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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1068621 |
審判番号 | 審判1999-6340 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-03-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-04-21 |
確定日 | 2002-12-11 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第134447号「半導体装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年 3月 6日出願公開、特開平10- 65193、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1 経緯および本願発明 本願は、平成 9年 5月 9日(遡及出願昭和60年 5月 7日)の出願であって、その請求項に係る発明は、特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 2 引用例 A.特開昭58-092218号公報 引用例Aには、光電変換装置の水素またはハロゲンを含むアモルファス半導体層において、アルカリ金属の5ppm(2.5×1017cm-3に相当)混入によってP型I型の伝導度の低下がもたらされる点及び被膜中のナトリューム濃度を1014cm-3以下にできる点(特に、第2頁左下欄第1〜3行、第3頁右上欄第6行〜同左下欄第10行、第6頁左上欄第15〜19行、第7頁左下欄第11〜16行)が示されている。 B.SURFACE AND INTERFACE ANALYSIS Vol.4 No.6 p.253-256(1982) 引用例Bには、a-Si:H中のナトリューム濃度をSIMSにより計測する点が記載されている。 3 本願発明と引用例との対比 出願人は、引用例A(特開昭58-092218号公報)におけるナトリューム等の濃度に関する記載は単なる推測又は希望的数値であるから、引用文献Aは引用例になり得ない旨主張している。 しかしながら、引用例A記載の方法によれば、単にナトリウム濃度、酸素濃度を1014cm-3以下にすることはできないが、ナトリウムの如きアルカリ金属濃度や酸素濃度が低濃度になるように真性半導体膜を製作できることまで否定するものではないことを示すと解される。 また、引用例A第3頁右上欄6行〜左下欄10行の記載から、水素またはハロゲン元素が添加された真性または実質的に真性なシリコンを主成分とした非単結晶半導体が示されており、引用例Aが公開された当時の技術常識を加味すると、引用例Aには「水素またはハロゲン元素が添加された非単結晶半導体中のナトリウム濃度および酸素濃度を低濃度にした真性又は実質的に真性のシリコン半導体」が示されていると認める。 しかしながら、当審はこの査定不服事件においては、どの程度の濃度であるかを判断する証拠を有さない。 また、引用例Bの表2のSSMSにおけるNa濃度が1ppmwであることについて検討するに、HCl処理及び濾過装置による完全洗浄によって、アルミニウム箔基材が溶解され、その溶解によってa-Si:Hは微粒子となり、HClが全ての微粒子の全表面に接触し且つそれらの微粒子が洗浄されるので、a-Si:HのNa濃度は、薄いアルミニウム箔基材上に堆積したa-Si:HのNa濃度に比べて、まるで異なるものになる可能性があり、測定値は小さい値となることを否定できない。してみると、引用例Bもナトリウム濃度を具体的に示すものとはいえない。 従って、引用例A,Bには、ナトリュームおよび酸素の濃度を本願発明の値にすることが開示されているとは認められないから、本願発明は、引用例A,B記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 4 まとめ 従って、本願は、原査定の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-11-28 |
出願番号 | 特願平9-134447 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
P 1 8・ 113- WY (H01L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山本 一正、近藤 幸浩 |
特許庁審判長 |
張谷 雅人 |
特許庁審判官 |
森 正幸 平井 良憲 |
発明の名称 | 半導体装置 |
代理人 | 渡邉 順之 |
代理人 | 加茂 裕邦 |