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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A01H |
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管理番号 | 1080578 |
審判番号 | 不服2000-4015 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-09-17 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-03-23 |
確定日 | 2003-08-06 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第 75576号「ユーカリ属植物の苗条原基集塊及びその製造方法並びにユーカリ属植物の増殖方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 9月17日出願公開、特開平 5-236832、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
本願は、平成4年2月27日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年4月24日受付の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「ユーカリ属植物から葉部を切り出し、無機塩類組成物および植物ホルモンとして1-(2-クロル-4-ピリジル)-3-フェニル尿素を添加した人工液体培地に移植し、15〜30℃の温度で、下辺が1,000〜2,000ルクスで上辺が10,000〜20,000ルクスの照度下に、かつ0.5〜10rpmの回転数にて竪型回転培養してユーカリ属植物の苗条原基集塊を得、次いで該苗条原基集塊を静置培養により苗化させてユーカリ属植物を遺伝的に安定な状態で大量に増殖することを特徴とする、ユーカリ属植物の増殖方法。」 これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された、特開平4-4828号公報(以下、「刊行物1」という)には、ユーカリ属植物の茎頂部を切り出し、人工液体培地に移植し、培養してユーカリ属植物の苗条原基集塊を得ることが記載されているが、葉部から苗条原基集塊を得ることは記載も示唆もなく、ユーカリ属植物の培地に、請求項1記載の特定の化合物を添加することも具体的に記載されていない。 同じく、「農業および園芸」第63巻 第1号(1988年)133〜137頁(以下、「刊行物2」という)には、キウイフルーツの葉片組織をN-(2-クロル-4-ピリジル)-N’-フェニルウレア(本願請求項1記載のフェニル尿素と同一)を含む培地においた場合にシュートマス状に多数のシュートや奇形葉が形成されることが図2と共に記載され、キウイフルーツの葉部から苗条原基が形成される場合のあることが示されているが、「キウイフルーツの組織培養は比較的多くの成功例がみられ、果樹のなかでは培養が容易なものの1つであろう。」(134頁左欄23〜25行)、「注目すべき点はホルモンフリー状態でもシュート分化がみられていることであり、果樹のなかでも極めて特異的なホルモン要求性をもつと考えられる。」(135頁左欄3〜5行)と記載されているのであって、他の植物においても葉部の培養により苗条原基が形成されることは何ら示されていない。 また、上記刊行物2記載の葉片組織の培養方法は、葉片組織を培地上に静置するものであり、葉片組織を液体培地で回転培養することによって苗条原基が形成されることは何ら記載されていないし示唆もない。 同じく、「化学と生物」Vol.16 No.12(1978年)776〜782頁(以下、「刊行物3」という)には、材木の組織培養について記載され、「森林総合研究所研究報告」第360号(1991年)57〜64頁(以下、「刊行物4」という)には、シラカンバ幼植物体の葉柄からの器官分化について記載されているが、葉部から苗条原基集塊を得ることは刊行物3、4のいずれにも記載されていない。 したがって、刊行物1乃至刊行物4記載の発明によっても、本件請求項1に係る発明の構成である、ユーカリ属植物の葉部を、1-(2-クロル-4-ピリジル)-3-フェニル尿素を添加した人工液体培地に移植し、竪型回転培養して苗条原基集塊を得ることが、当業者において容易になしうるとすることはできない。 そして、本願の請求項1に係る発明は、葉部を用いてユーカリ属植物を増殖することができ、茎頂を用いる場合と比べて、短期間にしかも同一時期に無限数の同一遺伝形質をもつ苗木を供給することが可能になる(段落【0028】)等の明細書記載の特有の効果を奏するものと認められる。 したがって、本願については、原査定の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-07-28 |
出願番号 | 特願平4-75576 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A01H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 秋月 美紀子、吉田 佳代子 |
特許庁審判長 |
村山 隆 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 山口 由木 |
発明の名称 | ユーカリ属植物の苗条原基集塊及びその製造方法並びにユーカリ属植物の増殖方法 |
代理人 | 吉嶺 桂 |
代理人 | 井上 昭 |
代理人 | 金谷 宥 |
代理人 | 中本 宏 |