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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47B
管理番号 1080892
審判番号 不服2002-1305  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-05-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-01-24 
確定日 2003-07-28 
事件の表示 平成9年特許願第302139号「オフィス構築用設備」拒絶査定に対する審判事件[平成11年5月18日出願公開、特開平11-127962]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成9年11月4日の出願であって、平成13年12月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年1月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月22日付で手続補正がなされた。

【2】平成14年2月22日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年2月22日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、その請求項1を次のとおりに補正することを含むものである。
「1辺の長さが建築モジュールの約半分の寸法を有する平面視正方形状をなす天板を備えた基本配置テーブルを複数台具備してなり、それらの基本配置テーブルを、隣接する基本配置テーブル相互間に建築モジュールの約半分の寸法を有する空間が残るように配列し、その空間に前記天板と同一寸法の天板を有するテーブルを配置し得るようにしていることを特徴とするオフィス構築用設備。」(以下、「補正発明」という。)

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された、特開昭63-171952号公報(以下、「刊行物」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「第1図は、オフィスの床1を示している。この床1は、建物の床面2に標準寸法の多数枚の主床材3と、この主床材3に対し高さ寸法が同一でかつ平面視寸法が異なった少数の第1、第2副床材4、5とを置き敷きして、建築モジュール基準線Lに囲まれた面P(1グリッド)毎に完結する単位床6を構成し(第1図参照)、この単位床6を複数組繰返し配列させたものである。
具体的に説明すれば、この実施例の建築モジュール基準線Lは、縦寸法Aおよび横寸法Bとも3200mmに設定されている。そして、前記主床材3は、一辺Cを500mmとする平面視正方形をなし、前記第1副床材4は、長辺Dが500mmで短辺Eが200mmの平面視長方形をなし、前記第2副床材5は、一辺Fが200mmの平面視正方形をなしている。」(3頁左下欄18行〜右下欄12行)
(イ)「このオフィスの床1を利用して、家具のレイアウトを行なう方法について説明する。
まず、単位家具配置図11を多数種類用意しておく。……。第11図に示す単位家具配置図11は、建築モジュール基準線Lに囲まれた面Pの3倍の面を単位としたものである。そして、第1図に示す実際の床1の床目地8に相当する床目地線12と、机の平面図形13や椅子の平面図形14……等を目的に合せて組合わせ配置した家具類平面図とを重ね合わせることによって作られている。
各単位家具配置図11は、目的別ゾーンに合せて作られている。すなわち、第12図(a)〜(f)に示す単位家具配置図111〜116は、執務ゾーン(総務・経理セクション・営業セクショ・技術開発設計セクショ等)用のものであり、机、椅子……等の各平面図形12、13、14をその執務内容に合せて配置した状態を示しており、他にも種々の配置のものを用意しておく。」(4頁左下欄14行〜右下欄15行)
(ウ)「このような種々の単位家具配置図11を……CAD装置のメモリに図形情報としてそれぞれ登録しておく。そして、建築モジュール基準線Lと固定壁や既存の固定設備等の平面図形16のみを表示するオフィスの輪郭線をCAD装置のディスプレイ上に表出させ、最適なものを選択してその画面上に固定させ……オフィスのレイアウト図17を作成する。そして、このレイアウト図17を……出力装置により出力させてペーパ図面化する。」(5頁左上欄3〜16行)
(エ)「次いで、このレイアウト図17に基づき、実際の床目地8をガイドとして、前述した床1上に実際の家具を配置する。」(5頁右上欄2〜4行)
また、第12図(f)には、上記(ア)に記載された各床材の大きさからみて、3200mm×3200mmの大きさの単位床を3面連続させた床面に、1600mm(幅)×800mm(奥行)の机を向い合わせに配置することにより平面視正方形状としたものを3組連続して配置した単位家具配置図が記載されていることが、当業者に明らかな事項である。
そして、(エ)の記載によれば、そのような単位家具配置図に基づいて実際の家具を配置するわけであるから、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「3200mm×3200mmの大きさの建築モジュールを有する床1上に、1600mm(幅)×800mm(奥行)の机を2つ向い合わせに配置することにより、平面視1600mm×1600mmの正方形状とした机の組を、3組連続して配置した部分を含む、オフィス。」

(3)対比・判断
補正発明と、上記刊行物記載の発明とを対比すると、刊行物記載の発明の「平面視1600mm×1600mmの正方形状とした机の組」も補正発明の「平面視正方形状をなす天板を備えた基本配置テーブル」も共に、「平面視正方形状をなす基準テーブル類」といえるから、両者は、
「1辺の長さが建築モジュールの約半分の寸法を有する平面視正方形状をなす基準テーブル類を複数台具備したオフィス構築用設備。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:「平面視正方形状をなす基準テーブル類」が、補正発明では「平面視正方形状をなす天板を備えた基本配置テーブル」であるのに対し、刊行物記載の発明では「平面視1600mm×1600mmの正方形状とした机の組」である点
相違点2:補正発明は、隣接する基準テーブル類間に建築モジュールの約半分の寸法を有する空間が残るように配列し、その空間に基準テーブル類の天板と同一寸法の天板を有するテーブルを配置し得るようにしているのに対し、刊行物記載の発明は、そのような空間が無く、基準テーブル類を3組連続して配置してある点

上記各相違点について検討する。

<相違点1について>
平面視正方形状をなす天板を備えたテーブルは、原査定の備考でも言及されているように、特開平4-183407号公報等にみられるとおり従来周知のテーブルにすぎない。そうすると、刊行物記載の発明のような、2つの机を向い合わせに配置して平面視正方形状とした机の組に換えて従来周知の上記テーブルを採用することにより、相違点1として摘記した補正発明の構成とする点には何らの困難性も認められず、当業者が必要に応じ適宜なし得る設計変更にすぎない。

<相違点2について>
テーブル間にそのテーブルと略等しい空間を設け、その空間に両側のテーブルと略同一の寸法のテーブルを配置し得るようにすることは、原査定の備考で引用された、特公平3-17484号公報等にみられるとおり従来周知の技術にすぎず、該周知の技術に基づいて、相違点2として摘記した補正発明の構成を当業者が想起することに、格別困難性は認められない。
あるいは、補正発明における上記空間は、必要に応じて後日、基本配置テーブル間にその天板と同一寸法の天板を有するテーブルを増設配置し、さらに、その増設したテーブルが不要になれば撤去して再度空間を構成し得るものであって、そのような増設テーブルを配置した状態は、結果的に刊行物記載の発明の机の配置と同様のものであるから、相違点2として摘記した事項は、実質的な相違点とはいえない。

そして、補正発明が奏する作用効果も、当業者が予期し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、補正発明は、上記刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によりその特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。

【3】本願発明について
(1)本願発明
本願の各請求項に係る発明は、平成14年2月22日付手続補正が上記のとおり却下されたので、平成13年6月25日付手続補正書により補正された明細書、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるとおりの次のものと認める。
「【請求項1】1辺の長さが建築モジュールの約半分の寸法を有する平面視正方形をなす天板を備えた基本配置テーブルを複数台具備してなり、それらの基本配置テーブルを、隣接する基本配置テーブル相互間に建築モジュールの約半分の寸法を有する空間が残るように配列させてなることを特徴とするオフィス構築用設備。
【請求項2】〜【請求項5】(記載を省略)」
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

(2)引用刊行物
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された刊行物、及び、その記載事項は、上記【2】(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した補正発明から「(隣接する基本配置テーブル相互間に存在する建築モジュールの約半分の寸法を有する)空間に、(基本配置テーブルの)天板と同一寸法の天板を有するテーブルを配置し得るようにしている」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が上記【2】(3)に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-05-20 
結審通知日 2003-05-27 
審決日 2003-06-09 
出願番号 特願平9-302139
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A47B)
P 1 8・ 121- Z (A47B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長島 和子  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 新井夕起子
鈴木 憲子
発明の名称 オフィス構築用設備  
代理人 赤澤 一博  
代理人 井上 敬子  

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