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審決分類 審判 一部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A01M
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  A01M
審判 一部申し立て 2項進歩性  A01M
管理番号 1077787
異議申立番号 異議2000-73602  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-02-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-09-21 
確定日 2003-03-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3024651号「害虫管理の新規な方法および材料」の請求項1ないし22、25、26に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3024651号の請求項1ないし22、25ないし26に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第3024651号の請求項1ないし22、25、26に係る発明についての出願は、平成5年5月26日(パリ条約による優先権主張1992年6月1日、米国、1992年11月12日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成12年1月21日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人森本和教により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年2月8日に訂正請求がなされたものである。

(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項3の
「地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴を規定し、この穴にシロアリを到達させるケースを配置する工程
、および
b)地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程、
を含む方法。」を、
「地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴を規定し、この穴にシロアリを到達させるケースを配置する工程
、および
b)シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程であって、これらの毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなるものである、工程、
を含む方法。」と訂正する。
訂正事項b
特許請求の範囲の請求項7の
「地下シロアリを抑制するための毒物送出し装置であって、この装置はケースおよび毒物送出しハウジングを含み、前記ケースは地中の穴を規定することのできる内部を有し、かつ、この内部にシロアリを到達させ、前記毒物送出しハウジングは前記ケース内に位置し、かつ、1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる、毒物送出し装置。」を、
「地下シロアリを抑制するための毒物送出し装置であって、この装置はケースおよび毒物送出しハウジングを含み、前記ケースは地中の穴を規定することのできる内部を有し、かつ、この内部にシロアリを到達させ、前記毒物送出しハウジングは前記ケース内に位置し、かつ、1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる、毒物送出し装置。」と訂正する。
訂正事項c
特許請求の範囲の請求項11の
「シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、
を含む、シロアリの抑制方法。」を、
「シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、
を含む、シロアリの抑制方法。」と訂正する。
訂正事項d
特許請求の範囲の請求項13の
「シロアリを抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよび毒性のシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成され、かつ、前記地表面に通じる開口を有し、前記毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように前記送出しハウジング内に配置される、送出し装置。」を、
「シロアリを抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよび毒性のシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成され、かつ、前記地表面に通じる開口を有し、前記毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように前記送出しハウジング内に配置される、送出し装置。」と訂正する。
訂正事項e
特許請求の範囲の請求項15の
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びている、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」を、
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」と訂正する。
訂正事項f
特許請求の範囲の請求項18の
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置。」を、
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、このケース周辺の地面を覆うようにケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置。」と訂正する。
訂正事項g
特許請求の範囲の請求項21の
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
シロアリの活動が予測または検出される標的領域の近くの地面上にこの地面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリがシロアリ餌材料に到達するように、シロアリ餌材料を入れる工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」を、
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
シロアリの活動が予測または検出される標的領域の近くの地面上にこの地面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリがシロアリ餌材料に到達するように、シロアリ餌材料を入れる工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」と訂正する。
訂正事項h
特許請求の範囲の請求項22の
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよびシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成されており、かつ、前記地面に通じる開口を有し、前記シロアリ餌材料は前記送出しハウジング内に、標的領域に存在している可能性のあるシロアリがこのシロアリ餌材料に到達するように配置されている、送出し装置。」を、
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよびシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成されており、かつ、前記地面に通じる開口を有し、前記シロアリ餌材料は前記送出しハウジング内に、標的領域に存在している可能性のあるシロアリがこのシロアリ餌材料に到達し、しろあり毒物材料をくぐり抜けるように配置されている、送出し装置。」と訂正する。
訂正事項i
特許請求の範囲の請求項25の
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」を、
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを、このケース周辺の地面を覆うように、配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」と訂正する。
訂正事項j
特許請求の範囲の請求項26の
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に配置されている、シロアリの検出抑制装置。」を、
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に、このケース周辺の地面を覆うように、配置されている、シロアリの検出抑制装置。」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、「b)地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程、」を「b)シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程であって、これらの毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなるものである、工程、」と、ケースを、地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項bについては、「前記毒物送出しハウジングは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる」を「前記毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる」と、ケースを、地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項cについては、「前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、前記送出しハウジング内に入れる工程、」を「前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、」と、捕捉された生きたシロアリを、送出しハウジングに入れる工程を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項dについては、「前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成され、」を「前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成され、」と、送出しハウジングの構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮をした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項eについては、「c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びている、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程」を「c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程」と、カバーの配置工程を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項fについては、「前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、」を「前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、このケース周辺の地面を覆うようにケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、」と、カバーの構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項gについては、「前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、前記送出しハウジング内に入れる工程」を「前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程」と、送出しハウジング内に入れる工程を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項hについては、「前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成されており」を「前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成されており」と、送出しハウジングの構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項iについては、「c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを配置する工程」を「c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを、このケース周辺の地面を覆うように、配置する工程」と、カバーの配置工程を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項jついては、「カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に配置されている」を「カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に、このケース周辺の地面を覆うように、配置されている」と、カバーの構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正事項は、明細書または図面に記載されているから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書および第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(3)特許異議の申立てについての判断
ア.本件発明
上記(2)で示したように上記訂正が認められるから、本件請求項1ないし22、25、26に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし22、25、26に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】 地下シロアリを抑制するための方法であって、地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、地中の穴に設置する工程を含み、毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、地下シロアリの抑制方法。
【請求項2】 下記の追加の工程:
シロアリ毒物材料が入れられた毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前に前記の穴内の生きた地下シロアリを監視し、捕捉する工程、および
捕捉された生きたシロアリを、毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前または後に、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように、前記毒物送出しハウジングのチャンバ部分内に入れる工程、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】 地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴を規定し、この穴にシロアリを到達させるケースを配置する工程、および
b)シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程であって、これらの毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなるものである、工程、
を含む方法。
【請求項4】 毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから地中の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】 下記の追加の工程:
地中の穴に配置されたケース内にシロアリ毒物材料が入れられた毒物送出しハウジングを設置する前に前記の穴内の生きた地下シロアリを監視し、捕捉する工程、および
捕捉された生きたシロアリを、毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前または後に、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように、前記毒物送出しハウジングのチャンバ部分内に入れる工程、
を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】 地下シロアリを抑制するための毒物送出しハウジングであって、この毒物送出しハウジングは1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、この毒物送出しハウジングはさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロア川こ対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、毒物送出しハウジング。
【請求項7】 地下シロアリを抑制するための毒物送出し装置であって、この装置はケースおよび毒物送出しハウジングを含み、前記ケースは地中の穴を規定することのできる内部を有し、かつ、この内部にシロアリを到達させ、前記毒物送出しハウジングは前記ケース内に位置し、かつ、1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる、毒物送出し装置。
【請求項8】 毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから地中の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】 地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴内のシロアリを生きたまま捕捉する工程、
b)前記の大内に、1つ以上のシロアリ出口点を有し、かつ、この1つ以上のシロアリ出口点を塞いでいるシロアリ毒物材料を取り囲んでいる毒物送出しハウジングを配置する工程、および
c)捕捉された生きたシロアリを、この毒物送出しハウジング内に、シロアリが1つ以上のシロアリ出口点の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように収容する工程、
を含む方法。
【請求項10】 毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分はシロアリがシロアリ毒物材料中をくぐり抜けることによる以外にはシロアリ出口点を持たない、請求項9記載の方法。
【請求項11】 シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、
を含む、シロアリの抑制方法。
【請求項12】 送出しハウジングがシロアリ餌材料の交換および取り出しを容易にする開閉可能なカバーをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】 シロアリを抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよび毒性のシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成され、かつ、前記地表面に通じる開口を有し、前記毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように前記送出しハウジング内に配置される、送出し装置。
【請求項14】 送出しハウジングがシロアリ餌材料の交換および取り出しを容易にする開閉可能なカバーをさらに含む、請求項13記載の装置。
【請求項15】 シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。
【請求項16】 標的領域が地下にあり、ケースが地中の穴を規定する、請求項15記載の方法。
【請求項17】 標的領域が地上にあり、ケースがこの標的領域の表面を実質的に取り囲んでいる送出しハウジングである、請求項15記載の方法。
【請求項18】 シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、このケース周辺の地面を覆うようにケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置。
【請求項19】 標的領域が地下にあり、ケースが地中の穴を規定する、請求項18記載の装置。
【請求項20】 標的領域が地上にあり、ケースがこの標的領域の表面を実質的に取り囲んでいる送出しハウジングである、請求項18記載の装置。
【請求項21】 シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
シロアリの活動が予測または検出される標的領域の近くの地面上にこの地面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリがシロアリ餌材料に到達するように、シロアリ餌材料を入れる工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。
【請求項22】 シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、
この送出し装置は送出しハウジングおよびシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成されており、かつ、前記地面に通じる開口を有し、前記シロアリ餌材料は前託送出しハウジング内に、標的領域に存在している可能性のあるシロアリがこのシロアリ餌材料に到達するように配置されている、送出し装置。
【請求項25】 シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを、このケース周辺の地面を覆うように、配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。
【請求項26】 シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、
この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に、このケース周辺の地面を覆うように、配置されている、シロアリの検出抑制装置。」

イ.申立ての理由の概要
申立人は、甲第1ないし3号証を提出し、本件請求項1および6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、当該発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、本件請求項15、16、18、19、25および26に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であるから、当該発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、本件請求項2、9、10、11に係る発明は、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、当該発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、本件請求項12、17および20に係る発明は、甲第2号証、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、当該発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、本件請求項1ないし10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていないから、当該発明に係る特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反してされたものであり、本件請求項1、11ないし14、21、22、25および26に係る発明は、発明の構成に欠くことのできない事項を記載したものではないから、特許法第36条第5項第2号の規定にに違反してされたものであり、本件請求項3ないし5、7および8に係る発明の特許は、特許法第184条の14の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。

ウ.特許法第29条第1項第3号および同条第2項違反
エ.甲第1ないし3号証に記載の発明
甲第1号証(実願昭58-155131号(実開昭60ー64076号)のマイクロフィルム、以下刊行物1という。)には、「地面に打込むことの出来るような形状の容器中に、遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質とを混和し、充填した、白アリ駆除具」(実用新案登録請求の範囲)、「地面に打込むことの出来る杭のごとき形状の容器(1)を硬質プラスチック等で作り、この側面に穴(2)をあけておく中空部(3)に白アリの好む、パルプ、木くず、糖分等と、遅効性の殺虫剤を混和充填し、これを台所風呂場など家屋の白アリの食害を受けやすい部分の周辺土中に打込んでおけば、白アリは穴(2)の部分より充填物中に食入し、一部を自己の巣中に持帰り、幼虫や女王アリに与えるので、これらを全滅させることが出来る。」(1頁16行〜2頁5行)、「本器具は、上記のごとく、きわめて手軽かつ、低廉に、白アリの駆除を行うことが出来るものである。」(2頁右欄14〜16行)と記載されている。
甲第2号証(「USDA Forest Service Gen. Tech. Rep. PSWー128.」 1991年発行 46〜48頁、以下刊行物2という。)には、「オーストラリアにおける現存家屋内に生息するコプトテルメス種シロアリ抑制を目的とする餌技術」(46頁表題)、「吊した床下で使用する箱型餌容器を作るには、三層ベニヤ板を使用すればよい。該容器のサイズは 600×300×200mmとし、底板に4箇所の切込み(幅3mm・長さ460mm)を入れる。この箱の中を、水で湿らせたダンボール紙を何重にも重ねて一杯にし、蓋で密閉する。この箱を、壁や切株の内部に造られ使用されている管状シロアリ道に並ぶ土壌、或いは近辺の土壌に、箱の半分の深さまで埋め込む。そして、箱周辺の土壌に水を撒く。7日後、シロアリが来ているかどうか、この箱を調査する必要がある。もしそれ以降もシロアリが確認されないようならば、ダンボール紙を今一度水でよく濡らさなければならない。」(47頁左欄43〜53行)、「餌容器のデザインは問わず、餌に集まったシロアリの群れに対して三酸化二砒素処理を施す際の通則は大体同じである。もし、餌容器内をチェックしてすぐ、数百匹のシロアリがダンボール上を動きまわっていたならば、そのダンボールを剥がし、そのままそれを大きめのトレイ(例えば、フィルム現像用トレイが理想的)の上で垂直に持ったまま、該ダンボールを持ち上げている方の手の甲を、強く一回平手で打つ。そうすれば、複数のシロアリがダンボールから、トレイの中に落下する。シロアリ全体の約80%を、このような紙を用いた方式により、蓋のしっかり閉まる容器に移し換える。そして、移し換えたシロアリらに対し、三酸化二砒素を散布する。その際、ゴーグル・防毒マスク・手袋を着用するなど、適切な安全予防措置をとる。蓋を閉じた該容器を回転させ、シロアリらが三酸化二砒素を確実にかぶるようにする。三酸化二砒素をまぶしたシロアリらを、もとの餌容器に戻す。この時、すばやく地下通路系へ逃げ込もうとしている、処理を施されていない残り20%のシロアリの上に戻すようにする。この様にして数百匹のシロアリに散布処理が行われたとすると、そのシロアリ群落は6日〜10日以内に壊滅する見込みである。」(48頁左欄3〜22行)と記載されている。
上記記載を総合すると、刊行物2には、底板に切込みを入れた箱形餌容器内に、水で湿らされたダンボール紙を何重にも重ねて一杯にし蓋で密閉し、この容器を、壁や切株の内部に造られ使用されている管状シロアリ道に並ぶ土壌、或いは近辺の土壌に、箱の半分の深さまで埋め込み、その後、餌容器内をチェックして、シロアリがダンボール上を動きまわっていたならば、複数のシロアリをダンボールから、容器に移し換え、移し換えたシロアリらに対し、三酸化二砒素(毒物)を散布して、シロアリらが三酸化二砒素(毒物)を確実にかぶるようにした後、三酸化二砒素(毒物)をまぶしたシロアリらを、散布処理されていない残りのシロアリ上へ戻すように箱形餌容器内へ収容するシロアリの抑制方法及び装置が記載されているものと認める。
甲第3号証(特開平1ー319401号公報、以下刊行物3という。)には、「木質よりなる誘引体に収納穴を設け、この中に検出子を挿入して地中に埋設し、検出子を点検し、誘引体か検出子に、白ありの存在又は白ありによる食痕、その他白ありの生活痕跡が認められたら検出子を撤去し、収納穴に白あり駆除剤又は白あり駆除剤を含んだ物質を投入して、白ありを駆除する白ありの駆除方法。」(特許請求の範囲)、「本発明は、建築構造物周辺に存在する白ありを、白ありが建築構造物に侵入する以前に検知し、白ありの巣を壊滅することを課題としたものである。」(1頁右欄17〜20行)、「白あり存在の痕跡が認められた場合は、収納穴2に駆除剤5(遅効性で非忌避性)の粉末又は駆除剤を含んだ物質を投入し、上部を栓8で密閉し、さらに遮蔽体4で被う。」(3頁右上欄1〜4行)、「白ありの相互作用により、巣の中に駆除剤が蔓延し、これにより、やがて生殖虫(白ありの女王他)そのものを殺傷し、白ありの巣を壊滅させることができる。」(2頁右下欄14〜17行)、「前記遮蔽体は、モルタル、合成樹脂等より構成し、」(2頁右上欄5〜6行)と記載されている。

オ.対比・判断
a.請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載の発明も地下のシロアリを対象とするものであり、「地面に打込むことの出来るような形状の容器」は、硬質プラスチック等で作られ、側面に穴が開けられ、内部にシロアリ毒物材料(遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質)が充填されており、請求項1に係る発明の「毒物送出しハウジング」に相当するから、両者は、「地下シロアリを抑制するための方法であって、地中に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、地中に設置する工程を含む、地下シロアリの抑制方法。」である点で一致するが、刊行物1には、その作用として「白アリは穴(2)の部分より充填物中に食入し、一部を自己の巣中に持帰り、幼虫や女王アリに与えるので、これらを全滅させることが出来る。」とのみ記載されているように、容器(毒物送出しハウジング)上部をシロアリを収容するチャンバーとし、収容されたシロアリを遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質(シロアリ毒物材料)中を通過させて容器(毒物送出しハウジング)の穴(出入り口点)に到達させることについての記載は認められないから、刊行物1に記載の発明は、請求項1に係る発明の構成要件である「毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている」ことを具備していない。
そして、請求項1に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、明細書記載の「収集されたシロアリは、毒物含有マトリックス(シロアリ毒物材料)を噛み破るかまたはこれを通過して移動する。この方法で、シロアリは、毒物を摂取しもしくはこれに接触し、毒物含有マトリックス中に、適切な通信信号を残し、その信号は、他の巣の仲間に毒物含有マトリックスの位置を示し、求餌活動を開始させる」(特許公報12頁23欄3〜9行)という作用効果を奏するものであるから、請求項1に係る発明が、刊行物1に記載された発明とすることはできない。
b.請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明の構成要件をすべて含むものであるから、上記aに記載したように、刊行物1には、請求項2に係る発明の構成要件である「毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている」ことについての記載はないし、刊行物2には、穴内の生きた地下シロアリを監視し、捕捉することは記載されているとしても、刊行物2に記載の発明では、捕捉された生きたシロアリに毒物をまぶした後、ハウジング内の毒物処理されていないシロアリ上に戻すようにハウジングに入れるものであるから、請求項2に係る発明の構成要件「捕捉された生きたシロアリを、毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前または後に、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように、前記毒物送出しハウジングのチャンバ部分内に入れる工程」とは相違する。
上記相違点について、申立人は、シロアリに毒物を付着させることを目的とする点で一致しており、いずれの工程を選択するかは、当業者にとって単なる選択事項にすぎない旨主張しているが、請求項2に係る発明は、上記構成を採用することによって、明細書記載の「収集されたシロアリは、毒物含有マトリックス(シロアリ毒物材料)を噛み破るかまたはこれを通過して移動する。この方法で、シロアリは、毒物を摂取しもしくはこれに接触し、毒物含有マトリックス中に、適切な通信信号を残し、その信号は、他の巣の仲間に毒物含有マトリックスの位置を示し、求餌活動を開始させる」(特許公報12頁23欄3〜9行)という、刊行物2に記載の発明では奏し得ない作用効果を奏するものであるから、当業者にとって単なる選択事項にすぎないとはいえず、刊行物1にも、上記工程は記載されていない以上、請求項2に係る発明が、刊行物1、2に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
c.請求項6に係る発明について
請求項6に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載の発明も地下のシロアリを対象とするものであり、「地面に打込むことの出来るような形状の容器」は、硬質プラスチック等で作られ、その側面に穴が開けられ、その内部にシロアリ毒物材料(遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質)が充填されるもので、請求項6に係る発明の「毒物送出しハウジング」に相当するから、両者は、「地下シロアリを抑制するための毒物送出しハウジングであって、この毒物送出しハウジングは、地中に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、地中に設置する工程を含む、地下シロアリの抑制方法。」である点で一致するが、刊行物1には、その作用として「白アリは穴(2)の部分より充填物中に食入し、一部を自己の巣中に持帰り、幼虫や女王アリに与えるので、これらを全滅させることが出来る。」とのみ記載されているように、容器(毒物送出しハウジング)上部をシロアリを収容するチャンバーとし、収容されたシロアリを遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質(シロアリ毒物材料)中を通過させて容器(毒物送出しハウジング)の穴(出入り口点)に到達させることについての記載は認められないから、刊行物1に記載の発明は、請求項1に係る発明の構成要件である「毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている」ことを具備していない。
そして、請求項6に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、明細書記載の「収集されたシロアリは、毒物含有マトリックス(シロアリ毒物材料)を噛み破るかまたはこれを通過して移動する。この方法で、シロアリは、毒物を摂取しもしくはこれに接触し、毒物含有マトリックス中に、適切な通信信号を残し、その信号は、他の巣の仲間に毒物含有マトリックスの位置を示し、求餌活動を開始させる」(特許公報12頁23欄3〜9行)という作用効果を奏するものであるから、請求項6に係る発明が、刊行物1に記載された発明とすることはできない。
d.請求項9に係る発明について
請求項9に係る発明と刊行物2に記載の発明を対比すると、刊行物2に記載の発明も、シロアリの抑制方法に関し、「底板に切込みを入れた箱形餌容器」は、その中のダンボール紙で、上記切込みから出入りするシロアリを捕捉し、この捕捉したシロアリに毒物(三酸化二砒素)を付着させた後、毒物が付着されたシロアリを、前記容器内に収容するものであって、前記箱形容器は「送出しハウジング」であり、切込みはシロアリの「出口点」でもあるから、両者は、「地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴内のシロアリを生きたまま捕捉する工程、
b)前記の穴内に、一つ以上のシロアリ出口点を有する送出しハウジングを配置する工程、および、
c)捕捉された生きたシロアリ、この送出しハウジングに収容する工程、を含む方法」である点で一致するが、請求項9に係る発明では、b)およびc)の工程が「1つ以上のシロアリ出口点を塞いでいるシロアリ毒物材料を取り囲んでいる毒物送出しハウジングを配置する工程」、および、「捕捉された生きたシロアリを、この毒物送出しハウジング内に、シロアリが1つ以上のシロアリ出口点の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように収容する工程」であるのに対し、刊行物2に記載の発明では、このようなb)、c)の工程は具備していない点で相違する。
上記相違点について検討すると、刊行物1には、側面に穴(シロアリの出入口点)が開けられ、内部にシロアリ毒物材料(遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質)が充填された容器(毒物送出しハウジング)を、地中に打込むことが記載されているから、請求項9に係る発明の「b)1つ以上のシロアリ出口点を塞いでいるシロアリ毒物材料を取り囲んでいる毒物送出しハウジングを配置する工程」は記載されているとしても、その作用効果として「白アリは穴(2)の部分より充填物中に食入し、一部を自己の巣中に持帰り、幼虫や女王アリに与えるので、これらを全滅させることが出来る。」とのみ記載されているように、容器(毒物送出しハウジング)上部にシロアリを収容し、収容されたシロアリを遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質(シロアリ毒物材料)中を通過させて容器(毒物送出しハウジング)の穴(出入り口点)に到達させるものではないから、請求項9に係る発明の「c)捕捉された生きたシロアリを、この毒物送出しハウジング内に、シロアリが1つ以上のシロアリ出口点の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように収容する工程」は記載されていない。
そして、請求項9に係る発明は、上記工程c)を具備することによって、明細書記載の「収集されたシロアリは、毒物含有マトリックス(シロアリ毒物材料)を噛み破るかまたはこれを通過して移動する。この方法で、シロアリは、毒物を摂取しもしくはこれに接触し、毒物含有マトリックス中に、適切な通信信号を残し、その信号は、他の巣の仲間に毒物含有マトリックスの位置を示し、求餌活動を開始させる」(特許公報12頁23欄3〜9行)という作用効果を奏するものであるから、請求項9に係る発明が、刊行物2、1に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
e.請求項10に係る発明について
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記dで説示したと同様の理由により、刊行物1および2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
f.請求項11に係る発明について
請求項11に係る発明と刊行物2に記載の発明を対比すると、刊行物2に記載の発明もシロアリを抑制するものであり、刊行物2に記載の「底部に切込みを入れた箱形餌容器」は、「地表面に通じる開口を有する送出しハウジング」であるから、両者は、「シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、前記送出しハウジング内に入れる工程、を含む、シロアリの抑制方法。」である点で一致するが、請求項11に係る発明では、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、送出しハウジング内に入れる工程、および前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、を具備するのに対し、刊行物2に記載の発明では、このような工程は具備していない点で相違する。
上記相違点について検討すると、刊行物1には、側面に穴(シロアリの出入口点)が開けられ、内部にシロアリ毒物材料(遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質)が充填された容器(毒物送出しハウジング)を、地中に打込むことが記載されているから、請求項11に係る発明の「1つ以上のシロアリ出口点を塞いでいるシロアリ毒物材料を取り囲んでいる毒物送出しハウジングを配置する工程」は記載されているとしても、その作用効果として「白アリは穴(2)の部分より充填物中に食入し、一部を自己の巣中に持帰り、幼虫や女王アリに与えるので、これらを全滅させることが出来る。」とのみ記載されているように、容器(毒物送出しハウジング)上部にシロアリを収容し、収容されたシロアリを遅効性の殺虫剤と白アリの食害を受けやすい物質(シロアリ毒物材料)中を通過させて容器(毒物送出しハウジング)の穴(出入り口点)に到達させるものではないから、請求項11に係る発明の「捕捉された生きたシロアリを、この毒物送出しハウジング内に、シロアリが1つ以上のシロアリ出口点の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように収容する工程」は記載されていない。
そして、請求項11に係る発明は、上記工程を具備することによって、明細書記載の「収集されたシロアリは、毒物含有マトリックス(シロアリ毒物材料)を噛み破るかまたはこれを通過して移動する。この方法で、シロアリは、毒物を摂取しもしくはこれに接触し、毒物含有マトリックス中に、適切な通信信号を残し、その信号は、他の巣の仲間に毒物含有マトリックスの位置を示し、求餌活動を開始させる」(特許公報12頁23欄3〜9行)という作用効果を奏するものであるから、請求項11に係る発明が、刊行物2、1に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
g.請求項12 に係る発明について
請求項12に係る発明は、請求項11に係る発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記fで説示したと同様の理由により、刊行物1および2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
h.請求項15に係る発明について
請求項15に係る発明と刊行物3に記載の発明を対比すると、刊行物3に記載の発明も、シロアリを検出して、駆除(抑制)するものであり、刊行物3に記載の「誘引体」、「検出子」および「駆除剤」は、請求項15に記載の「ケース」、「非毒性シロアリ餌材料」および「毒性シロアリ餌材料」に相当するから、両者は「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性シロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上に、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」である点で一致するが、刊行物3に記載の発明の遮蔽体は、図面の記載からみれば、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するものであるとしても、その外周部下部は、地中に埋められているように、請求項15に係る発明の構成要件c)の「ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、カバーを配置する工程」は具備していない。
そして、請求項15に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、本件明細書に記載の「ステーションハウジングの主たる区画部分の境界を超えて延在し、近くの地面が覆われるように設計される。この周辺の土壌を日陰にし、これにより周辺の土壌を暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱する効果を有する。」(特許公報13頁左欄37〜42行)という作用効果を奏するものであるから、請求項15に係る発明は、刊行物3に記載された発明とすることはできない。
i.請求項16に係る発明について
請求項16に係る発明は、請求項15に係る発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記hで説示したと同様の理由により、刊行物3に記載された発明とすることはできない。
j.請求項17に係る発明について
請求項17に係る発明は、請求項15に係る発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当し、刊行物3に記載の「誘引体」は、「送出しケーシング」でもあるから、請求項17に係る発明と刊行物3に記載の発明を対比すると、両者は「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性シロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上に、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法であって、ケースが標的領域の表面の実質的に取り囲んでいる送出しハウジングである」点で一致するが、請求項17に係る発明は「ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、カバーを配置する工程」を具備し、「標的領域が地上」であるのに対し、刊行物3に記載の発明は、このような工程を具備しておらず、標的領域は不明な点で相違する。
上記相違点について検討すると、刊行物2に記載の「底板に切込みを入れた箱形餌容器」は、「この容器を、壁や切株の内部に造られ使用されている管状シロアリ道に並ぶ土壌、或いは近辺の土壌に、箱の半分の深さまで埋め込まれる」との記載からみれば、請求項17に係る発明の構成要件である「標的領域が地上にあり、ケースがこの標的領域の表面を実質的に取り囲んでいる送出しハウジング」が記載されているとしても、刊行物2には、請求項17に係る発明の構成要件である「ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、カバーを配置する工程」についての記載も示唆もない。
そして、請求項17に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、本件明細書に記載の「ステーションハウジングの主たる区画部分の境界を超えて延在し、近くの地面が覆われるように設計される。この周辺の土壌を日陰にし、これにより周辺の土壌を暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱する効果を有する。」(特許公報13頁左欄37〜42行)という作用効果を奏するものであるから、請求項17に係る発明は、刊行物3、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
k.請求項18に係る発明について
請求項18に係る発明と刊行物3に記載の発明を対比すると、刊行物3に記載の発明も、シロアリを検出して、駆除(抑制)するものであり、刊行物3に記載の「誘引体」、「検出子」、「駆除剤」および「遮蔽体」は、請求項15に記載の「ケース」、「非毒性シロアリ餌材料」、「毒性のシロアリ餌材料」および「カバー」に相当するから、両者は、「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置」である点で一致するが、刊行物3に記載の発明のカバー(遮蔽体)は、図面の記載からみれば、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するものであるとしても、その外周部下部は、地中に埋められているように、請求項18に係る発明の構成要件である「前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、このケース周辺の地面を覆うようにケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバー」は具備していない。
そして、請求項18に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、本件明細書に記載の「ステーションハウジングの主たる区画部分の境界を超えて延在し、近くの地面が覆われるように設計される。この周辺の土壌を日陰にし、これにより周辺の土壌を暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱する効果を有する。」(特許公報13頁左欄37〜42行)という作用効果を奏するものであるから、請求項18に係る発明は、刊行物3に記載された発明とすることはできない。
l.請求項19に係る発明について
請求項19に係る発明は、請求項18に係る発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記kで説示したと同様の理由により、刊行物3に記載された発明とすることはできない。
m.請求項20に係る発明について
請求項20に係る発明は、請求項18に係る発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記kで説示したと同様の理由により、刊行物3、2に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
n.請求項25に係る発明について
請求項25に係る発明と刊行物3に記載の発明を対比すると、刊行物3に記載の発明も、シロアリを検出し、抑制(駆除)するものであり、刊行物3に記載の「誘引体」、「検出子」、「駆除剤」および「遮蔽体」は、請求項25に記載の「ケース」、「非毒性シロアリ餌材料」、「毒性のシロアリ餌材料」および「カバー」に相当するから、両者は、「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にカバーを、配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」である点で一致するが、刊行物3に記載の発明のカバー(遮蔽体)は、その材質(モルタル、合成樹脂)から断熱材料から構成されるとしても、図面の記載からみれば、その外周部下部は、地中に埋められているように、請求項25に係る発明の構成要件c)の「ケース上に、カバーを、このケース周辺の地面を覆うように、配置する」ことは具備していない。
そして、請求項25に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、本件明細書に記載の「ステーションハウジングの主たる区画部分の境界を超えて延在し、近くの地面が覆われるように設計される。この周辺の土壌を日陰にし、これにより周辺の土壌を暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱する効果を有する。」(特許公報13頁左欄37〜42行)という作用効果を奏するものであるから、請求項25に係る発明は、刊行物3に記載された発明とすることはできない。
o.請求項26に係る発明について
請求項26に係る発明と刊行物3に記載の発明を対比すると、刊行物3に記載の発明もシロアリを検出し、抑制(駆除)するためのものであり、刊行物3に記載の「誘引体」、「検出子」、「駆除剤」および「遮蔽体」は、請求項26に記載の「ケース」、「非毒性シロアリ餌材料」、「毒性のシロアリ餌材料」および「カバー」に相当するから、両者は、「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース上に、配置されている、シロアリの検出抑制装置。」である点で一致するが、刊行物3に記載の発明のカバー(遮蔽体)は、その材質(モルタル、合成樹脂)から断熱材料から構成されるとしても、図面の記載からみれば、その外周部下部は、地中に埋められているように、請求項26に係る発明の構成要件である「カバーは、ケース上に、このケース周辺の地面を覆うように、配置されている」ことは具備していない。
そして、請求項26に係る発明は、上記構成要件を具備することにより、本件明細書に記載の「ステーションハウジングの主たる区画部分の境界を超えて延在し、近くの地面が覆われるように設計される。この周辺の土壌を日陰にし、これにより周辺の土壌を暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱する効果を有する。」(特許公報13頁左欄37〜42行)という作用効果を奏するものであるから、請求項25に係る発明は、刊行物3に記載された発明とすることはできない。

カ.特許法第36条第5項第1号違反
申立人の主張(i)について、請求項1〜10に記載の「毒物送出しハウジング」および「毒物送出し装置」の構成を備えていれば、それが「ステーションハウジング」であっても「毒物送出し装置」であっても成立するものであるから、「毒物送出しハウジング」が特定されていないからといって、明細書に記載された発明でないとすることはできない。

キ.特許法第36条第5項第2号違反
申立人の主張(ii)について、請求項1に記載の「毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている」は、チャンバーにシロアリを収容することを規定するものであって、シロアリが自発的に、外から出入り口点を通って毒餌材料中を侵入し、チャンバーに至ることは、明細書の記載からみても意図していないことは明らかであり、請求項1の内容が不明とはいえないから、発明の構成に欠くことができない事項が記載されていないとすることはできない。
申立人の主張(iii)について、シロアリの捕捉をどのようにするかは当業者が適宜なし得ることにすぎず、具体的なシロアリの捕捉工程が記載されていないからといって、発明の構成に欠くことができない事項が記載されていないとすることはできない。
申立人の主張(iv)および(vi)について、「送出しハウジング」は、経時的または同時に「標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、」と「捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容する」の両者の機能を有することは明細書の記載から明らかであるから、発明の構成に欠くことができない事項が記載されていないとすることはできない。
申立人の主張(v)および(vii)について、「シロアリに毒を付着させる工程」の欠如は、訂正により請求項21、22に付加されたから、申立人の主張は解消した。
申立人の主張(viii)および(x)について、「安定な温度および湿度条件を維持する」は、地面を覆うカバーの効果と同様に、暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱することにより、餌を求めるシロアリがケースや餌材料に接触する機会を増やす条件を定めたもので、定量的な安定な温度および湿度条件が記載されていないからといて構成が不明確となるものではないから、発明の構成に欠くことができない事項が記載されていないとすることはできない。
申立人の主張(ix)について、ケースは、その内部が、シロアリの活動が予測されまたは検出される標的領域となるという条件を記載したにすぎず、格別記載内容が技術的に不明瞭とはいえないから、発明の構成に欠くことができない事項が記載されていないとすることはできない。

ク.特許法第184条の14違反について
申立人の主張(i)および(ii)について、請求項3ないし5、7、8に係る発明は、第1〜3図に示されている、ステーションハウジングに餌管のような毒物送出し装置を入れる実施例において、ステーションハウジングをケース、餌管のような毒物送出し装置を毒物送出しハウジングと表したものと認められるから、平成9年5月29日付け手続補正書により補正された明細書により初めて開示された事項であるとすることはできない。

ケ.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由および証拠によっては、本件請求項1ないし22、25、26に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし22、25、26に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1ないし22、25、26に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
害虫管理の新規な方法および材料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 地下シロアリを抑制するための方法であって、地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、地中の穴に設置する工程を含み、毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、地下シロアリの抑制方法。
【請求項2】 下記の追加の工程:
シロアリ毒物材料が入れられた毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前に前記の穴内の生きた地下シロアリを監視し、捕捉する工程、および
捕捉された生きたシロアリを、毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前または後に、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように、前記毒物送出しハウジングのチャンバ部分内に入れる工程、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】 地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴を規定し、この穴にシロアリを到達させるケースを配置する工程、および
b)シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程であって、これらの毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなるものである、工程、
を含む方法。
【請求項4】 毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから地中の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】 下記の追加の工程:
地中の穴に配置されたケース内にシロアリ毒物材料が入れられた毒物送出しハウジングを設置する前に前記の穴内の生きた地下シロアリを監視し、捕捉する工程、および
捕捉された生きたシロアリを、毒物送出しハウジングを地中の穴に設置する前または後に、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように、前記毒物送出しハウジングのチャンバ部分内に入れる工程、
を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】 地下シロアリを抑制するための毒物送出しハウジングであって、この毒物送出しハウジングは1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、この毒物送出しハウジングはさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、毒物送出しハウジング。
【請求項7】 地下シロアリを抑制するための毒物送出し装置であって、この装置はケースおよび毒物送出しハウジングを含み、前記ケースは地中の穴を規定することのできる内部を有し、かつ、この内部にシロアリを到達させ、前記毒物送出しハウジングは前記ケース内に位置し、かつ、1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる、毒物送出し装置。
【請求項8】 毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分は側壁の開口を有さず、かつ、生きたシロアリを収容し、毒物送出しハウジング内にシロアリ毒物材料が入れられているときにシロアリが前記毒物送出しハウジングの側壁の開口の1つから地中の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように構成されている、請求項7記載の装置。
【請求項9】 地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴内のシロアリを生きたまま捕捉する工程、
b)前記の穴内に、1つ以上のシロアリ出口点を有し、かつ、この1つ以上のシロアリ出口点を塞いでいるシロアリ毒物材料を取り囲んでいる毒物送出しハウジングを配置する工程、および
c)捕捉された生きたシロアリを、この毒物送出しハウジング内に、シロアリが1つ以上のシロアリ出口点の1つから前記の穴に到達するにはシロアリ毒物材料中をくぐり抜けなければならないように収容する工程、
を含む方法。
【請求項10】 毒物送出しハウジングがさらに端部を有する1つ以上の側壁により規定されるチャンバ部分を含み、前記端部の少なくとも一方はシロアリに対するシロアリ毒物材料への通路となり、前記チャンバ部分はシロアリがシロアリ毒物材料中をくぐり抜けることによる以外にはシロアリ出口点を持たない、請求項9記載の方法。
【請求項11】 シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、
を含む、シロアリの抑制方法。
【請求項12】 送出しハウジングがシロアリ餌材料の交換および取り出しを容易にする開閉可能なカバーをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】 シロアリを抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよび毒性のシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成され、かつ、前記地表面に通じる開口を有し、前記毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように前記送出しハウジング内に配置される、送出し装置。
【請求項14】 送出しハウジングがシロアリ餌材料の交換および取り出しを容易にする開閉可能なカバーをさらに含む、請求項13記載の装置。
【請求項15】 シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。
【請求項16】 標的領域が地下にあり、ケースが地中の穴を規定する、請求項15記載の方法。
【請求項17】 標的領域が地上にあり、ケースがこの標的領域の表面を実質的に取り囲んでいる送出しハウジングである、請求項15記載の方法。
【請求項18】 シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、このケース周辺の地面を覆うようにケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置。
【請求項19】 標的領域が地下にあり、ケースが地中の穴を規定する、請求項18記載の装置。
【請求項20】 標的領域が地上にあり、ケースがこの標的領域の表面を実質的に取り囲んでいる送出しハウジングである、請求項18記載の装置。
【請求項21】 シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
シロアリの活動が予測または検出される標的領域の近くの地面上にこの地面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリがシロアリ餌材料に到達するように、シロアリ餌材料を入れる工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。
【請求項22】 シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよびシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成されており、かつ、前記地面に通じる開口を有し、前記シロアリ餌材料は前記送出しハウジング内に、標的領域に存在している可能性のあるシロアリがこのシロアリ餌材料に到達するように配置されている、送出し装置。
【請求項23】 シロアリを検出するための装置であって、この検出装置は少なくとも1つの、シロアリが食餌可能な監視材料、導電体および電子監視装置を含み、前記導電体は前記少なくとも1つの、シロアリが食餌可能な監視材料に隣接してまたは埋め込まれて配置され、シロアリの食餌により切断可能である材料からなり、かつ、シロアリの食餌により導電体が切断されたときに連続電気回路が切断されるように連続電気回路を形成しており、前記電子監視装置は連続電気回路が切断されたときにこの電子監視装置が切断を検出し、これによりシロアリの存在を検出する、シロアリの検出装置。
【請求項24】 さらに監視材料ハウジングを含み、この監視材料ハウジングがシロアリが食餌可能な監視材料および導電体を収容するように構成され、かつ、シロアリを監視材料および導電体に到達させる少なくとも1つのシロアリ開口を有する、請求項23記載の装置。
【請求項25】 シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを、このケース周辺の地面を覆うように、配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。
【請求項26】 シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に、このケース周辺の地面を覆うように、配置されている、シロアリの検出抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、1992年6月1日に出願された係属中の出願第07/891,896号の一部継続出願である、1992年11月12日に出願された係属中の出願第07/975,317号の一部継続出願である。
【0002】
背景技術
地下シロアリは、周辺の土壌から構造物へ最も頻繁に侵入して、構造物およびその内容物の木材その他のセルロース材料を餌とする。無防備であると、シロアリはかなりの損害をもたらす。その結果、シロアリが構造物へ侵入するのを防ぐために物理的もしくは化学的バリアを設置するための、または、シロアリが構造物に侵入したあとでシロアリを完全に駆除するための努力は、公衆にとってかなりの損失であることがわかった(Su,N.Y.,J.H.Scheffrahn[1990」「社会生物学(Sociobiol.)」17(1):77-94)。米国におけるシロアリを防除するための費用は、一年で一億ドルを超えている(Mauldin,J.K.,S.C.Jones,R.H.Beal[1987]木材保存における国際調査グループ資料(The International Reserch Group on Wood Preservation Document)第IRG/WP/1323号)。
【0003】
地下シロアリは、土の表面下に広範囲の餌集坑道を作る。ひとつのコロニー(集団)は、300フィートにもわたる餌集テリトリーを有する数百万匹のシロアリを含むこともある(Su,N.Y.,J.H.Scheffrahn[1990]「社会生物学(Sociobiol.)」14(2):353-359)。地下シロアリは、人目につかない生き物であるので、その存在は、被害、餌集坑道、または有翅虫(swarmers)などの生きているシロアリが発見されるまで通常は知られることがない。ある地下シロアリは、土の表面上の物体の下で求餌することが知られている(Ettershank,G.,J.A.Ettershank,WG.Whitford[1980]環境昆虫学(Environ.Entomol.)9:645-648)。
【0004】
現在、地下シロアリを防除するためには、2つの基本的方法がある。それは、予防管理と是正管理である。米国のいくつかの州では、新たに建築される建物の基礎の下の土壌を、シロアリの襲来を防ぐために殺虫剤(また、ここでは防蟻剤ともいう)で前処理することが義務づけられている。殺虫剤は、一般に、建築前に土壌上および土壌内に吹き付けられる。この建築前処理は、建物の下に水平なバリアを作り出す。殺虫剤散布者と建築作業員との連絡の欠如のため、バリアはしばしば建設の間にその連続性をなくしてしまう。さらに、現在利用できる土壌防蟻剤は、5年以上になるとそれらの生物学的活性は失われ、処理された土は、シロアリの侵入に対して効力がなくなる傾向にある。構造物の下やその周りに追加の薬剤を施用しなければ、土壌内に確立されたシロアリのコロニーがその構造物に侵入するであろう。
【0005】
家その他の建物が地下シロアリにより被害を受けた場合、地下シロアリを建物へ侵入させてしまう土壌内の建物の下に連続したバリアを作る努力がなされる。このバリアを作る一般的な方法は、コンクリートの基礎の下の土壌内への注入、または建物の周りの土壌への浸透、またはその両方を組み合わせて建物の基礎の周りに防蟻剤を導入することである。このタイプの建築後処理は、労働集約的であり、連続したバリアを十分に作ることができない(Frishman,A.M.,B.L.,Bret[1991]害虫防除(Pest Control)59(8):48,52,54,56; Frishman,A.M.,A.St.Cyr[1988]害虫防除技術(Pest Control Technology)16(4):33,34,36)。
【0006】
その他の救済処理には、建物の壁に防蟻剤を散布もしくは注入するなどのスポット的処理もある。ロバート.バーカーク(Robert Verkerk)は、シロアリ用偽餌を用いた三酸化二ヒ素の散布処理を記述している(Verkerk,R.[1990]シロアリ追い出し(Building Out Termites)Pluto Press Australia Limited,P.O.Box 199,Leichhardt,NSW 2040)。バーカークは、シロアリにより食害を受けやすい棒状もしくはブロック状の木ぎれを利用し、既知のシロアリ被害を受けた場所の近くにその木ぎれを置いたあとにシロアリを誘き寄せると説明している。シロアリの活動が観察されたら、三酸化二ヒ素が注入される。あるいは、シロアリの一部に三酸化二ヒ素を振りかけてもよい。
ほとんどのスポット的処理は、建物内の特定の領域におけるシロアリの被害を食い止めるために行われるのであるが、一般的には地下シロアリの群れのごくわずかな一部、すなわち、殺虫剤に直接触れるシロアリにしか影響を及ぼさない。地下シロアリのコロニーが莫大な求餌行動をとる生息数および広範囲なテリトリーを有するため、莫大な数のシロアリはこのような一時的な処理によって影響を受けない。
【0007】
米国特許第3,940,875号は、実用性がないのであるが、バリアタイプの処理の寿命を延ばすために、シロアリがその毒を食べたときに臭気の放出によりシロアリの存在が伝えられるように土壌内にシロアリ用毒を散布する方法を記述している。この’875特許は、また、シロアリに食べられたときに臭気を放出する、シロアリの食用となる容器を記述している。’875特許および上記のバーカークの文献に加えて、他の刊行物もシロアリを防除する策の要素としてシロアリの食用となる材料の使用を記述している。たとえば、日本国特許出願番号第61-198382および63-151033号は、探知手段の一部としてシロアリを「誘引する」よう特別に設計された木製容器を記述している。第61-198382号出願は、シロアリを誘引する目的に使用される、好ましくは松材もしくは杉材から作られた、容器を記述している。第63-151033号出願でも、シロアリを誘引するための木製誘引体が用いられている。第63-151033号出願では、毒物が恐らく巣に持ち帰られ、栄養や餌の交換によりついには生殖虫(女王)を殺傷するという期待のもとに、シロアリはさらに毒物にさらされる。この日本国出願は、両方とも記述した方法が実際にシロアリの群れに影響を及ぼすことを確証するいかなるデータも提示していない。さらに、シロアリを「誘引する」ことが可能であるという記述はない。それらの方法には、さらに重大な欠点がある。たとえば、木製の誘引体は、特に湿った土壌において、シロアリが襲う前に菌による浸食を被るであろう。探知期間の間、誘引体の頻繁な取り替えが必要である。さらに、誘引体の損傷は、土壌内への防蟻剤の浸透を引き起こす可能性がある。これは環境的に受け入れられないことである。
【0008】
あるシロアリ防除方法は、その場にいる多くのシロアリとさらにコロニーに戻った他のシロアリとの多くを直接防除することを期待して、来襲の箇所に高毒性の材料、たとえばヒ素を含むダスト、を置くことを含む。しかしながら、この方法は、シロアリの坑道中に毒性ダストをポンプで注入し、また比較的多量のダストを施用することによっている。
【0009】
建物の下やその周りに液状防蟻剤を運ぶためのパイプを設けるという策も、シロアリ防除のために提案されている。それらの液状防蟻剤は、シロアリの侵入に対する連続したバリアを供給するようにパイプを通して建物の周りやその下の土壌に散布される。この方法は、建物の周りの土壌を飽和させるために大量の防蟻剤を必要とする。
【0010】
米国特許第5,027,546号は、地上のシロアリすなわち乾燥木のシロアリに用いるための、液体窒素で 氷結させてシロアリを防除するシステムを記述している。液体窒素は、有毒な残滓を残さない本質的に無毒なものであるが、その使用は危険であり、またこの方法はスポット的な処理であり、大部分のシロアリには影響がない。米国特許第4,043,073号は、殺虫剤の繰り返しの適用の問題を回避するための方法を記述している。この方法は、殺虫剤をカプセルに入れてそれをさらに持続性のものにすることにより機能する。環境内での殺虫剤の公然の使用および環境におけるその効果の持続という問題は、このシステムによっても改善されない。土壌内に直接殺虫剤を入れるという問題を緩和し得ない他のシステムが米国特許第3,624,953号に提案されている。この方法は、殺虫剤の貯蔵器を用いており、殺虫剤の蒸気が貯蔵器の周りの土壌にしみこむことを防止できない。したがって、この方法では、毒性物質で環境をさらすことを免れない。
【0011】
環境への影響が少なく且つシロアリに対して有効な毒物が知られている(Su,N.Y.,M.Tamashiro,M.Haverty[1987]「J.Econ.Entomol.」80:1-4;Su,N.Y.,R.H.Scheffrahn[1988]「Florida Emtomologist」71(1):73-78;Su,N.Y.,R.H.Scheffrahn[1989]「J.Econ.Entomol.」82(4):1125-1129;Su,N.Y.,R.H.Scheffrahn[1990]「Sociobilo.」17(2):313-328;Su,N.Y.[1991]「Sociobilo.」19(1):211-220;Su,N.Y. R.H.Scheffrahn[1991]「J.Econ.Entomol.」84(1):170-175;Jones,S.[1984]「J.Econ.Entomol.」770:1086-1091;Paton,R.,L.R.Miller[1980]「Control of Mastotermes darwiniensis Froggatt(Isoptera:Mastotermitidae)with Mirex Baits」Australian Forest Research 10:249-258;McHenry,W.E.,米国特許第4,626,528号;Henric,C.A.,米国特許第5,151,443号)。しかしながら、従来、これらの毒物は、どれも、効果的且つ能率的に毒物を目的とする害虫に施与する方法と共に使用されたことはない。
【0012】
オーストラリア特許第1,597,293号(’293特許)および対応するイギリス特許第1,561,901号は、セルロースと結合剤とからなる食用マトリックスを殺虫剤に混合することを含む方法を記述している。’293特許に開示されたこの方法は、マトリックスとともに殺虫剤をシロアリが摂取し、その後コロニーに戻り、自然の栄養交換過程(シロアリ間の餌の交換)によって殺虫剤を他のシロアリに移すことによっている。しかしながら、’293特許は、シロアリが存在していることを知ったときのみの方法を記述しており、さらに、この方法は、シロアリが最初にマトリックスを見つけることを確実にしておらず、またシロアリがそのマトリックスを見つけ、栄養交換にのみより十分な量の殺虫剤をコロニーに移すことに頼っている。日本国特許出願第63-151033号と同様に、’293特許の方法もマトリックスがシロアリにとってそのまわりの物質よりもより魅力のあるものであることを必要とする。’293特許に記述された方法は、シロアリを誘き寄せることをマトリックス内の湿気(おそらく、結合剤、寒天によって保持されている)に頼っている。したがって、この方法は、主に、湿気(もしくは「水応力」下における水分)に誘引される種類のシロアリのためのものである。さらに、’293特許の方法は、シロアリの到着を待つ場所に施用された場合に水分が保持されることを確実にしていない。湿気を含んだおが屑-寒天マトリックスでさえも乾燥土壌中に置かれてから2、3日以内に乾燥してしまうので、これは実際の応用には非現実的である。
【0013】
シロアリに対する水以外の誘引物が調査されてきたことに留意しなければならない。例えば、赤腐れ菌類からの抽出物は、シロアリの後追フェロモンと化学的に似ている。しかしながら、自然のフェロモンは、種特有であり、コロニー特有のものさえ有る。フェロモンつまりある種のもしくはあるコロニーのシロアリにとっての「誘引物」は、ほかの種類のまたはほかのコロニーのシロアリを寄せつけないであろう。したがって、特に餌を広範囲の種類のシロアリに対して用いる場合、(赤腐れ菌類の抽出物などの)フェロモン擬似物を餌に取り入れることは、確実性の乏しいものである。
【0014】
消化酵素および他の代謝プロセスは活性成分に影響しないと考えられているので、栄養交換は殺虫剤をコロニーに運ばせるには不確かな手段であるということに留意しなければならない。しかしながら、殺虫剤がシロアリに摂取されると、その殺虫剤は、シロアリの消化過程によって効果がなくなるであろう。さらに、シロアリの生存数を減少させるには、それらの損傷力が低減される前にコロニー内の実質的数のシロアリを無力にする必要がある。毒物の移動を栄養交換のみによっていれば、十分な数のシロアリを確実に防除することはできないのである。
【0015】
’293特許に記述された方法に対する修正は、シロアリの摂餌量を増やさないであろう。例えば、’293特許の方法は、マトリックス混合物がシロアリの塚や木の幹など既知の来襲場所に適用されることが要求される。’293特許の方法は、シロアリの活動が検出されていない限り使用することができない。’293特許は、また、予防策として、多量の毒性の餌を任意の場所に配置することを提案している。しかしながら、シロアリを検出する工程を行うことなくしては、餌の大部分が乾燥されもしくは菌の成長により分解され、シロアリにとって味の悪いものとなってしまう。さらに、不必要に大量の毒物が環境へ流出してしまう。
【0016】
したがって、シロアリもしくは興味のある他の昆虫が毒物にさらされることを確実にし、使用する殺虫剤の量を減らして環境への害を最小限にし、且つ、コロニー内の十分な数のシロアリに影響を及ぼす方法によって、より効果的にシロアリもしくは他の昆虫を防除することが高く望まれている。
【0017】
発明の要旨
ここに開示され、特許請求される発明は、害虫の生息数を抑制する方法に関する。この発明は、化学的信号で通信する社会性の昆虫の生息数を抑制するのに最も有利に用いられる。特にここで例として挙げているものは、シロアリ目の昆虫、特にシロアリの防除のための方法および装置である。
【0018】
この発明の1つの好ましい方法は、2つの工程を含むものとして最も簡単に考えられるものである。これらの2つの工程を多重工程プロセスとするように繰返すこともでき、またこれらの2つの工程を同時に行うこともできる。一方の工程は、いかなる殺虫剤をも用いない手段で目的とする害虫を監視および/または捕獲することを含む。この工程は、害虫の存在を検出する機能を有する。加えて、この監視工程は、害虫の実質的危害やコロニー活動混乱を起こすことなく害虫を捕獲するための手段としても機能できる。害虫が捕獲される本発明の態様では、捕獲された害虫は生きており、好ましくは動き、食べ、仲間の害虫を誘き寄せることのできる化学的信号を発することができる。害虫が検出され、または捕獲される本プロセスのこの工程は、以下において「監視工程」と呼ばれる。
【0019】
本プロセスのもう一方の工程は、害虫が検出されたあとで、それらの生息数を抑制することを含む。害虫は、たとえば監視工程の結果として、検出されている。本プロセスの管理工程では、害虫は毒物の摂取または別の方法による毒物との接触の結果として抑制される。この発明は、極めて大きなシロアリのコロニーでさえも防除できる高い効果を有するということが確認された。有利なことに、この制御手順では、非常に少量の毒物のみを使用するものであり、この毒物は厳密に規定され、管理された方法で適用されて、環境を毒物にさらすのを最小限にする。毒物の使用は、毒物の非常に限られた量および適用範囲について、また毒物が使用される期間について、制限される。制御が達成されると、監視工程が続けられる。これらの工程は、また、同時に行うこともできる。
【0020】
餌もしくはトラッキングパウダーなどの特定の毒物キャリヤは、この発明の特徴である。これらのキャリヤは、ここではマトリックスと呼ばれる。毒物含有マトリックスを目的とする害虫に与えるための装置についても記述される。
【0021】
本発明の好ましい態様では、本プロセスの抑制工程は、監視工程で捕獲された害虫を利用することができる。特に、これらの捕獲された害虫は、毒物含有マトリックスに他の害虫をおびき寄せまたは勧誘し(これをここでは「セルフリクルートメント」と称する)、また時として害虫の巣もしくはコロニーに毒物を運ばせるために利用される。毒性マトリックスを巣の仲間にとってさらに魅力的なものとする、この捕獲された害虫の独特な使用を、ここでは、「セルフリクルートメント」と呼ぶ。ここで述べるように、捕獲された害虫を、巣に移動する前に毒物含有マトリックスを摂取し、もしくはその中を移動するように誘導することができる。この発明の好ましい態様においては、毒物は比較的ゆっくりと効くので、害虫は死ぬ前にコロニーのテリトリー中を移動することができる。シロアリが死ぬ前に毒物含有マトリックスを離れるので、この方法は、キャリヤおよびマトリックスの近辺が死んだまたは死にかけたシロアリで汚されるのを防止できる。巣内の移動の過程で、害虫は、他の標的害虫を毒物含有マトリックスへ導きまたは勧誘する化学的形跡を残すことができる。また、捕獲された害虫は、毒物含有マトリックス自体にその餌が好ましいことを伝達する化学的信号を残すことができる。それらの化学的信号は、種特有であり、またコロニー特有でさえあるので、それらの化学的信号は、巣の仲間の毒物含有マトリックスへのセルフリクルートメントに非常に有利である。また、害虫は、たとえば栄養交換や共食い(cannibalism)などによって巣へ毒物を運び、そこで毒物が他の巣の仲間を殺傷することにもなる。この方法の効果は、毒物含有マトリックスをシロアリにとってさらに魅力のあるものにすることである。この魅力は、他の巣の仲間を毒物含有マトリックスへ導く高度に特有の形跡フェロモンと、さらに重要には、除去される特定のシロアリコロニーに高度に特有なものとなりうる求餌開始フェロモン(feeding-initiating pheromones)の毒物含有マトリックス内への堆積とにより、得ることができる。
【0022】
本発明は、また、この新規の方法を行うのに用いられる材料に関する。この発明の重要な要素は毒物含有マトリックスであり、これは毒物と、メトセル(Methocel:登録商標)、寒天、他のセルロース材料、目的とする害虫にとって不快でない他の材料、または、それらの構成要素の内の2つ以上の組み合わせなどの結合剤とを含むことができる。好ましくは、毒物はゆっくり作用する。セルロース材料を用いる場合、この材料は木材粒子であってもよい。マトリックスは、マトリックスの周囲を安定させ、または整える成分をさらに含むこともできる。たとえば、吸湿性成分などのヒューメクタント(吸湿性物質:humectant)をマトリックスの水分を調整するために加えることもできる。
【0023】
この発明にしたがって、ある種の新規な装置も使用される。特に開示する装置は、昆虫、特にシロアリ、の生息数を監視し、抑制するためのものである。たとえば、シロアリの存在を監視するための装置のひとつは、単に、構造物を囲む敷地や農業用地に戦略的に設置することができる監視装置としての食料源を含むものである。これらの監視装置は、害虫防除作業者もしくは土地の所有者にとって入手しやすいものであり、シロアリの存在を証明するために定期的に監視することを可能にする。電子装置などの他の装置を、シロアリの存在を家主もしくは害虫防除作業者に警報するために、監視装置に組み入れることができる。地面もしくは土壌がシロアリが監視される構造物を囲んでいる場所では、監視される構造物または領域の近くの土壌中へ監視装置を設置することができる。構造物が土壌で囲まれていない場所、もしくは餌集坑道が地上で検出された場合は、監視装置もしくは毒物含有マトリックスを地上に設置できる。有利には、監視装置は、害虫を容易に且つ害虫に実質的な危害を与えることなく取り出し、これによって、マトリックスへ他の巣の仲間を勧誘するように利用することを可能にするように、組み立てることができる。
【0024】
この発明による他の有用な装置は、監視装置かまたは毒物含有マトリックスを囲うように特別に設計されたハウジングを含む。このハウジングは、監視装置および/または毒物含有マトリックスを周囲から保護するために有用である。監視装置もしくはマトリックスは、餌集するシロアリに対する最小限の破壊で取り出すことのできるような方法でハウジング内に収納される。このハウジングは、好ましくは、耐久性の、非生物分解性の材料からなる。
【0025】
本発明は、複雑な機械を必要としない、環境的に安全なシロアリ防除システムを提供する。本発明は、目的とする害虫の監視および毒物を運ぶための装置および方法を提供し、この装置は専門の害虫防除作業者並びに土地の所有者によって容易に且つ安全に取り扱うことのできるものである。
【0026】
好都合なことに、ここに開示される材料および手順は、毒物を扱う人が受ける危険を最小限にし、シロアリが摂取する毒物を増加させる。この発明の方法は、都市の環境における殺虫剤の使用を徹底的に減少させることができる。さらに、この発明は、集中害虫管理(IPM)方法の重要な一部にもなる。IPMの最初の段階をシロアリの活動を監視するように設計できる。シロアリの活動が検出されるまでは殺虫剤の使用は必要ない。シロアリの活動が検出されたら、コロニー全体の生息数を抑制するために、少量の殺虫剤のみが使用される、IPMの第2段階を採用することができる。抑制が達成されたら、監視工程が繰返され、必要であれば同様に抑制工程も行われ、これにより構造物もしくは農業用地に無期限の保護を提供することができる。
【0027】
以下にさらに詳しく述べるように、この発明の方法を実施するために用いることのできる方法および装置は多様である。特定の目的とする害虫および環境に正に最適な具体的方法および装置は、ここに提供される教示を用いることにより、当業者には明らかであると思われる。
【0028】
次の説明および教示は、主としてシロアリの防除に焦点をあててたものである。ここでは、シロアリの防除のための特定の方法および装置が提供されるが、これらの方法および装置の改変およびシロアリ以外の害虫への適用は当業者により容易に理解され、採用されるものであろう。
【0029】
図面の簡単な説明
第1図a-dは、単一のステーションハウジングが監視装置そして次いで毒物送出し管を収納するために用いられる本発明の一態様を説明するものである。特に、第1図aは、土壌内へ予め配置したステーションへの監視装置の設置およびステーション上のカバーの設置を示し、第1図bは、ステーションおよび監視装置へ連結する餌集坑道を示し、第1図cは、監視装置の取り外しおよび同じステーション内への毒物送出し管の設置を示し、第1図dは、他のシロアリを毒物に勧誘するために、監視装置内に捕えられたシロアリを、毒物送出し管のおとり用チャンバへ配置する状態を示す。
【0030】
第2図aは、監視装置およびステーションハウジングの平面図を示す。
第2図bは、監視装置およびステーションハウジングの側面図を示す。
第3図は、おとり用チャンバを有する餌管を示す。
【0031】
第4図は、構造物の基礎と隣りあう土壌中に設置された、監視ブロックを含む連続したステーションハウジングを示す。一片の薄い金属箔が、監視ブロック内に埋め込まれている。監視ブロックが構造物の取り囲むようにいっしょに接続されると、接続回路が形成される。監視ブロック内のシロアリによる深刻な食害により回路が切断され、これが電子装置により容易に検出される。
【0032】
第5図a-cは、シロアリ監視/捕獲/毒物送出しステーションの一例を示す。第5図aおよびbは、モールディングを有する壁に対する設置のための部分的切り込みを示す。第5図cは、正しく壁に対して取り付けられている箱、毒物マトリックスおよび蓋の分解図を示す。
【0033】
第6図aは、水平の監視装置およびステーションの一例を示す。
第6図bは、毒物送出し装置と交換されようとしている水平の監視ステーションの監視装置の一例を示す。
第7図a-dは、水平の監視装置と毒物送出しシステムの使用例を示す。
【0034】
発明の詳細な開示
この発明は、害虫の生息数を抑制するための新規な方法および装置に関する。本発明は、抑制される害虫にとって不快でないマトリックス内へ適切な毒物を提供するという概念に基づいている。好ましい態様においては、本発明は、毒物へより他への害虫を運ぶセルフリクルート方法をさらに含む。ここで、詳細に述べられるように、この発明のセルフリクルートの特徴は、除去される特定のコロニーからの害虫にとって毒物含有マトリックスをさらに魅力的にさせる非常に独特で有効な手段である。害虫、特に特定の巣もしくはコロニーからの害虫にとって毒物をより魅力的なものとする手段は、本発明の非常に重要な特徴である。
【0035】
ここに記載の方法法は、コロニーに住み、たとえばフェロモンのような化学的信号により通信する昆虫に対し、最も容易に適用できる。フェロモンは、シロアリや他の昆虫が通信信号として使用していることが知られている自然に生成された走化性化合物(chemotactic compounds)である。ここに記載の方法は、たとえばシロアリ目(Isoptera)などの昆虫を捕獲し、防除するために用いることができ、特に地下シロアリの生息数を抑制するのに有効である。この方法および装置は様々な種類の害虫に適用しうることは、当業者にとって極めて明白である。ここに開示した方法によって防除できるシロアリの種の例には、イエシロアリ(Coptoterms formosanus)、レティキュリタームスフラビペス(Reticulitermes flavipes)、R.ヘスペルス(R.hesperus)、R.バージニカス(R.verginicus)、R.ティビアリス(R.tibialis)およびヘタロタームスオウレウス(Heterotermes aureus)が含まれる。また同様に、ここに開示した方法によって防除できるシロアリ種の例には、以下の科(括弧内は種)が含まれる:ムカシシロアリ科(マストテルメス属(Mastotermes)の種)、シュウカクシロアリ科(アナカンソテルメス属(Anacanthotermes)、ズーテルモプシス属(Zootermopsis)の種)、ミゾガシラシロアリ科(コプトテルメス属(Coptotermes)、ヘテロテルメス属(Heterotermes)、レチクリテルメス属(Reticulitermes)、プサモテルメス属(Psammotermes)、プロヒノテルメス属(Prorhinotermes)、シェドヒノテルメス属(Schedorhinotermes)の種)、レイビシロアリ科(グリプトテルメス属(Glyptotermes)、ネオテルメス属(Neotermes)、クリプトテルメス属(Cryptotermes)、インシシテルメス属(Incisitermes)、カロテルメス属(Kalotermes)、マージニテルメス属(Marginitermes)の種)、ノコギリシロアリ科およびシロアリ科(ペリカプリテルメス属(Pericapritermes)、アロドンテルメス属(Allodontermes)、ミクロテルメス属(Microtermes)、オドントテルメス属(Odontotermes)、ナスチテルメス属(Nasutitermes)、テルメス属(Termes)、アミテルメス属(Amitermes)、グロビテルメス属(Globitermes)、ミクロセロテルメス属(Microcerotermes)の種)、オオシロアリ科(ホドテルモプシス属(Hodotermopsis)、ズーテルモプシス属(Zootermopsis)の種)。簡単のため、ここでは重点は地下シロアリに向けられている。
【0036】
本発明の好ましい態様は、(1)生息数監視/捕獲(以下、監視とする)と、(2)毒物含有マトリックスを使用して害虫への毒物送出しという2つの繰返し可能な工程を特徴としている。監視工程では、シロアリの活動を見つけ出すために特定の位置を監視することを含む。この工程は、さらにシロアリを捕獲することを含んでいてもよい。毒物送出し工程では、シロアリに摂取され、もしくはその他の方法によりシロアリと接触されるマトリックス内にゆっくり作用する毒物を提供することを含む。このゆっくり作用する毒物は、シロアリを死ぬ前に彼等のコロニーのテリトリーへ戻らせ、その中を移動させることを可能にする。そして、巣の仲間は、痕跡をたどって毒物へと進む。次にさらに詳しく述べるように、本発明のこの2つの主要工程は、はじめに害虫の活動を監視し、害虫の活動が観察されるとその後抑制を行うという、害虫管理プログラムの一部として繰返すことができる。抑制が達成されたら、監視を続けることができる。これらの工程を、同時に行ってもよい。また、最初の監視工程は、すでにシロアリの活動が検出されている場合には必要ない。好ましい態様では、以下に説明される単一のステーションハウジングが、監視と抑制の両方に用いられる。ステーションハウジングは、耐久性の、非生物分解性の物質からなり、長期間の監視や監視と抑制の繰り返しのサイクルに耐えられる独特の格納装置である。
【0037】
上記に述べた工程を、それぞれ、以下にさらに詳しく説明する。毒物送出し工程のセルフリクルートの特徴についても以下にさらに詳しく述べる。この発明に従って有用な特別な装置についても以下にさらに詳しく述べる。
A.監視 監視工程の主たる目的は、地下シロアリの存在を検出することにあり、他の場所からシロアリを誘き寄せることではない。シロアリが存在していれば、この工程はシロアリを集める機会を提供する。シロアリが集められると、それらのシロアリは、この発明の毒物送出し工程に従って巣の他の仲間を毒物に勧誘するために利用される。従って、シロアリは、逆にそのシロアリの生存能力に影響を及ぼさない方法で収集されるのが好ましい。「生存能力に影響を及ぼすことなく」および「生かしたまま」という言葉は、捕獲されたシロアリが比較的無傷であり、求餌行動ができ、好ましくは巣に戻るに十分な力を持っているということを意味する。
【0038】
シロアリの行動を監視するためにある種の装置を用いることができる。これらの装置を以下にさらに詳しく述べる。監視装置は土の中、その表面もしくはその上に設置できる。これらの装置は、別々に設置されてもよく、監視される構造を囲むように相互に連結されてもよい。監視装置に用いる材料は、シロアリに不快感を与えたり、思い止まらせるものではいけない。好ましくは、それらの材料は、シロアリが監視装置まで到達するに十分な期間、変わりやすい環境(高湿度、乾燥)に耐えうるように、十分に構造的に完全な状態を有するべきである。監視装置は、多数のシロアリによる求餌活動に耐えられるものであり、適切な検査の期間中にすべて消耗されてしまうことはない。
【0039】
監視工程の好ましい態様では、ひとつの物品(article)が目的とするシロアリの検出および捕獲の両方に用いられる。この物品は、したがって「監視装置」もしくは「監視用物品」である。この監視工程に用いられた装置は、好ましくは、シロアリに対する最小限の危害でシロアリを捕獲できる。この装置は、シロアリが来襲しやすいいかなる材料からなっていてもよい。好ましくは、この材料は、セルロースである。
【0040】
監視工程の1つの好ましい態様は、監視装置から分離しているが監視装置を取り囲む外部ハウジングを用いる。外部ハウジングは、ここではステーションハウジングとも呼ばれる。好ましい態様では、ステーションハウジングは、シロアリが監視装置に到達できるように複数の入り口点を有してもよい。これらの入り口点は、目的とする害虫が十分入れる大きさでなければならず、またそれより大きくてもよい。ステーションハウジングは、土の中へ容易に設置できるようその端部に強化チップをさらに含んでいてもよい。ステーションハウジングは、強化チップと反対側の端部にカバーをさらに含んでいてもよい。カバーについては、以下にさらに詳しく述べる。土壌の中へ水平に設置するための、もしくは地面に設置するためのステーションハウジングについても以下に述べる。
【0041】
ステーションハウジングを用いる場合、監視工程と毒物送出し工程のどちらにも同じステーションハウジングを用いることができる。たとえば、監視工程でシロアリが監視されると、監視装置(毒物なし)は、ステーションハウジングから取り除かれ、毒物含有マトリックスが置き換えられる。ステーションハウジングの使用の利点のひとつは、ステーションハウジングがその場所に残っていれば、、監視装置の取り除きによりシロアリの餌集坑道が、大幅に崩壊されることはないであろうということである。したがって、監視装置が毒物含有マトリックスで置き換えられたときに、シロアリの餌集坑道が大幅に再構築されることなく、容易に求餌が開始される。さらに、シロアリの生息数の抑制が毒物含有マトリックスを用いて達成されたあとで、毒物含有マトリックスを、その場所の監視を再び続けるために監視装置と容易に置き換えることができる。このプロセスを通じて、ステーションハウジングは、その位置を動かないでもよい。したがって、ステーションハウジングは、耐久性があり、非生物分解性の物質から作られ、害虫管理プログラムの重要な構成要素となる。
【0042】
監視装置、または、好ましくは監視装置を含むステーションハウジングは、シロアリを来襲させるのに十分な時間、土もしくはその他の適切な場所に設置される。監視装置は、直接土壌内へ打ち込まれて土の中に設置されるか、装置がその場所に置かれるのに十分な寸法の、前もって作られた穴または場所に設置されてもよい。あるいは、監視装置は、地面または土の中に設置されたステーションハウジング内へ設置されてもよい。監視装置および/またはステーションハウジングは、地面に平らに置かれてもよく、また穴の中で垂直に置かれてもよい。
【0043】
監視工程のある1つの態様においては、監視装置は、目的とする害虫が装置内へ入り、その中を移動できる可能性を大きくするように、化学的におよび/または物理的に改変されている。この目的を達成するために、餌、湿気、ムレ腐れ菌(dry rot fungus)およびフェロモンまたはその擬似物(たとえば、グリコール化合物)などの様々な化学的手段、および形状、寸法および構造などの物質的特性を用いることもできる。物理的改変例のひとつは、ステーションハウジング上または、監視装置がステーションハウジングなしで土の中で使用されている場合には、監視装置上に置かれたカバーである。
【0044】
シロアリの来襲を受けたあと、監視装置は、土壌からもしくはステーションハウジングから静かに取り除かれる。上述したように、ステーションハウジングを用いる有利な点は、餌集坑道の破壊を最小限にできることである。監視装置の取り除きによって、毒物含有マトリックスをステーションハウジング内へ、または監視装置が以前占めていた場所へ設置することができる。この方法では、毒物は、監視工程でシロアリが検出されるまで使用されない。
【0045】
以下にさらに詳しく述べる好ましい態様では、監視工程で集められたシロアリは、毒物へさらにシロアリを勧誘するために用いられる。これは、「セルフリクルートメント」と呼ばれる。したがって、監視装置は、シロアリを容易に捕獲できるように特別に設計される。以下に説明するこのような装置は、境界面となる側面を有してもよい。土もしくはステーションハウジングから取り除かれたあと、監視装置の境界面を構成する側面が分離され、シロアリが取り出される。監視装置の寸法および形状は、装置の中で餌をあさるシロアリを最小限の損傷で取り出すことができるように設計されている。「最小限の損傷」とは、捕獲されたシロアリが生きたままで、餌を探しかつフェロモンを生成することができ、好ましくは巣の仲間を勧誘するために巣に戻ることができることを意味する。取り出されたシロアリは、その後、コロニーから毒物含有マトリックスの中およびその全体へ、他のシロアリを勧誘するのに用いられる。監視装置の中で餌をあさるシロアリは、監視装置から毒物送出し装置へシロアリを静かに移すかもしくは軽くたたくことにより毒物送出し装置に移すことができる。毒物送出し装置をここでは「餌管」とも呼ぶ。毒物送出し装置は、毒物含有マトリックスの上にチャンバを有し、そこにシロアリが入れられる。このチャンバをここでは「おとり用チャンバ」と呼ぶ。餌管およびステーションハウジングを出ていくために、シロアリは、毒物含有マトリックスを通して坑道を掘らなければならない。
【0046】
B.毒物送出し 毒物送出し工程の目的は、毒物に接触させ、これを摂取させるためにできるだけ多くの害虫をコロニーから誘引することである。毒物送出し工程の詳細は、ここでは特にシロアリに関して説明される。しかしながら、上述したように、この方法は他の昆虫、特にコロニーもしくは巣に住み、化学的信号すなわちフェロモンで通信する社会性の昆虫にも適用できる。
毒物送出しシステムの基本的要素は、目的とする害虫が活性成分を摂取しもしくはこれに接触せしめるように、活性成分(AI)および適切なキャリア(マトリックス)を配置することからなる。毒物含有マトリックスは、環境、施用者、およびその他の目的でない生物を毒物にさらすのを最小限にするように、土の中、地面および地上に送り出される。たとえば、適切なマトリックスは、コーティング可能、懸濁可能、もしくは浸透可能な自然のもしくは人工の食料源である。マトリックスは、害虫を惹き付ける必要はないが、害虫を不快にさせてはならない。(ステーションハウジング内などにおける)マトリックスの存在は、毒物に接触させるように害虫を誘引するであろう。適切なマトリックスは、ステーションハウジング内へ設置されるかもしくは詰められるために所望の形状に形成可能である。
【0047】
非剛体マトリックスの好ましい態様では、毒物含有マトリックスがケース内に設置される。このケースは、ステーションハウジングとは異なるものであり、実際上、ステーションハウジング内への毒物含有マトリックスの設置を容易にする。毒物含有マトリックスおよびそれを取り囲むケースは好ましくはステーションハウジング内に設置されるが、あるいはこのケースは土中に直接設置できるように頑丈な材料でできていてもよい。ある好ましい態様では、毒物含有マトリックスは非常に高い含水率を有し、やや非晶質(amorphous)であるので、ケースはその形状を保つために必要である。ケースは、また、乾燥を防ぐのにも役立ち、また取扱者が毒物に触れるのを最小限にし、毒物送出し工程が完了したときに毒物含有マトリックスの取り除きを容易にする。さらに、以下にさらに詳しく述べるように、ケースは、おとり用チャンバを有するかまたはそれを形成するように設計される。ケースは、目的とする害虫による侵入を許容しなければならない。したがって、ケースは、適当な穴を有するか、害虫が噛んでまたはほかの方法で穴を形成できる材料からなっているべきである。たとえば、薄い高分子材料が毒物含有マトリックスを囲うのに用いられてもよい。毒物含有マトリックスは、ケース内におけるソーセージのようにケース内に封入されていてもよい。高分子材料の使用は、その材料がマトリックスの乾燥を防ぐかまたは遅らせるような性質のものの場合には、特に有利である。毒物含有マトリックスを収納するために用いることができるその他の材料は、段ボールや他のセルロース材料をも含み、紙やワックスであってもよいが、これらに限られない。毒物含有マトリックスを包むためのこの方法は、人間や環境への接触を最小限にするように毒物の適切な量を正確に提供できる「供与量パック(dose-pack)」を作り出すという利点を有している。
【0048】
適切なマトリックスは、セルロース含有材料から作られるが、これに限られず、例えば、木材粒子もしくは木粉、再生紙もしくはメチルセルロース、オキシプロピルメチルセルロース、オキシブチルメチルセルロース(商品名メトセル(Methocel)(The Dow Chemical Companyの商標)で市場で入手可能)などのセルロースエーテルが挙げられる。好ましいセルロース含有マトリックスは、目的とするシロアリの種類にとって不快でないおが屑または木粉である。十分な湿気に引かれる、またはそれにに頼るシロアリおよび他の種類の害虫での使用のために、マトリックスは、さらに水分を保つために保湿剤を含んでいてもよい。適切な保湿剤は、吸湿特性を有する。監視工程で用いるマトリックスには毒物がしみ込んでいないことを除き、監視工程および毒物送出し工程で同じマトリックスを用いることができる。
【0049】
好ましい活性成分は、目的とする昆虫を不快にさせない濃度でゆっくりと効いて殺傷でき、上述したようにマトリックスと一体となるものでなければならない。これは、毒物に直接触れるかまたはこれを摂取した害虫がすぐには死なずに、コロニーへおよび/またはコロニー中を移動し、他の巣の仲間を毒物へ勧誘し、これにより数多くのコロニーの害虫を防除できることを意味する。本明細書における「遅延殺傷効果(delayed lethal effect)」という言葉は、シロアリが活性成分を摂取しもしくはこれと接触した2、3秒または2,3分後というように急にもしくは短時間で殺傷しないということを意味する。むしろ、害虫は、毒物に遭遇してから数時間、さらに好ましくは、数日または数週間後に死ぬのが好ましい。この遅延殺傷効果は、シロアリが死ぬ前にコロニーと相互に作用できるようにし、したがって、コロニー内の仲間に毒物送出しシステムの場所を伝達することができるようにする。この伝達は、フェロモンで行われるのが好ましい。なぜなら、これらの化学的信号は、特定の種特有のもしくはコロニー特有のものであることが多い、高い効率の伝達手段であるからである。加えて、フェロモンによる伝達は、求餌開始フェロモン(Feeding-initiating pheromons)の毒物含有マトリックス内への直接の堆積により、この発明に従って、促進される。これらのフェロモンは、コロニーへ戻るために毒物送出し装置および/またはステーションハウジングを出る前に毒物含有マトリックス中で餌をあさり進む、捕獲された害虫により堆積される。この独特なセルフリクルートメントの手順は、毒物マトリックスへ巣の仲間を勧誘し、ゆっくりと作用する毒物へさらすことを確実にする非常に効率的なプロセスを与える。
【0050】
活性成分は、化学的殺虫剤、虫成長調整剤(insect growth regulators)、または、微生物病原体(microbial pathogens)またはそれらの毒素製剤からなってもよい。毒物の例は、ボレート(ホウ酸、八ホウ酸二ナトリウム四水塩)、マイレックス(mirex)、スルフルアミド(sulfluramid)及び関連するフルオロアルキルスルホンアミド、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、アベルメクチン(avermectin)、A-9248(ジヨードメタルパラトリルスルホン)、フルオロスルホネート、イミダクロプリド(imidacloprid)、アザディラクチン(azadirachtin)、サイロマジン(cyromazine)、処女ホルモン(JHs)、処女ホルモン類似体(JHAs)もしくは処女ホルモン擬似体(JHMs)、例えばメトプレン、ハイドロプレン、トリプレン、フルネシニック酸(furnesinic acid)エチルおよびアルコキシ誘導体、ピリプロキシヘン(Nylar)、フェノキシカーブ(fenoxycarb)、およびキチン合成抑制剤(CSIs)、例えばヘキサフルムロン、および他のアシル尿素、およびジフルベンズロン(Dimilon)を含むが、この限りでない。毒物として使用できる生物学的防除剤は、メタリジウムアニソプレアエ(Metarhizium anisopleae)およびビュウベリアバシアニア(Beauveria bassiania)などの昆虫遺伝性菌類(entomogenous fungi)、ネオプレクタナカルポカプサエ(Neoplectana carpocapsae)などの昆虫遺伝性線虫、昆虫ウイルス、バシルススリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、アスペルギリスフラブス(Aspergilhis flavus)およびセラティアマルセセンス(Serratia marcescens)などの病原性バクテリア、もしくはB.スリンギエンシス(B.thuringiensis)から生成された毒性生成物もしくは他の生物学的防除剤を含むが、この限りではない。
【0051】
加えて、他の殺虫剤は、微小カプセル化した製剤として用いることができる。微小カプセル化は、他の方法では速効性の毒物の効き目を遅らせることができる。
ここに開示する発明の一例では、毒物含有マトリックスの調製の間に、セルロース材料に含浸させまたは配合することのできるヘキサフルムロン(hexaflumuron)が用いられる。
【0052】
上述したように、この発明の一態様の新規な特徴は、収集したシロアリを他の巣の仲間を毒物に勧誘するのに用いる「セルフリクルート方法」を含む。ある種の昆虫は、たとえば、食料源にいた昆虫の痕跡に沿って堆積されるフェロモンなどの化学的信号を利用することが広く知られている。その結果、通常同じコロニーからの他の昆虫が、その化学的信号を見つけだし、それにより食料源へ到達する。いくつかの地下シロアリのこのような痕跡追従フェロモンも確認されている。しかしながら、このような自然の生成物もしくは類似物の合成は、困難で、費用がかかり、非現実的である。さらに、それらのフェロモンの適切な濃度および成分は、多分、種特有のおよびコロニー特有のものである。したがって、痕跡フェロモンは、求餌開始フェロモンとはかなり異なるであろう。痕跡フェロモンを摂取してしまうと、シロアリが食料源や巣の仲間の位置を見つけるのに必要とする印を取り除くこととなるため、昆虫は、痕跡フェロモンを食べることを非常にいやがる。したがって、痕跡フェロモンおよび類似体を毒物と一体とすることは、その場所にシロアリを連れてくるように首尾よく働くが、その場所での摂取を妨げてしまうであろう。ある害虫やあるコロニーにとって特別であると推測される別のフェロモンによって求餌活動が開始されるのであろう。したがって、シロアリを誘き寄せ、求餌活動を開始させるために広く用いるという所望の目的のために、機能を有する合成フェロモンを再生することはほぼ不可能である。
【0053】
この発明の「セルフリクルートメント」態様の利点は、捕獲した目的とする害虫を用いて、他の害虫を毒物へ勧誘し、求餌活動を開始させるための種特有のおよびコロニー特有のフェロモンを生成させることである。この方法は、他の既知の方法および毒物と比較して、毒物を非常に魅力的にする。この方法は、ひとつのコロニーからの多数の害虫を毒物へと集めるのに特に適している。このセルフリクルートメント態様によれば、監視工程で収集されたシロアリは、毒物含有マトリックスとともに毒物送出し装置に入れられ、巣に戻る前に毒物含有マトリックスを噛み破るかまたはこれを通過して移動する。この方法で、シロアリは、毒物を摂取しもしくはこれに接触し、毒物含有マトリックス中に、適切な通信信号を残し、その信号は、他の巣の仲間に毒物含有マトリックスの位置を示し、求餌活動を開始させる。
【0054】
セルフリクルートシステムの一態様において、監視装置内のシロアリは、毒物含有マトリックスの上部に位置する空のチャンバ(おとり用チャンバ)へ軽く叩き入れられる(第3図)。このチャンバは、たとえば、直径約3.0cm、高さ約2.0cmである。これより小さいかもしくは大きいチャンバでもよい。次に、開口端部は、好ましくは閉じられたまたはキャップがされる。おとり用チャンバ内のシロアリへ空気を与えるために小さな穴が設けられてもよい。そして、これらのシロアリは、毒物送出し装置およびステーションハウジングから出て行くために毒物含有マトリックスへ入らなければならない。おとり用チャンバからマトリックスへの穴が、このプロセスを助長するように設けられている。シロアリは、そのシロアリの坑道に戻る前に、毒物含有マトリックスを通過するトンネルを掘り、これにより、毒物含有マトリックス内に種特有のもしくはコロニー特有のフェロモンを残す。この出て行くプロセスは、マトリックス外へ導く穴により助長されてもよい。この配置によって、シロアリは毒物含有マトリックスを通過して移動するように強制され、毒物含有マトリックスへ巣の仲間を勧誘するように、マトリックスおよび/またはステーションハウジング内に好ましいフェロモンを残す。上述したように、このセルフリクルート手順は、同じコロニーからの他の仲間を勧誘するように、種特有のおよびコロニー特有のフェロモンを残すように、巣の仲間を有利に利用する。これは、特有性がないためにまたは求餌行動よりも追従行動を起こさせるものであるために成功に至らないような合成フェロモンの使用の場合よりも好ましい。捕獲されたシロアリによる毒物含有マトリックス内への特殊フェロモンの堆積は、毒物含有マトリックスへ他の巣の仲間を勧誘する手助けとなり、そこにおいてそれらは餌をあさり、毒物へさらされ、さらにフェロモンを堆積する。これにより循環性のあるセルフリクルートによるシロアリ防除方法が創り出される。
【0055】
C.装置 この発明の方法の各工程において、新規な装置が用いられる。上述したように、監視工程のための1つの方法は、ある領域に固有のシロアリを監視し、捕獲するために、土壌内(もしくは、ハウジング内)へ設置する新規で分離可能な物品を用いている。シロアリは、生かしたままで捕獲され、毒物送出し工程で使用される毒物送出し装置へ容易に移される。
【0056】
監視/捕獲工程で使用される監視装置は、いっしょに結合することのできる少なくとも2つの境界を構成する、分離可能な部分を含んでいてもよい。この2部分構造は、装置内のシロアリの収集を容易にする。たとえば、木製の支柱は、いっしょに結合されている2つ以上の境界構成部分を含んでいてよい。それらの部分を一緒に保持する結合は、柔軟な金属片、接着テープなどでもよい。第2図に示されているように、境界構成片は、ブラケットを形成する縦の支えにより相互に連結されている水平な帯からなるブラケット装置内に収納されていてもよい。また、このブラケット装置は、たとえシロアリによりひどく被害を受けた場合でも監視装置を土壌から容易に取り外せるように一端部にハンドルをさらに有する。
【0057】
あるいは、地上での監視のために、おが屑などの食料源を収納する装置もしくは改変した監視装置を、木や構造物の壁に(または中に)設置もしくは取り付けてもよい。地上の監視装置は、周期的監視、および、毒物送出し工程に使用するための害虫の捕獲に簡単に利用できる。監視および毒物送出し工程では、新規なハウジング装置が用いられる。この発明のこの新規のハウジング装置またはステーションハウジングは、監視装置および毒物含有マトリックスを保護し且つ収納し、好ましくは、ゆっくりと作用する毒物の致死量にシロアリがさらされる毒物含有マトリックスにシロアリが接触するのを助長するように設計されている。
【0058】
この発明の1つの態様では、監視工程で用いる監視装置を収納でき、次いで監視装置を取り除いたあとで、毒物含有マトリックスをも収納できるひとつのステーションハウジングを用いることができる。あるいは、ステーションハウジングは、監視装置と毒物送出し装置の両方を同時に収納するように設計されてもよい。監視装置の構成要素としておが屑もしくは他のセルロース含有材料を監視工程で用いる場合、おが屑は、ステーションハウジングへの取り付けおよびステーションハウジングからの取り外しの便宜のためにケース内にひとまとめにされる。好ましくは、監視混合物をひとまとめにするために用いられる材料も、シロアリが摂取可能なように、普通紙、ボール紙、厚紙などのセルロース含有材料であってよい。同様に、上述したように、毒物およびそのマトリックスも、包装が取扱者が毒物に触れるのを防ぐためのバリアとして機能するような、セルロース含有パッケージなどのケース内に収容されてもよい。
【0059】
このようにして、好ましい態様では、ステーションハウジングは、長期にわたる監視のために監視装置を格納し、また防除が必要な場合は毒物含有マトリックスを格納するように無期限に置かれるためのものである。したがって、この発明の目的のためには、ステーションハウジングは、変わりやすい環境(すなわち、湿気また逆に乾燥)の中で監視装置もしくは毒物含有マトリックス(または毒物送出し装置)を収納するに十分耐えられなければならず、また目的とする害虫がハウジングを通過できる方法もしくは材料で、すなわち予め形成した入り口点を設けるか、または昆虫が自身で穴を形成できる材料で構成されているべきである。ステーションハウジングは、変質しないもので、目的とする害虫にとって不快でないものでなければならない。好ましいステーションハウジングは、繰返しまたは継続して使用でき、環境に受け入れられ、且つ毒物と取扱者または環境との有効なバリアとなるものである。また、それは取り除かれ、別の場所で再利用できるものである。ステーションハウジングを構成する材料は、プラスチックなどのポリマー、アルミニウムやステンレス鋼などの非腐食金属、ろう、および非生物分解性のセルロース系材料を含むが、この限りではない。シロアリによる食害を受けないステーションハウジングが好ましい。ステーションハウジングは、たとえば、木の中や構造物上などの地上での使用に容易に適用できる。
【0060】
非剛性(non-rigid)の毒物含有マトリックスは、一般的に別の材料(ケース)内に収納され、餌管を取り扱う人が毒物含有マトリックスに直接触れるのを最小限にし、監視手順で集められたシロアリが他の巣の仲間を勧誘するため餌集坑道に戻れるように設計された餌管(ここでは、毒物送出し装置ともいう)を形成する。餌管は、有効量の毒物を収納するに十分な大きさで、且つ個人が容易に取り扱える寸法および形状でなければならない。餌管は、さらに、目的とする害虫が接触できる寸法および形状でなければならない。餌管の様々な形状は、円筒形、円盤形、矩形および円錐形を含むが、この限りでない。餌管は、直接土壌に設置されるように設計されるか、ステーションハウジングに適合する形状に設計される。
【0061】
好ましい態様では、ステーションハウジングは、監視装置を保護するだけではなく、いくつかの他の重要な機能を果たすカバーを有する。特に、カバーは、ステーションハウジングの周りの局部的な環境に適合するように設計される。たとえば、カバーは、ステーションハウジングの主たる区画部分の境界を超えて延在し、近くの地面が覆われるように設計される。これは周辺の土壌を日陰にし、これにより周辺の土壌を暖かい気候のときは涼しく湿った状態に保ち、そして寒めの気候のときは保温のために断熱をする効果を有する。これらの条件によって、餌を求めるシロアリがステーションハウジングおよび収納された材料と接触する機会を増すことがわかった。延在するカバーは、また、ステーションハウジングの位置を視覚で容易に見いだす助けをする。カバーは、土壌に固定され、ハウジング全体を安定させるとともに、土壌外へステーションハウジングを引き出して用いる内部装置の取り外しを容易にする。
【0062】
監視装置および毒物含有マトリックスの挿入および取り外しを容易にするために、カバーに閉成可能な開口(ここでは、蓋ともいう)が設けてもよい。好ましくは、蓋には、いたずら避け(tamper-resistant)もしくは子供避け機構が備え付けられてもよい。好ましい態様では、蓋は、単にそのような蓋を取り外す目的に特に適した道具を用いることで取り外すことができる。この道具は、次いで、ステーションハウジングの点検を促進するために用いられてもよい。ステーションハウジングは、一体構造もしくは複数部分構造であってよい。たとえば、カバーは、ステーションハウジングの残りの部分の上または上方に適合する別の部品として作られてもよい。あるいは、カバーは、ステーションハウジングの残りの部分に一体に成形され、もしくは取り付け(affixed)られていてもよい。同様に、蓋は、カバーおよびステーションハウジングの残りの部分に取り付けられていても、またそれらから着脱できてもよい。ステーションハウジングの一態様が第2図に示されている。
【0063】
カバーの一態様は、凸状頂部と凹状底部側とを有する円形もしくは円盤上の装置である。発泡スチロールなどの絶縁材料がカバーの材料と一体とされ、カバーの下に安定した温度や湿度をさらに保てるようになっていてもよい。カバーは、たとえば直径が4インチもしくはそれ以上である。カバーの底部側には、半径方向にリブが付けられるか溝が刻まれていてもよい。頂部側は、滑らかな平らな表面とするのがよい。上述したように、カバーの中心には、閉成可能な開口(蓋)があってもよい。その開口は、監視装置や毒物含有マトリックスまたは餌管が通過できるように十分な直径を有するのがよい。蓋は、また、点検用窓としても機能する。加えて、ほぼカバーの中央と外周との間に小さな穴を設け、釘もしくは同様の固定部材でカバーを土壌に固定することができる。
【0064】
ステーションハウジングは、さらに、ステーションハウジングから監視装置および毒物含有マトリックスの取り外しを容易にする引き出し装置(extractor)または同等の装置を含んでいてもよい。取り出し装置は、たとえば、ハンドル、ひも、コード、またはステーションハウジングから監視装置を直接引き出すことのできるその他の道具を含んでいてもよい。あるいは、この引き出し装置は、監視装置もしくは餌管が置かれる棚に接続されていてもよい。この引き出し装置は、ステーションハウジング外へ棚および監視装置または餌管を引き出す。この態様は、監視装置および毒物含有マトリックスのどちらをも取り出すことができるので特に有利である。この方法で、毒物含有マトリックスとの接触を最小限にすることができる。さらに、監視装置および毒物含有マトリックスのいずれに対しても、シロアリの活動は、これらの物の構造的一体性や剛性を実質的に減少させまたは消失させるので、この材料を引き出すための棚部を含む引き出し装置の助けなしではそれらの取り出しは困難なものとなる。引き出し装置の棚部の更なる利点は、ある期間中にステーションハウジング内に蓄積するゴミや石片の除去を容易にすることである。これは、砂の多い土壌では特に重要なことである。この引き出し装置は、ステーションハウジング内にあるときは一つの部分となり、ハウジングから取り出したときは容易に2つまたはそれ以上の部分に分かれるような、監視装置の部品を一緒に保持する機能を有していてもよい。
【0065】
本発明の好ましい態様において、監視行程で捕獲されたシロアリは、コロニーに戻るために出る前に毒物含有マトリックスを通過することを強いられる。この態様では、ハウジングまたは毒物送出し装置(餌管)、またはその両方が、シロアリが毒物含有マトリックスを通過するように特に適合されている。たとえば、毒物含有マトリックスのためのケースは、毒物含有マトリックスの端部から短い距離を越えて延在する剛性の上部を有する。この剛性の上部は、シロアリにより貫通されない(impenetrable)ものである。ケースの端部も、また、シロアリにより貫通されないものであり、ケースの剛性の上部は、この剛性の上部に接続しているマトリックスの端部とともに、おとり用チャンバを形成する。そして、このおとり用チャンバの最終端は、毒物含有マトリックスとなる。したがって、おとり用チャンバを出るためには、シロアリは、毒物含有マトリックスを通過するよう強いられる。多くの異なる種類のおとり用チャンバが、ここで述べられた教示を知る当業者にとって予想可能であり、容易に構成し、使用することができる。
次の例は、本発明を施行するための最良の態様を含む手順を示す。これらの実施例によって本発明は限定されない。注釈のあるもの以外は、すべての百分率は重量によるものであり、すべての溶液混合比率は容量によるものである。
【0066】
例1-シロアリ防除用の集中害虫管理システム
本発明の方法を地中のシロアリの防除に適用可能にする方法の一例は、以下のとおりである。
(a)ステーションハウジングおよび監視装置の配置:ステーションハウジングを配置するために、地面に適当な大きさの穴を設けることができる。この穴にステーションハウジングを配置する。監視装置をステーションハウジング内に配置する。ステーションハウジング上にカバーを置き、かつ地表面に固定してもよい。別の方法として、監視装置をステーションハウジング内に配置し、このステーションハウジングの開口部が地表面の近傍となるまで、ステーションハウジングを地面に挿入しまたは打ち込んでもよい。また、監視用部品またはステーションハウジングを地下または地表面の下に水平に配置してもよい。
【0067】
(b)監視装置の点検:シロアリ侵入の兆候について監視装置を目で調べることことにより、シロアリの侵入があるかどうか監視装置を定期的に点検することができる。監視装置の点検は、必要または希望に応じて毎週、2週間毎にまたは月毎に等により実施されてもよい。点検は、目により行うことができ、または自動監視装置を用いることもできる。例えば、シロアリは軟らかい金属を噛み砕くことが知られている。従って、薄い金属のストリップを監視装置に組み込み、電子装置に接続してもよい。シロアリが薄い金属を噛み破ると、回路が切断され、従ってシロアリの存在が明らかになる。第4図を参照のこと。また、監視装置は、シロアリが監視装置を食う際にシロアリが発生する音を検出するように設計することもできる。
【0068】
(c)シロアリの存在の検出:監視装置内のシロアリの存在が検出されたときは、監視装置をステーションハウジング(または土壌)から取り出し、毒物送出し装置(餌管)内の毒物含有マトリックスで置き換える。監視装置に捕獲されたシロアリを引き出して毒物送出し装置の上部チャンバへ軽く叩き込むことができる。この上部チャンバはおとり用チャンバである。次いで、シロアリは、抜け出すためには、毒物含有マトリックスを通り抜けて移動し、出口点に到達しなければならない。シロアリが監視手順により検出されない限り(またはそれ以外の方法で存在が確認されない限り)毒物は必要でなく、従って必要でもない毒物の使用をなくす。シロアリを検出したときは、毒物送出し装置内でシロアリの活動を検出しなくなるまで、毒物含有マトリックスを利用する。この時に、監視装置を再び使用することができる。本発明の他の態様では、監視装置の毒物送出し装置による置き換えを行うのに加えて、所定位置に設置されたままの監視装置と、毒物の送出しが必要になれば、監視装置に付加されてまたはその周辺に備え付けることができる毒物送出し装置とを含む。
【0069】
例2-毒物含有マトリックスの調製
毒物含有マトリックスは、好ましくは粉末または小さな粒子の形状の、セルロースと、毒物の活性成分とを含む。粉末状のセルロースは、セルロースと毒物とのより均質な混合を可能にさせ、かつ収納および取り扱いを容易にする。含水率を保持するために毒物含有マトリックスに保湿剤成分を加えてもよい。本発明の一態様では、約1%〜5%のメトセル(Methocel:商品名)溶液を効果的に用いることもできる。メトセルは、微生物を成長させない非栄養の保湿剤なので、特に優れている。約1〜2%の溶液が好ましい。異なる種のシロアリの好みに従って含水率を変更することもできる。本発明の好ましい態様では、セルロース成分としておが屑を含む毒物含有マトリックスと、重量で約50%〜90%の含水率を得るように十分な水分とを用いる。約60〜80%の含水率が好ましい。水分は変更されてもよいが、このマトリックスの乾燥成分の全体を湿らせるのに十分なものでなければならない。最終的なマトリックスの好ましいコンシステンシーは、半固形ペーストのものであり、これによっておが屑または木粉を一緒に圧縮し、成形もしくは付形することができる。約80%の水分を含むおが屑は、自生地下シロアリ(異形シロアリ種:Reticulitermes)および台湾地下シロアリ、C.フォルモサナス(C.formosanus)の求餌を刺激することが判った。
【0070】
更に、調査により、ある種のシロアリは、たとえば、オーク、ぶな、かばまたはかえでのような堅木種のおが屑を好むことが示された。従来、シロアリは食するのが容易な軟木を好むと広く考えられていたので、このことは驚くべきことであった。しかし、実際は、ある場合においては軟木を用いるのがよいであろう。ここで用いるように、「おが屑」というときは、木粉として知られているようにかなり細かくてもよく、かつ木材を鋸で切ることによりおよび適当な処理により、木材から製作可能な微小な木材粒子を意味する。更に、材木の種類の適当な選択により、更に最大粒子寸法を適当に選択することにより、好ましい餌から毒物含有マトリックスを作成することができる。撲滅すべきシロアリの正確な種によって、最適木粉および最適粒子寸法が決定する。
【0071】
毒物送出し工程で用いる毒物含有マトリックスの調製の手順は、以下のように行われる。
1.堅木のおが屑又は木粉を、約80%(w/w)の水の割合で、水と混合する。あるいは、水成分は1〜2%メトセル溶液でもよい。
2.毒物はおが屑/水マトリックスに十分に混合されて均質な最終濃度となる。ヘキサフルムロン(hexaflumuron)を用いるときは、この濃度は約5000ppmであってよい。
3.毒物含有マトリックスを追加の水またはおが屑により調整して、ステーションハウジング内に、または好ましくは餌管を形成するケース内に収納することができる、半固形に形成可能なコンシステンシーを得る。
4.防水および気密パッケージに毒物含有マトリックスを収納して適当な含水率を保持するようにしてもよい。
【0072】
例3.ステーションハウジングの構築
本発明の一態様において、ステーションハウジングは一端で尖り、かつ他端で閉成可能に開いている剛体の管を備えることができる。この管は、好ましくは、シロアリにとって魅力がなく、またシロアリにより食摂されない、非生物分解性の、かつ耐久性の材料からなる。ステーションハウジングは、水分に晒され、特にある期間地中に埋め込まれているときに、腐敗または腐食に耐える材料からなるのがよい。ステーションハウジングの感触は粗硬であってもよい。ステーションハウジングは、典型的には、監視装置または内部の毒物含有マトリックスにシロアリが接近できるようにする複数の入口点を備えることになる。これらの入口点は、ステーションハウジングの耐久性または構造的な一体性を危うくするほど、またはステーションハウジングの内部チャンバにゴミや石片が容易に入り込めるほど大きくまたは多数であってはならない。しかし、入口点はシロアリが内部の物質に容易に接近できるのに十分なものでなければならない。一態様では、ステーションハウジング側の多数の入口点は、曲げられて毒物送出し管の内壁に取り付けられていてもよい内管に通じていてもよい。この態様では、土壌からステーションハウジングに進入するシロアリは、横向に毒物中へ導かれる。曲げられた内管は土壌内のシロアリのための入口点となる。これらの内管は横向に曲げられているので、外側から毒物含有マトリックスに直接接近することはできない。一態様において、入口点はシロアリの頭部より大きい直径を有するが、その頭部および触角を合わせた幅よりは狭い。これらの穴は、たとえば、約0.25cmの内径を有していてもよい。
【0073】
毒物送出し装置(餌管)をステーションハウジングへ閉成可能な開放端より低い高さで取り付けてもよい。この高さは、例えば開放端より約2.0cm低くてもよい。一つのチャンバを形成するプラスチック製インサートを餌管内に配置してもよい。このインサートはおとり用チャンバを形成することができる。このおとり用チャンバは、シロアリが餌管に入り込むことによりおとり用チャンバを抜け出せるように、餌管に接した開放端に複数の穴を備えていてもよい。更に、このおとり用チャンバは空気流を促すように微小な複数の穴を備えることもできる。たとえば、約0.25cmの内径を有する6つの穴を設けてもよい。インサートの穴から伸びる垂直方向の管を毒物含有マトリックスに刺し込んでもよい。更に、この構成は、餌ステーションの外部開口部からは毒物含有マトリックスに接近することができないので、ステーションハウジングのいたずら防止に役立つ。プラスチック製インサートは餌管に対向するおとり用チャンバの終端で取り外し可能なキャップを備えてもよい。この取り外し可能なキャップは、スナップ・オン取り付け具により係合されるか、またはねじにより係合されてもよい。このキャップは、好ましくは、子供安全措置が施される。従って、閉じられたチャンバは、セルフリクルートメントに用いられるシロアリを配置する場所となる。
【0074】
例4-地下のシロアリの生息数を抑制する水平ステーションハウジング
岩石質の土壌を有するいくつかの場所では、垂直なステーションハウジングの配置が困難となる。更に、あるシロアリ種は地表面近くで求餌行動する傾向があって、垂直型のように深くステーションを配置する必要性がない。従って、本発明の一態様には地表面近くに配置できる水平ステーションハウジングを用いることが含まれる。
【0075】
ステーションハウジング:ステーションハウジングは切り取られた底を有するコンテナから構成されてもよい。1例として、このコンテナは約21.5×16×5.5cmであってよい。コンテナの4つの垂直壁を介して多数の穴を開けることができる。これらの穴は、たとえば、内径が約3mm、外径が約0.6mmであってもよい。この穴の構成はステーションハウジングに土が入り込むのを防ぐ。内外の壁はシロアリが這うのに適した表面を得るように砂が掛けられてもよい。たとえば、監視装置は、ハンドルに取り付けられた支持ストリップと一緒に固定された3つの木片から作られていてもよい。監視装置は、コンテナ内に配置されてもよく、またシロアリに対する妨げを最小となるように取り付けたハンドルを用いて、取り外し可能にされてもよい(第6図)。
【0076】
毒物送出:ステーションハウジング内に適合するコンテナを毒物送出し装置として用いることができる。このコンテナは、たとえば、約19.3×13.5×4.5cmであってもよい。シロアリの進入のために、取り外し可能なカバーを除くコンテナの全ての面に多数の穴を開けることができる。これらの穴は、外径が、たとえば、0.24cmであってもよい。これらの穴は毒物含有マトリックスでじゃまされるのを防止するために、約90°に曲げられた内管により、毒物送出し装置内に伸びていてもよい。毒物送出し装置の内壁および外壁には砂が付けられてもよい。毒物送出し装置は、たとえば、コンテナの一番上から約1cmにまで毒物含有マトリックスにより満たされ、かつ蓋により覆われてもよい。
【0077】
処理手順:監視装置として複数の木片を含むステーションハウジングは、地下に配置されて、薄い土の層により覆われてもよい(第7a図、第7b図)。この薄い土の層は、たとえば、約1cmであってもよい。次いで、監視装置はシロアリの活動が定期的にチェックされる。シロアリが侵入した監視装置は静かに持ち上げられ、毒物含有マトリックスを含む毒物送出し装置で置き換えられる(第7c図)。ボードから取り出されたシロアリは、毒物送出し装置の深さ1cmの上部チャンバへ軽く叩き込まれ(第9d図)、毒物含有マトリックス内にコロニー認識の信号物質を残し、毒物送出し装置へ巣の仲間を「セルフリクルート」する。
【0078】
例5
本発明のプロセス、材料および装置を、耕作地、森林、ゴルフコース、および他の構築物ではない目標を攻撃するシロアリの防除に用いるために容易に適合させることができる。これらの一般的な材料および方法を用い、当業者にとって容易に明らかな微小の改変により、最適な結果を得ることができる。
【0079】
例6-地上監視および毒物送出
構造物を取り囲む土壌をセメント、アスファルト、または同様の他の物質によりしばしば舗装する市街地域において、地下または地上に監視装置および/または毒物送出し装置を配置することは、実際的ではない。しかし、これらの市街地域においてシロアリの侵入は問題が少なくはない。従って、本発明に関する他の応用および設計においては、地上装置で使用可能とされる監視ステーションおよび/または毒物送出しステーションを含む。更に、このような装置は、地上での侵入が観察される場合に有用でもある。
【0080】
地上の設計を第5図に示す。地上装置は構造物の壁の中または壁上に配置または搭載されたステーションハウジングを備えることができる。ステーションハウジングは、壁および木造の扉フレーム、モールド等に対して同時にぴったり適合するように設計されたフレームを備えることができる。一態様において、ステーションハウジングは、前述のようにほぼ毒物含有マトリックスを取り囲むことができ、この毒物含有マトリックスは、前記地上装置のハウジングに用いるのに便利なように、種々の形状および大きさ、たとえば、長方形の箱形に包装されてもよい。地上ステーションハウジングは、壁に面するかまたは取り付けられる側が実質的に開放されてもよい。外側を向くステーションハウジングの側は、閉成可能に開放され、ヒンジ付きの蓋、または独立した蓋が開口部上に配置されてもよい。この蓋はステーションハウジングに遭遇した者が毒物にさらされるのを防ぐのに役立つ。この蓋は子供等が不注意に触れるのを防止するロック手段を備えてもよい。更に、このカバーは毒物含有マトリックスからの水分損失を防止するのに利用することもできる。更に、水分損失は毒物の包装により防止することもでき、シロアリが食用可能なケース内に毒物含有マトリックスを収納するのが好ましい。このようなケースは前述した如きボール紙、板紙、普通紙等であってもよい。毒物含有マトリックスを包装するのに好ましい材料は、その水分保持特性のために、ワックス紙である。
【0081】
ステーションハウジングを壁、フェンス、切り株、木の幹、または他の構造部材に取り付けた後、構造部材を介してシロアリの通路へ穴を開けることにより、シロアリの通路との接触を容易にすることができる。最初は、ステーションハウジング内にセルロース監視装置を配置してもよい。シロアリが検出されれば、監視装置を毒物含有マトリックスで置き換え、おとりに用いるシロアリを集めることができる。シロアリの活動が既知の場合は、監視装置を配置することなく、ステーションハウジング内に毒物送出し装置を配置してもよい。
【0082】
一態様では、セメントまたはアスファルトがステーションハウジングとして効果的に機能し得る。たとえば、下の土壌に接近させるために、構造物の内側または外側のセメントに穴を開けてもよい。次いで、監視装置が土壌と接触されるように、監視装置を開けた穴内に配置してもよい。次に、装置は監視され、シロアリの活動が観察されれば、この装置を、好ましくはケース内で、毒物含有マトリックスで置き換えられてもよい。この場合に、勿論、セメントに開けた穴内にステーションハウジングを挿入することにより、ステーションハウジングを用いることもできる。セメント穴をステーションハウジングとして用いるときは、ゴムのストッパまたは同等の装置をトップ、またはカバー/蓋として用いてもよい。
地上の監視機構および毒物送出し機構は、樹木における使用に広く適合させることができる。
【0083】
例7
シロアリのコロニーと、監視物もしくは毒餌を食べているシロアリの求餌行動の範囲との識別を容易にするように、毒物含有マトリックスに染料を含有させてもよい。適当な染料には、限定されるものではないが、ナイルブルーAおよびスーダンレッド7Bが含まれる。実験室での研究によると、シロアリは0.01〜0.05%のナイルブルーAを含む餌マトリックスを摂取し、染色した材料を摂取した後は可視的に着色された。
【0084】
例8-ヘキサフルムロンを含むマトリックスを用いた実地試験
1.手順:フォモサン・サブテラネアンシロアリ(C.フォモサナス:C.formosanus)、および東サブテラネアンシロアリ(Rフラビペス:R.flavipes)の現地のコロニーを試験用に選択した。シロアリの活動は、ヘキサフルムロン処理されたマトリックスを導入する前に、1〜2年観測された。プラスチック製コンテナにより囲まれた、予め重量測定された木材ブロックを含む監視ステーションが土壌表面の下に埋められた。試験中の地下シロアリのコロニーの活動をみるために、ブロックの木材重量損失を月毎又は2ケ月毎に判定した。多重マークによる再捕獲プログラムを実行して、各試験コロニーの餌集行動生息数の大きさおよび餌集行動テリトリーを予測した。マークによる再捕獲プログラムは、ナイルブルーAのような染料マーカーを用いて既知数のシロアリをマークし、次いでコロニーに戻すために解放する手順を指す。1週間後に、同一のコロニーからシロアリを再捕獲し、かつマークされたシロアリとマークされていないシロアリとの比を記録する。最初にマークしたシロアリはコロニー中に均等に分布していると仮定して、最初にマークしたシロアリ数、およびマークしたシロアリとマークしていないシロアリとの比を用いて総生息数を計算する(ベゴン(Begon,M)[1979]動物存在数の調査:生物学者のための捕獲-再捕獲(Investigating animal abundance:capture-recaputure for biologics)、パーク大学出版(University Park Press)、ボルチモア、MD)。シロアリの活動は、毒物送出しプログラムの全般で監視された。可能な場合には、コロニーの毒物送出し後の生息数を予測するために、他のマークによる再捕獲プログラムを行なった。
【0085】
2.毒物含有マトリックス:ヘキサフルムロンのアセトン溶液を松およびとうひのおが屑に浸み込ませ、アセトンの蒸発で500〜5000ppmの濃度(乾燥重量AI/乾燥重量おが屑)を得た。毒物含有マトリックスを20%の処理おが屑および80%の寒天またはメトセル溶液(2%)から作成した。ステーションハウジングを約80gの毒物含有マトリックスにより満たしたプラスチック管(内径2.9cm、高さ16.5cm、一端閉鎖、他端開放)から作成した。これは、プラスチック管の開放端に高さが約5cmの開放空間を残している。6層の9つの穴(0.238mm直径)をプラスチック管の側部に予め開けた。
3.監視:木杭(3.4cm×3.4cm×30cm)を土中に20〜25cm打ち込んだ。シロアリが侵入したら、木杭を土壌から静かに引き抜き、深さ約3.4cm×3.4cmで、深さ20〜25cmの穴を残した。この穴にステーションハウジングを挿入した。シロアリを侵入した木杭から取り出し、毒餌ステーションの開放端の開放空間(高さ5cm×直径2.9cm)内に配置した。取り出されたシロアリを毒物含有マトリックスを通過するトンネルを掘らせてコロニーに戻し、巣の仲間をステーションハウジングに勧誘させた。毒物摂取を高める際のセルフリクルート手順の効率を比較するために、このセルフリクルート手順をいくつかのステーションハウジングでは省略した。ステーションハウジングを月毎に点検した。セルフリクルート手順を行ったステーションとそうでないステーションとの間のマトリックス消費における有意差を測定するために、完全に無作為の計画(P<0.05)を用いて、各ステーションからのシロアリが消費したマトリックスの量を変動の解析対象とした。
【0086】
結果
実験1:このR.フラビペス(R.flavipes)コロニーの餌集生息数は、9月で476,000匹と予測された。近傍の建物の扉および扉のフレームにこのコロニーによる侵入が発見された。3つの監視装置における木材重量損失は夏の間に約2g/ステーション/日であった。冬季において、約0.5g/ステーション/日まで活動は鈍った。3本の餌管を2月に導入した。4月までに、どのステーションハウジングにもシロアリの活動は発見されなくなった。このシロアリにより総計26gの毒物含有マトリックスが消費された。消費された活性成分(AI)の量は3.87mgであった。4月以降シロアリの活動が停止したことから、2ケ月以内に3.87mgのヘキサフルムロンの消費により、400,000匹以上のシロアリのコロニー全てが除去されたと結論づけられる。
実験2:このR.フラビペスのコロニーの餌集生息数は、9月で730,000匹と推定された。このコロニーは非居住地域に位置していた。シロアリの侵入は松およびオークの樹木および倒木に発見された。9月から次の春までの6つの監視装置における木材重量損失は、約2g/ステーション/日であった。4月から開始して、11のステーションハウジングを用いて毒物含有マトリックスを送出した。6月に、シロアリは1.8g/ステーション/日の活動レベルを維持した。しかし、7月までに、活動は0g/ステーション/日に低下した。3ケ月間(4月〜6月)の求餌期間、総計122gの毒物含有マトリックスおよび20mgのAIが消費された。6月以降、この個所でのシロアリの活動は記録されなかった。20mgのヘキサフルムロンの消費により730,000匹のシロアリが除去されたと結論付けられる。
【0087】
実験3:このR.フラビペスのコロニーの構造物への侵入は2階建建物(約1,500m2)に少なくとも3年間続いた。住人は連続する5年間に構造物からの毎年春の群がりを報告した。土のシロアリ処理は1986年の建立以来毎年、害虫駆除企業により実施された。土壌のシロアリ処理にも拘わらず、このR.フラビペスの餌集生息数は、5月で2,847,000匹と推定された。餌集行動するテリトリーは、約1,782m2であった。監視装置を有する13ステーションハウジングでの平均木材重量損失は、2〜4g/ステーション/日に達した。8月に27ステーションに毒物送出し装置を導入した後、9月における活動は0.1g/ステーション/日に低下した。しかし、10月および11月にはシロアリはステーションに生き残っていた。12月までに、シロアリの活動はいずれのステーションからも検出されなくなった。4ケ月の毒物送出し期間(8月〜12月)において、このR.フラビペスのコロニーにより総計2,997gの毒物含有マトリックスおよび1,539mgのAIが消費された。建物の住人は、シロアリが群がるのを見ないのは最近5年間で初めてであると報告していた。次の年には土のシロアリ処理を実施しなかった。次の年の3月に、シロアリは監視装置のうちの一つで収集された。この収集では染色したシロアリは発見されなかったので、我々は近傍のコロニーが餌付けされたコロニーのテリトリーへ移動したものと推測した。3月〜4月に実行したマーク再捕獲プログラムはこの新しいコロニーに群生する260,000匹のシロアリを推定した。これは元のコロニーの残りであると仮定すると、8月〜12月に実施した毒物送出しプログラムは2,500,000匹以上のシロアリを除去したことになる。
【0088】
実験4:このC.フォモサナスの餌集活動は11階の高さで監視された。このC.フォモサナスのコロニーによる構造物への侵入を防止するために、何回もの土壌シロアリ処理を実施した。餌集する生息数は9月に1,047,000匹と推定された。餌集行動のテリトリーは1,614mに及んだ。平均木材重量損失は2〜4g/ステーション/日であった。餌集行動は、典型的には、冬に低下し、夏の月にしばしばピークに達した(5〜10g/ステーション/日)。5個の毒物送出し装置を4月に導入した。餌集行動は2g/ステーション/日以下に低下し、残りは10月まで前記低レベルに留まった。11月までに、ステーションにはシロアリが発見されなくなったが、僅かな餌集活動が2月まで少数のステーションで観測された。毒物送出しプログラムにおいて(4〜2月)、847gの毒物含有マトリックスおよび233mgのAIがこのC.フォモサナスのコロニーにより消費された。我々は10ケ月の期間にわたり233mgのヘキサフルムロンを消費した後、100万匹のシロアリのコロニーが除去されたと結論付けた。
【0089】
実験5:土のシロアリ処理と、高層建築でこのC.フォモサナスによる構造物への侵入を発見した後の薫蒸消毒とにも拘わらず、餌集行動が強く残っていた(平均木材重量損失:6〜10g/ステーション/日)。このコロニーの活動は冬の月でも低下することはなかった。餌集生息数は3月で2,431,000匹と推定された。5月に導入されたステーションの毒物含有マトリックスの90%以上が1月以内で消費された。5〜6月における餌集活動はやや低下した(5g/ステーション/日)。続いて、7〜10月には、平均木材重量損失が更に0近くに減少した。11月以後、どのステーションにもシロアリの活動が記録されなかった。6ケ月の毒物送出し期間(5〜11月)に、毒物送出し装置を有する総計89個のステーションハウジングを用いた。我々は742mgのヘキサフルムロンを消費して240万匹のシロアリのコロニーを除去したと結論付けた。
実験6:高層建築のユーティリティールームに、このC.フォモサナスのコロニーによる侵入を発見した。この建物の前庭に沿って餌集活動を検出した。餌集行動のテリトリーは一端から他端まで185mに達した。このC.フォモサナスは10個のステーションにより約5〜10g/ステーション/日の速度で木材を消費した。餌集する生息数は4月に1,225,000匹と推定された。6月に毒物送出し装置を導入した後に、餌集活動は10月に着実に0近くに減少した。10月後には、1つのステーションでわずかなシロアリの活動(<1g/ステーション/日)が残った。このステーションから収集したシロアリを利用して、我々は3月にマーク再捕獲プログラムを実行し、残りのコロニーに104,000匹のシロアリを推定した。5ケ月の毒物送出し期間(6〜12月)で総計42ステーションが使用され、1,182gの毒物含有マトリックスおよび259gのAIを消費した。我々は、259mgのヘキサフルムロンがこのコロニーの生息数を4月における120万匹のシロアリから次の3月の104,000匹に減少させたと結論付けた。
【0090】
例9-毒餌消費に対するセルフリクルート手順の効果
侵入のあった装置を引き出した穴に単に配置したステーション(「非セルフリクルート」餌付けステーション)よりも、監視装置(「セルフリクルート」餌付けステーションと呼ぶ)から収集したシロアリを受け入れたステーションハウジングから有意に多量の(P<0.05)毒物含有マトリックスが消費された。一つの実験では、セルフリクルート餌付けステーションからC.フォモサナスにより消費された毒物含有マトリックスの平均重量は、35.8g/ステーションであったが、非セルフリクルート餌付けステーションのものは、6.5g/ステーションであった。R.フラビペスにより、消費された毒物含有マトリックスの平均重量は、セルフリクルート餌付けステーションおよび非セルフリクルート餌付けステーションについてそれぞれ39.2および17.2g/ステーションであった。
【0091】
ステーションハウジングから毒物含有マトリックスの1%以上が消費された場合には、そのステーションはシロアリにより攻撃されたと考えた。この基準を用いて、83%のセルフリクルート餌付けステーションがC.フォモサナスにより攻撃されたが、非セルフリクルート餌付けステーションは59.3%のみが攻撃された。R.フラビペスにおいては、セルフリクルート餌付けステーション用の攻撃率は94.7%であったが、非セルフリクルート餌付けステーションにおいては75%であった。
【0092】
ここで説明した例および態様は、単に説明を目的とするだけである。またこれを参照した種々の改変または変更が当該技術分野に習熟する者に示唆され、また本出願の精神および領域に含まれるものでありかつ付記する請求の範囲内に含まれるべきことを、理解すべきである。
 
訂正の要旨 1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項3の記載
「地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴を規定し、この穴にシロアリを到達させるケースを配置する工程、および
b)地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなり、シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程、
を含む方法。」とあるを、
『地下シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
a)地中の穴を規定し、この穴にシロアリを到達させるケースを配置する工程、および
b)シロアリの出入り口点を規定する複数の開口を有し、シロアリ毒物材料を取り囲む1つ以上の側壁を含む毒物送出しハウジングを、前記1つ以上の側壁内の前記複数の開口がシロアリを前記取り囲まれたシロアリ毒物材料に到達せしめるように、前記ケース内に設置する工程であって、これらの毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなるものである、工程、
を含む方法。』と訂正する。
2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項7の記載
「地下シロアリを抑制するための毒物送出し装置であって、この装置はケースおよび毒物送出しハウジングを含み、前記ケースは地中の穴を規定することのできる内部を有し、かつ、この内部にシロアリを到達させ、前記毒物送出しハウジングは前記ケース内に位置し、かつ、1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる、毒物送出し装置。」とあるを、
『地下シロアリを抑制するための毒物送出し装置であって、この装置はケースおよび毒物送出しハウジングを含み、前記ケースは地中の穴を規定することのできる内部を有し、かつ、この内部にシロアリを到達させ、前記毒物送出しハウジングは前記ケース内に位置し、かつ、1つ以上の側壁を含み、この1つ以上の側壁はシロアリの出入り口点を規定する複数の開口を含み、かつ、シロアリ毒物材料を取り囲んでおり、さらに前記毒物送出しハウジングおよびケースは地中の穴内に設置されたときに腐敗または腐食に耐え、かつ、シロアリの食害を受けない材料からなる、毒物送出し装置。』と訂正する。
3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項11の記載
「シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、
を含む、シロアリの抑制方法。」とあるを、
『シロアリを抑制するための方法であって、下記の工程:
地上の標的領域の地表面上に、この地表面を実質的に取り囲んでおり、かつ、この地表面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に毒性のシロアリ餌材料を、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリが毒性のシロアリ餌材料に到達し、かつ、毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように配置する工程、
を含む、シロアリの抑制方法。』と訂正する。
4)訂正事項d
特許請求の範囲の請求項13の記載
「シロアリを抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよび毒性のシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成され、かつ、前記地表面に通じる開口を有し、前記毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように前記送出しハウジング内に配置される、送出し装置。」とあるを、
『シロアリを抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよび毒性のシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングは地上の標的領域の地表面を実質的に取り囲み、前記標的領域内の生きたシロアリを捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容し、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように構成され、かつ、前記地表面に通じる開口を有し、前記毒性のシロアリ餌材料が前記送出しハウジングおよび前記地表面によって取り囲まれるように前記送出しハウジング内に配置される、送出し装置。』と訂正する。
5)訂正事項e
特許請求の範囲の請求項15の記載
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びている、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」とあるを、
『シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケースに熱的遮蔽を与えるために、ケースの周囲を超えて延びており、このケース周辺の地面を覆うように、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有するカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。』と訂正する。
6)訂正事項f
特許請求の範囲の請求項18の記載
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、ケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置。」とあるを、
『シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーはケース上に位置し、ケースに熱的遮蔽を与えるためにケースの周囲を超えて延びており、かつ、このケース周辺の地面を覆うようにケースの直径よりも実質的に大きい直径を有する、送出し装置。』と訂正する。
7)訂正事項g
特許請求の範囲の請求項21の記載
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
シロアリの活動が予測または検出される標的領域の近くの地面上にこの地面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリがシロアリ餌材料に到達するように、シロアリ餌材料を入れる工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」とあるを、
『シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
シロアリの活動が予測または検出される標的領域の近くの地面上にこの地面に通じる開口を有する送出しハウジングを設置する工程、
前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリを、おとりに用いるために、シロアリ毒物材料をくぐり抜けるように、前記送出しハウジング内に入れる工程、および
前記送出しハウジング内に、前記標的領域に存在している可能性のあるシロアリがシロアリ餌材料に到達するように、シロアリ餌材料を入れる工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。』と訂正する。
8)訂正事項h
特許請求の範囲の請求項22の記載
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよびシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成されており、かつ、前記地面に通じる開口を有し、前記シロアリ餌材料は前記送出しハウジング内に、標的領域に存在している可能性のあるシロアリがこのシロアリ餌材料に到達するように配置されている、送出し装置。」とあるを、
『シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置は送出しハウジングおよびシロアリ餌材料を含み、前記送出しハウジングはシロアリの活動が予測または検出される標的領域付近の地面上に設置され、前記標的領域内の生きたシロアリを監視し、捕捉し、捕捉された生きたシロアリをおとりに用いるために収容するように構成されており、かつ、前記地面に通じる開口を有し、前記シロアリ餌材料は前記送出しハウジング内に、標的領域に存在している可能性のあるシロアリがこのシロアリ餌材料に到達し、しろあり毒物材料をくぐり抜けるように配置されている、送出し装置。』と訂正する。
9)訂正事項i
特許請求の範囲の請求項25の記載
「シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。」とあるを、
『シロアリを検出し、抑制するための方法であって、下記の工程:
a)標的領域を規定し、この領域にシロアリを到達させるケースを配置する工程、
b)ケース内に非毒性または毒性のシロアリ餌材料を入れる工程、および
c)ケース上にこのケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをする断熱性材料を含むカバーを、このケース周辺の地面を覆うように、配置する工程、
を含む、シロアリの検出抑制方法。』と訂正する。
10)訂正事項j
特許請求の範囲の請求項26の記載
「シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に配置されている、シロアリの検出抑制装置。」とあるを、
『シロアリを検出し、抑制するための送出し装置であって、この送出し装置はケースおよびカバーを含み、前記ケースはシロアリの活動が予測または検出される標的領域を規定することのできる内部を有し、シロアリをこの内部に到達させ、かつ、非毒性または毒性のシロアリ餌材料を収容するように構成されており、前記カバーは断熱性材料を含み、前記ケース内に安定な温度および湿度条件を維持する助けをするように前記ケース上に、このケース周辺の地面を覆うように、配置されている、シロアリの検出抑制装置。』と訂正する。
異議決定日 2003-02-07 
出願番号 特願平6-500744
審決分類 P 1 652・ 113- YA (A01M)
P 1 652・ 534- YA (A01M)
P 1 652・ 121- YA (A01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 建男  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 白樫 泰子
鈴木 寛治
登録日 2000-01-21 
登録番号 特許第3024651号(P3024651)
権利者 ドゥエランコ ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイティド
発明の名称 害虫管理の新規な方法および材料  
代理人 吉田 維夫  
代理人 吉田 維夫  
代理人 石田 敬  
代理人 西山 雅也  
代理人 戸田 利雄  
代理人 石田 敬  
代理人 西山 雅也  
代理人 戸田 利雄  
代理人 石田 敬  
代理人 吉田 維夫  
代理人 戸田 利雄  
代理人 西山 雅也  

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