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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H05K
管理番号 1081358
異議申立番号 異議2002-71525  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-06-17 
確定日 2003-05-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3239231号「パッドを備えるセラミック基板、端子部材を備えるセラミック基板およびそれらの製造方法」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3239231号の請求項1ないし9に係る特許を取り消す。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第3239231号(以下、「本件特許」という。)は、平成8年4月11日付けの特許出願に係り、平成13年10月12日にその請求項1ないし11に係る発明について特許権の設定登録がなされたものであり、その後、平成14年6月17日に特許異議申立人・京セラ株式会社より、全請求項に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがあったので、当審において当該申立ての理由を検討の上、平成14年10月9日付けで全請求項に係る発明の特許について特許取消理由を通知したところ、その通知書で指定した期間内である平成14年12月24日に特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。

【2】訂正の適否について
1.訂正の要旨
上記平成14年12月24日付けの訂正請求は、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであるが、その訂正の要旨は、特許請求の範囲の記載を次のとおり訂正するものと認める。

特許明細書の特許請求の範囲の記載について、
「【請求項1】 基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、
該パッドは、
該基板表面に形成されてなる金属層と、
該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、
該接続層上には、
厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分としニッケルを含有する金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板。
【請求項2】 前記金ニッケル層のニッケル含有量が10原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。
【請求項3】 前記金ニッケル層のニッケル含有量が15原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。
【請求項4】 基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、
該パッドは、
該基板表面に形成されてなる金属層と、
該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、
該接続層の上表面は平坦面であり、
該接続層と該Pb-Sn系はんだの密着強度が、
該端子部材を該基板表面にたいして平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である、端子部材を備えるセラミック基板。
【請求項5】 基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、
該パッドは、
該基板表面に形成されてなる金属層と、
該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、
該Pb-Sn系はんだと該接続層との間には、金およびニッケルを含有し、該Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層が形成されてなる、端子部材を備えるセラミック基板。
【請求項6】 基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板の製造方法であって、
該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、
該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、
加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする、パッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項7】 前記加熱処理は、金ニッケル層のニッケル含有量を10原子%以上にする加熱処理である請求項6に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項8】 前記加熱処理の最高温度を150℃以上とする請求項6に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項9】 前記加熱処理の最高温度を350℃以上とする請求項6に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項10】 前記接続層をニッケル-ホウ素メッキにより形成する請求項6〜9の何れか一項に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項11】 基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板の製造方法であって、
該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、
該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、
加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とし、
該金ニッケル層上に、端子部材をPb-Sn系はんだによって固着する、端子部材を備えるセラミック基板の製造方法。」とあるのを、
「【請求項1】 基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層上には、厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とし、かつ、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が10原子%以上である金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板。
【請求項2】 前記金ニッケル層は、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が15原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。
【請求項3】 請求項1記載の構成を有し、基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層の上表面は平坦面であり、該接続層と該Pb-Sn系はんだの密着強度が、該端子部材を該基板表面にたいして平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である、端子部材を備えるセラミック基板。
【請求項4】 前記Pb-Sn系はんだと該接続層との間には、金およびニッケルを含有し、該Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層が形成されてなる請求項3記載の端子部材を備えるセラミック基板。
【請求項5】 請求項1又は2のいずれかに記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする、パッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項6】 前記加熱処理の最高温度を150℃以上とする請求項5に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項7】 前記加熱処理の最高温度を350℃以上とする請求項5に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項8】 前記接続層をニッケル-ホウ素メッキにより形成する請求項5〜7の何れか一項に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項9】 請求項3又は4に記載の端子部材を備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とし、該金ニッケル層上に、端子部材をPb-Sn系はんだによって固着する、端子部材を備えるセラミック基板の製造方法。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正後の請求項1は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載事項に、特許明細書の段落【0026】の記載事項及び特許請求の範囲の請求項2の記載事項に基づいて、金ニッケル層の組成要件として、「オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が10原子%以上」である要件を付加したものである。
上記訂正後の請求項2は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項3の記載事項に、特許明細書の段落【0026】の記載事項に基づいて、「オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときの」という要件を付加したものである。
上記訂正後の請求項3は、訂正後の請求項1記載の構成を有することを新たな要件とした以外は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項4の記載事項と同一である。
上記訂正後の請求項4は、訂正後の請求項3に従属するようにした点を除き、特許明細書の特許請求の範囲の請求項5の記載事項と同一である。
上記訂正後の請求項5は、訂正後の請求項1又は2のいずれかに記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法に限定した点を除き、特許明細書の特許請求の範囲の請求項6の記載事項と同一である。
上記訂正後の請求項6は、訂正後の請求項5に従属するようにした点を除き、特許明細書の特許請求の範囲の請求項8の記載事項と同一である。
上記訂正後の請求項7は、訂正後の請求項5に従属するようにした点を除き、特許明細書の特許請求の範囲の請求項9の記載事項と同一である。
上記訂正後の請求項8は、訂正後の請求項5〜7の何れか一項に従属するようにした点を除き、特許明細書の特許請求の範囲の請求項10の記載事項と同一である。
上記訂正後の請求項9は、訂正後の請求項3又は4に記載の端子部材を備えるセラミック基板の製造方法に限定した点を除き、特許明細書の特許請求の範囲の請求項11の記載事項と同一である。

以上のとおり、上記特許請求の範囲についての訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、上記特許請求の範囲についての訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法第126条第2項、第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

【3】特許異議の申立てについて
1.本件特許発明
上記【2】で示したように上記訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、上記訂正に係る全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記【2】1.参照)

2.引用刊行物とその記載事項
当審が上記平成14年10月9日付けで通知した特許取消理由において引用した刊行物とその記載事項は、次のとおりである。

刊行物1:特開昭55-86143号公報(甲第2号証)
刊行物2:特開平6-216485号公報(甲第1号証)
刊行物3:特開平7-176547号公報(甲第3号証)
刊行物4:特開平3-66492号公報(甲第4号証)
刊行物5:特開平5-75246号公報(甲第5号証)

2-1.刊行物1(特開昭55-86143号公報)の記載事項
刊行物1には、「端子パッドの形成方法」に関して、図面第1A〜1E図及び第2図と共に、次の事項が記載されている。
ア)「(1) 形成されるべきはんだ付可能な端子パッドの位置および領域を画定する導電材料よりなるベース層を半導体パッケージ基板上に形成し、
上記ベース層上にニッケルの層を選択的に付着し、
上記ニッケルの層上に金の層を選択的に付着し、
結果として得られるパッド構造体を、550℃乃至700℃の範囲のピーク温度まで加熱し、これによってニッケル及び金の層の界面にニッケル-金の固溶体を形成することからなる、
半導体パッケージ基板用のはんだ付可能な端子パッドの形成方法。
(2) 金の層が0.127ミクロンないし0.381ミクロンの厚さであることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の方法。」(特許請求の範囲)
イ)「本発明のさらにまた他の目的は、手直し作業を繰返した場合、すなわち多数のチップの取付けおよび取外し作業の場合に壊れない、改良されたはんだ付可能なパッドを提供することである。」(第1頁右下欄第19行〜第2頁左上欄第2行)
ウ)「第2図に示すように、電気的な接続を行なうため、はんだ20を使って基板10へ、半導体装置18を接続することが、特に望ましい。」(第2頁右下欄第18〜20行)
エ)「本発明において、従来の無電解めっきされたニッケル層がニッケル-金固溶体によってカバーされ、この固溶体が、下にあるニッケル層に含まれているりんをカバーするはんだ付可能な表面を提供する。金-ニッケル固溶体の層は、多数回の手直し作業を行なっても、はんだへ溶け込むことはない。」(第3頁右上欄第14〜20行)
オ)「第1A〜1E図には、特に多層セラミック基板に適する、改良されたはんだ付可能なパッドを作成するための本発明の方法および構造が示されている。第1A図に示されているように、基板10は、焼結作業に耐える耐火材料にて構成されるのが典型的なベース層22を有しており、この層はバイアス部12上に配置されており、このバイアス部はついで冶金学的なストライブ14に接続されている。」(第3頁左下欄第1〜9行)
カ)「ついで、第1B図に示されているように、ニッケルの層24が、無電解めっき技術によって、ベース層22の表面上に付着される。」(第3頁左下欄第15〜17行)
キ)「ニッケル層を析出するための典型的な無電解めっき溶液は、前述した「ソリッド・ステート・テクノロジー」の記事にあげられている。……第1C図に示されているように、つぎに金の層26が、この場合も無電解めっき技術を使用することによって層24の上に析出される。……層26の厚さは、0.127ミクロン〜0.381ミクロン(5マイクロインチ-15マイクロインチ)の範囲である。望むなら、層26を他の技術によって析出させることもできる。第1D図に示されているように、結果として得られる構造は、つぎに、層24と26の界面で金-ニッケル固溶体を形成するに充分な時間の間、ガスを生じさせる際に550-700℃(もっと好ましいのは620℃から650℃)のピーク温度まで加熱される。金の層26が比較的薄い場合、厚さ全体が、金-ニッケル固溶体28に変換される。典型的なこの加熱時間は、ピーク温度より約50-80℃低いプロフィール・ポイントで測定して4ないし8分の範囲である。典型的な金-ニッケル固溶体は、70-80%の金と20-30%のニッケルを、含んでいる。」(第3頁左下欄第19行〜第4頁右上欄第5行)

上記記載事項キの「金の……層26の厚さは、0.127ミクロン〜0.381ミクロン……の範囲である。……金の層26が比較的薄い場合、厚さ全体が、金-ニッケル固溶体28に変換される。……典型的な金-ニッケル固溶体は、70-80%の金と20-30%のニッケルを、含んでいる」との記載からみて、金の層26の厚さ0.127ミクロン〜0.381ミクロン全体が、金-ニッケル固溶体28に変換され、当該金-ニッケル固溶体28は、金を主成分とし、かつ、ニッケル含有量が20-30%のものであると認められる。
そうすると、上記記載事項ア〜キ及び図面第1A〜1E図、第2図の記載を総合すると、刊行物1には、
「基板表面にはんだ20によって半導体装置18を固着するためのパッドを備える多層セラミック基板10であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなるベース層22と、該ベース層22上に形成されてなるニッケルの層24とからなり、該ニッケルの層24上には、厚さが0.127ミクロン〜0.381ミクロンで、金を主成分とし、かつ、ニッケル含有量が20-30%である金-ニッケル固溶体28が直接形成されてなる、パッドを備える多層セラミック基板」
の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

2-2.刊行物2(特開平6-216485号公報)の記載事項
刊行物2には、「セラミック配線板の接続用導体形成方法」に関して、図1ないし3と共に、次の事項が記載されている。
ク)「【請求項1】セラミック配線板の導体上に、ロウ材にて部品を接続するための表面導体の形成方法において、
セラミック基板焼結導体上にニッケル膜および金膜をこの順に形成し、
500〜900℃で熱処理することにより、該ニッケル膜と該金膜との拡散層を生成させることを特徴とするセラミック配線板の接続用導体形成方法。」(特許請求の範囲)
ケ)「【0019】上記の接続導体は、37Sn組成のはんだロウ材(共晶はんだ)、Au-12Geロウ材、Au-20Snロウ材および金線のボンディングにおいて全て良好な接続性を示した。また熱衝撃試験(-25〜150℃)1000サイクル後も全て良好な接合性を示した。接合の一例として、以下にAu-12Geロウ材によるリードピンの接合方法を述べる。
【0020】Au-12Geロウ材を予めリードピンに融着しておき、カーボン製治具に入れ、接合パッドに位置合わせをしたあと、還元雰囲気炉で400℃で10分間加熱し、ロウ材を溶融させ、上記接続導体に濡れることでリードピン付けを行なった。図3にリードピン接合後の接合部の構造を示す。なお、各層間の境界は明確ではないため、模式的に直線で示している。
【0021】(実施例2)実施例1と同様な方法で、図1に図示されるような、ニッケルめっき膜2.5μmと金めっき膜2.5μmとを形成し、配線板を水素-窒素(1:1)雰囲気中で、600℃または900℃のいずれかの温度にて、10分間熱処理して実施例1と同様に図2に図示されるような、部品接続用の導体を形成した。この2種の温度により処理された導体の両方について、実施例1と同様の接合方法により、37Sn組成のはんだロウ材(共晶はんだ)、Au-12Geロウ材および金線の超音波ボンディングをそれぞれ行なった結果、全て良好な接合性を示した。」(第3頁第3欄第39行〜第4欄第13行)

2-3.刊行物3(特開平7-176547号公報)の記載事項
刊行物3には、「半導体チップとその製法」に関して、図9と共に、次の事項が記載されている。
コ)「【0028】〔実施例 3〕本実施例では、実施例2において、はんだ層9としてPb-5wt%Snを用いた半導体装置50について説明する。
【0029】図9は半導体装置50の断面図を示す。基体1がAl層2,Cr層3を介して支持板11にはんだ付けされていることは前記実施例2と同様であが、はんだ層9はCr層3とは直接には接触しておらず、Ni層4を介している。……半導体基体1と支持体11の間に剪断力を印加したところ、はんだ層9の領域で破壊を生じた。……この試験によるチップ側破壊面をEPMA分析したところ、その表面から検出されたのははんだ層9のみであった。このことは、Ni層4とはんだ層9は冶金的に結合されていたことを意味する。」(第6頁第9欄第30〜50行)

2-4.刊行物4(特開平3-66492号公報)の記載事項
刊行物4には、「はんだ接続された電子回路装置とはんだ接続方法並びに金メッキ接続端子用はんだ」に関して、図面第2,3図と共に、次の事項が記載されている。
サ)「母材のAuメッキされた部分は、Sn37Pbはんだに良くぬれる。これは、溶融状態のはんだSn37Pb中のSnがAuと容易に反応し、主としてAuSn4からなるAu-Sn化合物を形成しながら母材メッキ部にぬれ広がっていくためである。ところが、このAu-Sn化合物は前述の通り極めて固くて脆いという性質がある。また、このはんだ接続部中のAu濃度が高くなると、生成されるAu-Sn化合物の結晶粒は粗大化する。はんだ接続部にこの結晶粒の大きなAu-Sn化合物が存在すると、外部から力が加わった場合にこの力が化合物と母材の境界に集中し、この接続部が既に固く、しかも脆く変化していることから境界に沿って破壊されやすくなり、はんだ接続部の信頼性を著しく低下させている。この現象は、はんだ合金の引張り試験を行った場合に、引張り伸びが低下することで定量的に評価できる。この接続部を構成するSn37Pbはんだ中に含有するAuの濃度に対する引張り伸びの関係を第2図に、また、各組成における微細組織の電子顕微鏡による金属組織写真を第3図に、それぞれ示す。つまり、第2図から明らかなように、引張り伸び(引張破断伸びとして表示)は、Auの濃度が3重量%で著しく低下しており、第3図から明らかなようにこれに対応してAu-Sn化合物の結晶粒が矢印で表示したように粗大化していることがわかる。
これらの測定に用いた引張り試験方法、微細組織の観察方法については後に作用の項で詳述する。これにより、Sn37Pbはんだ中のAu濃度が3重量%以上になると、引っ張り伸びが20%以下となり、材質が固く、しかも脆くなることがわかる。この状態では、前述のごとくAu-Sn化合物の境界に外部からの力が集中し、破壊されやすくなる。」(第3頁右上欄第10行〜右下欄第3行)

2-5.刊行物5(特開平5-75246号公報)の記載事項
刊行物5には、「プリント回路の作成法」に関して、次の事項が記載されている。
シ)「【請求項2】電子部品をはんだ付けにより電気的に接続できる露出した導電性表面よりなるプリント回路において、前記の露出した導電性表面が、銅、該銅の上の被覆(ニッケルより主としてなる)及び該ニッケルの上の被覆(金から主としてなる)よりなるプリント回路。」(第2頁第1欄第9〜13行)
ス)「【請求項9】ニッケルより主としてなる該被覆が、電解ニッケルの被覆のみである請求項2-4の何れか一つの項のプリント回路。
……
【請求項11】ニッケルより主としてなる該被覆が、ニッケル及び燐よりなる無電解被覆のみである請求項2-4の何れか一つの項のプリント回路。
【請求項12】ニッケルより主としてなる該被覆が、ニッケル及びホウ素よりなる無電解被覆のみである請求項2-4の何れか一つの項のプリント回路。」(第2頁第1欄第36〜48行)

3.対比・判断
3-1.本件特許の請求項1に係る発明について
本件特許の請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者の対応関係は次のとおりである。
先ず、刊行物1記載の発明の「はんだ20によって半導体装置18を固着する」ことも、本件特許の請求項1に係る発明の「Pb-Sn系はんだによって端子部材を固着する」ことも、「はんだによって被接続部材を固着する」ことでは同じである。
次に、刊行物1記載の発明の「多層セラミック基板10」、「ベース層22」、「ニッケルの層24」は、それぞれ、本件特許の請求項1に係る発明の「セラミック基板」、「金属層」、「ニッケルを主成分とする接続層」に相当する。
更に、刊行物1記載の発明の「金-ニッケル固溶体28」は、ニッケルの層24上に直接形成され、金を主成分とするものである限りにおいて、本件特許の請求項1に係る発明の、接続層上に直接形成され、金を主成分とする「金ニッケル層」に相当する。
そうすると、本件特許の請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明とは、
「基板表面にはんだによって被接続部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層上には、金を主成分とする金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板」
である点で一致し、次の相違点1及び2で相違している。

《相違点1》
本件特許の請求項1に係る発明では、「『Pb-Sn系』はんだによって『端子部材』を固着する」のに対して、刊行物1記載の発明では、「はんだ20によって『半導体装置18』を固着する」点。
《相違点2》
金ニッケル層に関して、本件特許の請求項1に係る発明では、「厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とし、かつ、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が10原子%以上である金ニッケル層」と規定されているのに対して、刊行物1記載の発明では、「厚さが0.127ミクロン〜0.381ミクロンで、金を主成分とし、かつ、ニッケル含有量が20-30%である金-ニッケル固溶体28」である点。

そこで上記各相違点について以下で検討する。
《相違点1》について
Pb-Sn系はんだは一般的なはんだであり、また、基板表面のパッドにPb-Sn系はんだによって端子部材を固着することも、従来周知の技術である。(例えば、刊行物2の記載事項ケ、図3、参照。また他に、特開平8-31974号公報の第3頁第3欄第49行〜第4欄第4行、図2、参照。)
そして、刊行物1記載の発明の基板表面のパッドに、一般的なPb-Sn系はんだによって端子部材を固着することは、上記周知の技術に基づいて、当業者であれば、容易に想到できた事項である。
《相違点2》について
先ず、刊行物1記載の発明の金-ニッケル固溶体28の厚さ0.127ミクロン〜0.381ミクロンは、本件特許の請求項1に係る発明の金ニッケル層の厚さ0.01〜0.5μmの範囲内のものである。
次に、刊行物1記載の発明の「ニッケル含有量が20-30%である」との数値が原子%であるのか重量%であるのか不明であるが、上記%が重量%であるとしても原子%に換算すると「46-59原子%」となり、いずれにしても、本件特許の請求項1に係る発明の「ニッケル含有量が10原子%以上」の範囲内のものである。
そして、刊行物1記載の発明においては、金の層26の厚さ全体が金-ニッケル固溶体28に変換されたもので、当該金-ニッケル固溶体28は、その表面においても上記の「ニッケル含有量が20-30%である」と認められるので、固体表面近傍に存在する元素の分析に慣用されるオージェ電子分光法により分析したとき、本件特許の請求項1に係る発明と同様に、「表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が10原子%以上」となることは明らかである。
そうすると、上記相違点2における本件特許の請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明との相違は、表現や測定・評価方法の相違にすぎず、実質的な相違とはいえないものである。
よって、本件特許の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-2.本件特許の請求項2に係る発明について
上記「3-1.本件特許の請求項1に係る発明について」の《相違点2》についてで説示したとおり、刊行物1記載の発明の金-ニッケル固溶体28の「ニッケル含有量が20-30%」であることは、本件特許の請求項2に係る発明の金ニッケル層の「ニッケル含有量が15原子%以上」であることの範囲内のものであるので、上記「3-1.本件特許の請求項1に係る発明について」で説示したのと同様な理由により、本件特許の請求項2に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-3.本件特許の請求項3に係る発明について
刊行物1の図面第1A〜1E図の記載からみて、ニッケルの層24の上表面は平坦面であると認められるから、本件特許の請求項3に係る発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、上記「3-1.本件特許の請求項1に係る発明について」で説示したのと同様な理由により、上記相違点1及び2に加えて次の相違点3で相違し、その余の点で一致している。

《相違点3》
本件特許の請求項3に係る発明では、「接続層とPb-Sn系はんだの密着強度が、端子部材を基板表面にたいして平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である」であるのに対して、刊行物1記載の発明では、上記構成事項についての言及がない点。

上記相違点1及び2についての判断は、上記「3-1.本件特許の請求項1に係る発明について」で説示したとおりであるので、上記相違点3について検討すると、刊行物3には「半導体基体1と支持体11の間に剪断力を印加したところ、はんだ層9の領域で破壊を生じた。……この試験によるチップ側破壊面をEPMA分析したところ、その表面から検出されたのははんだ層9のみであった。このことは、Ni層4とはんだ層9は冶金的に結合されていたことを意味する。」(上記記載事項コ、参照)と記載されており、当該刊行物3の記載事項は、上記相違点3における本件特許の請求項3に係る発明の構成事項に実質的に相当するものである。
よって、本件特許の請求項3に係る発明は、刊行物1、3に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-4.本件特許の請求項4に係る発明について
本件特許の請求項4に係る発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、上記「3-3.本件特許の請求項3に係る発明について」で説示したのと同様な理由により、上記相違点1、2及び3に加えて次の相違点4で相違し、その余の点で一致している。

《相違点4》
介在層の金含有率に関して、本件特許の請求項4に係る発明では、「Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層」であるのに対して、刊行物1記載の発明では、「金-ニッケル固溶体28」の金含有率について、そのような言及がない点。

上記相違点1、2及び3についての判断は、上記「3-3.本件特許の請求項3に係る発明について」で説示したとおりであるので、上記相違点4について検討すると、刊行物1には「金-ニッケル固溶体の層は、多数回の手直し作業を行なっても、はんだへ溶け込むことはない。」(上記記載事項エ、参照)と記載されており、当該刊行物1の記載事項は、金-ニッケル固溶体の層の金がはんだへ溶け込むことはなく、金-ニッケル固溶体の層の金含有率がはんだの金含有率よりも高いことを示唆するものである。
また、刊行物4には、「Sn37Pbはんだ中のAu濃度が3重量%以上になると、引っ張り伸びが20%以下となり、材質が固く、しかも脆くなる」(上記記載事項サ、参照)と記載されており、Sn37Pbはんだ中のAu濃度を3重量%未満とすることが望ましい旨が示唆されている。
そうすると、刊行物1記載の発明において、はんだ20の金含有率を小さくして、それよりも「金-ニッケル固溶体28」の金含有率を高いものとすることは、上記刊行物1及び4に記載のものに基づいて、当業者であれば容易に想到できた事項である。
よって、本件特許の請求項4に係る発明は、刊行物1、3、4に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-5.本件特許の請求項5に係る発明について
「請求項1又は2のいずれかに記載のパッドを備えるセラミック基板」は、上記「3-1.本件特許の請求項1に係る発明について」又は「3-2.本件特許の請求項2に係る発明について」で説示したとおり、刊行物1に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、当該パッドを備えるセラミック基板の製造方法に関する本件特許の請求項5に係る発明と刊行物1記載のものとを対比すると次のとおりである。
刊行物1記載の発明の金-ニッケル固溶体28は、加熱処理により金の層26にニッケルの層24中のニッケルが拡散されて形成されるものと認められるから、刊行物1には、「基板表面に形成されたベース層22に、めっきによりニッケルの層24を形成してパッドとなし、該ニッケルの層24上に、めっきにより厚さが0.127ミクロン〜0.381ミクロンで、金の層26を形成し、加熱処理により該金の層26に該ニッケルの層24中のニッケルを拡散させて金-ニッケル固溶体28とする、パッドを備える多層セラミック基板の製造方法」が記載されていると認められ、刊行物1の当該記載事項は、本件特許の請求項5に係る発明の「基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする、パッドを備えるセラミック基板の製造方法」に実質的に相当する。
よって、本件特許の請求項5に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-6.本件特許の請求項6及び7に係る発明について
上記のとおり、刊行物1には「パッド構造体を、550℃乃至700℃の範囲のピーク温度まで加熱」(上記記載事項ア、参照)することが記載されており、上記加熱処理の最高温度は、本件特許の請求項6に係る発明の「加熱処理の最高温度を150℃以上とする」こと、及び本件特許の請求項7に係る発明の「加熱処理の最高温度を350℃以上とする」ことの範囲内のものである。
よって、本件特許の請求項6及び7に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-7.本件特許の請求項8に係る発明について
ニッケルを主成分とする層を形成する手段として、ニッケル-りんメッキ、ニッケル-ホウ素メッキ(又は純ニッケルメッキ)は、いずれも従来周知の技術であり(例えば、刊行物5の記載事項ス、参照。また他に、特許異議申立人が提出した参考資料5〜9(特開平2-296336号公報、特開平5-82524号公報、特開平5-160551号公報、特開平7-161567号公報、特開平7-263493号公報)、参照。)、また、金ニッケル層を介在させてはんだ付けをする場合には、上記メッキに含まれるりんやホウ素は、はんだ付けに関与するものではないので、刊行物1記載の発明のニッケルの層24を形成する手段として、上記周知の技術のうちのニッケル-ホウ素メッキを採用することは、当業者であれば、容易に想到できた事項である。
よって、本件特許の請求項8に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び上記各周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-8.本件特許の請求項9に係る発明について
「請求項3又は4に記載の端子部材を備えるセラミック基板」は、上記「3-3.本件特許の請求項3に係る発明について」又は「3-4.本件特許の請求項4に係る発明について」で説示したとおり、刊行物1、3に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、又は、刊行物1、3、4に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、当該端子部材を備えるセラミック基板の製造方法に関する本件特許の請求項9に係る発明と刊行物1記載のものとを対比すると次のとおりである。
刊行物1記載の発明の金-ニッケル固溶体28は、加熱処理により金の層26にニッケルの層24中のニッケルが拡散されて形成されるものと認められるから、刊行物1には、「基板表面に形成されたベース層22に、めっきによりニッケルの層24を形成してパッドとなし、該ニッケルの層24上に、めっきにより厚さが0.127ミクロン〜0.381ミクロンで、金の層26を形成し、加熱処理により該金の層26に該ニッケルの層24中のニッケルを拡散させて金-ニッケル固溶体28とする」ことが記載されていると認められ、刊行物1の当該記載事項は、本件特許の請求項9に係る発明の「基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする」ことに実質的に相当する。
また、上記「3-1.本件特許の請求項1に係る発明について」の《相違点1》についてで説示したとおり、端子部材をPb-Sn系はんだによって固着することは、従来周知の技術である。
よって、本件特許の請求項9に係る発明は、刊行物1、3に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、又は、刊行物1、3、4に記載された発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

【4】むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件特許の請求項1ないし9に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パッドを備えるセラミック基板、端子部材を備えるセラミック基板およびそれらの製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層上には、厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とし、かつ、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が10原子%以上である金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板。
【請求項2】 前記金ニッケル層は、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が15原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。
【請求項3】 請求項1記載の構成を有し、基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層の上表面は平坦面であり、該接続層と該Pb-Sn系はんだの密着強度が、該端子部材を該基板表面にたいして平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である、端子部材を備えるセラミック基板。
【請求項4】 前記Pb-Sn系はんだと該接続層との間には、金およびニッケルを含有し、該Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層が形成されてなる請求項3記載の端子部材を備えるセラミック基板。
【請求項5】 請求項1又は2のいずれかに記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする、パッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項6】 前記加熱処理の最高温度を150℃以上とする請求項5に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項7】 前記加熱処理の最高温度を350℃以上とする請求項5に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項8】 前記接続層をニッケル-ホウ素メッキにより形成する請求項5〜7の何れか一項に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。
【請求項9】 請求項3又は4に記載の端子部材を備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とし、該金ニッケル層上に、端子部材をPb-Sn系はんだによって固着する、端子部材を備えるセラミック基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パッドを備えるセラミック基板およびそのパッドにPb-Sn系はんだで固着した端子部材を備えるセラミック基板に関し、特に、ICチップやマザーボード等の基板と接続するため、基板平面に端子を配列するためのパッドを格子状に備え、あるいはこのパッド上に端子部材を備えたセラミック基板に関する。
【0002】
【従来技術】
近年の集積回路(IC)技術の進展により、ICチップに設けられる入出力端子の数が増大している。しかし、入出力端子をICチップの周縁部に設ける場合には、端子の数に従ってチップサイズの増大を招き、チップやパッケージ基板のコストアップや歩留りの低下を生じ好ましくない。
【0003】
そこで、チップの主表面(平面)に端子を格子状または千鳥状に並べ、基板にもこれと対応する位置にパッドを形成し、両者を一挙に接続するいわゆるフリップチップ法を採用することが行われている。また、ICチップ等を搭載した基板をマザーボードなどのプリント基板(PCB)に接続する場合にも、IC搭載基板と対応するマザーボード基板の表面にそれぞれ格子状にパッドを設け、いずれか一方に略球状の高温はんだやCuからなる端子部材を予め半田付けにより設けておき、その後両者を半田付けにより端子部材を介して接続することが行われる。一般には、パッドのみ格子状に設けた基板はLGA(ランドグリッドアレイ)と、パッド上にボール状の端子部材(接続端子)を備えた基板はBGA(ボールグリッドアレイ)と呼ばれる。
【0004】
ところで、このようにしてチップや基板の平面上に格子状(千鳥状も含む)にパッドあるいは端子を形成しICチップと基板、基板とマザーボード基板を接続する場合(以下、このような接続を面格子状接続ともいう)には、ICチップと基板、基板とマザーボード基板(以下、基板等ともいう)の材質の違いにより熱膨張率が異なるので、平面方向に熱膨張差が発生する。即ち、端子部材から見ると、端子が接続している基板等が平面方向についてそれぞれ逆方向に寸法変化しようとするので、端子にはせん断応力が働くこととなる。
【0005】
このせん断応力は、面格子状接続されるパッドまたは端子のうち、最も離れた2つのパッドまたは端子間で最大となる。即ち、例えば端子が格子状にかつ最外周の端子が正方形をなすように形成されている場合、それぞれこの正方形の対角上に位置する2つの端子間で基板等の熱膨張差が最も大きく影響し、最も大きいせん断応力が掛かることとなる。特に、LGAやBGAなど基板をマザーボード基板と接続する場合には、パッドまたは端子間の間隔(ピッチ)が比較的大きく、従って、最も離れたパッドまたは端子間の距離が大きくなりやすい。特に、LGAやBGA基板にセラミック製基板を用いた場合、一般にガラスエポキシ製基板を用いるマザーボード基板とは、熱膨張率が大きく異なるので、発生するせん断応力が大きくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなせん断応力が掛かると、パッドと端子部材の密着強度(接合強度)がそれほど大きくない場合には両者間で接合が破壊する、即ち、パッドから端子部材が外れることがあるので、密着強度を十分大きくすることが望まれる。
【0007】
ところで、一般にセラミック基板上に設けられるパッドとしては、同時焼成あるいは後焼成によって基板上にタングステンやモリブデン等の高融点金属からなる金属層を設け、更にこの金属層上にニッケル(Ni)メッキを施したものが用いられる。このニッケルメッキ層は、はんだに濡れない高融点金属をはんだ付けできるようにするために形成されるもので、高融点金属とはんだを接続する接続層である。さらに、このパッド表面には、金(Au)メッキが施されることが多い。ニッケルメッキ層の酸化を防ぎ、安定したはんだ付け性を得るためである。
【0008】
しかし、このようなパッドに球状の端子部材をPb-Sn共晶はんだではんだ付けし、端子部材とパッドとの接続が破壊するまで端子部材を基板表面(またはパッド面)に平行に押すシェアー試験を行うと、その破壊の様子(破壊モード)は、接続層のニッケルメッキとPb-Sn共晶はんだの界面から剥がれるように破壊することが判明した。これは、以下の理由によるものと考えられる。パッド表面の金メッキ層の金は極めて容易にはんだに溶解してはんだ内に拡散してしまう、即ち、はんだ食われが生じる。すると、はんだはニッケルメッキの接続層と直接接触することとなる。しかし、ニッケル層に対してはんだの濡れが十分でないために、せん断応力が掛かるとニッケル層とはんだの界面で剥がれるようにして接続が破壊する、あるいは、金がはんだ中の錫(Sn)と反応して脆い金属間化合物を形成するためであると思われる。つまりニッケルメッキによって形成した接続層とはんだ層のせん断応力に対する密着強度が十分でないことを示すものである。また、このように密着が不十分な場合には、基板とマザーボード基板とを接続した場合に耐久性が低い場合があり、両者を温度サイクル試験にかけた場合に、やはり少数回、即ち比較的短時間で両者の界面から剥がれるようにして接続が破壊し、耐久性のないことが判った。
【0009】
ところで、特開平8-31974号公報においては、基板に設けるパッドに凹部を設け、ボール状端子をロウ付けするのに際し、接合が正確に、且つ強固となるようにしたものが開示されている。しかし、かかる発明においては、各々のパッドに研磨加工を施したり、パッド中央領域に金属ペーストを少なく外周領域に金属ペーストを多く塗布したりして凹部を設けなければならず面倒であり、コストアップとなる。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、セラミック基板上に設けたパッドとPb-Sn系はんだの密着強度を向上し、せん断応力に対して耐えうる耐久性の高いパッドを備えるセラミック基板、およびパッド上に端子を備えるセラミック基板を提供し、更にはその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
しかしてその解決手段は、基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層上には、厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分としニッケルを含有する金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板である。
【0012】
ニッケルと主成分とする接続層上には、金を主成分としニッケルを含有する金ニッケル層が形成されているため、単にメッキ等により金層が形成されている場合のように、金層の金がPb-Sn系はんだに溶解して、即ちはんだ食われによって拡散してしまい、Pb-Sn系はんだとニッケルの接続層が直接接触してはんだ付けされることがない。金ニッケル層においては、金がはんだに食われ、はんだ中に拡散するのをニッケルが制限しているためである。また、これにより脆いAu-Sn金属間化合物の生成をも抑制される。従って、かかるセラミック基板においては、端子部材をPb-Sn系はんだで固着したときに、せん断応力によってニッケルの接続層とはんだとの界面で剥がれるように破壊することはなく、端子部材をパッドに強固にはんだ付けすることができる。ここで、金ニッケル層の厚さは、0.01〜0.5μmの範囲が好ましい。極端に薄くては密着強度を高くできないし、接続層の酸化を防止できないからである。一方、厚すぎる場合には、金と錫とで形成される金属間化合物ではんだ自体が脆くなるので、あまり大量の金を用いることは好ましくないからである。
【0013】
さらに、金ニッケル層のニッケル含有量が10原子%以上であるのが好ましい。ニッケル含有量が10原子%以上あると、金ニッケル層中の金の溶解をニッケルが制限する効果が高く、せん断応力によってニッケルの接続層とはんだとの界面で剥がれるように破壊することが少なくなる。
【0014】
さらに、金ニッケル層のニッケル含有量が15原子%以上であるのが好ましい。ニッケル含有量が15原子%以上あると、金ニッケル層中の金の溶解をニッケルが制限する効果が高く、せん断応力によってニッケルの接続層とはんだとの界面で剥がれるように破壊することがなくなる。
【0015】
さらに、他の解決手段は、基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層の上表面は平坦面であり、該接続層と該Pb-Sn系はんだの密着強度が、該略球状の端子部材を該基板表面に対して平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である、端子部材を備えるセラミック基板である。前述の特開平8-31974号の記載ように形成が面倒な凹部を設ける必要はなく、接続層の上表面は平坦面であるので、従来と同様に容易にパッドを形成することができる。しかも、Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊するほどの強度で、接続層と該Pb-Sn系はんだが密着しているので、高い耐久性を得ることができる。
【0016】
なお、更に他の解決手段として、基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該Pb-Sn系はんだと該接続層との間には、金およびニッケルを含有し、該Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層が形成されてなる、端子部材を備えるセラミック基板としてもよい。ニッケルを主成分とする接続層とPb-Sn系はんだとは介在層を介して接続しており、端子にせん断応力を加えた場合に、従来技術のように接続層とはんだの間で剥離するように破壊することがない。このとき、金が溶解するので、Pb-Sn系はんだは、ある程度の金含有率を有している。しかし、介在層にはニッケルによってはんだに溶解することを制限された金があるため、はんだよりも高い金含有率を示す。かかる介在層は、金を含んでいるのではんだに良く濡れる一方、ニッケルを主成分とする接続層とも良く密着している。従って、はんだと接続層の間に介在して両者を強固に接合する。したがって、端子にせん断応力を掛けても、はんだと接続層の間で剥がれるようにして破壊することがない。
【0017】
また、セラミック基板の製造方法は、基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層を形成する、パッドを備えるセラミック基板の製造方法である。加熱処理により金層中に下層の接続層からニッケルを拡散させることにより、金ニッケル層とするので、Pb-Sn系はんだで端子をはんだづけした場合に、はんだ中に金ニッケル層中の金は容易には溶解しない、即ち、はんだ食われによって金がなくなるのをニッケルが制限する。しかも、加熱処理であるので、処理が容易であり、拡散量も加熱温度や加熱時間によって容易に変化させることができる。また、メッキ皮膜中に取り込まれたメッキ液を加熱処理時にガス化して除去できるので、メッキ液の残留による変色や腐食をも防止できる。なお、金層の厚さは、ニッケル層の酸化防止に必要な厚さである0.01μm以上で、脆い金-錫金属間化合物が多くなりすぎないように0.5μm以下とするのが好ましい。
【0018】
ここで、加熱処理は、金ニッケル層のニッケル含有量を10原子%以上にする加熱処理であることが好ましい。ニッケル含有量が10原子%以上ある場合には、端子にせん断応力を掛けた場合に、接続層とはんだの界面で剥がれることが少ないからである。
【0019】
また、加熱処理の最高温度を150℃以上とするのが好ましい。150℃以上の加熱によりニッケルが金層に拡散した金ニッケル層とすることができる。
【0020】
さらに、加熱処理の最高温度を350℃以上とするのが好ましい。350℃以上の加熱により十分な量のニッケルが金層に拡散した金ニッケル層とすることができる。
【0021】
さらに、接続層をニッケル-ホウ素メッキにより形成することが好ましい。ニッケル-ホウ素メッキの皮膜は、ニッケル成分の含有量が多く、純Niに近いので融点が高く、製造工程においてピン等を高温でろう付けする場合に高い強度でろう付けできて好ましいからである。また、はんだとの濡れ性が良いので、ニッケル-ホウ素メッキからなる接続層がはんだと接触した場合でも、容易にはんだに濡れるからである
【0022】
他の解決手段は、基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とし、該金ニッケル層上に、端子部材をPb-Sn系はんだによって固着する、端子部材を備えるセラミック基板の製造方法である。加熱処理により金層中に下層の接続層からニッケルを拡散させることにより、金ニッケル層とし、Pb-Sn系はんだで端子をはんだづけするので、はんだ中に金ニッケル層中の金は容易には溶解しない、即ち、はんだ食われによって金がなくなるのをニッケルが制限する。しかも、加熱処理であるので、処理が容易であり、拡散量も加熱温度や加熱時間によって容易に変化させることができる。なお、金層の厚さは、ニッケル層の酸化防止に必要な厚さである0.01μm以上で、脆い金-錫金属間化合物が多くなりすぎないように0.5μm以下とするのが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図とともに説明する。周知のグリーンシート成形技術や同時焼成技術およびメッキ技術によって、図1に示すように、外形寸法が一辺21mm、厚さ1.0mmで、平面視して略正方形を有し、4層のセラミック層1、1からなる板状アルミナセラミック基板10を形成した。即ち、アルミナセラミック粉末90重量%とガラスフリット粉末及び顔料10重量%とを有機バンダーおよび溶剤で混練したのち、例えばドクタブレード法によりフィルム上に塗布乾燥してセラミックグリーンシートを形成する。次いでグリーンシートを所定の大きさに切断し、パンチングによりビアホールを形成したのちにモリブデンを主成分とするメタライズインクを充填する。またこのシート上に配線やパッドの金属層となるモリブデンを主成分とするメタライズインクを印刷乾燥する。これを所定の順序で複数枚積層圧着し、假焼してバインダーを除去した後、湿った水素雰囲気の下、最高温度約1550℃で焼成して基板10を形成した。
【0024】
この基板10の一方の主平面(図中上面)10aには、縦横ピッチ1.27mmの間隔で、直径0.86mm厚さ20μmのモリブデンメタライズ層(金属層)2が同時焼成により縦横格子状に各16ヶ合計256ヶ形成されている。ここで、拡大断面図2に示すように、隣接するメタライズ層2同士は、メタライズ層2の下面と接続しセラミック層1を2層分貫通するビア3と、ビア3同士を結ぶ内部配線3aとにより相互に接続されている。このようなメタライズ層2は、後述する同様な構造のプリント基板と接合したときにいわゆるディジーチェーン構造となり、本例では256ヶすべてのメタライズ層2が1本の配線で結ばれるようにされている。
【0025】
次いで、図3(A)に示すように、このセラミック基板10を塩化パラジウム溶液中に浸漬し、その後水洗してメタライズ層2上にPdメッキ核を形成し、無電解メッキ法によりニッケル-ホウ素メッキを厚さ3.4μmに施して、上面が平坦な接続層4を形成し、それぞれメタライズ層2および接続層4からなるパッドPを形成した。さらに、接続層4上に無電解メッキ法により金メッキを0.05μmの厚さに施して金層5を形成した(図3(B)参照)。ついで、セラミック基板10を、水素雰囲気を有し、最高温度がそれぞれ150℃、250℃、350℃、450℃、550℃、650℃であるベルト炉に投入した。この熱処理により、金層5に接続層4中のニッケルが拡散して、金層5は金ニッケル層6になる(図3(C)参照)。金ニッケル層6は、熱処理温度によってその呈する色調が若干異なり、250℃以下で処理した試料は、熱処理前と特に差はない金色を呈していた。一方、350℃以上になると、金ニッケル層6は徐々に金白色となり、処理温度が高くなるほど金ニッケル層6の色調から多くのニッケルが拡散していることが判る。なお、比較のため、同様な試料において、上述の熱処理のみ施さず、ほかは同様に製作した比較試料も製作した。
【0026】
これらの試料の金ニッケル層6におけるニッケル含有量をオージェ電子分析装置で測定した。オージェ電子分析の測定条件は、JEOL製オージェ電子分析装置JAMP30を用い、加速電圧10kV、照射電流3×10-7mA、スポット径50μmである。この条件においては、測定試料の表面から約50オングストローム(0.005μm)の深さまでの物質の情報が得られる。ここで、各々金ニッケル層6表面の3点を測定し平均値を算出してニッケル含有量とした。表1のニッケル含有量の欄にその値を記載する。また、図4に熱処理の最高温度とニッケル含有量との関係をグラフで表示する。
【0027】
【表1】

注1:番号1の試料は、比較試料である。
注2:Ni含有量の測定試料数は、各々3点である。
注3:せん断強度、破壊モードの測定試料数は、各々基板5枚×2点である。
【0028】
この表1及び図4のグラフから明らかなように、熱処理を行っていない比較試料(試料番号1)においては、金層5にニッケルは含まれていない。一方、150℃の熱処理を行うと(試料番号2)、約11原子%のニッケルが金ニッケル層6に含まれることが判る。さらに、250℃、350℃、450℃と熱処理温度を高くすると、徐々にニッケル含有量は上昇することが判る。ついで、図5(A)に示すように、セラミック基板10の金ニッケル層6上に、Pb-Sn共晶はんだ(Pb63%-Sn37%)のはんだペースト7’をスクリーン印刷によって約300μmの厚さに塗布し、高温はんだ(Pb90%-Sn10%)からなる直径890μmの球状の端子部材8を載置し(図5(B)参照)、最高温度215℃のリフロー炉に投入した。このようにして、パッドPに球状の高温はんだからなる端子部材8をPb-Sn共晶はんだ7ではんだづけした(図5(C)参照)。なお、同様に、加熱処理しなかった比較試料のパッドにも同様に端子部材8を共晶はんだではんだづけした。
【0029】
次いで、せん断応力に対するパッドPとはんだ7の密着強度を調査するため、ダイ・シェアリング・テスタ(ANZA TECH社、Model.520D)を用い、模式図を図6に示すように、基板10を固定した後に、端子部材8に基板表面、即ちパッドPの平面に対して平行な方向(図中横方向)からシェアリングブレードBを押しつけ、端子が破壊するときの強度(せん断強度)とその破壊モードを調査した。測定は各処理温度の試料とも、5枚の基板で各2端子計10点を測定した。結果を上記表1のせん断強度の欄および破壊モードの欄に示す。なお、破壊モードについては、以下に説明する「はんだ/はんだモード」で破壊した試料数を表示した。
【0030】
この表1の結果から明らかなように、せん断強度について、平均値で比較すると、比較試料が1.46kgとなったのに対して、加熱処理を行ったもの、即ちニッケル含有量が10原子%以上のものは、いずれも2kg程度となり改善が見られた。しかも、比較試料では、測定値のばらつき(分散)が大きく、せん断強度、従ってパッドPとはんだ7の密着が不安定であることが判る。これに対して、熱処理を行ったものでは、比較的ばらつきが少なく両者の密着が安定していることが判る。
【0031】
さらに、破壊モードについても、加熱処理をしない比較試料と加熱処理を行ったものとでは明らかな差異が見られる。即ち、比較試料では、測定した10点すべてで、パッドPとはんだ7とが剥がれるようにして両者の界面で破壊する「パッド/はんだモード」(図7(A)参照)で破壊した。一方、150℃で加熱処理したものは10点中6点、250℃で加熱処理した試料は10点中9点、ニッケル含有量が15原子%以上である350℃以上のものは10点すべてが、共晶はんだ7自身が変形してせん断応力によってせん断破壊する「はんだ/はんだモード」(図7(B)参照)で破壊した。これは、パッドPとはんだ7の密着強度が、はんだ7自身のせん断強度(2kg程度)を上回っていることを示している。というのも、パッドPとはんだ7の間のせん断強度よりもはんだ7自身のせん断強度の方が低いために、低い方のはんだ7自身のせん断強度が測定されて、比較試料の値とは0.5kg程度の差しか見られなかったが、実際には、はんだ7自身のせん断強度(2kg程度)よりも十分高い強度でパッドPとはんだ7とが密着していると考えられるからである。言い換えると、ニッケル-ホウ素からなる接続層4を表面に持つパッドP上に金ニッケル層6を形成した場合には、見かけでも0.5kg程度、実際のはそれ以上にパッドPとはんだ7の密着強度を向上できることを示している。
【0032】
このような差を生じる理由は、以下のように考えられる。接続層4上にメッキ等によって金層5を形成しただけの場合、上記試験で言えば比較試料の場合には、金は共晶はんだに極めて容易に拡散して、いわゆるはんだ食われを生ずる。本例のように金の厚みが薄い場合には、はんだ中に金が拡散するとすぐに下地の接続層4が現れ、この接続層4と共晶はんだ7との間ではんだ付けがなされる。接続層4に使用したニッケル-ホウ素メッキは、ニッケルを主成分とするメッキ層の内でもはんだ付け性の良好なものであるが、ニッケル自身が金や銀ほどにははんだ付け性が良いわけではない。ニッケルは安定であり、はんだに対して比較的拡散しにくいからである。従って、接続層4ははんだ7に濡れてはんだづけされるものの、その密着強度は十分とは言えない。従って、上述のようにせん断強度試験において、パッドP、即ち、接続層4とはんだ7はその界面から剥がれるようにして密着が破壊したものと思われる。
【0033】
一方、金層5に加熱処理によってニッケルを拡散させ金ニッケル層6とした場合には、はんだに食われやすい(拡散しやすい)金と食われにくい(拡散しにくい)ニッケルとが混在した層となる。さすれば、かかる金ニッケル層6に端子部材8を共晶はんだ7ではんだ付けした場合には、単に金層4がある場合に比較して、金がはんだ7に拡散しにくい状態となる。金ニッケル層6中のニッケルが金のはんだへの拡散を制限するからである。従って、金ニッケル層6中の金は、はんだ7中に総て拡散してしまわずにニッケルとともに残り、はんだ7を接続層4と直接接触させないようにするごく薄い介在層となる。介在層は、含まれる金がはんだ7と良く濡れるので、はんだ7と強固に密着し、一方、介在層に含まれるニッケルと接続層のニッケルとは良く密着している。このようにして介在層を介して接続層4とはんだ7とが強固に接続する。従って、せん断強度試験を行うと、接続層4とはんだ7の間では破壊は起こらず、せん断強度の低いはんだ7自身が破断したのである。また、金ニッケル層6中の金は、容易には共晶はんだ7中に拡散しないので、拡散した金がはんだ7中に含まれるSnと反応して脆い金属間化合物を生成し難いとも考えられる。
【0034】
さらに、パッドP(接続層4)とはんだ7の密着信頼性を確認するため、上記試料および比較試料を、図8(A)に示すような、熱膨張係数が20×10-6/℃のガラスエポキシ(FR-4)からなるプリント基板Pに接続して、繰り返しせん断応力に対する耐久性を評価した。この基板Pは、厚さ1.6mmで、一方の主表面Paには、試料のパッドPに対応する位置およびピッチでパッドCを有している。このパッドCは、Cuからなり直径0.72mm×厚さ45μmの大きさで、その表面には共晶はんだコーティングがされている。
【0035】
また、図8(B)の拡大断面図に示すように、この基板PのそれぞれのパッドCの直下には基板Pを上下に貫通するビアVが形成され、他方の主表面Pbには、隣り合うビアVを接続する接続配線Wが形成されている。この基板Pの配線等は、前述したように、基板10と接続したときにディジーチェーン構造となり、256ヶ所の接続部分すべてが1本の配線内に含まれるように構成されている。これは、セラミック基板10とプリント基板Pとを接続する端子のうち1箇所でも破断した場合には、ディジーチェーン構造の配線が断線するようにして、不具合の判定を容易にできるようにするためである。なお、基板表面Pa、Pbには、耐湿性や耐はんだ性向上のために、ソルダーレジストRがパッドCや接続配線W間の所定位置に形成されている。
【0036】
このPと試料等との接続は、パッドC上にPb-Sn共晶はんだのはんだペーストを300μmの厚さの塗布し、試料等に設けた端子部材8が、それぞれパッドCの中央に位置するように位置合わせした後、215℃のリフロー炉に投入し、はんだペーストを溶解してパッドCと端子部材8とをはんだ7’で接続することで行った。これにより図9に示すような断面を有する基板Pに接続されたセラミック基板10を形成した。
【0037】
この基板Pを接続した試料等を、恒温槽に入れ、試料と基板Pの接続部分(端子部材8等)にせん断応力が掛かるように、温度-40〜125℃、サイクル時間60分の条件下で温度サイクル(冷熱サイクル)試験を行い、接続部分の破壊の有無を調査した。接続部分が破壊しているかどうかは、上述したようにディジーチェーン構造をとる配線の両端間の導通の有無を測ることによって確認した。温度サイクル試験は、450℃で加熱処理を行った基板10および加熱処理を行わなかった比較試料について、各々10ヶの基板を上述のようにしてプリント基板Pに接続したものを用いて行った。表2に各試料についての破壊(断線)するまでの試験サイクル数を示す。
【0038】
【表2】

【0039】
表2によれば、比較試料と加熱処理をした試料との差異は明らかである。即ち、比較試料をPに接続した場合には、約154サイクルで破壊(断線)する試料、即ち、接続部分が破断するものが出始め、約514サイクルですべての試料が断線した。この結果から求めたMTTF(平均故障寿命)を求めると、加熱処理をしない比較試料のMTTFは、304サイクルであった。一方、450℃で加熱処理した基板を用いた試料は、691サイクルで断線するものが出始め、982サイクルですべての試料が断線した。この場合のMTTFを求めると、820サイクルであった。従って、MTTFで比較すると、寿命が約2.7倍分延びたことが判る。即ち、金ニッケル層上にPb-Sn系はんだで端子を接続すると、加熱処理を行わなかった比較試料に比べ高い信頼性を得ることができることが判る。つまり、加熱処理により金層5にニッケルを拡散させて金ニッケル層6とすると、Pb-Sn系はんだ7で端子部材8をはんだ付けした場合に、高い密着強度を得られ、さらにその接続信頼性が高いものが得られる。
【0040】
なお、上記した実施形態においては、基板10全体を加熱することにより、接続層4から金層5にニッケルを拡散させ、金ニッケル層6を形成したが、レーザ光線の照射や電子ビーム照射によりパッドPの部分のみ加熱してニッケルを金層5に拡散させても良い。その場合には、はんだ付けしない部分の金層5はニッケルが拡散しないので、その部分の耐酸化性が高く保たれるので好ましい。上記実施形態においては、金層5をメッキによって形成し、その後ニッケルを拡散させて金ニッケル層6とした場合について示した。しかし、金ニッケル層を形成する手法はこれに限定されることはなく、例えば、金とニッケルを蒸着、スパッタリング等の気相成長によって同時にパッドP上に形成して金ニッケル層としても良い。また、端子部材8に球状高温はんだを用いた場合を示したが、これに限らす、例えばCuボール等であっても良く、さらに形状も球状に限定されない。また、Pb-Sn系はんだとしてPb-Sn共晶はんだを使用した場合を示したが、共晶はんだに限定されるものではない。即ち、端子部材の材質や融点にもよるが、より高温または低温の融点を持つように組成を調整したPb-Sn系はんだであっても良く、他の成分としてBiやIn、Ag等を添加したものであってもよい。
【0041】
さらに、セラミック基板10の材質は、上記実施形態で示したアルミナセラミックに限定されず、AlN、ムライトやガラスセラミックなどセラミック基板として用いるものであれば特に限定はない。また、金属層2として、モリブデンからなるメタライズ層を形成した場合について示したが、その他、タングステン、モリブデンーマンガン等の高融点金属を厚膜印刷し、同時焼成や後焼成により金属層を形成してもよい。さらには、基板表面に薄膜形成技術あるいは薄膜形成技術とメッキ技術によって、金属層を設けることも可能であり、例えば、Ti-Mo-Cuの3層スパッタ層を形成した後に、Cu無電解メッキを施した場合などが挙げられる。さらに、接続層3は、ニッケル-ホウ素メッキにより形成した場合を示したが、ニッケル-リンメッキ等のニッケル合金メッキや純ニッケルメッキ等を用いても良い。但し、はんだとの濡れ性からニッケル-ホウ素メッキを用いるのが好ましい。
【0042】
【効果】
以上から明らかなように、ニッケルを主成分とする接続層上に金ニッケル層を形成した場合には、接続層とPb-Sn系はんだとの密着強度が高くなり、せん断強度や密着信頼性が著しく向上する。したがって、例えばいわゆるLGAやBGAと呼ばれる基板の接続パッドの本発明を適用すれば、マザーボード基板等のPとの面格子状接続において、パッドとはんだが強く密着し、信頼性の高い接続を得ることができる。また同様に、ICチップと基板をフリップチップ法により接続する場合においても、本発明の適用により、パッドとはんだが強く密着し、信頼性の高い接続を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
アルミナセラミック基板の斜視図である。
【図2】
図1に示したセラミック基板の部分拡大断面図である。
【図3】
セラミック基板の金属層上に接続層及び金ニッケル層を形成する工程を示す部分拡大断面図である。
【図4】
熱処理の最高温度とニッケル含有量との関係を示すグラフである。
【図5】
セラミック基板に端子部材をはんだ付けする工程およびはんだ付け部分の状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】
せん断強度を測定する状態を示す模式図である。
【図7】
せん断強度試験における破壊の様子を示す模式ずであり、(A)は、パッド/はんだもードを、(B)は、はんだ/はんだモードを示す。
【図8】
セラミック基板を接続するプリント基板の斜視図および部分拡大断面図である。
【図9】
セラミック基板とプリント配線基板を接続した状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
10:セラミック基板
1:セラミック層
2:金属層
3、V:ビア
4:接続層
P、C:パッド
5:金層
6:金ニッケル層
7、7’:Pb-Sn共晶はんだ
8:球状高温はんだ(端子部材)
P:プリント基板
 
訂正の要旨 a.特許請求の範囲の請求項1
「基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層上には、厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分としニッケルを含有する金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板。」
を、
「基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層上には、厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とし、かつ、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が10原子%以上である金ニッケル層が直接形成されてなる、パッドを備えるセラミック基板。」
と訂正する。
b.特許請求の範囲の請求項2
「前記金ニッケル層のニッケル含有量が10原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。」
を、
「前記金ニッケル層は、オージェ電子分析により表面から50Åの深さまでを分析したときのニッケル含有量が15原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。」
と訂正する。
c.特許請求の範囲の請求項3
「前記金ニッケル層のニッケル含有量が15原子%以上である請求項1に記載のパッドを備えるセラミック基板。」
を、
「請求項1記載の構成を有し、基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層の上表面は平坦面であり、該接続層と該Pb-Sn系はんだの密着強度が、該端子部材を該基板表面にたいして平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である、端子部材を備えるセラミック基板。」
と訂正する。
d.特許請求の範囲の請求項4
「基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該接続層の上表面は平坦面であり、該接続層と該Pb-Sn系はんだの密着強度が、該端子部材を該基板表面にたいして平行に押したときに、該接続層と該Pb-Sn系はんだの界面で剥がれることなく、該Pb-Sn系はんだが変形してせん断破壊する強度である、端子部材を備えるセラミック基板。」
を、
「前記Pb-Sn系はんだと該接続層との間には、金およびニッケルを含有し、該Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層が形成されてなる請求項3記載の端子部材を備えるセラミック基板。」
と訂正する。
e.特許請求の範囲の請求項5
「基板表面にパッドを備え、該パッドにPb-Sn系はんだによって固着した端子部材を備えるセラミック基板であって、該パッドは、該基板表面に形成されてなる金属層と、該金属層上に形成されてなるニッケルを主成分とする接続層とからなり、該Pb-Sn系はんだと該接続層との間には、金およびニッケルを含有し、該Pb-Sn系はんだの金含有率よりも高い金含有率を有する介在層が形成されてなる、端子部材を備えるセラミック基板。」
を、
「請求項1又は2のいずれかに記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする、パッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
と訂正する。
f.特許請求の範囲の請求項6
「基板表面にPb-Sn系はんだによって端子部材を固着するためのパッドを備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とする、パッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
を、
「前記加熱処理の最高温度を150℃以上とする請求項5に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
と訂正する。
g.特許請求の範囲の請求項7
「前記加熱処理は、金ニッケル層のニッケル含有量を10原子%以上にする加熱処理である請求項6に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
を、
「前記加熱処理の最高温度を350℃以上とする請求項5に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
と訂正する。
h.特許請求の範囲の請求項8
「前記加熱処理の最高温度を150℃以上とする請求項6に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
を、
「前記接続層をニッケル-ホウ素メッキにより形成する請求項5〜7の何れか一項に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
と訂正する。
i.特許請求の範囲の請求項9
「前記加熱処理の最高温度を350℃以上とする請求項6に記載のパッドを備えるセラミック基板の製造方法。」
を、
「請求項3又は4に記載の端子部材を備えるセラミック基板の製造方法であって、該基板表面に形成された金属層に、メッキによりニッケルを主成分とする接続層を形成してパッドとなし、該接続層上に、メッキにより厚さが0.01〜0.5μmで、金を主成分とする金層を形成し、加熱処理により該金層に該接続層中のニッケルを拡散させて金ニッケル層とし、該金ニッケル層上に、端子部材をPb-Sn系はんだによって固着する、端子部材を備えるセラミック基板の製造方法。」
と訂正する。
j.特許請求の範囲の請求項10を削除する。
k.特許請求の範囲の請求項11を削除する。
異議決定日 2003-03-31 
出願番号 特願平8-114283
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H05K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 林 茂樹  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 鈴木 法明
鈴木 久雄
登録日 2001-10-12 
登録番号 特許第3239231号(P3239231)
権利者 日本特殊陶業株式会社
発明の名称 パッドを備えるセラミック基板、端子部材を備えるセラミック基板およびそれらの製造方法  
代理人 菅原 正倫  
代理人 菅原 正倫  

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