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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G03B
管理番号 1073301
異議申立番号 異議2002-72982  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-06-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-12-10 
確定日 2003-03-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第3291796号「カメラとオプションレンズとの取付け支持具」の請求項1、2、4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3291796号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3291796号の発明は、平成4年11月18日に特許出願され、平成14年3月29日にその特許の設定登録がなされたものであり、その後、株式会社ニコンより特許異議の申立てがなされたものである。

2.特許異議の申立てについて
(1)[本件発明]
本件請求項1、2、4に係る発明(以下、「本件発明1、2、4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2、4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】前後方向に長いメインフレームに、前後方向に摺動可能なレンズ取付け台座と、上下及び左右方向に摺動可能なカメラ受け台座とを配設したカメラとオプションレンズとの取付け支持具であって、上記カメラと上記オプションレンズとを上記メインフレームに対し別々に取付け、上記カメラ受け台座を摺動して上記カメラのレンズと上記オプションレンズを光軸合わせし、上記オプションレンズのアイカップに上記カメラを突合せた状態で保持可能に構成したことを特徴とするカメラとオプションレンズとの取付け支持具。
【請求項2】上記カメラ受け台に、仰角を変える調節部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカメラとオプションレンズとの取付け支持具。
【請求項4】上記メインフレームに三脚を取付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカメラとオプションレンズとの取付け支持具。」

(2)[申立ての理由の概要]
特許異議申立人株式会社ニコンは、下記甲第1〜3号証及び参考文献を提出し、請求項1、2、4に係る発明の特許は、甲第1〜3号証及び参考文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。

甲第1号証:特開平4-107440号公報
甲第2号証:米国特許第4771300号明細書
甲第3号証:米国特許第4763151号明細書
参考文献:カメラレビュー、No.13、朝日ソノラマ社発行、1980年9月号、p.45

(3)[甲第1〜3号証及び参考文献の記載事項]
甲第1号証には、
「第1図ないし第3図は本発明の一実施例を示している。
同図において、1はハンディーレンズ、2はハンディーカメラ、3は後述するカメラ取付装置、4は該カメラ取付装置3に設けられたレンズ保持機構部、5は三脚である。」(第2頁左下欄第8〜13行)、
「第4図および第5図は第3図の切断線A-Aに沿う断面図で、光軸万向(X方向)の調整および収納方法について示した説明図である。・・・・・
そして、第4図はレンズ保持機構部4が力メラ取付装置3に収納された状態を示しており、第5図は光軸方向(X方向)のある特定の位置に設定された状態を示している。」(第2頁右下欄第5行〜下から第3行)、
「収納と、取付けられるハンディーレンズの重心位置に応じて調整とを可能にして、かつ、少なくとも数種のハンディーレンズの重心近傍を支持可能なレンズ保持装置を備えているので、」(第3頁左下欄第9行〜第13行)が記載されている。
甲第2号証には、「カメラブラケットは、カメラレンズの垂直位置および水平位置とミラー位置を容易に適応させるように設計される」(アブストラクトの第8行〜最下行)、
「ミラーにはカメラレンズの開口が有り、ミラーとミラーに取付けられるブラケットの垂直方向のラインとカメラを据え付ける三脚の水平面と垂直面の両者を調節し、カメラレンズをミラーの開口を通して差し出す」(発明の要約)旨が記載されている。
甲第3号証には、「ベース部材11は、カメラを設置する平面部材12を含む三脚の頭部にある。シャフト13はカメラの穴に通される。」(第3欄第57行〜第62行)、
「平面部材12は、第2シャフト30に設置されており、第2の傾き軸に関する第2シャフト30により旋回される。」(第5欄第52行〜第56行)旨が記載されている。
参考文献には、「ブレを防ぐ手としては、三脚があるが、これがまた意外とブレ易い。たいていの三脚はネジ穴一個で留めているので横から見ればわかるがまるでヤジロベエだ。留めネジを支点に非常に動き易くなっている。そこでレンズは三脚で支え、カメラ側には一脚を付けて固定する(写真8)という手がある。」(第45頁第2欄下から第5行〜第3欄第2行)が記載されている。

(4)[対比・判断]
[本件発明1について]
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明は、本件発明1が具備する「カメラとオプションレンズとをメインフレームに対し別々に取付け、カメラ受け台座を摺動してカメラのレンズとオプションレンズを光軸合わせし、オプションレンズのアイカップにカメラを突合せた状態で保持可能に構成した」という構成を具備していない。
また、係る点は、前記甲第2〜3号証及び参考文献に記載も示唆もなされていない。
しかも本件発明1は、前記構成を有することで、明細書記載の「カメラとオプションレンズを直接連結しないのでカメラへの重量負担がなく、しかもカメラレンズ部を破損する等のおそれもない。」といった顕著な効果を奏するものと認められる。
してみると、本件発明1は、甲第1〜3号証及び参考文献に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものとは認められない。
したがって、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。

[本件発明2、4について]
本件発明2、4は、本件発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、本件発明1について説示したのと同様の理由により、本件発明2、4は、甲第1〜3号証及び参考文献に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明することができたとも認めることはできない。
したがって、本件発明2、4は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。

(5)[申立人の主張について]
申立人株式会社ニコンは、『甲第1号証には、本願特許発明の請求項1の構成Cである「カメラと上記オプションレンズとを上記メインフレームに対して別々に取付ける」構成が記載されている。』と主張するが、甲第1号証のレンズ保持機構は、本件発明のオプションレンズに相当するハンディーレンズの重量を負担する機能を有しているにとどまり、本件発明のようにカメラとオプションレンズを直接連結しないでオプションレンズの姿勢を保持する機能を有しているとは認められないから、甲第1号証に前記構成が記載されているとは認められない。

(6)[結び]
したがって、特許異議申立ての理由および証拠によっては、本件発明1、2、4についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、2、4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-02-17 
出願番号 特願平4-308989
審決分類 P 1 652・ 121- Y (G03B)
最終処分 維持  
特許庁審判長 高橋 美実
特許庁審判官 青木 和夫
國島 明弘
登録日 2002-03-29 
登録番号 特許第3291796号(P3291796)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 カメラとオプションレンズとの取付け支持具  
代理人 渡辺 隆男  
代理人 角田 芳末  

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