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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C25C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C25C
管理番号 1079722
異議申立番号 異議2002-71396  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-08-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-06-04 
確定日 2003-06-23 
異議申立件数
事件の表示 特許第3234979号「溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3234979号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 I.本件発明
特許第3234979号(平成11年2月8日出願、平成13年9月28日設定登録)の請求項1〜5に係る発明(以下、「本件発明1〜5」という)は、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】電解槽の蓋体を貫通して電解槽内の溶融塩浴に浸漬され、一方が熱交換用流体の導入管とされ、他方がその流体の導出管とされた一対の縦管と、一対の縦管の間を繋いで前記流体を流通させる複数本の横管により構成され、一対の縦管の間に空間が形成されるように、複数本の横管が一対の縦管の間を避けて両側に分割配置された伝熱部と、一対の縦管の間に形成された空間に、複数本の横管に囲まれて配置された浴面レベル制御用のタンクとを具備することを特徴とする溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。
【請求項2】前記タンクは一対の縦管と接続されて溶融塩浴中に支持されることを特徴とする請求項1に記載の溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。
【請求項3】前記タンクと一対の縦管を接続する一組の接続部のうちの少なくとも一方、及び/又は一対の縦管と前記蓋体を接続する一組の接続部のうちの少なくとも一方が、横管の長手方向の変位を吸収できる可動構造であることを特徴とする請求項2に記載の溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。
【請求項4】前記タンクには、複数本の横管を支持する支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。
【請求項5】前記電解槽の蓋体を貫通して前記タンクに接続され、前記タンクに対して浴面レベル制御用流体の供給及び排出を行う給排管と蓋体の接続部が、給排管の長手方向の変位を吸収できる可動構造である請求項1、2、3又は4に記載の溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。」

II.異議申立ての理由の概要
異議申立人は、甲第1号証〜甲第7号証を提出し、「本件発明1は、甲第1号証の(1)に記載された発明であり、また、本件発明1〜5は、甲第1号証の(1)〜甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものであり、また、本件発明1〜5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、取り消されるべきである。」旨主張する。
(なお、異議申立書等で使用された証拠方法の表記としての丸数字は、上記の如く、( )付数字で代替表示した。以下も同じ。)
そして、異議申立人が甲第1号証の(1)として提出した米国特許第5660710号明細書(その訳文が甲第1号証)及び甲第2号証として提出した特開昭59-6389号公報には、以下の事項が記載されている。(なお、甲第3号証〜甲第7号証の記載事項については省略する。)
1.甲第1号証の(1);
溶融塩を電気分解することにより溶融金属を製造するための装置について記載され(1欄4〜12行参照)、特に、金属回収室18には、下部が開放され不活性ガスの入口/出口52を有し、セル10内の電解浴50のレベルを調整するためのリザーブ46が設けられ、さらに、熱交換器72の横管70によって構成される少なくとも2つの水平バッフル66、68が配設されること(5欄1〜26行参照)、また、熱交換器72は注入口74、排出口76、マニホールド78、横管70から構成されること(5欄27〜29行参照)が記載され、そして、Fig.1〜4には、それらの装置構造が図示されている。
2.甲第2号証;
溶融塩電解槽の高さ制御装置22は、空気をジャケット71に導入して、熱交換装置として作用するに必要なパイプ72、74で両端を支持した水平ジャケット被覆筒状容器76を含むものであること(第5頁右上欄6〜19行、Fig.2参照)が記載されている。

III.当審の判断
1.本件発明1について
甲第1号証の(1)の記載事項によれば、甲第1号証の(1)には、「電解槽の蓋体を貫通して電解槽内の溶融塩浴に浸漬され、一方が熱交換用流体の注入口74、他方がその流体の排出口76とされた一対の縦管と、一対の縦管の間を繋いで前記流体を流通させる複数本の横管70により構成され、一対の縦管の間の一部に空間が形成されるように、複数本の横管が一対の縦管の下部近傍において上下方向に分割配置された少なくとも2つの水平バッフル66、68からなる伝熱部と、該水平バッフル66、68(複数本の横管70)の上方位置に配置された浴面レベル制御用のリザーブ46とを具備することを特徴とする溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。」が記載されているといえる。
そこで、本件発明1と甲第1号証の(1)に記載された発明とを比較すると、両者は、「電解槽の蓋体を貫通して電解槽内の溶融塩浴に浸漬され、一方が熱交換用流体の導入管とされ、他方がその流体の導出管とされた一対の縦管と、一対の縦管の間を繋いで前記流体を流通させる複数本の横管により構成され、一対の縦管の間に空間が形成されるように、複数本の横管が分割配置された伝熱部と、一対の縦管の間に形成された空間に配置された浴面レベル制御用のタンクとを具備することを特徴とする溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置。」で一致する。
しかしながら、本件発明1では、浴面レベル制御用のタンクが、「複数本の横管に囲まれて配置された浴面レベル制御用のタンク」であるのに対して、甲第1号証の(1)に記載されたものは、浴面レベル制御用のタンクが、複数本の横管に囲まれて配置されておらず、複数本の横管の上方位置に配置されている点(以下、「相違点1」という)で、また、本件発明では、複数本の横管が「一対の縦管の間を避けて両側に」分割配置されているのに対して、甲第1号証の(1)に記載されたものでは、複数本の横管が「一対の縦管の下部近傍において上下方向に」分割配置されている点(以下、「相違点2」という)で両者は相違する。
なお、異議申立人は、上記相違点1に関連し、「甲第1号証の(1)に記載された浴面レベル制御用のタンク(リザーブ46)は、複数本の横管に囲まれて配置されているから、その配置は本件発明1のそれと異なるものではない」(異議申立書第20頁11〜14行参照)旨主張するが、甲第1号証の(1)のFig.1の記載からも明らかなように、浴面レベル制御用のタンク(リザーブ46)は、その下面が、複数本の横管70からなる水平バッフル66の上面に対向して設けられているに過ぎず、このような位置関係、即ち、複数本の横管の上方位置、にある浴面レベル制御用のタンク(リザーブ46)を、複数本の横管に囲まれて配置されているものであるとは到底認めることはできないから、異議申立人の前記主張は失当である。
そこで、まず、上記相違点1について、甲第2号証〜甲第7号証の記載から容易に想到し得るか否かを検討する。
甲第2号証に記載される高さ制御装置22(本件発明1の「浴面レベル制御用のタンク」に相当)は、ジャケット71に空気を導入して、熱交換装置として作用させる水平ジャケット被覆筒状容器76を含むと記載されていることから、甲第2号証には、熱交換用ジャケットを一体構造として備えた浴面レベル制御用のタンクが開示されていることは認められる。
しかしながら、当業者の技術常識からみて、「熱交換用ジャケット」が、一般的に「熱交換用の複数本の横管」を意味するものとは認められず、そしてこのことは、甲第2号証のFig.2において、ジャケットの具体的構造として、複数本の横管が用いられていないことからも明らかであり、さらに、甲第2号証に記載されるものでは、浴面レベル制御用のタンクと一体構造の熱交換用ジャケットにより熱交換が行われるのであるから、熱交換用ジャケットに代えて、複数本の横管を設ける技術的必然性があるともいえない。
そうすると、甲第2号証には、熱交換用ジャケットを一体構造として備えた浴面レベル制御用のタンクが開示されるにとどまり、複数本の横管で熱交換を行うことについての開示乃至示唆があるとはいえないばかりか、浴面レベル制御用のタンクを複数本の横管で囲むことについての開示乃至示唆があるともいえない。
そして、甲第3号証〜甲第7号証に、上記相違点1についての開示乃至示唆があるわけでもない。
そうであれば、甲第1号証の(1)に記載された浴面レベル制御用のタンクを、「複数本の横管に囲まれて配置された浴面レベル制御用のタンク」とするという相違点1は、甲第2号証〜甲第7号証の記載からでは当業者が容易になし得たものと認めることはできず、そして、本件発明1は、上記相違点1をも発明特定事項とすることにより、「本発明の溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置は、浴温制御用の熱交換器の内側に浴面レベル制御用のタンクを組み合わせた一体構造を採用するので、両者を並列配置する場合よりも装置規模を小型化でき、電解槽の小型化を可能にする。また、熱交換器とタンクの間で蓋体を共用するので、蓋体の分割による電解槽の気密性低下を防止できる。」(本件明細書【0045】参照)という明細書記載の効果を奏するものである。
よって、相違点2については検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証の(1)に記載された発明と認められないばかりか、甲第1号証の(1)及び甲第2号証〜甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。
2.本件発明2〜5について
本件発明2〜5は、本件発明1の発明特定事項の全てを、それらの発明特定事項として備えるものであるから、本件発明1について述べたと同様な理由により、本件発明2〜5は、甲第1号証の(1)及び甲第2号証〜甲第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

IV.むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件発明1〜5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-05-22 
出願番号 特願平11-30430
審決分類 P 1 651・ 113- Y (C25C)
P 1 651・ 121- Y (C25C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 有田 恭子  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 川真田 秀男
中西 一友
登録日 2001-09-28 
登録番号 特許第3234979号(P3234979)
権利者 住友チタニウム株式会社
発明の名称 溶融塩浴の浴温・浴面レベル制御装置  
代理人 生形 元重  
代理人 秋山 敦  
代理人 吉田 正二  
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