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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60R
管理番号 1078750
審判番号 不服2000-19195  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-04 
確定日 2003-06-09 
事件の表示 平成11年特許願第187773号「ダッシュボード」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月25日出願公開、特開2000- 25549]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【一】手続の経緯
本願は、平成11年7月1日(パリ条約による優先権主張1998年7月1日、ドイツ)の出願であって、平成12年8月29日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成13年1月4日付で願書に添付した明細書について手続補正書が提出されたものである。
【二】平成13年1月4日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年1月4日付の手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ベース部分(10)と、該ベース部分(10)に一体化され、且つ、膨張するエアーバッグにより負荷を与えられ得るエアーバッグカバー(12)と、を含む自動車用のダッシュボードであって、
前記ベース部分(10)と前記エアーバッグカバー(12)とが連続的な表面を画成し、前記ダッシュボードの設置状態において、前記表面は、マスキング(14)により覆われると共に乗員用空間に向いており、
更に、前記ベース部分(10)と前記エアーバッグカバー(12)とが異なる材料から作られ、該エアーバッグカバー(12)の材料として該ベース部分(10)より高強度の材料が提供されることを特徴とする、前記ダッシュボード。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に係る発明を特定する事項である「ベース部分(10)」及び「エアーバッグカバー(12)」について、「前記ベース部分(10)と前記エアーバッグカバー(12)とが異なる材料から作られ、該エアーバッグカバー(12)の材料として該ベース部分(10)より高強度の材料が提供される」との限定を付加するもので、特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-44897号公報(以下、「引用例」という。)には、
(イ)「図1ないし図3に示すインストルメントパネル20は、合成樹脂発泡層21の表面に、……表皮22を一体に有する。……30はインストルメントパネル20のコア材である。……符号Aはエアバッグ、Iはエアバッグの作動装置、Cはエアバッグ収容ケースである。」(段落番号【0016】)
(ロ)「コア材30は、インストルメントパネル20の裏面を補強するもので、硬質塩化ビニル樹脂やポリプロピレン等から射出成形等によって形成されたものが用いられる。この実施例では、エアバッグドア部D1と対応する位置にエアバッグ展開開口部31が形成され、そのエアバッグ展開開口部31に金属あるいは樹脂板からなるエアバッグドア部用芯材33が、エアバッグAの膨張による押圧で表皮22側へ屈曲してエアバッグ展開開口部31を開けることができるように、取付部材35で取り付けられている。」(段落番号【0024】)
等の記載が認められ、また、併せて図面を参照すると、引用例には、
“コア材30と、該コア材30に取付部材35によって取り付けられ、且つ、膨張するエアーバッグAにより負荷を与えられ得るエアーバッグドア部用芯材33と、を含むインストルメントパネル20であって、前記インストルメントパネル20の設置状態において、コア材30とエアーバッグドア部用芯材33の表面は、合成樹脂発泡層21及び表皮22により覆われると共に乗員用空間に向いており、更に、前記コア材30が硬質塩化ビニル樹脂やポリプロピレン等から作られると共に、前記エアーバッグドア部用芯材33が金属あるいは樹脂板からなる、前記インストルメントパネル。”(以下、「引用発明」という。)
が記載されているものと認められる。
3.対比
本願補正発明と引用発明とを対比するに、引用発明の「コア材30」、「エアーバッグドア部用芯材33」、「インストルメントパネル20」、及び「合成樹脂発泡層21及び表皮22」は、それぞれ、本願補正発明の「ベース部分(10)」、「エアーバッグカバー(12)」、「自動車用のダッシュボード」、及び「マスキング(14)」に相当するから、
両者は、
ベース部分と、該ベース部分に連結され、且つ、膨張するエアーバッグにより負荷を与えられ得るエアーバッグカバーと、を含む自動車用のダッシュボードであって、前記ダッシュボードの設置状態において、前記ベース部分と前記エアーバッグカバーの表面は、マスキングにより覆われると共に乗員用空間に向いている、前記ダッシュボード.
で一致し、次の相違点A,B,Cで相違する。
[相違点A]
エアーバッグカバーがベース部分に連結される構成が、本願補正発明は、エアーバッグカバーが「ベース部分に一体化される」のに対して、引用例発明では、エアーバッグカバーがベース部分に取付部材によって取り付けられるものである点
[相違点B]
本願補正発明は、「前記ベース部分と前記エアーバッグカバーとが連続的な表面を画成」するのに対して、引用発明では、ベース部分(コア材30)とエアーバッグカバー(エアーバッグドア部用芯材33)とに段差があり、これら両者が連続的な表面を画成しているということができない点
[相違点C]
本願補正発明は、「前記ベース部分と前記エアーバッグカバーとが異なる材料から作られ、該エアーバッグカバーの材料として該ベース部分より高強度の材料が提供される」のに対し、引用発明では、ベース部分(コア材30)が硬質塩化ビニル樹脂やポリプロピレン等から作られると共にエアーバッグカバー(エアーバッグドア部用芯材33)は金属あるいは樹脂板からなる点。
4.判断
(1)相違点Aについて
エアーバッグカバーがベース部分に一体化されたダッシュボードは、本願優先権主張日前周知(特開平5-162603号公報、実願昭61-197803号(実開昭63-101255号)のマイクロフィルム、特開平7-315155号公報(特に段落[0039]参照)、特開平8-337149号公報等参照)と認められるから、エアーバッグカバーがベース部分に連結される構成を、エアーバッグカバーがベース部分に一体化される構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(2)相違点Bについて
引用発明においても、ダッシュボード(インストルメントパネル20)の乗員用空間に向いている表面(表皮表面)は、連続的な表面によって見映えを良くされている。
そして、ベース部分とエアーバッグカバーの各表面を、概ね等しい高さとすることは、本願優先権主張日前周知の事項(特開平2-99324号公報、特開平7-315155号公報、特開平8-337149号公報等参照)と認められる。しかも、薄い化粧紙、壁紙等表皮材を下地面に貼り付ける場合に、下地面の形状が表皮材表面の形状に影響することから、下地面を極力凹凸の少ない滑らかな面、換言すれば、連続的な表面にすることは、社会生活上きわめて普通に実施している常識的事項である。
このような周知の事項や常識的事項を考慮すると、引用例発明の如き見映えの良い連続的な表皮材の表面を形成するために、ベース部分とエアーバッグカバーとが連続的な表面を画成する構成としたことは、当業者が容易に想到し得たものとするのが相当である。
(3)相違点Cについて
引用発明も、ベース部分(コア材30)が硬質塩化ビニル樹脂やポリプロピレン等から作られるのに対し、エアーバッグカバー(エアーバッグドア部用芯材33)は、金属から作られているし、一般的に、金属が硬質塩化ビニル樹脂やポリプロピレンより高強度の材料であると認識されている。しかも、エアーバッグカバーは、エアーバッグにより開かれるとき、それが断片となって飛散しないように考慮すべきものであることは、本願優先権主張日前周知の事項(特開平5-104547号公報、特開平7-61310号公報、特開平8-113677号公報等参照)と認められる。
したがって、前記ベース部分と前記エアーバッグカバーとを異なる材料とし、該エアーバッグカバーの材料として該ベース部分より高強度の材料を選択することは、当業者が容易に想到し得ることである。
(4)そして、本願補正発明の奏する効果も、上記周知事項や技術常識を考慮すれば、引用発明から当業者が予測できる程度のものであって、格別顕著なものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
5.むすび
以上とおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
【三】本願発明について
1.請求項1に係る発明
平成13年1月4日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下同項に係る発明を「本願発明」という。)は、平成12年7月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。
「 ベース部分(10)と、該ベース部分(10)に一体化され、且つ、膨張するエアーバッグにより負荷を与えられ得るエアーバッグカバー(12)と、を含む自動車用のダッシュボードであって、
前記ベース部分(10)と前記エアーバッグカバー(12)とが連続的な表面を画成し、前記ダッシュボードの設置状態において、前記表面は、マスキング(14)により覆われると共に乗員用空間に向いている、前記ダッシュボード。」
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「【二】」の「2.引用例」に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、前記「【二】」で検討した本願補正発明から「前記ベース部分(10)と前記エアーバッグカバー(12)とが異なる材料から作られ、該エアーバッグカバー(12)の材料として該ベース部分(10)より高強度の材料が提供される」という構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに、他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「【二】」の「3.対比」及び「4.判断」に説示したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-12-27 
結審通知日 2003-01-07 
審決日 2003-01-28 
出願番号 特願平11-187773
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60R)
P 1 8・ 575- Z (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 鈴木 法明
出口 昌哉
発明の名称 ダッシュボード  
代理人 増井 忠弐  
代理人 今井 庄亮  
代理人 小林 泰  
代理人 栗田 忠彦  
代理人 社本 一夫  
代理人 佐野 邦廣  
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