• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G03G
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03G
審判 一部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G03G
管理番号 1077815
異議申立番号 異議2002-71291  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-20 
確定日 2003-03-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3230046号「静電荷像現像用トナー」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3230046号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3230046号の請求項1〜12に係る発明についての出願は、平成7年8月25日に特許出願され、平成13年9月14日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人 日本ゼオン株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年11月26日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否

(1) 訂正の内容
a.訂正事項a
特許請求の範囲の
「【請求項1】 少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、<1>該静電荷像現像用トナーの粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+18
3.5≦X≦6.5
を満たし、<2>該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルでpHが4.5〜8.5であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。」との記載(なお、印字の関係上○囲み数字の代わりに< >で数字を囲んで表している。以下同様。)を、
「【請求項1】 少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像
用トナーにおいて、<1>2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+18
3.5≦X≦6.5
を満たし、<2>該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。」に訂正する。
b.訂正事項b
明細書の段落【0014】の
「すなわち、本発明は、少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、<1>該静電荷像現像用トナーの粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+18
3.5≦X≦6.5
を満たし、<2>該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルでpHが4.5〜8.5であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。」との記載を、
「すなわち、本発明は、少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、<1>2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+18
3.5≦X≦6.5
を満たし、<2>該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。」に訂正する。
(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、<1>においては、粒度分布の対象となるトナーは2μm以上の粒径を有するトナーであることを、段落【0018】の記載に基づいて明確にしたものであるから、不明瞭な記載の釈明を目的とした訂正に該当し、また、<2>においては、無機微粉体のpHの範囲を段落【0017】の記載に基づいて限定し、無機微粉体を実施例等の記載に基づいてシリカに限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。また、上記訂正事項bは、特許請求の範囲の上記訂正事項aにともなって発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、不明瞭な記載の釈明を目的とした訂正に該当する。そして、これらの訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断

(1) 申立てについての概要
申立人は、下記の甲第1〜9号証を示し、請求項1,2に係る発明は、甲第1〜3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1,2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。
甲第1号証:特開平5-188643号公報
甲第2号証:特開平6-75430号公報
甲第3号証:特開平4-162048号公報
甲第4号証:井伊谷鋼一編集「粉体工学ハンドブック」朝倉書店、昭和4 0年3月5日初版発行、第3〜11頁
甲第5号証:粉体工学会編「粉体工学便覧」日刊工業新聞社、昭和63年 12月15日初版2刷発行、第4〜39頁
甲第6号証:特許第3176282号公報
甲第7号証:「AEROSIL」日本アエロジル社発行、1995年2月 改訂版(8)発行
甲第8号証:「Technical Information」、日本ア エロジル社発行、2000年3月発行、第1〜18頁
甲第9号証:「実験成績証明書」;日本ゼオン株式会社総合開発センター 、機能材料研究第一グループ主席研究員 幕田善弘 作成になる2002年 5月9日付け実験成績証明書
また、申立人は、本件特許明細書の記載に不備があるから、本件の各請求項に係る特許は、その明細書が特許法第36条に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、取り消されるべき旨主張している。
なお、当審が通知した取消理由では、上記理由の外に、刊行物10:特開平7-146589号公報を示し、本件の請求項1,2に係る発明は、刊行物1及び刊行物10に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当することも指摘した。

(2) 請求項1〜12に係る発明
本件特許3230046号の請求項1〜12に係る発明(以下、「本件発明1〜12」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜12に記載された事項により特定されるとおりのものである(請求項1については、上記、2.(1) 訂正の内容 参照。)。

(3) 29条1項3号について
当審が通知した取消理由に引用された刊行物1(甲第1号証)には、他の文献の記載も参酌すると、本件発明1の<1>の条件を満足するトナーが記載されていると考えられるが、無機微粉体としては、シリカ(R972:日本アエロジル社)のみが記載されている。そして、シリカR972は異議申立人の提出した「実験証明書」によれば、嵩密度は80g/リットル前後であるが、pHが4.5であり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であるとはいえない。したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明ではない。
また、当審が通知した取消理由に引用された刊行物10には、他の文献の記載も参酌すると、本件発明1の<1>の条件を満足するトナーが記載されていると考えられるが、無機微粉体としては、疎水性シリカ微粉体(日本アエロジル社製R-972)及びカップリング剤で処理されている酸化チタン微粉体、具体的にはn-C4H9-Si-(OCH3)3で表面処理した酸化チタン微粉体のみが記載されている。これらは、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であるとはいえない。したがって、本件発明1は、刊行物10に記載された発明ではない。

(4) 29条2項について
当審が通知した取消理由に引用された刊行物2(甲第2号証)には、他の文献の記載も参酌すると、本件発明1の<1>の条件を満足するトナーが記載されていると考えられるが、無機微粉体としては、カップリング剤を加水分解しながら表面処理した酸化チタン微粒子、具体的にはn-C4H9-Si-(OCH3)3、n-C10H25-Si-(OCH3)3、n-C4H9-Si-(OCH3)3で表面処理した酸化チタン微粒子のみが記載されている。
また、当審が通知した取消理由に引用された刊行物3(甲第3号証)には、他の文献の記載も参酌すると、本件発明1の<1>の条件を満足するトナーが記載されていると考えられるが、無機微粉体としては、日本アエロジル社の、AEROSIL 130,200,300,380,OX50,TT600,MOX80,MOX170,COK84、CABOTO Co.社のM-5,MS-7等、その他数社のシリカ微粉体が例示されている。
本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、特に、無機微粉体が、前者ではpHが5.0〜8.0であるシリカ微粉体であるのに対し、後者ではシリカ(R972:日本アエロジル社)である点で、相違している。そして、上記したように、シリカR972はpHが4.5であり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であるとはいえない。
また、刊行物2には、酸化チタン微粒子が記載されているのみであり、刊行物3には、種々のシリカ微粉体が例示されているが、例えば、日本アエロジル社の、AEROSIL 130,200,300,380,OX50,TT600,MOX80,MOX170,COK84は、甲第7号証によればすべてpHが3.8から4.8の範囲内のものであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であるとはいえないし、また、他のシリカ微粉体についてはpHは明らかでない。
そして、刊行物1〜3には、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体を用いることについて何らの示唆もない。
したがって、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体を用いることを、刊行物1に記載されているような径と粒度分布を有するトナーに適用することは、当業者といえども容易であるとは言い難い。
しかも、本件発明1の<1>の条件を満足するトナーに、<2>の条件を満足するシリカ微粉体を用いることにより、明細書記載の効果を奏するものと認められる。
してみると、本件発明1は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
また、本件発明2は、本件発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記で説示したと同様の理由により、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。

(5) 36条について
申立人は、本件明細書の実施例には、単に「結着樹脂」を使用したことが記載されているだけであり、具体的な開示がなされておらず、また、トナー粒子のサイズと個数、個数分布、体積分布などのデータが記載されていないため、当業者が追試することができない旨主張している。しかし、本件発明のトナーは、その粒度分布と、特定の無機徴粉体を用いることを主な特徴としているものであり、結着樹脂の組成に関して特徴を有するものではなく、結着樹脂としては、トナー用の結着樹脂として一般的に用いられている樹脂(本件明細書の段落【0061】〜【0063】に記載されている。)を適宜用いればよいのであるから、当業者が容易に実施し得るものである。
また、申立人は、本件明細書、実施例、及び従来技術水準から見て、所期の目的を達成するには、トナー粒子は、ワックスなどの摩擦係数を低下させる物質を含み、さらに、磁性粉を含むことが必須であると解される旨主張し、また、請求項1に記載の粒度分布を達成するには、甲第2号証や甲第3号証と同様に、粉砕法トナーであることが必須であると解される旨主張して、本件請求項1には、発明を特定するために必要と認められる事項が記載されていないと主張している。しかし、明細書の段落【0064】において「ワックス類をトナー粒子中に含有させることも好ましい。」と記載されているように、ワックスは任意成分であるし、「磁性体」も、段落【0066】において「着色剤としての顔料、染料、又は磁性体」と記載されているように、顔料や染料に変更することのできる任意成分である。また、段落【0066】には、本件発明のトナーが「公知の方法」によって製造することができる旨記載されているから、本件発明のトナーは、粉砕法以外の製造方法によって製造されたトナーを排除しているものではない。(実際、本件発明1の<1>の条件を満足するトナーが記載されていると考えられる刊行物1では、懸濁重合法によりトナーが製造されている。)
なお、申立人は、本件明細書に記載されている測定法によれば、3.17μm以下の個数%といっても、2μm未満の個数%を算出することができないので、この点、技術的に理解することができないと主張しているが、この点については、上記訂正により「2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布」についてのこととされたされたことにより、理由がなくなった。
したがって、本件特許明細書の記載に不備があるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、請求項1、2に係る発明の特許は、特許異議申立ての理由及び証拠によっては取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
静電荷像現像用トナー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+180
3.5≦X≦6.5
を満たし、
▲2▼該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】 該トナー粒子100重量部に対して、該無機微粉体が0.05〜3重量部添加されていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】 該静電荷像現像用トナー中に、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスを20〜90重量%含有し、嵩密度が0.2〜0.8g/mlで比表面積が0.01〜50m2/gである第二の無機微粉体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】 該トナー粒子100重量部に対して、第二の無機微粉体が0.02〜1重量部添加されていることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】 該トナー中に、シランカップリング剤処理後、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスにより処理された嵩密度が30〜60g/リットルで比表面積が80〜140m2/gである第三の無機微粉体を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】 該トナー粒子100重量部に対して、該第三の無機微粉体が0.05〜3重量部添加されていることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】 該トナー粒子中に、磁性体を含有し、ケイ素原子が該磁性体に対して0.2〜2.0重量%含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】 該トナー粒子が少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有し、該結着樹脂100重量部に対して、該磁性体が70〜150重量部含有されていることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】 該静電荷像現像用トナー中のケイ素原子が、該静電荷像現像用トナーに対して0.6〜2.8重量%含有されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】 該トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】

【請求項11】 該トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化2】

【請求項12】 トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化3】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法,静電記録法などに用いられる静電荷像現像用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により像担持体(感光体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行なって可視像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。
【0003】
近年、電子写真法を用いた機器は、従来の複写機以外にプリンターやファクシミリ等多数になってきている。
【0004】
たとえば、プリンター装置はLEDまたはLBPプリンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来240、300dpiであったものが400、600、800dpiとなって来ている。従って現像方式もこれにともなってより高精細が要求されてきている。また、複写機においても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。この方向は、静電荷像をレーザーで形成する方法が主である為、やはり高解像度の方向に進んでおり、ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が要求されてきている。このためトナーの小粒径化が進んでおり、特開平1-112253号公報、特開平1-191156号公報、特開平2-214156号公報、特開平2-284158号公報、特開平3-181952号公報、特開平4-162048号公報などでは特定の粒度分布の粒径の小さいトナーが提案されている。
【0005】
しかし、これらのトナーを用いて印刷物を得た場合、特に約2mm四方以下の文字の印字は、顕微鏡等で拡大して観察すると図1(ランク1参照)に示す様に文字ラインの周囲にトナー粒子の飛び散りが多く、文字ラインのシャープ性に関してはいまだ満足できるものではない。
【0006】
また文字のシャープ性に関しては、トナーの重量平均径を6.0μm以下に小径化すると、文字のシャープ性は多少向上するが、トナーの流動性が著しく低下し、特にベタ黒画像の濃度低下が顕在化する。また小径化に伴い非画像部へのトナーの現像によるカブリ現象が発生する。
【0007】
また、トナーの流動性を確保する一手段として、特開平5-66608号公報,特開平4-9860号公報等で疎水化処理を施した無機微粉体若しくは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉体を添加、あるいは特開昭61-249059号公報,特開平4-264453号公報,特開平5-346682号公報で疎水化処理無機微粉体とシリコーンオイル処理無機微粉体を併用添加する方法が知られている。
【0008】
しかし、従来知られている無機微粉体を小径トナー粒子に添加するのでは、トナー粒子に良好な流動性を保持させ、文字シャープ性,ベタ黒濃度及び文字中抜けのバランスを保つことは困難な状況にあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な流動性を有し、飛び散りのない、シャープな文字を形成することが可能な静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、シャープ性を有し、かつ文字中抜けのない文字を形成する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、シャープな文字を形成し、かつベタ黒濃度の良好な画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、シャープな文字を形成し、かつカブリの発生を抑制した画像を形成する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、下記構成によって前記の目的を達成する。
【0014】
すなわち、本発明は、少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+180
3.5≦X≦6.5
を満たし、
▲2▼該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0015】
粒度分布に関しては、Y>-25X+180の場合はカブリ現象が増大して好ましくない。Y<-5X+35の場合は文字輪郭のシャープ性が劣り好ましくない。D4<3.5の場合は画像濃度が著しく低下して好ましくない。D4>6.5の場合は文字輪郭のシャープ性が満足できるものでなくなる。それゆえに、本発明の様な粒度分布を有することが本発明を達成するのに必要となる。
【0016】
さらにこの様な粒度分布を有する静電荷像現像用トナーに対しては、シランカップリング処理した無機微粉体で、嵩密度が60〜180g/リットル、pHが4.5〜8.5であるものが添加されていることが必要である。トナー粒子に無機微粉体を添加する際、小径化によりトナー粒子自体の嵩密度が低下する傾向にあるので、ヘンシェル等で混合する場合、トナー粒子と無機微粉体粒子との分散性の低下が懸念される。事実として、従来から用いた様な60g/リットルより小さい嵩密度を有する無機微粉体では、この傾向に起因すると考えられる飛び散り,画像濃度低下がみられる。180g/リットルより嵩密度を大きくした場合は、無機微粉体の一次粒子の凝集力が高くなっている為に、トナー粒子と混合分散する際、二次粒子の状態でトナー粒子間あるいはトナー粒子表面に存在するという分散不良が懸念される。事実として、トナーの流動性低下が生じ、ベタ黒濃度薄を生ずる傾向がある。より好ましく使用されるものは、65〜160g/リットルである。
【0017】
また、小径化に伴い、トナー粒子の帯電を制御することが従来以上に非常に困難になってくる。この時添加する無機微粉体のpH値が中性域のものが文字のシャープ性,画像濃度及び文字中抜けにおいて良好な傾向を有する。つまりトナー粒子は、一般的に、荷電制御剤あるは結着樹脂等で負か正の一方向の帯電性を有する様設計する。この帯電方向に対してトナーの帯電能を増長させたり減じさせる様な電荷を付与させる無機微粉体を添加することは、そのメカニズムは明確ではないが、特に本発明で用いられる様な小径トナー粒子に対しては弊害が生じ易い。たとえば負帯電性トナーの場合、pHが4.5より小さいと飛び散りの悪化が見られ、8.5より大きいとベタ黒濃度の低下,文字中抜けの悪化傾向がみられる。より好ましく用いられる範囲は5.0〜8.0である。
【0018】
本発明の静電荷像現像用トナーの粒度分布の測定は、コールターカウンターTA-IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R-II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)及び個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の割合を求めた。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる無機微粉体の原体としては、シリカ,アルミナ,チタニアなどが使用でき、特にシランカップリング剤処理前の原体はケイ酸微粉体が良好に使用される。
【0020】
ケイ酸微粉体はケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0021】
シランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α-クロルエチルトリクロルシラン、β-クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のケイ素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0022】
嵩密度を高める方法としては、ケイ酸微粉体をケイ素ハロゲン化物を生成する際の反応条件によって、あるいはシランカップリング剤処理する前もしくは後に機械的(ヘンシェルミキサー,ミックスマーラー等)な作用により粒子同士を凝集させる方法が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる無機微粉体はBET法で測定した窒素吸着による比表面積が100m2/g以上、特に150〜400m2/gの範囲のものが好ましい。
【0024】
また、本発明の無機微粉体はトナー粒子100重量部に対して0.05〜3重量部添加することが好ましい。
【0025】
本発明においてpH測定はガラス電極を用いたpHメーターを用いて行う。試料4gをビーカーにとりメタノール50cm3を加え、試料を濡らし、さらに純水50cm3を加えてホモミキサーにて十分に撹拌させる。その後にpHを測定する。
【0026】
本発明の無機微粉体の嵩密度は震とう比重測定器KRS-406(蔵持科学器機製作所製)を用いて以下の手順に従い測定を行なった。
【0027】
▲1▼付属の150mlメスシリンダーに粉体を投入し、粉体上部を擦り切る。
【0028】
▲2▼シリンダーに入れたサンプルの重量Wは、0.01まで精秤する。
【0029】
▲3▼震とう比重測定器によりタッピング(条件:落下高さ6cm,タッピング速度70回/分,タッピング回数1250回)を行い、その時の粉体容積Vを1ml単位まで読む。
【0030】
▲4▼次式により嵩密度Aを求める。
【0031】
嵩密度A=(W/V)×1000(g/リットル)
【0032】
本発明の静電荷像現像用トナーには、さらにシリコーンオイルまたはシリコーンワニスを20〜90重量%(好ましくは30〜80重量%)含有し、嵩密度が0.2〜0.8g/ml(好ましくは0.25〜7g/ml)、かつ比表面積が0.01〜50m2/g(好ましくは0.5〜30m2/g)であることを特徴とする第二の無機微粉体を、トナー粒子100重量部に対して0.02〜1.0重量部の範囲で適宜添加することが文字中抜け,ドラム融着,フィルミング等を防止する観点から好ましい。
【0033】
上記シリコーンオイルまたはシリコーンワニスは、25℃における粘度が50〜200,000センチストークスのものが、さらには500〜150,000センチストークスのものが、さらには、1,500〜100,000センチストークスのものが、さらには3,000〜80,000センチストークスのものが好ましい。50センチストークス未満では、多量のシリコーンオイル/シリコーンワニスの粒子化が困難であるとともに、粒子に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000センチストークスを超える場合は、粒子化が困難になる傾向がある。
【0034】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。シリコーンワニスとしては、例えばメチルシリコーンワニス、フェニルメチルシリコーンワニス等を挙げることができる。シリコーンオイル/シリコーンワニス処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイル/シリコーンワニスとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイル/シリコーンワニスを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイル/シリコーンワニスを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。
【0035】
本発明の第二の無機微粉体の嵩密度は、500mlの容器に上方より自然落下させ、容器より盛り上った部分はすり切って、容器に何g入るかを測定し、[g/ml]の値で表わした。
【0036】
本発明のトナーは、第三の無機微粉体を有していることがさらに好ましい。該第三の無機微粉体は、第一及び第二の無機微粉体と組み合わせることで、濃度,カブリ及び中抜けのバランスがより向上しさらにドラム融着防止に効果を有する。ここでいう第三の無機微粉体は、本発明の第一の無機微粉体と同様の組成物性を有する無機化合物から構成され、特にシリカあるいはチタンの酸化物微粉体が好ましく用いられる。
【0037】
その中でも第三の無機微粉体は、シリカ微粉体をシランカップリング剤で処理した後、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスにより処理したものがより好ましく用いられる。
【0038】
シリカ微粉体の処理条件としては、第一段反応として、シランカップリング反応を行ないシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルまたはシリコーンワニスにより表面に疎水性の薄膜を形成することを特徴とする。
【0039】
本発明に用いられるシランカップリング剤は、本発明の第一無機微粉体に使用するものと同様のものを使用することができる。
【0040】
シランカップリング剤の処理方法は、嵩密度を高める処理を施こさない以外は、第一の無機微粉体と同様の方法で処理される。
【0041】
シリコーンオイルまたはシリコーンワニス処理に用いられる物質は、第二の無機微粉体に用いられるものと同様の物質を用いてもよい。処理方法としても同様の方法が挙げられるが、その中でも処理によって微粉体の凝集などにより、嵩密度の上昇が生じ難い方法、例えば噴霧機を用いる方法が好ましく用いられる。しかし、これに限定されるものではない。
【0042】
シランカップリング剤は、微粉体100重量部に対して1〜40重量部、好ましくは5〜30重量部処理することが良い。シリコーンオイルまたはシリコーンワニス固形分の処理量は微粉体100重量部に対し1〜23重量部、好ましくは5〜20重量部が良い。
【0043】
シランカップリング剤が少なすぎると良好なベタ黒濃度が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる。シリコーンオイルまたはシリコーンワニスの量が少なすぎると良好なベタ黒濃度と中抜け改善効果がみられず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる。
【0044】
上記処理シリカ微粉体の特性値としては、嵩密度は本発明の第一の無機微粉体で用いられた測定法より30〜60g/リットルが好ましく、より好ましくは35〜55g/リットルのもので、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が80〜140m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは90〜130m2/gのものである。また磁性トナー100重量部に対してシリカ微粉体は0.05〜1.5重量部、好ましくは0〜1.3重量部使用するのが良好である。
【0045】
本発明の静電荷像現像用トナーに使用する磁性体としては、鉄,コバルト,ニッケル,銅,マグネシウム,マンガン,アルミニウム,ケイ素などの元素を含む金属酸化物などがある。中でも、四三酸化鉄,γ-酸化鉄等の酸化鉄を主成分とするものが好ましい。さらに静電荷像現像用トナーの流動性向上及び帯電性コントロールの観点から、ケイ素原子を含有することが好ましい。特にトナー粒子が小径になるとトナー粒子母体の流動性が低下する為、前述した本発明の無機微粉体を添加するだけでは十分な流動性が得られず良好な帯電性を得られなくなり、本発明の目的を達成することが困難な場合が生ずる。ケイ素原子の含有量は磁性体に対して0.2〜2.0重量%含有されていることが好ましく、0.2より少ない場合は十分な流動性が得られず、文字シャープ性の悪化,ベタ黒濃度薄等の弊害が生ずる。2.0より多く含有させると特に高温・高湿環境において画像濃度低下を生じ易い。より好ましくは0.3〜1.7重量%の場合である。特に、磁性体の表面にケイ素原子が0.05〜0.5重量%存在する場合がより好ましい。
【0046】
ケイ素原子は水溶性ケイ素化合物の形で磁性体生成時に添加してもよく、磁性体の生成,ろ過,乾燥後、ケイ酸化合物の形で添加し、ミックスマーラー等で表面に固着させてもよい。これら磁性体の粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が、好ましくは2〜30m2/gが良く、特に3〜28m2/gが良い。更にモース硬度が5〜7の磁性粒子が好ましい。
【0047】
磁性粒子の形状としては、8面体,6面体,球形,針状,鱗片状などがあるが、、8面体,6面体,球形,不定型等の異方性の少ないものが好ましい。特に、磁性粒子の球形度Ψが0.8以上であることが画像濃度を高める上で好ましい。磁性粒子の平均粒径としては0.05〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6μm、特に、0.1〜0.4μmが好ましい。
【0048】
静電荷像現像用トナーにおける磁性体の含有量は、結着樹脂100重量部に対し30〜200重量部、好ましくは60〜200重量部、さらには70〜150重量部が良い。30重量部未満では搬送性の点で劣り現像剤担持体上のトナー層にむらが生じて画像むらとなる傾向があり、さらに磁性トナーのトリボの上昇に起因する画像濃度の低下が生じ易い傾向があった。一方、磁性体の含有量が200重量部を超えると定着性に問題が生ずる傾向があった。
【0049】
以上本発明の静電荷像現像用トナーには、以上述べた様に無機微粉体及び磁性体よりケイ素原子が含有されているが、静電荷像現像用トナーに対して0.6〜2.8重量%の範囲で含有されていることが、本発明の目的を達成するためにより良好である。0.6重量%より小さい場合は、本発明のトナーは良好な流動性を得られずベタ黒濃度薄等の弊害が生じ易い。2.8重量%より大きい場合は、高温・高湿における画像濃度薄,定着不良等の弊害が生ずる。
【0050】
本発明の磁性酸化鉄中あるいはトナー中のケイ素原子量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119「けい光X線分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定した。
【0051】
本発明の静電荷像現像用トナーには、荷電制御剤として有機金属化合物を用いることが好ましい。有機金属化合物のうちでも、特に気化性や昇華性に富む有機化合物を配位子や対イオンとして含有するものが有用である。
【0052】
このような金属錯体としては次に示した一般式で表わされるアゾ系金属錯体がある。
【0053】
【化4】

【0054】
式中、Mは配位中心金属を表わし、配位数6のCr,Co,Ni,Mn,Fe,Al,Ti,Sc,V等があげられる。Arはアリール基であり、フェニル基,ナフチル基などがあげられ、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基,ハロゲン基,カルボキシル基,アニリド基及び炭素数1〜18のアルキル基,アルコキシ基などがある。X,X’,Y,Y’は-O-,-CO-,-NH-,-NR-(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。K+は水素イオン,ナトリウムイオン,カリウムイオン,アンモニウムイオン,脂肪族アンモニウムイオンあるいはこれらいずれかの混合イオンを示す。
【0055】
以下本発明に良好に使用される錯体の具体例を示す。
【0056】
【化5】

【0057】
【化6】

【0058】
【化7】

【0059】
この中でも本発明の粒度分布を有する静電荷像現像用トナーには、特に(b)又は(c)に示す化合物がトナーの流動性が確保され、文字のシャープ性,画像濃度も良好であり、より好ましく用いられる。
【0060】
該化合物は、トナー100重量部に対して0.2〜5重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
【0061】
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、例えば、ポリスチレン;ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体等のスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。また、架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0062】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、等のような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が単独もしくは組み合わせて用いられる。ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として使用できる。
【0063】
また、圧力定着用に供される静電荷像現像用トナーの結着樹脂としては、低分子量ポリエチレン,低分子量ポリプロピレン,エチレン-酢酸ビニル共重合体,エチレン-アクリル酸エステル共重合体,高級脂肪酸,ポリアミド樹脂,ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは単独又は混合して用いることが好ましい。
【0064】
また、定着時の定着部材からの離型性の向上,定着性の向上の点から次のようなワックス類をトナー粒子中に含有させることも好ましい。パラフィンワックス及びその誘導体,マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体,フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体,ポリオレフィンワックス及びその誘導体,カルナバワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合体,グラフト変性物を含む。
【0065】
その他の添加剤として、アルコール,脂肪酸,酸アミド,エステル,ケトン,硬化ヒマシ油及びその誘導体,植物系ワックス,動物性ワックス,鉱物系ワックス,ペトロラクタム等も利用できる。
【0066】
本発明の静電荷像現像用トナーを作製するには、公知の方法が用いられる。例えば、結着樹脂、ワックス、金属塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって本発明に係るトナーを得ることが出来る。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0067】
さらに、図3を参照しながら、本発明に係る画像形成方法及び装置を説明する。
【0068】
一次帯電器302で感光体表面を負極性に帯電し、レーザ光による露光305によりイメージスキャニングによりデジタル潜像を形成し、磁性ブレード311および磁石を内包している現像スリーブ304を具備する現像器309の一成分系磁性現像剤310で該潜像を反転現像する。現像部において感光ドラム301の導電性基体と現像スリーブ304との間で、バイアス印加手段312により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。転写紙Pが搬送されて、転写部にくるとローラ転写手段302により転写紙Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段314で帯電をすることにより、感光ドラム表面上の現像画像(トナー像)が転写紙P上へ静電転写される。感光ドラム301から分離された転写紙Pは、加熱加圧ローラ定着器307により転写紙P上のトナー画像を定着するために定着処理される。
【0069】
転写工程後の感光ドラムに残留する一成分系現像剤は、クリーニングブレードを有するクリーニング器308で除去される。クリーニング後の感光ドラム301は、イレース露光306により除電され、再度、一次帯電器302による帯電工程から始まる工程は繰り返される。
【0070】
【実施例】
以下に本発明の具体的実施例を示す。「部」は重量部を意味する。
【0071】
実施例1
結着樹脂 100部
磁性体M1(ケイ素原子含有量0.12重量%のFe3O4) 100部
モノアゾ染料金属錯体(式a) 2部
ワックス 5部
【0072】
上記構成材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、二軸エクストルーダーで溶融混練を行なった。混練物は冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた粉砕機によって微粉砕し、更に風力分級機を用いて分級しトナー粒子を得た。
【0073】
該トナー粒子100部に対して、原体シリカ(比表面積=300m2/g)をヘキサメチルジシラザン処理したpH=5.9,嵩密度=72g/リットルの無機微粉体A(比表面積=197m2/g)を1.2部加え、ヘンシェルミキサーで混合し、重量平均径X=5.8(μm),Y=17.5(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中ケイ素原子含有量は0.58重量%であった。
【0074】
得られたトナーをHP社製プリンターLJ-IVに投入し、以下の画像評価方法に従い評価を行なった。結果を表1に示す。
【0075】
画像性の評価は、常温・常湿環境(23.5℃,60%)でLJ-IVの耐久(約5000枚)の中でチェックを定期的に実施し評価を行なった。
【0076】
・文字シャープ性…1000枚時のチェックサンプルを用いて、約2mm角の「電」の文字を約30倍に拡大し、図1の評価基準に従って判定した。ランク2,4はそれぞれランク1と3,3と5の中間レベルとする。
【0077】
・ベタ黒濃度…初期〜5000枚まで200枚毎の計26サンプルをマクベス濃度計より測定しその平均値をもって示した。
【0078】
・文字中抜け…128g/m2の厚紙に一般文字を印字させて初期,1000枚,2000枚,3000枚,4000枚,5000枚の6サンプルの平均で評価した。ランク5:良好(図2の(a)参照)、ランク1:実用上不可(図2の(b)参照)、ランク3:実用上可、ランク4,2はそれぞれランク5と3,ランク3と1の中間レベルとする。
【0079】
実施例2
磁性体M2(ケイ素原子含有量0.52重量%のFe3O4)を使用する以外は実施例1と同一の構成材料を用い、さらに実施例1と同様の製法からX=5.8(μm),Y=17.6(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中ケイ素原子含有量は0.77重量%であった。評価も実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0080】
実施例3
実施例2と同一の構成材料を用い、無機微粉体Aを1.5部添加する以外は同様の製法から、X=5.8(μm),Y=19.0(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.92重量%であった。評価も実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0081】
実施例4
実施例3と同様の製法で、X=5.1(μm),Y=23.5(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.91重量%であった。評価も実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0082】
実施例5
モノアゾ染料金属錯体として式(b)のものを用いる以外は、実施例3と同様の方法で、X=5.7(μm),Y=19.1(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.92重量%であった。評価も実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0083】
実施例6
モノアゾ染料金属錯体として式(c)のものを用いる以外は、実施例3と同様の方法で、X=5.7(μm),Y=19.3(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.92重量%であった。評価も実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0084】
実施例7
実施例2と同一のトナー粒子を用いて、該トナー粒子100部に対して無機微粉体Aを1.5部及び第二の無機微粉体a[シリコーンオイル60重量%含有のシリカ,嵩密度0.4g/ml,比表面積3.0m2/g]を0.2部加え、ヘンシェルミキサーで混合し、X=5.9(μm),Y=19.5(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.96重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0085】
実施例8
実施例6と同一のトナー粒子に対して、実施例7と同様に2種の無機微粉体を添加混合し、X=5.9(μm),Y=19.7(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.97重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0086】
実施例9
実施例2と同一のトナー粒子に対して、無機微粉体Aに替えて原体シリカ(比表面積=300m2/g)をヘキサメチルジシラザン処理した比表面積190m2/gの無機微粉体B[pH=6.3,嵩密度=165g/リットル]を1.5部添加混合し、X=5.8(μm),Y=18.8(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.92重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0087】
実施例10
磁性体としてM3(ケイ素原子含有量1.75重量%のFe3O4)を使用する以外は実施例3と同様の方法で、X=5.8(μm),Y=18.7(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は1.22重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0088】
比較例1
実施例1で用いたトナー粒子100部に対して、実施例1で用いた原体シリカ[無機微粉体C(pH=5.5,嵩密度=45g/リットルと称す]を1.2部加え、ヘンシェルミキサーで混合し、X=5.8(μm),Y=17.5(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.56重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0089】
比較例2
実施例1で用いたトナー粒子100部に対して、原体シリカをトリメチルシラン処理した無機微粉体D[pH=3.0,嵩密度=58g/リットル]を1.2部添加する以外は実施例1と同様にして、X=5.8(μm),Y=17.6(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.57重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0090】
比較例3
荷電制御剤として、サリチル酸のクロム錯体を用いる以外は実施例1と同一の構成材料を用い、同様の製法により、粒径の大き目のトナー粒子を得た後、無機微粉体Dを比較例2と同様に添加し、X=6.7(μm),Y=5.0(%)の静電荷像現像用トナーを得た。トナー中のケイ素原子含有量は0.57重量%であった。以下実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
【0091】
実施例11
実施例2と同一のトナー粒子を用いて、該トナー粒子100部に対して無機微粉体Aを0.8部及び第二の無機微粉体aを0.2部加え、さらに第三の無機微粉体S[原体シリカ(比表面積200m2/g)100部とヘキサメチルジシラザン10部をカップリング処理した微粉体100部をジメチルシリコーンオイル(100cSt)で処理したもの,嵩密度45g/リットル,比表面積120m2/g]を0.7部添加しヘンシェルミキサーで混合し、X=5.8(μm),Y=19.2(%)の静電荷像現像用トナーを得た。
【0092】
実施例1と同様に評価したところ、「文字シャープ性」,「ベタ黒画像濃度」及び「中抜け」については、表1に示す通り、良好な結果が得られ、さらに5000枚耐久後のベタ黒画像の白ポチの発生を評価したところ、白ポチの発生が少なく、実施例2及び実施例7に比較して感光体ドラムへのトナー融着防止により効果が見られた。
【0093】
【表1】

【0094】
【発明の効果】
本発明は、小径域の粒度分布を有するトナーにおいて特定の無機微粉体を添加することで、文字のシャープ性,ベタ黒濃度及び文字中抜けのバランスの良好な画像を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
縦横約2mmの一般文字の拡大写真に基づく図であり、文字のシャープ性のレベルを示した図である。
【図2】
一般文字で転写状態の良好な例(a)と、転写状態の不良な例(b)を模式的に示した図である。
【図3】
本発明に好適な画像形成方法及び画像形成装置の一具体例を模式的に示した図である。
【符号の説明】
301 感光体
302 帯電手段
303 転写手段
304 トナー担持体
305 潜像形成手段
306 イレース露光
307 加熱加圧ローラー定着器
308 クリーニング手段
309 現像手段
310 静電荷像現像用トナー
311 磁性ブレード
312 バイアス印加手段
313 電圧印加手段
P 転写紙
 
訂正の要旨 i)訂正事項a
特許請求の範囲に係る記載
「 【請求項1】 少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼該静電荷像現像用トナーの粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+180
3.5≦X≦6.5
を満たし、
▲2▼該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルでpHが4.5〜8.5であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】 該トナー粒子100重量部に対して、該無機微粉体が0.05〜3重量部添加されていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】 該静電荷像現像用トナー中に、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスを20〜90重量%含有し、嵩密度が0.2〜0.8g/mlで比表面積が0.01〜50m2/gである第二の無機微粉体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】 該トナー粒子100重量部に対して、第二の無機微粉体が0.02〜1重量部添加されていることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】 該トナー中に、シランカップリング剤処理後、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスにより処理された嵩密度が30〜60g/リットルで比表面積が80〜140m2/gである第三の無機微粉体を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】 該トナー粒子100重量部に対して、該第三の無機微粉体が0.05〜3重量部添加されていることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】 該トナー粒子中に、磁性体を含有し、ケイ素原子が該磁性体に対して0.2〜2.0重量%含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】 該トナー粒子が少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有し、該結着樹脂100重量部に対して、該磁性体が70〜150重量部含有されていることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】 該静電荷像現像用トナー中のケイ素原子が、該静電荷像現像用トナーに対して0.6〜2.8重量%含有されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】 該トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】

【請求項11】 該トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化2】

【請求項12】 トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化3】



「 【請求項1】 少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+180
3.5≦X≦6.5
を満たし、
▲2▼該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】 該トナー粒子100重量部に対して、該無機微粉体が0.05〜3重量部添加されていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】 該静電荷像現像用トナー中に、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスを20〜90重量%含有し、嵩密度が0.2〜0.8g/mlで比表面積が0.01〜50m2/gである第二の無機微粉体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】 該トナー粒子100重量部に対して、第二の無機微粉体が0.02〜1重量部添加されていることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】 該トナー中に、シランカップリング剤処理後、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスにより処理された嵩密度が30〜60g/リットルで比表面積が80〜140m2/gである第三の無機微粉体を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】 該トナー粒子100重量部に対して、該第三の無機微粉体が0.05〜3重量部添加されていることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】 該トナー粒子中に、磁性体を含有し、ケイ素原子が該磁性体に対して0.2〜2.0重量%含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】 該トナー粒子が少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有し、該結着樹脂100重量部に対して、該磁性体が70〜150重量部含有されていることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】 該静電荷像現像用トナー中のケイ素原子が、該静電荷像現像用トナーに対して0.6〜2.8重量%含有されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】 該トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】

【請求項11】 該トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化2】

【請求項12】 トナー粒子中に、荷電制御剤として下記式で示される有機金属化合物を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【化3】


に訂正する。
ii)訂正事項b
明細書の段落【0014】の
「 すなわち、本発明は、少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼該静電荷像現像用トナーの粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+180
3.5≦X≦6.5
を満たし、
▲2▼該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルでpHが4.5〜8.5であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。」
を、
「 すなわち、本発明は、少なくともトナー粒子及び無機微粉体を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼2μm以上の粒径を有する静電荷像現像用トナーを対象とした粒度分布が、重量平均径(D4)をX(μm)、個数分布から求めた個数基準の3.17μm以下の個数%をY(%)とした時、下記条件
-5X+35≦Y≦-25X+180
3.5≦X≦6.5
を満たし、
▲2▼該無機微粉体は、シランカップリング剤で処理され、嵩密度が60〜180g/リットルであり、pHが5.0〜8.0のシリカ微粉体であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。」
と訂正する。
異議決定日 2003-03-03 
出願番号 特願平7-239060
審決分類 P 1 652・ 113- YA (G03G)
P 1 652・ 121- YA (G03G)
P 1 652・ 536- YA (G03G)
P 1 652・ 537- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 矢沢 清純
特許庁審判官 阿久津 弘
植野 浩志
登録日 2001-09-14 
登録番号 特許第3230046号(P3230046)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 静電荷像現像用トナー  
代理人 渡邉 敬介  
代理人 渡邉 敬介  
代理人 西川 繁明  
代理人 山口 芳広  
代理人 山口 芳広  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ