• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 特29条特許要件(新規)  H05K
審判 一部申し立て 発明同一  H05K
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H05K
審判 一部申し立て 2項進歩性  H05K
管理番号 1076360
異議申立番号 異議2002-71588  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-06-25 
確定日 2003-03-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3241605号「配線基板の製造方法並びに配線基板」の請求項1ないし5、7、9、10、12ないし18に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3241605号の請求項1ないし4、6、8、9、11ないし16に係る特許を維持する。 
理由 【一】手続の経緯
本件特許第3241605号は、平成8年9月6日に出願され、平成13年10月19日に設定登録された後、表記特許異議申立人より請求項1ないし5,7,9,10,12ないし18に係る発明について特許異議の申立てがなされ、平成14年10月8日付けで通知した取消理由で指定した期間内の平成14年12月17日付けで特許異議意見書及び訂正請求書が提出され、平成15年1月31日付けで特許権者より上申書が提出されたものである。
【二】訂正請求の要旨
上記訂正請求は、願書に添付した明細書を上記訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであるが、その要旨は、以下の訂正事項(a)ないし(l)のとおりのものと認める。
[訂正事項(a)]
請求項1の「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体の表面に配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する配線基板の製造方法。」を、
「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する配線基板の製造方法。」とする。
[訂正事項(b)]
請求項2の「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体の表面に配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行なって作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。」を、
「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。」とする。
[訂正事項(c)]
請求項3の「両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層し、さらにその上面に離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記配線基板の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行なう工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。」を、
「エッチング法により形成された両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して前記配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記配線パターンと前記導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。」とする。
[訂正事項(d)]
請求項4及び請求項14を削除し、もとの請求項5〜10、12、15〜18の項数をそれぞれ繰り上げて「請求項4〜9、11、13〜16」とする。
また、もとの請求項5〜10、12、15における「請求項1から4のいずれかに記載の」を、繰り上げた結果の請求項4〜9、11、13において「請求項1から3のいずれかに記載の」とする。
さらに、もとの請求項16における「請求項1,2または4のいずれかに記載の」を、繰り上げた結果の請求項14において「請求項1または2に記載の」とし、もとの請求項17、18における「請求項13に記載の」を繰り上げた結果の請求項15、16において「請求項12に記載の」とする。
[訂正事項(e)]
「【請求項11】 前記接着性絶縁体がアラミド不織布に未効果の樹脂を含浸させたプリフレグである請求項1から4のいずれかに記載の配線基板の製造方法。」を、
「【請求項10】 前記接着性絶縁体がアラミド不織布に未硬化の樹脂を含浸させたプリフレグである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。」とする。
[訂正事項(f)]
「【請求項13】 接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが接着性絶縁体に埋め込まれた導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれていることを特徴とする配線基板。」を、
「【請求項12】 導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが前記導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれており、前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している配線基板。」とする。
[訂正事項(g)]
発明の詳細な説明の段落0011の「 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明による配線基板の第1の製造方法は、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体の表面に配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する。かかる構成により、極めて微細な配線ピッチを有するファインパターンを安価に、かつ容易に形成することができる」を、
「 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明による配線基板の第1の製造方法は、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する。かかる構成により、極めて微細な配線ピッチを有するファインパターンを安価に、かつ容易に形成することができる。」とする。
[訂正事項(h)]
発明の詳細な説明の段落0012の「上記目的を達成するための本発明の配線基板の第2の製造方法は、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体の表面に配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行なって作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する。かかる構成により、極めて微細なファインパターンを有する電子回路を内部に複数層形成した多層配線基板を安価に製造できる。」を、
「上記目的を達成するための本発明の配線基板の第2の製造方法は、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の雛型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する。かかる構成により、極めて微細なファインパターンを有する電子回路を内部に複数層形成した多層配線基板を安価に製造できる。」とする。
[訂正事項(i)]
発明の詳細な説明の段落0013の「上記目的を達成するための本発明の配線基板の第3の製造方法は、両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層し、さらにその上面に離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記配線基板の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行なう工程を順次繰り返して多層配線を形成するものであり、別工程で製造された従来の両面配線基板または多層配線基板の上面にも微細な配線パターンを安価に、かつ容易に形成することができる。」を、
「上記目的を達成するための本発明の配線基板の第3の製造方法は、エッチング法により形成された両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して前記配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記配線パターンと前記導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成するものであり、別工程で製造された従来の両面配線基板または多層配線基板の上面にも微細な配線パターンを安価に、かつ容易に形成することができる。」とする。
[訂正事項(j)]
発明の詳細な説明の段落0014の「次に前記配線基板の第1から第3の製造方法において、導電性配線パターンを形成した離型性支持板の表面に第一層の導電性配線パターンを形成し、その表面に配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体を積層し、さらにその表面に第二層の導電性配線パターンを形成しておき、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の表面に、前記離型性支持板のそれら導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成しておくことが好ましい。かかる構成により一度の転写工程で多層の配線パターンを同時に転写してバイア接続することができる。」を、削除する。
[訂正事項(k)]
発明の詳細な説明の段落0023の「次に、本発明にかかる配線基板は、接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが接着性絶縁体に埋め込まれた導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれていることを特徴とする。これにより表面がフラットでLSIチップのフリップ実装には極めて都合がよいものとすることができる。」を、
「次に、本発明にかかる配線基板は、導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが前記導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれており、前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有していることを特徴とする。これにより表面がフラットでLSIチップのフリップ実装には極めて都合がよいものとすることができる。また、微細パターンを有する配線基板に特有のパターンズレの問題が軽減できる。」とする。
[訂正事項(l)]
発明の詳細な説明の段落0024の「さらに前記配線基板において、接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンのサイズが接着性絶縁体に設けた孔に埋め込まれた導電体のサイズよりも小さい部分を有していることが好ましい。これにより、微細パターンを有する配線基板に特有のパターンズレの問題が軽減できる。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、またはガラスエポキシプリプレグであることが好ましい。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記離型性支持板を除去する工程が、前記離型性基板をはがして除去するか、もしくはエッチングして除去することが好ましい。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、ガラスエポキシプリプレグ、アラミドエポキシプリプレグ、のいずれか1つであることが好ましい。さらに前記配線基板は、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれて表面が平滑化されたものであることが好ましい。」を、
「さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、またはガラスエポキシプリプレグであることが好ましい。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記離型性支持板を除去する工程が、前記離型性基板をはがして除去するか、もしくはエッチングして除去することが好ましい。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、ガラスエポキシプリプレグ、アラミドエポキシプリプレグ、のいずれか1つであることが好ましい。さらに前記配線基板は、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれて表面が平滑化されたものであることが好ましい。」とする。
【三】訂正の適否
1.訂正の目的
(1)訂正事項(a)〜(f)について
特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、訂正事項(e)については誤記の訂正を含むものである。
(2)訂正事項(g)〜(l)について
特許請求の範囲の訂正に伴って発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の記載に整合するよう訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
2.新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
(1)訂正事項(a)について
「接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない」という訂正事項は、願書に添付した明細書の段落0026及び図1に記載されていたものである。また、「その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する」という訂正事項は、段落0027及び図1に記載されていたものである。
訂正事項(a)は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(2)訂正事項(b)について
「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板」という訂正事項は、段落0026、及び0027に記載されていたものである。
訂正事項(b)は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(3)訂正事項(c)について
「エッチング法により形成された両面配線基板または多層配線基板」という訂正事項は、段落0038に記載されていたものである。また、「前記配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記配線パターンと前記導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する工程」という訂正事項は、段落0034〜0036及び図3に記載されていたものである。
訂正事項(c)は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(4)訂正事項(e)について
「未硬化の樹脂を含浸させた」という訂正事項は、「効果」という誤記を訂正するものであり、段落0021に記載されていたものである。
訂正事項(e)は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(5)訂正事項(f)について
「導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体」という訂正事項は、段落0033に記載されていたものである。また、「前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している」という訂正事項は、段落0033の「バイアホール203の上に配線201が通っている」、訂正前の請求項14、段落0034及び図2に記載されていたものである。
訂正事項(f)は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(6)訂正事項(g)〜(l)について
前記訂正事項(a)〜(f)と同様に、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
3.独立特許要件について
上記訂正請求は、訂正事項(d)及び(e)のとおり、特許異議の申立てがない請求項6、8、11についても、訂正明細書の請求項5、7、10として、訂正を求めるものである。
そして、訂正明細書の請求項5、7、10に係る発明は、訂正明細書の請求項1から3のいずれかに係る発明の構成を全て含むものであり、後述する「【四】特許異議の申立てについて」に記載のとおり、訂正明細書の請求項1から3に係る発明がいずれも取り消すべき理由がないから、訂正明細書の請求項5、7、10に係る発明は、同様の理由によって、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4.まとめ(訂正の適否について)
1〜3に説示のとおり、本件訂正は、特許法第120条の4第2項第1〜3に掲げる事項を目的とするものであり、同法第3項の規定により準用する同法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、認められるべきものである。
【四】特許異議申立てについて
1.本件特許発明
上記「【三】訂正の適否について」に説示のとおり、上記訂正請求による明細書の訂正が認められるから、本件特許発明は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する配線基板の製造方法。
【請求項2】配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。
【請求項3】エッチング法により形成された両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して前記配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記配線パターンと前記導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。
【請求項4】前記孔に埋め込まれた導電体が流動性の導電ペーストである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】前記導電性配線パターンが、導電性を備える離型性支持板の表面に形成した配線パターンレジストを介してめっきにより形成された導電性配線パターンである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】前記導電性配線パターンが、離型性支持板の表面に導電性ペーストを印刷して形成した導電性配線パターンである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】前記離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが絶縁層を介してバイア接続された複数層の配線パターンからなる請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】前記接着性絶縁体が半硬化状態である請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】前記接着性絶縁体が多孔性で圧縮性を有する半硬化状態の支持体である請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】前記接着性絶縁体がアラミド不織布に未硬化の樹脂を含浸させたプリフレグである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】前記離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが接着性絶縁体の表面に加熱加圧によって転写されるとともに前記接着性絶縁体を完全硬化状態とする請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが前記導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれており、前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している配線基板。
【請求項13】前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、またはガラスエポキシプリプレグである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項14】前記離型性支持板を除去する工程が、前記離型性基板をはがして除去するか、もしくはエッチングして除去することを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、ガラスエポキシプリプレグ、アラミドエポキシプリプレグ、のいずれか1つである請求項12に記載の配線基板。
【請求項16】導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれて表面が平滑化された請求項12に記載の配線基板。」
2.特許異議申立ての理由の概要
ここでは、請求項の項番号については、訂正前の項番号に従い、対応する訂正後の請求項の項番号を括弧内に示す。
(1)石原庸男の主張する理由及び証拠
(1-1)請求項1(1),13(12),17(15),18(16)に係る発明は、次の甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。
(1-2)請求項1(1),17(15)に係る発明は、次の甲第1,2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(1-3)請求項14(削除)に係る発明は、特許法第29条柱書きの発明に該当しない、又は、次の甲第1又は2号証に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、又は、甲第1又は2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(1-4)証拠方法
甲第1号証:特開平8-46312号公報(以下、「刊行物1」という。)
甲第2号証:特開平2-84794号公報(以下、「刊行物2」という。)
(2)京セラ株式会社の主張する理由及び証拠
(2-1)請求項1(1),5(4),7(6),13(12),15(13)〜17(15)に係る発明は、次の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。
(2-2)請求項1(1)〜5(4),7(6),9(8),10(9),12(11),13(12),15(13)〜18(16)に係る発明は、次の甲第2〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2-3)請求項1(1),5(4),9(8),13(12),16(14),18(16)に係る発明は、次の甲第1号証の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
(2-4)証拠方法
甲第1号証:特願平8-229923号(出願日:平成8年8月30日、出願公開日:平成10年3月17日、出願公開番号:特開平10-75057号)(以下、「先願」といい、その願書に最初に添付した明細書又は図面を「先願明細書等」という。)
甲第2号証:特開平4-263486号公報(以下、「刊行物3」という。)
甲第3号証:特開平5-67864号公報(以下、「刊行物4」という。)
甲第4号証:特開平8-222823号公報(以下、「刊行物5」という。)
甲第5号証:特開平7-221448号公報(以下、「刊行物6」という。)
甲第6号証:特開平7-115280号公報(以下、「刊行物7」という。)
3.各刊行物、先願明細書等に記載された事項
(1)刊行物1
刊行物1には、
刊1-ア)「【請求項1】フレキシブル配線基板の一方の表面に接着された配線パターンの内表面に導電材から成るバンプを設け、このバンプが上記配線基板に設けた貫通孔を通し配線基板の他方の表面に接着された配線パターンの内表面に押し付けられて両配線パターン間を接続していることを特徴とする配線基板における配線パターン間接続構造。
【請求項2】上記配線基板の絶縁基板がポリイミド樹脂フィルムから成ることを特徴とする請求項1記載の配線基板における配線パターン間接続構造。」
刊1-イ)「【0014】 図1Bに示すように、この熱硬化性ポリイミド樹脂フィルム1の双方の表面にポリエーテルエーテルケトンフィルムから成る熱可塑性樹脂フィルム2a,2bを熱圧着にて加熱融着し、この熱可塑性樹脂フィルム2a,2b(ポリエーテルエーテルケトンフィルム)の両外表面に配線パターン3a,3bを密着し、この配線パターン3a,3bをフィルム2a,2bの熱可塑性を利用し、母材表層部に埋め込み状態に融着し、又は埋め込まずに表面融着し、両面配線基板を形成する。
【0015】 上記配線パターン3a,3bは熱可塑性フィルム2に熱圧着し、フィルム2a,2bを可塑化しつつ、母材表層に同パターン3a,3bを埋め込みフィルム2a,2bの可塑化にて母材融着するか、又は母材表面に同フィルム2a,2bの可塑化により表面融着する。」
刊1-ウ)「【0019】 図1Aに示すように、金属板4、適材としてステンレス板を用い、この表面にテフロン(フッ素樹脂)コートを施し、このテフロンコートの表面に印刷等の方法により配線パターン3aを施し、更にこの配線パターン3aの表面の所要位置に導電材から成るバンプ5を印刷等により施し、これを転写板6aとして準備する。このバンプ5は図示のように尖った先端を有する。
【0020】 他方テフロンコートを施した金属板4、例えばステンレス板の表面に配線パターン3bを印刷等したものを転写板6bとして準備する。
【0021】
又熱硬化性ポリイミド樹脂フィルム1には上記バンプ5と対応する位置に貫通孔7を設け、このフィルム1の両表面に熱可塑性樹脂フィルム2a,2bを重ね、更にこのフィルム2a,2bの外表面に転写板6a,6bを重ね、この重ね合せ体を一セットにして熱プレス機内に設置し、所要の加熱時間を経てフィルム2の溶融を促し、所要のタイミングでプレス機を作動させ熱圧着を行ない、熱圧着後、金属板4を除去する。
【0022】
この結果、図1Bに示すように配線パターン3a,3bは熱可塑性フィルム2a,2bが熱可塑化によって融着された状態で溶融層の表層に埋め込まれると共に、前記バンプ5がフィルム2a,2bを貫き、更にフィルム1の貫通孔7を通して配線パターン3bの表面に強く押し付けられ、先端が押しつぶされて同パターン3b表面に接続する。斯くしてパターン3a,3bがバンプ5を介して短絡された両面配線基板が形成される。」
(2)刊行物2
刊行物2には、
刊2-ア)「(1)ベースプレートと、金属製のめっき基板上の下地となるパネルめっき膜上に形成され、接着剤により上記ベースプレートの両表面に転写された配線パターンと、該両表面の配線パターンの所要箇所を貫通するように形成されたスルーホールと、上記両表面のパネルめっき膜を薄膜フィルムにより覆った状態で無電解めっきすることにより上記スルーホールの内周面に形成された下地めっき膜と、この下地めっき膜上に電解めっきにより形成された導電膜とを備えたことを特徴とするパネル転写両面配線基板
(2)金属製のめっき基板上に下地となるパネルめっき膜を形成し、該パネルめっき膜上に配線パターンをめっきによりパターン形成し、該配線パターン及びパネルめっき膜を接着剤によってベースプレートの両表面に転写する工程と、上記両表面のパネルめっき膜を薄膜フィルムにより覆う工程と、上記両表面の配線パターンの所要箇所を貫通するようにスルーホールを形成する工程と、該スルーホールの内周面に無電解めっきにより下地めっき膜を形成する工程と、この下地めっき膜上に電解めっきにより導電膜を形成する工程と、上記フィルムを剥離する工程と、上記パネルめっき膜をエッチング除去する工程とを備えたことを特徴とするパネル転写両面配線基板の製造方法。」(特許請求の範囲)
刊2-イ)「 上記パネルめっき膜2及び配線パターン4上にこれらを覆うように、エポキシ系接着剤層8が塗布形成されたポリイミドフィルムからなるベースプレート7を載置し(同図(d)、(e))、これをプレス装置に取り付けられた押圧部材としてのSUS製押圧板12で押圧する。このとき、この押圧板12は約160℃に加熱されており、また上記押圧力は20kg/cm2 に、押圧時間は1時間にそれぞれ設定されている。すると、上記接着剤層8の配線パターン4上に位置する部分は、上記加熱、押圧によって配線パターン4の周囲の空間を埋めるように変形移動し、かつ該接着剤層8はその上、下面とも配線パターン4と略同一面をなすように平坦に形成される。(同図(f)、(g))。)(第3頁上右欄第18行〜同頁下左欄第11行)
(3)先願明細書等に記載された事項
先願-ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、配線層等を接続したり、IDカードなどのフレキシブル性が要求される多層配線基板の製造方法に関するものである。」
先願-イ)「【0032】さらに、本発明の第3の態様について図3をもとに説明する。図3によれば、まず、図3(a)に示すように、導体回路22が形成された転写シート21と、軟質状態の絶縁層23を準備する。転写シート21に形成される導体回路22は、先の第1および第2と同様な材質によって構成される。この導体回路22は、所望の金属箔をエッチング法またはレーザー加工して形成したり、メッキ法によっても形成される。図3(a)はエッチング法によるもので、この場合には、転写シート21の表面に金属箔を一面に形成した後、導体回路パターンにレジストを塗布した後にエッチング処理しその後、レジストを除去洗浄して導体回路22が形成される。なお、この図ではレジストを除去しているが、レジスト24は、後述する絶縁層と同様な材質によって構成すれば、レジストの除去、洗浄を行う必要はなく、残してもよい。
【0033】一方、絶縁層23は、最終的には、フレキシブル多層配線基板の絶縁層を構成するものであるため、絶縁層として好適な材料からなることが望まれる。具体的には、少なくとも有機樹脂を含む絶縁材料からなるもので、有機樹脂としては有機樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、PTFE(フッ素樹脂)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン)、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等の樹脂が望ましく、とりわけポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂がフレキシブル性の点で望ましい。なお、熱硬化性樹脂を含む場合には、半硬化状態であるのがよい。また、絶縁層23には、予め周知の方法によってバイアホール25を形成し導体を充填してもよい。
【0034】次に、図3(b)に示すように、前記導体回路22が形成された転写シート21と軟質状態の絶縁層23とを積層し、これを圧接、望ましくは10kg/cm2以上の圧力を付与することによって導体回路22を絶縁層23中に埋設する。
【0035】この時の絶縁層23は、先端が半球状で直径300μmの針を100gの加重で侵入させた時の針侵入深さが10μm以上、特に30μm、さらに50μm以上であることが望ましい。この軟質性は、溶剤や可塑剤の添加量等によって任意に制御できる。
【0036】次に、図3(c)に示すように、前記(b)によって作製された積層物から転写シート21を剥がすことによって、導体回路22の表面と絶縁層23の表面とが同一平面となる平滑性に優れた単層の配線層25を作製することができる。
【0037】かかる態様において、レジストを除去した場合、導体回路22と絶縁層23との密着強度を高める上では、導体回路形成箇所における導体回路22の表面粗さが0.1μm以上である銅箔を用いるか或いはエッチング等の表面粗化を行うのが良い。表面粗さは特に0.3μm〜3μm、最適には0.3〜1.5μmであるのがよい。
【0038】場合によっては、図3(c)によって形成された配線層25に対して、ビアホールを形成して導体ペーストを充填した後、それらを複数層積層圧着して図3 (d)に示すような多層配線基板26を作製することができる。」
先願-ウ)「【0040】よって、今後の半導体の動作周波数が高くなった場合にも使用することが可能であり、これによって主要な実装形式と考えられているフリップチップ方式の実装に適した高精度な表面平坦度を有する高密度フレキシブル多層配線基板が得られる。特に、第2、第3の態様は、フレキシブル多層配線基板がさらに集積化され、絶縁層の薄層化、配線の微細化または基板の寸法精度が要求される場合に好適である。」
先願-エ)「【0055】 実施例3 ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる転写シートの表面に接着剤を塗布して粘着性をもたせ、厚さ9μm、表面粗化面の表面粗さ0.6μmの銅箔の表面粗さの少ない面を一面に接着した。その後、感光性樹脂からなるレジストを導体回路に形成した後、露光現像を行い、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬して非パターン部をエッチング除去し、その後、残ったレジストを除去した。なお、作製した回路は、導体回路の線幅が75μm、配線と配線との間隔が75μm以下の微細なパターンである。
【0056】一方、絶縁性スラリーとして、ポリイミド樹脂にトルエンとメチルエチルケトンからなる溶媒を加えて混合機によって十分に混合して粘度500ポイズのスラリーを調製した。そして、このスラリーをドクターブレード法により100μmの厚みで成形した後、40℃で30分処理してスラリーを半乾燥させて針侵入度が70μmの軟質状態の絶縁層を形成した。
【0057】そして、この絶縁層に対してバイアホールをCO2レーザーで形成し、そのホール内にCu-Ag合金粉末を含む銅ペーストを充填して単層の絶縁層を形成した。
【0058】その後、この軟質の絶縁層を先の導体回路が形成された転写シートとを積層して真空中で80℃に加熱しつつ50kg/cm2の圧力を印加して加熱圧着させた後、転写シートを剥離した。その結果、銅からなる導体回路が絶縁層内に埋設された配線層を得ることができた。
【0059】上記と同様にして8層の配線層を作製し、それらを位置合わせして積層した後、最表面には絶縁層を積層して50kg/cm2程度の圧力で圧着して200℃で5時間加熱処理して完全硬化させてフレキシブル多層配線基板を作製した。」
等の記載が認められる。
(4)刊行物3
刊行物3には、「焼結導体配線基板とその製造方法」に関して、
刊3-ア)「【請求項11】 離型性基板上に焼結性ペーストを印刷し、焼結した後、これを樹脂支持体上に転写して作成することを特徴とする焼結導体配線基板の製造方法。」
刊3-イ)「【請求項13】 離型性基板上に焼結性ペーストを印刷し、焼結した後、これを穴に導電性接続材を埋めた樹脂支持体の両面に転写して作成することを特徴とする両面焼結導体配線基板の製造方法。」
刊3-ウ)「【0006】【作用】 そのために、フォトエッチを使わず製法が簡単で、各層間の位置精度も従来の製法のものに比べて緩くてよいために多層化が容易である。そのため、高密度の且つコストの安い印刷配線基板が得られる。」
刊3-エ)「【0008】 図1において、101は樹脂基板であり、102は焼結導体でできたパターン状の配線であり、接着剤層103によって樹脂基板上にくっついている。
【0009】 図2は図1のものと基本的な構成は同じであるが、焼結導体の一部が樹脂支持体からはみ出している。この形状のものは一般的にはTAB(テープオートメーティテッドボンディングの略)と呼ばれている。201は樹脂基板であり、ポリイミドやPETが使える。202は焼結導体であり、金、銀、銅等ある。203は接着剤層で、エポキシ樹脂等が使える。204はICをつけるために開けた窓である。205はリードと呼ばれるもので、IC等の外部回路への接続に利用する。
【0010】 図3(a)(b)(c)は図1、図2の焼結導体配線基板の製造方法を示す工程図である。図3(a)において、301は離型性基板である。例えば、六方晶窒化硼素(h-BN)が好ましい。このほかにも、アルミナ基板上にアクアダック(日本アチソン株式会社製、商品名水性グラファイト塗料)を塗布し、乾燥させたものが使える。アルミナ基板そのものでも、焼成の条件や焼成用導体ペーストの組成により容易に剥離させることが可能であり、使用可能である。102は焼成済みの焼結導体でできた配線である。これは、前記基板の上にスクリーン印刷等により導体ペーストを印刷し、高温で焼成、焼結したものである。金、銀、銅等高導電率の焼結導体の配線が可能である。この製法はセラミック関係の技術者にはよく知られたものである。次に図3(b)のように、この焼結導体配線の上に接着剤層103を有する樹脂支持体101を重ね、加熱押圧し、接着剤層により焼結導体配線を樹脂支持体に転写する。図3(c)は転写後の状態を示している。離型性基板は再び使用可能である。
【0011】 図2のリードつきの焼結導体配線基板は焼結導体が樹脂支持体から適当な長さにはみ出るようにして転写すればできる。
【0012】 図1の焼結導体配線基板の両面に焼結導体を転写した両面焼結導体配線基板を作ることもできる。
【0013】 図4(a)から(e)は樹脂支持体の両面に焼結導体を転写した両面焼結導体配線基板の製造方法を示す工程図である。図4(a)から図4(c)は穴を開け、かつ両面に接着剤層を有する樹脂支持体401を用いている以外は図3(a)から図3(c)と同じである。図4(d)は穴に導電性接続材402を埋め込んでいる工程である。スキージ403で導電性接続材402をすりこむ。このようにした後、図4(a)から図4(c)の工程をもう一度くり返えして図4(e)のように両面焼結導体配線基板をえる。404は裏面の焼結導体である。導電性接続材は例えば半田のような低融点の金属やあるいは例えば銀ペーストのような金属粉末入りのペーストであってもよい。
【0014】 図5は多層焼結導体配線基板の断面図を示す。穴の開いた樹脂支持体501の表面に接着剤層503によって焼結導体502を転写し、穴に導電性接続材504を埋め込み、積層したものである。製造方法は図4(d)の工程を終わった焼結導体配線基板を複数枚と図4(d)の工程を終わった両面焼結導体配線基板一枚を穴の位置を合わせて重ね合わせ、加熱押圧して積層する。
【0015】 図5において焼結導体は接着剤に埋もれた形に描いてあるが、加熱押圧するとこのようになり、機械的に強固な多層焼結導体配線基板ができる。」
刊3-オ)「【0021】 エポキシ接着剤つきのポリイミドシート(東レ株式会社製、 FPC用カバーレイシート以下単にポリイミドシートと呼ぶ)を上記焼結導体の上に、焼結導体の一部がポリイミドシートの端から1mmほどはみ出るように重ねた後、160℃に加熱可圧した。冷却後、ポリイミドシートを剥がしたところ、焼結導体はポリイミドシートに接着した。はみ出た焼結導体はフィンガー状に突き出た状態になり、一般に知られているTABができた。」
等の記載が認められる。
(5)刊行物4
刊行物4には、「セラミックス基板及びそのメタライズ方法」に関して、
刊4-ア)「【請求項2】 パターン用部材に予め所定の形状にエッチング等の溝加工を施して溝パターンを形成し、該溝パターン内にメタライズペーストを注入し、次いで該メタライズペーストを転写用部材に転写し、その後該転写用部材上のメタライズパターンを表面が柔軟な焼成前のセラミックス基板に埋め込んで転写することを特徴とするセラミックス基板のメタライズ方法。」
刊4-イ)「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、セラミックス基板の表面に、配線等の精密なメタライズを施すセラミックス基板及びそのメタライズ方法に関する。」
刊4-ウ)「【0017】 前記請求項1〜3における発明においては、前記セラミックス基板上へのメタライズ形成を、溝加工及び転写による方法を採用し、従来のスクリーン印刷法以外の方法にて形成する。ここで、溝加工の方法としては、例えばエッチングや機械加工等が挙げられる。
【0018】 その方法の概略を挙げると、予め所定の回路形状にエッチングされた金属平板もしくは樹脂膜付きの金属箔のエッチング面に、適当な樹脂及び溶剤と混合されてペースト状になった金属粉(メタライズペースト)を塗布する。次に、ゴム製や金属製のブレード等を用いて余分なメタライズペーストを除去し、エッチングされた回路部分(凹み部分)のみにメタライズペーストが充填された形とする。次に、このメタライズペーストを乾燥した後、接着性溶剤塗布や熱等によって接着性が生じたグリーンテープと加圧接着する。次に、このエッチング板(もしくは箔)をグリーンテープから剥離する事により、グリーンテープ上にメタライズ回路を形成(転写)する。
【0019】 ここで、前記エッチング板(箔)の凹み部分に充填されたメタライズペーストは、乾燥後、直接グリーンテープに転写しても良いが、請求項2の様に、一旦何かの板(例えばガラス板や樹脂製のフィルム)に転写した後グリーンテープに転写しても良い。つまり、請求項1では、グリーンテープ上等にメタライズ回路が凸状に形成されるのに対し、請求項2では、より平坦に形成される。
【0020】 尚、メタライズ回路をグリーンテープに転写することについて言及したが、焼成後のセラミック基板に適用することも可能である。
【0021】 【作用】 請求項1の発明では、パターン用部材に予め所定の形状にエッチング等の溝加工を施して溝パターンを形成するので、精密な回路等のパターンの形成が可能である。そして、この溝パターン内にメタライズペーストを注入し、焼成前或は焼成後のセラミックス基板に溝パターンのメタライズペーストを転写するので、十分な厚さを備えたメタライズペーストのパターンがセラミックス基板上に形成される。
【0022】 また、請求項2の発明では、一旦メタライズペーストを転写用部材に転写してから、柔軟な表面を有する焼成前のセラミックス基板に転写するので、メタライズペーストの層はセラミックス基板に埋め込まれた状態となって、その表面全体がフラットなものとなる。」
刊4-エ)「【0031】○5次に、図5に示す様に、メタライズ回路が転写された仮フィルム7をグリーンテープ(シート)8に接着する。 図5は、メタライズ回路を持つ仮フィルム7が、グリーンテープ8に接着された状態を示している。この場合、グリーンテープ8とメタライズペースト4との接着性を高めるとともに、メタライズ回路の凹凸を吸収するために、予めグリーンテープ8の表面に接着溶剤(脂肪族系)を塗布し、グリーンテープ8の表面をスラリー状態にして接着している。尚、接着溶剤の代わりに、セラミックペースト(スラリー状のグリーンセラミック)を予め印刷して接着しても良い。」(なお、「○5」は、「○」内に記載された「5」を示す。)
刊4-オ)「【0038】例えば、予めグリーンテープに、スルーホールを配することによって、縦方向の導通も可能となる。 また、金属箔や金属板のエッチングによって回路形成が成されているが、機械加工等による回路形成によっても可能である。
【0039】【発明の効果】以上詳述した様に請求項1及び請求項2の発明によれば、従来のスクリーン印刷では得られない様な精密なメタライズの配線を、低コストにてしかも簡易な操作で、セラミックス基板上に形成することができる。特に、請求項2の発明では、未焼成のセラミックス基板にメタライズパターンが埋め込まれた状態となり、それによって表面全体が平坦になるので、この様な基板を多数積層することによって、密着性に優れたセラミックス多層基板を容易に製造することができる。」
等の記載があり、
刊4-カ)そして、上記段落【0031】に「グリーンテープ8とメタライズペースト4との接着性を高めるとともに、メタライズ回路の凹凸を吸収するために、予めグリーンテープ8の表面に接着溶剤(脂肪族系)を塗布し、グリーンテープ8の表面をスラリー状態にして接着している。」と記載された「接着溶剤」は、グリーンテープ8に接着性を付与しているものと認められる。
刊4-キ)更に、上記段落【0038】に「予めグリーンテープに、スルーホールを配することによって、縦方向の導通も可能となる。」と記載された「スルーホール」は、「縦方向の導通も可能となる」とした技術的意義を考慮すれば、メタライズペーストに対応した位置に設けたものと認められる。
(6)刊行物5
刊行物5には、「スルーホール配線基板」に関し、
刊5-ア)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、スルーホール配線基板に関し、さらに詳しく述べると、スルーホールに充填物を埋め込み印刷するスルーホール配線基板に関する。」
刊5-イ)「【0013】次に第1実施例のスルーホール配線基板1のスルーホール3に例えば半田ペーストを埋め込み印刷する工程を図4を参照にしながら説明する。図4に示すように、印刷機の印刷ステージ11の表面に絶縁基板3の表面側に形成された突出部6が当接するように、スルーホール配線基板1を印刷ステージ11に載置する。そして、絶縁基板2の裏面側に形成されたスルーホール3の導電層5に当接するようにスクリーン12を配置し、スキージ13をスクリーン12の一端側から他端側に移動させることにより、スクリーン12上に供給した半田ペースト14をスルーホール3内に充填していく。ここで、突出部6が絶縁基板2の表面に対してスルーホール3の導電層5よりも0.05〜0.2mm高く形成されているため、突出部6のみが印刷ステージ11に当接し、印刷ステージ11と絶縁基板2の表面側に形成された導電層5との間には0.05〜0.2mmの間隔ができる。これにより、スルーホール3の開口部が印刷ステージ11の表面によって閉塞されてスルーホール3内に空気が封じ込められることはなくなり、スルーホール3内に半田ペースト14を十分に充填できる。」
等の記載が認められる。
(7)刊行物6
刊行物6には、「多層積層板の製造方法」に関して、
刊6-ア)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、電子機器、電気機器に用いられる多層積層板の製造方法に関し、具体的には、内層配線板とプリプレグを重ねた被圧体を加熱加圧成形する多層積層板の製造方法に関するものである。」
刊6-イ)「【0007】【作用】本発明に係る多層積層板の製造方法によると、内層配線板(3)、この内層配線板(3)に積載された、基材に樹脂を含浸して半硬化したプリプレグ(2)、および、このプリプレグ(2)の上下に積載された金属箔(1)からなる被圧体(6)を加熱加圧成形するにあたり、加熱を1.0℃/min以下の昇温で、かつ、加圧を圧力5kg/cm2 以下の低圧でプリプレグ(2)中の樹脂を完全硬化させる工程と、その後圧力20〜40kg/cm2 の高圧で加熱する工程を含むので、1.0℃/min以下の昇温により、しかも、圧力5kg/cm2 以下の低圧により、この段階で、プリプレグ(2)に含まれる樹脂が完全に硬化して樹脂層を形成しつつ、被圧体(6)の強度を向上させる。また、その後、圧力20〜40kg/cm2の高圧により、この段階で、成形の圧力による被圧体(6)の屈曲変形を防止することができ、内層配線板(3)とプリプレグ(2)間の位置ずれを防止し、位置決め精度を良好にすることができる。
【0008】 以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る被圧体の断面図である。
【0009】 本発明に用いる内層配線板(3)としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス箔などの金属箔を張ったガラスエポキシ樹脂積層板、ガラスポリイミド樹脂積層板などの基板にエッチングを施して基板の表面に導電回路を形成したものが挙げられる。1枚ないし複数枚の内層配線板(3)をプリプレグ(2)を介して積載させる。このプリプレグ(2)としては、ガラス布のほかに、石英繊維などの無機繊維布、不織布や高耐熱性有機繊維布、不織布などの基材にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸し、半硬化したものが挙げられる。上記内層配線板(3)とプリプレグ(2)の枚数は、得ようとする多層積層板(8)の構成により適宜決定され、特に限定されない。」
等の記載が認められる。
(8)刊行物7
刊行物7には、「多層プリント配線板及びその製造方法」に関して、
刊7-ア)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、基板材料の内外層の導体回路パターンには金属箔を使用し、電子機器に用いられる多層プリント配線板及びその製造方法に関するものである。」
刊7-イ)「【0010】有機質複合基板材料としては、芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合基板材料として厚み150〜220μm、空孔率10〜60%のアラミド-エポキシシ-トを用いた。また、有機質複合基板材料の両面に張り合わせる離型性保護フィルムとしては、厚み4〜50μmのポリエチレンテレフタレ-トフィルムを用いた。導電性ペーストは金属粒子として銀、銅のうち少なくとも1種類を使用し、それらを無溶剤のエポキシ樹脂、及び硬化剤に分散させたものを用いた。金属箔は電解銅箔の片面、及び両面を粗化し、厚みを35μmとしたものを用いた。
【0011】 まず図1(a)に示すように、両面に離型性保護フィルム11を備えた厚さ t1 のアラミド-エポキシシ-ト12を準備する。16はアラミド-エポキシシート12の内部に存在する空孔である。これを熱プレスを用いてプレス温度100〜110℃、圧力20〜30kg/cm2で3〜5分間過熱加圧してアラミド-エポキシシ-ト12を予備圧縮する。このときアラミド-エポキシシート12は図1(b)に示すように圧縮され、厚みt2 は110〜160μm、空孔率は 10〜30%となり、空孔16の形状も小さくなる。この予備圧縮の目的は、空孔率が減少させるともに、空孔16の形状を小さくさせること、離型性保護フィルム11とアラミド-エポキシシート12とを密着性させることにより以降の工程において、アラミド-エポキシシート12と銅箔15との界面に導電性ペースト14が侵入するのを防止すること、導電性ペースト14中のバインダがアラミド-エポキシシート12側へ浸透する量を制御することにある。次に図1(c)に示すようにドリル加工、炭酸ガス、エキシマレーザ加工により直径70〜200μmの貫通孔13を形成した。この貫通孔13に前記のように作製した導電性ペ-スト14を充填する。導電性ペースト14を充填する方法としては、貫通孔13を形成したアラミド-エポキシシート12を印刷機のテーブル(図示せず)の上に設置し、アラミド-エポキシシート12を裏面から吸引しながら直接、導電性ペースト14を離型性保護フィルム11の上からスキージを使用して印刷する。このとき、上面の離型性保護フィルム11は印刷マスクの役割と、アラミド-エポキシシート12の表面の汚染防止の役割を果たしている。導電性ペースト14を印刷した後、離型性保護フィルム11を除去して図1(e)の中間接続体が製造される。次に前記中間接続体に銅箔15を内層の導体回路パターンを形成する面には両面粗化銅箔を、最外層の導体回路パターンを形成する面には片面粗化銅箔または両面粗化銅箔の粗化面を張り合わせ図1(f)に示すような形に組み合わせる。これを真空熱プレスを用いてプレス温度200〜210℃、圧力50-60kg/cm2で60分間加熱加圧して両面粗化銅箔をアラミド-エポキシシ-ト12に接着させる。この工程において、導電性ペースト14とアラミド-エポキシシート12が圧縮されるが、そのときに導電物質間からバインダ成分が押し出され、導電物質同士及び導電物質と銅箔間の結合が強固になり層間の電気的接続が安定なものとなる。また図1(g)に示すように銅箔15をアラミド-エポキシシート12に接着させた後の厚みt4 は90〜110μm、空孔率は0〜5%となり、空孔16の形状もさらに小さくなっている。次に図1(h)に示すようにエッチングにより導体回路パターン17を形成する。このようにして第1の両面プリント配線板は形成される。同様な工程により別の導体回路パターンを備えた第2の両面プリント配線板を形成する。なおこれら第1、2の両面プリント配線板はこの状態で両面プリント配線板として使用できる。」等の記載が認められる。
4.対比・判断(以下の請求項の表示は、訂正後の請求項に対応する。)
4-1.請求項1に係る発明について
(1)特許法第29条第1項第3号、同条第2項の検討
(1-1)請求項1に係る発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、
両者は、
配線層のパターンに対応した位置に設けた孔を有する接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込み、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込むと共に、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する配線基板の製造方法.
で一致し、次の相違点で相違する。
相違点a
本件請求項1に係る発明は、前記孔が「導電体を埋め込んだ」孔であり、前記第1の導電性配線パターン及び前記第2の導電性配線パターンを接着性絶縁体の表面に埋め込むことによって、前記第1の導電性配線パターン及び前記第2の導電性配線パターンを「前記導電体と接続」するのに対して、上記刊行物1に記載されたものでは、前記孔は「導電体を埋め込んだ」孔ではなく、第1の導電性配線パターン及び前記第2の導電性配線パターンの接続は、これら導電性配線パターンの一方に設けられた「バンプ5」によって行われる点
(1-2)請求項1に係る発明と上記刊行物2に記載された発明とを対比すると、
両者は、
接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込み、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込む配線基板の製造方法.
で一致し、次の点で相違する。
相違点b
本件請求項1に係る発明は、前記接着性絶縁体が「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ」ものであるのに対して、上記刊行物2に記載された発明では、前記導電性配線パターンの転写前に前記接着性絶縁体に孔は存在しない点
相違点c
本件請求項1に係る発明は、前記導電性配線パターンが前記離型性支持板の「表面に形成された」ものであるのに対して、上記刊行物2に記載された発明では、前記導電性配線パターンは、離型性支持板の表面に形成されたパネルめっき膜2に一体に形成されたものである点
相違点d
本件請求項1に係る発明は、前記接着性絶縁体の一方の表面に第1の導電性配線パターンを転写して「前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し」、前記接着性絶縁体の他方の表面に第2の導電性配線パターンを転写して「前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行な」うのに対して、上記刊行物2に記載された発明では、前記転写後に導電性配線パターンと接着性絶縁体とを貫通する孔が形成され、該孔に第1の導電性配線パターンと第2の導電性配線パターンとを導通するための導通膜メッキが施される点
相違点e
本件請求項1に係る発明は、「前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する」のに対して、上記刊行物2に記載された発明では、前記第1及び第2の離型性支持板を除去した後に、第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを接続する工程が実施される点
(1-3)請求項1に係る発明と上記刊行物3に記載された発明とを対比すると、
両者は、
配線層のパターンに対応した位置に設けた孔を有する接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記孔内に埋め込んだ導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する配線基板の製造方法.
で一致し、次の点で相違する。
相違点f
本件請求項1に係る発明は、前記孔は、前記第1の導電性配線パターンを転写する際に、既に、「導電体を埋め込んだ」孔であるのに対して、上記刊行物3に記載された発明では、前記孔は、前記第1の導電性配線パターンを転写した後に導電体が埋め込まれる孔である点
相違点g
請求項1に係る発明は、前記第1の導電性配線パターンと前記導電体との接続、並びに前記第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続が、いずれも転写時に、孔に導電体を埋め込んだ「接着性絶縁体に前記(第1及び第2の)導電性配線パターンを埋め込んで」行われるのに対して、上記刊行物3に記載された発明では、前記第1の導電性配線パターンと前記導電体との接続は、前記第1の導電性配線パターンの転写後に孔に導電体を埋め込んで行うものでありまた、前記第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続は、前記接着性絶縁体が樹脂基板の表面に接着材層を形成したものであることから、転写時に「前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで」行うものかどうか明瞭でない点
(1-4)請求項1に係る発明と上記刊行物4に記載された発明とを対比すると、
両者は、
配線層のパターンに対応した位置に設けた孔を有する接着性絶縁体の一方の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで、その後、前記離型性支持板を除去する配線基板の製造方法.
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点h
本件請求項1に係る発明では、前記孔は、前記導電性配線パターンを転写する際に、既に、「導電体を埋め込んだ」孔であるのに対して、上記刊行物4には「予めスルーホールを配することによって、縦方向の導通も可能となる」と記載されるのみで、同刊行物記載の発明の孔がどのようなものか明瞭でない点
相違点i
本件請求項1に係る発明は、前記接着性絶縁体の一方の表面に「第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する」のに対して、上記刊行物4に記載された発明では、前記接着性絶縁体の他方の表面に導電性配線パターンが形成されるのかどうか、又、導電性配線パターンが形成される場合は、どのようにして形成されるのか不明である点
(1-5)以上のように、刊行物1〜4に記載された発明は、いずれも本件請求項1に係る発明を特定する事項である、第1の導電性配線パターンと導電体との接続、並びに第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続を、「第1及び第2の導電性配線パターンを転写して、孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体に両導電性配線パターンを埋め込んで」行う点を開示するものではない。
また、上記刊行物5〜7は、導電性配線パターンを転写によって形成する技術を開示するものではない。
そして、本件請求項1に係る発明は、第1の導電性配線パターンと導電体との接続、並びに第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続を、「第1及び第2の導電性配線パターンを転写して、孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体に両導電性配線パターンを埋め込んで」行うことによって、転写時に導電性配線パターンによって埋め込んだ導電体の充填密度が高められて、導電性に優れたバイア接続が得られるものと認められる。(訂正明細書段落0026参照)
したがって、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1〜7に記載された発明とすることも、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
(2)特許法第29条の2の検討
(2-1)請求項1に係る発明と上記先願明細書等に記載された発明とを対比すると、
両者は、
配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、その後、前記離型性支持板を除去する配線基板の製造方法.
で一致し、次の点で相違する。
相違点j
本件請求項1に係る発明は、「前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する」ものであるのに対して、上記先願明細書等には、上記のように一方の面において導電性配線パターンを転写して接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで導電体と接続し、その後、離型性支持板を除去して製造した配線基板を、複数積層して多層配線基板とすることが記載されており、上記先願明細書等に記載された発明は、前記接着性絶縁体の他方の表面に導電性配線パターンを転写するものではない点
(2-2)以上のように、本件請求項1に係る発明は、上記先願明細書等に記載された発明と同一とすることはできない。
4-2.請求項2に係る発明について
本件請求項2に係る発明と上記刊行物3に記載された発明とを対比すると、
両者は、
配線層のパターンに対応した位置に設けた孔を有する接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記孔内に埋め込んだ導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板の上に、更に、多層配線を形成する配線基板の製造方法.
で一致し、次の点で相違する。
相違点k
本件請求項2に係る発明は、前記孔は、前記第1の導電性配線パターンを転写する際に、既に、「導電体を埋め込んだ」孔であるのに対して、上記刊行物3に記載された発明では、前記孔は、前記第1の導電性配線パターンを転写した後に導電体が埋め込まれる孔である点
相違点l
請求項2に係る発明は、前記第1の導電性配線パターンと前記導電体との接続、並びに前記第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続が、いずれも転写時に、孔に導電体を埋め込んだ「接着性絶縁体に前記(第1及び第2の)導電性配線パターンを埋め込んで」行われるのに対して、上記刊行物3に記載された発明では、前記第1の導電性配線パターンと前記導電体との接続は、前記第1の導電性配線パターンの転写後に孔に導電体を埋め込んで行うものでありまた、前記第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続は、前記接着性絶縁体が樹脂基板の表面に接着材層を形成したものであることから、転写時に「前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで」行うものかどうか明瞭でない点
相違点m
前記配線基板の上に、更に、多層配線を形成する際に、請求項2に係る発明は、「配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返」すのに対して、刊行物3に記載された発明では、前記配線基板の上に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔を有する他の接着性絶縁体の一方の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写し、その後、前記離型性支持板を除去し、次いで、前記孔に導電体を埋め込んで形成した配線基板を複数重ね合わせ、加熱加圧して積層する点
進んで、上記相違点について検討するに、上記「4-1.請求項1に係る発明について」の「(1)特許法第29条第1項第3号、同条第2項の検討」において説示のとおり、刊行物1〜7に記載された発明は、いずれも本件請求項2に係る発明を特定する事項である、第1の導電性配線パターンと導電体との接続、並びに第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続を、「第1及び第2の導電性配線パターンを転写して、孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体に両導電性配線パターンを埋め込んで」行う点を開示するものではなく、また、第1の導電性配線パターンと導電体との接続、並びに第2の導電性配線パターンと前記導電体との接続を、「第1及び第2の導電性配線パターンを転写して、孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体に両導電性配線パターンを埋め込んで」行うことによって、転写時に導電性配線パターンによって埋め込んだ導電体の充填密度が高められて、導電性に優れたバイア接続が得られるものと認められる(訂正明細書段落0026参照)から、上記相違点lにおける本件請求項2に係る発明の構成を当業者が容易になし得たものとすることはできない。
したがって、本件請求項2に係る発明は、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4-3.請求項3に係る発明について
請求項3に係る発明と上記刊行物3に係る発明とを対比すると、
両者は、
両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して前記配線パターンと前記導電体とを接続し、前記配線パターンと前記接着性絶縁体表面の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行なう多層配線を形成する配線基板の製造方法.
で一致し、次の点で相違する。
相違点n
前記両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた前記配線パターンが、本件請求項3に係る発明では「エッチング法により形成された」ものであって、配線パターンと導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行なう工程が、本件請求項3に係る発明では、「孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して」、前記エッチング法により形成された「配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し」て行うものであるのに対して、上記刊行物3に記載された発明では、前記両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、対応した位置に設けた孔を有する他の接着性絶縁体の一方の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写し、その後、前記離型性支持板を除去し、次いで、前記孔に導電体を埋め込んで形成した配線基板を重ね合わせ、加熱加圧してバイア接続を行なう点
相違点o
本件請求項3に係る発明は、「バイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する前記離型性支持板を除去する」のに対して、上記刊行物3に記載された発明では、バイア接続を行なう際には、既に離型性支持板は除去されている点
そこで、上記相違点について検討するに、上記「4-1.請求項1に係る発明について」の「(1)特許法第29条第1項第3号、同条第2項の検討」において説示のとおり、刊行物1〜7に記載された発明は、導電体を介して行う配線パターンと接着性絶縁体表面の導電性配線パターンのバイア接続を、導電性配線パターンの転写時に、孔に前記導電体を埋め込んだ接着性絶縁体に配線パターン及び導電性配線パターンを埋め込んで行う点を開示するものではなく、また、配線パターン及び導電性配線パターンのバイア接続を、導電性配線パターンの転写時に前記接着性絶縁体に前記配線パターン及び導電性配線パターンを埋め込んで行うことによって、転写時に埋め込んだ導電体の充填密度が高められて、導電性に優れたバイア接続が得られるものと認められる(訂正明細書段落0026参照)から、上記相違点nにおける本件請求項3に係る発明の構成を当業者が容易になし得たものとすることはできない。
したがって、本件請求項3に係る発明は、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4-4.請求項4,6,8,9,11,13,14に係る発明について
請求項4,6,8,9,11,13,14に係る発明は請求項1から3のいずれかに係る発明の構成を全て含むものであり、請求項1から3に係る発明がいずれも、上記刊行物1〜7に記載された発明とすることも、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることも、また、先願明細書等に記載された発明とすることはできないから、請求項4,6,8,9,11,13,14に係る発明も、上記刊行物1〜7に記載された発明とすることも、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることも、また、先願明細書等に記載された発明とすることはできないできない。
4-5.請求項12に係る発明について
(1)特許法第29条柱書きの検討
請求項12項に係る発明は、「導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが前記導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれており、前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している配線基板」によって特定されるものであって、訂正前の請求項14に係る発明を特定する事項である、バイア接続される導電性配線パターンについて「サイズがバイアホールのサイズより小さい部分を有している」点を、発明を特定する事項として含んでいる。
請求項12項に係る発明は、配線パターンのサイズがバイアホールのサイズより小さいことによって、バイアホール間のピッチ及び配線パターン間のピッチを狭くできるものであり、産業上利用できないとする理由はない。
(2)特許法第29条第1項第3号、同条第2項の検討
(2-1)請求項12に係る発明と上記刊行物1〜4に記載された発明とを対比すると、刊行物1〜4に記載された発明は、いずれも本件請求項12に係る発明を特定する事項である、「バイアホール上において、転写された導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している」点を開示するものではない。
また、上記刊行物5〜7は、導電性配線パターンを転写によって形成する技術を開示するものではない。
(2-2)そして、「バイアホール上において、転写された導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している」ことによって、バイアホール間のピッチ及び配線パターン間のピッチを狭くでき、微細配線パターンを有する配線基板とすることができるものと認められる。
したがって、本件請求項12に係る発明は、上記刊行物1〜7に記載された発明とすることも、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
(3)特許法第29条の2の検討
先願明細書等にも、本件請求項12に係る発明を特定する事項である、「バイアホール上において、転写された導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している」点は記載されていない。
そして、本件請求項12に係る発明は、先願明細書等に記載された発明によっては得られない、前説示の作用効果を奏するものである。
したがって、本件請求項12に係る発明を、先願明細書等に記載された発明と同一とすることはできない。
4-6.請求項15,16に係る発明について
請求項15,16に係る発明は請求項12に係る発明の構成を全て含むものであり、請求項12に係る発明が、上記刊行物1〜7に記載された発明とすることも、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることも、また、先願明細書等に記載された発明とすることはできないから、請求項15,16に係る発明も、上記刊行物1〜7に記載された発明とすることも、上記刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることも、また、先願明細書等に記載された発明とすることはできないできない。
【五】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件請求項1ないし4、6、8、9、11ないし16に係る特許を取り消すことはできず、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
配線基板の製造方法並びに配線基板
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する配線基板の製造方法。
【請求項2】 配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。
【請求項3】 エッチング法により形成された両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して前記配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記配線パターンと前記導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する配線基板の製造方法。
【請求項4】 前記孔に埋め込まれた導電体が流動性の導電ペーストである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】 前記導電性配線パターンが、導電性を備える離型性支持板の表面に形成した配線パターンレジストを介してめっきにより形成された導電性配線パターンである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】 前記導電性配線パターンが、離型性支持板の表面に導電性ペーストを印刷して形成した導電性配線パターンである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】 前記離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが絶縁層を介してバイア接続された複数層の配線パターンからなる請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】 前記接着性絶縁体が半硬化状態である請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】 前記接着性絶縁体が多孔性で圧縮性を有する半硬化状態の支持体である請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】 前記接着性絶縁体がアラミド不織布に未硬化の樹脂を含浸させたプリフレグである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】 前記離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが接着性絶縁体の表面に加熱加圧によって転写されるとともに前記接着性絶縁体を完全硬化状態とする請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】 導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが前記導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれており、前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有している配線基板。
【請求項13】 前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、またはガラスエポキシプリプレグである請求項1から3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項14】 前記離型性支持板を除去する工程が、前記離型性基板をはがして除去するか、もしくはエッチングして除去することを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、ガラスエポキシプリプレグ、アラミドエポキシプリプレグ、のいずれか1つである請求項12に記載の配線基板。
【請求項16】 導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれて表面が平滑化された請求項12に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は両面または内層に複数の配線を有する配線基板の製造方法並びに配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型高密度化に伴い、産業用にとどまらず広く民生用機器の分野においてもLSI等の半導体チップを高密度に実装できる多層配線回路基板が安価に供給されることが強く要望されてきている。このような多層配線回路基板では微細な配線ピッチで形成された複数層の配線パターン間を高い接続信頼性で電気的に接続できることが重要である。
【0003】
このような高精度化、多機能化された電子機器の要求に対し、ドリル加工と銅貼積層板のエッチングやめっき加工による従来のプリント配線基板ではもはやこれらの要求を満足させることは極めて困難となり、このような問題を解決するために新しい構造を備えたプリント配線基板や高密度配線を目的とする製造方法が開発されつつある。
【0004】
その一つに高密度表面実装に対応するファインパターン形成方法の最近の技術として配線パターンの転写によるプリント配線基板の製造方法がある。この製造方法は、めっき技術と転写法を基本的な技術とするものであり、金属板上に電気銅めっきで配線パターンを形成し、プリプレグなどの半硬化状の樹脂板の両面から挟み込んで重ね、ホットプレス等により加圧加熱して金属板上の銅めっき配線パターンを転写したのち、ドリルによって孔加工してスルーホールを設け、再度スルーホール内壁に銅めっきを施すことにより両面の配線パターンを回路接続するものである(福富直樹他、”配線転写法による微細配線技術の開発”電子情報通信学会論文誌、C-II、Vol.J72-C-II、No.4、PP243-253,1989)。この方法によって得られる線幅、線間はいずれも20μmとされている。
【0005】
また一方では従来の多層配線基板の層間接続の主流となっていたスルーホール内壁の銅めっき導体に代えて、インナーバイアホール内に導電体を充填して接続信頼性を向上でき、かつ部品ランド直下や任意の層間にインナーバイアホールを形成できる「ALIVH(アリヴ:松下電器産業(株)開発)」と呼ばれる全層IVH構造樹脂多層基板がある。
【0006】
以下、上記「ALIVH」による配線基板の製造方法の一例について説明する。図5(a)〜(f)はその製造方法を示す工程断面図であり、図5(a)に示すようにアラミド不織布にエポキシ樹脂を含浸したアラミドエポキシプリプレグ等よりなる接着性絶縁体501にレーザ加工機を用いて必要とする箇所に穿孔してバイアホール502を設け、同図(b)に示すようにこのバイアホール502に流動性の導電性ペースト503を充填する。つぎにこの接着性絶縁体1の両面に銅箔504を配置して加熱、加圧することによってプリプレグ状態であった接着性絶縁体501および導電性ペースト503が硬化されるとともに両面の銅箔504が同時に接着され(c)、バイアホールを介して電気的に接続される。つぎにこの両面の銅箔504を従来のフォトリソグラフ法によりエッチングして配線パターン505a、505bを形成することにより両面配線基板506が得られる(d)。
【0007】
さらにはこの両面配線基板506をコアとして、その両面に図5(b)の工程で作成された他の位置配置を有する導電性ペーストが充填されたバイアホールを備えるプリプレグの接着性絶縁体501aまた他のプリプレグ接着性絶縁体501bを所定の位置に配置し、さらにその外側に銅箔507aおよび507bを配置して再度加熱、加圧することにより多層化し(e)、つぎに(d)工程と同様にフォトリソグラフ法により最外層の銅箔507a、507bをエッチングして外層配線パターン508a、508bを備える4層配線基板509が得られる。
【0008】
この配線基板の製造方法はバイアホールの形成にレーザを用いかつ接続に流動性の導電性ペーストを用いるために極めて小さな径のバイア接続が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の配線パターン転写法においてもスルーホール加工は機械加工であるためにその孔径の極小化には限界があり、またインナーバイアホールを有する配線基板においても、両面配線基板や多層配線基板の内外層銅箔の配線パターン形成は既存のフォトリソグラフ法を利用したエッチングによるパターン形成であり、その配線ピッチや配線幅等の形成密度は従来のものを超えることができず、電子部品の高密度表面実装、特に最近のチップ部品やLSIベアチップ等の超小型電子部品を高密度で搭載するという要求に限界を生じるという課題が発生してきた。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するものであり、上記配線転写法や全層IVH構造樹脂多層基板の利点を活用することにより、極めて高密度の実装を可能とするファインパターンプリント配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による配線基板の第1の製造方法は、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去する。かかる構成により、極めて微細な配線ピッチを有するファインパターンを安価に、かつ容易に形成することができる。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の配線基板の第2の製造方法は、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体の一方の表面に、第1の離型性支持板の表面に形成された第1の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第1の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記接着性絶縁体の他方の表面に、第2の離型性支持板の表面に形成された第2の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体に前記第2の導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記第1の導電性配線パターンと前記第2の導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記第1及び第2の離型性支持板を除去して作った配線基板の上に更に、配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ他の接着性絶縁体を積層し、積層した接着性絶縁体層の外層の表面に、離型性支持板の表面に形成された他の導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体層の表面に他の配線層を埋め込むと同時に、バイア接続を行い、その後、離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成する。かかる構成により、極めて微細なファインパターンを有する電子回路を内部に複数層形成した多層配線基板を安価に製造できる。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の配線基板の第3の製造方法は、エッチング法により形成された両面配線基板または多層配線基板の表面に設けられた配線パターンに、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体を積層して前記配線パターンと前記導電体とを接続し、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを前記接着性絶縁体に転写して前記接着性絶縁体に前記導電性配線パターンを埋め込んで前記導電体と接続し、前記配線パターンと前記導電性配線パターンとを前記導電体を介してバイア接続を行ない、その後、前記離型性支持板を除去する工程を順次繰り返して多層配線を形成するものであり、別工程で製造された従来の両面配線基板または多層配線基板の上面にも微細な配線パターンを安価に、かつ容易に形成することができる。
【0014】
【0015】
次に前記配線基板の第1から第3の製造方法において、孔に埋め込まれた導電体が流動性の導電ペーストであることが好ましい。これにより極めて微細かつ信頼性の高いバイア接続が可能となる。
【0016】
次に前記配線基板の第1から第3の製造方法において、導電性配線パターンが、導電性を備える離型性支持板の表面に形成した配線パターンレジストを介してめっきにより形成された導電性配線パターンであることが好ましい。これにより、従来のエッチングによらず、ファインパターンのレジストが印刷された導電性支持板上にめっきにより配線を形成し、転写する方法であるため、配線ピッチを従来のエッチング法に比較して微細とすることができ、また回路部分にのみ導電体を形成でき、コストの低減に寄与できる。
【0017】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、導電性配線パターンが、離型性支持板の表面に導電性ペーストを印刷して形成した導電性配線パターンであることが好ましい。かかる構成により、導電性配線パターンをより低コストで形成することができる。
【0018】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが、絶縁層を介してバイア接続された複数層の配線パターンからなることが好ましい。これにより1回の転写工程で多数の内層配線を備える多層配線基板を形成することができる。
【0019】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、接着性絶縁体が半硬化状態のプリプレグであることが好ましい。これにより、離型性支持板にめっきされた配線パターンを加熱加圧によって転写するときに半硬化状態の接着性絶縁体が完全硬化された基板を形成し、配線パターンを形成する導電体の基板に対する強固な接着性が得られる。
【0020】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、接着性絶縁体が多孔性で圧縮性を有する半硬化状態の支持体であることが好ましい。これにより、離型性を有する支持板にめっきされた配線パターンを加熱加圧によって転写するときに、接着性絶縁体が圧縮されバイアホール導電体も同時に圧縮されることにより、極めて導電性に優れた信頼性の高いバイア接続が得られる。
【0021】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、接着性絶縁体がアラミド不織布に未硬化の樹脂を含浸させたプリプレグであることが好ましい。これにより、転写性、圧縮性など理想的な接着性絶縁体とすることができ、また軽量でありながらセラミック基板に匹敵する低熱膨張率を備え、かつ低誘電率、高耐熱性を有する極めて実用性の高い配線基板を得ることができる。
【0022】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが接着性絶縁体の表面に加圧加熱によって転写されるとともに前記支持体を完全硬化状態とすることが好ましい。これにより、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンが加圧加熱時に支持体表面に強固に転写、接着されてファインパターンを有する微細な配線が形成できるとともに支持体の重合反応を促進させて機械的強度に優れた配線基板とすることができる。
【0023】
次に、本発明にかかる配線基板は、導電体が充填されているバイアホールを備えた接着性絶縁体に転写された導電性配線パターンが前記導電体に電気的に接続され、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれており、前記バイアホール上において、前記導電性配線パターンのサイズが前記バイアホールのサイズより小さい部分を有していることを特徴とする。これにより表面がフラットでLSIチップのフリップ実装には極めて都合がよいものとすることができる。また、微細パターンを有する配線基板に特有のパターンズレの問題が軽減できる。
【0024】
さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、またはガラスエポキシプリプレグであることが好ましい。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記離型性支持板を除去する工程が、前記離型性基板をはがして除去するか、もしくはエッチングして除去することが好ましい。さらに前記配線基板の第1から第3の製造方法において、前記接着性絶縁体が、ポリエステルもしくはポリイミドのシートに接着剤や粘着剤を塗布したもの、ガラスエポキシプリプレグ、アラミドエポキシプリプレグ、のいずれか1つであることが好ましい。さらに前記配線基板は、導電性配線パターンが前記接着性絶縁体に埋め込まれて表面が平滑化されたものであることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)〜(e)は本発明の配線基板の製造方法における第1の実施形態を示す工程断面図であり、図1(a)において111は導電性を有する離型性支持板であり、好ましくは最適状態に粗面化された表面を有する金属板が用いられ、ステンレスが一般的である。離型性支持板111の粗面化された面側にはパターン化されたレジスト112が設けられている。つぎにレジスト112が付いていないところにめっきにより配線パターン113を形成したのち、レジスト112を除去する(b)。つぎに図1(c)において、114は接着性絶縁体であり、アラミド不織布にエポキシを含浸したアラミドエポキシプリプレグが好ましい。多孔性で圧縮性と接着性を有する半硬化状のシートで、本発明の微細パターン形成と信頼性のある同時バイア接続の特徴をあますところなく発揮させ、バイア接続の抵抗値も著しく小さくなる。
【0026】
所定の位置にレーザ加工により開けた微細孔115には導電体116が充填される。孔の径は通常炭酸ガスレーザではおよそ150μ、エキシマレーザを使えば30から50μ径である。また導電体は例えば粘度が1,000から3,000ポアズの銅粉と樹脂並びに硬化剤よりなる流動性の導電性ペーストなどである。この接着性絶縁体114の両面に図1(c)に示すように配線パターン113が形成されている離型性支持板111および他の配線パターン117が形成されている他の離型性支持板118とが所定の位置に配置され、つぎに加熱プレス機等により両面より所定の温度と圧力により一定時間加熱、加圧する(d)。例えばアラミドエポキシの場合、加圧は30Kg/cm2、加熱は180℃で、1時間保持が必要である。この工程において接着性絶縁体114は圧縮されて完全硬化状態となり、また導電体116も高い圧力によってその充填密度が大きくなり極めて高い導電率が得られる。
【0027】
次に図1(e)に示すように、離型性支持板111、118を剥離することにより、絶縁体に埋め込まれて表面が平滑化された配線パターン113、117が導電体116によって層間接続つまりバイア接続された両面配線基板119を得ることができる。
【0028】
なお、前記福富等による配線転写法によれば、離型性支持板の上に一層離型しやすい銅の層を形成する方法もある。この場合は離型性の支持板を剥離した後に表層の銅の層をエッチングして除去しなければならない。工程が増加するが、安定して微細な配線パターを形成することができる。当然この方法も本発明から逸脱するものではない。
【0029】
導電体116は導電性のペーストである必然性はなく、半田ボールや金ボールのような金属体であってもよい。
【0030】
また説明は省略したが配線パターン113、117を導電ペースト等の印刷により形成する場合は離型性支持板としてステンレス板のような導電性基板の他にポリエステル等の絶縁性材料を用いることもできる。表面に離型処理を施すことも好ましい。
【0031】
また接着性絶縁体114として本実施形態ではアラミド不織布にエポキシ樹脂を含浸させたアラミドエポキシプリプレグを例に上げたが、ガラスエポキシプリプレグを用いることも可能である。当然ポリエステルやポリイミドなどのシートに接着剤や粘着剤などを塗布したものも接着性絶縁体として利用可能である。
【0032】
このように上記実施形態によれば、線幅、線間ともに30μmという微細配線ピッチを備え、かつ簡単に配線の転写と同時にバイア接続を得ることができる両面配線基板または多層配線基板を得ることができる。
【0033】
図1においてはバイア接続をとるべきバイアパッドの配線パターン113のサイズは孔115のサイズより大きく描いたが本発明においては必然性はなく、逆であってもよい。そのような配線基板ではバイアホールと微細配線のパターン合わせが容易になる。この様子を図2に示す。図2にはバイア接続の導電体が充填されているバイアホール203の上に配線201が通っている様子が描かれている。配線パターン201はバイアパッドも兼ねている。本発明は配線パターンの形成に転写を用いるのでエッチング工程がなく、このような構成が可能である。図2(a)において、配線パターン201はバイアホール破線で示された配線パターン202の位置までパターンが許容ズレ量S分ずれても許される。しかし図2(b)のようにバイアパッドでバイアホールを覆ってしまう必要のある場合には破線のところまで配線パターンがずれると隣のバイアと短絡してしまうために許容ズレ量S’はSより小さくなってしまう。
【0034】
以上から理解できるように、前記接着性絶縁体に転写され、かつバイア接続されている導電性配線パターンのサイズがバイアホールのサイズより小さい部分を有するものとすることにより、配線基板の位置合わせが容易になり、安価に製造可能な配線基板とすることができる。
(実施の形態2)
図3(a)〜(c)は本発明の配線基板の製造方法における第2の実施形態を示す工程断面図であり、図3(a)において119はあらかじめ別工程で作成されたバイアホール320で層間接続つまりバイア接続されているプリント配線321を備える両面配線基板であり、その一方の側に第1の実施形態において説明した、レーザ加工により形成した孔315に導電体316が埋め込まれた接着性絶縁体314を、また他の一方の側には同じく内部の孔315aに導電体316aが埋め込まれた接着性絶縁体314aをそれぞれ配置する。接着性絶縁体は例えばアラミドエポキシプリプレグなどが挙げられる。この場合接着性絶縁体314と314aは構成材料は同じであるが貫通孔315および315aはそれぞれ対応する配線パターンの位置に従って異なった位置に設けられている。
【0035】
つぎに上記接着性絶縁体314の側に第1の配線パターン322が形成された第1の離型性支持板323を、また接着性絶縁体314aの側に第2の配線パターン324が形成された第2の離型性支持板325をそれぞれ配置し、図2(b)に示すように、第1の実施形態と同じように真空プレス機(図示せず)により両面より所定の温度、圧力で一定時間加圧加熱して、接着性絶縁体314および314aと、孔315および315a内の導電体316および316aを圧縮、完全硬化させて第1の配線パターン322と導電体316を、また第2の配線パターン324と導電体316aとをそれぞれ接続するとともに両面配線基板319上の配線パターン321との接続も行わせる。ここで加圧、加熱処理は例えばアラミドエポキシの場合、加圧は30Kg/cm2、加熱は180℃で、1時間保持する。
【0036】
つぎに図2(c)に示すように、第1の離型性支持板323と第2の離型性支持板325を剥離することにより、表面が平滑化された第1の配線パターン322および第2の配線パターン324を備えた4層の配線層を有する多層配線基板326を得ることができる。
【0037】
本実施形態では、離型支持板に形成される配線パターンは1層しかないが、その離型支持板の表面に配線層のパターンに対応した位置に設けた孔に導電体を埋め込んだ接着性絶縁体を積層し、さらにその表面に第二層の導電性配線パターンを形成して多層化しておいても良い。
【0038】
さらに本実施形態では、第1の実施形態において作成した両面配線基板319をコアとして使用した例について説明したが、従来のエッチング法により形成された紙-フェノールまたはガラスエポキシ等よりなる両面配線基板または多層配線基板をコアとして使用することもできる。
【0039】
このように上記実施形態によれば、従来の技術によって作成された比較的安価な配線基板をコアとしてその片面または両面に、線幅、線間ともに30μmという微細配線ピッチを備えた両面配線基板または多層配線基板を低コストで得ることができる。
(実施の形態3)
図4は本発明の配線基板の製造方法における第3の実施形態を示す離型性支持板の断面図であり、本実施形態がこれまでに説明した第1および第2の実施形態と異なる点は離型性支持板の面に形成する配線パターンの構成にある。すなわち上記第1、第2の実施形態において導電性配線パターンはめっきまたは印刷により、離型性支持板の上面に1層の配線パターンを形成した例について図示、説明したが、本実施形態では図4に示すように離型性支持板431の表面にまず第1層の配線パターン432を形成し、つぎにその上面に第1の絶縁層433を塗布または印刷する。この方法はビルドアップ法と呼ばれる。本実施形態において第1の絶縁層433として好ましくは感光性エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等の有機材料が用いられる。つぎに第1の絶縁層433の所定の位置にレーザ加工機により直接またはエッチング法を併用してバイアホール434を穿孔し、その内部に導電体435と第2層の配線パターン436を形成して2層の配線パターンを備える離型性支持板431が準備される。このあとに続く転写工程等の工程および支持体等の使用材料は第1および第2の実施形態と同様であり、目的とする多層配線基板を製造することができる。
【0040】
なお、本実施形態では2層の配線パターンを備える離型性支持板431について説明したが、さらにその上層にビルトアップ法により3層目以上の配線パターンを順次形成したものを、一度の転写工程で同時に転写して低コストの多層配線基板を得ることも可能である。
【0041】
【発明の効果】
上記実施形態より明らかなように本発明によれば、孔に導電体が埋め込まれた接着性絶縁体の表面に、離型性支持板の表面に形成された導電性配線パターンを転写して前記接着性絶縁体の表面に配線層を形成すると同時にバイア接続を行うようにしているために、配線基板の配線パターンを極めて微細にできると同時に低コストの配線基板を得ることができる。また配線ピッチや配線幅等の形成密度に限界がある既存のフォトリソグラフ法によるエッチングを利用しないので、電子部品の高密度表面実装、特に最近の超小型化されたLSIベアチップを高密度で搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態1における配線基板の製造方法を示す工程断面図
【図2】
配線パターンとバイアホールのサイズの違いによる許容ズレ量の違いを示す図
【図3】
本発明の実施の形態2における配線基板の製造方法を示す工程断面図
【図4】
本発明の実施の形態3の配線基板の製造方法に用いられる離型性支持板の断面図
【図5】
従来の配線基板の製造方法を示す工程断面図
【符号の説明】
111,118,323,325,431 離型性支持板
112 レジスト
113、117,321,322,324,432,436 導電性配線パターン
114,314,314a,433 接着性絶縁体
115,315,315a 434 孔
116,316,316a,320,435 導電体
119,326 多層配線基板
201,202 配線パターン
203 孔(バイア接続の導電体が充填されているバイアホール)
 
訂正の要旨 訂正の要旨
審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-02-17 
出願番号 特願平8-236142
審決分類 P 1 652・ 161- YA (H05K)
P 1 652・ 121- YA (H05K)
P 1 652・ 113- YA (H05K)
P 1 652・ 1- YA (H05K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中川 隆司  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 尾崎 和寛
ぬで島 慎二
登録日 2001-10-19 
登録番号 特許第3241605号(P3241605)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 配線基板の製造方法並びに配線基板  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ