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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  H01L
管理番号 1073300
異議申立番号 異議2000-73918  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-03-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-17 
確定日 2003-03-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第3034484号「基板処理装置」の請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3034484号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3034484号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明」という。)についての出願は、平成2年5月28日に特許出願した特願平2-137490号の一部を平成9年5月27日に新たな特許出願とし、平成12年2月18日にその発明について特許権の設定登録がなされたものであり、その後、その特許について、特許異議申立人永田大樹より、特許異議の申立てがなされ、平成12年12月22日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年3月13日に特許異議意見書が提出されたものである。

2.本件発明
特許第3034484号の請求項1及び2に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。
「 【請求項1】 基板を多段に収納する複数個のカセットを載置する静止したカセット載置用の基台と、前記カセット載置用の基台に沿って移動し、かつ基板を上下多段に収納しているカセットの収納高さを昇降して、カセットから基板を取り出すインデクサー搬送ユニットと、複数個の処理ユニットへ基板を搬送するプロセス搬送ユニットと、前記インデクサー搬送ユニットと前記プロセス搬送ユニットとの間であって、前記インデクサー搬送ユニットの移動域の外に設定された基板待機位置で基板を載置して、基板の位置合わせを行う基板位置合わせ機構とを備え、前記インデクサー搬送ユニットは、カセットから取り出した基板を、前記基板待機位置にある基板位置合わせ機構に移載し、前記基板位置合わせ機構は、移載された基板の位置合わせを行い、前記プロセス搬送ユニットは、位置合わせされた基板を受け取って、前記複数個の処理ユニットへ搬送することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】 基板を多段に収納する複数個のカセットを載置する静止したカセット載置用の基台と、前記カセット載置用の基台に沿って移動し、かつ基板を上下多段に収納しているカセットの収納高さを昇降して、カセットから基板を取り出すインデクサー搬送ユニットと、複数個の処理ユニットに沿って移動し、これらの処理ユニットへ基板を搬送するプロセス搬送ユニットと、前記インデクサー搬送ユニットと前記プロセス搬送ユニットとの間であって、前記インデクサー搬送ユニットの移動域の外で、かつ前記プロセス搬送ユニットの処理ユニットに沿った移動域の外に設定された基板待機位置で基板を載置して、基板の位置合わせを行う基板位置合わせ機構とを備え、前記インデクサー搬送ユニットは、カセットから取り出した基板を、前記基板待機位置にある基板位置合わせ機構に移載し、前記基板位置合わせ機構は、移載された基板の位置合わせを行い、前記プロセス搬送ユニットは、位置合わせされた基板を受け取って、前記複数個の処理ユニットへ搬送することを特徴とする基板処理装置。」

3.先願明細書記載の発明及び周知例の記載事項
3-1.先願明細書記載の発明
先の取消理由通知において引用した、本件特許の遡及する出願日前の他の出願であって、その出願後に公開された特願平2-126407号(特開平4-24915号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「第1図に示すように、塗布・現像装置1には、半導体ウエハ2にフォトレジストの塗布、現像処理等を施す塗布・現像処理部3が設けられており、この塗布・現像処理部3の側方には、複数枚(例えば25枚)の半導体ウエハ2を収容可能に構成されたウエハカセット4が複数個配置されるカセットステーション5が設けられている。」(上記公報第2頁右上欄第20行〜左下欄第6行)
(イ)「また、この塗布・現像処理部3の中央部には、上記処理機器6a〜6hの間で半導体ウエハ2の搬送を行う搬送機構7が設けられている。この搬送機構7は、円弧状に形成されたウエハピンセット7aで半導体ウエハ2裏面の周縁部を支持し、後述するバッファーステーション10から各処理機器6a〜6hに順次搬送し、処理の終了した半導体ウエハ2を最後にバッファーステーション10へ搬送する如く構成されている。
一方、上記カセットステーション5には、ウエハカセット4を昇降させるカセットエレベータ(図示せず)が複数例えば4つ配列されており、これらのカセットエレベータにそれぞれウエハカセット4が載置される。」(上記公報第2頁左下欄第15行〜右下欄第9行)
(ウ)「また、これらのウエハカセット4の前方には、ウエハ受け渡し機構が設けられている。このウエハ受け渡し機構には、半導体ウエハ2を支持する第1の基板支持機構としてのバッファーステーション10と、半導体ウエハ2を支持し、バッファーステーション10に受け渡しするための第2の基板支持機構としての吸着アーム11が設けられている。」(上記公報第2頁右下欄第9〜16行)
(エ)「この吸着アーム11は、図示しない駆動機構によりX-Y-Z-θ方向に移動可能に構成された移動台12上に設けられている。」(上記公報第3頁左上欄第1〜3行)
(オ)「また、第1図に示すように、バッファーステーション10の上部には、吸着アーム11で半導体ウエハ2を載置する際に、半導体ウエハ2の周縁部を両側から押圧して位置決めするための位置決め機構13が設けられている。
上記構成のこの実施例では、カセットステーション5のカセットエレベータ7上に載置されたウエハカセット4から、吸着アーム11により一枚ずつ半導体ウエハ2を取り出し、バッファーステーション10に載置する。」(上記公報第3頁右上欄第13〜左下欄第2行)
そして、第1図には、
(カ)「移動台12」が、「カセットステーション5」に沿って移動する旨の図示、「搬送機構7」が、「処理機器6a〜6h」に沿って移動する旨の図示、及び「移動台12」と「搬送機構7」との間であって、「移動台12」の移動域の外で、かつ「搬送機構7」の「処理機器6a〜6h」に沿った移動域の外に「バッファーステーション10」を設ける旨の図示がある。
上記(ア)〜(オ)の記載及び上記(カ)の図示からみて、先願明細書には、
”「半導体ウエハ2」を多段に収納する複数個の「ウエハカセット4」を「カセットエレベータ」を介して載置する「カセットステーション5」と、前記「ウエハカセット4」に沿って移動し、かつ「ウエハカセット4」から「半導体ウエハ2」を取り出す「吸着アーム11」及び「移動台12」と、複数個の「処理機器6a〜6h」に沿って移動し、これらの「処理機器6a〜6h」へ「半導体ウエハ2」を搬送する「搬送機構7」と、前記「吸着アーム11」及び「移動台12」と前記「搬送機構7」との間であって、前記「吸着アーム11」及び「移動台12」の移動域の外で、かつ前記「搬送機構7」の「処理機器6a〜6h」に沿った移動域の外に設定された位置で「半導体ウエハ2」を載置して、「半導体ウエハ2」の位置決めを行う「バッファーステーション10」及び「位置決め機構13」とを備え、前記「吸着アーム11」及び「移動台12」は、「ウエハカセット4」から取り出した「半導体ウエハ2」を、前記設定された位置にある「位置決め機構13」に移載し、前記「バッファーステーション10」及び「位置決め機構13」は、移載された「半導体ウエハ2」の位置決めを行い、前記「搬送機構7」は、位置決めされた「半導体ウエハ2」を受け取って、前記複数個の「処理機器6a〜6h」へ搬送する「半導体ウエハ2」処理装置”
が記載されていると認める。

3-2.周知例1の記載
先の取消理由通知において引用した、特開昭63-133521号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(キ)「ウェーハ収納カセット1内にある最上段のウェーハ11を搬出する場合は、まず、第1アーム26をカセット1内の最上段ウェーハとその真下の段のウェーハとの間の隙間に第2アーム27の先端真空吸着部27aが挿入できる位置(第1図の仮想線部で示す)まで上昇させる。このとき第2アーム27は第1アーム26の最後端位置まで引込んだ状態にある。この上昇と同時またはその後に第1アーム26をカセット1の中心線に一致する位置θ1(第2図参照)まで回転させる。次いで第2アーム27を前進させ、その先端の真空吸着部27aにウェーハ11が吸着できる状態になったところで停止させる。第1アーム26をわずかに上昇させて第2アーム27の先端真空吸着部27aをカセット1内の最上段ウェーハ11に対接させ、当該ウェーハ11を真空吸着部27aに吸着させる。ウェーハの吸着時点で上昇を停止し、第2アーム27を後退させ、後退完了後に第1アーム26をロードロック室4へウェーハを搬入できる位置θ2まで回転させる。」(上記公報第6頁左下欄第9行〜右下欄第7行)

3-3.周知例2の記載
異議申立人が、異議申立書において周知技術の証拠として提出した甲第5号証、即ち特開昭62-222906号公報(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ク)「この発明においては、上記の連結アーム把手をターンテーブルの上におき、その周囲に検査装置、ウエーハを収容したカセットを配置し、・・・目的とするウエーハを吸着把持し、カセットと検査装置の間を搬送するものである。なお任意のウエーハを搬送するため、カセットに対して、ターンテーブルを上下に移動することにより、連結アーム把手を任意のウエーハの位置に停止できる機構を持つものである。」(上記公報第3頁左上欄第13行〜右上欄第2行)
(ケ)「カセット内の任意のウエーハを搬送するために、カセットに対して連結アーム把手は上下方向に移動できるものである。」(上記公報第3頁右上欄第15〜17行)

4.対比及び判断
4-1.請求項1に係る発明について
特許第3034484号の請求項1に係る発明(以下、「前者」という。)と、特願平2-126407号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、前者の「基板」は、特許第3034484号公報の【0001】段落に「半導体ウエハ等の基板」と記載されているように、半導体ウエハを含むものであるから、後者の「半導体ウエハ2」が、前者の「基板」に相当する。また、後者の「カセット4」が、前者の「カセット」に相当することは明らかであって、後者の「カセットステーション5」は、「カセットエレベータ」を介して「カセット4」を複数個配置するから、静止されているかどうかを除けば、前者の「カセット載置用の基台」に相当する。また、後者の「吸着アーム11」及び「移動台12」は、「カセットステーション5」に沿って移動し、「カセット4」から「半導体ウエハ2」を取り出すものであって、「カセット4」の収納高さを昇降するかどうかを除けば、前者の「インデクサー搬送ユニット」に相当する。そして、後者の「処理機器6a〜6h」「搬送機構7」が、前者の「処理ユニット」「プロセス搬送ユニット」に相当することは明らかだし、後者の「バッファーステーション10」及び「位置決め機構13」は、「移動台12」の移動域の外に設定された位置で「半導体ウエハ2」を載置し、上記(オ)にあるように「半導体ウエハ2」の位置合わせを行うから、前者の「基板位置合わせ機構」に相当し、後者の「バッファーステーション10」及び「位置決め機構13」が設けられた位置が、前者の「基板待機位置」に相当する。
そうすると、両者は、
基板を多段に収納する複数個のカセットを載置するカセット載置用の基台と、前記カセット載置用の基台に沿って移動し、カセットから基板を取り出すインデクサー搬送ユニットと、複数個の処理ユニットへ基板を搬送するプロセス搬送ユニットと、前記インデクサー搬送ユニットと前記プロセス搬送ユニットとの間であって、前記インデクサー搬送ユニットの移動域の外に設定された基板待機位置で基板を載置して、基板の位置合わせを行う基板位置合わせ機構とを備え、前記インデクサー搬送ユニットは、カセットから取り出した基板を、前記基板待機位置にある基板位置合わせ機構に移載し、前記基板位置合わせ機構は、移載された基板の位置合わせを行い、前記プロセス搬送ユニットは、位置合わせされた基板を受け取って、前記複数個の処理ユニットへ搬送する基板処理装置。
である点で一致し、以下の点で一応相違する。
<一応相違する点>:特許第3034484号の請求項1に係る発明では、「カセット載置用の基台」が静止しているものであって、「インデクサー搬送ユニット」が「カセットの収納高さを昇降」するのに対して、先願明細書に記載された発明では、「カセットステーション5」が「カセットエレベータ」により「カセット4」を上下方向に移動させるものであって、「吸着アーム11」及び「移動台12」が「カセット4」の収納高さを昇降するものでない点。
そこで、上記一応相違する点を検討すると、カセットからの基板の取り出しやカセットへの基板の収納の際に、カセットを静止させる一方、基板の取り出しや収納を行うアームを、カセットの収納高さに沿って昇降させるように構成することは、上記周知例1及び2の上記(キ)〜(ケ)の記載からみて、本件特許の遡及する出願日前周知の技術的手段である。そして、この周知の技術的手段は、カセットからの基板の取り出しやカセットへの基板の収納の際に、カセット自体を昇降させないのだから、基板の取り出しや収納の際に、カセットが振動して塵埃が発生することがないという効果を当然に奏するものである。
したがって、上記一応相違する点は、カセットからの基板の取り出しやカセットへの基板の収納を行うための手段を具体化する上で、周知の技術的手段を転換したという程度の微差にすぎず、特許第3034484号の請求項1に係る発明と、特願平2-126407号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明とは、実質的に同一である。

4-2.請求項2に係る発明について
特許第3034484号の請求項2に係る発明(以下、「前者」という。)と、特願平2-126407号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、上記4-1で記載したように、後者の「半導体ウエハ2」「カセット4」「処理機器6a〜6h」は、前者の「基板」「カセット」「処理ユニット」に相当する。また、上記4-1で記載したように、後者の「カセットステーション5」は、静止されているかどうかを除けば、前者の「カセット載置用の基台」に相当し、後者の「吸着アーム11」及び「移動台12」は、「カセット4」の収納高さを昇降するかどうかを除けば、前者の「インデクサー搬送ユニット」に相当する。また、後者の「搬送機構7」は、「処理機器6a〜6h」に沿って移動し、これらの「処理機器6a〜6h」へ「半導体ウエハ2」を搬送するから、前者の「プロセス搬送ユニット」に相当する。そして、後者の「バッファーステーション10」及び「位置決め機構13」は、「移動台12」の移動域の外で、かつ「搬送機構7」の「処理機器6a〜6h」に沿った移動域の外に設定された位置で「半導体ウエハ2」を載置し、「半導体ウエハ2」の位置合わせを行うから、前者の「基板位置合わせ機構」に相当し、後者の「バッファーステーション10」及び「位置決め機構13」が設けられた位置が、前者の「基板待機位置」に相当する。
そうすると、両者は、上記4-1で記載した上記一応相違する点で一応相違し、その他の点で一致しており、上記一応相違する点は、上記4-1で記載したとおり、カセットからの基板の取り出しやカセットへの基板の収納を行うための手段を具体化する上での微差にすぎず、特許第3034484号の請求項2に係る発明と、特願平2-126407号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明とは、実質的に同一である。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許第3034484号の請求項1及び2に係る発明は、いずれも、特願平2-126407号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件発明の発明者が先願明細書に記載された発明の発明者と同一であると認められず、また、本件特許の遡及する出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、特許第3034484号の請求項1及び2に係る発明は、いずれも、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、特許第3034484号の請求項1及び2に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により適用される特許法第114条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-04-04 
出願番号 特願平9-136465
審決分類 P 1 651・ 161- Z (H01L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 柴沼 雅樹瀧内 健夫  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 鈴木 久雄
刈間 宏信
登録日 2000-02-18 
登録番号 特許第3034484号(P3034484)
権利者 大日本スクリーン製造株式会社
発明の名称 基板処理装置  
代理人 杉谷 勉  

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