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審決分類 審判 補正却下不服 判示事項別分類コード:13  A63F
管理番号 1069795
審判番号 補正2001-50084  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-07-27 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 2001-08-09 
確定日 2002-12-18 
事件の表示 平成10年特許願第 48864号「遊技機」において、平成13年4月2日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成2年8月16日に出願された特願平2-216536号の一部を分割して、新たな出願とした特願平10-17730号の一部を更に分割して、新たな出願としたものであって、平成13年4月2日付で手続補正がなされたところ、原審においてこの手続補正について平成13年6月13日付で補正の却下の決定をしたものである。
2.原決定の理由
上記補正の却下の決定(以下、「原決定」という。)は次のとおりのものである。
「上記手続補正書による補正は、請求項1として「前記大当り遊技状態時には、前記補助可変表示手段に前記識別情報が停止表示される機会を抑制する」点を追加するとともに、詳細な説明及び図面をそれに対応して補正するものである。
そこで、上記補正について検討すると、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)には、上記補正に関係すると認められる事項として、段落0017には、回数表示器26は、大当り状態中には「前記開閉動作の繰り返し回数を表示する」こと、「玉検出器17a,17bのON信号に基づいて変動表示する」こと(=変動表示器としての機能)、の2つの異なる機能を有していることが記載されている。
しかしながら、大当たり状態中に玉検出器17a,17bが玉の検出を行った場合、回数表示器26(=変動表示器)がどのような表示形態をとるようにマイクロコンピュータ40が制御を行うのかについての記載はなく、図4の変動表示器26の変動表示の処理手順を示した変動表示サブルーチンを参照しても、この点に関する記載を見いだせない。
したがって、大当たり状態中に玉検出器17a,17bが玉の検出を行った場合に回数表示器26(=変動表示器)がどのように機能するかは不明であるといわざるを得ず、回数表示器26が、大当り遊技状態以外の遊技状態中のみ「玉検出器17a,17bのON信号に基づいて変動表示する」ことを前提とした上記補正は、当初明細書に記載された事項の範囲内でないものというべきである。
すなわち、当初明細書には、「前記大当り遊技状態時には、前記補助可変表示手段に前記識別情報が停止表示される機会を抑制する」点は記載されておらず、それらを示唆する記載もない。また、これらの点は当初明細書の記載からみて自明であるとも認められない。
よって、この補正によって請求項1に記載された補正事項は出願当初の明細書に記載された事項の範囲内でないものとなる。
したがって、この補正は明細書の要旨を変更するものと認められ、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。」
3.当審の判断
審判請求人は、平成13年4月2日付の請求項1に係る補正は「大当り遊技状態時には開閉部材23a,23bの繰り返し開閉回数を表示する一方、大当り遊技状態時以外の所定の遊技状態時には玉検出器17a,17bの検出やタイマTに基づいて変動表示するように、マイクロコンピュータ40によって制御されるものであります。そして、かかるマイクロコンピュータ40によって、回数表示器26(=変動表示器)が制御されて、上述のとおり、大当り遊技状態以外の場合にはタイマTに基づく所定時間の変動態様を行った後に、予め定めた「7」が停止されることによって、開閉部材23a,23bが開閉動作されます。一方、大当り遊技状態時には、タイマTに基づく所定時間の変動態様を発生させるといった表示制御はなされず、当該表示が抑制された状態となります。
以上より、手続補正書による補正により追加された、請求項1の「前記大当り遊技状態時には、前記補助可変表示手段に前記識別情報が停止表示される機会を抑制する」という技術事項は、出願当初明細書及び図面の記載事項の範囲内のもの、即ち、記載された事項及び該事項から当業者が自明のものとして把握できる範囲内のものである」旨主張し、要旨変更ではないとしている。
上記補正の根拠となっている出願当初明細書の記載を検討する。
A.段落0017には、「回数表示器26は、大当り状態中において前記開閉動作の繰り返し回数を表示するものであると共に、前記玉検出器17a,17bのON信号に基づいて変動表示する変動表示器としての機能を有している。しかして、変動開始後一定時間経過したときには、その変動表示を停止する。そして、変動停止時に表示される図柄が予め定めた図柄と一致した場合には、前記チューリップソレノイドを所定の態様で駆動する。」と記載されており、回数表示器26は、大当り状態中には「前記開閉動作の繰り返し回数を表示する」こと、「玉検出器17a,17bのON信号に基づいて変動表示する」こと(=変動表示器としての機能)、の2つの異なる機能を有していることが記載されている。
B.段落0018には、「回数表示器26が変動表示器として使用されたときに、「0」〜「9」までの図柄を変動し、そのうちの「7」が当り図柄と設定されている。」、
段落0026には、「入賞口10a,10bのいずれかに打球が入賞した場合の動作において、…玉検出器17a,17bいずれかが○Nしたと判断され、…変動時間であるタイマTがセットされると共に変動が開始される。」、
段落0027には、「タイマTがタイムアップしたときには、…変動が停止される…停止時の図柄が予め定めた図柄と一致しているか否かが判断される。」と記載されており、所定の遊技状態時では、玉検出器17a,17bのONによって変動表示器として機能する回数表示器26が変動を開始し、タイマTがタイムアップすると停止し、その停止図柄が所定の例えば「7」である場合に当たりとすることが記載されている。
C.段落0024には、「マイクロコンピュータ40の各出力ポートには、…回数表示器26…が接続されている。それらの表示器は、マイクロコンピュータ40からの選択データと、表示データとを定周期で出力することにより、ダイナミック駆動される。」と記載されており、この記載及び図3〜5の記載から、マイクロコンピュータ40によって回数表示器26(=変動表示器)が表示制御されるものであることが記載されている。
上記当初明細書によれば、回数表示器26は変動表示器として兼用して使用する旨の記載(段落0035)があるのみで、「前記大当り遊技状態時には、前記補助可変表示手段に前記識別情報が停止表示される機会を抑制する」点の記載はない。
確かに、大当り遊技状態時に変動表示が行われず、回数表示のみになれば、結果として「前記大当り遊技状態時には、前記補助可変表示手段に前記識別情報が停止表示される機会を抑制する」ことになるが、これはあくまで、変動表示器が回数表示器26として兼用して使用されることを前提としているからであって、このことを捨象して、即ち上記補正のように回数表示器26の一面の機能を、回数表示器26の制御がどのように行われるか(変動表示器を兼用する点)を抜きにして、あたかもそれとは別の機能(変動表示の抑制)のみを備えるかのように言い換えることは許されないというべきである。
また、上記A.段落0017には、回数表示器26は、大当り状態中には「前記開閉動作の繰り返し回数を表示する」こと、「玉検出器17a,17bのON信号に基づいて変動表示する」こと(=変動表示器としての機能)、の2つの異なる機能を有していることが記載されている。しかし、大当たり状態中に玉検出器17a,17bが玉の検出を行った場合、回数表示器26(=変動表示器)がどのような表示形態をとるようにマイクロコンピュータ40が制御を行うのかについての記載はなく、図4の変動表示器26の変動表示の処理手順を示した変動表示サブルーチンを参照しても、この点に関する記載を見いだせない。したがって、大当たり状態中に玉検出器17a,17bが玉の検出を行った場合に回数表示器26(=変動表示器)がどのように機能するか、即ち回数表示器26が、大当り遊技状態以外の遊技状態中のみ「玉検出器17a,17bのON信号に基づいて変動表示する」か否かは明確でないが、例え明確であったとしても上記のように判断できるのであるから、上記日付でした手続補正は、明細書の要旨を変更するものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記日付でした手続補正は、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものとした原決定は妥当である。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-10-02 
結審通知日 2002-10-15 
審決日 2002-10-29 
出願番号 特願平10-48864
審決分類 P 1 7・ 13- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 瀬津 太朗
鈴木 寛治
発明の名称 遊技機  
代理人 山田 強  
代理人 川口 光男  

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