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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B05B
管理番号 1068383
審判番号 不服2001-7734  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-07-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-10 
確定日 2002-12-10 
事件の表示 平成 8年特許願第348474号「粉体塗装用粉体塗料供給機」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年 7月 7日出願公開、特開平10-180152、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成8年12月26日の出願であって、その請求項1〜7に係る発明(以下、「本願発明1〜7」という。)は、平成12年12月18日に提出された手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「【請求項1】 流動層式粉体塗料タンクに直接設けられる粉体塗装用粉体塗料供給機であって、
前記タンク内において流動化された粉体塗料が導入される導入口を備え前記タンク内に挿入される挿入部分、分散された前記粉体塗料が排出される排出口を備え前記タンク外に突出する突出部分および前記挿入部分と前記突出部分との間に前記タンクに固定する部分を有する円筒状のスクリューケーシングと、
このスクリューケーシング内の前記導入口から前記排出口に至る部分に収容され、前記導入口から導入された前記粉体塗料を前記排出口に向けて圧密化しつつ搬送するスクリューと、
前記スクリューケーシングに設けられ、前記粉体塗料の圧密化を促進するために前記流動化粉体塗料から脱気する脱気手段と、
前記スクリューの下流側であって前記排出口に隣接して前記スクリューの回転軸に取り付けられ、前記圧密化粉体塗料を分散する分散羽根と、
前記スクリューの回転軸を回転駆動する駆動手段とを有することを特徴とする粉体塗装用粉体塗料供給機。」

【2】引用例記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明1〜7は、本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である(1) 特開平8-47656号公報(以下、「引用例1」という。)、(2) 特開昭57-28701号公報(以下、「引用例2」という。)、(3) 実願昭63-69863号(実開平1-172526号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)、(4) 特開平7-112369号公報(以下、「引用例4」という。)、及び、(5) 特開昭58-26724号公報(以下、「引用例5」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本願発明1〜7は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というにある。
そして、これらの引用例1〜5には、以下のような技術的事項(但し、括弧内は対応する本願発明1の構成を示す。)が記載されているものと認められる。
・引用例1;
「粉体塗料を収容する粉体容器の下方に、粉体容器内の粉体塗料を定量排出する排出装置(スクリュー)を設け、上記粉体容器に、粉体塗料を、流動エアーによって粉体塗料が流動状態で収容されている粉体塗料タンク(流動層式粉体塗料タンク)から供給するようにした粉体塗料の定量供給装置において、上記粉体容器に、バイブレータ(脱気手段)を取付けた粉体塗料の定量供給装置。」(第2欄第18〜24行参照)
・引用例2;
「ケーシング8内に、粉体出口9に向ってピッチが減衰した減衰型スクリュー(スクリュー)を有し、該減衰型スクリューとケーシングとの間にフイルターを取り付けた多孔体よりなる脱気筒11(脱気手段)が設けられた粉体の脱気装置。」(第2頁左下欄第2〜6行参照)
また、第2図には、減衰型スクリュー(スクリュー)に対向して、粉体出口9の先に逆螺旋状のスクリューが記載されている。
・引用例3;
「排出口10を立設し空気供給口7aを側面に持った渦巻室7を先端部に連設したスクリュートラフ5(スクリューケーシング)を貯槽タンク1の底部に連設するとともに、該タンク1の底部に貫通しトラフ5内に嵌入横架した回転軸14に先端部を二重羽根4aとしたスクリューフィーダー4(スクリュー)を軸設するとともに、前記回転軸14の先端には渦巻羽根6を軸設し、該渦巻羽根6を渦巻室7内に配設してなる高濃度搬送装置。」(実用新案登録請求の範囲参照)
「高濃度搬送の場合、トラフ内における凝集性がないため、スクリューコンベアで粉体物を排出口にまで送り込めないという搬送能力上の限界を有していた。」(第2頁第4〜7行)
・引用例4;
「駆動手段への粉体塗料の混入を防止するパージ空気噴出手段を有する加圧式研掃材噴射機。」(特に、図2参照)
・引用例5;
「加圧タンク1(流動層式粉体タンク)内において流動化された粉粒体(粉体)が導入される導入口を備え前記タンク1内に挿入される挿入部分、分散された前記粉粒体(粉体)が排出される排出口を備え前記タンク1外に突出する突出部分および前記挿入部分と前記突出部分との間に前記タンクに固定する部分を有する円筒状の案内筒12(スクリューケーシング)と、この案内筒12(スクリューケーシング)内の前記導入口から前記排出口に至る部分に収容され、前記導入口から導入された前記粉粒体(粉体)を前記排出口に向けて搬送するスクリュー14aと、前記スクリュー14aの回転軸を回転駆動する駆動手段20と、前記スクリュー14aに対向して基軸側に設けた逆螺旋状の対抗スクリュー14bと、を有する粉体供給機。」(特に、第1図参照)

【3】対比・判断
そこで、本願発明1と引用例1〜5記載の発明とを対比すると、
引用例1、4記載の発明は、そもそも、圧密化粉体を分散する分散羽根を備えていない。
引用例3記載の発明は、粉体搬送量を一定にして粉体の定量供給を行うものではないから、脱気手段を具備する必要性はなく、また、引用例3記載の発明の「渦巻羽根3」は、(スクリューコンベアのみでは充分に粉体を送り込めない)立設した排出口に、粉体の高濃度搬送が出来るように設けられた羽根であって、圧密化粉体を分散する羽根ではない。
さらに、引用例2、5記載の発明は、スクリューに対向して逆螺旋状の対抗スクリューを設けるものであるが、これらの対抗スクリューは、圧密化粉体を分散する羽根ではない。
これに対して、本願発明1は、脱気手段により流動化粉体塗料を脱気して圧密化を促進させ、さらに、その下流側でこの圧密化された圧密化粉体塗料を分散羽根によって分散することにより、粉体搬送量を一定にして粉体の定量供給を行うものでものであるから、
結局、引用例1〜5記載の発明は、本願発明1の発明特定事項である「スクリューケーシングに設けられ、粉体塗料の圧密化を促進するために流動化粉体塗料から脱気する脱気手段と、スクリューの下流側であって排出口に隣接してスクリューの回転軸に取り付けられ、圧密化粉体塗料を分散する分散羽根」という構成(以下、「事項A」という。)を備えていないし、また、上記「事項A」が、引用例記載の各発明から当業者が容易に想到し得る、とする根拠も見当たらない。
そして、本願発明1は、上記「事項A」により、明細書に記載される「流動化した粉体塗料を脱気圧密化することにより、タンク内の粉面レベルの変動の影響を排除し、圧密化粉体塗料を直ちに均一分散して供給するので、タンク内の粉面レベルの影響を受けることなく、エジェクターおよびガンに高い定量性をもって粉体塗料を分散して供給することができる。」(段落【0036】参照)という、引用例1〜5記載の発明にはない格別の効果を奏するものと認められる。
したがって、本願発明1は、引用例1〜5記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本願発明2〜7は、本願発明1を更に限定したものであるから、これらの何れの発明についても、引用例1〜5記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは明らかである。

【4】むすび
以上のとおりであるから、本願発明1〜7は、引用例記載の各発明から当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-11-26 
出願番号 特願平8-348474
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村山 禎恒大内 俊彦  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 鈴木 充
清田 栄章
発明の名称 粉体塗装用粉体塗料供給機  
代理人 三和 晴子  
代理人 三和 晴子  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 渡辺 望稔  

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