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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない E04G
審判 全部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 訂正を認める。無効としない E04G
管理番号 1068193
審判番号 無効2000-35604  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-11-01 
確定日 2001-10-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2838511号発明「コンクリート埋設物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第2838511号「コンクリート埋設物」は、昭和59年1月17日に出願された特願昭59-6833号(以下、「親出願」という。)の特許出願の一部を平成1年11月24日に特願平1-306218号(以下、「子出願」という。)として分割し、該分割出願の一部を平成5年10月29日に特願平5ー271610号として分割し、該分割出願の一部を平成7年7月10日に特願平7-173552号として分割し、該分割出願の一部を平成8年4月8日に特願平8-85107号として分割した特許出願に係り、平成10年10月16日に発明の数2として設定登録され、本件無効審判の答弁書提出期間内の平成13年2月19日に訂正請求がされた。

2 訂正の適否
(1)訂正の内容
(ア)明細書【0033】の
「図40は、ボックス10の別例を示したものである。この例の場合はボックス10の外壁に設けられた切り起こしによる突起76によって、支持部材71をかしめボックス10と一体に形成したものである。この場合、突起76は図41に示すように一端が切断された突片状のものであっても、図43に示すように両端がボックス10の底壁につながった起伏状のものであってもよい。図41に示す例の場合には支持部材71を前記突起76に当接させ、次いで図42に示すように支持部材71を包むようにかしめて固定している。図43に示す例の場合には支持部材71を前記突起76内側に挿通させ、次いで図44に示すように突起76をつぶすことにより支持部材71をかしめて固定している。」を
「図40は、ボックス10の別例を示したものである。この例の場合はボックス10の外壁に設けられた切り起こしによる突起76によって、支持部材71をかしめボックス10と一体に形成したものである。図41に示す例の場合には支持部材71を前記突起76に当接させ、次いで図42に示すように支持部材71を包むようにかしめて固定している。」と訂正する。
(イ)明細書【0034】の「図45」を「図43」と訂正する。
(ウ)明細書【0035】の「図46」を「図44」に、「図47」を「図45」に、「図48」(2箇所)を「図46」に訂正する。
(エ)明細書【0036】の「図49および図50」を「図47および図48」に訂正する。
(カ)明細書【0038】の「(図51参照)」を「(図49参照)」に訂正する。
(キ)明細書【図面の簡単な説明】の
「【図43】別例の支持部材の固定状態を説明するための断面図である。
【図44】同じく別例の支持部材の固定状態を説明するための断面図である。
【図45】ボックスについての別例の斜視図である。
【図46】インサートを例にした埋設物の一例を示す斜視図である。
【図47】鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図48】コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図49】インサートについての別例を示す斜視図である。
【図50】図49に示すインサートの断面図である。
【図51】プラスチック製型枠を用いコンクリート壁内にボックスを埋設した場合の側面図である。」を
「【図43】ボックスについての別例の斜視図である。
【図44】インサートを例にした埋設物の一例を示す斜視図である。
【図45】鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図46】コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図47】インサートについての別例を示す斜視図である。
【図48】図47に示すインサートの断面図である。
【図49】プラスチック製型枠を用いコンクリート壁内にボックスを埋設した場合の側面図である。」に訂正する。
(ク)図面の図43及び図44を削除し、図45を図43に、図46を図44、図47を図45、図48を図46、図49を図47、図50を図48、図51を図49に、それぞれ訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記(ア)、(ク)における図43及び図44並びにその説明を削除する訂正については、平成1年11月24日の子出願の際に追加された図43及び図44の実施例が、出願当初の実施例ではないことを明確にするためのもので、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする。そして、この訂正は、新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもない。
また、その余の訂正については、図43及び図44の削除に対応して、明細書及び図面の記載の整合をとるためのもので、明りょうでない記載の釈明を目的とし、新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものでもない。
請求人は、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとして認めるべきであると主張する。
しかしながら、上記訂正は実施例の一部を削除するもので、特許請求の範囲の記載について訂正するものではない。また、特許請求の範囲の記載は一義的に明確であって、明細書の詳細な説明を参酌して解釈すべきであるとする事情も見あたらない。したがって、実施例の一部を削除するのみの上記訂正について、特許請求の範囲の減縮を目的とするということはできない。
(3)むすび
以上のとおり、上記訂正は、平成6年改正前の特許法134条2項ただし書き及び134条5項において準用する平成6年改正前の126条2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3 本件発明
本件発明は、平成13年2月19日に訂正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1項及び第2項に記載されたとおりの次のものと認められる。
「1.手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であると共に、曲げられた状態で型枠に埋設物本体の開口部を押圧できる突張り強度を有し、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設される線状の複数の支持部材の各々を、前記埋設物本体の開口部の反対側に複数箇所で取付ける取付部を備えたことを特徴とするコンクリート埋設物。
2.手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であると共に、曲げられた状態で型枠にボックスの開口部を押圧できる突張り強度を有し、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設される線状の複数の支持部材の各々を、前記ボックスの開口部の反対側の4隅における複数箇所で取付ける取付部を備えたことを特徴とするコンクリート埋設物。」

4 請求人の主張
本件特許出願の分割は適法にされたものではないから、その出願日は、親出願の出願日まで遡及することなく、子出願の出願日である平成1年11月24日又は本件特許出願の明細書について補正をした平成9年6月27日であり、本件請求項1及び請求項2に係る発明は、本件特許出願前頒布された特開昭60-152747号公報に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び請求項2に係る発明の特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
また、本件特許出願は、明細書の特許請求の範囲の記載に不備があるため、本件請求項1及び請求項2に係る発明の特許は、特許法36条4項(ただし、出願日が昭和59年1月17日に遡及する場合は特許法36条5項)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

5 被請求人の主張
本件特許出願の分割は適法にされたものであり、その出願日は、親出願の出願日である昭和59年1月17日であるから、請求人が引用する特開昭60-152747号公報は本件出願前頒布された刊行物ではない。
また、本件特許出願の明細書の特許請求の範囲の記載には不備はない。

6 分割要件違反及び29条違反についての判断
(1)請求人が本件発明の出願について分割要件違反を主張する理由の概要は次のとおりである。
[理由1]
本件請求項1に係る発明は、「線状の複数の支持部材」を「埋設物本体の開口部の反対側に複数箇所で取付ける取付部を備えた」と記載され、本件請求項2に係る発明は、「線状の複数の支持部材」を「ボックスの開口部の反対側の4隅における複数箇所で取付ける取付部を備えた」と記載されているが、親出願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「親出願の出願当初明細書等」ということがある。)には全く記載されていない。
すなわち、親出願の出願当初明細書等では、背面側の平らな面に着目して、ボックス(10)の平らな背面、インサート(50)の頭部の平らな背面、埋設物(30,40,50)の背面と対向する取付部(32,42,52)の平らな板面にそれぞれ線状の支持部を背面側よりあてがい、かつその状態で線状の支持部を取付けて、線状の支持部の押圧(矢印(63))が埋設物に一様に加えられるようにしたのであり、平らな面以外の別の個所に線状の支持部を取付けて埋設物を型枠に押圧できるようにした技術的思想を開示も示唆もしない。
それにもかかわらず、線状の支持部材を新たな位置に設けたものについても包含できるように、線状の支持部材を埋設物本体ないしボックスの「開口部の反対側に」取付けると変更したものであり、本件発明は、親出願の出願当初明細書等に記載した事項から明らかに逸脱し拡張しているものである。
したがって、本件発明に係る出願の出願日は、親出願の出願日に遡及することなく、せいぜい「開口部の反対側に」を新たに加入した子出願の出願日である平成1年11月24日である。
[理由2]
本件明細書【0033】及び図43、44に記載の実施態様は、親出願の出願当初明細書等には全く記載されていない。したがって、本件発明に係る出願は適法になされた分割出願ではなく、本件発明に係る出願の出願日は、親出願の出願日に遡及することなく、明細書が補正され、図43、44が追加された子出願の出願日である平成1年11月24日である。
[理由3]
本件発明の「支持部材」は、平成9年6月27日の手続補正により「複数の支持部材」と変更された。しかしながら、親出願の出願当初明細書等には一貫して「2つの支持部材」が記載されているのみで、2つの支持部材以外の数値をも含む発明が記載されていたと認めることができない。
そうすると、本件発明に係る出願は適法になされた分割出願ではなく、本件発明に係る出願の出願日は、上記平成9年6月27日である。

(2) 親出願の願書に最初に添付した明細書及び図面の記載
本件分割出願(孫出願)の親出願である特願昭59一6833号(特開昭60-152747号)の願書に最初に添付した明細書及び図面には、次のように記載されている。
(a)特許請求の範囲
「1 手による折り曲げが可能で、かつ曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有する線状の支持部と、支持部をコンクリート壁内に埋設される埋設物に取付ける取付部とからなるコンクリート埋設物の架設具。
2 コンクリート埋設物とこれに一体に設けられた線状の支持部材よりなる架設具とからなり、支持部材は手による折り曲げが可能で、かつ曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有し、支持部材を曲げてコンクリート壁内の支骨である鉄筋に架設し埋設物の位置決めを行うようになした架設具を有するコンクリート埋設物。」
(b)目的
「本発明に係る架設具は従来からある埋設物に取付けることができ、これの線状の支持部を手で折り曲げることによってコンクリート壁の支骨をなす鉄筋への架設状態を自由に設定できるようにし、また、本発明に係る埋設物は線状の支持部材である架設具を用いることによってコンクリート壁の支骨をなす鉄筋への架設状態を自由に設定できるようにしたもので、本発明の目的とするところは、埋設物を埋設するにあたって、埋設物の鉄筋への架設を容易かつ迅速に行い、作業の効率化を図ることにある。」(3頁3〜13行)
(c)線状の支持部と取付部とからなる架設具(第1、2図)
「まず、本発明に係る架設具について説明する。本発明に係る架設具は埋設物と別体に構成され、埋設物に取付けて使用するものである。本発明に係る架設具は、手による折り曲げが可能で、かつ曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有する線状の支持部と、支持部をコンクリート壁内に埋設される埋設物に取付ける取付部とからなっている。
以下、図面にしたがって本発明に係る架設具を説明する。
第1図および第2図において、支持部(1)はコンクリート壁の支骨をなす鉄筋(5)に架設される部分である。支持部(1)は手で曲げることができるものであって曲げ方向を自在に設定できるものである。線状の支持部(1)の具体的な形状については、断面が円形のものや四角のもの、或いは、偏平なもの等色々考えられるが、特に支骨をなす鉄筋(5)への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から断面円形のものがすぐれている。具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。また、支持部(1)は、曲げられた状態で型枠に埋設物本体を押圧できる突っ張り強度を有するものであって、第1図に示すように、埋設物(4)を型枠(6)に押し当てた状態のときに、埋設物(4)に対して加わる矢印(61)方向の力に対して、支持部(1)が曲げられた状態で、これに対向するように矢印(62)方向に埋設物(4)を突っ張らせる押圧力を有している。この状態では埋設物(4)は支持部(1)によって、型枠(6)に押しつけられた状態換言すれば密接した状態に保たれている。
取付部(2)は、支持部(1)を埋設物(4)に取付けるための構造を有するものである。取付けには螺子による取付け、嵌合による取付け等種々の手段がある。取付部2の形状については埋設物(4)の外形状によって種々の態様をとる。しかし、第2図に示すように、埋設物(電気配線用ボックス)(4)に一様に支持部(1)の押圧(矢印63)が加わるような態様となるのが型枠への密着性の点から好ましい。」(3頁15行〜5頁18行)
(c-1)ボックスに取付ける架設具の一例(第3〜11図)
「第3図から第11図までは、電気配線用のボックス(10)に取付ける架設具についての一例である。第3図は架設具の平面図、第4図は架設具の断面図(A-A)である。この例の場合は、手による折り曲げ可能な線状の支持部(11)と板状の取付部(12)とからなり、支持部(11)は取付部(12)の両側に並設されている。取付部(12)はボックス(10)の外壁に取付けるための切り起こしによる突片(13)を有している。支持部(11)は、取付部(12)の両側に断面半円弧状に形成する凹部(14)に嵌め込まれて、スポット溶接により取付部12に固定されている。」(6頁1〜12行)
「 第6図は架設具をボックス10に取付けた状態の断面図を示したものである。」(7頁15〜16行)
(cー2)ボックスに取付ける架設具の別例(第12〜14図)
「第12図から第14図までは、ボックス(10)に取付ける架設具の別例を示したものである。この例の場合は、架設具の取付部(12)に突片(13)ではなく、孔(20)を設けたものである。ボックス(10)の外壁には前記孔(20)に合致する孔(21)が設けられている。」(11頁5〜10行)
(c-3)エンドカバーに取付ける架設具の一例(第15〜18図)
「次に、電線管の端末に使用される端末保護具であるエンドカバー(30)および仮枠ブッシング(40)に取付ける架設具の例について説明する。
第15図から第18図までは、エンドカバー(30)に取付ける架設具の一例を示すものである。この例の場合は、手による折り曲げ可能な線状の支持部(31)と、一方辺に支持部(31)を固定し、もう一方辺に挿通孔(33)を設けた略L字形状の取付部32とを有している。支持部(31)は、スポット溶接により取付部32に固定されている。
この例の場合は、取付部(32)はコネクター(34)とエンドカバー(30)の前壁面との間に挟持された状態に取付けられるようになっている。」(11頁17行〜12頁11行)
(c-4)エンドカバーに取付ける架設具の別例(第19〜20図)
「第19図および第20図は、エンドカバー(30)に取付ける架設具の別例を示したものである。この例の場合は、略L字形状の取付部(32)のうち線状の支持部(31)を固定している一方辺が、エンドカバー(30)の背壁面の形状に沿うように形成されている。」(14頁2〜7行)
(c-5)仮枠ブッシングに取付ける架設具の一例(第21〜24図)
「第21図から第24図までは、仮枠ブッシング(40)に取付ける架設具の一例を示したものである。この例の場合は、中央に挿通孔(43)を有する円板状の取付部(42)と、取付部(42)にスポット溶接により固定された手による折り曲げ可能な線状の支持部(41)とからなっている。」(14頁17行〜15頁4行)
(c-6)インサートに取付ける架設具の一例(第25〜28図)
「第25図から第28図までは、インサート(50)に取付ける架設具についての一例である。この例の場合は、インサート(50)の頭部の外形状に合致する内形状を有し、インサート(50)頭部に嵌挿される嵌挿部(53)を設けた取付部(52)と、取付部(52)上面にスポット溶接により固定された手による折り曲げ可能な線状の支持部(51)とからなっている。」(16頁11行〜16頁17行)
(c-7)インサートに取付ける架設具の別例(第29〜33図)
「第29図から第33図までは、インサート(50)に取付ける架設具の別例を示したものであり、支持部(51)をスポット溶接でなく取付部(52)に形成された弾性を有する凹部(54)により固定するようにしたものである。」(18頁第1〜5行)
(d)線状の支持部材よりなる架設具を有する埋設物
「次に、本発明に係るコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設する線状の支持部材よりなる架設具を有するコンクリート埋設物(以下本発明に係る埋設物という)について説明する。
本発明に係る埋設物は、埋設物とこれと一体に形成された線状の支持部材よりなる架設具とからなり、支持部材は手による折り曲げが可能で、かつ曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有し、支持部材を曲げてコンクリート壁内の支骨である鉄筋に架設し埋設物の位置決めを行うようになしたものである。
支持部材は、前記架設具の支持部と同様に手による折り曲げが可能であり、また曲げられた状態で埋設物を型枠に押圧できる突っ張り強度を有するものである。従って、埋設物はこの支持部材折り曲げによって所定に位置決めがなされるようになっている。この線状の支持部材の具体的な形状については、断面が円形のものや四角のもの、或いは、偏平なもの等があるが、特に支骨をなす鉄筋(5)への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から線状のものがすぐれている。具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。」(19頁14行〜21頁1行)
(d-1)ボックスの一例(第34〜36図)
「以下、本発明に係る埋設物として電気配線用のボックス(10)およびインサート(50)を例にあげて説明する。
第34図から第36図までは、電気配線用のボックス(10)についての一例である。この例の場合は、手により折り曲げ可能な線状の支持部材である架設具(71)を並設してボックス(10)の外壁にスポット溶接により固定したものである。」(21頁5〜9行)
(d-2)ボックスの別例(第37〜39図)
「第37図から第39図までは、本発明に係るボックス(10)の別例であり、ビス(72)頭部の下面で支持部材である架設具(71)を固定しボックス(10)と一体に形成したものである。すなわちボックス(10)の外壁に仮設具(71)を嵌め込む溝(73)を設け、溝(73)近くにビス(72)を止め、ビス(72)頭部の下面で溝(73)に嵌め込まれた架設具(71)を押さえて固定し、ボックス(10)と一体に形成している。」(22頁15行〜23頁4行)
(d-3)ボックスの別例(第40〜42図)
「第40図から第42図までは、本発明に係るボックス(10)の別例を示したものである。この例の場合はボックス(10)の外壁に設けられた切り起こしによる突起(76)によって、架設具(71)をかしめボックス(10)と一体に形成したものである。この例の場合には、第41図に示すように架設具(71)を前記突起(76)に当接させ、次いで第42図に示すように架設具(71)を包むようにかしめて固定している。」(23頁17行〜24頁6行)
(d-4)ボックスの別例(第43図)
「第43図に示す例は、線状の支持部材である架設具(71)がボックス(10)の外壁に十字形に設けられているものである。このように架設具(71)がボックス(10)の外壁に十字形に設けられていると,上下方向にも広い範囲に架設具(71)の鉄筋(5)への架設が行なえる。」(24頁7〜12行)
(d-5)インサートの一例(第44〜46図)
「第44図から第46図までは本発明に係るインサート(50)についての一例である。この例の場合は、手で折り曲げ可能な線状の支持部材である架設具(81)を並設してインサート(50)の頭部にスポット溶接により固定してインサート(50)と一体に形成したものである。」(24頁15行〜25頁2行)
(d-6)インサートの別例(第44〜46図)
「第47図および第48図は本発明に係るインサート(50)の別例である。この例の場合には、インサート(50)の頭部に弾性を有する凹部(82)を形成し、これに手で折り曲げ可能な線状の支持部材である架設具(81)を嵌め込んでインサート(50)と一体に形成したものである。」(25頁17行〜26頁4行)

(3)理由1についての判断
親出願の出願当初明細書等には、「本発明に係る埋設物は線状の支持部材である架設具を用いることによってコンクリート壁の支骨をなす鉄筋への架設状態を自由に設定できるようにしたもので、本発明の目的とするところは、埋設物を埋設するにあたって、埋設物の鉄筋への架設を容易かつ迅速に行い、作業の効率化を図ることにある。」(上記(b))と記載され、特許請求の範囲第2項には、「コンクリート埋設物とこれに一体に設けられた線状の支持部材よりなる架設具とからなり、支持部材は手による折り曲げが可能で、かつ曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有し、支持部材を曲げてコンクリート壁内の支骨である鉄筋に架設し埋設物の位置決めを行うようになした架設具を有するコンクリート埋設物。」(上記(a))と記載され、また、「本発明に係るコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設する線状の支持部材よりなる架設具を有するコンクリート埋設物(以下本発明に係る埋設物という)について説明する。
本発明に係る埋設物は、埋設物とこれと一体に形成された線状の支持部材よりなる架設具とからなり、支持部材は手による折り曲げが可能で、かつ曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有し、支持部材を曲げてコンクリート壁内の支骨である鉄筋に架設し埋設物の位置決めを行うようになしたものである。」(上記(d))と記載されている。
この記載によれば、線状の支持部材は、曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できるように、コンクリート埋設物に一体に取付けられるものであることが認められる。
そして、該「架設具を有するコンクリート埋設物」の発明の実施例についてみると、次のとおりの記載が認められる。
「手により折り曲げ可能な線状の支持部材である架設具(71)を並設してボックス(10)の外壁にスポット溶接により固定した」(上記(d-1))
「ボックス(10)の外壁に仮設具(71)を嵌め込む溝(73)を設け、溝(73)近くにビス(72)を止め、ビス(72)頭部の下面で溝(73)に嵌め込まれた架設具(71)を押さえて固定し、ボックス(10)と一体に形成している」(上記(d-2))
「ボックス(10)の外壁に設けられた切り起こしによる突起(76)によって、架設具(71)をかしめボックス(10)と一体に形成した」(上記(d-3))
「線状の支持部材である架設具(71)がボックス(10)の外壁に十字形に設けられている」(上記(d-4))
「線状の支持部材である架設具(81)を並設してインサート(50)の頭部にスポット溶接により固定してインサート(50)と一体に形成した」(上記d-5)
「インサート(50)の頭部に弾性を有する凹部(82)を形成し、これに手で折り曲げ可能な線状の支持部材である架設具(81)を嵌め込んでインサート(50)と一体に形成した」(上記(d-6))
この記載によれば、線状の支持部材が埋設物に直接設けられる実施例については、線状の支持部材は、電気配線ボックスの場合は外壁に一体に形成され、インサートの場合は頭部に一体に形成されるものであることが認められ、図面を参照すると、いずれも埋設物の開口部の反対面に取付けられ、鉄筋に架設して型枠に埋設物を押圧する機能を果たすことが認められる。また、取付部を介して埋設物に支持部を設ける実施例(c-1)〜(c-7)においても、板状の取付部の開口部に対する反対面に支持部が設けられ、型枠に埋設物を押圧するように構成されていることが認められる。
以上のとおり、特許請求の範囲第2項等には、埋設物と一体に取付けられた線状の支持部材が鉄筋に架設され型枠に埋設物を押圧するという技術思想が開示され、線状の支持部材により埋設物を鉄筋に架設することができ、型枠に埋設物を押圧する作用を果たせば、線状の支持部材の取付け位置を問うものではないというべきで、その実施例として、線状の支持部材が開口部の反対面に取付けられたものが記載されている以上、親出願の願書に最初に添付した明細書及び図面には、線状の支持部材を「埋設物本体の開口部の反対側に」取付けるという技術思想は、開示されていたというほかない。
請求人は、親出願の出願当初明細書等では、埋設物の背面側の平らな面に着目して線状の支持部を取付けているのであり、平らな面以外の別の個所に線状の支持部を取付けて埋設物を型枠に押圧できるようにした技術的思想を開示も示唆もしないと主張する。
たしかに、親出願の出願当初明細書等に記載された実施例では、埋設物の背面側の平らな面に線状の支持部を取付けているが、親出願の出願当初明細書の特許請求の範囲第2項には、「コンクリート埋設物とこれに一体に設けられた線状の支持部材よりなる架設具」と記載され、支持部材の取付け位置を特に限定せずに、埋設物を型枠に押圧するという作用を果たすように取付けられるという技術思想が開示されている。実施例においては、埋設物を型枠に押圧するという作用を果たすために背面に線状の支持部を取付けるという技術的に自然な構成を採用したと解するのが自然で、線状の支持部材を背面側の平らな面に着目して取付けるという技術思想のみが開示されているとはいえない。
また、請求人は、親出願の出願当初明細書等に開示されたものは、ボックスの背面を意識してそこの面に取付けるものであることは、親出願の審査における平成1年11月24日付け意見書において被請求人が明確に述べていることであると主張するが、該意見書では、親出願の補正後の特許請求の範囲に記載された発明について、「すなわち本件発明は、コンクリート埋設用ボックスの架設具に関するものであって、その架設具の取付部はボックスの背面に取付けられるものであり」と記載されていると認められるが、取付部を介して支持部を取付ける架設具において、取付部がボックスの背面に取付けられることを述べているものであり、本件発明とは異なる別件の発明についての主張であって、親出願の出願当初明細書等に開示された技術思想が該意見書で言及されているもののみであるとすることはできない。

(4)理由2についての判断
上記訂正により、図43及び図第44並びにその説明は削除された。したがって、請求人の主張は妥当ではなくなった。

(5)理由3についての判断
親出願の出願当初明細書等の実施例では、支持部ないし支持部材の数は2であり、十字形に設けられている1例(第43図)を除き、線状の支持部ないし支持部材は、取付部ないし埋設物の背面に適当な間隔を隔てて平行に設けられていることが認められる。
しかしながら、親出願の出願当初明細書の特許請求の範囲の記載によれば、線状の支持部の数については規定されていない。
また、親出願の出願当初明細書の第1図及び第2図の説明(上記(c))では、
「支持部(1)は、曲げられた状態で型枠に埋設物本体を押圧できる突っ張り強度を有するものであって、図1に示すように、埋設物(4)を型枠(6)に押し当てた状態のときに、埋設物(4)に対して加わる矢印(61)方向の力に対して、支持部(1)が曲げられた状態で、これに対向するように矢印(62)方向に埋設物(4)を突っ張らせる押圧力を有している。この状態では埋設物(4)は支持部(1)によって、型枠(6)に押しつけられた状態換言すれば密接した状態に保たれている。」、「取付部2の形状については埋設物(4)の外形状によって種々の態様をとる。しかし、図2に示すように、埋設物(電気配線用ボックス)(4)に一様に支持部(1)の押圧(矢印63)が加わるような態様となるのが型枠への密着性の点から好ましい。」と記載され、埋設物に対する押圧力を有する支持部材が、埋設物に対して一様に支持部材の押圧が加わるように取付けられるのが好ましいことが開示されている。
とすれば、支持部材の数を増やすとそれだけ押圧の一様さは増すものであるから、3本ないし4本等の2以上の支持部材を使用することは示唆されているというべきで、複数の支持部材が開示されていることは、当業者にとっては自明である。
また、親出願の出願当初明細書等の特許請求の範囲の記載からは、線状の支持部ないし支持部材を少なくとも一つ備えている架設具ないし埋設物が開示されていることが認められるから、複数の支持部材とすることは、一様に押圧することが困難な1つの線状の支持部ないし支持部材を除外するように支持部材の数を限定したものであるということができる。
このように、「複数の支持部材」とすることは、親出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内のものである。

以上のとおり、本件発明に係る出願は適法に分割されたもので、その出願日は、昭和59年1月17日である。
したがって、請求人が提示した特開昭60-152747号公報は本件出願前頒布された刊行物ではなく、本件特許請求の範囲第1項及び第2項に記載された発明は、該刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

7 記載不備についての判断
請求人は、本件明細書の特許請求の範囲に記載された「手による三次元方向に自在に折り曲げが可能・・・支持部材」について、力には個人差があり、力の弱い人は手で折り曲げるのが困難あるいは不可能な太さの支持部材があり、また、理設物から外方に突出する支持部材の中間はなんとか手で折り曲げられるが、その端側は工具でないと折り曲げるのが困難あるいは不可能な太さの支持部材もあり、どの程度の支持部材を指して記載しているのか特定することができず、不明確であるとして、特許請求の範囲の記載不備を主張している。
しかしながら、本件明細書には、「【0028】次に、本発明に係るコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設する線状の支持部材を埋設物本体に直接一体に設けて成る埋設物について説明する。
【0029】支持部材は、前記支持部材保持体を介して支持部材を一体に設けて成る埋設物と同様に、手による折り曲げが可能であり、かつ曲げられた状態で埋設物本体の開口部を型枠に押圧できる突っ張り強度を有するものである。従って、埋設物本体はこの支持部材の折り曲げによって所定に埋設位置への位置決めがなされるようになっており、さらに型枠に密接した状態に保たれるようになっている。この線状の支持部材の具体的な形状については、断面が円形のものや四角形のもの、或いは、偏平なもの等があるが、特に支骨をなす鉄筋への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から線状のものがすぐれている。具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。」と記載され、また、「【0009】図1および図2において、架設具100は支持部材1と支持部材保持体2とで構成されている。
【0010】前記支持部材1はコンクリート壁の支骨をなす鉄筋5に架設される部分である。支持部材1は手で曲げることができるものであって曲げ方向を自在に設定できるものである。線状の支持部材1の具体的な形状については、断面が円形のものや四角のもの、或いは、偏平なもの等色々考えられるが、特に支骨をなす鉄筋5への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から断面円形のものがすぐれている。具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。」と記載されている。
このように、特許請求の範囲の「手による三次元方向に自在に折り曲げが可能・・・支持部材」について、発明の詳細な説明には、折り曲げ可能であることの技術的意義が記載され、また、「線状の支持部材1の具体的な形状については、・・・、特に支骨をなす鉄筋5への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から断面円形のものがすぐれている。」と記載され、さらに、「具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。」との線状の支持部材を具体的に特定する記載があることから不明確とはいえず、特許請求の範囲の記載不備にはあたらない。

8 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により請求人が負担すべきものとする。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンクリート埋設物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であると共に、曲げられた状態で型枠に埋設物本体の開口部を押圧できる突張り強度を有し、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設される線状の複数の支持部材の各々を、前記埋設物本体の開口部の反対側に複数箇所で取付ける取付部を備えたことを特徴とするコンクリート埋設物。
【請求項2】 手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であると共に、曲げられた状態で型枠にボックスの開口部を押圧できる突張り強度を有し、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設される線状の複数の支持部材の各々を、前記ボックスの開口部の反対側の4隅における複数箇所で取付ける取付部を備えたことを特徴とするコンクリート埋設物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋の任意の位置に架設させるコンクリート埋設物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート埋設物は種々の支持部材、架設具等を使用してコンクリート壁の支骨をなす鉄筋の任意の位置に架設される。例えば、スイス特許第627221号明細書に開示されているような板状の帯鉄、実公昭58-7770号公報に開示されているような線状の支持杆、米国特許第2346402号明細書に開示されているようなワイヤーをU字形に折曲してなるU字部材、実開昭57-165027号公報に開示されているような埋設物に一端が固着される鉄線、実開昭58-72929号公報に開示されているような弾発性を有する略矩形状の金具主板等を使用して架設される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の支持部材は、支骨鉄筋の所望位置に埋設物を設置固定することができるものではあるものの、型枠に埋設物を密接させることができないものであった。特に、前述の支持杆は、コンクリート打設後に形成された収納空間に埋設物を設置固定させるためのものであり、前述の鉄線及び金具主板は、埋設物を支骨鉄筋に単に位置決め固定させるためのものであり、埋設物を型枠に密接させることを考慮したものではなかった。また、前述の帯鉄及びU字部材は、仮に埋設物を型枠に当接させることができるものであったとしても、曲げの自在性に劣るものであるため(帯鉄は板状なため二次元的のみにしか曲げられず、U字部材はU字形に折曲されているため曲げの自在性が規制される)、支骨鉄筋の多様な配筋状態に応じて埋設物を設置固定することができないばかりか、型枠に確実に密接させることもできないものであり、さらに、例えば埋設物を固定した後等において、埋設物を型枠に確実に密接させるために曲げ具合いを適宜調節することができるのものではなかった。
【0004】
このように、埋設物が型枠に確実に密接されていないと、コンクリート打設時に、型枠と埋設物との隙間から埋設物の開口部にコンクリートが侵入してしまう。よって、従来の支持部材にあっては、埋設物を支骨鉄筋に配設固定した後に、型枠と埋設物とを密接させる何等かの手段を講じることを余儀なくされるものであった。
【0005】
本発明は、このような従来の支持部材の問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋への架設状態を自由に設定でき、埋設物を容易かつ迅速に設置し、作業の効率化を図ることができると共に、埋設物を型枠に確実に密接させることのできる支持部材を取付けできるコンクリート埋設物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であると共に、曲げられた状態で型枠に埋設物本体の開口部を押圧できる突張り強度を有し、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設される線状の複数の支持部材の各々を、前記埋設物本体の開口部の反対側に複数箇所で取付ける取付部を備えたことを、その要旨としている。
また、請求項2の発明は、手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であると共に、曲げられた状態で型枠にボックスの開口部を押圧できる突張り強度を有し、コンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設される線状の複数の支持部材の各々を、前記ボックスの開口部の反対側の4隅における複数箇所で取付ける取付部を備えたことを、その要旨としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
(作用)
上記構成により、本発明に係るコンクリート埋設物にあっては、支持部材を埋設物本体の開口部の反対側に取付けることができる。したがって、前記支持部材が手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であるから、手で変形させて近くの鉄筋に容易に架設することができ、又、支持部材の曲げ具合を調整することによって埋設物本体を埋設したい所定の位置へ容易に設置することができる。又、支持部材は曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有するから埋設物を型枠に確実に密接させておくことができる。これにより、型枠と鉄筋との間隔が異なっている場合等、設置箇所の状況に対応した埋設物の設置が可能であり、埋設物の設置が迅速に行なえ、埋設作業を効率よく行なうことができる。
【0008】
(実施例)
次に、本発明に係るコンクリート埋設物について、図面に示した実施例に従って詳細に説明する。
【0009】
図1および図2において、架設具100は支持部材1と支持部材保持体2とで構成されている。
【0010】
前記支持部材1はコンクリート壁の支骨をなす鉄筋5に架設される部分である。支持部材1は手で曲げることができるものであって曲げ方向を自在に設定できるものである。線状の支持部材1の具体的な形状については、断面が円形のものや四角のもの、或いは、偏平なもの等色々考えられるが、特に支骨をなす鉄筋5への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から断面円形のものがすぐれている。具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。
また、支持部材1は、曲げられた状態で型枠に埋設物本体を押圧できる突っ張り強度を有するものであって、図1に示すように、埋設物本体4を型枠6に押し当てた状態のときに、埋設物本体4に対して加わる矢印61方向の力に対して、支持部材1が曲げられた状態で、これに対向するように矢印62方向に埋設物本体4を突っ張らせる押圧力を有している。この状態では埋設物本体4は支持部材1によって、型枠6に押しつけられた状態換言すれば密接した状態に保たれている。
【0011】
支持部材保持体2は、支持部材1を埋設物本体4に取付けるための構造を有するものである。取付けには螺子による取付け、嵌合による取付け等種々の手段がある。支持部材保持体2の形状については埋設物本体4の外形状によって種々の態様をとる。しかし、図2に示すように、埋設物本体(電気配線用ボックス)4に一様に支持部材1の押圧(矢印63)が加わるような態様となるのが型枠への密着性の点から好ましい。
【0012】
図3から図11までは、埋設物本体が電気配線用のボックス10についての例である。図3は支持部材及び支持部材保持体の平面図、図4は図3のA-A断面図である。この例の場合は、手による折り曲げ可能な線状の支持部材11と板状の支持部材保持体12とを有し、支持部材11は支持部材保持体12の両側に並設されている。支持部材保持体12はボックス10の外壁に取付けるための切り起こしによる突片13を有している。支持部材11は、支持部材保持体12の両側に断面半円弧状に形成する凹部14に嵌め込まれて、スポット溶接により支持部材保持体12に固定されている。
【0013】
これは、例えば支持部材保持体12の凹部14を弾性を有する部材により形成し、凹部14の内径が支持部材11の径より小径になるようにして凹部14の弾性を利かせて支持部材11を強制的に凹部14に嵌め込んで嵌着するようにしてもよく、また凹部14を形成することなく単に支持部材11を支持部材保持体12にスポット溶接により固定してもよい。
【0014】
符号15は螺孔であり、支持部材保持体12をボックス10に取付けた状態ではボックス10に設けられた透孔17と一致するように形成されている。この螺孔15および透孔17には雄ねじを有する別体のスタットボルトが螺挿されるようになっている。これは、壁面でのボックス10の取付けの場合にボックス10と型枠6とを更に確実に密接固定するのに用いられるものである。したがってスラブでのボックスの取付けのように螺孔15を必要としない場合には、図8に示すように、これに蓋19を設けて密閉しておけばよい。或いは螺孔15はなしでよい。符号16は支持部材保持体12の変形を防ぐための補強リブである。
【0015】
図6は支持部材保持体12をボックス10に取付けた状態の断面図を示したものである。この例の場合、ボックス10の外壁には、支持部材保持体12の突片13が挿入される挿入孔18が形成されている。まず、支持部材保持体12の突片13をボックス10の外壁に向かうようにし、次いでボックス10の外壁に形成された挿入孔18に挿入し、突片13の先端をボックス10の内側へ突出させる。次に、この突出部分を、図7に示すように、ボックス10の内壁に向かって折り曲げる。このとき、図6に示すように突片13の先端が相互に矢印64および65に示すように反対方向に向くように折り曲げると支持部材保持体12がボックス10から外れにくくなる。このように、突片13でボックス10の外壁を挟持させ、支持部材保持体12をボックス10に固定し、支持部材11を一体に設けるようになっている。
【0016】
次に、図9を用いてボックス10を壁面を構成するコンクリート壁内に埋設する場合について説明する。ボックス10を埋設するに際しては、まず線状の支持部材11を手で折り曲げてコンクリート壁の支骨をなすように巡らされた鉄筋5に接しさせる。このときボックス10をコンクリート壁内に埋設する位置にくるように、支持部材11の曲げ具合を調節する。支持部材11は手で折り曲げることができるから調節は容易に行なえる。次いで支持部材11と鉄筋5との接する部分を針金7等で結束して、支持部材11を鉄筋5に架設する。こうして図9に示すようにボックス10を所定の埋設位置に設置する。尚、図中、符号8はボックス10に連結する電線管であり、符号9はボックス10と電線管8とを接続するコネクターである。
【0017】
次いで、図10に示すようにボックス10の開口部に向かって型枠6を当接させる。このとき支持部材11の突張り強度によって矢印66方向にボックス10を押圧し、ボックス10は型枠6に密接した状態に保たれている。本発明においては、支持部材11を手で自由に折り曲げることができるから、例えば、図10に点線で示すように鉄筋5aが配筋されている場合であっても、支持部材11aを図10に一点鎖線で示すように折り曲げてきて鉄筋5aに架設することは容易に行なえる。また、鉄筋5の配筋状態により、一方の支持部材11を図10の縦に走る鉄筋5bに架設するようにしてもよい。
【0018】
このように支持部材11を鉄筋5に架設し、ボックス10の開口部に型枠6を当接させたら、次いで、コンクリート打設を行ない、図11に示すようにボックス10をコンクリート壁90内に埋設する。尚、上記埋設方法は、壁面を構成するコンクリート壁内にボックス10を埋設する方法の一例であり、例えばスラブを構成するコンクリート壁内にボックス10を埋設する場合のように、先に型枠6を立てかけた状態でこれにボックス10を当接させて埋設する方法においても、勿論本発明に係る埋設物の使用は可能である。この場合には、ボックス10を型枠6に当接させ、型枠6にボックス10の開口部が密接するように支持部材11を手で折り曲げて鉄筋5に架設すればよい。
【0019】
図12から図14までは、ボックス10についての別例を示したものである。この例の場合は、支持部材保持体12に突片13ではなく孔20を設けたものである。ボックス10の外壁には前記孔20に合致する孔21が設けられている。この場合の支持部材保持体12のボックス10への取付けは、図13に示すようにタッピングネジ22を孔20および孔21に螺入して取付けてもよいし、また、図14に示すようにボルト23を孔20および孔21に貫通させ、貫通したボルト23の先端からナット24を螺着して取付けてもよい。
【0020】
次に、電線管の端末に使用される端末保護具であるエンドカバー30および仮枠ブッシング40の例について説明する。図15から図18までは、エンドカバー30の例を示すものである。この例の場合は、手による折り曲げ可能な線状の支持部材31と、一方辺に支持部材31を固定し、もう一方辺に挿通孔33を設けた略L字形状の支持部材保持体32とを有している。支持部材31は、スポット溶接により支持部材保持体32に固定されている。この例の場合は、支持部材保持体32はコネクター34とエンドカバー30の前壁面との間に挟持された状態に取付けられるようになっている。すなわち、支持部材保持体32に設けられた挿通孔33にコネクター34の一端に形成された雄ねじ部分35を挿通し、次いでコネクター34の雄ねじ部分35をエンドカバー30の前壁面に設けられた取付孔36に挿入する。次いでエンドカバー30の内側からコネクター34の雄ねじ部分35に螺合する雌ねじを有する止め具37を螺挿することにより、図16に示すように取付けられている。
【0021】
このように支持部材保持体32を取付けたエンドカバー30をスラブを構成するコンクリート壁内に埋設するには、図17に示すように、まず支持部材31を手で折り曲げることにより適宜近くの鉄筋5に接しさせる。そしてエンドカバー30の開口部を型枠6(図18参照)に当接させ、支持部材31の押圧力によりエンドカバー30が型枠6に密接した状態に保たれるようにする。次いで支持部材31と鉄筋5との接した部分を針金7等で結束する。このようにして、支持部材31を鉄筋5に架設し、所定の埋設位置にエンドカバー30を設置する。そしてこの後コンクリート打設を行ない、図18に示すようにエンドカバー30をコンクリート壁90内に埋設する。尚、上記エンドカバー30の埋設にあたっては、先に支持部材31を曲げて鉄筋5に架設し、後からエンドカバー30に型枠6を当接させても良い。
【0022】
図19および図20は、別例のエンドカバー30を示したものである。この例の場合は、略L字形状の支持部材保持体32のうち線状の支持部材31を固定している一方辺が、エンドカバー30の背壁面の形状に沿うように形成されている。このように支持部材保持体32がエンドカバー30の背壁面の形状に沿うように形成されていることにより、図20に示すように、支持部材31を鉄筋5に架設した状態のときにエンドカバー30の端部30aに直に支持部材31の押圧力が加わるため、エンドカバー30を型枠6に強固に密接させておくことができる。従って、コンクリート打設によるトロの侵入を防ぐことができ、また、電線管8との連結状態により端部30aが浮きやすくなるのを防止することができる。
【0023】
図21から図24までは、仮枠ブッシング40の例を示したものである。この例の場合は、中央に挿通孔43を有する円板状の支持部材保持体42と、支持部材保持体42にスポット溶接により固定された手による折り曲げ可能な線状の支持部材41とを備えている。支持部材保持体42の仮枠ブッシング40への取付けは、まず支持部材保持体42をコネクター44と仮枠ブッシング40との間に位置させ、支持部材保持体42の挿通孔43を仮枠ブッシング40の取付孔46に合わせる。次いで、上からコネクター44の雄ねじ部分45を挿通孔43および取付孔46に挿入する。そして仮枠ブッシング40の内側より雄ねじを有する止め具47をコネクター44の雌ねじ部分45に螺合させ、図22に示すように仮枠ブッシング40に取付ける。
【0024】
図23は仮枠ブッシグ40を鉄筋5に架設した状態を示したものである。この場合は、まず仮枠ブッシング40の開口部を型枠6(図24参照)に向かって当接させ、かかる状態で支持部材41を手で折り曲げて鉄筋5に接しさせる。次いで接した部分を針金7等で結束し支持部材41を鉄筋5に架設する。このとき仮枠ブッシング40は支持部材41の押圧力により型枠6に密接した状態に保たれている。こうして所定の埋設位置に仮枠ブッシング40を設置する。次いで、コンクリート打設を行ない図24に示すように仮枠ブッシング40をスラブを構成するコンクリート壁90内に埋設する。
【0025】
次に、インサート50の例について説明する。図25から図28までは、インサート50についての一例である。この例の場合は、インサート50の頭部の外形状に合致する内形状を有し、インサート50頭部に嵌挿される嵌挿部53を設けた支持部材保持体52と、支持部材保持体52上面にスポット溶接により固定された手による折り曲げ可能な線状の支持部材51とを備えている。この例の場合、支持部材保持体52の嵌挿部53は弾性を有する材質により形成し、これを外側に押し拡げながら図26に示すようにインサート50の頭部に強制的に嵌め込むことにより、抜け止めにして、インサート50に取付けるようにしている。
【0026】
図27はインサート50を鉄筋5に架設した状態を示したものである。この場合は、まずインサート50の底部を型枠6(図28参照)に当接させ、支持部材51を鉄筋5に接するように手で折り曲げる。次いで支持部材51と鉄筋5との接する部分を針金7等で結束して、支持部材51を鉄筋5に架設する。このときインサート50は支持部材51の押圧力により型枠6に密接した状態に保たれている。こうして、インサート50を所定の埋設位置に設置する。次いで、コンクリート打設を行ない、図28に示すようにスラブを構成するコンクリート壁90内にインサート50を埋設する。
【0027】
図29から図33までは、インサート50についての別例を示したものであり支持部材51をスポット溶接でなく支持部材保持体52に形成された弾性を有する凹部54により固定するようにしたものである。この例の場合凹部54の開口55は支持部材51の径よりわずかに狭くなっている。また、凹部54の内径は支持部材51の径に合致するようになっている。而して、図31から図33までに示すように、支持部材51を凹部54の開口55に押しあて、凹部54の開口55を外方へ押し拡げるようにして支持部材51を押し込み、凹部55内に支持部材51を嵌合させることによって支持部材51を支持部材保持体52に固定している。この場合の支持部材保持体52は樹脂成形により作製するとよい。
【0028】
次に、本発明に係るコンクリート壁の支骨をなす鉄筋に架設する線状の支持部材を埋設物本体に直接一体に設けて成る埋設物について説明する。
【0029】
支持部材は、前記支持部材保持体を介して支持部材を一体に設けて成る埋設物と同様に、手による折り曲げが可能であり、かつ曲げられた状態で埋設物本体の開口部を型枠に押圧できる突っ張り強度を有するものである。従って、埋設物本体はこの支持部材の折り曲げによって所定に埋設位置への位置決めがなされるようになっており、さらに型枠に密接した状態に保たれるようになっている。この線状の支持部材の具体的な形状については、断面が円形のものや四角形のもの、或いは、偏平なもの等があるが、特に支骨をなす鉄筋への架設のしやすさ、さらに曲げ方向の自在性という点から線状のものがすぐれている。具体的には通称番線と呼ばれ、その中で8番線前後の軟鋼線が最適である。
【0030】
以下、本発明に係る埋設物として埋設物本体が電気配線用のボックス10およびインサート50を例にあげて説明する。図34から図36までは、電気配線用のボックス10についての一例である。この例の場合は、手により折り曲げ可能な線状の支持部材71を並設してボックス10の外壁にスポット溶接により固定したものである。このボックス10を壁面を構成するコンクリート壁内に埋設するには、まずボックス10が所定の埋設位置にくる状態で、支持部材71をコンクリート壁の支骨をなすべく巡らされた鉄筋5に接するように適宜手で折り曲げる。そして支持部材71と鉄筋5とが接する部分を針金7等で結束する。こうして図35に示すようにボックス10の支持部材71を鉄筋5に架設し、ボックス10位置決めがなされる。次に、ボックス10の開口部に向かって型枠6(図36参照)を当接させる。このとき支持部材71の突張り強度によってボックス10は型枠6に密接した状態に保たれている。この後、コンクリート打設を行ない、図36に示すように、ボックス10をコンクリート壁90内に埋設する。
【0031】
尚、上記埋設方法とは異なり、先に型枠6を立てかけてこれにボックス10を当接させ、後から支持部材71を鉄筋5に架設するようにして埋設する方法にも本発明を適用できる。上記例の支持部材71はスポット溶接によってボックス10の外壁に固定され、ボックス10と一体に形成されているものであるが、支持部材71の固定手段についてはこれに限るものではない。
【0032】
図37から図39までは、本発明に係るボックス10の別例であり、ビス72頭部の下面で支持部材71を固定しボックス10と一体に形成したものである。すなわちボックス10の外壁に支持部材71を嵌め込む溝73を設け、溝73近くにビス72を止め、ビス72頭部の下面で溝73に嵌め込まれた支持部材71を押さえて固定し、ボックス10と一体に形成している。この場合は、図38に示すようにビス72を溝73近くに形成する下孔74に螺入することによって支持部材71は強く締付けられボックス10に強固に固定される。この例の場合、ビス72を下孔74に螺入するのを調整することによって、外径の異なる支持部材71の固定ができる。尚、ビス72はタッピングネジとしてもよい。尚、75はスタットボルト螺挿用の螺孔で、本発明にあっては螺孔75はなくてもよい。図39は、ボックス10を鉄筋に架設した状態を示したものである。
【0033】
図40は、ボックス10の別例を示したものである。この例の場合はボックス10の外壁に設けられた切り起こしによる突起76によって、支持部材71をかしめボックス10と一体に形成したものである。図41に示す例の場合には支持部材71を前記突起76に当接させ、次いで図42に示すように支持部材71を包むようにかしめて固定している。
【0034】
図43に示す例は、線状の支持部材71がボックス10の外壁に十字形に設けられているものである。このように支持部材71がボックス10の外壁に十字形に設けられていると、上下方向にも広い範囲に支持部材71の鉄筋5への架設が行なえる。
【0035】
次に、本発明に係るインサート50について説明する。図44から図46までは本発明に係るインサート50についての一例である。この例の場合は、手で折り曲げ可能な線状の支持部材81を並設してインサート50の頭部にスポット溶接により固定してインサート50と一体に形成したものである。このインサート50をスラブを構成するコンクリート壁内に埋設するには、インサート50の底部を型枠6に向かって当接させる。そして、インサート50が所定の埋設位置にくる状態で支持部材81をインサート壁の支骨をなすべく巡ぐらされた鉄筋5に接するように適宜手で折り曲げる。次に支持部材81と鉄筋5とが接する部分を針金7等で結束して、図45に示すように支持部材81を鉄筋5へ架設する。このとき、支持部材81の突張り強度によってインサート50は型枠6に密接した状態に保たれている。かかる状態でコンクリート打設を行ない、図46に示すようにインサート50をコンクリート壁90内に埋設する。
【0036】
図47および図48は本発明に係るインサート50の別例である。この例の場合には、インサート50の頭部に弾性を有する凹部82を形成し、これに手で折り曲げ可能な線状の支持部材81を嵌め込んでインサート50と一体に形成したものである。この例の場合、凹部82の開口は支持部材81の径よりわずかに狭くなっており、また、凹部82の内径は支持部材81の径に合致するようになっている。したがって凹部82に嵌め込まれた支持部材81は凹部82の内側で挟持されて固定されるようになっている。
なお、上記各実施例において、溝73、下孔74、突起76及び凹部82は、特許請求の範囲の取付部に相当するものである。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係るコンクリート埋設物は、この保持部を介して取付けられる支持部材が手による三次元方向に自在に折り曲げが可能であるから、手で変形させて鉄筋に架設すれば、埋設物本体を埋設したい所定の位置へ容易に設置することができる。したがって埋設物本体の設置が迅速に行なえ、埋設作業を効率よく行なうことができる。また、支持部材は手で自由に折り曲げることができるから、これらの曲げ具合を調整することによって埋設物の設置箇所の状況に応じた種々の対応が可能である。さらに、支持部材は曲げられた状態で型枠に埋設物を押圧できる突張り強度を有するから埋設物を型枠に確実に密接させておくことができる。
【0038】
又、本発明に係るコンクリート埋設物は、近時開発されたプラスチック製型枠6aを用いた工法においても使用することができる。(図49参照)この場合、従来は型枠に埋設物本体(図は電気配線用のボックス)をテープではりつけて固定していたのに比べ、本発明に係る埋設物を使用すれば、支持部材71が型枠6aに埋設物本体を押圧できる突張り強度を有するから、より堅固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコンクリート埋設物用の支持部材の使用状態における作用を説明するための側面図である。
【図2】 本発明に係るコンクリート埋設物用の支持部材の使用状態における作用を説明するための平面図である。
【図3】 支持部材及び支持部材保持体の平面図である。
【図4】 図3のA-A断面図である。
【図5】 ボックスを例にした埋設物の一例を示したものであり、支持部材保持体をボックスに取付ける前の斜視図である。
【図6】 支持部材保持体をボックスに取付けた状態の断面図である。
【図7】 支持部材保持体の取付け構造を示す断面図である。
【図8】 蓋を設けて支持部材保持体をボックスに取付けた状態の断面図である。
【図9】 ボックスを鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図10】 型枠を当接させた状態の側面図である。
【図11】 コンクリート壁内に埋設した状態の側面図である。
【図12】 ボックスの別例を示したものであり、支持部材保持体をボックスに取付ける前の斜視図である。
【図13】 タッピンネジを用いて支持部材保持体をボックスに取付ける状態の断面図である。
【図14】 ボルトとナットを用いて支持部材保持体をボックスに取付ける状態の断面図である。
【図15】 エンドカバーを例にした埋設物の一例を示したものであり、支持部材保持体をエンドカバーに取付ける前の分解斜視図である。
【図16】 支持部材保持体をエンドカバーに取付けた状態の側断面図である。
【図17】 エンドカバーを鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図18】 コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図19】 エンドカバーに取付ける支持部材保持体の別例を示したものであり、支持部材保持体をエンドカバーに取付け鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図20】 コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図21】 仮枠ブッシングを例にした埋設物の一例を示したものであり、支持部材保持体を仮枠ブッシングに取付ける前の分解斜視図である。
【図22】 支持部材保持体を仮枠ブッシングに取付けた状態の側断面図である。
【図23】 仮枠ブッシングを鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図24】 コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図25】 インサートに取付ける支持部材保持体の一例を示したものであり、支持部材保持体をインサートに取付ける前の斜視図である。
【図26】 支持部材保持体をインサートに取付けた状態の側断面図である。
【図27】 インサートを鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図28】 コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図29】 インサートの別例を示したものであり、支持部材保持体をインサートに取付ける前の斜視図である。
【図30】 支持部材保持体の取付け状態を示す側断面図である。
【図31】 図30に示す支持部材の固定状態を説明するための嵌め込み前の断面図である。
【図32】 同じく嵌め込み途中の断面図である。
【図33】 同じく嵌め込み後の断面図である。
【図34】 ボックスを例にした埋設物の一例を示す斜視図である。
【図35】 ボックスを鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図36】 コンクリート壁内に埋設した状態の側面図である。
【図37】 ボックスについての別例を示す斜視図である。
【図38】 支持部材の固定部分の断面図である。
【図39】 鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図40】 ボックスについてのさらに別例を示す斜視図である。
【図41】 支持部材の固定状態を説明するための断面図である。
【図42】 同じく支持部材の固定状態を説明するための断面図である。
【図43】 ボックスについての別例の斜視図である。
【図44】 インサートを例にした埋設物の一例を示す斜視図である。
【図45】 鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図46】 コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図47】 インサートについての別例を示す斜視図である。
【図48】 図47に示すインサートの断面図である。
【図49】 プラスチック製型枠を用いコンクリート壁内にボックスを埋設した場合の側面図である。
【符号の説明】
1、11、31、41、51、71、81 支持部材
2、12、32、42、52 支持部材保持体
4 埋設物本体
5 鉄筋
6 型枠
10 ボックス
30 エンドカバー
40 仮枠ブッシング
50 インサート
【図面】

















































 
訂正の要旨 訂正の要旨
明りょうでない記載の釈明を目的として、次の(ア)〜(ク)のとおり訂正する。
(ア)明細書【0033】の
「図40は、ボックス10の別例を示したものである。この例の場合はボックス10の外壁に設けられた切り起こしによる突起76によって、支持部材71をかしめボックス10と一体に形成したものである。この場合、突起76は図41に示すように一端が切断された突片状のものであっても、図43に示すように両端がボックス10の底壁につながった起伏状のものであってもよい。図41に示す例の場合には支持部材71を前記突起76に当接させ、次いで図42に示すように支持部材71を包むようにかしめて固定している。図43に示す例の場合には支持部材71を前記突起76内側に挿通させ、次いで図44に示すように突起76をつぶすことにより支持部材71をかしめて固定している。」を、
「図40は、ボックス10の別例を示したものである。この例の場合はボックス10の外壁に設けられた切り起こしによる突起76によって、支持部材71をかしめボックス10と一体に形成したものである。図41に示す例の場合には支持部材71を前記突起76に当接させ、次いで図42に示すように支持部材71を包むようにかしめて固定している。」と訂正する。
(イ)明細書【0034】の「図45」を「図43」と訂正する。
(ウ)明細書【0035】の「図46」を「図44」に、「図47」を「図45」に、「図48」(2箇所)を「図46」に訂正する。
(エ)明細書【0036】の「図49および図50」を「図47および図48」に訂正する。
(カ)明細書【0038】の「(図51参照)」を「(図49参照)」に訂正する。
(キ)明細書【図面の簡単な説明】の
「【図43】別例の支持部材の固定状態を説明するための断面図である。
【図44】同じく別例の支持部材の固定状態を説明するための断面図である。
【図45】ボックスについての別例の斜視図である。
【図46】インサートを例にした埋設物の一例を示す斜視図である。
【図47】鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図48】コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図49】インサートについての別例を示す斜視図である。
【図50】図49に示すインサートの断面図である。
【図51】プラスチック製型枠を用いコンクリート壁内にボックスを埋設した場合の側面図である。」を
「【図43】ボックスについての別例の斜視図である。
【図44】インサートを例にした埋設物の一例を示す斜視図である。
【図45】鉄筋に架設した状態の斜視図である。
【図46】コンクリート壁内に埋設した状態の側断面図である。
【図47】インサートについての別例を示す斜視図である。
【図48】図47に示すインサートの断面図である。
【図49】プラスチック製型枠を用いコンクリート壁内にボックスを埋設した場合の側面図である。」に訂正する。
(ク)図面の図43及び図44を削除し、図45を図43に、図46を図44、図47を図45、図48を図46、図49を図47、図50を図48、図51を図49に、それぞれ訂正する。
審理終結日 2001-08-07 
結審通知日 2001-08-10 
審決日 2001-08-31 
出願番号 特願平8-85107
審決分類 P 1 112・ 532- YA (E04G)
P 1 112・ 121- YA (E04G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 伸夫渋谷 知子  
特許庁審判長 伊坪 公一
特許庁審判官 志村 博
後藤 千恵子
登録日 1998-10-16 
登録番号 特許第2838511号(P2838511)
発明の名称 コンクリート埋設物  
代理人 鈴江 孝一  
代理人 樋口 武尚  
代理人 鈴江 正二  
代理人 樋口 武尚  

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