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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1077306
審判番号 不服2001-8360  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-17 
確定日 2003-05-19 
事件の表示 平成 6年特許願第 95639号「気泡浴槽のリモコン装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年10月27日出願公開、特開平 7-284162]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成6年4月7日付の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成11年2月5日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。(なお、平成13年6月15日付手続補正は却下された。)
「浴室壁等取付部材にホルダを取り付けるとともに、発光信号を発光する該ホルダと別体且つ該ホルダに対して脱着可能な所定の操作部を有するリモコン本体を保持させるようになした気泡浴槽のリモコン装置において、
前記リモコン本体の上端部に発光部を設けるとともに上端面に透光性の窓部を設ける一方、前記ホルダの頭部を中空構造となして内部に受光部を設けるとともに該受光部の下側壁部と前側壁部とに透光性の窓部を設け、且つ該ホルダの側においても操作部を設けたことを特徴とする気泡浴槽のリモコン装置。」

2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願前公知の特開平5-76088号公報(以下、「引用文献」という。)には、
「【発明が解決しようとする課題】
・・・浴槽に入浴中に浴槽水を追焚加熱して湯温を高めたいとき、リモコンが多用される給湯栓の近辺にあり、わざわざ浴槽から出て操作しなければならなかった。このため、テレビ等のリモコンのように浴槽中からも操作できることが望まれていた。」(段落番号【0003】)、
「図1は本発明の一実施例を示す。ラジオ2を他の器具として収納する収納器3・・・6は収納器3の外郭である収納ケースの背面部であり、ネジ7により浴室壁8にとりつけられる。9は収納器3の外郭である収納ケース本体になっている。・・・12は給湯器等のリモコンであり、13はその表示部、14は同じくその遠隔操作部としての操作ボタンである。リモコン12は無線信号の送受信手段としての赤外線送信器15、赤外線受信器16、・・・信号処理部としての電子回路部20、着脱手段としての吸着用のマグネット21等を着水の浸入を防止したケース22内に収納している。」(段落番号【0010】)、
「収納ケース本体9は・・・前記マグネット21・・・に各々対向して設けた着脱手段としてのマグネット23・・・さらに前記赤外線送信器15、赤外線受信器16に各々対向して設けた無線信号の送受信手段としての赤外線受信器26、赤外線送信器27、電子部品等より構成される中継器としての処理回路部28、処理回路部28の接続器29にセットされる電線束5の端末に有した接続器30等を収納し・・・収納ケース本体9の前面はリモコン12を装着時にリモコン12が突出しないように、最前面の防水膜11とリモコン12の前面を略同一面とする段を有した収納部32が設けられ、リモコン12を収納時の外観を良好にしている。」(段落番号【0011】)、
「 図2は収納器3が別設の器具である給湯栓34の上部に設置され」(段落番号【0012】)と記載されており、「赤外線送信器」は赤外線の発光信号を発光するものであり、また、リモコン本体部に赤外線送信器を設けている以上、透光性の窓部を設けることは自明であり、また、収納器内に赤外線受信器を設けている以上、該赤外線受信器に透光性の窓部を設けることは自明であるから、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。
「浴室壁等取付部材に収納部を有する収納器を取り付けるとともに、発光信号を発光する該収納器と別体且つ該収納器に対して脱着可能な所定の操作ボタンを有するリモコン本体を保持させるようになした浴槽のリモコン装置において、
前記リモコン本体部に赤外線送信器を設けるとともに透光性の窓部を設ける一方、前記収納器の内に赤外線受信器を設けるとともに透光性の窓部を設けた浴槽のリモコン装置。」
3.対比
そこで、本願発明と引用発明を対比検討してみる。
引用発明中の「収納部」はリモコン本体を載置する部位であり、本願発明の「ホルダ」もリモコン本体を載置するものである以上、そのような部位が自明的に存在するから、引用発明中の「収納器」及び本願発明中の「ホルダ」は、共に、リモコン載置部を有する器具ということができる。また、「気泡浴槽」は浴槽の一種であり、「操作ボタン」は操作部である。そして、「赤外線送信器」には発光部があり、「赤外線受信器」には受光部がある。
したがって、両者は、
「浴室壁等取付部材にリモコン載置部を有する器具を取り付けるとともに、発光信号を発光する該リモコン載置部を有する器具と別体且つ該リモコン載置部を有する器具に対して脱着可能な所定の操作部を有するリモコン本体を保持させるようになした浴槽のリモコン装置において、
前記リモコン本体に発光部を設けるとともに透光性の窓部を設ける一方、前記リモコン載置部を有する器具の内部に受光部を設けるとともに透光性の窓部を設けた浴槽のリモコン装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(1)本願発明は、浴槽の種類を「気泡浴槽」と限定しているのに対し、引用発明に関して引用文献には、気泡浴槽への適用についての言及乃至示唆はない。
(2)リモコン載置部を有する器具が、本願発明では「ホルダ」であるのに対し、引用発明は「収納器」である。
(3)本願発明では、発光部がリモコン本体の上端部に設けられ、透光性の窓部がリモコン本体の上端面に設けられているが、引用発明ではそうなっていない。
(4)本願発明では、ホルダの頭部を中空構造となしており、内部に受光部が設けられ、透光性の窓部は、受光部の下側壁部と前側壁部とに設けられているが、引用発明ではそうなっていない。
(5)本願発明では、ホルダの側においても操作部を設けているが、引用発明にはそのような操作部はない。

4.当審の判断
これらの相違点(1)〜(5)について検討する。
・相違点(1)について
気泡浴槽は浴槽として周知慣用であり、気泡浴槽と限定しても、請求項2に記載された構成上、特に顕著な効果を奏するものとは認められないから、容易に想到できたものである。
・相違点(2)について
引用発明中の「収納器」にはホルダとしての機能があり、しかも、リモコンのホルダは周知技術であるから、「収納器」のリモコン載置機能に着目して、「収納器」をホルダと変更する程度のことは、容易になし得る事項である。
・相違点(3)について
発光部をリモコン本体の上端部に設けることは周知技術(必要ならば、実願平4-49637号(実開平6-13287号)のCD-ROM、特開平5-3586号公報等を参照されたい。)であり、また、発光部をリモコン本体の上端部に設ける以上、透光性の窓部をリモコン本体の上端面に設けることはほぼ必然的に導かれる事項であって、事実、前記周知技術の例として記載した文献にも示されているように周知技術でもあるから、相違点(3)に係る構成は、容易に想到できたものである。
・相違点(4)について
本願発明に係る相違点(4)記載の構成は、上記相違点(3)で示した周知例の実願平4-49637号(実開平6-13287号)のCD-ROMにも、概ね示されており、周知技術(他に、必要ならば、実願昭55-11536号(実開昭56-114141号)のマイクロフィルム等を参照されたい。)といえるものであり、また、リモコン本体の使用状況を考慮することにより、当然導くことのできる単なる設計的事項ということもできる。
・相違点(5)について
ホルダの側においても操作部を設けることは、機器の操作を行いやすくするための周知技術(必要ならば、上記、実願平4-49637号(実開平6-13287号)のCD-ROMの段落番号【0009】、実願昭55-11536号(実開昭56-114141号)のマイクロフィルムの第3図及び関係記載、特開平4-174214号公報等を参照されたい。)にすぎない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項2に係る発明は、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の特許請求の範囲の請求項2に係る発明について特許を受けることができないものである以上、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-03-05 
結審通知日 2003-03-11 
審決日 2003-03-25 
出願番号 特願平6-95639
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 元宏近藤 聡  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 山本 春樹
小林 勝広
発明の名称 気泡浴槽のリモコン装置  
代理人 吉田 和夫  

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