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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1081218
審判番号 不服2002-9745  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-30 
確定日 2003-08-25 
事件の表示 平成 7年特許願第237326号「バーコード読取装置及びバーコード読取方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成 9年 3月28日出願公開、特開平 9- 81663、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯、本件発明
本願は、平成7年9月14日に出願されたものであって、その請求項1乃至3に係る各発明は、平成14年3月18日付け、平成14年7月1日付けの各手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 第1のバー及び第2のバーによって両端が挟まれたバーコードを走査して、その走査軌跡における明暗パターンデータ列を検出する明暗パターン検出手段と、
前記明暗パターン検出手段によって検出された前記明暗パターンデータ列をキャラクタ毎に分断して対応する前記他の形式のデータに変換するデータ変換手段と、
前記第1のバーを含むが前記第2のバーを含まない前記データ変換手段によって変換された第1の明暗パターンデータ列と前記第2のバーを含むが前記第1のバーを含まない前記データ変換手段によって変換された第2の明暗パターンデータ列とが前記明暗パターン検出手段によって検出されたときに、同じデータからなる重複部がこれら第1の明暗パターンデータ列と第2の明暗パターンデータ列とに夫々含まれているか否かを判定する重複部判定手段と、
前記第1の明暗パターンデータ列及び第2の明暗パターンデータ列に前記重複部が夫々含まれているとこの重複部判定手段によって判定された場合に、これら第1の明暗パターンデータ列及び第2の明暗パターンデータ列を結合する結合手段と、
前記重複部のキャラクタ数のしきい値を予め設定するしきい値設定手段と、
前記第1の明暗パターンデータ列と前記第2の明暗パターンデータ列とに夫々含まれている重複部のキャラクタ数が前記しきい値より少ないかどうかを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記重複部のキャラクタ数が前記しきい値より少なかった場合のみ、前記重複部判定手段による前記判定を新たに前記明暗パターン検出手段によって検出された前記第1の明暗パターンデータ列と前記第2の明暗パターンデータ列に対して実行させる判定再実行手段と、
を備えたことを特徴とするバーコード読取装置。
【請求項2】 読取対象バーコードのキャラクタ数を特定するキャラクタ数特定手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のバーコード読取装置。
【請求項3】 前記しきい値設定手段は、前記キャラクタ数特定手段によって特定された前記キャラクタ数が大きくなるにつれて前記しきい値のキャラクタ数を大きく設定することを特徴とする請求項2記載のバーコード読取装置。」
2.原査定の理由
これに対し、原査定の拒絶理由の概要は、請求項1乃至3に係る各発明が、その出願前日本国内において頒布された刊行物1(特開平5-165996号公報)、刊行物2(特開平3-204790号公報)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとするものである。
3.当審の判断
そこで、検討すると、上記刊行物1には、開始情報を含むバーコードデータと終了情報を含むバーコードデータとを結合して所定のバーコードデータを得るようにしたバーコードリーダに関する発明が記載されており、「【0006】【実施例】本発明の一実施例を図1ないし図4を参照して説明する。図1は本発明の一実施例におけるバーコードリーダの構成を示すものである。図1において、1はバーコード情報(バーコードラベル)、3はレーザビームを走査し走査パターンを作成する投光モジュール、4は投光モジュール3のレーザビームのバーコードラベル上での反射光を受光しバーコード情報を復調する受光回路部、5は受光回路部出力を処理しバーコード情報を解読する解読モジュールで、投光モジュール3を制御しさらに受光回路部4の出力をメモリ52に取り込む制御を行う制御部50と、メモリ52の内容を処理し、解読処理を行うマイクロプロセッサ51と、メモリ52とで構成される。53は解読情報を外部機器に通信するインターフェース(I/f)回路である。図2ないし図4はマイクロプロセッサ51におけるバーコード情報の解読処理フローチャートである。」、「【0007】以下に本発明の動作を、図6に示した回転位置に置かれたバーコード情報を読み取る例を図2に示したフローチャートを用いて説明する。図6に示すようにバーコードを走査した場合、AからFの6本の走査データが取り込まれる(S1,S2)。取り込まれた走査データに対して解読処理を行う(S3)(図2-(II)または図2-(III)のフローチャート)。図2-(II)のフローチャートは、バーコード開始情報aを検出し続くバーコード情報を解読する処理で、図6の例では、走査パターンAで“a(1)(2)(3)”、走査パターンBで“a(1)”が解読される。図2-(III)のフローチャートはバーコード終了情報bを検出し続くバーコード情報を解読する処理で、図6の例では走査パターンCで“b(2)(3)”を、走査パターンDで“b”が解読される(S21,S22)。図3に示すフローチャートは第1の実施例で、図2に示した解読情報の結合処理で、開始情報を含むデータ“a(1)(2)(3)”、“a(1)”の検出(S51)、終了情報を含むデータ“b(2)(3)”、“b”の検出(S52)を行う。S51,S52の処理で検出が可能になった場合、検出データが所定の桁数に結合できるか否かのチェックを行う(S53,S54)。検出が不可能であった場合は、結合不可能としてエラーとする。図6の例では桁数は5桁であるため、“a(1)(2)(3)”と“b(2)(3)”の結合と、“a(1)(2)(3)”と“b”の結合と、“a(1)”と“b(2)(3)”の結合が可能である。どちらの結合結果も“a(1)(2)(3)b”となり、正常な解読が可能となる。正常な結果が不可能であった場合は、結合不可能としてエラーとする。」、「【0008】図4に示すフローチャートは第2の実施例で図3に示した処理の検出精度を向上させたものである。図4のS51,S52,S53,S54の処理は図3と同様で、開始情報を含むデータは“a(1)(2)(3)”と“a(1)”が、終了情報を含むデータは“b(2)(3)”と“b”が検出され、結合結果は“a(1)(2)(3)b”となる。処理55および56は結合部の重複桁数をチェックする処理で、本実施例では、2桁以上重複する場合は、“a(1)(2)(3)”と“b(2)(3)”の結合で重複桁は“(2)(3)”である。他の桁はエラーとなる。例えば、検出データ“a(1)(2)(3)”を“a(1)(2)(4)”と誤認した場合、図3では“b”と結合し、結合結果が“a(1)(2)(4)b”となり、解読完了してしまい誤読の可能性がある。しかし図4の処理S55,S56では、重複桁をチェックするため上記の如き誤読は発生しない。したがって、バーコード情報の検出精度を向上させることができる。また、図3,図4に示すフローチャートではバーコード中にチェックデジットを挿入してないが、チェックデジットを挿入しチェックすることによりさらに読み取り精度を向上させることができる。」と説明されている。
また、刊行物2には、「(1) バーコード記号を復号する方法であって、前記記号は順序づけられた一連の文字から成り、各文字が異なる光反射率をもつ複数の識別要素で構成されている場合において、(a) 第1走査経路に沿ってバーコード記号を走査し、その走査から得た文字列の表現を保存し、第1文字列を作ること、(b) 先の走査経路とは異なる別の走査経路に沿って前記記号を走査し、その走査から得た次の文字列の表現を保存し、第2文字列を作ること、(c) 前記一方の文字列の終わりの位置にある一連の文字と、前記他方の文字列の初めの位置にある一連の文字とを同一化することによって前記第1文字列と前記第2文字列を処理し、新しい第1文字列を作ること、及び(d) 前記記号のすべての文字が保存されるままで、ステップ(b) と(c) を繰り返すこと、の諸ステップから成る方法。
」(特許請求の範囲の欄)の発明が記載されており、「縫い合わせアルゴリズム108は、完全に復号された記号を得られたか107、またはそのような復号を得ることができないという判断109がなされるまで、走査の組み合わせについて復号手続きを実行し続ける。」(第8頁左下欄第12〜16行)、「もし次の走査がそれほど悪くなけえば、・・・現在の走査の復号結果が先の走査の復号結果に縫い合わされる(124)。・・・。そのあと、アルゴリズムは次の走査について再スタートする(109)。同様に、もしマージンは見えるが、保存した先の結果と適当な突合わせができなければ(130.131)、再び初期化(128)が行われ、アルゴリズムは新しい走査について再スタートする(109)。もし、開始文字と停止文字が見えれば131、初期化は行われず、アルゴリズムは追加の走査を受け取る(109)。このプロセスは、それ以上の走査が入手できないか、または標準復号アルゴリズムまたは縫い合わせアルゴリズムのどちらかによって完全な復号が作られるまで続く。」(第8頁右下欄第17行〜第9頁右上欄第8行)と説明されている。
上記刊行物1記載の発明においては、取り込まれたすべてのデータの組合せを検討するようにしており、請求項1乃至3に係る各発明のように、重複部のキャラクタ数がしきい値より少なかった場合のみ、重複部判定手段による判定を新たに明暗パターン検出手段によって検出された第1の明暗パターンデータ列と第2の明暗パターンデータ列に対して実行させるとするものではないが、組み合わせたうまくいかなかった場合に次の組合せを検討し、これを順次繰り返すといったことは、本件出願前普通に知られたことである(上記刊行物2)から、これを上記刊行物1記載の発明に適用して、請求項1乃至3に係る各発明のように、重複部のキャラクタ数がしきい値より少なかった場合のみ、重複部判定手段による判定を新たに明暗パターン検出手段によって検出された第1の明暗パターンデータ列と第2の明暗パターンデータ列に対して実行させるとすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。
ただ、本件の請求項1乃至3に係る発明は、重複部のキャラクタ数のしきい値を予め設定するしきい値設定手段を備え、キャラクタ数に応じて適切なしきい値を設定できるようにしているところ、上記刊行物1乃至2には、その点についての記載も示唆もない。そして、その点が、本件出願前周知であるとする証拠もみあたらない。
したがって、その余を検討するまでもなく、本件の請求項1乃至3に係る各発明が上記刊行物1乃至2記載の発明の基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
4.まとめ
以上のとおりであるから、本件の請求項1乃至3に係る各発明が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
 
審決日 2003-07-31 
出願番号 特願平7-237326
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 橋本 正弘
吉見 信明
発明の名称 バーコード読取装置及びバーコード読取方法  
代理人 遠山 勉  
代理人 松倉 秀実  
代理人 松倉 秀実  
代理人 遠山 勉  

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