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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1082439
審判番号 不服2002-17120  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-04-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-05 
確定日 2003-08-21 
事件の表示 平成8年特許願第249379号「光ディスクドライブ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年4月14日出願公開、特開平10-97781]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年9月20日の出願であって、平成14年7月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年9月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月1日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年10月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成14年10月1日付けの手続補正を却下する。

〔理 由〕
(1)本件補正の内容
平成14年10月1日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、以下の補正を含むものである。

平成14年7月3日付け手続補正の特許請求の範囲の
「【請求項1】 PCMCIA規格に対応するコネクタを有し、
コネクタに連続する外形形状をPCMCIA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体と、
光ディスクドライブ本体に対して開閉自在に取付けられて光ディスクを内装したカートリッジを格納するトレイと、
トレイに格納される光ディスクカートリッジと、
光ディスクドライブ本体に装備されてカートリッジの光ディスクに対して情報の記録再生を行なう記録再生機器部材を格納する格納部を備え、
光ディスクカートリッジは、長矩形カード型の筐体であり、
該カートリッジ筐体の短辺側の一方に偏寄されて内装される光ディスクを有し、
前記光ディスクカートリッジが前記トレイに格納され、前記光ディスクドライブ本体に装着されたときに、前記光ディスクカートリッジ内の前記光ディスクがコネクタと相対する側に位置され、前記記録再生機器部材の一部を格納する格納部に近接して配置されることを特徴とした光ディスクドライブ装置。」を、
「【請求項1】 PCMCIA規格に対応するコネクタを有し、
コネクタに連続する外形形状をPCMCIA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体と、
光ディスクドライブ本体に対して開閉自在に取付けられて光ディスクを内装した光ディスクカートリッジを格納するトレイと、
前記PCMCIA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体に連続して設けられるPCMCIA規格外の形状に形成された格納部を備え、
前記光ディスクカートリッジの光ディスクに対して情報の記録再生を行なう記録再生部材を該格納部に、あるいは該格納部と前記光ディスクドライブ本体に格納する構成とし、
前記光ディスクカートリッジは、長矩形のカード型の筐体であり、
筐体の短辺側の一方に偏寄されて内装される光ディスクと、
該光ディスクの記録面を前記記録再生部材に直面させるための開口部と、
該開口部を覆うシャッタを有し、
前記光ディスクカートリッジが前記トレイに格納され、前記光ディスクドライブ本体に装着されたときに、前記光ディスクカートリッジ内の前記光ディスクが前記コネクタと相対する側に位置され、格納部に近接して配置されることを特徴とした光ディスクドライブ装置。」とする補正を含むものである。

上記補正は、請求項1に係る発明の構成である「格納部」に関し、「前記PCMCIA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体に連続して設けられるPCMCIA規格外の形状に形成された」と限定を付加し、「光ディスクカートリッジ」に関し、「該光ディスクの記録面を前記記録再生部材に直面させるための開口部と、該開口部を覆うシャッタを有し」と限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(なお、「記録再生部材」は、詳細な説明の記載には無い部材であり、さらに「情報の記録再生を行なう・・・」の記載から「記録再生機器部材」の誤記であると認める。)

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するか否か)について以下に検討する。

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された特開平5-266495号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、
「【0067】
【実施例】
〔第1実施例〕
図1及び図2は、本発明の第一実施例の光ディスク装置10の全体構成を示す。
【0068】
光ディスク装置10は、下カバー11と上カバー12とよりなる筐体13内に、スピンドルモータ14及び揺動型光学ヘッド装置15が組込まれた構成である。スピンドルモータ14のスピンドル16には、書き換え可能な相変化方式の光ディスク17が、金属型ハブ18を磁気的に吸着されて、離脱可能な状態で、装着される。この光ディスク17は径Dが1.8インチであり、厚さtが0.3mmあるいは、2枚を互いに張り合わせて0.6mmである。
【0069】
この光ディスク装置10は、長さLが75mm、幅Wが48mm、高さH3が5mmであり、小型で薄型であり、ICメモリカードよりひとまわり小さい大きさである。」
「【0165】
図17及び図18は、光ディスク装置150の全体構成を示す。
【0166】
各図中、図1に示す構成部分と対応部分には同一符号を付す。
【0167】
光ディスク装置150のサイズは図1の光ディスク装置10と同じである。
【0168】
まず、装置150に組込まれている揺動型光学ヘッド装置151について説明する。
【0169】
図19及び図20に併せて示すように、揺動型光学ヘッド装置151は、ヘッド本体152と、揺動支持機構153と、電磁駆動装置154等よりなり、ヘッド本体152が揺動支持機構153により揺動可能に支持され、電磁駆動装置154によって矢印32,33方向に揺動される構成である。
【0170】
ヘッド本体152は、薄型で略矩形状の本体部156と、この本体部156より延出したアーム157と、平行板ばね機構158とよりなる。
【0171】
本体部156及びアーム部157は、図22及び図27に併せて示すように、天板部と両側の側壁とよりなる逆U字状のフレーム159と、この下面を覆うシート160とよりなる、中空の密封構造である。
【0172】
本体部156内には、図21に示すブロック部161をフレーム159と一体に有する。
【0173】
説明の便宜上、ここで揺動支持機構153について、図22を併せ参照して説明する。
【0174】
162は揺動中心固定軸であり、図18の平面図上、装着された光ディスク17の外側の部位に位置している。
【0175】
この固定軸162は、本体部156(ブロック部161)の貫通孔163を貫通しており、上端を、シャーシ164に固定され、下端を、シャーシ164の下面にねじ165によりねじ止めされた支え部材166によって固定されて、本体部156の上方と下方で固定してある。」
「【0260】
〔第3実施例〕
この第3実施例及び以下の第4乃至第6実施例は、全て、社団法人日本電子工業振興協会(以下、JEIDAという)又はPC MEMORY CARD (ARD INTERNATIONAL ASSCIATION(以下、PCMCIA)が規定する32のICメモリカードタイプIII又はICメモリカードタイプIIと代替可能な構成を有する。
【0261】
以下、JEIDA又はPCMCIAを省略して単にICメモリカードタイプIII又はICメモリカードタイプIIという。
【0262】
第3実施例による光ディスク装置300は、図33、図35、図36に示すように、下側にハウジング301を有し、この上に光ディスク装置機構部302を有し、ハウジング301の長手方向一端に、ソケットコネクタ303が露出して設けられた構成である。
【0263】
なお、図33には影になるため図示していないが、図36に示す側面図にあるようにハウジング301の底面はソケットコネクタ303の下面よりも下方に張り出しており、その厚さは、ソケットコネクタ303の厚さ方向の中心線よりも2.5mm以内である。
【0264】
又、大きさは、ハウジング310上部の光ディスク装置機構部302と同じである。
【0265】
光ディスク装置機構部302は、図17に示す光ディスク装置150と実質上同じ構造であり、対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0266】
ハウジング301内には、図37に示すプリント板組立体304が収納してある。
【0267】
プリント板組立体304は、プリント板305の上面と下面とに、表面実装タイプの樹脂モールドされた電子部品306が多数実装された構成である。複数の電子部品306が、図34の回路を構成している。
【0268】
このプリント板組立体304は、図38(A),(B)中、クロスハッチングで示す領域307を占めている。
【0269】
また、図37中、ソケットコネクタ303の近くに位置している、符号306aで示す電子部品が図34中のインターフェース回路310を構成している。
【0270】
プリント板組立体304は、光ディスク装置機構部302の下側に位置しており、両者は、図37に示す端子部308を介して電気的に接続されている。
【0271】
また、ソケットコネクタ303は、電子部品306aと電気的に接続された状態で、プリント板305の端に固定してある。」
「【0279】
次に光ディスク装置300の特徴について説明する。
【0280】
1 図35及び図36に示すように、光ディスク装置全体の形状は、長さが85.6mm、幅が54.0mm、厚さが10.5mmである。
【0281】
2 ソケットコネクタ303は、JEIDAが提案しているICメモリカードガイドラインに規定されている仕様を満たす構成のものである。
【0282】
このことは、ソケットコネクタ303は、PCMCIAが提案しているソケットコネクタの仕様を満足していることでもある。
【0283】
ソケットコネクタ303は、図35及び図36に示すように長さが10mm、幅が54.0mm、厚さが3.3mmである。
【0284】
3 図33に示すように、光ディスク17は、カバー318を取り外して、自由に装着脱可能であり、光ディスク装置300は、光ディスク17が離脱されたままであり、光ディスク17が未装着の状態の場合もありうる。
【0285】
そこで、図34に示すように、光ディスク装置機構部302内に、光ディスク検知器319が設けてある。この光ディスク検知器319は、反射型光センサであり、光ディスク17が装着されているか否かを検出する。
【0286】
また光ディスク検知器319よりの信号に基づいて、光ディスク17が装着されているか否かを判断する光ディスク装着有無判断回路320が設けてある。
【0287】
4 図34中のインターフェイス回路310は、JEIDAが提案しているICメモリカードラインに規定されている電気・インターフェイス仕様を満たす(このことはPCMCIA提案のICメモリカードの電気・インターフェイス仕様を満たすことでもある)構成であって、更に、前記回路320からのステータス信号を情報機器に伝える機能を有する構成である。
【0288】
上記1乃至5の特徴を備えたことによって、光ディスク装置300は外形寸法的にも電気的にもICメモリカードタイプIIIと同じくなり、ICメモリカードタイプIIIと同様に取り扱うことが可能となる。即ち、情報機器のICメモリカードタイプIII用スロット内に差し込むことが出来、且つ、情報機器かとの間での情報の授受も可能となる。」
「【0296】
〔第4実施例〕
第4及び第5実施例を示す図において、図33乃至図38に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。」
「【0308】
〔第5実施例〕
図45の光ディスク装置340は、図33に示す光ディスク装置300に、カートリッジローディング機構を付加した構成である。
【0309】
説明の便宜上、上記の光ディスク装置340に適用しうる光ディスクカートリッジについて、図46を参照して説明する。
【0310】
光ディスクカートリッジ341は、第1のカートリッジ半体342と、これを一体の枠部343と、この枠部343に嵌合して、X1,X2方向の摺動可能である第2のカートリッジ半体344とを有する。
【0311】
光ディスク17は、枠部343の径が46mmの開口345内に嵌合して径方向上約1/3を第1の半体342内に、残りの部分を第2の半体344内に収容されている。
【0312】
この半体344が第1の半体342に当接した状態(図54(A)参照)が「閉」である。このときのカートリッジ341は、長さが50mm、幅が48mm、厚さが1.6mmである。
【0313】
図46のように第2の半体344が第1の半体342から離れた状態が「開」であり、このときの長さが67mmである。
【0314】
なお、フック346と凹部347とによって、第2の半体344は、閉位置か開位置に仮保持される。
【0315】
光ディスクカートリッジ341は、閉状態で、保管され及び取り扱われ、光ディスク17は塵埃の付着及び外部衝撃等から保護される。
【0316】
次に、ローディング機構について図45を参照して説明する。
【0317】
350はカートリッジホルダであり、図47に示すように下面側が開口351としてあり、ガイドレール352に嵌合している。
【0318】
上下動機構355は、図48及び図49を併せて示すように、コイル356、上側ヨーク357と下側ヨーク357bとを有するヨーク357、永久磁石358、アーム359等よりなる。
【0319】
アーム359は、基部側を軸360に支持され、先端のピン361が、ホルダ350の長孔350bに嵌合している。
【0320】
アーム359は、図51(A)に示す戻しばね361によって矢印A1方向に回動しており、カートリッジホルダ350は高い位置に位置している。
【0321】
アーム359の先端近傍から、アーム部362が横に延在しており、上下ヨーク357a,357bの間を通っている。
【0322】
このアーム部362の先端側に対向して、図50に併せて示すロック機構363が設けてある。
【0323】
ロック機構3632は、ロックアーム365、この先端の磁性体片366、この磁性体片366に対向したコイル367、ヨーク368、及び図51(B)に示す戻しばね369よりなる。
【0324】
コイル356が一時的に通電されると、永久磁石358が下側ヨーク部357bに吸引され、アーム359がばね361に抗して矢印A2方向に回動され、ホルダ350が下動される。
【0325】
アーム359は、アーム部362の先端をロックアーム365の先端のロック爪365aによって係止されて、図49中二点鎖線で示す位置にロックされる。また、コイル367が一時的に通電されると、ロックアーム365がばね369に抗して矢印B1方向に一時的に回動される。これにより、上記ロックが解除され、アーム359がばね361により矢印A1方向に回動され、ホルダ350は上動する。」
「【0333】
次に、光ディスクカートリッジ341の装着脱動作について、図54を参照して説明する。
【0334】
同図(A)乃至(C)は、装着動作を示し、同図(D)乃至(F)は離脱動作を示す。
【0335】
光ディスクカートリッジ341を手動により、ホルダー350内に挿入する(同図(A))。
【0336】
カートリッジ341がホルダ350内に挿入されると、カートリッジ固定ピン377が第1の半体342の孔(図示せず)に係合して、第1の半体342が固定され、続いてカートリッジ開閉機構370が動作し、ロッド372がX2方向に移動し、第2の半体345が爪374によって、同方向に移動され、カートリッジ341は閉状態となり、光ディスクの中央部が露出する(同図(B))。
【0337】
次いで、上下動機構355が動作し、ホルダ350が0.3〜0.5mm程度下降し、光ディスク17がターンテーブル378上に装着される(同図(C))。
【0338】
カートリッジの離脱は、上記とは逆の順序で行われる。
【0339】
即ち、まず、同図(D)に示すように、ホルダ350が上動し、次いで、同図(E)に示すように、カートリッジが閉じられる。最後に、以降370が同図(B)と同様に動作する。このとき、第1の半体342はピン377より外されているため、上記機構370の動作によりカートリッジ341が一部排出されている(同図(F))。
【0340】
カートリッジ341を手で抜き取ると、ピン377が上動してセットされ、同図(A)の状態となる。」との記載が認められ、
図45,49,54には、ホルダ350の長孔350bがアーム359を介して軸360に支持され、ディスク装置機構部に軸360が配置されて記載されている。

これらの記載によれば、引用例1の特に第5実施例には、
「PCIMCIAの仕様を満たすソケットコネクタを有し、
ソケットコネクタを一端に設けたハウジングとこの上のディスク装置機構部から形成されたPCIMCIA規格の形状に形成された光ディスク装置であって、
ディスク装置機構部に対して取り付けられて、光ディスクカートリッジを収納して上下動するホルダーを備え、
ディスク装置機構部は、スピンドルモータ及び揺動形光学ヘッド装置を組み込む構成とし、
光ディスクカートリッジは、長さが50mm、幅が48mmであり、第1の半体と、これと一体の枠部と、枠部に嵌合する第2の半体からなり、枠部の開口に嵌合された光ディスクを有し、
光ディスクカートリッジがソケットコネクタとは反対側に挿入開口を有するホルダーに挿入されて、第1の半体が固定され、続いて第2の半体が移動されて光ディスクの中央部が露出し、次いでホルダーが下降してターンテーブルに光ディスクが装着されたときに、光ディスクカートリッジ内の光ディスクがソケットコネクタとは離れた側に位置する光ディスクカートリッジの第1の半体に配置される光ディスク装置。」との発明(以下、「引用例1の発明」という。)が開示されていると認めることができる。

拒絶査定時に引用された特開平8-45258号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、
「【0026】
上記ホストシステム10は、PCMCIA/JEIDAの標準仕様に準拠したPCカード制御ソフトウエアによるPCカードの制御機能を備えるOSを搭載したノード型パーソナルコンピュータや携帯型情報通信機器などであって、PCカードが挿入されるPCカード・スロット11が設けられている。そして、このホストシステム10は、図2に示すように、上記データバックアップ装置20を上記PCカード・スロット11に挿入することにより装着できるようになっている。
【0027】
また、上記データバックアップ装置20は、本発明に係るデータバックアップ装置であって、図3乃至図5に示すようにPCMCIA/JEIDAの標準仕様に準拠したPCカード・サイズのPCカード部21とこのPCカード部21に一体化されたカセットデッキ部22からなる。」
「【0031】
なお、PCMCIA/JEIDAでは、物理仕様としてカード寸法、コネクタ寸法、カード環境条件やコネクタ環境条件などが規定されており、カード属性情報仕様としてメモリデバイス情報、バージョン情報、フォーマット情報やコンフィギュレーション情報などが規定されており、さらに、電気・インターフェース仕様としてピン配置、電気的インターフェース、メモリリード/ライト動作、I/O機能や信号タイミングなどが規定されている。そして、このデータバックアップ装置20は、このようなPCMCIA/JEIDAの標準仕様に準拠したデバイスとして機能するようになっている」
「【0035】
また、この実施例のデータバックアップ装置20では、上記カセットデッキ部22の上壁部分にカセット蓋23を開閉自在に設け、また、前壁部分に動作状態を発光表示する発光部24とイジェクト釦25を配設することにより、上記カセットデッキ部22にテープカセット40を水平に装着する構造としたが、図10及び図11に示すように、上記カセットデッキ部22の前壁部分にカセット蓋23を開閉自在に設け、また、上壁部分に動作状態を発光表示する発光部24とイジェクト釦25を配設することにより、上記カセットデッキ部22にテープカセット40を垂直に装着する構造としても良い。」と記載されていることが認められる。

(3)対 比
そこで、本件補正発明と引用例1の発明を対比すると、両者とも、PCIMCIA規格に対応し、
引用例1の発明の「光ディスク装置」「ソケットコネクタ」「光ディスクカートリッジ」「光ディスク」は、
本件補正発明の「光ディスクドライブ装置」「コネクタ」「光ディスクカートリッジ」「光ディスク」に相当し、
引用例1の発明の「ソケットコネクタを一端に設けたハウジングとこの上のディスク装置機構部」はPCIMCIA規格の形状に形成されており、本件補正発明の「コネクタに連続する外径形状をPAICIMA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体」に相当する。
引用例1の発明の「ホルダー」は、光ディスクカートリッジを収納し、本件補正発明の光ディスクカートリッジを格納する「トレイ」に相当する。
引用例1の発明の「スピンドルモータ及び揺動形光学ヘッド装置」は、本件補正発明の「情報の記録再生を行う記録再生部材」に相当する。

そうすると、本件補正発明と引用例に記載されたものとは次の点で一致する。
「PCMCIA規格に対応するコネクタを有し、
コネクタに連続する外形形状をPCMCIA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体と、
光ディスクドライブ本体に対して取付けられて光ディスクを内装した光ディスクカートリッジを格納するトレイと、
前記光ディスクカートリッジの光ディスクに対して情報の記録再生を行なう記録再生部材を前記光ディスクドライブ本体に格納する構成とし、
前記光ディスクカートリッジは、光ディスクを内装し、
該光ディスクの記録面を前記記録再生部材に直面させ、
前記光ディスクカートリッジが前記トレイに格納され、前記光ディスクドライブ本体に装着されたときに、前記光ディスクが前記コネクタと相対する側に位置されて配置されることを特徴とした光ディスクドライブ装置。」

そして、次の各点で相違する。
<相違点>
1.本件補正発明が、PCMCIA規格に対応する形状に形成された光ディスクドライブ本体に連続して設けられるPCMCIA規格外の形状に形成された格納部を備え、該格納部に、情報の記録再生を行なう記録再生部材の一部あるいは全部が格納されるのに対して、引用例1の発明には、このような格納部を有していない点。
2.トレイが、本件補正発明では開閉自在であるのに対して、引用例1の発明では開閉自在とは記載されていない点。
3.光ディスクカートリッジが、本件補正発明では、長矩形のカード型の筐体であり、筐体の短辺側の一方に偏寄して光ディスクを内装し、開口部と該開口部を覆うシャッタを有し、光ディスクカートリッジが光ディスクドライブ本体に装着されたとき、光ディスクカートリッジ内の光ディスクが格納部に近接した位置に配置されるのに対して、引用例1の発明においては、長さが50mm、幅が48mmで、第1のカートリッジ半体と、これと一体の枠部と、枠部に嵌合する第2の枠体からなり、光ディスクは枠部の開口に嵌合されている点。

(4)判 断
そこで、上記各相違点について検討する。
相違点1について
PCMCIA規格の形状に形成されたカード部に一体化されたPCMCIA規格外の形状に形成された部分を設けた構成が引用例2に記載されている。引用例2に記載されたPCMCIA規格外の形状に形成された部分は、PCMCIA規格の形状に収納空間を追加し、機能を追加する手段として用いられている。引用例1の発明においても、PCMCIA規格外の機能を追加するため、スピンドルモータ及び揺動形光学ヘッド装置(記録再生部材)、あるいはその一方を格納できるPCMCIA規格外の形状に形成された部分を設けることは、引用例2の記載から容易に推考できることである。

相違点2について
光ディスクカートリッジを格納するトレイが開閉自在である光ディスクドライブ装置は周知であり、引用例1の発明においても、ホルダー(トレイ)を開閉自在にすることは、容易に推考できることである。

相違点3について
長矩形のカード型の一方の短辺側に偏寄して光ディスクを収納した光ディスクカートリッジは周知(実願昭60-186014号(実開昭62-94472号)のマイクロフィルム、実願昭62-84579号(実開昭63-195680号)のマイクロフィルム等参照)であり、開口部と開口部を開閉するシャッタを光ディスクカートリッジに設けることは普通であり、前記周知例にも記載されているから、引用例1の発明における光ディスクカートリッジをシャッタを有する長矩形とすることは容易に推考できることである。
そして、相違点1において記述したように、引用例1の発明において、PCMCIA規格外の形状の部分にスピンドルモータ及び揺動形光学ヘッド装置(記録再生部材)を設ける場合、あるいは一部を設ける場合でも、スピンドルモータ及び揺動形光学ヘッド装置(記録再生部材)に光ディスクカートリッジ内の光ディスクの配置が近接することで、大型化が避けられ、PCMCIA規格を大きく損なわずに設計できることは明かであり、PCMCIA規格外の形状に形成された格納部に、光ディスクカートリッジ内の光ディスクを近接して配置することは容易に推察できることである。

そして、本件補正発明が奏する効果も、引用例に記載されたもの及び上記周知の技術から当業者が十分に予測できる範囲のものである。
したがって、本件補正発明は、引用例1,2に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成14年10月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年7月3日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(記載事項については、上記「2 〔理由〕 (1)本件補正の内容」の平成14年7月3日付け手続補正を参照。)。

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1,2及びその記載事項は、上記「2 〔理由〕 (2)引用例の記載事項」に示したとおりのものである。

(3)対 比
本願発明は、上記「2 〔理由〕 (1)本件補正の内容」において検討した本件補正発明から「格納部」、「光ディスクカートリッジ」に関する限定を省略したものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「2 〔理由〕 (3)対 比」に示したとおり、引用例1,2に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1,2に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1,2に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-06-24 
結審通知日 2003-06-24 
審決日 2003-07-07 
出願番号 特願平8-249379
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五貫 昭一  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 相馬 多美子
須田 勝巳
発明の名称 光ディスクドライブ装置  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  

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