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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A47B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47B
管理番号 1070133
審判番号 不服2001-749  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-18 
確定日 2003-01-06 
事件の表示 平成9年特許願第255983号「システム家具」拒絶査定に対する審判事件[平成11年3月23日出願公開、特開平11-75949]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成9年9月4日の出願であって、平成12年12月7日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成13年1月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

II.平成13年1月18日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年1月18日付の手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容、補正後の本願発明
特許法第17条の2第1項第3号の規定に基づく本件手続補正には、特許請求の範囲を次のとおりに補正する補正事項が含まれている。
「【請求項1】三枚より少なくない複数の側板と、互いに直交するように剛結された左右一対の垂直板及び上下一対の水平板を有する複数の連結箱とを備え、前記複数の側板を、中心間の距離が所定値となるように、垂直かつ平行に起立させ、隣接する前記側板間の下部に、巾木を取り付け、前記連結箱の前記垂直板は、隣接する前記側板の対向面に密着できるように形成されており、隣接する前記側板の対向面間のそれぞれに、この連結箱を配置し、この連結箱の左右一対の垂直板を、この連結箱の内部からビスによって、密着する前記側板の対向面に面状に固着することにより、隣接する前記側板を剛結し、かつ、両端の前記側板の間に位置する前記側板は、その左右の前記側板が共用することを特徴とするシステム家具。」
上記補正事項は、補正前の請求項1ないし3、請求項5ないし11を削除し、請求項4に記載した発明を請求項1に繰り上げると共に、「システム家具」について「三枚より少なくない複数の側板」を備えるとの限定を付加し、さらに「巾木を取り付け」、「連結箱の左右一対の垂直板を、この連結箱の内部からビスによって、密着する」ものに限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60-12345号公報(以下、引用例1という。)には、「ユニット家具」に関し、
「主補強材たる箱体と板材の組合せよりなる解体、組立自在のユニット家具。」(特許請求の範囲)、
「第1図は本発明のユニット家具の一実施例である整理戸棚を示す。本戸棚は標準化された寸法に製作された箱体(1)を3個積み重ね、側板として標準寸法の板材(2)を当て、天井板として別の板材(3)を載置してボルトナット類、小ねじ等の緊締具にて締着、組立てられ、引出し(4)が付設される。箱体(1)は第2図に示す通り、一端のみが開放された口を有する長方形断面の筒体であつて、ユニット家具全体としての構造強度を保持し、又椅子、テーブル等として用いるときは直接荷重を受ける部材としての機能をはたす。尚箱体(1)はテーブル等に組立てられたときは引出用枠としての機能を持つが、箱体(1)の両側の口を開放すれば棚部の一つとしても活用できる。箱体(1)及び板材(2)、(3)には、組立のため、所定の位置にボルト孔の切削若しくは金属製の円孔を具備する筒体の埋込又は金属製めねじ部の埋込をなし、各部材の緊締を容易に又確実に行はしめる。」(1頁左下欄12行〜右下欄11行)と記載され、
第1図には、2枚の板材(2)を、中心間の距離が所定値となるように、垂直かつ平行に起立させ、箱体(1)の垂直板を板材(2)の対向面に密着させることが示され、第2図には、箱体(1)は、互いに直交するように剛結された左右一対の垂直板及び上下一対の水平板を有する長方形断面の筒体であることが示され、第3図には、2枚の板材(3)を、中心間の距離が所定値となるように、垂直かつ平行に起立させ、箱体(1)の垂直板を板材(3)の対向面に密着させることが示されている。
これらの記載によれば、引用例1には、
「複数の板材と、互いに直交するように剛結された左右一対の垂直板及び上下一対の水平板を有する複数の箱体とを備え、前記複数の板材を、中心間の距離が所定値となるように、垂直かつ平行に起立させ、前記箱体の前記垂直板は、隣接する前記板材の対向面に密着できるように形成されており、隣接する前記板材の対向面間に、この箱体を配置し、この箱体の左右一対の垂直板を、ボルトナット類、小ねじ等の緊締具によって、密着する前記板材の対向面に面状に固着することにより、隣接する前記板材を剛結するユニット家具。」の発明が開示されていると認めることができる。
(2)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-45010号公報(以下、引用例2という。)には、図面とともに、
「……化粧板の表面に所定間隔で1対のダボ穴(1)が長手方向に沿って多数形成され、上下端部には梯子型台輪(4)の前後枠板端部(6)と嵌合する1対の切込(2)と連結穴(3)が形成された側板(5)と、……化粧板の表裏面に側板(5)と同一間隔で同数のダボ穴(2)が長手方向に沿って多数形成され、上下端部には梯子型台輪(4)の前後枠板端部(6)と嵌合する1対の切込(2)と連結穴(3)が側板(5)と同様に形成された中仕切板(7)と、前記の切込(2)と嵌合する間隔と長さに前後枠板端部(6)が突出し、前記連結穴(3)の位置に合せて左右枠板に1対の横長いバカ穴(8)が形成された梯子型台輪(4)と、側板(5)と中仕切板(7)又は中仕切板(7)相互を固定する……固定棚板(11)と、……側板(5)上部の切込(2)と中仕切板(7)上部の切込(2)間又は中仕切板(7)相互の上部の切込(2)間に嵌合するように差し渡される幕板(13)を主要部品とし、……連結ボルト……などを副部品として構成されたことを特徴とする棚。」(特許請求の範囲第1項)、
「従来は、棚板11’間隔に合わせた扉14’つきの箱体を用いて棚板間に取り付ける事が一般的であった」(2頁右上欄19行〜左下欄1行)、
「台輪が……その左右枠板に1対の横長いバカ穴8が形成されるのは、……台輪4の横長いバカ穴8を貫通させて側板5と中仕切板7の連結穴3に連結ボルト15などの連結金具が容易に固着できる様にするためである。」(3頁右下欄4〜11行)と記載されている。

3.対比
補正発明と引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「板材」、「箱体」、「小ねじ」、「ユニット家具」は、それぞれ補正発明の「側板」、「連結箱」、「ビス」、「システム家具」に相当するから、両者は、
「複数の側板と、互いに直交するように剛結された左右一対の垂直板及び上下一対の水平板を有する複数の連結箱とを備え、前記複数の側板を、中心間の距離が所定値となるように、垂直かつ平行に起立させ、前記連結箱の前記垂直板は、隣接する前記側板の対向面に密着できるように形成されており、隣接する前記側板の対向面間に、この連結箱を配置し、この連結箱の左右一対の垂直板を、ビスによって、密着する前記側板の対向面に面状に固着することにより、隣接する前記側板を剛結するシステム家具。」の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]補正発明では、側板の数は三枚より少なくない数であり、両端の側板の間に位置する側板は、その左右の側板が共用するものであるのに対し、引用例1記載の発明では、側板の数が三枚より少なくない数であることは示されていない点。
[相違点2]補正発明は、隣接する側板間の下部に、巾木を取り付けるものであるのに対し、引用例1記載の発明は、このようなものではない点。
[相違点3]補正発明は、連結箱の垂直板を、この連結箱の内部からビスによって、側板の対向面に固着するものであるのに対し、引用例1記載の発明は、ビスの固着方法を明確にしていない点。

4.判断
[相違点1]について
引用例2には、複数の側板を組立てて棚等を構成する場合に、側板を3枚以上用い、両端の側板の間に位置する側板(中仕切板)は、その左右の側板が共用するものとし、両端の側板とその間に位置する側板との間、間に位置する側板どうしの間に棚板や箱体を固定することが記載されており、引用例1記載の発明において、システム家具を構成する側板の数を三枚以上とし、両端の側板の間に位置する側板は、その左右の側板が共用するものとすることは、引用例2記載の発明を適用して当業者が容易になしうることである。
[相違点2]について
補正発明の「巾木」は、明細書及び第13図等の記載からみて前後枠と左右枠からなる台輪状のものと認められる。一方、引用例2には、組立自在の棚において、隣接する側板間の下部に、台輪を、その左右枠が側板に密着するように取り付けることが記載されているから、引用例1記載の発明において、システム家具として棚等を形成する際に、側板の下部に台輪状の巾木を取り付けることは、引用例2記載の発明に基づいて、当業者が適宜なしうることである。
[相違点3]について
補正発明が、相違点3に係る構成を採用した目的は、「側板10、11の外側に別の部材が存在していても、この別の部材に邪魔されずに容易にビス止めすることができる。」(段落【0029】参照)ためであると認められるところ、刊行物2には、台輪の左右枠を側板に取り付ける際に、台輪の内側からボルト止めすることが示されており、引用例1記載の発明において、連結箱の垂直板を、ビスによって、側板の対向面に固着する際に、引用例2記載の技術を適用し、連結箱の内部からビス止めすることは、当業者が適宜に選択できた設計事項というべきである。
そして、補正発明の作用効果は全体として、引用例1、引用例2から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、補正発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

III.本願発明について
平成13年1月18日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成10年2月12日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。
「中心間の距離が所定値となるように垂直かつ平行に起立する複数の側板と、互いに直交するように剛結された左右一対の垂直板及び上下一対の水平板を有し、かつ前記垂直板が隣接する側板の対向面に密着できるように形成された連結箱とを備え、隣接する側板の対向面間に、少なくとも一つの前記連結箱が配置され、この連結箱の左右一対の垂直板が、密着する側板の対向面に面状に固着されることにより、隣接する側板が剛結されていることを特徴とするシステム家具。」

1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、前記「II.2.(1)」に記載したとおりの発明が開示されていると認められる。

2.対比・判断
本願請求項1に係る発明と引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「板材」、「箱体」、「ユニット家具」は、それぞれ補正発明の「側板」、「連結箱」、「システム家具」に相当するから、両者は、発明を特定する事項に差異がない。

3.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-11-07 
結審通知日 2002-11-08 
審決日 2002-11-19 
出願番号 特願平9-255983
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47B)
P 1 8・ 113- Z (A47B)
P 1 8・ 575- Z (A47B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長島 和子鈴木 公明  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 山口 由木
青山 敏
発明の名称 システム家具  
代理人 平野 一幸  

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