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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  F24F
管理番号 1073269
異議申立番号 異議2002-70971  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-04-10 
確定日 2002-12-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3220337号「風管収納装置および収納風管の取出し方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3220337号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕本件特許及び本件特許異議事件の手続の経緯
本件特許及び本件特許異議事件(特許第3220337号(以下「本件特許」という。)異議申立て)に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
1)本件特許の出願日:平成6年9月13日
2)手続補正書:平成9年10月21日差出
3)手続補正書:平成12年11月13日差出
4)特許権の設定の登録:平成13年8月10日
5)特許掲載公報の発行:平成13年10月22日
6)特許異議の申立て(全請求項に対して)(異議申立人・株式会社日本ハイテック):平成14年4月10日付け
7)審尋:平成14年7月25日付け(発送日:同年8月6日)
8)回答書(特許権者):平成14年9月13日差出
9)口頭による審尋:平成14年11月5日
10)口頭審理:平成14年11月5日
11)取消理由通知書:平成14年11月5日付け(発送日:同年11月11日)
12)訂正請求書:平成14年11月11日差出

〔2〕訂正の適否についての判断
1.本件訂正請求は、以下の事項について訂正するものである。
(ア)特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げる。
(イ)明細書の段落0010中の「本発明に係る・・・構成してなる。」及び、段落0011中の「また、」を削除し、段落0010の「前記目的を達成するため、」の後に、段落0011の「本発明に係る風管収納装置は、・・・」を続ける。
(ウ)明細書の段落0022中の「このような観点から、外筒18としては、前述した保持棒22の形態のみからなる構成とすることも可能である。そして、」という記載を削除する。
(エ)明細書の段落0023中の「下傾する」を「拡傾する」と訂正する。
(オ)明細書の段落0012中、「また、・・・固定することができる。」という記載を削除する。
(カ)明細書の段落0029中の「例えば内筒のみとし、外筒や保持枠を省略する等、」という記載を削除する。

2.そこで、これら訂正事項について検討する。
訂正事項(ア)は、特許請求の範囲の請求項2項中1項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項(イ)ないし(オ)は、「発明の詳細な説明」中の明りょうでない記載を明りょうにしたものであると認められるから、これらの訂正事項は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記各訂正事項は、いずれも願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内において訂正したものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
したがって、本件訂正請求を認める。

〔3〕特許異議申立てについての判断
特許異議申立人の異議申立ての理由は、本件特許の、平成9年10月21日及び平成12年11月13日差出の手続補正書による明細書の補正は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないので特許法第17条第2項の規定に違反する、というにあるものと認める。
しかし、本件訂正請求によって、いわゆる新規事項と認められる記載は削除されたので、もはや、異議申立人の主張は理由のないものとなった。

〔4〕まとめ
以上によれば、特許異議申立人の主張する申立ての理由によっては、本件特許を取り消すことはできない。また、ほかに本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
風管収納装置および収納風管の取出し方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 内筒と外筒との間において可撓性風管をその長手方向に所要の間隔で折畳んで収納する風管保持体と、この風管保持体の開口側一端部の内筒上に設けられ、折畳まれた風管を次第に拡開しながら風管を引出すよう構成したフランジ部とを備え、該フランジ部は内筒に取付けられ、風管保持体の開口側に拡傾部と、前記拡傾部の大径側端面に隣接して配置した可撓性風管の内径より外径の大きなパッキンとから構成してなる風管収納装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、地下構築物、トンネル構築物等において換気手段として使用する風管に係り、特に風管の設置を簡便に行うための風管収納装置およびこの装置に収納された風管の取出し方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の風管は、気密性と可撓性を有する樹脂シート(ターポリン)を円筒状に成形し、所定の長さに構成したものを、構築現場において順次端部結合を行って延長させながら設置するものである。なお、この種の風管の端部結合には、通常ファスナが使用されている。
【0003】
しかるに、構築現場の工事の進行に伴い、風管を次々に結合していく場合に、その結合部における漏風が問題となる。このため、例えば風管の結合を気密にしようとすれば、風管の端部構造を複雑にする必要があり、風管の製造コストが増大するばかりでなく、構築現場におけるこの種の結合作業が煩雑となる難点がある。また、多少の漏風を許容して、比較的簡便な結合状態とする場合には、工事の進行に伴い結合数が増大すると、そのトータル的な漏風量は増大し、換気機能が著しく低下する難点がある。
【0004】
このような観点から、従来において、例えば同軸に配置される内筒と外筒との間に、風管を折畳みかつ引出し可能に収容し、工事の進行に伴い順次風管を前記収納筒体から引出して配設するように構成した装置が提案されている(特公平2-5240号公報)。
【0005】
この提案された装置によれば、比較的に長い寸法の風管を用意し、これをコンパクトに収容した状態で順次配設することができるため、構築現場における風管の結合の回数を減らすことができ、作業性の容易化と共に、漏風量も低減し得る利点が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した風管を折畳みかつ引出し可能に収容した装置においても、なお以下に述べるような難点を有していた。
【0007】
すなわち、前記の従来装置においては、風管収納筒体の一端開口側の内筒に着脱自在に漏斗を連結し、前記収納筒体から引出された時の風管の直径と略同一の直径を有して前記漏斗に着脱可能に嵌合されるリングを設け、前記収納筒体の開口側から漏斗上を通って引出される風管の先端部を先行する風管のリングに固定し、この風管の後端部を漏斗に嵌合した前記リングに付着させてこのリングを漏斗から分離するように構成されている。
【0008】
しかしながら、前記従来装置において、収納筒体から引出された時の風管の直径と略同一の直径を有するリングは、風管の引出しを容易にするためには、風管との接触がルーズでなければならず、このため風管の収納筒体からの引出しに際して所要の張力を保持することができず、不必要に風管が引出されてしまう難点がある。この場合に、例えばリングの直径を拡大して風管との接触抵抗を増大するように設計するとすれば、風管の引出しに際してリングが外れて風管の中間部内に入り、これを取出すことができなくなる。また、風管の接続に際して、前記リングを使用すると、風管の各端部とリングとをしっかりと固定するためには、風管の端部外周部より十分な圧接挾持力を有する結合具を使用する必要があり、作業性およびコストの点において多くの問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、従来と同様に風管を折畳みかつ引出し可能に収納して保持し、風管の設置に際して、前記風管を順次引出す場合、風管に所要の張力を保持させた状態で円滑に引出すことができ、しかも風管の接続に際してリング等を使用することなく直接風管同士を容易に結合することができる、簡単な構成で取扱いの簡便な風管収納装置および収納風管の取出し方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る風管収納装置は、内筒と外筒との間において可撓性風管をその長手方向に所要の間隔で折畳んで収納する風管保持体と、この風管保持体の開口側一端部の内筒上に設けられ、折畳まれた風管を次第に拡開しながら風管を引出すよう構成したフランジ部とを備え、該フランジ部は内筒に取付けられ、風管保持体の開口側に拡傾部と、前記拡傾部の大径側端面に隣接して配置した可撓性風管の内径より外径の大きなパッキンとから構成してなる。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【作用】
本発明の風管収納装置は、風管保持体において、その内筒と外筒との間において可撓性風管をその長手方向に所要の間隔で折畳んで収納し、この風管保持体の開口側一端部に設けたフランジ部を介して折畳まれた風管を次第に拡開しながらその延出方向に対して十分な張力を保持して風管を順次引出すことができる。
【0017】
また、本発明によれば、風管収納装置の風管保持体の開口側一端部よりフランジ部を介して折畳まれた風管の一端を次第に拡開しながら引出し、次いでこの風管の一端と先行する風管の後端とをファスナを介して結合し、その後先行する風管に結合された前記風管を所要の張力を保持してその後端に至るまで風管を順次円滑に引出し、以下同様の操作を繰り返すことにより、各種構築現場における風管の設置を容易かつ迅速に達成することができる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明に係る風管収納装置およびこの装置に収納された風管の取出し方法の実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る風管収納装置の一実施例を示すものである。しかるに、図1の(a)ないし(c)において、本実施例の風管収納装置は、基本的に、長手方向に所要間隔で折畳んでなる可撓性風管10と、この風管10を収納保持する風管保持体12と、この風管保持体12の開口側一端部に設けたフランジ部14とから構成されている。
【0020】
しかるに、前記風管保持体12は、内筒16と外筒18とからなり、これら内筒16と外筒18とは、その閉塞他端部にそれぞれ外筒接続フランジ16aおよび内筒接続フランジ18aを設けて、これら外筒接続フランジ16aと内筒接続フランジ18aとを同軸上で結合することにより、一体的に固定されている。なお、前記内筒16の他端部は、外筒18よりも若干延在させて、その端部に外部機器との接続固定を行うための固定フランジ16bが設けられている。
【0021】
前記内筒16は、図2の(a)ないし(c)においても示すように、内筒16の他端部に設けた外筒接続フランジ16aに対し、開口側一端部に内筒16の外径より大径の保持リング20を設け、これら外筒接続フランジ16aと保持リング20との間に、それぞれ半径方向に離間すると共に、円周方向に所定間隔離間して複数の保持棒22を固定配置する。このように構成することにより、前記内筒16と保持棒22との間に形成されるスペースに、前記折畳んだ風管10を適正に収納配置することができる。
【0022】
また、前記外筒18は、例えば図3の(a)ないし(c)においても示すように、前記内筒16の下側半円筒部を囲繞するように半円筒状に形成する。これは、特に損傷し易い内筒16の下側半分を保護するためと、収納された折畳み風管の量を容易に確認し得るために、材料を節約して構成した結果である。従って、風管を設置する条件に応じて、前記外筒18は、内筒16の外周全体を囲繞するように形成してもよいことは勿論である。前記外筒18は、長手方向に所定間隔離間して補強リブ18bを設けたり、あるいは長手方向の両側上縁部に沿って補強ステー24を設ければ好適である。
【0023】
一方、前記風管保持体12の開口側一端部に設けるフランジ部14は、図4の(a)ないし(e)に詳細に示すように、内筒16に固定した基板26と、前記基板26を介して取付けた風管保持体12の開口側に拡傾する傾斜面28aからなる拡傾部を形成する弾力性部材からなるクッション28と、前記クッション28の大径側端面に隣接して配置した風管10の内径より外径の大きな弾性部材からなるパッキン30と、前記パッキン30を前記クッション28に対して固定するための前記パッキン30より外径の小さな押えフランジ32とから構成されている。
【0024】
このようにフランジ部14を構成することにより、風管保持体12の開口側一端部から折畳まれた風管を引出す際に、前記クッション28を通過してパッキン30を越える時に、風管10の内径より大きな外径を有する弾性部材からなるパッキン30が撓み接触し、風管10の内面との間に所要の摩擦抵抗を生じるため、風管10の延出方向に対して一定の張力を保持させることができる。これと同時に、風管10が不必要に風管保持体12から引出されるのを防止することができる。
【0025】
次に、前記構成からなる本発明に係る風管収納装置の使用方法について説明する。
【0026】
図5は、第1の使用例を示すものであって、参照符号40は移動架台42に載置された換気装置を示し、この換気装置40の排気側に風管収納装置44接続したものである。この場合、移動架台42の進行に伴って、換気装置40を先頭にして前記風管収納装置44から、風管10が順次引出される。引出された風管10は、構築現場に配設されたメッセンジャワイヤ46に、所定間隔で適宜懸吊具48を介して風管10の一部に予め設けた支持片10aを懸吊支持する。
【0027】
図6は、第2の使用例を示すものであって、この場合、換気装置40は起点に固定設置し、この換気装置40の排気側に風管収納装置44から引出した風管10の一端を結合し、移動架台42の先頭に風管収納装置44を載置したものである。この場合、移動架台42の進行に伴って、前記風管収納装置44から、風管10が順次引出され、引出された風管10は前記と同様にしてメッセンジャワイヤ46に懸吊支持される。
【0028】
図7は、本発明に係る風管収納装置に適用される風管の結合手段の一実施例を示すものである。すなわち、本実施例においては、結合すべき相対する風管10、10の端部に、図7の(a)に示すように、ファスナ50、50を取付け、これを図7の(b)に示すように結着することにより、迅速かつ容易に風管の結合を達成することができる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例についてそれぞれ説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る風管収納装置は、風管保持体において、その内筒と外筒との間において可撓性風管をその長手方向に所要の間隔で折畳んで収納し、この風管保持体の開口側一端部に設けたフランジ部を介して折畳まれた風管を次第に拡開しながらその延出方向に対して十分な張力を保持して風管を順次円滑に引出すことができる。従って、本発明の風管収納装置は、簡単な構成で取扱いが簡便であり、作業性の向上と共に設備コストも低減することができる。
【0031】
また、本発明によれば、風管収納装置の風管保持体の開口側一端部よりフランジ部を介して折畳まれた風管の一端を次第に拡開しながら引出し、次いでこの風管の一端と先行する風管の後端とをファスナを介して結合し、その後先行する風管に結合された前記風管を所要の張力を保持してその後端に至るまで風管を順次円滑に引出し、以下同様の操作を繰り返すことにより、各種構築現場における風管の設置を容易かつ迅速に達成することができる等、多くの優れた利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る風管収納装置の一実施例を示し、(a)は側面図、(b)は(a)の左端面図、(c)は(a)の右端面図である。
【図2】
図1における内筒を示し、(a)は側面図、(b)は(a)の左端面図、(c)は(a)の右端面図である。
【図3】
図1における外筒を示し、(a)は側面図、(b)は(a)の左端面図、(c)は(a)の右端面図である。
【図4】
図1におけるフランジ部の分解図を示し、(a)は押えフランジの端面図、(b)はパッキンの端面図、(c)はクッションの端面図、(d)は基板の側面図、(e)は押えフランジとパッキンとクッションとの接合位置関係を示す説明図である。
【図5】
図1に示す風管収納装置の設置状態の一実施例を示す概略構成図である。
【図6】
図1に示す風管収納装置の設置状態の別の実施例を示す概略構成図である。
【図7】
風管の端部同士の結合手段を示し、(a)は結合前の状態を示す説明斜視図、(b)結合状態を示す説明斜視図である。
【符号の説明】
10 可撓性風管
10a 支持片
12 風管保持体
14 フランジ部
16 内筒
16a 外筒接続フランジ
16b 固定フランジ
18 外筒
18a 内筒接続フランジ
18b 補強リブ
20 保持リング
22 保持棒
24 補強ステー
26 基板
28 クッション
28a 傾斜面
30 パッキン
32 押えフランジ
40 換気装置
42 移動架台
44 風管収納装置
46 メッセンジャワイヤ
48 懸吊具
50 ファスナ
 
訂正の要旨 本件訂正請求は、以下の事項について訂正するものである。
(ア)特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げる。
(イ)明細書の段落0010中の「本発明に係る・・・構成してなる。」及び、段落0011中の「また、」を削除し、段落0010の「前記目的を達成するため、」の後に、段落0011の「本発明に係る風管収納装置は、・・・」を続ける。
(ウ)明細書の段落0022中の「このような観点から、外筒18としては、前述した保持棒22の形態のみからなる構成とすることも可能である。そして、」という記載を削除する。
(エ)明細書の段落0023中の「下傾する」を「拡傾する」と訂正する。
(オ)明細書の段落0012中、「また、・・・固定することができる。」という記載を削除する。
(カ)明細書の段落0029中の「例えば内筒のみとし、外筒や保持枠を省略する等、」という記載を削除する。
異議決定日 2002-11-26 
出願番号 特願平6-219262
審決分類 P 1 651・ 55- YA (F24F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 久保 克彦
原 慧
登録日 2001-08-10 
登録番号 特許第3220337号(P3220337)
権利者 株式会社ナショナルマリンプラスチック 株式会社奥村組
発明の名称 風管収納装置および収納風管の取出し方法  
復代理人 岡本 昭二  
代理人 浜田 治雄  
代理人 竹内 卓  
代理人 浜田 治雄  
代理人 浜田 治雄  

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