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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) E04F
管理番号 1070548
判定請求番号 判定2002-60085  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1990-01-26 
種別 判定 
判定請求日 2002-09-24 
確定日 2002-12-09 
事件の表示 上記当事者の特許第1939624号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「さね継ぎ構造パネル」は、特許第1939624号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1.請求の趣旨
本件判定請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示す「さね継ぎ構造パネル」(以下、イ号物件という。)が、特許第1939624号に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。
なお、本件は、被請求人が存在しない事案である。

2.本件発明
(本件発明の構成)
本件発明の構成は、特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項9に記載された次のとおりのものである(請求項1については分説する。)。
【請求項1】
A:さねおよび溝を含むさね継ぎ構造パネルであって;
B:該さねは、本質的に凸状の第1パネル側縁部の長手方向に沿って延びる三角形断面を有し;
C:該凸状側縁部は、該さねから該パネルの上面および下面まで傾斜している傾斜面によって形成され;
D:該溝は該凸状側縁部に向い合う本質的に凹状の第2パネル側縁部内に形成された三角形状の窪みからなり;
E:該凹状側縁部には、該第2パネル側縁部の上面および下面から該溝まで内側に傾斜した、該凹状側縁部に沿って浅い本質的に凹状の溝を形成する内側傾斜面が形成されており、これによって該溝内に該さねを案内しそして導き;
F:該さねは先端を有しそして該溝は底部を有するので、前記二つのパネルが継ぎ合わされた場合、該第1パネル側縁部の該さねの該先端は該第2パネル側縁部の該溝の該底部に係合し、そして継ぎ合わされた二つの該パネルの面は、該凸状側縁部の傾斜面が、隣接する該凹状側縁部の傾斜面から離れて傾斜するために、接合部でわずかに離隔されること、
G:を特徴としたさね継ぎ構造パネル。
【請求項2】前記三角形断面のさねの二つの面の間の交差角度が、前記三角形状溝の二つ面の間の交差角度よりも小さいことを特徴とした、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項3】前記パネルが複数枚のベニヤから形成された合板パネルであることを特徴とした、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項4】前記さねおよび溝は合板シートの一つのベニヤ層内に形成されかつ隣接層内に延びていないことを特徴とした、請求項3記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項5】前記パネルが非ベニヤ系の均質パネルである、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項6】前記さねが前記溝の深さよりも長いことを特徴とした、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項7】前記さねの先端が平坦で且つ前記パネル面に実質的に垂直な面内にあることを特徴とした、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項8】前記溝の底部が平坦で且つ前記パネル面に実質的に垂直な面内にあることを特徴とした、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。
【請求項9】前記パネルが配向ストランドボードパネルである、請求項1記載のさね継ぎ構造パネル。

(本件発明の目的・作用効果)
そして、本件発明の上記構成により、
「溝付き側縁の傾斜面24、25によって得られる凹状側縁部は、さね12を溝14内に案内しかつ導くのに役立つ。」(本件特許公報5欄30行〜31行)
「本発明はさね継ぎ構造パネルを用いれば、三角形状のさねが三角形の溝内で中心に位置しようとするので、パネルの当接縁の嵌合が従来の目違い継ぎにくらべて一層容易になる。
さらに、本発明のさね継ぎ構造パネルは、大きい荷重搬送能力を有する高強度結合を与える。
即ち、本発明において、パネル面に垂直に荷重がかかると、その力はまず、さねの先端および溝の底部に近いさねと溝との間に移される。荷重が増大するにつれ、さねは曲がりそして隣接するさねと溝表面とが接触するにつれて、荷重は徐々にさねおよび溝の全体上に移される。これにより、パネルが漸増する荷重に付されにつれ、さね表面に沿って力が均一に分布される。何故なら、荷重が増加するにつれ、さねは曲がって、隣接する溝表面と接触するようになるからである。また、さねのパネルの取付部(この部位で、さねに荷重を負荷することにより加えられる曲げモーメントは最大となる)において、さねは比較的厚く、そして溝の壁の厚さは、溝に荷重を負荷することにより加えられる曲げモーメントが最大となる溝の底部に向かって、最も厚くなる。」(本件特許公報6欄4行〜23行)
という作用効果を奏する。

3.イ号物件
これに対し、イ号図面及びその説明書によれば、イ号物件は次の構成を備えるものと認められる。
a:さね継ぎ構造パネルであり、パネルの側縁部を凹凸に加工して、継ぎ合わせるものである。各パネル11,10は、一方のパネル11(第1パネル)の側縁部に沿ったさね12と、対向するパネル10(第2パネル)の側縁部に設けられた溝14とを有している。
b:さね12は、一方のパネル11(第1パネル)の側縁部に沿って形成され、さね12の先端から一方のパネル11(第1パネル)の上下の表面まで、それぞれ内方に湾曲した連続曲面により、凸状側面部を構成している。
c:溝14は、さね12に対向するパネル10(第2パネル)の側縁部に沿って形成されている。また、溝14は、その底部15からそれぞれ上下に伸び外方に湾曲した曲面からなり、その曲面の上下に、パネル10(第2パネル)の上下の表面に垂直な端面を有しており、溝14と垂直な端面とで凹状側縁部を構成している。
d:溝14の深さよりも長いさね12、および、溝14が組み合わされると、両パネルの上方および下方の間にギャップが生じている。さね12の二つの連続曲面間の角度は溝14の二つの曲面間の交差角度よりも小さいので、さねと溝との間に自由空間が残されて、さねの膨張を許容する。溝14の曲面によって、さね12を溝14内に案内しかつ導くのに役立つものである。

4.対比・判断
(4-1)請求項1に係る本件発明について
(本件発明の構成要件A、Gについて)
イ号物件の構成aが本件発明の構成要件A、Gを充足するか否かを検討する。
イ号物件は、さね継ぎ構造パネルであり、パネルの側縁部を凹凸に加工して、継ぎ合わせるものであり、「さね12」と「溝14」よりなるからから、イ号物件の構成aは本件発明の構成要件A及びGを充足する。
(本件発明の構成要件B、Cについて)
イ号物件の構成bが、本件発明の構成要件B、Cを充足するか否かを検討する。
本件発明の凸状側縁部は、三角形(3点が一直線上にないとき、3つの線分(直線)で囲まれる)断面のさね、および、傾斜面により構成されている。
これに対して、イ号物件の凸状側縁部は、さね12の先端から一方のパネル11(第1パネル)の上下の表面まで、それぞれ内方に湾曲した連続曲面により構成されているさねであるから、イ号物件の構成bは、本件発明の構成要件BおよびCを充足しない。
(本件発明の構成要件D、Eについて)
イ号物件の構成cが本件発明の構成要件D、Eを充足するか否かを検討する。
本件発明の凹状側縁部は、「第2パネル側縁部の上面および下面から・・・溝まで内側に傾斜した・・・内側傾斜面」が形成されており、これによって溝内にさねを案内しそして導くとの構成を有するものである。
これに対して、イ号物件の凹状側縁部は、パネル10(第2パネル)の上下の表面に垂直な端面を有するものであって、当該第2パネルは、その側縁部の「上面および下面」から溝まで「内側に傾斜」した「内側傾斜面」を備えていないから、イ号物件の構成cは、本件発明の構成要件D、Eを充足しない。
(本件発明の構成要件Fについて)
イ号物件の構成dが本件発明の構成要件Fを充足するか否かを検討する。
イ号物件は、本件発明の構成要件Fと同様に、さねは先端を有しそして溝は底部を有するので、二つのパネルが継ぎ合わされた場合、第1パネル側縁部のさねの先端は第2パネル側縁部の溝の底部に係合し、そして継ぎ合わされた二つの該パネルの面は、凸状側縁部が、隣接する凹状側縁部から離れて傾斜するために、接合部でわずかに離隔されているから、イ号物件の構成dは、本件発明の構成要件Fを充足する。
(以上のまとめ)
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件B〜Dを充足しないから、本件発明の技術的範囲に属しない。

(均等について)
ところで、特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、(1)右部分が特許発明の本質的部分ではなく、(2)右部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、(3)右のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、(4)対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、(5)対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、右対象製品等は、特許請求の範囲に記載された製品と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日判決・民集52巻1号113頁参照)。
そこで、本件発明とイ号物件との異なる部分の均等の要件について判断する。
本件発明の凸状側縁部が、三角形状のさねと、その上下の傾斜面で形成されている(構成要件C)のに対し、イ号物件の凸状側縁部は、さね12の先端から一方のパネル11(第1パネル)の上下の表面まで、それぞれ内方に湾曲した連続曲面により形成され(構成b)、両者の構成は明確に異なる。また、本件発明の凹状側縁部は、三角形状の溝および傾斜面から形成されている(構成要件D、E)のに対し、イ号発明の凹状側縁部は、底部15からそれぞれ上下に伸び外方に湾曲した曲面と、その上下の垂直な端面とから形成され(構成c)、両者の構成は明確に異なる。そして、本件発明のイ号物件と異なる部分を、イ号物件ものと置き換えることが、イ号物件の実施の時点において当業者が容易に想到することができたとも認められない。
したがって、イ号物件は上記要件(3)を満たさないから、均等を判断するための他の要件を判断するもでもなく、イ号物件が本件発明と均等なものとすることはできない。

(4-2)請求項2ないし請求項9に係る本件発明について
請求項2ないし請求項9に係る本件発明は、少なくとも、請求項1に係る本件発明の構成要件D、Eの「該凹状側縁部には、該第2パネル側縁部の上面および下面から該溝まで内側に傾斜した、該凹状側縁部に沿って浅い本質的に凹状の溝を形成する内側傾斜面が形成されており、これによって該溝内に該さねを案内しそして導」く構成を発明の主要部としているから、イ号物件は、これらの各本件発明の技術的範囲にも属していないと認められる。

5.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する
 
別掲
 
判定日 2002-11-27 
出願番号 特願平1-64916
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篁 悟服部 秀男  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 新井 夕起子
山口 由木
登録日 1995-06-09 
登録番号 特許第1939624号(P1939624)
発明の名称 さね継ぎ構造パネル  
代理人 秋山 敦  
代理人 城田 百合子  
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