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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1082717
審判番号 不服2002-8914  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-17 
確定日 2003-09-05 
事件の表示 平成10年特許願第202800号「弾球遊技機」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月18日出願公開、特開2000- 14880]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年7月1日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年5月6日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものと認められる。
「【請求項1】遊技盤面上に発射された遊技球が始動口に入球したときに乱数を選択し、この選択された乱数が所定の値であることに起因して遊技者に有利な特別遊技を実行する主制御基盤と、前記乱数の選択結果に基づいた特別図柄を変動表示するためのデータを前記主制御基盤から受信し、この受信したデータに従って特別遊技報知用の図柄を画面上に表示する映像制御基盤と、を少なくとも備えた弾球遊技機において、前記主制御基盤から前記映像制御基盤への通信は一方向のみとされ、前記映像制御基盤から前記主制御基盤へは通信できない構成とされ、前記映像制御基盤で、前記特別遊技が発生したとき又は終了したときからの前記データの受信回数を計測する計測手段と、該計測手段の計測結果に基づいた画像を前記図柄の背景として表示する背景表示手段と、を備えて構成された、ことを特徴とする弾球遊技機。」(以下、「本願発明」という。)
2.引用例
これに対して、当審の拒絶の理由に引用された特開平10-127886号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、
「【0008】そこで本発明は、過去の遊技結果に関する主要な情報(例えば、特別停止態様までの始動条件の成立回数および特別停止態様に関連した表示データ)を表示可能な遊技機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請求項1記載の発明による遊技機は、複数の識別情報を表示可能な画像表示装置を備え、始動条件の成立に基づき可変表示遊技を行い、該可変表示遊技の結果が特別停止態様になったことに基づいて特別遊技状態を発生可能な遊技機において、前記画像表示装置の表示制御を行う表示制御手段と、前記特別停止態様の発生に基づき、該特別停止態様に関連した表示データを記憶する表示データ記憶手段と、前記始動条件の成立回数を計数する始動条件計数手段と、前記始動条件計数手段により前記特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数が計数されたとき、その計数された計数データを記憶する計数データ記憶手段と、前記特別遊技状態の発生に基づき前記始動条件計数手段をリセットするリセット手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記表示データ記憶手段に記憶された表示データと、前記計数データ記憶手段に記憶された計数データとを表示するように制御することを特徴とする。
【0015】また本発明では、遊技盤における遊技領域はどのようなものでもよく、画像表示装置(ここでは特別図柄表示装置4)を使用してその表示領域4aに複数の識別情報を可変表示可能であり、始動条件の成立(例えば、始動入賞口あるいは始動ゲートへの遊技球の入賞)に基づき可変表示遊技を行い、可変表示遊技の結果が特別停止態様(例えば、「2」、「2」、「2」のゾロ目図柄)になったことに基づいて特別遊技状態(例えば、大当り状態)を発生可能な遊技機であれば、任意の構成を取り得る。例えば、画像表示装置の図柄内容を変化させてゲームを行うもので、画像表示装置の表示態様が予め定められた表示態様になった場合に、変動入賞装置を開放し内部の権利発生入賞口へ入賞があったときに大当りの権利が発生する「第3種」に属するパチンコ機、あるいは画像表示装置の表示態様が予め定められた表示態様になった場合に、所定数の変動入賞装置の連動動作の開始条件を付与する他種タイプに属するパチンコ機であっても、本発明を適用することができる。なお、本実施例ではいわゆる「第1種」に属するタイプのものに、本発明を適用した例を説明する。
【0016】B.制御系の構成次に、遊技機における制御系の構成について説明する。図2は遊技機における制御系の全体構成を示すブロック図である。図2において、この制御系は大きく分けると、役物制御回路100と、表示制御回路200とによって構成される。役物制御回路100は、マイクロコンピュータを含む回路で、例えば遊技盤1の裏面に取付けられたボードユニットにより実現されている。また、表示制御回路200は、例えば遊技盤1に設けられた特別図柄表示装置4の裏面側に取付けられた回路基板により実現されている。
【0017】この役物制御回路100は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる役物用IC111と、水晶の発振周波数を分周して役物用IC111の基本クロックを得る分周回路113と、役物用IC111等に必要な電源を供給する電源回路114と、各種情報信号を受け入れるローパスフィルタ115と、ローパスフィルタ115からの信号をバス116を介して役物用IC111に出力するバッファゲート117と、役物用IC111からの信号をバス116を介して受ける出力ポート118と、出力ポート118を介して入力される制御信号をドライブして各種駆動信号を生成して各機器に出力するドライバ119と、遊技に必要な効果音を生成する(あるいは音声合成を行ってもよい)サウンドジェネレータ120と、サウンドジェネレータ120からの音声信号を増幅して遊技機の所定箇所に配設されたスピーカー121aに出力するアンプ121と、役物用IC111から出力される制御信号に基づいて表示制御回路200に対する表示制御信号を出力するインターフェース回路122と、役物用IC111から出力される遊技データ信号を外部情報端子123に出力するインターフェース回路124とによって構成される。なお、外部情報端子123はホールの管理装置や島設備に配置された呼出装置に接続される。なお、役物用IC111は、演算処理を行うCPU131、ワンチップマイコンからなる役物用IC111が正規のものであるかどうかのセキュリティ性をチェックするセキュリティプログラムを格納しているROM132、役物制御の制御プログラム等を格納している制御ROM132およびワークエリアの設定や制御に必要なデータの一時記憶等を行うRAM134を内蔵している。
【0019】表示制御回路200は、役物用IC111からこの場合8ビットの表示用制御信号(リセット信号(1ビット)、ストローブ信号(1ビット)、コマンド信号(6ビット))を受けて特別図柄表示装置4の制御を行うもので、図3に示すように、画像表示制御用のCPU201と、ROM202と、RAM203と、DMA204と、VDP205と、フォントROM206と、γ補正回路207と、クロック回路208と、インターフェース部209とよりなる。なお、表示制御回路200には役物用IC111から遊技データが出力される(例えば、コマンド信号(6ビット)で遊技データが送信)。CPU201は、インターフェース部209を介して通信割り込みによって役物用IC111から表示用制御信号を受けて、VDP205に画像生成を指令し、特別図柄表示装置4により後述するような画像表示制御を行うものである。VDP205は、スプライトRAM、パレットRAM、V-RAMを内蔵しており、CPU201から送られる画像生成指令を受けて、フォントROM206に登録されている図柄データ(例えば、特図の図柄データ)を読み出して所定の画像信号を生成し、この画像信号を画像のガンマ補正を行うγ補正回路207を介して特別図柄表示装置4に出力するとともに、水平同期信号(H_SYNC)および垂直同期信号(V_SYNC)を形成して特別図柄表示装置4に出力するものである。
【0020】なお、フォントROM206には特別図柄表示装置4に出力する画像信号(例えば、RGB信号を含む)を生成するための全ての画像情報(キャラクタ、識別図柄、背景及び配色等に関する全て情報)が登録されている。また、特別図柄表示装置4には大当り図柄(特別停止態様に関連した表示データ)、大当りの発生までの始動回数(特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数)、過去に発生した大当りに関する大当り図柄および各大当りの発生までの始動回数(過去に発生した所定回数の特別遊技状態に基づく特別停止態様に関連した表示データと、過去に発生した所定回数の特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数)、確率変動中(特定遊技状態中)における大当りの発生までの始動回数(特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数)、確率変動中における大当り回数(特定遊技状態に関連して発生した特別遊技状態)を表示する制御が行われる。なお、確率変動中における大当り回数とは、初回の確率変動大当りを含めた確率変動中における大当り回数の計数値のことであるが、これに限らず、例えば初回の確率変動大当りを含めずに大当り回数を計数してもよい。
【0022】ここで、役物用IC111、分周回路113、インターフェース回路122および表示制御回路200は、全体として表示制御手段、表示データ記憶手段を構成する。表示制御手段は特別図柄表示装置4(画像表示装置)の表示制御を行う。表示データ記憶手段は特別停止態様の発生(例えば、大当りの発生)に基づき該特別停止態様に関連した表示データ(例えば、大当り図柄)を記憶する。また、役物制御回路100は始動条件計数手段、計数データ記憶手段、リセット手段および特定計数手段を構成する。始動条件計数手段は始動条件の成立回数(例えば、特図のスタート回数)を計数する。計数データ記憶手段は始動条件計数手段により特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数(例えば、大当り発生までの特図のスタート回数)が計数されたときその計数された計数データを記憶する。リセット手段は特別遊技状態の発生に基づき始動条件計数手段をリセットする。なお、上記各手段を表示制御回路200で実現するようにしてもよい。
【0023】また、表示制御手段は、表示データ記憶手段に記憶された表示データと、計数データ記憶手段に記憶された計数データとを特別図柄表示装置4(画像表示装置)に表示するように制御する。表示データ記憶手段および計数データ記憶手段は、過去に発生した所定回数の特別遊技状態に基づきそれぞれデータの記憶が可能である。また、本実施例の遊技機は、特別停止態様が所定の特別停止態様での発生(例えば、確率変動図柄:「7、7、7」での発生)であった場合には、その特別遊技状態の終了後、特別遊技状態の発生を容易にする特定遊技状態(例えば、確率変動状態)を発生可能であり、表示制御手段は、特定遊技状態中における始動条件の成立回数を計数した計数データを識別して表示するように制御する。また、特定計数手段は特定遊技状態に関連して発生した特別遊技状態を計数し、表示制御手段は、特定遊技状態中に関連して発生した特別遊技状態の計数結果を表示するように制御する。
【0032】ステップS18:普段処理
普段処理では、始動記憶がある場合に、始動記憶数を一つ減らした後、乱数抽出による大当り判定を行って特図の停止図柄を決定する。この場合、確率変動中は乱数の判定値(つまり当りの判定値)を通常(判定値=1個)よりも多くして(例えば、判定値=7個)、大当りし易い制御が行われる。次いで、停止図柄がリーチ図柄である場合には、リーチフラグをセットした後、変動処理の番号に処理番号を変更して、次のシーケンスで変動処理が行われるようにする処理を行う。そして、始動記憶がない場合には、処理番号をこの普段処理を行う番号のままとして、次のシーケンスでもこの普段処理が繰返されるようにするものである。また、この普段処理では、始動記憶がある場合に、普図時短制御或いは普図即止め制御を行うべき回数を記憶するカウンタ(以下、普図時短カウンタという)の値が0か否か判定する。そして、この普図時短カウンタが0でない場合には、このカウンタの値を一つ減らすとともに、普図時短制御或いは普図即止め制御を行うための情報をセットして、例えば後述の普図普電処理(ステップS32)においてこの情報に基づく普図時短制御或いは普図即止め制御が行われるようにする処理も行われる。なお、普図時短カウンタ値は確率変動終了時や所定の図柄での大当り終了時に所定回数にセットされる。
【0038】(b)停止図柄判定処理のサブルーチン
次に、図4に示すメインルーチンのステップS26で行われる停止図柄判定処理のサブルーチンについて、図5により説明する。このサブルーチンが開始されると、まずステップS50でスタート回数カウンタをインクリメントする。スタート回数カウンタは特別図柄表示装置4の変動表示が行われた回数(すなわち、特図始動回数)をカウントするものであり、本サブルーチンが実行される度に、カウントアップしていき、後述のように大当りになると、カウント値がクリアされる。なお、スタート回数カウンタはステップS50でインクリメントするのではなく、例えば変動開始時にインクリメントするようにしてもよい。
【0040】
次いで、ステップS66で大当り関連記憶情報をセットする。これは、役物制御回路100から表示制御回路200に送信する情報として、大当り関連記憶情報(例えば、今回の大当り発生までのスタート回数、大当り図柄等)をセットするものである。具体的には、図6に示すように大当り関連記憶情報としては、今回、前回および前々回における大当り図柄ポインタ(大当り図柄を指定するポインタで、このポインタの番号が大当り図柄に対応しているもの)、スタート回数がそれぞれセットされ、役物制御回路100から表示制御回路200に送信されることになる。なお、役物制御回路100から表示制御回路200への送信情報は今回の情報のみを送信して前回、前々回の情報は表示制御回路200で記憶しておくようにしてもよい。次いで、ステップS68で大当り処理に処理を変更してリターンする。これにより、次回のメインルーチンでは大当り処理の番号に処理番号が変更される。
【0043】次いで、ステップS158で画面表示クリア処理を行う。これにより、特別図柄表示装置4における前回の画面表示がクリアされる。次いで、ステップS160でスプライト処理を行う。これは、VDP205における画像処理で、例えばスプライトRAMへのデータの切り換えにより図柄やキャラクタの表示制御を行う。また、スプライトRAMを使用した画像処理を行ったり、あるいは各スプライトに対して色を設定するためにパレットRAMに色指定を行ったりして、キャラクタや各背景画像等の1つのまとまった画像を単独で制御する。この場合、本実施例では特別図柄表示装置4に大当り図柄、大当りの発生までのスタート回数、過去に発生した大当りに関する大当り図柄および大当りの発生までのスタート回数、確率変動中の大当り回数等を表示するような画像制御を行う。ステップS160を経ると、ステップS152に戻って処理を繰り返す。
【0046】E.特別図柄表示装置の表示画面の具体例
次に、特別図柄表示装置4に表示する表示画面の具体例について、図9〜図14を参照して説明する。
(a)呼び込み画面
図9は特別図柄表示装置4における呼び込み画面を示す図である。呼び込み画面では、客(未だ遊技を始めていない遊技者のこと、以下同様)を呼び込むのにふさわしい画面が表示され、特図は表示されていない。例えば、図9(a)に示すように満月の夜空を背景とする画面内をコウモリが通り過ぎていく様子が表示され、インパクトがあって客の注意を引き付けるような呼び込み画面になっている。また、図9(a)の画面から所定時間が経過すると図9(b)に示すような雲が月を覆うような画面に切り換わり、その画面の下方には3回前、前々回、前回の大当り図柄およびその大当り発生までのスタート回数が表示される。また、前回の大当り図柄の横には、確率変動での大当り回数が表示される。例えば、この例では3回前の大当り図柄=「7」、3回前の大当り発生までのスタート回数=45、前々回の大当り図柄=「16」、前々回の大当り発生までのスタート回数=78、前回の大当り図柄=「0」、前回の大当り発生までのスタート回数=62という表示がされるとともに、前回の大当り図柄の横に確率変動での大当り回数=6という表示がされる。なお、確率変動での大当り回数=6という表示は、前回の大当り図柄「0」で確率変動が終了しているが、その確率変動が終了するまでの確率変動中の大当り回数(初回の確変大当りを含む)のことである。これにより、呼び込み画面を見た客は当該台がどのような過程で今の遊技状態に至っているかを遊技を行う前に簡単に認識することができる。ここで、それぞれのスタート回数のバックが網掛け表示になっているのは、その時の状態が確率変動状態であることを示すためである。また、前回の大当り(例えば、「0」の図柄による大当り)から現在までのスタート回数を特別図柄表示装置4の所定箇所に表示するようにしてもよい。そのようにすると、更に遊技者に対して参考データを提供することができる。
【0080】
【発明の効果】(1)請求項1記載の発明によれば、特別停止態様の発生に基づき該特別停止態様に関連した表示データ(例えば、大当り図柄)および特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数(例えば、大当りの発生までのスタート回数)の計数データをそれぞれ記憶し、記憶したデータを画像表示装置に表示する制御を行うとともに、特別遊技状態の発生に基づき始動条件の計数データをリセットするようにしているので、以下の効果を得ることができる。遊技者の要望する特別停止態様に関連した表示データ(大当り図柄)や特別遊技状態の発生までに成立した始動条件の成立回数(大当りまでのスタート回数)に関するデータが表示可能な遊技機を提供することができる。また、データ公開装置は特別停止態様の発生に基づき該特別停止態様に関連した表示データ(例えば、大当り図柄)に関する情報の表示は行っておらず、不便であったが、これに対して本発明の遊技機では遊技者が手軽に大当り図柄に関する情報を得ることができる。」
と記載されている。
そして、上記段落【0022】の「・・なお、上記各手段を表示制御回路200で実現するようにしてもよい。」との記載によれば、始動条件計数手段、計数データ記憶手段、リセット手段および特定計数手段を表示制御回路200に設けることが記載されていると認められるので、上記引用例1には、
「始動条件の成立に基づき乱数抽出による大当り判定を行って、大当りを発生させる役物制御回路100と、該役物制御回路100から表示用の制御信号を受けて、特別図柄表示装置4により画像表示制御を行う表示制御回路200と、を備えたパチンコ遊技機において、表示制御回路200に始動条件の成立回数を計数する始動条件計数手段と、特別図柄の可変表示及び始動条件計数手段の計数データを表示する画像表示装置と、を備えて構成されたパチンコ遊技機。」
が記載されていると認められる。(以下、「引用発明1」という。)
同じく当審の拒絶の理由に引用された特開平8-71225号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、
「【請求項1】所定の遊技条件の成立時に通常状態よりも入賞確率の高い大当り状態になるパチンコ機において、画像を表示する表示手段と、少なくとも当該パチンコ機が通常状態であるときの所定の遊技状況を検出する状況検出手段と、該状況検出手段により前記遊技状況が検出されると、前記表示手段に所定の画像を表示させる表示制御手段と、前記状況検出手段により前記遊技状況が検出された際に前記表示制御手段が前記表示手段に表示させる画像を、各回又は所定回の表示毎に内容又は表示パターンが異なるものに変更する変更手段と、を備えたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 請求項1に記載のパチンコ機において、前記表示制御手段は、前記表示手段に当該パチンコ機が大当りに近づいている旨を表す画像を表示させ、前記変更手段が、前回の大当りが終了してから現在までに当該パチンコ機で発生した遊技に関する所定の事象の発生回数を計数する計数手段を備え、該計数手段の計数値の増加に応じて、前記表示制御手段が前記表示手段に表示させる画像を、当該パチンコ機がより大当りに近づいた旨を表す画像に変更すること、を特徴とするパチンコ機。
【請求項3】 請求項2に記載のパチンコ機において、前記表示制御手段は、前記計数手段により計数される前記事象がその後何回発生したら当該パチンコ機が大当りになるかを表す画像を前記表示手段に表示させ、前記変更手段が、前記計数手段に加えて、過去の何れか2回の大当り間で当該パチンコ機に発生した前記事象の発生回数又は該数の平均値を記憶する記憶手段を備え、該記憶手段に記憶された前記事象の発生回数又は前記平均値と前記計数手段の計数値との差に応じて、前記表示制御手段が前記表示手段に表示させる画像の表す前記回数を変更すること、を特徴とするパチンコ機。
【0040】そこで以下、CPU46が実行する上記各処理について説明する。まず、図5は、遊技処理を表すフローチャートである。この遊技処理の実行が開始されると、まずステップ(以下、単にSと記す)110にて、表示装置6に表示する図柄の変更を開始すべきスタート条件が成立したか否かを判定し、スタート条件が成立するまで待機する。尚、このスタート条件は、始動入賞スイッチ36a〜36cからの検出信号によって発射玉が始動入賞口10a〜10cの何れかに入賞したことを検出するか、或いは、始動記憶表示器12のLEDが既に点灯されている場合に、成立したと判定される。
【0052】次に、表示装置6に遊技の進行に応じたメッセージ画像を表示させるメッセージ表示処理について、図6を用いて説明する。尚、この処理は上述した遊技処理と並行して実行されている・・・
【0055】ここで、メッセージ画像の表示は、図3に例示するように、表示装置6の表示画面において、図柄Z1〜Z3を表示する領域の下方の領域(下隅の領域)Hに、上記内容の文を形成する各文字画像を、矢印の方向(右から左)にスクロールして表示する、といった手順で実行される。例えば、カウンタR1の値が「5」で比較値Mの値が「12」であった場合には、『あと7回リーチが来たら大当り』という内容のメッセージ画像が表示されることとなる。
【0056】尚、このようなメッセージ画像は、表示装置6の表示画面における縦隅の所定領域に表示するようにしてもよいし、図柄Z1〜Z3の表示を一旦止めて、表示画面全体に表示するようにしてもよい。そして後者の場合には、表示装置6の表示状態に大きな変化を与えて、遊技者の注意をより引き付けることができる。また、メッセージ画像は、スクロールさせて表示するのではなく、全文字を常時表示するようにしてもよい。」
が記載されており、以上の記載によれば引用例2には、
発生遊技上のデータを計測してその計測結果に基づいた画像を図柄と共に表示するパチンコ機が記載されていると認められる。(以下、「引用発明2」という。)
同じく当審の拒絶の理由に引用された特開平8-224339号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、
「【請求項1】 パチンコ機のパチンコ遊技全体に関わる制御を行うためのメイン制御部と、前記パチンコ機が備えた図柄表示装置に配備されると共に、前記メイン制御部からの制御信号に応じて前記図柄表示装置を表示駆動制御するためのサブ制御部と、前記メイン制御部とサブ制御部との間に介在されると共に前記メイン制御部からサブ制御部へのみコマンドデータの転送を可能とし、前記サブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力を禁止する一方向データ転送手段とを設けたことを特徴とするパチンコ機におけるデータ伝【0126】
【発明の効果】本発明のパチンコ機におけるデータ伝送装置によれば、メイン制御部からサブ制御部へのみコマンドデータの転送が行われるため、メイン制御部側のデータ転送処理における処理タイムにおいて、待ち時間の設定が不要となり、これによりデータ転送を円滑に行うことができ、この結果、図柄表示装置の表示動作が特定の遊技状態の発生に遅れることなく実現することができる。
【0127】また、メイン制御部が常に送信側であり、サブ制御部が常に受信側であることから、送受信の切り換え動作が行われないため、ノイズを排除できる。
【0128】さらに、サブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力が禁止されるため、何等かの手段により、図柄表示装置を介してサブ制御部からメイン制御部へ不正信号の出力がなされたとしても、サブ制御部からのメイン制御部への不正信号の入力を防止することができ、したがって、入賞が成立していないにもかかわらず、入賞状態となるといったことが防止することができる。」
が記載されており、以上の記載によれば引用例3には、
表示駆動制御するためのサブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力を禁止する一方向データ転送手段を設けることが記載されている。
3.対比・判断
本願発明と引用発明1とを比較すると、
引用発明1の「役物制御回路100」、「表示制御回路200」、「パチンコ遊技機」は、本願発明の「主制御基盤」、「映像制御基板」、「弾球遊技機」に各々相当するものと認められる。
そうすると、両者は、
「遊技盤面上に発射された遊技球が始動口に入球したときに乱数を選択し、この選択された乱数が所定の値であることに起因して遊技者に有利な特別遊技を実行する主制御基盤と、前記乱数の選択結果に基づいた特別図柄を変動表示するためのデータを前記主制御基盤から受信し、この受信したデータに従って特別遊技報知用の図柄を画面上に表示する映像制御基盤と、を少なくとも備えた弾球遊技機において、前記映像制御基盤で前記特別遊技が発生したとき又は終了した回数を計測する計測手段と、該計測手段の計測結果に基づいた画像を表示する表示手段と、を備えて構成された弾球遊技機。」 である点で一致し、
1)映像制御基盤で前記特別遊技が発生したとき又は終了した回数を計測するのを、本願発明が特別遊技が発生したとき又は終了したときからのデータの受信回数の計測により行うものであるのに対し、引用発明1がどのように計測を行うか不明である点、
2)計測手段の計測結果に基づいた画像を表示するのを、本願発明が特別遊技報知用の図柄の背景として表示するのに対し、引用発明1が大当たりの時などに表示する点、
3)本願発明が、主制御基盤から前記映像制御基盤への通信は一方向のみとされ、前記映像制御基盤から前記主制御基盤へは通信できない構成とするのに対し、引用発明1がそのような構成は備えているか否か明確でない点、
で相違しているものと認められる。
1)の点について
引用発明1も映像制御基盤(表示制御回路200)は特別図柄を変動表示するためのデータ、即ち当たり外れのわかるデータを主制御基盤(役物制御回路100)から受信しなければならないのであるから、このデータを計測に利用することは当業者にとって、格別な困難性があることとはいえない。したがって、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは当業者が適宜行える設計的事項である。
2)の点について
引用発明2は発生遊技上のデータを計測してその計測結果に基づいた画像を図柄と共に表示するパチンコ機であり、図柄の背景画像にメッセージ性を持たせることも周知(特開平4-90779号公報、特開平8-126750号公報参照)であるから、画像の表示をその計測結果に基づいて背景表示し、本願発明の上記相違点2に係る構成とすることは当業者が適宜行える設計的事項である。
3)の点について
引用例3に、ノイズの除去等を目的として、表示駆動制御するためのサブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力を禁止する一方向データ転送手段を設けることが記載されており、弾球遊技機においてこのような一方向データ転送手段を採用することは一般的に広く採用されている周知技術である。したがって、本願発明の上記相違点3に係る構成は、引用発明1に上記引用例3に記載される周知技術を単に組み合わせただけのことというべきである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明1、2及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
なお、出願人は意見書において、「本願発明は、法律の制約に関係なくはずれ回数に従って画像制御を行うことを実現可能としたという引用例1〜3にはない極めて有利で異質な効果を有します。このような格別な事情があるときには進歩性が肯定される・・」(平成15年5月6日付意見書第7頁19〜22行)と主張している。
出願当初明細書にはこのような点についての記載はなく、本願の出願の時点でこのようなことが想定されていたのか不明であるが、念のためにこの点について言及する。法律の制約がある場合、それを回避した技術とすることは当業者が当然に留意することであり、本件発明の場合、法律の制約が逆に引用発明1、2及び周知技術の組合せの動機付けとなっているとみた方が妥当である。そうすると、このような動機付けのもと、上記相違点1)〜3)に係る構成は、それぞれ当業者が容易に想到しえる程度の格別な創作力を要したものとはいえない点、しかも、全体としてその効果も予測される程度である点から、本件発明は当業者が容易に発明できたものであると判断せざるを得ない。したがって、上記事情は格別なものとみることはできず、出願人の主張を採用することはできない。
また、出願人は、判例などを引用して本願発明が進歩性ある旨主張しているが、各案件によって、判断の諸条件が異なっていることを考慮すれば、一律に同じ様な判断が適用されるということはできない。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-06-16 
結審通知日 2003-06-23 
審決日 2003-07-28 
出願番号 特願平10-202800
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦澤田 真治  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
中村 和夫
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 尾崎 隆弘  

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