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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B63C
管理番号 1080793
審判番号 不服2001-153  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-12-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-09 
確定日 2003-07-23 
事件の表示 平成 4年特許願第287833号「作業方法並びに作業装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年12月 3日出願公開、特開平 5-319374]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年10月26日(パリ条約による優先権主張1991年10月24日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1及び請求項17に係る発明は、平成12年5月23日付け、平成13年2月8日付けの各手続補正書により補正された明細書と出願当初の図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、請求項17に記載された次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】 傾斜領域を有する面(18)を処理する以下の工程よりなる作業方法。
(a)前記傾斜領域よりも傾斜の少ない面領域(88)、並びにほぼ水平なプラットホーム(12)に接近するように下方に延びた垂直領域とを選定する工程。
(b)前記傾斜の少ない領域面(88)から離間させ、かつこれと関連付けしてほぼ垂直なタワー(34)を配設する工程。このタワー(34)は、トラックに沿って昇降可能なトロリー(36)を前記面領域(88)の所望の領域に選択的に関連して位置させるようにトロリー(36)を支持しており、このトロリー(36)は作業プラットホーム(40)を前記面(18)方向に延出するように、作業プラットホーム(40)が面(18)から接離可能なように、アーム構造体(38)で片持ち支持している。
(c)前記タワー(34)と面領域(88)とを囲む、カーテンで囲まれた空間(44)を形成し、この空間(44)内に前記作業プラットホーム(40)を位置させる工程。
(d)作業プラットホーム(40)で作業者を支持しながら、この作業者により前記面(18)の面領域(88)の複数の部所に連続して作業が可能なように、前記面領域(88)に作業者が接近するように前記アーム構造体(38)を調節し,また、連続して、空気を前記空間(44)中に導くと共に、この空間内の空気をクリーニングするために、ここを通る空気から不要物質をろ過する空気清浄装置(128)を介して空間(44)から排出する工程。」
「 【請求項17】 ほぼ水平のプラットホーム(12)の近くに配置され、傾斜領域を有する面(18)を処理する装置であり、
前記傾斜領域よりも傾斜の少なく、かつプラットホームに近ずくように下方に延びた垂直領域とを有する船体(18)の面領域(88)から離間し、かつこれと関連付けして前記プラットホーム(12)上に支持されたタワー(34)と、
このタワー(34)に沿って昇降可能にタワー(34)に支持され、前記面領域(88)の所望の領域に選択的に関連して位置させるトロリー(36)と、
このトロリー(36)に、前記面(18)方向に延出し、かつ前記面(18)に対して接離可能なように、アーム構造体(38)で片持ち支持された作業プラットホーム(40)と、
前記タワー(34)と面領域(88)とを中に含み、かくして中に前記作業プラットホーム(40)を位置させる空間(44)を形成するカーテン集合体(94,102,110,122)と、
前記トロリー(36)の昇降、並びに前記作業プラットホーム(40)の伸縮のための、前記トロリー(36)と動作的に接続された第1のパワー手段(144,126,60,54,56)並びに、前記アーム構造体(38)と動作的に接続された第2のパワー手段(144,84,80)と、
連続して、空気を前記空間(44)中に導くと共に、この空間内の空気をクリーニングするために、空気清浄装置(128)を介して空間(44)から排出させる手段とを具備する作業装置。」
【2】引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本件特許出願の優先日より前に頒布された刊行物である特開昭48-71032号公報(以下、「引用例」という。)には、
(イ)「本発明は、…彎曲部を有する構造物等の作業用足場装置に係るもの…」(第2頁左上欄第1〜3行)
(ロ)「図面は一例として本発明の足場装置を船体建造用に用いた場合を示すもので、渠底あるいは船台(1)上の所定個所に走行用レール(2)と撤去用引込レール(3)を止めボルト(4)にて止めて敷設し、該レール(2)又は(3)上に沿って走行する走行車輪(6)を走行方向が自在に変えられるよう回転可能に取付けた台板(5)を上記レール(2)上に載置し、且つ該台板(5)に台板のクランプ装置(7)及び台板押上用油圧ジャッキ(8)を適宜配設してクランプ装置(7)により作業中台板(5)を走行レール(2)にクランプするようにする」(第2頁左上欄第11行〜同頁右上欄第1行)
(ハ)「上記下部作業足場枠(9)の上端部と上記台板(5)との間には下部作業足場枠起倒装置(11)を又上記下部作業足場枠(9)の上端と上記上部作業足場枠(10)との間には上部作業足場枠起倒装置(12)……を夫々介在せしめて上記起倒装置(11)により上下の作業足場枠(9)(10)が起倒して所要の角度を保持するようにすると共に上記起倒装置(12)により上部作業足場枠(10)のみが起倒して所要の角度を保持するよう構成し、且つ上記上下の作業足場枠(9)(10)の適宜個所にスライド式作業足場(13)を船体(S)側にスライド可能に取付ける。」(第2頁右上欄第12行〜同頁左下欄第3行)
(ニ)「上記スライド式作業足場(13)は、その詳細を第3,4図に示す如く、作業足場枠(9)(10)を構成する左右2本宛の基材(14)にピン(15)により枢着された左右対称の支持部材(16)上に断面I型のスライド部材(17)を左右対称的に載置し、上記両支持部材(16)に末端部を夫々枢着した油圧シリンダ(18)のピストンロッド先端を上記両スライド部材(17)の先端部に夫々枢着すると共に支持部材(16)に取付けたガイドローラ(19)(19′)にスライド部材(17)が夫々ガイドされるようにして上記油圧シリンダ(18)の同時作動により上記スライド部材(17)が支持部材(16)上を同時にスライドし又油圧シリンダ(18)の単独作動によりスライド部材(17)が別個にスライドし得るようにし、且つ該スライド部材(17)の先端部間には左右両側部に左右に伸びる長穴(22)を有する足場板(21)を載置して上記スライド部材(17)の先端部に植設したピン(23)に上記長穴(22)を嵌合せしめ、上記油圧シリンダ(18)の伸縮によりスライド部材(17)と共に足場板(21)が移動し又左右いずれかの油圧シリンダ(18)のみを伸縮させることにより上記足場板(21)が水平方向に回動するようにした。」(第2頁左下欄第4行〜同頁右下欄第5行)
(ホ)「上下の作業足場枠(9)(10)が所要の角度で船体(S)に沿わされた後は、作業足場(13)の油圧シリンダ(18)を作動させて夫々各段の作業足場(13)を移動させる。上下の作業足場枠(9)(10)にはガス、酸素、圧縮空気、水、溶接電源等が配管配線されているので、作業足場(13)で容易にこれら動力を取入れることができ、上記の状態においてこの動力を使用して船体中央部分におけるガス切り、溶接、歪取り、塗装等の一連の作業を行い、…」(第3頁左上欄第11〜19行)
等の記載が認められる。
そして、引用例の作業用足場装置においても、作業足場枠(9)(10)を船体の面に沿わせ、この船体の面に対して、記載(ホ)でいうところの、塗装等の作業を行う場合に、一回でなし得る作業範囲が限られてしまう関係上、一回毎に作業領域を選定する工程は、当然必要とされる工程であることが認められる。
また、船体の外側壁面が傾斜領域を有することは、図面第1図に示されているものと認められる。
さらに、図面第1図、第3図、第4図の記載からみて明らかなように、作業足場(13)は、支持部材16で支持されたスライド部材17で片持ち支持されているものと認められる。
よって、(イ)〜(ホ)の記載、及び、図面第1図〜第4図の記載からみて、同引用例には、以下の工程を包含する作業方法及び作業用足場装置の発明が実質的に記載されているものと認められる。
[作業方法の発明]
“傾斜領域を有する船体(S)の外壁面を処理する以下の工程よりなる作業方法。
(a)前記傾斜領域を有する面を作業処理するための所定の面領域を選定する工程。
(b)作業処理するための前記所定の面領域の傾斜面から離間させ、かつこれと関連付けして、起倒して所要の角度を保持するように構成された上下の作業足場枠(9)(10)を配設する工程。この上下の作業足場枠(9)(10)は、前記面領域に関連して所定位置に位置させるように支持部材(16)を支持しており、この支持部材(16)は、作業足場(13)を前記面方向に延出するように、作業足場(13)が前記面に対して接離方向に運動可能なように、スライド部材17で片持ち支持している。
(c)作業足場(13)で作業者を支持しながら、この作業者により前記面の面領域の作業が可能なように、前記面領域に作業者が接近するように前記スライド部材17を調節する工程。”(以下「引用例の作業方法」という。)
[作業用足場装置の発明]
“ほぼ水平の渠底あるいは船台(1)の近くに配置され、傾斜領域を有する船体(S)の外壁面を処理する装置であり、
船体(S)の面領域から離間し、かつこれと関連付けして前記渠底あるいは船台(1)上に支持された上下の作業足場枠(9)(10)と、
この上下の作業足場枠(9)(10)に支持され、前記面領域に関連して位置させた支持部材16と、
この支持部材16に、前記面方向に延出し、かつ前記面に対して接離方向に運動可能なように、スライド部材17で片持ち支持された作業足場(13)と、
前記作業足場(13)の伸縮のための、スライド部材17と動作的に接続された油圧シリンダ(18)
とを具備する作業用足場装置。”(以下「引用例の作業用足場装置」という。)
【3】対比・判断
1.請求項1に係る発明について
(1)本願請求項1に係る発明と引用例の作業方法とを対比するに、引用例の作業方法の「傾斜領域を有する面」、「作業足場枠(9)(10)」、「作業足場(13)」、「スライド部材17」は、本願請求項1に係る発明の「傾斜領域を有する面(18)」、「タワー(34)」、「作業プラットホーム(40)」、「アーム構造体(38)」に相当するものと認められる。
そして、本願請求項1に係る発明の「前記傾斜領域よりも傾斜の少ない面領域(88)、並びにほぼ水平なプラットホーム(12)に接近するように下方に延びた垂直領域」は、換言すれば、「面(18)」における「所定の領域」であり、また、本願請求項1に係る発明の「トロリー(36)」及び引用例の作業方法における「支持部材(16)」は、いずれも、タワーに設けられて作業プラットホーム(作業足場(13))を支持する手段となるものであるから、「作業プラットホームの支持手段」ということができる。
したがって、両者は、
「傾斜領域を有する面を処理する以下の工程よりなる作業方法。
(a)所定の領域を選定する工程。
(b)前記所定の領域の面から離間させ、かつこれと関連付けしてタワーを配設する工程。このタワーは、作業プラットホームの支持手段を支持しており、この支持手段は作業プラットホームを前記傾斜領域を有する面方向に延出するように、作業プラットホームが当該面に接離方向に運動可能なように、アーム構造体で片持ち支持している。
(c)作業プラットホームで作業者を支持しながら、この作業者により前記所定の面領域の部所の作業が可能なように、前記所定の面領域に作業者が接近するように前記アーム構造体を調節する工程。」
で一致し、次の相違点1〜5で相違する。
[相違点1]
前記「所定の領域」が、本願請求項1に係る発明は、「前記傾斜領域よりも傾斜の少ない面領域(88)、並びにほぼ水平なプラットホーム(12)に接近するように下方に延びた垂直領域」であるのに対して、引用例の作業方法では、このような特定がなされていない点
[相違点2]
前記「タワーを配設する工程」で、タワーを離間させ関連付けする前記「所定の領域の面」が、本願請求項1に係る発明では、「前記傾斜の少ない領域面(88)」であり、また、前記「タワー」が「ほぼ垂直」であるのに対して、引用例の作業方法では、タワーを離間させ関連付けする前記「所定の領域の面が」が傾斜面であり、前記「タワー」は起倒して所要の角度を保持するように構成されたものである点
[相違点3]
前記「作業プラットホームの支持手段」が、本願請求項1に係る発明では、「トラックに沿って昇降可能なトロリー(36)」であって、前記「タワー」は、「トロリー(36)を前記面領域(88)の所望の領域に選択的に関連して位置させるようにトロリー(36)を支持して」いて、「面領域(88)の複数の部所に連続して」作業が可能な構成とされているのに対して、引用例の作業方法では、前記「作業プラットホームの支持手段」が、上下の作業足場枠(9)(10)の所定位置に位置させた支持部材(16)であって、作業プラットホームは昇降されるものではなく、複数の部所に対して作業を行う場合には使用する作業プラットホームを変更する点
[相違点4]
本願請求項1に係る発明は、「前記タワーと面領域(88)とを囲む、カーテンで囲まれた空間(44)を形成し、この空間(44)内に作業プラットホーム(40)を位置させる工程」、及び、「連続して、空気を前記空間(44)中に導くと共に、この空間内の空気をクリーニングするために、ここを通る空気から不要物質をろ過する空気清浄装置(128)を介して空間(44)から排出する工程」を備えるのに対して、引用例の作業方法では、このような工程を備えていない点
[相違点5]
前記「作業プラットホームが当該面に接離方向に運動可能」な構成が、本願請求項1に係る発明は「作業プラットホーム(40)が面(18)から接離可能」な構成であるのに対して、引用例の作業方法では、作業プラットホームが当該面に接触するか否か明瞭でない点
(2) そこで、これらの相違点1〜5について検討する。
(2-1) 相違点1について
上記引用例の作業方法が船体の外壁面を処理する作業方法であって、船体の外壁面が傾斜の異なる傾斜領域及び垂直領域を有する場合も存在することは周知の事項であるから、前記「所定の領域」として、傾斜領域を有する面の「前記傾斜領域より傾斜の少ない面領域(88)、並びにほぼ水平なプラットホーム(12)に接近するように下方に延びた垂直領域」を選定して、作業することは、当業者が容易に想到し得ることである。
(2-2) 相違点2について
引用例の作業方法が、タワーを起倒して所要の角度を保持するように構成していることを参照すると、タワーを配設する起倒角度は、作業プラットホームを延出する程度の限界等を考慮して、作業対象となる面の傾斜の程度により、当業者が適宜決定し得るものと認められるから、前記「所定の領域の面」の「前記傾斜の少ない領域面(88)」から離間させ関連付けて、前記「タワー」を「ほぼ垂直」に配設することは、当業者が容易に選択し得ることである。
(2-3) 相違点3について
引用例の作業方法のように、所定の作業をタワー上の作業プラットホームにて行うものにおいて、作業プラットホームを所望の作業面領域に選択的に関連して位置させるように、昇降可能とすることは、従来周知の技術事項である(特開昭53-35224号公報、特開昭51-61407号公報)から、「作業プラットホームの支持手段」を「トラックに沿って昇降可能なトロリー(36)」として、前記「タワー」によって、「トロリー(36)を前記面領域(88)の所望の領域に選択的に関連して位置させるようにトロリー(36)を支持して」、「面領域(88)の複数の部所に連続して」作業が可能な構成とすることは、上記従来周知の技術事項を考慮すると、当業者にとって困難な事項とはいえない。
(2-4) 相違点4について
一般に、作業環境及びその周囲環境の汚染の防止を図ることは、技術分野を問わず望まれている常識的事項であり、しかも、作業環境を良好に維持しつつ、その周囲環境の汚染を防止できるように、作業用空間を隔壁、カーテン、カバー等で囲むこと、連続して、空気を、前記作業用空間内に導くと共に、作業用空間内の空気をクリーニングするために、ここを通る空気から不要物質をろ過する空気清浄装置を介して作業用空間から排出すること等は、従来周知の技術事項と認められる(実願昭59-184600号(実開昭61-98589号)のマイクロフィルム、特開平1-297396号公報、特開平1-175599号公報、特開昭53-35224号公報)。そして、このような従来周知の技術事項を引用例の作業方法に適用することを阻害する特段の事情も認められないから、引用例の作業方法に前記従来周知の技術事項を適用して、「前記タワーと面領域(88)とを囲む、カーテンで囲まれた空間(44)を形成し、この空間(44)内に作業プラットホーム(40)を位置させる工程」、及び、「連続して、空気を前記空間(44)中に導くと共に、この空間内の空気をクリーニングするために、ここを通る空気から不要物質をろ過する空気清浄装置(128)を介して空間(44)から排出する工程」を備える構成することは、当業者であれば容易に想到することができたものとするのが相当である。
(2-5) 相違点5について
作業プラットホームを作業を行う面に対してどの程度接近させるかは、作業の容易さを考慮して当業者が適宜選択できることであり、本願請求項1に係る発明の「作業プラットホーム(40)が面(18)から接離可能」な構成としたことは、当業者の単なる設計事項にすぎない。
(3)以上のように、本願請求項1に係る発明の構成は、本願優先日前周知の技術事項を参照すれば、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり、本願請求項1に係る発明の作用効果も、上記引用例に記載された発明及び本願優先日前周知の技術事項から予測し得る程度のものであり、本願請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2.請求項17に係る発明について
(1)本願請求項17に係る発明と引用例の作業用足場装置とを対比するに、引用例の作業用足場装置の「渠底あるいは船台(1)」、「傾斜領域を有する船体(S)の外壁面」、「作業足場枠(9)(10)」、「作業足場(13)」、「スライド部材17」、「油圧シリンダ18」は、本願請求項17に係る発明の「水平のプラットホーム(12)」、「傾斜領域を有する面(18)」、「タワー(34)」、「作業プラットホーム(40)」、「アーム構造体(38)」、「第2のパワー手段」に相当するものと認められる。
そして、本願請求項17に係る発明の「トロリー(36)」及び引用例の作業用足場装置における「支持部材(16)」は、いずれも、タワー(作業足場枠(9)(10))に設けられて作業プラットホーム(作業足場(13))を支持する手段となるものであるから、「作業プラットホームの支持手段」ということができる。
したがって、両者は、
「ほぼ水平のプラットホームの近くに配置され、傾斜領域を有する面を処理する装置であり、
船体の面領域から離間し、かつこれと関連付けして前記プラットホーム上に支持されたタワーと、
このタワーに支持され、前記面領域に関連して位置させた作業プラットホームの支持手段と、
この作業プラットホームの支持手段に、前記面方向に延出し、かつ前記面に対して接離方向に運動可能なように、アーム構造体で片持ち支持された作業プラットホームと、
前記作業プラットホームの伸縮のための、前記アーム構造体と動作的に接続されたパワー手段とを具備する作業装置。」
で一致し、以下の相違点(1)〜(4)で相違する。
[相違点(1)]
前記「船体の面領域」が、本願請求項17に係る発明は、「前記傾斜領域よりも傾斜の少なく、かつプラットホームに近ずくように下方に延びた垂直領域とを有する」のに対して、引用例の作業用足場装置では、垂直領域を有するものかどうか明瞭でない点
[相違点(2)]
前記「作業プラットホームの支持手段」が、本願請求項17に係る発明は、「このタワー(34)に沿って昇降可能にタワー(34)に支持され、前記面領域(88)の所望の領域に選択的に関連して位置させるトロリー(36)」であって、「前記トロリー(36)の昇降するための」「前記トロリー(36)と動作的に接続された第1のパワー手段(144,126,60,54,56)」を具備するのに対して、引用例の作業用足場装置では、前記「作業プラットホームの支持手段」が、上下の作業足場枠(9)(10)の所定位置に位置させた支持部材(16)である点
[相違点(3)]
本願請求項17に係る発明は、「前記タワー(34)と面領域(88)とを中に含み、かくして中に前記作業プラットホーム(40)を位置させる空間(44)を形成するカーテン集合体(94,102,110,122)」及び「連続して、空気を前記空間(44)中に導くと共に、この空間内の空気をクリーニングするために、空気清浄装置(128)を介して空間(44)から排出させる手段」を具備するのに対して、引用例の作業用足場装置では、このような構成を備えるものではない点
[相違点(4)]
作業プラットホームの前記「前記面に対して接離方向に運動可能な」構成が、本願請求項17に係る発明は、「前記面(18)に対して接離可能な」構成であるのに対して、引用例の作業用足場装置では、作業プラットホームが面に接触するか否か明瞭でない点
(2) そこで、これらの相違点(1)〜(4)について検討する。
(2-1)相違点(1)について
外壁面が傾斜の異なる面領域及びプラットホームに近ずくように下方に延びた垂直領域を有する船体も存在することは周知の事項であるから、引用例の作業用足場装置を、このような船体に対する作業用足場装置とすることが困難とはいえず、相違点(1)の本願請求項17に係る発明の構成は、当業者が容易になしたものである。
(2-2)相違点(2)について
引用例の作業用足場装置と同様に、所定の作業をタワー上の作業プラットホームにて行う作業用足場装置において、作業プラットホームを所望の作業面領域に選択的に関連して位置させるように、昇降可能とすることは、従来周知の技術事項である(特開昭53-35224号公報、特開昭51-61407号公報)から、引用例の作業用足場装置の作業プラットホームの支持手段(支持部材(16))を、タワーに沿って昇降可能にタワーに支持され、所望の作業面領域に選択的に関連して位置させるトロリーとすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、トロリを採用した場合に、トロリを昇降するためのパワー手段を採用することも必然的帰結であるから、相違点(2)の本願請求項17に係る発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものとするのが相当である。
(2-3)相違点(3)について
一般に、作業環境及びその周囲環境の汚染の防止を図ることは、技術分野を問わず望まれている常識的事項であり、しかも、作業環境を良好に維持しつつ、その周囲環境の汚染を防止できるように、作業用空間を隔壁、カーテン、カバー等で囲むこと、連続して、空気を、前記作業用空間内に導くと共に、作業用空間内の空気をクリーニングするために、空気清浄装置を介して作業用空間から排出すること等は、従来周知の技術事項と認められる(実願昭59-184600号(実開昭61-98589号)のマイクロフィルム、特開平1-297396号公報、特開平1-175599号公報、特開昭53-35224号公報)。そして、このような従来周知の技術事項を引用例の作業用足場装置に適用することを阻害する特段の事情も認められないから、引用例の作業用足場装置に前記従来周知の技術事項を適用して、「前記タワー(34)と面領域(88)とを中に含み、かくして中に前記作業プラットホーム(40)を位置させる空間(44)を形成するカーテン集合体(94,102,110,122)」、「連続して、空気を前記空間(44)中に導くと共に、この空間内の空気をクリーニングするために、空気清浄装置(128)を介して空間(44)から排出させる手段」を具備する構成することは、当業者であれば容易に想到することができたものである。
(2-4)相違点(4)について
作業プラットホームを作業を行う面に対してどの程度接近させるかは、作業の容易さを考慮して当業者が適宜選択できることであり、本願請求項17に係る発明の作業プラットホームを「前記面(18)に対して接離可能な」構成としたことは、当業者の単なる設計事項にすぎない。
(3)以上のように、本願請求項17に係る発明の構成は、本願優先日前周知の技術事項を参照すれば、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり、本願請求項17に係る発明の作用効果も、上記引用例に記載された発明及び本願優先日前周知の技術事項から予測し得る程度のものであり、本願請求項17に係る発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
【4】むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1及び請求項17に係る発明は、従来周知の技術事項を考慮に入れることにより、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-02-18 
結審通知日 2003-02-25 
審決日 2003-03-12 
出願番号 特願平4-287833
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B63C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一大山 健  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 尾崎 和寛
ぬで島 慎二
発明の名称 作業方法並びに作業装置  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 白根 俊郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 橋本 良郎  
代理人 坪井 淳  
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