等の担当者は、一般に、高齢者の動作能力と当該動作能力に適した住宅仕様とに対する専門的な知識が無いので、従来、適正な住宅改造計画を立案するのは困難であった。 本発明は上記問題に鑑みてなされてものであり、高齢者の動作能力と当該動作能力に適した住宅仕様とに対する専門的な知識が無い者でも、適正な住宅改造計画を立案することができる、高齢者に配慮した住宅改造計画立案方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、本発明においては、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様を所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データを記憶する第1記憶手段と、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、各代表的動作能力レベルに対応して予め作成した住宅の改造対象区画の適正仕様データを記憶する第3記憶手段と、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データを記憶する第4記憶手段と、代表的現存仕様データから選択した改造対象区画の現在の仕様を入力し、代表的動作能力レベルデータから選択した高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、入力された高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読み出し、入力された住宅の改造対象区画の現在の仕様と第3記憶手段から読み出した適正仕様とに基づいて第4記憶手段から適正仕様への改造費用を読み出す演算手段と、演算手段が読み出した適正仕様と改造費用とを表示する表示手段とを備えることを特徴とするコンピュータにより住宅改造計画を立案する装置を提供する。 本発明においては、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータから、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを選択するので、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家の助言の下に代表的動作能力レベルを設定しておけば、高齢の住宅居住者の動作能力に対する専門的な知識が無い者でも、簡単な質問に基づいて高齢の住宅居住者の現在の動作能力を代表的動作能力レベルの何れかに当てはめることにより、高齢の住宅居住者の動作能力を的確に把握することができる。 本発明においては、予め作成した適正仕様データから高齢の各住宅居住者の現在の動作能力レベルに応じて改造対象区画の適正仕様を読み出すので、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家のノウハウを組み入れて、代表的動作能力レベルに対応する住宅の改造対象区画の適正仕様を定めておけば、高齢の住宅居住者の動作能力に適した住宅仕様に対する専門的な知識が無い者でも、高齢の住宅居住者の動作能力に応じて改造対象区画の適正仕様を的確に立案することができる。 本発明においては、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様は所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類されており、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用は予め算出されているので、簡単な質問に基づいて住宅の改造対象区画の現在の仕様を代表的現存仕様の何れかに当てはめることにより、改造に要する概算費用を迅速に見積もることができる。 本発明においては、住宅の改造を希望する高齢者に対して、改造対象区画の適正仕様と、改造に要する費用とを同時に提示することができる。 【0005】 本発明の好ましい態様においては、適正仕様データは価格の異なる複数の適正仕様を含み、改造費用データは前記複数の適正仕様に対応する複数の改造費用を含み、演算手段は第3記憶手段から価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、第4記憶手段から複数の改造費用を読み出し、表示手段は価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示する。 価格の異なる複数の適正仕様と、当該仕様に対応する複数の改造費用とを提示することにより、ユーザーの選択の幅が広がり、ユーザーに提供されるサービスの質が向上する。 【0006】 本発明の好ましい態様においては、予め作成したオプション仕様とオプション仕様に要する費用のデータからオプション仕様とオプション仕様に要する費用とを読み出し、オプション仕様とオプション仕様に要する費用をも提示する。 適正仕様と適正仕様への改造費用と共に、オプション仕様とオプション仕様に要する費用をも提示することにより、ユーザーの選択の幅が広がり、ユーザーに提供されるサービスの質が向上する。 【0007】 【発明の実施の形態】 住宅のトイレの改造に具現化された本発明の実施例を説明する。 トイレの改造においては、改造対象トイレの現在の仕様の如何によって、改造に要する費用が異なってくる。そこで、改造費用に大きな影響を及ぼす要因として以下の4項目を抽出した。 ▲1▼住宅の型式(「1:一戸建て」、「2:集合住宅」) ▲2▼築後年数(「1:10年未満」、「2:10年以上25年未満」、「3:25年以上」) ▲3▼・トイレの広さ(「1:半畳」、「2:1畳」、「3:1.5畳」、「4:2畳」) ▲4▼便器の種類(「1:タンク密結式」、「2:ワンピース式」、「3:ロータンク式」、「4:和式」、「5:両用式」 便器の種類の各枝のスケッチを図1に示す。 以上4項目の各枝を組み合わせて、トイレの現存する種々の仕様を1-1-1-1(一戸建て、10年未満、半畳、タンク密結式)から2-3-4-5(集合住宅、25年以上、2畳、両用式)まで120通りの代表的現存仕様に予め分類した代表的現存仕様データを作成した。 【0008】 トイレの改造においては、改造を希望する高齢者の身体状況を的確に把握することが肝要である。そこで、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家の助言の下に、高齢者の動作能力を日常生活動作に基づいて以下の5段階の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを作成した。 ▲1▼駆け足ができる等、問題は全く無い。自力でトイレに行け入浴もできる。 ▲2▼駆け足はできないが、手すり、杖には一切頼らず歩ける。入浴や階段昇降は危険を伴う。 ▲3▼手すり、杖が必要だが自力で歩ける。周囲の人はかなりの危険を感じ、入浴、トイレの使用には介助者の付添いが必要である。 ▲4▼歩くのに困難があるが、這ったり車椅子を使用したりして自力で動ける。入浴、トイレの使用には介助者の全面的な介助が必要である。 ▲5▼寝たきり、又はそれに近い。浴室での入浴、トイレでの排泄は困難である。 【0009】 トイレの改造においては、改造を希望する高齢者の動作能力に応じて適切な改造仕様を策定することが肝要である。また本発明の目的に鑑みて、高齢者の動作能力に適した住宅仕様に対する知識が無い人でも、適切な改造仕様を策定できる必要がある。そこで、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家のノウハウを組み入れて、前述の代表的動作能力レベルのそれぞれに対応するトイレの適正仕様を予め定めた適正仕様データを作成した。適正仕様は、段差緩和スロープの設置、段差の解消、手すりの設置、床置式補高便座(和式便器に載せる簡易式腰掛け便座)の設置、タンク密結式、ワンピース式、ロータンク式等の腰掛け便器の設置、暖房便座の設置、自動洗浄便座の設置等の項目を含む。 【0010】 トイレの改造においては、改造に要する費用の算出を迅速に行うことが肝要である。そこで、上述のトイレの各代表的現存仕様から上述の各適正仕様への改造費用を予め算出した改造費用データを作成した。 【0011】 トイレの改造計画の立案に際しては、トイレの改造を希望する高齢者又はその介助者に対して、改造対象トイレの現在の仕様に就いて以下の4項目の質問がなされる。 ▲1▼住宅の型式は「1:一戸建て」か「2:集合住宅」か。 ▲2▼築後年数は「1:10年未満」か「2:10年以上25年未満」か「3:25年以上」か。 ▲3▼トイレの広さは「1:半畳」か「2:1畳」か「3:1.5畳」か「4:2畳」か。 ▲4▼便器の種類は「1:タンク密結式」か「2:ワンピース式」か「3:ロータンク式」か「4:和式」か「5:両用式」か。 質問に対する回答によって、代表的現存仕様データの中から、改造対象トイレの現在の仕様が選択される。 【0012】 次いで、トイレの改造を希望する高齢者又はその介助者に対して、高齢者自身の動作能力について以下の5項目の質問がなされる。 ▲1▼駆け足ができる等、問題は全く無いか。自力でトイレに行け入浴もできるか。 ▲2▼駆け足はできないが、手すり、杖には一切頼らず歩けるか。入浴や階段昇降は危険を伴うか。 ▲3▼手すり、杖が必要だが自力で歩けるか。周囲の人はかなりの危険を感じ、入浴、トイレの使用には介助者の付添いが必要であるか。 ▲4▼歩くのに困難があるが、這ったり車椅子を使用したりして自力で動けるか。入浴、トイレの使用には介助者の全面的な介助が必要であるか。 ▲5▼寝たきり、又はそれに近いか。浴室での入浴、トイレでの排泄は困難であるか。 質問に対する回答によって、代表的動作能力レベルデータの中から、当該高齢者の現在の動作能力レベルが選択される。 【0013】 次いで、選択された現在の動作能力レベルに対応する改造対象トイレの適正仕様が適正仕様データから読み出され、選択された改造対象トイレの現在の仕様から適正仕様への改造費用が改造費用データから読み出され、適正仕様と改造費用とが住宅の改造計画案としてトイレの改造を希望する高齢者又はその介助者に提示される。 【0014】 本実施例に係る高齢者に配慮したトイレ改造計画立案方法においては、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家の助言の下に、高齢者の動作能力が日常生活動作に基づいて所定数の代表的動作能力レベルに予め分類されているので、簡単な質問に基づいてトイレの改造を希望する高齢者の現実の動作能力を代表的動作能力レベルの何れかに当てはめることにより、高齢者の動作能力に対する専門的な知識の無い者でも、当該高齢者の動作能力を的確に把握することができる。 本実施例に係る高齢者に配慮したトイレ改造計画立案方法においては、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家のノウハウを組み入れて、高齢者の代表的動作能力レベルに対応するトイレの適正仕様を予め作成したトイレの適正仕様データから、トイレの改造を希望する高齢者の代表的動作能力レベルに応じて改造対象トイレの適正仕様を読み出すので、高齢者の動作能力に適した住宅仕様に対する専門的な知識が無い者でも、トイレの改造を希望する高齢者の代表的動作能力レベルに応じて改造対象トイレの適正仕様を的確に立案することができる。 本実施例に係る高齢者に配慮したトイレ改造計画立案方法においては、トイレの現存する種々の仕様は所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類されており、トイレの各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用は予め算出されているので、簡単な質問に基づいてトイレの改造を希望する高齢者が居住する住宅の改造対象トイレの現在の仕様を代表的現存仕様の何れかに当てはめることにより、トイレの改造に要する概算費用を迅速に見積もることができる。 本実施例に係る高齢者に配慮したトイレ改造計画立案方法においては、トイレの改造を希望する高齢者に対して、改造対象トイレの適正仕様と、改造に要する費用とを同時に提示することができる。 【0015】 以上本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されない。 上記実施例において、代表的動作能力レベルのそれぞれに対応するトイレの適正仕様として価格の異なる複数の仕様を定め、前記複数の適正仕様に対応する複数の改造費用を定め、価格の異なる複数の適正仕様と、当該仕様に対応する複数の改造費用とを提示するようにしても良い。複数の仕様の例として、低価格の仕様として「手すりの設置+段差緩和スロープの設置+床置式補高便座の設置(和式便器の上に載せる簡易腰掛け便座)」を設定し、中価格の仕様として「手すりの設置+段差緩和スロープの設置+ワンピース式便器の設置」を設定し、高価格の仕様として「手すりの設置+段差解消+ワンピース式便器の設置+自動洗浄便座の設置」を設定する等が考えられる。価格の異なる複数の適正仕様と、当該仕様に対応する複数の改造費用とを提示することにより、ユーザーの選択の幅が広がり、ユーザーに提供されるサービスの質が向上する。 【0016】 上記実施例において、予め作成したオプション仕様とオプション仕様に要する費用のデータからオプション仕様とオプション仕様に要する費用とを読み出し、オプション仕様とオプション仕様に要する費用をも提示するようにしても良い。オプション仕様の例として、簡易昇降式便座の設置、トイレ暖房マットの設置、緊急ブザーの設置、背もたれの設置、等が考えられる。適正仕様と適正仕様への改造費用と共にオプション仕様とオプション仕様に要する費用をも提示することにより、ユーザーの選択の幅が広がり、ユーザーに提供されるサービスの質が向上する。 【0017】 上記実施例の各手順を図2に示す装置によって行っても良い。 図2に示す装置においては、改造対象トイレの現在の仕様に就いての質問がCRT表示装置、液晶表示装置等の表示装置に表示される。ユーザーは、質問に対する回答をキーボード、マウス等の入力装置を介して入力する。中央処理装置は、メモリ中の制御プログラムの指令を受け、質問に対する回答に基づいて、代表的現存仕様データファイルから、改造対象トイレの現在の仕様を読み出す。 次いで、高齢者自身の動作能力についての質問が表示装置に表示される。ユーザーは、質問に対する回答を入力装置を介して入力する。中央処理装置は、質問に対する回答に基づいて、代表的動作能力レベルデータファイルから、当該高齢者の現在の動作能力レベルを読み出す。 次いで、中央処理装置は、読み出した現在の動作能力レベルに対応する改造対象トイレの適正仕様を適正仕様データファイルから読み出し、読み出した改造対象トイレの現在の仕様から適正仕様への改造費用を改造費用データファイルから読み出す。 適正仕様と改造費用とが住宅の改造計画案として表示装置に表示される。 トイレの改造計画の立案の手順をコンピュータプログラム化することにより、改造計画の立案作業をより迅速化することができる。 【0018】 上記コンピュータプログラムをCD-ROM、磁気ディスク、磁気テープ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、当該記録媒体からコンピュータへ上記コンピータプログラムをダウンロードし、コンピータプログラムをランさせるようにしても良い。 【0019】 本発明は、トイレの改造計画の立案にのみ適用されるものではなく、浴室、洗面所、台所、寝室、リビングルーム、玄関、廊下、階段等、トイレ以外の住宅内の諸区画の改造計画の立案にも適用可能であることはいうまでもない。 【0020】 【発明の効果】 本発明においては、日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータから、高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを選択するので、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家の助言の下に代表的動作能力レベルを設定しておけば、高齢の住宅居住者の動作能力に対する専門的な知識が無い者でも、簡単な質問に基づいて高齢の住宅居住者の現在の動作能力を代表的動作能力レベルの何れかに当てはめることにより、高齢の住宅居住者の動作能力を的確に把握することができる。 本発明においては、予め作成した適正仕様データから高齢の各住宅居住者の現在の動作能力レベルに応じて改造対象区画の適正仕様を読み出すので、理学療法士、ケースワーカー等の医療リハビリ、福祉分野の専門家のノウハウを組み入れて、代表的動作能力レベルに対応する住宅の改造対象区画の適正仕様を定めておけば、高齢の住宅居住者の動作能力に適した住宅仕様に対する専門的な知識が無い者でも、高齢の住宅居住者の動作能力に応じて改造対象区画の適正仕様を的確に立案することができる。 本発明においては、住宅の改造対象区画の現存する種々の仕様は所定のパラメータに基づいて所定数の代表的現存仕様に予め分類されており、改造対象区画の各代表的現存仕様から各適正仕様への改造費用は予め算出されているので、簡単な質問に基づいて住宅の改造対象区画の現在の仕様を代表的現存仕様の何れかに当てはめることにより、改造に要する概算費用を迅速に見積もることができる。 本発明においては、住宅の改造を希望する高齢者に対して、改造対象区画の適正仕様と、改造に要する費用とを同時に提示することができる。 【0021】 価格の異なる複数の適正仕様と、当該仕様に対応する複数の改造費用とを提示することにより、ユーザーの選択の幅が広がり、ユーザーに提供されるサービスの質が向上する。 【0022】 オプション仕様とオプション仕様に要する費用を提示することにより、ユーザーの選択の幅が広がり、ユーザーに提供されるサービスの質が向上する。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例に係るトイレの改造計画立案方法において使用する代表的現存仕様データ中の便器の種類の各枝のスケッチである。(a)タンク密結式を、(b)はワンピース式を、(c)はロータンク式を、(d)は和式を、(e)は両用式を示す。 【図2】 本発明の実施例に係るトイレの改造計画立案方法を実施する装置のシステム構成図である。 |
訂正の要旨 |
(1)訂正の内容 a 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1中の「日常生活動作に関する動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータを記憶する第2記憶手段と、」に訂正し、「代表的動作能力レベルデータから選択した住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「代表的動作能力レベルデータから選択した高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを入力する入力手段と、」に訂正し、「入力された住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「入力された高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに基づいて第3記憶手段から改造対象区画の適正仕様を読出し、」と訂正する。 b 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2中の「複数の改造費用を含む」を明りょうでない記載の釈明を目的として「複数の改造費用を含み、演算手段は第3記憶手段から価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、第4記憶手段から複数の改造費用を読み出し、表示手段は価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示する」に訂正する。 c 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4乃至請求項8を削除する。 d 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9中の「住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢者の居住する住宅の改造対象区画の現在の仕様を演算手段が読み出し、」に訂正し、「住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の日常生活動作に関する所定の質問を演算手段が表示手段に表示し、」に訂正し、「日常生活動作に関する動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出し、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出し、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出し、」に訂正し、請求項の項番を「請求項9」から「請求項4」に訂正する。 e 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10中の「複数の改造費用データを含む」を明りょうでない記載の釈明を目的として「複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示する」に訂正し、特許請求の範囲の請求項10中の「請求項9」を「請求項4」に訂正し、「請求項10」を「請求項5」に訂正する。 f 訂正事項6 明細書中の特許請求の範囲の請求項11中の「請求項9又は10」を「請求項4又は5」に訂正し、請求項の項番を「請求項11」から「請求項6」に訂正する。 g 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 h 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13中の「住宅の改造対象区画の現存の仕様を演算手段が読み出す手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢者が居住する住宅の改造対象区画の現存の仕様を演算手段が読み出す手順と、」に訂正し、「住宅居住者の日常生活動作に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の日常生活動作に関して所定の質問を演算手段が表示手段に表示する手順と、」に訂正し、「日常生活動作に関する動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「日常生活動作に関する高齢者の動作能力を所定数の代表的動作能力レベルに予め分類した代表的動作能力レベルデータファイルであって第2記憶手段に記憶されたデータファイルから、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出す手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルを演算手段が読み出す手順と、」に訂正し、「住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出す手順と、」を特許請求の範囲の減縮を目的として「高齢の住宅居住者の現在の動作能力レベルに対応する改造対象区画の適正仕様を演算手段が読み出す手順と、」に訂正し、請求項の項番を「請求項13」から「請求項7」に訂正する。 i 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項14中の「複数の改造費用データを含む」を明りょうでない記載の釈明を目的として「複数の改造費用データを含み、演算手段は適正仕様データファイルから価格の異なる複数の適正仕様を読み出し、改造費用データファイルから複数の改造費用を読み出し、価格の異なる複数の適正仕様と複数の改造費用とを表示手段に表示する」に訂正し、特許請求の範囲の請求項10中の「請求項13」を「請求項7」に訂正し、「請求項14」を「請求項8」に訂正する。 j 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項15中の「請求項13又は14」を「請求項7又は8」に訂正し、請求項の項番を「請求項15」から「請求項9」に訂正する。 k 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項16を削除する。 l 訂正事項12〜17 訂正事項1〜11に訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合するために、明細書中の発明の詳細な説明の記載を訂正する(訂正の内容省略)。 |
異議決定日 | 2002-06-20 |
出願番号 | 特願平10-56336 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(G06F)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 田中 幸雄 |
特許庁審判長 |
東 次男 |
特許庁審判官 |
関川 正志 江頭 信彦 |
登録日 | 2000-12-08 |
登録番号 | 特許第3137067号(P3137067) |
権利者 | 東陶機器株式会社 |
発明の名称 | 高齢者に配慮した住宅改造計画立案方法 |
代理人 | 坂口 嘉彦 |
代理人 | 坂口 嘉彦 |