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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16K
管理番号 1074416
審判番号 不服2000-18964  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-30 
確定日 2003-04-03 
事件の表示 平成8年特許願第80515号「接続装置用喰込部材とこれを用いた継手とバルブ」拒絶査定に対する審判事件[平成9年9月16日出願公開、特開平9-242914]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年3月11日の出願であって、本願の請求項1〜3に係る発明は、平成13年1月4日受付の手続補正書、及び平成14年12月24日受付の手続補正書により補正された明細書並びに平成13年1月4日受付の手続補正書により補正された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める(以下、請求項1に記載された事項によって特定される発明を「本願発明」という。)。
「【請求項1】 合成樹脂製のボールリテーナを全円周にわたって環状に接続形成し、この環状のボールリテーナの円周上で、かつ巾方向一側近傍へ偏位させた位置に金属製ボールを略等間隔に複数個埋設し、これらのボールは、ボールリテーナの外周面から突出させることなくボールリテーナの内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた位置のボールリテーナの外周面には、テーパ部を形成し、ボールリテーナの巾方向両端部より交互にボールの間に向けて切込部を設け、この切込部は、ボールの間に均等に配設すると共に、前記ボールリテーナのテーパ部側の巾方向端部よりボールの間に向けて設けた切込部の長さを前記ボールの外径を越える長さに形成し、かつ、この切込部の溝巾を同一巾に形成したことを特徴とする接続装置用喰込部材。
【請求項2】 継手本体の内周面に被接続管の外周面に挿入するパッキンを装着し、この継手本体に螺合させた締付部材の内周テーパ面に喰込部材を設け、この喰込部材は、合成樹脂製のボールリテーナを全円周にわたって環状に接続形成し、この環状のボールリテーナの円周上で、かつ巾方向一側近傍へ偏位させた位置に金属製ボールを略等間隔に複数個埋設し、これらのボールは、ボールリテーナの外周面から突出させることなくボールリテーナの内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた位置のボールリテーナの外周面には、テーパ部を形成し、ボールリテーナの巾方向両端部より交互にボールの間に向けて切込部を設け、この切込部は、ボールの間に均等に配設すると共に、前記ボールリテーナのテーパ部側の巾方向端部よりボールの間に向けて設けた切込部の長さを前記ボールの外径を越える長さに形成し、かつ、この切込部の溝巾を同一巾に形成したものであり、この締付部材の螺着時に喰込部材を被接続管の外周面に喰い込み可能に設けたことを特徴とする継手。
【請求項3】 バルブ本体の被接続管の接続部位の内周面に被接続管の外周面に挿入するパッキンを装着し、このバルブ本体に螺合させた締付部材の内周テーパ部に喰込部材を設け、この喰込部材は、合成樹脂製のボールリテーナを全円周にわたって環状に接続形成し、この環状のボールリテーナの円周上で、かつ巾方向一側近傍へ偏位させた位置に金属製ボールを略等間隔に複数個埋設し、これらのボールは、ボールリテーナの外周面から突出させることなくボールリテーナの内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた位置のボールリテーナの外周面には、テーパ部を形成し、ボールリテーナの巾方向両端部より交互にボールの間に向けて切込部を設け、この切込部は、ボールの間に均等に配設すると共に、前記ボールリテーナのテーパ部側の巾方向端部よりボールの間に向けて設けた切込部の長さを前記ボールの外径を越える長さに形成し、かつ、この切込部の溝巾を同一巾に形成したものであり、この締付部材の螺着時に喰込部材を被接続管の外周面に喰い込み可能に設けたことを特徴とするバルブ。」

2.引用刊行物及びその記載事項
これに対して、当審における平成14年10月15日付けで通知した拒絶の理由に引用した、本願の出願前である平成6年8月16日に日本国内において頒布された登録実用新案第3000711号公報(以下、「刊行物1」という。)には、伸縮可とう式継手に関して、次のような記載がある。
A) 「【0011】 袋ナット3は管8に緩挿されるナット状部材からなり、その内面には胴2のねじ部23に螺合する雌ねじ部25と、管8の伸延方向に向かって縮径するテーパ面9と、テーパ面9の大径側と雌ねじ部25間に形成される段付面26と、ゴム輪7の嵌入される凹溝27等が形成される。
【0012】 ゴムパッキン4はゴム材から形成され、図1に示すように胴2の膨出部20のテーパ面21とストレートの大径部22に当接する輪郭を外周に形成すると共に管8の外周に挿着される内孔を有するものからなる。ゴムパッキン4は管8を可とう支持するものである。なお、図5に示すように、本実施例ではゴムパッキン4とワッシャ5を一体的に接着し組み立て性の向上を図るようにしている。勿論、ゴムパッキン4とワッシャ5は別体のものでもよい。なお、ワッシャ5は袋ナット3の段付面26とゴムパッキン4の端面間に介設され、胴2への袋ナット3の螺合により両面に圧接される。」
B) 「【0014】 次に、本実施例の主要構成部の管把持部材10を図1乃至図3により説明する。管把持部材10は複数個(本実施例では11個)ボール11と、ボール11を保持するボールガイド12からなる。なお、本実施例では図2に示すようにボールガイド12に一体的に形成された係止部14にリング状拘束部材の1つであるスナップリング13を嵌着したものからなる。ボールガイド12は、例えばポリアセタール(POM)の合成樹脂材からなるリング状部材からなり、図2および図3に示すように円周の一部にスリ割り部19が形成されて外円周を拡縮可能に形成される。ボール11は鋼球からなり、図2および図3に示すようにボールガイド12内に中間部を埋設支持されボールガイド12の外面側にはやや突出し内面側には大きく突出して配設される。管把持部材10は管8と袋ナット3のテーパ面9間の空隙内に挿着されるもので、胴2に袋ナット3が螺合した場合にテーパ面9がボール11又はボールガイド12の外周に当接しボール11の内面側を管8の外周に押圧し得る関係寸法を有するものから形成される。・・・」
C) 第2図には、ボールガイド12の外周面にテーパ部が形成されていることが記載されており、第3図には、ボール11がボールガイド12の円周上に略等間隔に複数個埋設され、ボールガイド12の内周面から求心方向に突出していることが記載されている。
上記B)、C)の記載から、上記刊行物1の管把持部材10は、合成樹脂材で形成されてスリ割り部19によって拡縮可能なリング状、即ち環状のボールガイド12と、ボールガイド12に略等間隔に複数個埋設されてボールガイド12の内周面から求心方向に突出する鋼球のボール11とからなり、ボールガイド12の外周面にはテーパ部が形成されているものと認める。また、上記A)、B)の記載から、継手の胴2の膨出部20の内周面には、管8の外周面に挿入されるゴムパッキン4が装着されるとともに、胴2に螺合される袋ナット3のテーパ面9には管把持部材10が挿着されて、袋ナット3の螺着時に管把持部材10が管8の外周面に喰い込んで管8を胴2に接続するものと認める。

したがって、上記刊行物1には、
「合成樹脂製のボールガイド12を環状に形成し、この環状のボールガイド12の円周上に鋼製ボール11を略等間隔に複数個埋設し、これらのボール11は、ボールガイド12の内周面から求心方向に突出させ、更に、ボールガイド12の外周面には、テーパ部を形成した接続装置用管把持部材。」の発明(以下、「刊行物1の第1の発明」という。)と、
「胴2の内周面に管8の外周面に挿入するゴムパッキン4を装着し、この胴2に螺合させた袋ナット3のテーパ面9に管把持部材10を設け、この管把持部材10は、合成樹脂製のボールガイド12を環状に形成し、この環状のボールガイド12の円周上に鋼製ボール11を略等間隔に複数個埋設し、これらのボール11は、ボールガイド12の内周面から求心方向に突出させ、更に、ボールガイド12の外周面には、テーパ部を形成すると共に、袋ナット3の螺着時に管把持部材10を管8の外周面に喰い込み可能に設けた継手。」の発明(以下、「刊行物1の第2の発明」という。)が記載されているものと認める。

同じく拒絶の理由に引用した、本願の出願前である昭和53年1月23日に日本国内において頒布された実願昭51-89967号(実開昭53-7723号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)には、管接合部に関して、次のような記載がある。
D) 「第1図において,P1,P2は互いに接合されるべきプラスチック管,例えば塩化ビニル管である。2はスリーブ継手であり,両端には受口21,22を有し,各受口21,22には塩化ビニル管P1,P2が挿入されている。これらの受口21,22のうち,一方の受口21の奥部には,楔収容空間210が設けられ,この空間210には,楔形スペーサ3が収納されている。この楔形スペーサ3は,プラスチック管P1,P2よりも硬質の材質,例えば,ポリカーボネートから成形されている。また,内面には,凹凸歯31が設けられ,更に,径方向への縮径が可能なように,第2図に示すように,スリット310′,310′・・・が設けられている。楔形スペーサ3は,断面C型の割れ構造或いは割れ目のないゴム体とすることもできる。41,42は継手両端の各受口21,22に納められたゴムリング,51,52はゴムリング押えであり,これらは,ボルト6によって締付けられる。」(第5頁17行〜第6頁15行)
E) 第2図には、楔形スペーサ3の外周面にテーパ部が形成されていることと、楔形スペーサ3の巾方向両端部より交互にスリット310′が設けられ、このスリット310′は溝巾を同一巾に形成して、楔形スペーサ3の周方向に均等に配設されていることが記載されている。
上記D)、E)の記載から、上記刊行物2の楔収容空間210に収納された楔形スペーサ3は、プラスチック管P1,P2よりも硬質の合成樹脂から成形され、外周面にテーパ部が形成されるとともに、径方向への縮径が可能なように、楔形スペーサ3の巾方向両端部より交互に、溝巾を同一巾に形成したスリット310′、即ち切込部が設けられ、このスリット310′、即ち切込部は楔形スペーサ3の周方向に均等に配設され、凹凸歯31によって管P1,P2に喰い込み可能になっているものと認める。また、実施の別態様として「楔形スペーサ3は,断面C型の割れ構造或いは割れ目のないゴム体とすることもできる。」と記載されていることから、楔形スペーサ3として、合成樹脂を全円周にわたって環状に接続形成した割れのない構造のものも記載されていると認める。

したがって、上記刊行物2には、
「スリーブ継手2の内周面に被接続管P1,P2の外周面に挿入するゴムリング41,42を装着し、このスリーブ継手2の楔収容空間210に楔形スペーサ3を設け、この楔形スペーサ3は、合成樹脂を全円周にわたって環状に接続形成したもので、外周面にはテーパ部を形成し、巾方向両端部より交互に、溝巾を同一巾に形成した切込部を設け、この切込部は楔形スペーサ3の周方向に均等に配設し、ボルト6によるゴムリング押え51,52の締付時に楔形スペーサ3を被接続管P1,P2の外周面に喰い込み可能に設けた継手。」の発明が記載されているものと認める。

同じく拒絶の理由に引用した、本願の出願前である平成5年8月27日に日本国内において頒布された実願平4-4553号(実開平5-64594号)のCD-ROM(以下、「刊行物3」という。)には、差込み管継手に関して、次のような記載がある。
F) 「【0010】 図1に本考案による環状パッキンと一体の管抜け止め手段の第一の実施例を示す。この環状パッキン付き管抜け止め手段10は、弾性材料製の環状パッキン11と、この環状パッキン11から一体に軸方向に延びる筒状のボールレース12と、このボールレース12に保持されるように配列された複数の鋼製のボール13とからなり、ボール13はボールレース12の内周面から内方へ若干突出している。」
G) 第1図には、ボールレース12の巾方向一側近傍へ偏位させた位置にボール13が埋設され、ボールを偏位させた側のボールレース12の外周面にはテーパ部が形成されていることが記載されている。

上記F)、G)の記載から、上記刊行物3には、
「環状のボールレース12の円周上で、かつ巾方向一側近傍へ偏位させた位置に鋼製のボールを複数個埋設し、これらのボールは、ボールレース12の内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた側のボールレース12の外周面には、テーパ部を形成した管抜け止め手段。」の発明が記載されているものと認める。

3.本願発明と上記刊行物1の第1の発明との対比・相違点の検討
3-1.本願発明と上記刊行物1の第1の発明との対比
本願発明と上記刊行物1の第1の発明とを対比すれば、上記刊行物1の第1の発明の「ボールガイド12」、「鋼製ボール11」、「管把持部材10」は、機能上それぞれ本願発明の「ボールリテーナ」、「金属製ボール」、「喰込部材」に対応するから、本願発明は上記刊行物1の第1の発明と、
「合成樹脂製のボールリテーナを環状に形成し、この環状のボールリテーナの円周上に金属製ボールを略等間隔に複数個埋設し、これらのボールは、ボールリテーナの内周面から求心方向に突出させ、更に、ボールリテーナの外周面には、テーパ部を形成した接続装置用喰込部材。」
で一致し、以下の<相違点>で相違している。
<相違点>
1)本願発明の喰込部材におけるボールリテーナは、全円周にわたって環状に接続形成されるとともに拡縮を行うための切込部が巾方向両端部より交互に設けられ、この切込部はボールの間に均等に配設され、ボールリテーナのテーパ部側の巾方向端部よりボールの間に向けて設けた切込部の長さをボールの外径を越える長さに形成し、かつ、この切込部の溝巾を同一巾に形成しているのに対し、上記刊行物1の第1の発明における管把持部材10のボールガイド12は、環状に形成されているものの全円周にわたって接続されたものでなく、その拡縮を、ボールリテーナの巾方向両端部より交互に設けられ、ボールの間に均等に配設され、テーパ部側の巾方向端部よりボールの間に向けて設けた切込部の長さをボールの外径を越える長さに形成し、溝巾を同一巾に形成した切込部によってでなく、スリ割り部19によって行うようにしている点。
2)本願発明のボールリテーナは、巾方向一側近傍へ偏位させた位置にボールが埋設され、これらのボールは、ボールリテーナの外周面から突出させることなくボールリテーナの内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた側のボールリテーナの外周面にテーパ部が形成されているのに対し、上記刊行物1の第1の発明のボールガイド12は、外周面にテーパ部が形成されているものの、ボールが、巾方向一側近傍へ偏位させたテーパ部の位置に埋設されておらず、該ボールはボールリテーナの外周面からもやや突出している点。

3-2.相違点の検討
(1)相違点1)に関して
刊行物2には、管継手の内周テーパ面に収容して管を把持する楔形スペーサを、全円周にわたって環状に接続形成するとともに、拡縮を行うための切込部を、巾方向両端部より交互に、溝巾を同一巾に形成して、周方向に均等に設けるようにする発明が記載されており、この発明を刊行物1の第1の発明の管把持部材10に適用することには何ら困難性が認められない。そして、ボールを用いた管把持部材に切込みを周方向に均等に設けるとき、該切込みをボールの間に均等に配設したり、切込部の長さをボールの外径を越える長さに形成することは、例えば特開平4-249691号公報の第2図の鎖線の切欠きにもみられるように当業者が適宜行う設計事項である。してみれば、刊行物1の第1の発明で、管把持部材10のボールガイド12を、全円周にわたって環状に接続形成するとともに、溝巾を同一巾に形成した拡縮を行うための切込部を巾方向両端部より交互に設け、この切込部をボールの間に均等に配設し、ボールリテーナのテーパ部側の巾方向端部よりボールの間に向けて設けた切込部の長さをボールの外径を越える長さに形成することは、上記刊行物2に記載された発明から当業者が容易に行うことができたものである。
(2)相違点2)に関して
刊行物3には、環状のボールレース(ボールリテーナ)の円周上で、かつ巾方向一側近傍へ偏位させた位置に鋼製のボールを複数個埋設し、これらのボールをボールレース12の内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた側のボールレース12の外周面にテーパ部を形成する発明が記載されており、この発明を刊行物1の第1の発明の管把持部材10に適用することには何ら困難性が認められない。そして、ボールをボールリテーナの外周面から突出させるかさせないかは、当業者が適宜選択する設計事項である(本願明細書の段落【0023】には「継手本体21に袋ナット24を螺合したときに、テーパ面25がボール28又はボールリテーナ27の外周に当接し」と記載されており、該記載は、ボールがボールリテーナの外周面から突出するかしないかは単なる選択事項であることを示している。)。してみれば、上記刊行物1の第1の発明で、ボール11を、ボールガイド1の巾方向一側近傍へ偏位させた位置に埋設し、これらのボール11を、ボールガイド1の外周面から突出させることなくボールガイド1の内周面から求心方向に突出させ、更に、前記ボールを偏位させた側のボールガイド1の外周面にテーパ部を形成することは、上記刊行物3に記載された発明から当業者が容易に行うことができたものである。

そして、本願発明による作用効果は、上記刊行物1の第1の発明に上記刊行物2,3に記載された発明を適用することにより得られる作用効果を越えるものでもない。

4.請求項2の発明と上記刊行物1の第2の発明との対比・相違点の検討
請求項2の発明と上記刊行物1の第2の発明とを対比すれば、上記刊行物1の第2の発明の「胴2」、「管8」、「ゴムパッキン4」、「袋ナット3」、「テーパ面9」、「管把持部材10」、「ボールガイド12」、「鋼製ボール11」、「管把持部材10」は、機能上それぞれ請求項2の発明の「継手本体」、「被接続管」、「パッキン」、「締付部材」、「内周テーパ面」、「喰込部材」、「ボールリテーナ」、「金属製ボール」、「喰込部材」に対応するから、請求項2の発明は上記刊行物1の第2の発明と、
「継手本体の内周面に被接続管の外周面に挿入するパッキンを装着し、この継手本体に螺合させた締付部材の内周テーパ面に喰込部材を設け、この喰込部材は、合成樹脂製のボールリテーナを環状に形成し、この環状のボールリテーナの円周上に金属製ボールを略等間隔に複数個埋設し、これらのボールは、ボールリテーナの内周面から求心方向に突出させ、更に、ボールリテーナの外周面には、テーパ部を形成すると共に、締付部材の螺着時に喰込部材を被接続管の外周面に喰い込み可能に設けた継手。」
で一致し、「3-1.」で摘記した相違点1)、2)と同じ点で相違している。そして、これら相違点1)、2)は、「3-2.」で説示したのと同じ理由により、上記刊行物2,3に記載された発明から当業者が容易に行うことができたものである。

そして、請求項2の発明による作用効果は、上記刊行物1の第2の発明に上記刊行物2,3に記載された発明を適用することにより得られる作用効果を越えるものでもない。

5.請求項3の発明に関して
請求項3の発明は、請求項2の発明における「継手」を「バルブ」に変更すると共に、「継手本体の内周面」を「バルブ本体の被接続管の接続部位の内周面」に変更したものであるが、刊行物1〜3に記載されたような「継手」を「バルブ」に適用することは周知技術(例えば、実願平4-79408号(実開平6-37666号)のCD-ROM参照)であるから、請求項3の発明は上記刊行物1の第2の発明に上記刊行物2,3に記載された発明を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上詳述したとおりであるから、本願の請求項1〜3に記載された発明は、上記刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-01-29 
結審通知日 2003-02-04 
審決日 2003-02-17 
出願番号 特願平8-80515
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 利英渡邊 豊英一ノ瀬 覚上尾 敬彦  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 尾崎 和寛
ぬで島 慎二
発明の名称 接続装置用喰込部材とこれを用いた継手とバルブ  
代理人 小林 哲男  

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