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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1071637
審判番号 不服2001-4265  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-07-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-21 
確定日 2003-02-07 
事件の表示 平成 3年特許願第361354号「パチンコ機の取付台の改造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 7月20日出願公開、特開平 5-177052]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願発明である特願平3-361354号は、平成3年12月27日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年8月26日に提出した手続補正書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 等間隔で立設される中間支柱の間に上下の取付枠材を並行に横設して複数個の矩形の取付枠部を連設し、この各枠部内にパチンコ機を収めるようにしたパチンコ機の取付台において、
前記中間支柱の高さの途中を前記上下の取付枠材により挟まれる区間において切除し、この切除部分によって形成される切除空間内に該切除空間の幅より狭い板厚の補助部材を介挿して前記中間支柱の上部と下部とを接続せしめると共に、前記切除部分に板厚の差に形成される格納空間に増設する球貸機を格納設置することを特徴としたパチンコ機の取付台の改造方法。」

2.特許法第29条第2項について
2-1.周知技術及び引用刊行物に記載の発明
当審の拒絶理由で引用した実願昭50-100287号(実開昭52-15988号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、主に従来装置として以下の事項が記載されている。
1-a.「以下図示する実施例により本考案を詳細に説明すると、第4図及び第5図は従来装置を示すもので、この場合、縦型の各遊技機械1は背中合せに中空部2を介して二列に連続的に設置されている。そして各列の遊技機械1には端部を除いて二台おきに薄型の自動玉貸機3が設けてあり、これによつて使用者は機械の左右いずれかの玉貸機3を利用できる。しかし、これら玉貸機3の中間に位置する二台の遊技機械1の間には、薄板状の支柱4が設けてあり、これにより各遊技機械1を支持している。そのため、遊技機械1の台数が増加すればそれだけ支柱4の占めるスペースは無視し得ないものとなつていた。これに対して本考案装置は、第1図乃至第3図に示す如く、各列の貸玉機3の中間に位置する遊技機械1の間には支柱が介在せず、密着して設置してある。即ち、本考案に係る支柱10は、第2図に明示する如く、背中合せに中空部2を挟んで位置する遊技機械1を一体に支持すべく、該遊技機械1の配列方向に沿つた取付用凹部11を有すると共に、中空部2を貫通してなる支柱部12を有し、前記取付用凹部11の上辺及び下辺に沿つた長手方向に延設した取付板13を以つて各遊技機械1を支持している。」(2頁15行〜3頁18行)
刊行物1に記載された発明は、刊行物1の従来装置の支柱4の配置を変更したものであるから、上記従来装置は支柱以外の構成である取付板13を備えていると解するのが普通である。
ゆえに、これらの記載及び第1ないし5図によれば、刊行物1には従来装置として以下の周知技術が開示されていると認められる。
「等間隔で立設される支柱4の間に上下の取付板13を並行に横設して複数個の矩形の取付用凹部11を連設し、この各凹部内にパチンコ台を収めるようにしたパチンコ台の支持装置。」
また、このような「パチンコ台の支持装置」において改造を施すこと、すなわち「パチンコ台の支持装置の改造」も例示するまでもなく周知である。
したがって、「等間隔で立設される支柱4の間に上下の取付板13を並行に横設して複数個の矩形の取付用凹部11を連設し、この各凹部内にパチンコ台を収めるようにしたパチンコ台の支持装置の改造方法。」は従来周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。

また、刊行物1には、上記1-a.以外に以下の事項が記載されている。
1-b.「中空部を隔ててパチンコ台等縦型遊技機械を背中合せに二列に連続的に支持するために、配列方向に沿つて該遊技機械の取付用凹部を有すると共に、該取付用凹部中間では前記中空部を貫通する支柱状をなし、且つ中空部上方に玉供給路を、中空部下方に玉排出路を夫々支持してなる支柱を該遊技機械の配列方向に沿つて所定間隔に配設してなるパチンコ台等の縦型遊技機械の支持装置。」(実用新案登録請求の範囲)
1-c.「このように本考案装置では、玉貸機3間に隣設する背中合せの遊技機械1の中空部2に支柱部12が位置するように、多数の支柱10を遊技機械の配列方向に固設し、取付板13を介して各遊技機械を設置すれば、支柱10は遊技機械の間に介在することなくこれを支持することとなり、隣接して遊技機械を設置することができ、従来のように支柱4によつてスペースを要するようなことは全くない。更に本考案装置では、1本の一体の支柱10によつて背中合せの二列の遊技機械を支持しているから、従来装置のように各列ごとに別個の支柱4で支持するのと異なり、強度的にも強い構造を有し、木材による施行において極めて有利である。」(4頁5〜17行)
当審の拒絶理由で引用した特開平3-218784号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。
2-a.「(12)は台間玉貸機であり、パチンコゲーム機(11)間の隙間毎に1台のパチンコゲーム機(11)毎に対応させて隣接させて設置する。」(2頁左下欄1〜3行。第1図参照)
当審の拒絶理由で引用した特開平3-289981号公報(以下、「刊行物3」という。)には、以下の事項が記載されている。
3-a.「以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。第1図はパチンコ機設置島の一部概略正面図を示すものである。パチンコ機設置島1は、多数のパチンコ機P,P…が横方向に列設され、その各パチンコ機Pの間には一台のパチンコ機毎に対応させて球貸装置Aが隣接されるように配置される。」(2頁左下欄5〜11行。第1図参照)

2-2.対比・判断
本願発明と上記周知技術を比較すると、
周知技術の「支柱」、「取付板」、「取付用凹部」、「パチンコ台」、「支持装置」は、
本願発明の「中間支柱」、「取付枠材」、「取付枠部」、「パチンコ機」、「取付台」にそれぞれ相当する。
したがって、両者は「等間隔で立設される中間支柱の間に上下の取付枠材を並行に横設して複数個の矩形の取付枠部を連設し、この各枠部内にパチンコ機を収めるようにしたパチンコ機の取付台の改造方法。」である点で一致し、
次の点で相違する。
(A)本願発明は、「中間支柱の高さの途中を上下の取付枠材により挟まれる区間において切除し、この切除部分によって」切除空間を形成する改造方法であるのに対して、
周知技術は、前記構成を備えていない点。
(B)本願発明は、「切除空間内に該切除空間の幅より狭い板厚の補助部材を介挿して前記中間支柱の上部と下部とを接続せしめると共に、前記切除部分に板厚の差に形成される格納空間に増設する球貸機を格納設置する」改造方法であるのに対して、
周知技術は、前記構成を備えていない点で相違する。

上記相違点(A)および(B)について検討する。
相違点(A)について
刊行物1には、中間支柱の高さの途中の上下の取付枠材により挟まれる区間である取付枠部(取付用凹部11が相当)において取り除き、該取付枠部を避けた後方に補助部材(支柱部12が相当)を介して前記中間支柱の上部と下部とを接続し、中間支柱を取り除くことによって生じた不要なスペース分密着して配置したパチンコ機の取付台が記載されており、中間支柱の取付枠部分を取り除き中間支柱の上部と下部を補助部材で接続し中間支柱を取り除くことによって生じる不要なスペースを有効利用する点が記載されていると認められる。
そうすると、本願発明はこの点を周知の改造方法に単に適用しただけのことであるから、本願発明の上記相違点(A)に係る構成とすることに格別困難性は認められない。

相違点(B)について
一般に設備を改造するにあたって、既存の設備を出来るだけ生かして改造を行うこと、不要な空間に新たな装置を組込むこと、新たな装置を組込む時に生じる空隙を目隠し部材で埋めることは例示するまでもなく周知であり、「パチンコ機の取付台の改造方法」においてもこれらのことは当業者が当然留意すべき事項である。また、1台のパチンコ機に対して1台の球貸機を格納設置するパチンコ機の取付台は周知であり(例えば、第2引用例[特開平3-218784号公報 ]、第3引用例[特開平3-289981号公報]がある。)、しかも、玉貸機及び補助部材の厚さ及び配置を、玉貸機及び補助部材を取り付けるパチンコ機の取付台に応じた厚さ及び配置にすることは設計的事項にすぎないから、中間支柱の空間に球貸機及び補助部材を格納設置するようにして、本願発明の上記相違点(B)に係る構成とすることは当業者が容易に想到できるものと認められる。
そして、本願発明の奏する効果は、上記周知技術及び上記刊行物1に記載された発明から当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとも認められない。

2-3.むすび
よって、本願発明は、上記周知技術及び上記刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.特許法第36条第4項及び第5項について
本願の特許請求の範囲の請求項1には、「前記中間支柱の高さの途中を前記上下の取付枠材により挟まれる区間において切除し、この切除部分によって形成される切除空間内に該切除空間の幅より狭い板厚の補助部材を介挿して前記中間支柱の上部と下部とを接続せしめると共に、」と記載されている。しかしながら、本願明細書の発明の詳細な説明の欄には、中間支柱の上部と下部とを接続せしめる構成を有さない「補助部材18」、補助部材全体を切除空間内に介挿し該切除空間の幅より狭くした構成ではない「補助部材たるフレーム26」については記載されているが、切除空間内に介挿し、該切除空間の幅より狭く中間支柱の上部と下部とを接続せしめる「補助部材」については記載されておらず、本件請求項1に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとも、当業者が実施できる程度に明確に記載されているものであるとも認められない。
また、請求項1に係る発明における「補助部材」とはどのような構成のものであるのか、請求項1に係る発明が「補助部材」を有することによりどのような技術的意義を有するのかが不明であるため、発明の構成が不明瞭である。
したがって、本件請求項1に係る発明は、発明の構成が不明瞭であり、当業者が実施できる程度に明確に記載されているものであるとも、発明の詳細な説明に記載したものであるとも認められないから、特許法第36条第4項及び第5項の規定を満たしていない。
 
審理終結日 2002-11-19 
結審通知日 2002-11-26 
審決日 2002-12-09 
出願番号 特願平3-361354
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 534- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
瀬津 太朗
発明の名称 パチンコ機の取付台の改造方法  
代理人 中山 伸治  

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