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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16H |
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管理番号 | 1069829 |
審判番号 | 不服2000-14185 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-06-08 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-09-07 |
確定日 | 2003-01-14 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第187885号「遊星歯車のキャリア構造」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 6月 8日出願公開、特開平 5-141483、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成3年7月26日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。また、これらを総称して「本願発明」という。)は、平成12年10月6日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 遊星歯車のピニオンギヤを貫通して設けられ、ピニオンギヤを回転可能に支持するピニオンシャフトと、このピニオンシャフトを固定支持するキャリアと、前記ピニオンギヤの内周とピニオンシャフトの外周との間に介在されたニードルと、前記ピニオンギヤの両端面とキャリアとの間に介在されてピニオンシャフトの外周に装着され、ピニオンギヤのスラスト支持を行うピニオンワッシャとを備えた遊星歯車のキャリア構造において、 前記ピニオンワッシャを、キャリア側の第1ピニオンワッシャとピニオンギヤ側の第2ピニオンワッシャによる二枚重ね構成とし、 前記第1ピニオンワッシャの内周縁に、フランジが軸方向に延設され、 このフランジが、その先端面で前記ニードルの端面をスラスト支持可能に、前記ピニオンギヤの内周とピニオンシャフトの外周との間に挿入され、 前記フランジの外周に前記第2ピニオンワッシャが装着され、 前記第1ピニオンワッシャと前記フランジとが、単一材による一体成形品とされていることを特徴とする遊星歯車のキャリア構造。 【請求項2】 前記フランジは、そのフランジを形成する板材の先端部を内側に折り返し重ね合わせて前記板材板厚の2倍の厚さに形成され、かつ、前記ニードルは、その両端面が平らな面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車のキャリア構造。」 2.原査定の拒絶の理由に引用した刊行物記載の発明 刊行物1:特開平3-14947号公報 刊行物2:特開平3-69840号公報 上記刊行物1には、「遊星歯車装置のキャリア組立体」に関して、下記の技術的事項が記載されている。 (a)「スラストワッシャーのニードルベアリング端面との接触部に、ニードルベアリングの端面形状に対応した断面形状でスラストワッシャー中心を回転中心とする回転面が形成されている」(第1頁左下欄第12行乃至第15行) (b)「スラストワッシャー20がピニオンギア14側に配置され、一方、スラストワッシャー21が板状部12a及び12b側に配置されている。スラストワッシャー21は中心穴を有する円板状のものである。一方、スラストワッシャー20は、第2図に示すような形状をしており、ボス部20a及び油みぞ20bを有している。」(第3頁左下欄第3行乃至第10行) (c)「回転面20cにニードルベアリング18の端面が接触している。」(第3頁左下欄第13行乃至第14行) また上記刊行物2には、「遊星歯車装置のキャリア組立体」に関して、下記の技術的事項が記載されている。 (d)「ニードルベアリングの端面はピニオンシャフトに設けられた段付き面に接触する。従って、ニードルベアリングの端面がスラストワッシャーに接触することはなく、スラストワッシャーの摩耗が防止され、十分な耐久性が確保される。」(第2頁左下欄第14行乃至第18行) 3.対比、判断 刊行物1及び2には、本願発明1を構成する事項である、「ピニオンワッシャを、キャリア側の第1ピニオンワッシャとピニオンギヤ側の第2ピニオンワッシャによる二枚重ね構成とし、 前記第1ピニオンワッシャの内周縁に、フランジが軸方向に延設され、 このフランジが、その先端面で前記ニードルの端面をスラスト支持可能に、前記ピニオンギヤの内周とピニオンシャフトの外周との間に挿入され、 前記フランジの外周に前記第2ピニオンワッシャが装着され、 前記第1ピニオンワッシャと前記フランジとが、単一材による一体成形品とされている」点が、記載又は示唆されているとはいえない。 また、ピニオンに対面するワッシャを、キャリア及びピニオンシャフトに対面するワッシャの、内周縁軸方向に延設されたフランジの外周に装着する手法が、従来周知の技術手段であったとも認められない。 そして、本願発明1は、当該構成を採用することで、フランジの付いた第1ピニオンワッシャが、「ピニオンシャフトと、このピニオンシャフトを固定支持するキャリア」に固定的に装着できることから、「ニードルのスラスト支持を行う部材(本発明ではフランジがこれに相当する)の摺動面の数を減少させて発熱量を低下させ、耐久性の向上を図ることができる」(本願明細書の項目【0019】参照)という効果を奏するものと認められる。 とすれば、本願発明1は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 また、本願請求項2は本願請求項1の従属請求項であるため、本願発明1と同様の相違点があるから、本願発明1と同様の理由により、本願発明2は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 4.まとめ 以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-12-25 |
出願番号 | 特願平3-187885 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F16H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 柳 五三 |
特許庁審判長 |
前田 幸雄 |
特許庁審判官 |
秋月 均 内田 博之 |
発明の名称 | 遊星歯車のキャリア構造 |
代理人 | 朝倉 悟 |