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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1079518
異議申立番号 異議2002-72577  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-11-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-22 
確定日 2003-04-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3276110号「カメラ」の請求項1、4ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3276110号の請求項4ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3276110号の特許請求の範囲(請求項の数9)に記載された発明は、平成1年11月20日に特許出願した特願平1-302344号の一部を平成12年3月21日に新たな特許出願とし、平成14年2月8日にその発明について特許権の設定登録がなされた後、その特許について、特許異議申立人ペンタックス株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年3月27日に訂正請求がなされたものである。


2.訂正の適否についての判断

(1)訂正の内容

特許権者が求めている訂正の内容は、以下a.ないしh.のとおりである。

a.特許明細書の請求項1を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。これに伴い、削除した請求項1に従属する請求項3を新たな請求項1として、独立形式の記載の「被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段と、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段と、を具備したことを特徴とするカメラ。」に訂正する。

b.特許明細書の請求項2の「上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。」を、上記請求項1の削除に伴ない、削除した請求項1に従属する請求項2を新たな請求項2として、独立形式の記載の「被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段とを具備し、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とするカメラ。」に訂正する。

c.特許明細書の請求項3の「撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。」を、上記請求項1の削除に伴ない、上記新たな請求項2に従属する形式の記載の「撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段を有することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。」に訂正する。

d.特許明細書の請求項4の「上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応したタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、」に訂正する。

e.特許明細書の請求項7を削除する。また、これに伴ない、請求項8及び請求項9を順次繰り上げて新たな請求項7及び請求項8に訂正する。

f.特許明細書中の段落【0009】の「【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明によるカメラは、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段の少なくとも一部として、機械的手段によらず上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じる電子シャッタ手段を有するカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における1(数字の丸囲みは省略する。以下同じ。)シャッタ閉状態から開状態への切り換え動作 2シャッタ開状態 3シャッタ開状態から閉状態への切り換え動作等の各シャッタ動作を行う上記電子シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、を具備したことを特徴とし、また、上記各シャッタ動作に対応した音声を録音するための録音手段を有する。更に、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とし、また、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与えうる変調手段を有することを特徴とする。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明によるカメラは、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段と、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段と、を具備したことを特徴とする。また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段とを具備し、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とする。」に訂正する。

g.特許明細書中の段落【0010】の「また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応したタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とする。」を明りょうでない記載の釈明を目的として「また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とする。」に訂正する。

h.特許明細書中の段落【0012】の「更にまた、本発明のカメラは、音声を入力する音声入力手段と、音声データをディジタル値として記憶するための電気的に書き換えが可能な記録手段と、上記音声入力手段によって入力された音声データを上記記憶手段に記憶するための録音手段と、上記記憶手段に記憶された音声データをD/A変換することにより得られたデータに基づいて音声を発生せしめる音声発生手段と、撮影の状態に関連して上記音声発生手段を制御する音声発生手段と、を具備したことを特徴とする。また、上記音声制御手段が制御する発音機能を達成するための選択手段を更に備えている。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無・変更の存否

上記訂正事項a.ないしc.は、もとの請求項1の削除に伴い、整合するよう特許請求の範囲の記載を訂正するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記訂正事項d.は、特許明細書中の段落【0035】〜【0040】の記載に基づいて「上記音声制御手段は、上記各撮影粗要素動作に対応したタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、」を「上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、」と限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を行うものである。

上記訂正事項e.は、もとの請求項7の削除に伴い、もとの請求項8及び9を順次繰り上げる訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記訂正事項f.ないしh.は、特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の詳細な説明の対応する箇所を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

したがって、上記訂正は、特許明細書の記載に基づいて、特許請求の範囲を更に限定し、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又変更するものではない。

(3)むすび

以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.特許異議の申立てについての判断

(1)申立ての理由の概要

申立人ペンタックス株式会社は、証拠として、
甲第1号証:実願昭56-83884号(実開昭57-197021号公報)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)
甲第2号証:特開昭54-107343号公報(以下「刊行物2」という。)
甲第3号証:特開昭56-97337号公報(以下「刊行物3」という。)
甲第4号証:特開昭62-276988号公報(以下「刊行物4」という。)
を提出し、本件発明の請求項1,4,5,6,7の発明は甲第1号証ないし甲第4号証から当業者が容易に想到される程度のものに過ぎず、特許法第29条第2項に該当する発明であることは明らかである。したがって、請求項1,4,5,6,7の発明は特許されるのに必要な要件を満たしてはおらず、取り消されてしかるべき旨主張している。

(2)本件発明

本件特許第3276110号の異議申立ての対象である訂正前の請求項1,4,5,6,7に係る発明は、上記訂正により請求項の削除及び減縮がなされ、請求項4ないし6となったので、これらについて検討する。本件特許第3276110号の請求項4ないし6に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項4ないし6(以下それぞれ「本件発明4」「本件発明5」「本件発明6」という。)に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項4】音声発生手段と、カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とするカメラ。
【請求項5】被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段と、上記シャッタ手段の露光動作に基づいて取り込まれた画像情報を記録する記録手段と、カメラの撮影動作における撮影要素動作である「上記シャッタ手段の露光動作」及び「少なくとも上記記録手段の記録終了を条件とする撮影完了」の各タイミングを識別可能な態様で報知するタイミング報知手段と、を具備したことを特徴とするカメラ。
【請求項6】上記タイミング報知手段は、音声発生手段と該音声発生手段を制御して音声を発生せしめる音声制御手段によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載のカメラ。」

(3)刊行物記載の発明

刊行物1には、「特に、シャッター操作部材の操作時にそのレリーズ時点を操作者等に明確に告知させるようにしたカメラ装置」に関し、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.その撮像装置7に蓄積された電気信号を、カメラ本体1上部に設けたシャッター操作部材8の押圧操作に連動して磁気シート9上にスチル画像として記録するための記録装置10が配置されている。(公報第3頁15行〜19行)
イ.上記シャッター部材8には、スイッチング回路11が接続されており、このスイッチング回路11には、告知手段の一部を構成するブザー回路12が接続されている。(公報第4頁5行〜8行)
ウ.まず、シャッター操作部材8を押圧操作すると、スイッチング回路11によりブザー回路12が駆動してブザー13を駆動させる。従って、シャッター操作部材8の押圧操作と連動してブザー13から所定のブザー音が発せられる。このため、これよりスチル画像の磁気記録が開始されたことを告知されることとなる。
シャッター操作部材8により電子シャッター5が駆動すると、撮像レンズ3.4からの画像情報の像がそのシャッター5が駆動している間、撮像装置7上に結像されるので、この撮像装置7が撮像レンズ3.4により受けた光の強度に従って画像情報を所定の電気信号に変換する。(公報第5頁2行〜14行)
エ.シャッター操作部材8を1駒分のスチル画像の撮影が終了するまでの間押圧し続けると、ブザー13はブザー音をその間発し続ける。(公報第6頁7行〜10行)

同じく、刊行物2には、「特に磁気記録方式の録音再生装置を備えたカメラにおける各種の警告,表示等を音声発生により行なうようにしたカメラ」に関し、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.以上の説明から明らかな様に、本実施例によれば、エンドレステープ60が1回転の途中で、テープ・スタート信号TSSが“0”になったとしても、そこでモーター55が停止し、かつアナログスイッチ76もオフしてしまって、音声の再生が途中でとぎれるという現象は生ぜず、必ず、エンドレステープ60はスタート位置までまわってきてから停止し、かつそこで音声再生動作も停止するように構成されている。(公報第6頁左上欄14行〜右上欄6行)
イ.第2図の(a)は、前記スイッチ30が、セルフタイマー動作の最終段で閉成するようにして、該スイッチ30の閉成によりセルフタイマー動作の終りの段で、例えば「レリーズしますよ!」とかの音声を出すようにしたものである。(公報第6頁左下欄14行〜右下欄2行)
ウ.この時、エンドレステープの第5番目のチャンネルには、前もって「レリーズしますよ!」と云うような音声を録音しておけばよい。(公報第6頁右下欄12行〜15行)

同じく、刊行物3には、「音声によって制御されるカメラ」に関し、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.次に第2-1図,第2-2図に従って第1図の回路の動作を説明する。スイッチS2を閉成すると、オア回路OR0の出力が゛ハイ″となり#2のステップに移行し、撮影者が音声命令を発すると検出回路4の出力が゛ハイ″となり音声データの取り込みが開始する。そして出力ポードOD1からのデータに従って、フィルタFL1〜FLnの出力を順次一定時間毎にA-D変換して取り込みRAM12へ記憶していく。この取り込みは検出回路4の出力が゛ハイ″になってから一定時間行われる。
次にこの取り込まれたデータが雑音か音声かを判別し、雑音のときはスタートにもどり音声のときはデータ処理を行う。このデータ処理は、時間軸及び信号振幅に対する正規化であり、例えば時間軸に対しては音声の開始点から終端までを等分割する方法を用い、信号振幅についてはn個のフィルタ出力の加算平均値と各フィルタの出力の比を取る方法を用いればよい。このようにして音声命令の特徴部を抽出し圧縮されたデータは、デコーダ5からのデータに対応したRAM12のエリアに設定される。こゝで登録する音声命令はどのような単語でもよい。次に#7のステップに移行すると、音声命令が行われて「トオロクOK」という登録が完了したことを知らせる音声が出力される。そして、マイクロコンピュータの動作はスタートに戻る。
従って撮影者はスライドスイッチを所望の位置に設定してスイッチS2を閉成してマイクM1に向かって音声命令を発すると、スライドスイッチの位置に対応したエリアに音声命令の特徴部を抽出したデータが記憶され登録が完了したことが知らされる。(公報第3頁左下欄1行〜右下欄17行)

同じく、刊行物4には、「特に、水平バランス確認手段を供えた立体像撮影装置」に関し、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.上記バランス検出手段5の検出信号は、第3図に示すように、入力インターフェース12を介してCPU13に入力され、このCPU13に於いて上記検出信号に基づいて立体像撮像装置1の傾斜状態が判別される。そして、上記CPU13から傾斜状態に応じて制御信号が出力され、各種の音声合成データがストアされた音声合成データROM14,15,16を選択してそのデータをD/A変換器17に出力する。上記各データROM14,15,16には、例えば、「水平状態です。」,「左に傾いています。」,「右に傾いています。」等の合成音に対応したデータが入力されており、それぞれ上記制御信号によって選択されると、D/A変換器17を介してアナログ音声信号にデコードされた後、アンプ18を経てスピーカ19に出力される。(公報第2頁左下欄5行〜20行)

(4)対比・判断

(4-1)本件発明4について

本件発明4と刊行物2記載の発明とを対比すると、刊行物2に記載された発明は、本件発明4の主要な事項である次の事項Aを備えていないし、刊行物2には、これを示唆する記載もなされていない。

A「音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有する」点。

刊行物2には、上記刊行物2の記載事項アから、音声再生スタート信号発生後の当該音声再生スタート信号が0になるタイミング条件と音声再生時間とが競合している場合には、上記タイミング条件を回避する競合回避手段は記載されているが、「音声発生を開始するタイミング条件」と、「音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件」とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段については記載がなく、また、示唆する記載もない。
なお、刊行物1,3,4のいずれにも上記事項Aは記載されておらず、示唆もない。

そして、上記事項Aにより、本件発明4は、明細書段落【0051】記載の顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、本件発明4は、申立人が提出した刊行物1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4-2)本件発明5について

本件発明5と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明は、本件発明5の次の主要な事項である次の事項Bを具備していないし、刊行物1には、これを示唆する記載もなされていない。

B『カメラの撮影動作における撮影要素動作である「上記シャッタ手段の露光動作」及び「少なくとも上記記録手段の記録終了を条件とする撮影完了」の各タイミングを識別可能な態様で報知するタイミング報知手段を具備する』点。

刊行物1には、上記刊行物1の記載事項ウ,エから、シャッター操作部材の押圧操作、即ちシャッター手段の露光動作と当該露光動作に連動する画像記録を告知させるための告知手段は記載されているが、「シャッタ手段の露光動作」及び「記録手段の記録終了を条件とする撮影完了」の「各タイミング」を「識別可能な態様で」報知するタイミング報知手段については記載がなく、また、示唆する記載もない。
なお、刊行物2,3,4のいずれにも上記事項Bは記載されておらず、示唆もない。

そして、上記事項Bにより、本件発明5は、明細書段落【0051】記載の顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、本件発明5は、申立人が提出した刊行物1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4-3)本件発明6の特許について

本件発明6は、本件発明5を引用しさらに限定事項を付加したものであるから、本件発明5と同様、申立人が提出した刊行物1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。


(5)むすび

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明4ないし6についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明4ないし6についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、
音声発生手段と、
カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、
上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音と、
撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段と、
を具備したことを特徴とするカメラ。
【請求項2】被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、
音声発生手段と、
カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、
上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段とを具備し、
上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とするカメラ。
【請求項3】撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段を有することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】 音声発生手段と、
カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、
上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とするカメラ。
【請求項5】被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段と、
上記シャッタ手段の露光動作に基づいて取り込まれた画像情報を記録する記録手段と、
カメラの撮影動作における撮影要素動作である「上記シャッタ手段の露光動作」及び「少なくとも上記記録手段の記録終了を条件とする撮影完了」の各タイミングを識別可能な態様で報知するタイミング報知手段と、
を具備したことを特徴とするカメラ。
【請求項6】上記タイミング報知手段は、音声発生手段と該音声発生手段を制御して音声を発生せしめる音声制御手段によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載のカメラ。
【請求項7】音声発生手段と、
被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段と、
上記音声発生手段を制御して上記シャッタ手段による露光動作に対応した発音を行うとともに、連写撮影が行われた場合は、上記発音を行う時間を短くする音声制御手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
【請求項8】カメラ本体と、
発音を行うようになされた音声発生手段と、
当該カメラ本体背面で且つ周縁部に位置するように設けられるとともに、前記音声発生手段により発音された音声を撮影者へ伝達するための音声発生用開口部と、
被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段と、
連写撮影が行われた場合、当該連写撮影に関する上記シャッタ手段による露光動作が終了する以前における上記音声発生手段による発音回数が露光動作回数よりも少なくなるように発音制御を行なう音声制御手段と、
有することを特徴とするカメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカメラ、詳しくは機械的な駆動手段を有しない例えば電子スチルカメラ等のカメラに擬似的にシャッタ音を発生させるようにしたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、シャッタ機構に機械的駆動部を有しない、所謂素子シャッタを使用した電子スチルカメラやビデオムービーが供用され始めている。この種カメラでは、シャッタ釦をレリーズした際にシャッタ音が全く生じないから、撮影者はレリーズ操作が行われたか否かを確認することができず、本当に写真が撮れたかどうか不安を感じることになってしまう。
【0003】そこで、上記レリーズ操作に関する情報の他、例えばフィルムの残り枚数とか被写体距離等の各種カメラ情報を音声で出力するようにしたカメラが提案されている。即ち、特開平1-183638号公報記載の“シャッタ音発生機構付電子スチルカメラ”では、シャッタ釦をレリーズしないときには閉状態で撮影レンズ前面を覆う位置にあり、シャッタ釦をレリーズしたときには所定時間開状態となり、且つ開動作時または閉動作時に開閉音を発生させる開閉手段を有するレンズカバーを撮影レンズ前面に配設し、これによってシャッタレリーズ時に擬似的にシャッタ音を発生させるようにしている。
【0004】また、特開昭62-98873号公報記載の“電子スチルカメラの撮影枚数警報装置”では、電子スチルカメラの記録媒体に記録された撮影枚数を検出する検出手段と、該検出手段からの出力により撮影可能な残りの枚数に応じて複数の種類の音を選択的に発生させる手段とを設け、これによって撮影途中で不意に撮影不能に陥ることのないように撮影枚数の警告情報を音声で選択的に出力するようにしている。更にまた、特開昭58-58532号公報記載の“音表示装置”では、量に関する情報をその量に応じた数の順次信号に置換する順次信号発生手段と、順次信号毎に異なる音信号を発生して上記発音手段に与える音信号発生手段とを設け、これによってAF(オートフォーカス)撮影時の被写体距離情報に相当する音声、例えば被写体が近距離に位置するとき“ピ”,中距離に位置するとき“ピポ”,遠距離に位置するとき“ピポパ”を発生するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、撮影レンズを保護するレンズカバーが所定時間開状態となって、レンズカバーの開動作時又は閉動作時に開閉音を発生させる構成により、シャッタレリーズ時に擬似的にシャッタ音を発生させるようにした上記特開平1-183638号公報記載の提案では、機械的開閉手段で擬似音を発声しているので信頼性に乏しく、且つ擬似音の種類も1種類に限られてしまう。
【0006】また、電子スチルカメラの記録媒体に記録された撮影枚数を検出する検出手段と、該検出手段からの出力により撮影可能な残りの枚数に応じて複数の種類の音を選択的に発生させる手段とから、撮影枚数の警告情報を音声で選択的に出力するようにした上記特開昭62-98873号公報記載の提案では、電子スチルカメラにおけるシャッタレリーズ操作を確認するための手段が何等開示されていない。更にまた、量に関する情報をその量に応じた数の順次信号に置換する順次信号発生手段と、順次信号毎に異なる音信号を発生して上記発音手段に与える音信号発生手段とを設け、これによってAF撮影時の被写体距離情報に相当する音声を出力するようにした上記特開昭58-58532号公報記載の提案では、AF撮影時の動作が開示されているのみで、レリーズ操作時における各シャッタ動作に関連したタイミングでカメラのシャッタ音に酷似した擬似音を発声する手段については何等開示されていない。
【0007】そこで本発明は、上述の問題点を解消し、レリーズ操作における各シャッタ動作に関連し多タイミングでシャッタ疑似音を発声させ、これによってカメラの撮影者がレリーズ操作や連写スピード等のカメラ内の各種動作を認識することができるようにしたカメラを提供することを目的とする。
【0008】また、本発明は、上述のようなシャッタ動作に代表される、撮影動作に関する各要素動作の動作タイミングなどの撮影の状態を、カメラの撮影者が的確に、かつ効果的に知ることができるカメラを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明によるカメラは、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段と、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段と、を具備したことを特徴とする また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段とを具備し、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とする。
【0010】また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とする。
【0011】更に、本発明のカメラは、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段と、上記シャッタ手段の露光動作に基づいて取り込まれた画像情報を記録する記録手段と、カメラの撮影動作における撮影要素動作である「上記シャッタ手段の露光動作」及び「少なくとも上記記録手段の記録終了を条件とする撮影完了」の各タイミングを識別可能な態様で報知するタイミング報知手段と、を具備したことを特徴とし、上記タイミング報知手段は、音声発生手段と該音声発生手段を制御して音声を発生せしめる音声制御手段によって構成されていることを特徴とする。
【0012】
【0013】また、本発明のカメラは、音声発生手段と、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段と、上記音声発生手段を制御して上記シャッタ手段による露光動作に対応した発音を行うとともに、連写撮影が行われた場合は、上記発音を行う時間を短くする音声制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】更に、本発明のカメラは、カメラ本体と、発音を行うようになされた音声発生手段と、当該カメラ本体背面で且つ周縁部に位置するように設けられるとともに、前記音声発生手段により発音された音声を撮影者へ伝達するための音声発生用開口部と、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段と、連写撮影が行われた場合、当該連写撮影に関する上記シャッタ手段による露光動作が終了する以前における上記音声発生手段による発音回数が露光動作回数よりも少なくなるように発音制御を行なう音声制御手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。図1は、本発明の第1実施の形態を示すカメラの構成を示すブロック系統図である。この図1は、フロッピディスクに磁気記録するタイプの電子スチルカメラを想定し、CCD等の撮像素子におけるCCD転送路の電荷を排出し、フォトダイオ―ドの蓄積電荷を同転送路に読み出すようにした素子シャッタを想定しているから、従来のメカシャッタのようなシャッタ音を何等生じない。そこで、マイコン内にシャッタ擬似音の発声タイミング調定手段を設け、従来のシャッタ音に酷似した、例えば、“カシャン”という擬似音を3音節“カ”と“シャ”と“ン”に分けてEEPROM等の記憶手段にそれぞれメモリし、シャッタが開かれると、マイコン内の発声タイミング調定手段により先ず第1音節の“カ”を読出して発声する。
【0016】そして、シャッタが開かれている期間中に亘って第2音節“シャ”を、シャッタが閉じると第3音節の“ン”をそれぞれ発声する。そこで、シャッタ速度が速いときは“カシャン”、遅いときは“カシャーン”を、実際のカメラ動作に同期して発声するようにしている。従って、素子シャッタを用いたカメラのみに限らず、後記図5に示す物性シャッタを用いたカメラ等にも適用して有効なものである。
【0017】図1において、撮影レンズ1を透過した被写体光は、絞り機構2でその光量を調節されてCCD等の撮像素子3の受光面に導かれ、同素子3で光電変換されて映像信号として出力される。この映像信号は、撮像プロセス回路4,記録プロセス回路5で所要の信号処理が行われた後、磁気ヘッド,フロッピディスク,駆動モータ等から構成されている記録再生装置6に印加されて磁気記録される。一方、再生時には同記録再生装置6から読出した信号を再生プロセス回路7を介して出力するようになっている。また、SSG(同期信号発生器)8から出力された同期信号が、イメージャドライバ9を介して撮像素子3に供給されている。
【0018】上記カメラ内各回路の動作シーケンスを司るシーケンスコントローラとして作動するマイコン10は、その内部に発声タイミング調定手段10aが内蔵されていて、後述するカメラ本体に装着されたトリガスイッチ,連写モードスイッチ,録音スイッチ,消去スイッチ,音声選択スイッチ等の操作スイッチ群16からの操作信号を入力されると、上記記録プロセス回路5,記録再生装置6,イメージャドライバ9に制御信号を出力するようになっている。
【0019】また、上記マイコン10は、予め記録された音声をディジタルデータの形でメモリする電気的に再書込み可能なEEPROM11,ディジタルデータをアナログデータに変換するD/Aコンバータ12とバスラインで相互に接続され、これによって、データや制御信号の双方向授受が行えるようになっている。上記D/Aコンバータ12から出力されたアナログ信号は、LPF(ローパスフィルタ)13でその高域成分が除去されてオーディオ信号になった後、オーディオアンプ14を介してスピーカ15から音声として出力される。そして、上記マイコン10,EEPROM11,D/Aコンバータ12,LPF13,アンプ14,スピーカ15が本発明の要旨部分を構成している。
【0020】このように構成された本発明の実施の形態に係るカメラの外観を図2,図3により、このカメラの光学系の配置を図4,図5より、それぞれ説明する。
【0021】図2は、本発明の第1実施の形態を示すカメラの外観を示す斜視図である。図において、電子カメラ21の前面21aの略中央に撮影レンズ1が配設され、同レンズ1の上方にファインダ窓22,マイク23,ストロボ発光窓24がそれぞれ配設されている。また、同カメラ21の上面21bには、向かって左よりレリーズ釦25,各種コントロールスイッチ26a,26b,26c,コントロールディスプレイ27,各種コントロールスイッチ26d,26eがそれぞれ配設されている。更にまた、同カメラ21の右側面21eにはスチルビデオフロッピディスク(SVF)28が挿脱される媒体挿入孔29が配設されている。
【0022】図3は、上記図2に示すカメラを天地逆にして裏返した、つまり底面21dを上方に、背面21cを前方にして示した斜視図である。図において、カメラ21の背面21cには中央下方寄りにファインダ覗き窓22aが配置されている。またその左方(即ち、同カメラ21の背面21cの左側下方寄り)にスピーカ音発声用開孔31が配設されている。
【0023】また、同カメラ21の底面21dには、音声を切換えて選択するロータリスイッチ32が配設されていて、“SILENT”〜“OPTION SET”に機能切換するようになっている。この“SILENT”は消音機能,“SOUNDA”,“SOUND B”,“SOUND C”はそれぞれの擬似音を選択する機能、“OPTION SET”はカメラの操作者が自分の好みの音を録音する機能、そして“SOUND OPTION”は上記“OPTION SET”で録音された音声を発声する機能である。
【0024】次に、このような外観を有する本発明に係るカメラの光学系の構成を図4,図5により説明する。図4は、電子スチルカメラの光学系の配置図である。一般に電子スチルカメラでは、1フレームが2フィールドで構成されているので、記録,再生する場合、フィールドモードとフレームモードとを切換えて使用できるようになっている。そしてフィールドモードで記録する際は素子シャッタのみでシャッタコントロールすることができるが、フレームモードで記録する際には、現在の技術では素子シャッタと機械シャッタとを併用せざるを得ない。そこで、図4に示す電子スチルカメラでは、撮影レンズ1の後方に絞り機構2,シャッタ機構33を、更にその後方に光学フィルタ34,撮像素子3を、それぞれ配設するようになっていて、上記絞り機構2を絞りコントロール36で、またシャッタ機構33をシャッタコントロール35でそれぞれ制御する。今、この電子スチルカメラをフレームモードで使用する場合、機械シャッタも作動するのでシャッタ音を聞くことができるが、フィールドモードで撮影しようとすると、機械シャッタは開放されていて素子シャッタのみでシャッタ動作が行われるからシャッタ音を聞くことができない。
【0025】図5は、物性シャッタを用いたカメラの光学系の配置図である。このカメラの液晶絞りシャッタは、印加電圧の状態を時間制御することによって液晶セルを光透過状態と非光透過状態に変化させ、任意のシャッタ速度を得ることができると同時に、電圧印加の面積を変化させることにより絞り機能を得ることができるようになっていて、液晶絞りシャッタ37と液晶絞りシャッタコントロール38とで制御するようになっている。従って、この場合もカメラの操作者はシャッタ音を聞くことができない。以上が本発明の第1実施の形態に係るカメラの外観とその光学系の配置の説明で、後述する第2実施の形態以下でも上記と同様の外観と光学配置になっているので、第2実施の形態以下ではその説明を省略する。
【0026】次に、この第1実施の形態の動作を図6,図7により説明する。図6は、上記図1に示した本発明の第1実施の形態における各部の動作のタイミングチャートで、図7はそのフローチャートである。この第1実施の形態では、シャッタ音のしないカメラにおいて、予めEEPROM11(図1参照)に格納され実際のシャッタ音に近い機械語、例えば“カシャーン qa sha chan”をレリーズ動作に対応して発声するようになっている。即ち、通常露光で例えば1/125秒ならその時間幅の擬似音“カシャン”を発声する。また、シャッタ開からの入射光量を積分し所定量に達した時点でシャッタを閉じて露光を終了する、所謂ダイレクト測光方式におけるシャッタ動作の場合は、シャッタ開時間に応じて、シャッタ開時間が長ければ“カシャーン”というようなシャッタ動作のタイミングに合致した擬似音を発声する。そして、このような擬似音は、後述する単音節毎に前記図1のEEPROM11に予めディジタル信号としてメモリされており、これを読出してスピーカ15から出力するようになっている。また、単写モードと連写モードの何れの撮影モードにも対応できるが、図6では、説明を分り易くするるために単写モードで、図7では連写モードを含めた形でそれぞれ説明する。
【0027】図6において、レリーズ釦が全押しされてトリガ信号41が送出されると、これに応動して撮影の開始あるいは終了を知らせる疑似音“P(ピ)”42が出力される。次いで、シャッタが開かれるとアクティブLのシャッタ開信号43が出力されるので、この信号43の立下がりエッジに同期して3音節からなるシャッタ擬似音“qa sha chan”の第1音節の擬似音“qa(カ)”44が送出される。この擬似音“qa”44の終了に引続いて、第2音節の擬似音“sha(シャー)”45が送出されるが、この擬似音“sha”45は、上記シャッタ開信号43がアクティブの間送出され続けている。シャッタ動作が終了してシャッタ開信号43がノンアクティブのHレベルに戻ると、擬似音“sha”が終了し、今度は第3音節の擬似音“chan(シャン)”46が短時間送出される。
【0028】このようにして、実際のカメラのシャッタ動作に関連したタイミングで擬似音“qa sha chan”が発声される。その後、フロッピディスクカメラでは、次のトラックをアクセスするトラックアクセス信号47が可成りの時間幅に亘ってアクティブLとなり、これによってトラックアクセスが行われる。
【0029】そして、トラックアクセス信号47が終了すると、撮影の終了を知らせる擬似音“P”48が送出されて一連の擬似音発声が終了する。次に、以上の動作を図7のフローチャートにより説明する。なお、図7,図10のフローチャート中の例えば“P!”の“!”は音声を発声する符号として用いている。
【0030】図7において、撮影の開始を知らせる擬似音“P!”42が送出されると(ステップS1)、ステップS2に進んで“シャッタ開”信号43が送出されるまで待機する。同信号43が送出されると、ステップS3に進んで第1音節の擬似音“qa!”を発声してステップS4,S5に進む。このステップS4,S5では、シャッタが閉じるまで第2音節の擬似音“sha”を発声し続ける。シャッタが閉じると、第3音節の擬似音“chan”を送出(ステップS6)した後、ステップS7に進んでトラックアクセスが終了するまで待機し、トラックアクセスが終了すると、ステップS8に進んで連写モードか否かが判断される。そして、単写モードならステップS9に進んで撮影の終了を知らせる擬似音“P!”を発声してエンドとなる。
【0031】また、連写モードならステップS10に進んでシャッタトリガ釦が撮影者により押下され続けているか否かが判断され、押下され続けていれば上記ステップS2にリターンするし、トリガ釦が押下されていなければ、上記ステップS9に進み、エンドとなる。以上が本発明の第1実施の形態を示すカメラにおけるシャッタ動作に関連したタイミングで送出されるシャッタ擬似音を発声する動作の説明である。
【0032】なお、上記第1実施の形態では、シャッタ擬似音に関しては、録音機能を有しないので、EEPROM11はマスクROM等に置換することができる。
【0033】次に、本発明の第2実施の形態を説明する。図8〜図10は、本発明の第2実施の形態を示すカメラのブロック系統図,タイミングチャート,およびフローチャートである。上記第1実施の形態では、予めEEPROM11(図1参照)に格納されている機械音を読出して擬似シャッタ音として使用しているが、この第2実施の形態では、上記機械音を読出す他、撮影者の好みの任意の音声、例えば“撮れた”を録音して登録しておき、この登録擬音をシャッタ動作に関連したタイミングで発生することもできる。そして、この第2実施の形態では、上記第1実施の形態と同じ構成部材あるいはルーチンには同じ符号を付してその説明を省略し、登録擬音の発声等、上記第1実施の形態と異なる点についてのみ以下に説明する。
【0034】なお、撮影者の好みの擬似音を集音するマイクは、SVシステムの記録媒体への音声記録用のマイクと兼用することもでき、スピーカについても同様である。また、マイク以外の外部入力端子からのオーディオ信号を入力したり、SVシステムの記録媒体に既に記録されている音声を入力したりして登録擬音として用いることもできる。
【0035】図8において、マイク23で集音された音声信号は、LPF13aを介しA/Dコンバータ17に印加されてディジタルデータに変換される。そして、同データは、バスラインを介してEEPROM11に登録擬音として格納される。このような構成の任意音録音機能によって録音された登録擬音は、当然のことながら、撮影者の好みによるから、その長さが一定せず、長い場合が多いと考えられる。つまり、上記第1実施の形態における図6のように、ランダムな時間幅のシャッタ開信号43がLアクティブの時間中に発声し終ることは難しいので、シャッタ動作が終了した図9における時刻t1から登録擬音“SOUND 1”49を発声し始めるようにしている。従って、登録擬音の終了時点が次の撮影シーケンスにかかる場合も当然生じることになってしまう。特に、連写時、例えば毎秒5枚の連写を行う場合など、連写終了時までに、登録擬音を2〜3回しか発声できない場合が想定される。そこで、この第2実施の形態では、登録擬音の発声回数で撮影枚数を撮影者に知らせることとし、このため撮影枚数と登録擬音の発声回数との差を後述する変数パラメータMにメモリするようにし、連写終了時に上記変数パラメータMに格納されている未発声回数を読出して未だ発声していない登録擬音を纏めて繰返し発声するようにしている。
【0036】このような動作を図10のフローチャートにより以下に説明する。図10において、このフローがスタートすると、ステップS11で撮影枚数と既に発声された登録擬音の発声回数との差をメモリする変数パラメータMをリセットしてステップS12に進む。このステップS12のサブルーチン“音声設定”は、後記図13でその詳細を説明するが、撮影の状態に関連して登録擬音に変調を与えるようになっている。そして、ステップS1に進んで撮影の開始を知らせる擬似音“P”を発声した後、ステップS2,S5で“シャッタ開”および“シャッタ閉”が順次実行されるのを待機し、シャッタが閉じられたらステップS13に進む。
【0037】ステップS13では、上記変数パラメータMに1を加算した後、ステップS14に進んで登録擬音を“発音中”か否かを判断する。“発音中”であるならステップS17に進むし、“発音中”でなければステップS15に進んで変数パラメータMの内容から1を減じた後、登録擬音・SOUND・を発声(ステップS16)してステップS17に進む。今の場合、上記ステップS11で変数パラメータMをクリアしてスタートした第1回目の撮影なので、当然ステップS14からステップS17へのジャンプは行われないことになる。
【0038】上記ステップS13〜S16の動作を換言して説明すると、前回の撮影が終了したことによる登録擬音“SOUND”を発声中(ステップS14参照)なら、今回の撮影が終了しても登録擬音“SOUND”を発声しない代わりに変数パラメータMの内容に1を加算(ステップS13参照)しておく。一方、前回の撮影が終了したことによる登録擬音“SOUND”が既に発声し終って(ステップS14参照)いれば、変数パラメータMに1を加えて(ステップS13参照)1を減ずる(ステップS15参照)、つまり変数パラメータMのメモリ内容を修正せずに、登録擬音・SOUND・を今回の撮影が終了した表示用として発声(ステップS16参照)する。
【0039】ステップS17では、今回の撮影が終了し、次回の撮影を行うためのトラックアクセスが終了するまで待機する。そして、ステップS8に進んで“連写モード”か否かを判断し、連写モードでない、つまり単写モードならエンドとなるし、“連写モード”ならステップS9に進む。このステップS9では、撮影者がトリガ釦を引続きオンしているか、あるいはオフになっているかを判断し、オフならステップS22,S23に進んで、上記変数パラメータMの内容を調べ、M=0なら直ちにエンドとなるし、Mが0でなければ、登録擬音の発声残しがM回あることになるので、これを発声してエンドとなる。一方、上記ステップS9でトリガ釦が引続きオンされ続けていれば、連写モードでなお撮影中と考えられるから、ステップS18,S19に進んで先ず前回撮影時の登録擬音を発声中か否か、更にM=0か否か、をそれぞれ判断する。そして、“Y”ならステップS2に戻って上記動作を繰返し実行するし、“N”ならステップS20,S21に進んで変数パラメータMの内容から1を減じた上で、登録擬音・SOUND・を1回発声して上記ステップS2にリターンする。以上が第2実施の形態の動作の説明である。
【0040】なお、この例では、登録擬音の発声タイミングとしては、動作終了時点としたが、シャッタ動作開始時点や露光中の任意の時点あるいはトリガ信号発生直後等とすることも勿論可能である。
【0041】次に、本発明の第3実施の形態を図11と図12とにより説明する。SVF規格では、映像信号が記録されるべきトラックに、映像に代えて音声を記録することもできるというフォーマットがある。あるいはこれと同様のフォーマットを有する固体メモリカードを用いる電子スチルカメラも提案されており、これらのカメラにおいては、上記第1,2実施の形態のように予め登録されている機械音、あるいは撮影者の好みの登録擬音をそれぞれ発声する他に、カメラ側の上記メモリカード、つまり自己に内蔵する映像・音声記録再生用媒体からの音声出力をEEPROM等のメモリ手段に記録して同メモリ手段から読出して擬似音として発声することもできる。このような方式を本発明の第3実施の形態として図11により以下に説明する。なお、この第3実施例では、上記第1,2実施の形態と同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0042】図11は、本発明の第3実施の実施の形態を示すカメラの構成を示すブロック系統図である。図において、記録再生装置6から読出された音声信号は、再生プロセス回路7,LPF13aを介してA/Dコンバータ17に供給される。同コンバータ17で上記音声信号をディジタルデータに変換した後バスラインを通してEEPROM11に格納する。そこで、この第3実施例では、マイク23を省略することができる。
【0043】図12は、上記第3実施の実施の形態の変形例の構成を示すブロック系統図である。この例は、記録媒体として固体メモリカードを用いたものであり、記録再生装置6、再生プロセス回路7から取出されたアナログオーディオ信号は、もとは固体メモリカード18中のディジタルデータなので、第12図に示すようにこのディジタルデータをダイレクトにアドレスをアクセスし、バスラインを通じてEEPROM11に格納すれば、上記図11で必要としたLPF13aやA/Dコンバータ17が不要となる。
【0044】以上述べた図11,図12の第3実施の形態によれば、構成部材を少なくできるので、構成の簡略化とコスト低下を図ることができる他、SVF,固体メモリカード等の自己に格納して用いる映像・音声記録再生用外部媒体からの音声出力も擬似音として使用することができるから、擬似音の多様化を図ることができる。
【0045】上記各実施の形態は、シャッタ動作に関連したタイミングでシャッタ擬似音を発声する例を述べたが、例えば連写時の撮影速度のようなものを、撮影の状態に関連した上記擬似音の音の高さに変えて発声することもできる。
【0046】これを本発明の第4実施の形態として図13のフローチャートにより以下に説明する。なお、この図13は、前記第2実施の形態のフローを示す図10におけるステップS12のサブルーチン“音声設定”のフローチャートである。そこで、前記第2実施の形態と同じように登録擬音“撮れた”を連写スピードに合わせて“撮れた,撮れた”と連呼する例で説明する。ところで、この第4実施の形態では、擬似音をEEPROM11から直接読み出すのでなく、EEPROMのメモリデータを一度マイコン10のRAMにメモリし、同RAMから読出すようになっている。(第1〜3の実施の形態についても、このような方式をとることは設計上自然である。但し、必須ではない。)
図13において、サブルーチン“音声設定”がスタートすると、ステップS31に進んでマイコン10のRAM領域のうち擬似音のメモリ用に割当てられている領域をクリアしてステップS32に進む。ステップS32では後述するパラメータPをリセットした後、ステップS33に進んで“消音モード”か否かを判断し、消音モードなら直ちにリターンするし、“消音モード”でなければ、ステップS34に進む。このステップS34では、音声選択キーを調べて読込み、対応するROMデータをEEPROM11から読出してマイコン10のRAM領域に格納する(ステップS35)。そして、ステップS36に進んで“連写モード”か否かを判断し、“連写モード”でないつまり単写モードならリターンするし、連写モードならステップS37に進んでパラメータPを設定してリターンする。この“P設定”のルーチンを、以下詳細に説明する。
【0047】前記第2実施の形態のブロック構成を示す図8に戻って、撮影者の好みの擬似音、例えば“撮れた”をA/Dコンバータ17でA/D変換してディジタデータにする際の変調サンプリングレートを、今20KHzとする。このサンプリングレートでディジタル値に変調されEEPROM11に格納されている登録擬音を読出して発声する場合、D/Aコンバータ12で復調してアナログデータにする復調サンプリングレートを上記パラメータPに応じて変える。即ち、第1表に示すように、単写モードで撮影する際はパラメータPを0にする、即ち、D/Aコンバータ12の復調サンプリングレートが、変調サンプリングレートと同じ20KHzに設定されるので、シャッタ動作終了時に発声される登録擬音“撮れた,撮れた”は、登録時と同じ音調で発声されることになる。
【0048】連写時には、第1表に示すように、その連写速が低速LのときはパラメータPを1に、中速Mなら2に、高速Hなら3に、それぞれ設定する。このパラメータPの値に応じてD/Aコンバータ12の復調サンプリングレートを24KHz,28KHz,32KHzと順次上げているので、スピーカ15から発声されるシャッタ擬似音“撮れた,撮れた”は、連写速が高速になる程、音調が高くなり、且つ早口の発声になる。そこで、この第4実施の形態によれば、シャッタ終了擬似音の音の高さと、その発声テンポとから連写速度を知ることができる。そして、連写速が高速になる程、シャッタ終了擬似音が早口に発声されるから、シャッタ終了擬似音を短時間内に発声してしまうことができることになる。
【0049】以上述べたようにこの第4実施の形態によれば、シャッタ動作の終了をその動作に関連したタイミングの擬似音によりユーザに認知させることができると共に、連写速の高低を始めとして、その他の撮影の状態に関連した情報をも擬似音に与えられた変調により伝達することができる。
【0050】なお、以上全ての説明に亘って、機械的なシャッタ機構を有しないカメラとして、電子スチルカメラ等の電子撮像装置のみを例示してきたが、本発明はそれに限定されることなく、例えば物性シャッタを用いた銀塩フィルムカメラ等にも適用可能であり、また必要に応じてムービータイプのビデオカメラにも適用することができる。また、ここまで特に触れてはいなかったが音声を電気的手段により発生させているので、消去に限らず音量のコントロールが可能であることは勿論である。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、電子スチルカメラなどにおいて、レリーズ操作における各シャッタ動作に関連したタイミングでシャッタ疑似音を発声させ、これによってカメラの撮影者がレリーズ操作や連写スピード等のカメラ内の各種動作を認識することができるようにするとともに、上述のようなシャッタ動作に代表される、撮影動作に関する各要素動作の動作タイミングなどの撮影の状態を、カメラの撮影者が的確に、かつ効果的に知ることができ、しかも機械的な要素を用いないので、耐久性が高く、安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態を示すカメラの構成を示すブロック系統図、
【図2】上記図1の構成を有するカメラの外観を示す斜視図、
【図3】上記図1の構成を有するカメラの外観を示す斜視図、
【図4】素子シャッタを用いた電子スチルカメラの光学系の配置図、
【図5】物性シャッタを用いたカメラの光学系の配置図、
【図6】上記図1に示したカメラの各部動作のタイミングチャートとフローチャート、
【図7】上記図1に示したカメラの各部動作のタイミングチャートとフローチャート、
【図8】第2実施の形態を示すカメラの構成を示すブロック系統図、
【図9】上記図8に示したカメラの各部動作のタイミングチャート
【図10】上記図8に示したカメラの動作フローチャート
【図11】第3実施の形態を示すカメラの構成を示すブロック系統図、
【図12】第3実施の形態の変形例のブロック系統図、
【図13】上記図10におけるサブルーチン“音声設定”のフローチャートである。
【符号の説明】
10a:発声タイミング調定手段
15 :スピーカ(発声手段)
21 :電子カメラ
21c:カメラ背面
22a:ファインダ覗き窓
31:スピーカ音声発生用開孔
 
訂正の要旨 a.特許明細書の請求項1を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。これに伴ない、削除した請求項1に従属する請求項3を新たな請求項1として、独立形式の記載の「被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段と、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段と、を具備したことを特徴とするカメラ。」に訂正する。
b.特許明細書の請求項2の「上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。」を、上記請求項1の削除に伴ない、削除した請求項1に従属する請求項2を新たな請求項2として、独立形式の記載の「被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段とを具備し、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とするカメラ。」に訂正する。
c.特許明細書の請求項3の「撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。」を、上記請求項1の削除に伴ない、上記新たな請求項2に従属する形式の記載の「撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段を有することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。」に訂正する。
d.特許明細書の請求項4の「上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応したタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一日完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、」に訂正する。
e.特許明細書の請求項7を削除する。また、これに伴ない、請求項8及び請求項9を順次繰り上げて新たな請求項7及び請求項8に訂正する。
f.特許明細書中の段落【0009】の「【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明によるカメラは、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行うシャッタ手段の少なくとも一部として、機械的手段によらず上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じる電子シャッタ手段を有するカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における ▲1▼シャッタ閉状態から開状態への切り換え動作 ▲2▼シャッタ開状態 ▲3▼シャッタ開状態から閉状態への切り換え動作等の各シャッタ動作を行う上記電子シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、を具備したことを特徴とし、また、上記各シャッタ動作に対応した音声を録音するための録音手段を有する。更に、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とし、また、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与えうる変調手段を有することを特徴とする。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明によるカメラは、被写体像受容蓄積期間の調定たる露光期間制御を行なうシャッタ手段の少なくとも一部として、上記被写体像の受容蓄積に対する調定作用を生じるシャッタ手段を有したカメラであって、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段と、撮影の状態に関連して上記録音された音声に変調を与える変調手段と、を具備したことを特徴とする。また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における上記シャッタ手段の制御状態に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記シャッタ動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段と、上記音声制御手段により発生せしめるシャッタ動作に対応した音声を、録音するための録音手段とを具備し、上記録音手段は、自己の撮影画像記録媒体である映像・音声記録再生用媒体に記録された音声を録音する、自己録音手段を有することを特徴とする。」に訂正する。
g.特許明細書中の段落【0010】の「また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応したタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とする。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「また、本発明によるカメラは、音声発生手段と、カメラの撮影動作における各撮影要素動作に対応したタイミングで上記音声発生手段を制御して上記各撮影要素動作に対応した音声を発生せしめる音声制御手段とを具備し、上記音声制御手段は、上記各撮影要素動作に対応して音声発生を開始するタイミング条件と、上記各撮影要素動作に対応した音声発生を少なくとも一旦完結せしめるための必要時間条件とが競合している場合には、上記タイミング条件を緩和して上記競合を回避する競合回避手段を有することを特徴とする。」に訂正する。
h.特許明細書中の段落【0012】の「更にまた、本発明のカメラは、音声を入力する音声入力手段と、音声データをディジタル値として記憶するための電気的に書き換えが可能な記録手段と、上記音声入力手段によって入力された音声データを上記記憶手段に記憶するための録音手段と、上記記憶手段に記憶された音声データをD/A変換することにより得られたデータに基づいて音声を発生せしめる音声発生手段と、撮影の状態に関連して上記音声発生手段を制御する音声制御手段と、を具備したことを特徴とする。また、上記音声制御手段が制御する発音機能を達成するための選択手段を更に備えている。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。
異議決定日 2003-03-28 
出願番号 特願2000-78681(P2000-78681)
審決分類 P 1 652・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 橋本 恵一
小松 正
登録日 2002-02-08 
登録番号 特許第3276110号(P3276110)
権利者 オリンパス光学工業株式会社
発明の名称 カメラ  
代理人 鈴木 章夫  

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