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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1069562
審判番号 不服2001-17958  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-12-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-09 
確定日 2002-12-11 
事件の表示 平成 4年特許願第356153号「自己クロッキング複合図形記号コード」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年12月17日出願公開、特開平 5-334470]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成4年12月18日(パリ条約による優先権主張1991年12月27日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年6月19日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。
「【請求項1】マルチビットディジタル値を電子工学的領域とハードコピー領域との間で相互に転送するための自己クロッキング複合図形記号コードであって、
予め定められた空間的フォーマッティング規則に従って記録媒体に書き込まれる論理的に順序づけられた一連の複合図形記号を備え、
前記複合図形記号のそれぞれは複数の予め定められた認識可能な図形的特徴を有し、かつ、前記図形的特徴のそれぞれは複数の予め定められた認識可能な図形的な状態を有し、該複数の状態は独立して決定されることができ、
前記マルチビットディジタル値は、前記複合図形記号のそれぞれの図形的特徴の状態で予め定められた論理的順序で個々に符号化され、それによって、前記ディジタル値のそれぞれが複数の論理的に順序づけられたビットストリングとして符号化されることを特徴とする自己クロッキング複合図形記号コード。」
2.引用例の記載
これに対し、当審の拒絶理由通知に引用した特開平1-197896号公報(以下「引用例1」という。)、特開昭59-14133号公報(以下「引用例2」という。)には、下記の事項が記載されている。
(引用例1)
A「〔産業上の利用分野〕
本発明は自動読取装置に読取られる図形符号からなるコードの付された表示体に関する。
〔従来の技術〕
物流搬送システムの高度自動化の一方法として、物品にバーコードからなるラベルを印刷もしくは貼付し、ラベル情報を自動読取装置で解読して、物品の搬入から搬出まで、一連の作業を自動化するバーコード管理装置がある。」(第1頁右下欄第7行〜第15行)
B「本発明の前記目的は、2本の互いに直交する対称軸を有しており、8個の領域に分割されている図形符号であって、前記領域は光の反射率の大きい明部又は光の反射率の小さい暗部のいずれかを形成しており、前記図形符号は、複数の該図形符号を、該図形符号の夫々の一方の対称軸が同一直線をなすように隙間なく密着させて並べたときに、複数の該図形符号の1つとこの図形符号に隣接する他の図形符号との境界が視認し得るような形状を有している図形符号からなるコードの付された表示体により達成される。」(第2頁右上欄第13行〜左下欄第6行)
C「図形記号を構成する図形としては円、楕円、正方形等、種々の変形が可能である。」(第2頁左下欄第11行、第12行)
D「第1図は本発明の第1の具体例でありラベル1に印刷された8個の領域に分割された円からなる図形符号2が示されている。前記円の8個の各領域は明部3又は暗部4を形成すべく白色又は黒色に配色されており、その16の2乗、即ち256種類の配色のパターンによって、256通りの情報を有することができる。従って夫々の図形符号は2桁の16進数(0〜9,A〜F)を表示できることになる。本具体例においては2桁の16進数が第2図に示されるパターンに対応づけられている。」(第2頁左下欄第16行〜右下欄第8行)
上記BとCの記載及び第1図によれば、図形符号は8個の領域に分割され、各領域は明部又は暗部に配色され、その8つの領域は左側領域と右側領域とでそれぞれ1ビットを表しており、上記図形符号は、それぞれ4つの領域に分割される、左側領域の半円からなる図形と右側領域の半円からなる図形とからなる複合図形符号ということができる。
したがって、引用例1には、マルチビットディジタル値を電子工学的領域とハードコピー領域との間で相互に転送するための複合図形符号コードであって、
予め定められた空間的フォーマッティング規則に従って表示体に書き込まれる論理的に順序づけられた一連の複合図形符号を備え、
前記複合図形符号は、それぞれ4つの領域に分割される、左側領域の半円からなる図形と右側領域の半円からなる図形とからなり、その8つの領域は明部又は暗部に配色されており、前記左側領域と前記右側領域の配色は独立して決定されることができ、
前記マルチビットディジタル値は、前記複合図形符号のそれぞれの配色状態で予め定められた論理的順序で個々に符号化され、それによって、前記ディジタル値のそれぞれが複数の論理的に順序づけられたビットストリングとして符号化されることを特徴とする複合図形符号コード
が記載されている。
(引用例2)
「この処理は、たとえば収音した音声をパラメータ分析し、それらを2進符号に変換し、2値の信号として2次元パターン化することにより行なわれる。・・・2次元パターンとしては、白黒2値で、黒のパターンの形、数、向き等を変えたり、複数色の多値色の種類、更にそれにパターンの形、数、向き等を変えることにより任意に構成し得る。たとえば、符号0を■、符号1を▲、符号2を▼の形状の異なるパターンで表わし、音声情報を符号化したときの符号が
010 022 20 02120
であったとすると、そのパターンは第2図6のようになる。同様に第2図7はマークの数の異なるパターン、8はマークの向きが異なるパターン・・・の場合を示す。」(第2頁左下欄第3行〜右下欄第1行)
3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明(以下「前者」という。)と上記引用例1に記載の発明(以下「後者」という。)とを比較する。
後者の「複合図形符号コード」は、前者の「自己クロッキング複合図形記号コード」に対応し、
後者の「表示体」は、前者の「記録媒体」に対応している。
したがって、両者は、マルチビットディジタル値を電子工学的領域とハードコピー領域との間で相互に転送するための自己クロッキング複合図形記号コードであって、
予め定められた空間的フォーマッティング規則に従って記録媒体に書き込まれる論理的に順序づけられた一連の複合図形記号を備え、
前記複合図形記号のそれぞれは複数の予め定められた認識可能な事項を有し、かつ、前記事項のそれぞれは複数の予め定められた認識可能な状態を有し、該複数の状態は独立して決定されることができ、
前記マルチビットディジタル値は、前記複合図形記号のそれぞれの事項の状態で予め定められた論理的順序で個々に符号化され、それによって、前記ディジタル値のそれぞれが複数の論理的に順序づけられたビットストリングとして符号化されることを特徴とする自己クロッキング複合図形記号コード
である点で一致し、
複数の予め定められた認識可能な事項が、前者は図形的特徴であるのに対し、
後者は、分割された各領域における明部又は暗部からなる配色である
点で相違している。
次に、上記相違点について検討する。
2値の信号における2次元パターンとして、パターンの形、数、向き等を変えることにより任意に構成し得ることが引用例2に記載されている。
すなわち、2値の信号を図形の形、向きを変えることにより任意に構成できることが読み取れ、この図形の形、向きは図形的特徴に他ならない。
そうすると、このような技術思想を後者に適用して、複合図形記号のそれぞれを複数の予め定められた認識可能な図形的特徴で構成するようにすることは当業者が容易に推考し得ることである。
また、本願発明の効果についてみても、上記事項の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
4.むすび
以上のとおりであって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-07-09 
結審通知日 2002-07-16 
審決日 2002-07-29 
出願番号 特願平4-356153
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 吉見 信明
石井 茂和
発明の名称 自己クロッキング複合図形記号コード  
代理人 中島 淳  
代理人 加藤 和詳  

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