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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47J
審判 全部申し立て 2項進歩性  A47J
審判 全部申し立て (159条1項、163条1項、174条1項で準用)  A47J
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A47J
管理番号 1071812
異議申立番号 異議2001-71343  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-06-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-25 
確定日 2002-11-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3106439号「炊飯器」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3106439号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3106439号(以下「本件特許という。」)及び本件特許異議事件に係る手続きの経緯の概要は、以下のとおりである。
(1)本件特許の出願日:平成3年11月25日
(2)手続補正書:平成10年8月31日(受付)
(3)審査請求:平成10年8月31日(受付)
(4)手続補正書:平成12年4月3日(受付)
(5)特許査定:平成12年7月27日付け
(6)特許権の設定登録:平成12年9月8日
(7)特許掲載公報の発行:平成12年11月6日
(8)特許異議の申立(異議申立人酒井和義):平成13年4月25日
(9)取消理由通知書:平成14年5月10日(発送日:平成14年
5月24日)
(10)訂正請求書:平成14年7月17日(差出)
(11)特許異議意見書(特許権者):平成14年7月17日(差出)
(12)口頭審理期日呼出状:平成14年8月20日付け(同年
8月30日発送)
(13)口頭審理陳述要領書(異議申立人):平成14年9月26日付け
(14)口頭による審尋:平成14年9月26日
(15)口頭審理:平成14年9月26日
(16)口頭審理調書:平成14年9月26日(特許権者:「平成
14年7月17日付けの訂正請求を取り下げる。」)
(17)取消理由通知書:平成14年9月26日(発送日:平成
14年10月7日)
(18)訂正請求書:平成14年10月7日(差出)


2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が上記平成14年10月7日付け訂正請求書で求めている訂正の内容は、同訂正請求書に添付された全文訂正明細書に記載された、以下のa〜fである。
a.特許請求の範囲に記載されていた
「【請求項1】 本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板を、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けたことを特徴とする炊飯器。」
を、
「【請求項1】 本体(1)の後方上部に軸支した蓋体(5)を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、
前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)とからなる制御基板を設け、 前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられることを特徴とする炊飯器。」
に訂正する。

b.発明の詳細な説明の段落【0009】における、
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板を、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けたものである。」
を、
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファンとモーターとを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレーを備えた、電源基板とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられるものである。」
に訂正する。

c.発明の詳細な説明の段落【0010】における、
「 【0010】
【作用】
上記構成によれば、本体の後方上部を回転中心とした送風装置の重量に伴うモーメントの腕の長さを大きくしたことによって、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを抑止できる。また、比較的重い制御基板を、本体の前側に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の本体の内部において、制御基板と送風装置とを近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
を、
「 【0010】
【作用】
上記構成によれば、本体の後方上部を回転中心とした送風装置の重量に伴うモーメントの腕の長さを大きくしたことによって、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを抑止できる。また、本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、モーターを通断電し、送風装置の動作を制御する別のりレーを備えた、電源基板とからなる比較的重い制御基板を、本体の前側に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の本体の内部において、制御基板と送風装置とを近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
に訂正する。

d.発明の詳細な説明の段落【0013】における、
「 【0013】
尚、図1において、40は器本体1の前側上部に設けられたLED等の表示部、41は前記表示部40の裏側に設けられた表示基板、42は前記表示基板41の下方に設けられるトランス、リレー等を備えた電源基板である。また、43は前記器本体1の下部に設けられたコードリールである。なお、制御基板に相当するこれらの表示基板41と電源基板42は、いずれも容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けられており、炊飯や保温の加熱と、モーター19の動作を制御するようになっている。」
を、
「 【0013】
尚、図1において、40は器本体1の前側上部に設けられたLED等の表示部、41は前記表示部40の裏側に設けられた表示基板、42は前記表示基板41の下方に設けられるトランス、リレー等を備えた電源基板である。また、43は前記器本体1の下部に設けられたコードリールである。なお、器本体1の前側上部の裏側に設けられた表示基板41と、表示基板41の下方に設けられ、シーズヒーター7を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー48と、モーター19を通断電し、送風装置の動作を制御する別のりレー55を備えた、電源基板42とからなる制御基板は、いずれも容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けられている。」
に訂正する。

e.発明の詳細な説明の段落【0017】における、
「 【0017】
さらに本実施例では、制御基板を構成する電源基板42を、容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体5の開放時に器本体1の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の器本体1の内部において、該電源基板42と前記モーター19を近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
を、
「 【0017】
さらに本実施例では、表示基板41と電源基板42とからなる制御基板を、容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体5の開放時に器本体1の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の器本体1の内部において、該電源基板42と前記モーター19を近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
に訂正する。

f.発明の詳細な説明の段落【0020】における、
「 【0020】
【発明の効果】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板を、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けたものであり、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる。

を、
「 【0020】
【発明の効果】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファンとモーターとを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレーを備えた、電源基板とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられるものであり、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる。」
に訂正する。


(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
イ.上記aの訂正について
上記aの訂正は、元の請求項1に記載されていた「送風装置」を「送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、」と限定し、また、元の請求項1に記載されていた「炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板」を「前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板」と訂正し、元の請求項を限定するとともに、「制御基板」という用語の意味を明瞭にするものである。
この訂正は、特許請求の範囲の減縮、および明りょうでない記載の釈明に該当し、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

ロ.bないしfの訂正について
上記bないしfの訂正は、上記aにおける特許請求の範囲の訂正と整合をとるため、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、このbないしfの訂正は、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内において訂正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.本件発明
したがって、本件の請求項1に係る発明は上記訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものである。
「【請求項1】 本体(1)の後方上部に軸支した蓋体(5)を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、
前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)とからなる制御基板を設け、
前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられることを特徴とする炊飯器。」


4.特許異議申立て理由の概要
(1)特許法第29条第2項に関する申立て理由
特許異議申立人は、
甲第1号証:特開昭59-232519号公報
甲第2号証:特開平3-15421号公報
甲第3号証:特開平2-7383号公報
甲第4号証:実願平1-52184号(実開平2-142223号)
のマイクロフイルム
を引用して、本件の請求項1に係る発明はこれらの甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができないものである。したがって、この発明の特許は取り消されるべきものである旨を述べている。

(2)特許法第36条に関する申立て理由
特許異議申立人は、
イ.発明の詳細な説明における記載は不明瞭である。
ロ.請求項1の記載は不明確である。
したがって、本件明細書の記載は不備であり、本件の請求項1に係る発明は、特許法第36条に規定する要件に反して特許されたもので、その特許は取り消されるべきものである旨を述べている。


5.当審が通知した取消理由通知の概要
(1)特許法第29条第2項に関する取消理由
当審が、平成14年5月10日付けで通知した取消理由通知では、
刊行物1:特開平5-137644号公報(本件出願の公開公報)
刊行物2:実願平1-16662号(実開平2-109522号)の
マイクロフィルム
を引用し、
イ.本件願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「当初明細書」という。)には、「制御基板」は記載されていない。また、このように制御基板を設けることは、当初明細書の記載から自明であるとも認められない。
ロ.したがって、平成10年8月31日付けの手続補正は、当初明細書の要旨を変更するものである。
ハ.本件特許の出願日は、旧特許法第40条の規定により、この手続補正書を提出した平成10年8月31日とみなされる。
という認定に基づき、本件の請求項1に係る発明は、これらの刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができないものであり、本件の請求項1に係る発明の特許は取り消されるべきものである旨が述べられている。

(2)特許法第36条第5項に関する取消理由
当審が、平成14年9月26日付けで通知した取消理由通知では、本件の請求項1に記載された「制御基板」は不明確であり特許法第36条第5項に規定する要件を満たしておらず、本件の請求項1に係る発明の特許は取り消されるべきものである旨が述べられている。


6.本件特許の出願日
平成14年5月10日付け取消理由通知では、上記5.(1)イ.〜ハ.のように「制御基板」は当初明細書に記載されていないと認定している。しかし、その後、請求項1の記載は、平成14年10月7日付け訂正請求書により、上記3.に記載されたように訂正されている。
この訂正後の請求項1には、「前記電源基板と表示基板とからなる制御基板」と記載されており、ここで述べられている「制御基板」という用語は一般的な制御基板としてではなく、「電源基板」と「表示基板」とをまとめる概念として用いられている。
しかも、表示基板が制御基板一種であることは周知の事項にすぎず、また、請求項1に記載された「電源基板」が制御的な機能を持つことは同請求項の
「シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)」
という記載から明らかである。
このように、「電源基板」と「表示基板」を、「制御基板」という用語によりまとめることに、論理的な不自然さはなく、しかも、これらの「電源基板」及び「表示基板」は共に当初明細書に記載されている以上、これらの基板をまとめる概念としての「制御基板」も実質的に当初明細書に記載されていると言わざるを得ない。
したがって、上記取消理由通知で述べたように、「本件特許の出願日は、旧特許法第40条の規定により、手続補正書を提出した平成10年8月31日とみなされる。」ということはできず、本件特許の出願日は願書が特許庁に提出された平成3年11月25日である。


7.各引用刊行物記載の発明
(1)特許異議申立人の引用した甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、次のa.〜b.の記載がある。
a.甲第1号証第1ページ左下欄14,15行には、
「本発明は一般家庭などで日常的に使用する炊飯器の構成に関するものである。」と記載されている。

b.甲第1号証第2ページ右上欄9〜14行には、
「8は蓋体で内蓋9を有してヒンジ部10で軸11により本体4の一側に枢支している。また、軸11に関連して常に蓋体8を開成する方向に付勢したバネ12が設けられ、軸部の近傍には蓋体8の開成時のショック緩和するための円弧状のダンパー13とダンパーパネ14が設けられている。」と記載されている。


(2)特許異議申立人の引用した甲第2号証に記載された発明
甲第2号証には、次のa.〜c.の記載がある。
a.甲第2号証第2ページ左上欄17〜20行には、
「以下、本発明の一実施例を第1図,第2図により説明する。
図において、1は蓋であり、2は蓋1に取付けた内蓋である。」と記載されている。

b.甲第2号証第2ページ右上欄16行〜同ページ左下欄1行には、
「9はファンであり、内容器6の外側側面に取付けられ、このファン9を取付けた内容器6には送風孔6aと排出孔6bが設けてある。10はモ一ターでありファン9を回転させる。11は自冷ファンであり、モーター10の発熱を押さえ耐久性をもたせるものである。また12はコードリールである。」と記載されている。

c.甲第2号証第1,2図には、
「ファン9,モ一ター10が、蓋1のヒンジ部と反対側に設けられている」
ことが記載されている。


(3)特許異議申立人の引用した甲第3号証に記載された発明
甲第3号証には、次のa.〜c.の記載がある。
a.甲第3号証第2ページ右下欄9〜19行には、
「3は誘導コイル1を励振するインバータ回路で、このインバータ回路3の上方にはインバータ回路3の部品である半導体スイッチ素子4が設けられている。5はスイッチングロス等で発熱する半導体スイッチ素子4をネジ5aで取付けたヒートシンクで、このヒートシンク5と前記カバー2は下枠6にネジ締め等により保持されている。7は金具により下枠6に取付けたモータで、このモータ7に軸支されて回転駆動されるプロペラ型の送風ファン8の吸気側は吸気カバー9で囲まれている。」と記載されている。

b.甲第3号証第3ページ左下欄17〜19行には、
「さらにまた羽根の先端15とヒートシンク5を取付けたインバータ回路3の基板3aの面との間に隙間を設ける構成とすることにより、」と記載されている。

c.甲第3号証第1〜3図には、
「インバータ回路3の基板3a、及び、送風ファン8が炊飯器の前方内部に設けられている」
ことが記載されている。


(4)特許異議申立人の引用した甲第4号証に記載された発明
甲第4号証には、次のa.〜c.の記載がある。
a.甲第4号証第7ページ17〜19行には、
「熱板(53)には、内鍋(6)を直接加熱する炊飯ヒータ(54)が、・・・埋設されている。」と記載されている。

b.甲第4号証第8ページ3〜5行には、
「肩部(4)の直下であって、外ケース(1)と内容器5との間に、制御回路(11)(第3図参照)を搭載した基板(22)を収納している。」と記載されている。

c.甲第4号証第1〜3図には、
「基板(22)が外ケース(1)の前方内部に設けられている」
ことが記載されている。


(5)当審が通知した取消理由通知で引用した刊行物2に記載された発明
刊行物2には、次のa.〜c.の記載がある。
a.刊行物2明細書第1ページ19,20行には、
「本考案は、マイコンを搭載した電源基板を有する電気がまに関するものである。」
と記載されている。

b.刊行物2明細書第2ページ2〜7行には、
「従来のこの種の電気がまは・・・(中略)・・・サーモスタットで内がまの温度を検知し、電源基板上のマイコンの制御機能によりリレーのON、OFFを行い、ヒーターの通電制御を行なっていた。」
と記載されている。

c.刊行物2明細書第3ページ12行〜第4ページ4行には、
「以下本考案の一実施例を第1図〜第3図を用いて説明する。・・・(中略)・・・5はヒーター、6はサーモスタットでそれぞれ内なべ2の外底面に当接している。サーモスタット6は内なべ2の外底中央に弾性体7で押圧され、外容器3の下部に設げた電源基板8上のマイコン8cと信号線9で電気的に接続されている。8aはリレー、8bは200℃〜300℃で溶解する導電性の可溶体で、それぞれ電源基板8上のヒーターの通電回路に直列に接続されている。」
と記載されている。


8.特許法第29条第2項に関する異議申立理由の検討
(1)対比
本件の請求項1に係る発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、
本件の請求項1に係る発明の
・本体(1)、
・蓋体(5)、
は、甲第1号証に記載された発明における
・本体4
・蓋体8、
にそれぞれ相当すると認められる。


(2)一致点
したがって、両発明は、
「本体(1)の後方上部に軸支した蓋体(5)を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器。」
で一致し、下記のA,Bの2点で相違する。

(3)相違点
相違点A:本件の請求項1に係る発明では、
「前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置される」
とされているが、これに対し、甲第1号証には、このような送風装置が記載されていない点。

相違点B:本件の請求項1に係る発明では、
「前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)とからなる制御基板を設け、
前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられる」
とされているが、これに対し、甲第1号証には、このような制御基板が記載されていない点。


(4)相違点についての検討
イ.相違点Aについての検討
まず、上記相違点Aについて検討すると、相違点Aにおける本件請求項1に係る発明の構成である「前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置される」は、甲第2号証の上記引用箇所7.(2)a.〜c.に開示されている。
そして、これらの開示を、甲第1号証に記載された発明に組み合わせることは容易であると認められる。

ロ.相違点Bについての検討
次に、上記相違点Bについて検討すると、相違点Bにおける本件請求項1に係る発明の構成のうち、
「前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)からなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられる」
は、周知の技術にすぎない。
例えば、
特開昭61-56612号公報
「8は本体1の外側面に設けた操作パネル、9は操作パネル8に内装した制御基板である。」(第2ページ左上欄20行〜右上欄2行)、「両リレー18,20は制御基板9に設けられ、この基板9にはその他、・・・LED10〜15,・・・を設けている。」(第2ページ左下欄7〜10行)、及び、「表示部(LED11〜15)」(第2ページ右下欄8行)を参照。

しかし、相違点Bにおける本件請求項1に係る発明の構成のうち、
「前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)からなる制御基板を設け、
前記電源基板からなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられる」
は、上記の甲第2〜4号証及び刊行物2のいずれにも記載されていない。そして、この構成により、本件明細書段落【0020】に記載されている「蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に防止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる。」という効果を達成できる。
したがって、相違点Bは容易に推測できた程度のものということはできない。

(5)まとめ
以上のように、上記相違点Bは上記甲第1〜4号証及び刊行物2に記載された各発明より容易に想到し得たものではないので、本件請求項1に係る発明は上記各甲第1〜4号証及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。


9.特許法第36条に関する異議申立理由の検討
(1)特許異議申立人は、特許異議申立書第4ページ12〜18行において、
「(本件明細書)段落【0012】には、「蓋体5が上方に廻動した際の廻動の勢いが途中で弱められる。」旨の記載がある。これによれば、請求項1に係る発明の(器本体が持ち上がって傾斜し、といった)課題は生じない筈である。したがって、本件明細書の記載は不明瞭である。」
という旨をのべている。
しかし、蓋体5の廻動の勢いが途中で弱められるとは言っても、廻動の勢いが完全になくなると段落【0012】に記載されているわけではないので、同段落の記載は、請求項1に係る発明の課題と矛盾しないと認められる。したがって、特許異議申立人が述べているような明細書の不備はない。

(2)特許異議申立人は、特許異議申立書第5ページ1〜16行において、
「本件請求項1の記載では、送風装置および制御基板は共に、本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方に設けている。しかし、この記載では、モー夕および送風装置の全体が容器の中心軸線よりも前方に位置することをいうのか、それとも、モータおよび送風装置の中心軸線が容器の中心軸線よりも前方に位置することをいうのか、明瞭でない。」
という旨を述べている。
しかし、一般的に、物体に力が作用する状態において、物体の力学的挙動を検討するのであれば、物体に作用する力は、物体の重心にかかるものとして考慮されなければならず、それにより、力に対する物体の動きが推測可能となることは周知の事項である。
それゆえ、「器本体が持ち上がって傾斜し、がたついたり或いは器本体が倒れてしまう」といった力学的な課題を持つ本件請求項1に係る発明では、同請求項の、
「この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、」
という記載が、上記の力学的な周知事項に基づき、「この送風装置は(その重心が)・・・・容器(4)の中心(重心)よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、」ということを意味し、このような解釈にたつことにより、課題の達成も検証可能となることは明らかである。
したがって、容器(4)の中心よりも前方に設置されるのは、送風装置および制御基板の中心(重心)であることは明白であり、特許異議申立人が述べているような明細書の不備はない。

(3)特許異議申立人は、特許異議申立書第5ページ27行〜第6ページ7行において、
「本願請求項1に係る発明の「炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板」なる構成は願書に最初に添付した明細書に記載されない事項である。同明細書には「42は・・・リレー等を備えた電源基板」の記載、および・・・電気回路が・・・シーズヒータ7、リレー48などを持ちそれらが互いに接続されている記載はあるが、これら制御回路と電源基板42とに本件請求項1に係る発明でいうような「炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する」関係は記載されていない。」
という旨を述べている。
しかし、このような本件請求項1における記載の不備は、平成14年10月7日付け訂正請求により上記3.に記載されたように訂正され、解消されている。


10.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由によっては、本件の請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
炊飯器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体(1)の後方上部に軸支した蓋体(5)を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、
前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のリレー(55)を備えた、電源基板(42)とからなる制御基板を設け、
前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられることを特徴とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、蓋体が弾性部材により自動的に開く炊飯器において、内部に送風装置や基板を備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の輻射加熱式の炊飯器は実開平2-146521号、実開平2-14652号公報などで開示されている。このような公知例は、本体に相当する器本体に上部の外側を密閉して容器を収容し、前記器本体に収納空間を介して側部及び下部側に加熱空間を形成するとともに前記容器の底部のほぼ全面に上面を対向して表面にセラミックスをコーティングしたプレート状の輻射熱放射板を設け、この輻射熱放射板の下部に高温シーズ式の赤外線を放射する発熱体を設け、さらに、前記加熱空間と前記収納空間を連通する連通空間を設けたものである。そして発熱体の発熱に伴って輻射熱放射板の上面からの輻射熱が加熱空間を介して容器を加熱でき、収納空間側へ輻射される熱気、赤外線が反射により前記連通空間から加熱空間側へ放射され炊飯初期における速熱性の向上を図ろうとしたものである。
【0003】
また、実開平3-34423号公報には器本体の上部にヒンジ部を介して蓋体を開閉可能に設け、クランプ部のロック解除時に開放用ばねの付勢によって蓋体を自動的に開放する炊飯器が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする技術的課題】
前述したように、従来の輻射加熱式の炊飯器では熱容量の大きな輻射熱放射板に対し、発熱体の熱が熱伝導によって輻射熱放射板に伝わって、上方に放射する熱放射特性を有し、輻射熱放射板の上面よりもその裏面の発熱体側が高温となることから、輻射熱放射板の上面からの熱放射は発熱体からの二次放射となるので速熱性が劣り、前記輻射熱放射板の裏面空間である発熱体下部の収納空間が高温となり、この高温の収納空間内に発熱体が位置することになるので発熱体の耐熱寿命が劣り、この耐熱寿命を確保するための対策を講じればその分だけコスト高を招く。また、前記輻射熱放射板の裏面の収納空間に発熱体から放射された熱は前記輻射熱放射板の外周部に形成される連通空間を通って容器底部の加熱空間へ二次放射されるが、輻射熱放射板下面の発熱体収納部が汚れると反射効率が悪化し、そのため加熱効率が劣化する。さらに、輻射熱放射板の発熱体収納部は高温となるため耐熱性、反射性及び耐酸化性に優れた高価な材料を必要とし、コスト高を招く。
【0005】
また、前記蓋体が自動的に開放する炊飯器においては、開放時に蓋体が開放用ばねによって90°以上100°前後に開いて停止するが、この停止の際に前記蓋体の廻動の勢いによって、器本体が持ち上がって傾斜し、がたついたり或いは器本体が倒れてしまう虞があった。
【0006】
こうした問題に対し、特開平2-26513号公報には、調理器本体の後方上部に軸支した蓋体を、付勢手段であるキックバネにより調理器本体から開放方向に付勢し、このキックバネの付勢力によって蓋体が開くようにした調理器が開示されており、さらに別の特開平3-15421号公報には、内釜の中心よりも前方に位置して、本体の内部にファンおよびモーターからなる送風装置を設けた電気炊飯器が開示されている。
【0007】
しかし、上記特開平3-15421号公報におけるファンやモーターの重さだけでは、蓋体の開放が停止する際に、本体が簡単に持ち上がって傾斜し、がたついたり或いは本体が倒れてしまう懸念を払拭できない。
【0008】
本発明は上記問題点を鑑み、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる炊飯器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファンとモーターとを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のリレーを備えた、電源基板とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられるものである。
【0010】
【作用】
上記構成によれば、本体の後方上部を回転中心とした送風装置の重量に伴うモーメントの腕の長さを大きくしたことによって、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを抑止できる。また、本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、モーターを通断電し、送風装置の動作を制御する別のリレーを備えた、電源基板とからなる比較的重い制御基板を、本体の前側に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の本体の内部において、制御基板と送風装置とを近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の一実施例につき図を参照して説明する。図1乃至図4において1は上面を開口した本体たる器本体で、この器本体1は内ケース2及びプラスチック製の外ケース3からなっており、前記内ケース2はアルミニウム板などからなり二次電解等による耐熱性を有する着色アルマイト処理が施されている。なおこの着色アルマイトの色調は、後述する輻射熱放射板上面のコーティング色と同系色の例えば黒色系の色調とする。そして内ケース2内には上面を開口しアルミニウム板などの熱伝導性の良好な材質からなる容器4が挿脱自在に収容されている。この容器4はフランジ部4Aが内ケース2のフランジ部2Aに載置して該容器4は吊設状態に収容されている。5は前記器本体1の上部開口を、該器本体1の上部後側に設けられたヒンジ部5Aを介して開閉自在に覆う蓋体である。前記内ケース2の下部には、炊飯時に前記容器4を加熱する輻射熱放射板6が設けられている。この輻射熱放射板6はステンレス等からなり下面には発熱体たる螺旋状のシーズヒーター7がニッケルろうなどのブレージング部8によって固着され、また、上面にはAl2O3、TiO2、CrO等からなるセラミックがプラズマ溶射等によってコーティングされている。さらに、前記輻射熱放射板6の上面と前記容器4の底部並びに側部及び前記内ケース2の下部の間には各々加熱空間9、連通空間10、収納空間11が形成されるように前記輻射熱放射板6が取付けられている。前記内ケース2の下部外周側には凹部2Bが形成されている。そして前記加熱空間9、連通空間10に連通して前記内ケース2と容器4間には幅が3乃至10mm程度の空間部12が形成されている。13は前記内ケース2の外側を間隔をおいて覆うように設けられたアルミニウム板などからなる遮熱筒部13Aを設けた支え枠であり、この支え枠13によって形成される連通路14は、その一端を前記内ケース2の側部の略中央に設けられた側部孔15に接続される一方、他端は前記内ケース2の下部に形成された下部孔16に接続されている。そして前記連通路14における内ケース2の下部側には送風室17が設けられるとともに、この送風室17には送風装置たる送風ファン18が設けられている。前記送風室17の下部に設けられるローター19A、コイル19Bを有するモーター19の回転軸19Cに前記送風ファン18が固定されており、送風ファン18とともに送風装置を構成する器本体1の内底部に設置した該モーター19を作動することによって側部孔15側の空気を吸引して下部孔16より前記輻射熱放射板6の下面に向けて送風できるようになっている。そして前記モーター19の中心を通る垂直な軸線Aが、前記容器4の中心を通る垂直な軸線Bよりも前側、すなわち前記ヒンジ部5Aと反対な方向に配設されている。また、前記モーター19の回転軸19Cの下部には冷却ファン20が固定されており、モーター19を作動することによって吸気孔21から外気を吸引し該空気を排気孔22より排気してモーター19を冷却できるようになっている。前記支え枠13の側部上部には前記容器4の側部に接触可能なサーミスタなどの容器温度センサー23が設けられている。
【0012】
前記蓋体5は中空の外蓋24と、この外蓋24の下側に設けられ前記容器4の上部開口部を覆う内蓋25からなっている。そして前記外蓋24内にはグラスウールからなる断熱材24Aが設けられるとともに蒸気口24Bが設けられ、さらに、外蓋24の下面には、蒸気の発生を検出するサーミスタなどの蓋温度センサー26と、コード状ヒーターなどからなる蓋ヒーター27が設けられている。また、前記器本体1に蓋体5を開閉可能に設けるためのヒンジ部5Aは、器本体1の上部後側に設けられた支持片28にヒンジ軸29が水平に取付けられ、このヒンジ軸29の両側に前記外蓋24の後部取付部(図示せず)が廻動自在に連結している。そしてダブルトーションねじりコイル型のばね30のコイル部31が前記ヒンジ軸29に取付けられ、そしてばね30中央のコ字状部32が、押え金具33とともに前記器本体1の後部に設けられた取付座34に固定され、また、ばね30の端末部35は前記支持片28の下部に係止されて、該ばね30によって前記蓋体5がヒンジ軸29を回転中心として図1において時計回り方向に付勢されている。前記押え金具33は前記ばね30のコ字状部32を係止する機能と、蓋体5の廻動の勢いを途中で弱める機能をなすもので、この押え金具33は、ばね用ステンレスで形成されるとともに、その一端は制動弾性部36としてその下方が延出し、蓋体5が上方に廻動した際に、その廻動の途中において、図4に示すように、前記制動弾性部36が前記器本体1の後部に設けられた当接部37に当接し、この当接により蓋体5の勢いが途中で弱められるようになっている。尚38は前記押え金具33を固定するための螺子である。一方、前記蓋体5の前側にはクランプボタン39が設けられて該クランプボタン39を操作することによって、該クランプボタン39に設けられた係止部(図示せず)が、器本体1側に設けられた係止受け部(図示せず)より外れ、前記ばね30の付勢力によって前記蓋体5が自動的に開くようになっている。
【0013】
尚、図1において、40は器本体1の前側上部に設けられたLED等の表示部、41は前記表示部40の裏側に設けられた表示基板、42は前記表示基板41の下方に設けられるトランス、リレー等を備えた電源基板である。また、43は前記器本体1の下部に設けられたコードリールである。なお、器本体1の前側上部の裏側に設けられた表示基板41と、表示基板41の下方に設けられ、シーズヒーター7を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー48と、モーター19を通断電し、送風装置の動作を制御する別のリレー55を備えた、電源基板42とからなる制御基板は、いずれも容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けられている。
【0014】
図5は電気回路図を示し、同図において44は100Vの交流電源で、この交流電源44にトランス45が接続され、このトランス45が定電圧回路46を介してマイクロコンピューター47に接続されている。このマイクロコンピューター47には、図示しないCPU、計時手段、メモリー、入、出力回路等を有している。また、交流電源44の両極間に、シーズヒーター7とリレー48の接点48Aとの直列回路が接続されるとともに、蓋ヒーター27とトライアック49との直列回路が接続されている。さらに、前記マイクロコンピューター47には、前記シーズヒーター7を通断電制御するリレー48が接続されたリレー駆動回路50と、前記蓋ヒーター27を通断電制御するトライアック49のゲートが接続されたトライアック駆動回路51とが接続されている。また、前記マイクロコンピューター47には、前記表示部40などに設けられたキー入力により炊飯を開始する炊飯スイッチ52、タイマー動作を開始するタイマースイッチ53、すべての動作が停止する切スイッチ54及び前記容器温度センサー23、蓋温度センサー26が接続されている。したがってマイクロコンピューター47からの出力信号により、リレー駆動回路50を介してコイル48Bが通電したときのみ接点48Aが閉じて、シーズヒーター7が通電し、また、マイクロコンピューター47からの信号により、トライアック49がオンしたときのみ、蓋ヒーター27が通電するようになっている。尚、前記マイクロコンピューター47は、ソフトウェアー上の機能として、シーズヒーター7、蓋ヒーター27の入力を制御してひたし炊き、本炊飯及びむらし動作からなる一連の炊飯動作を実行し、むらし後保温を行う炊飯制御手段、タイマースイッチ53により設定された炊き上がり予約時間の所定時間前に炊飯動作を開始させるタイマー予約制御手段等の機能を備えている。さらに、交流電源44の両極間に、前記モーター19とリレー55の接点55Aとの直列回路が接続され、前記モーター19を通断電制御する前記リレー55がリレー駆動回路56を介して前記マイクロコンピューター47に接続されている。したがってマイクロコンピューター47からの出力信号により、リレー駆動回路56を介してコイル55Bが通電したときのみ接点55Aが閉じて、モーター19のコイル19Bに通電するようになっている。
【0015】
つぎに、前記の構成について通常の炊飯動作の作用を図6を参照しながら説明する。尚、同図において上段のグラフは容器温度センサー23により感知される温度の経時変化を示しており、中段の2つのグラフはシーズヒーター7、蓋ヒーター27の通断電のタイミングを示し、さらに、下段のグラフは送風ファン18を作動するためのモーター19の通断電のタイミングを示している。予め容器4に所定量の米と水(図示せず)を収容するとともに、該容器4を器本体1にセットして蓋体5をばね30の弾性力に抗して閉じる。次に炊飯スイッチ52を操作すると炊飯の最初に、まず8分間のひたし炊きが行われる。このひたし炊き動作においては、まず3分間シーズヒーター7のみが通電して容器4に対する加熱が行われる。すなわちシーズヒーター7が通電によって発熱し、シーズヒーター7の表面より収納空間11へ熱放射が行われる。また、熱伝導によって輻射熱放射板6へ熱が伝わり、該輻射熱放射板6の表面に設けられたセラミックコーティングより加熱空間9へ輻射熱が二次放射される。その後の5分間はシーズヒーター7、蓋ヒーター27が断電する。また、前記炊き動作の開始から3分経過すると、コイル55Bが励磁されて接点55Aが閉じ、モーター19が作動して送風ファン18が回転する。したがって収納空間11から連通空間10、空間部12及び連通路14には、シーズヒーター7表面などの熱を奪った熱風が連通空間10を通って空間部12に至り容器4の側部を加熱し、そして側部孔15から連通路14を介して送風室17へ至り、再び送風ファン18によって下部孔16より輻射熱放射板6の下面に向けて収納空間11へ送風されるようになっている。ひたし炊き動作の開始から8分経過すると、本炊飯動作に移行する。本炊飯動作の開始からシーズヒーター7、蓋ヒーター27、モーター19が連続通電し、蓋温度センサー26が90℃を感知して5分経過すると完全沸騰と判断される。この後沸騰を適当に継続させるためにシーズヒーター7は30秒間隔で断電と通電を繰り返す。そして、シーズヒーター7の断続通電中、容器温度センサー23により感知される温度が120℃に達すると、この後むらし動作に移行する。むらし動作中は、蓋ヒーター27が連続通電し、シーズヒーター7は断電するが、むらし動作後5分を経過すると、シーズヒーター7が30秒のみ通電する。さらに、むらし動作の開始から13分経過するまでモーター19が作動し送風ファン18が回転して輻射熱放射板6の余熱効果が少なくなるまで熱風を送風する。また、むらし動作の開始から15分経過すると、蓋ヒーター27が断電されて保温動作に自動的に移行する。この保温動作中は、シーズヒーター7は常時断電状態であるが、蓋ヒーター27が通断電制御されて、容器4及び蓋体5が加熱される。すなわち、容器温度センサー23により感知される温度が71℃になるように、蓋ヒーター27が通断電制御される。この様にして炊飯が終了し飯を取り出すため、クランプボタン39を押圧操作すると係止部が係止受け部より外れ、同時にばね30の復元力によって蓋体5がヒンジ軸29を回転中心として廻動して開放する、この廻動の際に押え金具33が当接部37に当接して蓋体5の廻動の勢いを抑制する。また、図1において前記蓋体5の廻動の勢いに伴う時計方向回りのモーメントは、蓋体5の重量と、該蓋体5の中心とヒンジ軸29間の腕の長さを乗じたものである。一方このモーメントに対し器本体1側の反時計方向回りのモーメントは、主として飯が収容された容器4によるモーメントと、前記モーター19によるモーメントの和となる。特にローター19A、コイル19B等を有して重量が大きいモーター19の中心を通る垂直な軸線Aを、容器4の中心を通る垂直な軸線Bよりもヒンジ部5Aから遠い位置に設けたため、モーメントにおける腕の長さを大きくして該モーター19によるモーメントを大きくして、一層蓋体5開放時に器本体1の持ち上がりを抑制できる。
【0016】
以上のように前記実施例においては、器本体1の後方上部に軸支した蓋体5を、器本体1から開放方向に付勢し、この付勢力によって蓋体5が開くようにした炊飯器において、器本体1の内部に送風装置である送風ファン18やモーター19を備え、この送風ファン18やモーター19を、飯を収容する容器4の中心よりも前方の器本体1の内底部に設置している。この場合、モーター19の中心を通る垂直な軸線Aを、容器4の中心を通る垂直な軸線Bよりも器本体1の後方上部にあるヒンジ部5Aから遠い前方の位置に設けたため、モーメントにおける腕の長さを大きくしてモーター19によるモーメントを大きくして、蓋体5の開放時に器本体1の持ち上がりを抑止でき、安心して蓋体5を開くことができる。
【0017】
さらに本実施例では、表示基板41と電源基板42とからなる制御基板を、容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体5の開放時に器本体1の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の器本体1の内部において、該電源基板42と前記モーター19を近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。
【0018】
また、内ケース2の下部上に輻射熱放射板6を設けるとともにこの輻射熱放射板6の下面にシーズヒーター7を設けて、前記輻射熱放射板6の輻射熱によって容器4を加熱する輻射加熱式の炊飯器において、前記内ケース2の下部に送風ファン18を設けたことによって、ひたし炊き時シーズヒーター7が発熱しそして断電した後に、モーター19を作動して送風ファン18を回転することによって、シーズヒーター7等の熱を奪った熱風を空間部12に送風して、輻射熱放射板6の輻射熱とともに容器4を加熱できるために、容器4の温度の立上がりを早くでき速熱性に優れるとともに、炊飯時には前記輻射熱、熱風及び蓋ヒーター27によって容器4全体を均一に加熱することができる。また、送風ファン18の送風によって、発熱中のシーズヒーター7が熱交換されてその表面温度が低下し、シーズヒーター7の耐熱寿命を改善できるとともに前記送風によって収納空間11の熱風が強制的に移動するために、内ケース2の下部が汚れて反射率が低下した状態であっても、容器4の加熱効率が低下する虞はなく、内ケース2が高温状態にならず該内ケース2の熱変形等を防止できる。
【0019】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば内ケースの外周面にコード状ヒーターなどからなり蓋ヒーターと同様に作動する胴ヒーターを設けるなど種々の変形が可能である。
【0020】
【発明の効果】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファンとモータとを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のリレーを備えた、電源基板とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられるものであり、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】
本発明の一実施例を示す一部切欠側面図である。
【図3】
本発明の一実施例を示す閉蓋時の要部の断面図である。
【図4】
本発明の一実施例を示す開蓋時の要部の断面図である。
【図5】
本発明の一実施例を示す電気回路図である。
【図6】
本発明の一実施例を示す炊飯時における温度グラフである。
【符号の説明】
1 器本体(本体)
4 容器
5 蓋体
7 シーズヒーター
18 送風ファン(送風装置)
19 モーター(送風装置)
41 表示基板(制御基板)
42 電源基板(制御基板)
48 リレー
55 リレー(別のリレー)
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許権者が、平成14年10月7日付け訂正請求書で求めている訂正の要旨は、同訂正請求書に添付された全文訂正明細書に記載された、以下のa.〜f.である。
a.特許請求の範囲に記載されていた
「【請求項1】 本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板を、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けたことを特徴とする炊飯器。」
を、
「【請求項1】 本体(1)の後方上部に軸支した蓋体(5)を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファン(18)とモーター(19)とを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器(4)の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、
前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板(41)と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーター(7)を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー(48)と、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレー(55)を備えた、電源基板(42)とからなる制御基板を設け、
前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられることを特徴とする炊飯器。」
に訂正する。
b.発明の詳細な説明の段落【0009】における、
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板を、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けたものである。」
を、
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファンとモーターとを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレーを備えた、電源基板とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられるものである。」
に訂正する。
c.発明の詳細な説明の段落【0010】における、
「 【0010】
【作用】
上記構成によれば、本体の後方上部を回転中心とした送風装置の重量に伴うモーメントの腕の長さを大きくしたことによって、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを抑止できる。また、比較的重い制御基板を、本体の前側に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の本体の内部において、制御基板と送風装置とを近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
を、
「 【0010】
【作用】
上記構成によれば、本体の後方上部を回転中心とした送風装置の重量に伴うモーメントの腕の長さを大きくしたことによって、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを抑止できる。また、本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、モーターを通断電し、送風装置の動作を制御する別のりレーを備えた、電源基板とからなる比較的重い制御基板を、本体の前側に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の本体の内部において、制御基板と送風装置とを近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
に訂正する。
d.発明の詳細な説明の段落【0013】における、
「 【0013】
尚、図1において、40は器本体1の前側上部に設けられたLED等の表示部、41は前記表示部40の裏側に設けられた表示基板、42は前記表示基板41の下方に設けられるトランス、リレー等を備えた電源基板である。また、43は前記器本体1の下部に設けられたコードリールである。なお、制御基板に相当するこれらの表示基板41と電源基板42は、いずれも容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けられており、炊飯や保温の加熱と、モーター19の動作を制御するようになっている。」
を、
「 【0013】
尚、図1において、40は器本体1の前側上部に設けられたLED等の表示部、41は前記表示部40の裏側に設けられた表示基板、42は前記表示基板41の下方に設けられるトランス、リレー等を備えた電源基板である。また、43は前記器本体1の下部に設けられたコードリールである。なお、器本体1の前側上部の裏側に設けられた表示基板41と、表示基板41の下方に設けられ、シーズヒーター7を通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレー48と、モーター19を通断電し、送風装置の動作を制御する別のりレー55を備えた、電源基板42とからなる制御基板は、いずれも容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けられている。」
に訂正する。
e.発明の詳細な説明の段落【0017】における、
「 【0017】
さらに本実施例では、制御基板を構成する電源基板42を、容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体5の開放時に器本体1の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の器本体1の内部において、該電源基板42と前記モーター19を近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
を、
「 【0017】
さらに本実施例では、表示基板41と電源基板42とからなる制御基板を、容器4の中心より前方の器本体1の内部に設けたことによって、一層前記モーメントを大きくでき、蓋体5の開放時に器本体1の持ち上がりを確実に抑止できる。また、同一の器本体1の内部において、該電源基板42と前記モーター19を近づけることができるため、配線処理等を簡単に行うことができる。」
に訂正する。
f.発明の詳細な説明の段落【0020】における、
「 【0020】
【発明の効果】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、炊飯や保温の加熱と前記送風装置の動作を制御する制御基板を、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けたものであり、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる。

を、
「 【0020】
【発明の効果】
本発明の炊飯器は、本体の後方上部に軸支した蓋体を、前記本体から開放方向に付勢し、この付勢力によって前記蓋体が開くようにした炊飯器において、前記本体の内部に送風装置を備え、この送風装置は送風ファンとモーターとを備えて、前記本体に収容した飯を収容する容器の中心よりも前方の該本体の内底部に設置されるとともに、前記本体の前側上部の裏側に設けられた表示基板と、前記表示基板の下方に設けられ、シーズヒーターを通断電制御し、炊飯や保温の加熱を制御するリレーと、前記モーターを通断電し、前記送風装置の動作を制御する別のりレーを備えた、電源基板とからなる制御基板を設け、前記電源基板と表示基板とからなる制御基板は、前記容器の中心より前方の前記本体の内部に設けられるものであり、蓋体の開放時に本体の持ち上がりを確実に抑止できるとともに、配線処理等を簡単に行うことができる。」
に訂正する。
異議決定日 2002-10-28 
出願番号 特願平3-309472
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A47J)
P 1 651・ 536- YA (A47J)
P 1 651・ 537- YA (A47J)
P 1 651・ 58- YA (A47J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小菅 一弘  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 原 慧
会田 博行
登録日 2000-09-08 
登録番号 特許第3106439号(P3106439)
権利者 東芝ホームテクノ株式会社
発明の名称 炊飯器  
代理人 弓田 昌弘  
代理人 外山 邦昭  
代理人 牛木 護  
代理人 牛木 護  
代理人 外山 邦昭  

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