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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G10H 審判 全部申し立て 2項進歩性 G10H |
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管理番号 | 1082995 |
異議申立番号 | 異議2002-73137 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-05-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-12-25 |
確定日 | 2003-06-18 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3298384号「自動演奏装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3298384号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1. 手続の経緯 特許第3298384号の請求項1ないし3に係る発明は、平成7年10月17日に特許出願され、平成14年4月19日にその特許権の設定登録がなされ、その後、ローランド株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年5月6日に訂正請求がなされたものである。 2. 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 ア 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1を、次のとおり訂正する。 『【請求項1】 自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段であって、自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるものと、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。』 イ 訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2を、次のとおり訂正する: 『【請求項2】 複数の自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている選択デ―タ及び開始位置データに基づいて、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置データが示す位置から該選択した自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置』 ウ 訂正事項c 特許請求の範囲の請求項3を、次のとおり訂正する: 『【請求項3】 自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、 前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段と、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。』 エ 訂正事項d 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0004〕(本件特許公報第3欄26〜37行)を、次のとおりに訂正する: 『 【0004】 【課題を解決するための手段】 上述した課題を解決するために、第1の発明の自動演奏装置は、自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段であって、自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるものと、を備えたことを特徴とする。』 オ 訂正事項e 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0005〕(同公報第3欄38〜49行)を、次のとおりに訂正する: 『 【0005】 また、第2の発明の自動演奏装置は、複数の自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている選択データ及び開始位置データに基づいて、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置データが示す位置から該選択した自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、を備えたことを特徴とする。』 カ 訂正事項f 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0006〕(同公報第3欄50行〜第4欄2行)を、次のとおりに訂正する: 『 【0006】 さらに、第3の発明の自動演奏装置は、自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段と、を備えたことを特徴とする。』 キ 訂正事項g 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0007〕(同公報第4欄3〜8行)を、次のとおりに訂正する: 『 【0007】 このような手段を備えることにより、第1の発明においては、複数の操作子のいずれかを操作することにより、該操作子に対応して記憶された読み出し開始位置データを参照して、該開始位置から自動演奏データの読み出しが開始される。ある自動演奏データの読み出し中に異なる操作子を操作すれば、この自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、異なる位置の自動演奏データが読み出される。』 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 ア 上記訂正事項aについては、特許明細書の特許請求の範囲請求項1に記載された「読み出し手段」に対して「自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるもの」である旨の限定を加えたものである。 上記訂正事項aの「制御手段」に対する限定については、本件特許明細書〔発明の詳細な説明〕の段落〔0037〕の記載(本件特許公報第10欄44〜49行)に基づいている。 従って、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 イ 上記訂正事項bについては、特許明細書の特許請求の範囲請求項2の「第2の記憶手段」及び「読み出し手段」に対して、本件特許明細書〔発明の詳細な説明〕の段落〔0001〕, 〔0015〕, 〔0018〕, 〔0019〕, 〔0021〕, 〔0022〕等の記載に従い、「第2の記憶手段」に記憶される「選択データ」が、第1の記憶手段に記憶された「複数の」自動演奏データの内「読み出すべきいずれかの自動演奏データ」を選択するためのものであり、同「開始位置データ」が、「該選択データに従って選択される」自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定すると共に、「読み出し手段」は、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置デ―タが示す位置から「該選択した」自動演奏データの読み出しを開始させることを明確にしようとするものである。 従って、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 ウ 上記訂正事項cについては、上記訂正事項aによる特許請求の範囲請求項1の訂正に伴い、本件特許明細書において請求項1を引用していた請求項3を独立項とするものであり、本件特許明細書の請求項1の構成要件をそのまま付加する記載に改めようとするものである。 従って、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記訂正事項cは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 エ 上記訂正事項d〜fについては、発明の詳細な説明の欄の特許請求の範囲請求項1〜請求項3の構成に対応する記載を、特許請求の範囲の訂正に伴い、上記訂正事項a〜cに整合する内容に訂正するものである。 従って、これらの訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記訂正事項d〜fは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 オ 上記訂正事項gについては、発明の詳細な説明の欄の特許請求の範囲請求項1の構成による作用の記載を、特許請求の範囲の訂正に伴い、上記訂正事項aに整合する内容に訂正するものである。 従って、この訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記訂正事項gは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3)むすび したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 3. 特許異議申立てについての判断 (1) 申立ての理由の概要 申立人ローランド株式会社は、 請求項1に係る発明は、甲第1号証(「DIGITAL SEQUENCER AND SOUND MODULE MT-100 OWNER'S MANUAL オーナーズ・マニュアル」の抜粋、昭和63年12月22日特許庁資料館受入)のものと同一であり、また、前記甲第1号証のものから容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、前記甲第1号証のものと同一であり、また、前記甲第1号証および甲第2号証(特開平6-75567号公報)のものから容易に発明をすることができたものであり、請求項3に係る発明は、前記甲第1,2号証のものから容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第1項第3号および同条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべき と主張している。 (2) 本件の請求項1ないし3に係る発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1ないし3」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (3) 刊行物等 特許異議申立人が証拠として提示した刊行物には、それぞれ、以下のような発明が記載されている。 刊行物1:「DIGITAL SEQUENCER AND SOUND MODULE MT-100 OWNER'S MANUAL オーナーズ・マニュアル」の抜粋、昭和63年12月22日特許庁資料館受入(甲第1号証) マーク(目印)乃至マークが表す箇所を記号「“A”」,「“B”」で表し、MARKER(マーカー)ボタン(A)及びMARKAR(マーカー)ボタン(B)を記号「A」,「B」で表すと、刊行物1には、 演奏データ及び2箇所のマーク(目印)“A”,“B”を含む、QDに保存してある演奏情報をロードして記憶する内蔵メモリーと、2つのMARKERボタンA,Bとを備え、マーク“A”,“B”は、MARKERボタンA,Bのそれぞれに対応して、演奏データを再生する際にスタートさせたい小節や繰り返し聴きたい箇所を呼び出すためにつけられ、プレイ中にMARKERボタンA,Bを押すことで、それぞれ、演奏データの箇所“A”,“B”からの演奏が始まり、ストップ時にMARKERボタンA,Bを押すことで、それぞれ、演奏データの箇所“A”,“B”からの再生が始められる状態になり、レコーディングを行ったデータを再生し、途中で再生を止める場合はSTOPボタンを押し、ひとつのデータに2箇所のマーク“A”、“B”をつけて使用する際にはマーク“A”より前にマーク“B”をつけることができず、2-3曲をまとめてひとつのデータとして演奏データをQDに保存する場合などに、マーク“A”、“B”をそれぞれの曲の初めにつけて使用すると、頭出しが素早く行えるように構成されたMT-100 が記載されている。 刊行物2:特開平6-75567号公報(甲第2号証) これには、 自動演奏データを記憶した自動演奏データRAM1と、ABリピートスイッチ7bと、自動演奏データRAM1に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定するA点アドレスを含むリピートデータを記憶するリピートデータRAM9aと、ABリピートスイッチ7bの操作に応じて、リピートデータRAM9aに記憶されているリピートデータのA点アドレスが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始する読出制御部6とを備え、自動演奏データRAM1及びリピートデータRAM9aには、ディスク11に記憶された複数の自動演奏データファイル及びリピートファイルから、ソングセレクトスイッチ7dの操作で選択されたソングナンバに対応する自動演奏データ及びリピートデータが読み出されてそれぞれ格納されるように構成された電子楽器 が記載されている。 (4) 対比・判断 本件発明1ないし3と上記刊行物1及び2に記載の発明とを対比すると、両刊行物に記載の発明は、本件発明を特定する事項である、 「自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させる」点(本件発明1) 「前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段」を有する点(本件発明2) 「前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段」を有する点(本件発明3) を備えておらず、当該事項により本件発明1ないし3は、簡単な操作を実現しており、特に、「前の自動演奏データから次の自動演奏データへの読み出しの切換位置でのつながりが音楽的に適切なものとなると共に、そのように切り替えるときの操作のタイミングを測らなくても済むので、操作者にとって操作し易くなる」(本件発明1) 「簡単な操作により、第1の記憶手段に演奏可能に用意された複数の自動演奏データの中から所望のデータを選択し、選択された演奏データについて所望の開始位置から次々に聴いていくことができる」(本件発明2) 「簡単な操作で、所望の演奏部分だけを聴いて演奏を停止することができる」(本件発明3) という顕著な効果を奏するのであり、本件発明1ないし2が上記刊行物1に記載のものと同一とも、あるいは本件発明1ないし3が上記刊行物1及び2に記載のものから容易に発明をすることができたものともいえない。 (5) むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すことができない。 また、他に本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 自動演奏装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段であって、自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるものと、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。 【請求項2】 複数の自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている選択データ及び開始位置データに基づいて、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置データが示す位置から該選択した自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。 【請求項3】 自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、 前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段と、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、記憶された自動演奏データを読み出すことにより自動演奏を実行可能な自動演奏装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 自動演奏装置は、記憶された自動演奏データを、演奏の進行に従って順次読み出すことにより自動演奏を行っている。このとき、自動演奏データの先頭から読み出すだけでなく、小節番号を指定し、指定された小節位置から演奏データの読み出しを開始させることも可能である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 異なる小節位置の演奏を聴きたい場合、小節番号を指定し直さなければならず、次々と聴きたい位置を変更する場合、操作が非常に面倒であった。また、スイッチ操作によって小節番号をインクリメント/デクリメントすることによって聴きたい位置を変更することもできたが、現在演奏している位置と、次に聴きたい位置の小節番号が離れている場合、聴きたい小節番号を指定するまでに何度もスイッチを操作しなければならないとともに、操作ミスにより、聴きたい小節番号を通り過ぎてしまうこともしばしばあった。 【0004】 【課題を解決するための手段】 上述した課題を解決するために、第1の発明の自動演奏装置は、自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段であって、自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるものと、を備えたことを特徴とする。 【0005】 また、第2の発明の自動演奏装置は、複数の自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている選択データ及び開始位置データに基づいて、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置データが示す位置から該選択した自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、を備えたことを特徴とする。 【0006】 さらに、第3の発明の自動演奏装置は、自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段と、を備えたことを特徴とする。 【0007】 このような手段を備えることにより、第1の発明においては、複数の操作子のいずれかを操作することにより、該操作子に対応して記憶された読み出し開始位置データを参照して、該開始位置から自動演奏データの読み出しが開始される。ある自動演奏データの読み出し中に異なる操作子を操作すれば、この自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、異なる位置の自動演奏データが読み出される。 【0008】 また、第2の発明においては、複数の操作子のいずれかを操作することにより、該操作子に対応して記憶された自動演奏データの選択データ及び読み出し開始位置データを参照して、該選択された自動演奏データの読み出しが、該開始位置から開始される。異なる操作子を操作すれば、異なる自動演奏データの、異なる位置から読み出しが開始される。複数の操作子に同一自動演奏データ、異なる開始位置を対応させておけば、同一自動演奏データの、異なる位置から読み出しを開始させることもできる。 【0009】 【発明の実施の形態】 図1はこの発明の自動演奏装置の概略構成を示すブロック図である。CPU(中央処理装置)1は装置全体の動作を制御するものであり、ROM(リード・オンリィ・メモリ)3に記憶された制御プログラムにしたがって処理を実行する。また、CPU1と各部とはバス2を介して接続されており、各種データの送受が行われる。 【0010】 RAM(ランダム・アクセス・メモリ)4はCPU1による処理時において発生する各種データを一時的に記憶するレジスタ、フラグ等の領域が設けられているとともに、複数の自動演奏データを記憶する領域や、後述するソング・メジャーメモリの領域も設けられている。タイマ5はCPU1に対して割り込み信号を供給するもので、所定周期の割り込み信号を発生する。RAM4に記憶された演奏データは、CPU1が実行する所定周期毎の割込処理によって読み出され、後述する音源回路12へと供給される。 【0011】 6はMIDI(ミュージカル・インストゥルメント・ディジタル・インターフェース)インターフェース(I/F)であり、外部装置とデータの送受を行う。例えば、外部から供給された演奏データを取り込んでRAM4等に記憶する。 【0012】 7は鍵盤検出回路であり、鍵盤8の操作を検出し、操作のオン/オフ、操作のあった鍵のノートナンバーやベロシティ等をバス2を介してCPU1へと供給する。CPU1はこれら演奏に関するデータを後述する音源回路12へと供給する。9はスイッチ検出回路であって、パネルスイッチ10の操作を検出する。検出されたスイッチの操作はバス2を介してCPU1へと供給される。 【0013】 11は表示回路(例えば液晶表示器やCRTなど)であり、図2で後述するように、自動演奏されるソング番号や小節番号等の情報を表示する。 【0014】 音源回路12は供給された演奏データにもとづいて楽音波形信号を形成する。音源回路の方式としては、周知の波形メモリ読み出し方式、FM(周波数変調)方式や物理モデルシミュレーション方式、高調波合成方式、フォルマント合成方式、発振器とフィルタを組み合わせたアナログシンセサイザ方式等が用いられる。音源回路12において形成された楽音波形信号は、サウンドシステム13において音響として放音される。なお、専用のハードを用いて音源回路を構成するものに限らず、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)+マイクロプログラムを用いて音源回路を構成するようにしてもよいし、CPU+ソフトウェアのプログラムで音源回路を構成するようにしてもよい。また、1つの回路を時分割で使用することによって複数の発音チャンネルを形成するようなものでもよいし、1つの発音チャンネルが1つの回路で構成されるような形式のものであってもよい。このほか、各種ネットワーク等の通信手段を用いて外部装置と接続できるようにしてもよい。 【0015】 図2はパネルスイッチ10の主要部及び表示回路11における表示の例を示す図である。10Aは1から8の番号が付された8個のソング・メジャースイッチであり、各スイッチにはそれぞれ1つの「ソング番号及び小節番号」が割り当てられている。各スイッチに割り当てられている「ソング番号及び小節番号」は、表示回路11上で、11Aのように表示される。この例においては、スイッチ1にはソング1の第1小節が割り当てられており、スイッチ2にはソング1の第9小節が割り当てられている。同様に、スイッチ3にはソング1の第1小節が、スイッチ3にはソング1の第1小節が、スイッチ3にはソング1の第33小節が、スイッチ4にはソング1の第21小節が、スイッチ5にはソング4の第17小節が、スイッチ6にはソング4の第61小節が、スイッチ7にはソング5の第10小節が、スイッチ8にはソング5の第21小節がそれぞれ割り当てられている。この割り当て状態は、後述するソング・メジャーメモリに記憶された内容よって決定される。 【0016】 10Bはモードスイッチであり、モードAとモードBとが、スイッチ操作毎に交互に切り替わる。モードAはソング・メジャースイッチによって選択されたソングを、該ソングが終了するまで、或いは、停止スイッチ10Cが操作されるまで継続して演奏するモードであり、モードBはソング・メジャースイッチによって選択されたソングを、該スイッチが離されるまで演奏するモードである。このモードスイッチ10Bにより設定されたモードの状態は、11Bのように表示される。 【0017】 また、演奏中のソング番号及び小節番号が11Cのように表示される。小節番号は、演奏の進行に従って順次更新される。 【0018】 図3はRAM4に設けられたソングデータメモリの記憶内容を示す図である。4Aは設定データであり、ソング名、テンポ、音色など、各種設定データが記憶されている。4Bはタイミングデータ、4Cはイベントデータである。イベントデータ4Cは、キーオンイベントデータ、キーオフイベントデータ、ピッチベンドイベントデータなどの演奏に関するイベントを表すデータであり、例えばMIDIのフォーマットに基づいて、演奏の進行に従って発生順に記憶されている。タイミングデータ4Bは各イベントデータの発生時間間隔を示すデータである。音符長を基準とした所定の最小分解能(例えば4分音符長の24分の1)に従い、該音符の数でタイミングデータが記述される。タイミングデータとイベントデータが交互に記憶され、ソングデータが形成される。自動演奏データの最後にはエンドデータ4Dが記憶されている。このようなソングデータが、RAM4に複数曲分記憶されている。なお、各イベントデータには1から16のチャンネル番号が付されており、このチャンネル番号で演奏パートが異なるようになっている。すなわち、複数の演奏パートが混在した形式を取っている。なお、複数のパートのデータを異なるトラックに記憶するような形式であってもよい。 【0019】 図4はRAM4に設けられたソング・メジャーメモリの記憶内容を示す図である。前述したように、8個のソング・メジャースイッチ10Aには、それぞれ「ソング番号及び小節番号」が割り当てられているが、このソング・メジャーメモリは、その割り当て状態を記憶したメモリである。各ソング・メジャースイッチに対応した8つの記憶ブロックを有し、それぞれの記憶ブロックにはソング番号と小節番号が記憶されている。なお、このソング・メジャーメモリはユーザが書き替え可能であってもよいし、ソング・メジャーメモリを複数セット有し、その内のいずれかのセットをソング・メジャースイッチに割り当てられるようにしてもよい。 【0020】 図5から図8は、CPU1によって実行される制御プログラムのフローチャートを示す図である。図5はモードスイッチ10Bが操作されたときに実行される処理である。モードスイッチ10Bが操作されると、ステップs1において現在設定されているモードがAであるか否かが判断され、Aであればステップs2でモードをBにセットし、Aでなければステップs3でモードをAにセットする。そして、ステップs4で設定されたモードに応じてモード表示11Bを変更し、この処理を終える。 【0021】 図6はソング・メジャースイッチ10Aのいずれかが操作されたときに実行される処理である。スイッチがオンされたときは、ステップs11でYESと判断され、ステップs12へと進む。ステップs12では現在ソングデータの読み出し中であるか否かが判断され、読み出し中であれば、次のソングデータに移行するため、ステップs13でソングデータの読み出し処理を停止させる。そして、ステップs14で、オンされたスイッチに割り当てられた「ソング番号及び小節番号」をソング・メジャーメモリから読み出し、ステップs15で、読み出されたソング番号がレジスタSONGに記憶された内容(それまで読み出されていたソング番号)と同じソング番号か否かを判断する。YESならば直接ステップs18へ進み、NOならばステップs16へ進んでいぜん、読み出されたソング番号が示すソングデータの設定データを読み出して、各部へとセットする。例えば、音色データが読み出されたら音源回路12へとセットする。そして、ステップs17で該ソング番号を、レジスタSONGに記憶させ、ステップs18へと進む。すなわち、今回選択したソング番号が、それまで読み出されていたソング番号と異なれば、選択されたソングの設定データを各部へと設定するが、同じならば、あえて同じ設定データを各部にセットする必要はない。 【0022】 ステップs18では小節番号が示すソングデータ上の位置をサーチする。サーチの仕方としては、タイミングデータを該小節分だけカウントする、ソングデータ中に小節線データが含まれていればその数を数える、などのやり方があるが、どの様な方法でサーチしてもかまわない。ステップs19では、サーチされた小節位置から、ソングデータの読み出しを開始する。 【0023】 一方、ステップs11でNO(すなわちソング・メジャースイッチ10Aがオフされた)と判断した場合、ステップs20で現在のモードがBであるか否かが判断され、Bであればステップs21で現在ソングデータの読み出し中であるか否かを判断し、読み出し中であれば、ステップs22でSONG内容(=現在読み出されているソング番号)と今回オフされたスイッチに割り当てられているソング番号とが同じか否かを判断し、同じならば、ステップs23でソングデータの読み出し処理を停止させる。ステップs20、s21、s22でNOと判断されたときは、ステップs23を通らない。すなわち、モードがBの時はソング・メジャースイッチ10Aがオフされた時点でソングデータの読み出しを停止させるが、既にソングデータの読み出しが停止されている(=ソングデータの読み出しが最後まで達した、或いは、停止スイッチが押された)場合や、ソングデータの読み出し中に他のソング・メジャースイッチが押されて異なるソング番号のソングデータが読み出されている時は、今回オフされたスイッチに割り当てられているソングデータの読み出しは既に終了しているので、ステップs23でのソングデータの読み出し停止処理は行う必要がないからである。 【0024】 図7は、ソングデータの読み出しが行われているときに所定周期毎に実行されるソングデータ読み出し処理を示す図である。所定周期とは、例えば10ms程度である。ステップs31では、レジスタTIMEのから所定値Kを引いた値をレジスタTIMEへと格納する。ここで、レジスタTIMEは、読み出されたソングデータのタイミングデータが入力されるレジスタであり、ソングデータの読み出しの進行管理に用いられる。なお、タイミングデータの入力は後述するステップs37で行われるが、初期値として、前述のステップs18において、サーチされた小節位置から、次に最初に現れるイベントデータまでのタイミングがセットされることとする。 【0025】 所定値Kは再生処理の周期(例えば10ms)の間に進めるべき単位音符の長さに対応しており、K=(テンポ×分解能×割込周期)/(60×1000)で表される。ここで、「テンポ」は1分間に演奏される4分音符数であり、「分解能」は演奏データのタイミングデータが、4分音符をいくつに分けたものによって記述されているかをかを表す。例えば、前述のようにタイミングデータが4分音符を24に分けたものであるから、「分解能」は24となる。「割込周期」は再生処理が実行されるときの割込信号の発生周期であり、前述のようにこの実施形態においては10msである。従って、「テンポ」が120、「分解能」が24、「割込周期」が10ならば、Kの値は0.48となり、1回の再生処理によってタイムデータが0.48だけ進むことになる。例えば、タイムデータの値が「48(=2分音符の長さに相当)」であったとすると、100回の処理(=1秒)によって2分音符分の演奏が進むことになる。 【0026】 ステップs32では、ステップs31での引き算の結果、レジスタTIMEの内容が0以下の値になったか否かが判断され、0以下の値ならばステップs33以降へ進む。0以下の値になっていなければ、まだ次のイベントデータを読み出すタイミングに達してないことになり、直ちにこの処理を終了する。 【0027】 ステップs33では、ソングデータのアドレスを進めて次のデータを読み出す。ステップs34では読み出されたデータがタイミングデータであるか否かが判断される。この処理に入った時点ではアドレスはタイミングデータを示しており、s33でアドレスを進めた結果、イベントデータが読み出されるので、s34の判断はNOとなる。ステップs35では読み出されたイベントデータがエンドデータであるか否かを判断する。最初はエンドデータではないのでNOと判断され、ステップs36へ進んで、イベントデータに応じた処理を実行する。すなわち、読み出されたイベントデータがキーオンイベントであれば、音源回路にキーオンイベントを出力して楽音の発生を開始させ、キーオフイベントであれば、音源回路にキーオフイベントを出力して楽音の消音を開始させる。 【0028】 この後、再びステップs33へ進み、ソングデータのアドレスを進めると、タイミングデータが記憶されているので、ステップs34でYESと判断される。ステップs37では読み出されたタイミングデータの値をレジスタTIMEの内容に加算し、ステップs38でTIMEの値が正の値になったか否かを判断する。正の値になっていればこの処理を終了する。正の値になっていなければ、上記ステップs33からs38の処理を繰り返す。例えば、和音を発音する場合、複数のイベントデータがほぼ同時に発生するので、イベントとイベントの間のタイミングデータは0或いは0に近い値となる。そのような場合、s38でNOと判断されることがある。なお、s35でYESと判断されたときは、エンドデータが読み出されたので、ソングデータの読み出し処理を停止する。 【0029】 図8は停止スイッチ10Cが操作されたときに実行される処理である。停止スイッチ10Cが操作されると、ステップs41において現在ソングデータの読み出し中であるか否かが判断され、読み出し中であればステップs42でソングデータの読み出し処理を停止させる。これによりソングの自動演奏が停止する。 【0030】 次に本発明の自動演奏装置の動作例を説明する。モードがAの場合、ソング・メジャースイッチ10Aのいずれかがオンされると、ソング・メジャーメモリの内容を参照することによって該スイッチに割り当てられているソングデータ及び、読み出し開始小節が決定され、ソングの自動演奏がスタートする。この状態で該スイッチをオフしても、自動演奏は継続する。その後、他のソング・メジャースイッチが操作されれば、操作されたスイッチに割り当てられたソングデータが指定されている小節番号の位置から読み出されるようになる。そして、停止スイッチ10Cが操作されるか、読み出し中のソングデータが最後まで達したときは、ソングデータの自動演奏が終了する。このような動作は、メドレー演奏をさせる場合に好適である。例えば、ソング・メジャーメモリにメドレー演奏させたいソング番号及び、該ソングを開始させたい小節番号を登録しておき、あるソングを演奏させている途中の任意の時点で次のスイッチをオンすると、新たなソングが、設定されている任意の小節位置からスタートするようになる。従来のメドレー演奏(予め決められた順番で、各ソングをそれぞれ先頭から演奏させる)に比べて、大変自由度が高いメドレー演奏をさせることが可能となる。 【0031】 一方、モードがBの場合、ソング・メジャースイッチ10Aのいずれかがオンされると、ソング・メジャーメモリの内容を参照することによって該スイッチに割り当てられているソングデータ及び、読み出し開始小節が決定され、ソングの自動演奏がスタートする。そして、該スイッチをオフすると、ソングデータの読み出しが停止する。該スイッチをオフする前にソングデータの最後まで達した場合は、その時点でソングデータの読み出しが停止する。また、該スイッチをオフする前に他のソング・メジャースイッチをオンした場合は、その時点で新たにオンされたスイッチに割り当てられているソングの読み出しに移行する。このような動作は、複数記憶されているソングデータの試聴に好適である。例えば、複数記憶されているソングデータのそれぞれの一番特徴的な部分(サビの部分など)の小節番号をソング・メジャーメモリに登録してけば、ソング・メジャースイッチ10Aのいずれかをオンするだけで、記憶されているソングの特徴的な部分だけを次々に聴くことができる。また、演奏を停止させるときに別途設けた停止スイッチを押さなくてもよいので、店頭で製品のデモンストレーションをする場合など、製品の操作方法をよく知らない人でも簡単にその製品を操作して、ソングデータを聴くことができる。 【0032】 なお、本発明の自動演奏装置は、電子楽器に内蔵してもよいし、パソコン+アプリケーションソフトウェアの形態で実現してもよい。また、カラオケ装置において新曲の紹介機能などに適用してもよい。 【0033】 また、ソング・メジャースイッチの数は8個に限らない。そして、このスイッチは専用のスイッチであってもよいし、他の機能と兼用してもよい。また、表示装置上に仮想的にスイッチを設け、表示上でマウス等のポインティングデバイスでスイッチを指定することによりスイッチの代わりとしてもよい。 【0034】 また、上述した実施の形態においては、各ソングデータの最後まで達したら、ソングデータの読み出しを停止するようにしたが、各ソング毎に次にどの曲を演奏するかが設定されており、最後まで達したら、自動的に設定されているソングデータの読み出しに移行するようにしてもよい。このとき、直ちに次のソングデータの読み出しを開始するか、所定のスタート指示を与えてから読み出しを開始するかなどを設定可能としてもよい。 【0035】 また、ソング・メジャースイッチに対してソング番号と小節番号を割り当てるとき、あるソングデータを読み出している最中に登録操作を行うと、その時点で読み出されているソングのソング番号及び小節位置が割り当てられるようにしてもよい。 【0036】 また、スイッチに対して割り当てるソングの開始位置は小節位置に限らず、小節+拍位置、ソングの先頭からの絶対時間、ソングを所定のフレーズ区間に区切ったときのフレーズ位置など、どの様な形式で開始位置を設定してもよい。 【0037】 また、あるソングの読み出し中に他のソング・メジャースイッチを操作したとき、直ちに次のスイッチに対応したソングを読み出すようにしたが、小節の切れ目やフレーズの切れ目などまで前のソングの読み出しを継続し、その後次のソングに移行するようにしてもよい。また、モードBにおいて、スイッチをオフしたら直ちにソングの読み出しを終了するものに限らず、小節の切れ目やフレーズの切れ目などまでソングの読み出しを継続し、その後、読み出しを終了させるようにしてもよい。 【0038】 また、この実施の形態においてはスイッチに対してソング番号と小節番号の両方を割り当てるようにしたが、小節番号のみを割り当てて、あるソングの演奏小節位置を次々と切り換えることができるようにしてもよい。このとき、ソング毎に、スイッチに割り当てる複数の小節位置を記憶するようにしてもよい。 【0039】 また、ソングデータの記憶フォーマットは、「イベントデータ+イベント間の相対時間」で記述するようにしたが、「イベントデータ+各イベントデータの絶対時間」、「音高データ+符長データ」等、どのような形式でもよい。 【0040】 また、ソングデータ読み出し処理を一定の周期で行い、1回の処理においてタイミングデータをカウントする値をテンポに応じて変更するような方式の例を示したが、1回の処理においてタイミングデータをカウントする値は一定で、設定したテンポに応じてソングデータ読み出し処理の周期を変更する方式や、ソングデータ読み出し処理の周期は一定で、読み出したタイミングデータの値を設定したテンポに応じて修正するものであってもよい。 【0041】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、簡単な操作により、異なる位置の自動演奏データを次々と聴くことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施形態における概略ブロック図を示す図である。 【図2】 本発明の一実施形態におけるパネルスイッチ及び表示装置の表示例を示す図である。 【図3】 本発明の一実施形態におけるソングデータの記憶形式を示す図である。 【図4】 本発明の一実施形態におけるソング・メジャーメモリの記憶内容を示す図である。 【図5】 本発明の一実施形態におけるモードスイッチ処理のフローチャートを示す図である。 【図6】 本発明の一実施形態におけるソング・メジャースイッチのフローチャートを示す図である。 【図7】 本発明の一実施形態におけるソングデータ読み出し処理のフローチャートを示す図である。 【図8】 本発明の一実施形態における停止スイッチ処理のフローチャートを示す図である。 【符号の説明】 1…CPU、3…ROM、4…RAM、10…パネルスイッチ、11…表示回路、12…音源回路 |
訂正の要旨 |
▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1を、特許請求の範囲の減縮を目的として、次のとおり訂正する: 『【請求項1】 自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段であって、自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるものと、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。』 ▲2▼訂正事項b 特許請求の範囲の請求項2を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する: 『【請求項2】 複数の自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている選択データ及び開始位置データに基づいて、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置データが示す位置から該選択した自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。』 ▲3▼訂正事項c 特許請求の範囲の請求項3を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する: 『【請求項3】 自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、 複数の操作子と、 前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、 操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、 前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段と、 を備えたことを特徴とする自動演奏装置。』 ▲4▼訂正事項d 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0004〕(本件特許公報第3欄26〜37行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する: 『 【0004】 【課題を解決するための手段】 上述した課題を解決するために、第1の発明の自動演奏装置は、自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段であって、自動演奏データの読み出し中に操作子が操作されたときは、当該自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、次の自動演奏データの読み出しに移行させるものと、を備えたことを特徴とする。』 ▲5▼訂正事項e 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0005〕(同公報第3欄38〜49行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する: 『 【0005】 また、第2の発明の自動演奏装置は、複数の自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された複数の自動演奏データの内読み出すべきいずれかの自動演奏データを選択するための選択データ及び該選択データに従って選択される自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている選択データ及び開始位置データに基づいて、選択データが示す自動演奏データを選択し、開始位置データが示す位置から該選択した自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、を備えたことを特徴とする。』 ▲6▼訂正事項f 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0006〕(同公報第3欄50行〜第4欄2行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する: 『 【0006】 さらに、第3の発明の自動演奏装置は、自動演奏データを記憶した第1の記憶手段と、複数の操作子と、前記複数の操作子のそれぞれに対応して設けられ、前記第1の記憶手段に記憶された自動演奏データの読み出しを開始する位置を指定する開始位置データを記憶する第2の記憶手段と、操作子の操作に応じて、該操作された操作子に対応して記憶されている開始位置データに基づいて、開始位置データが示す位置から自動演奏データの読み出しを開始させる読み出し手段と、前記操作子の操作終了に応じて、自動演奏データの読み出しを停止させる読み出し制御手段と、を備えたことを特徴とする。』 ▲7▼訂正事項g 〔発明の詳細な説明〕の段落〔0007〕(同公報第4欄3〜8行)を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する: 『 【0007】 このような手段を備えることにより、第1の発明においては、複数の操作子のいずれかを操作することにより、該操作子に対応して記憶された読み出し開始位置データを参照して、該開始位置から自動演奏データの読み出しが開始される。ある自動演奏データの読み出し中に異なる操作子を操作すれば、この自動演奏データの読み出しを小節又はフレーズの切れ目まで継続した後、異なる位置の自動演奏データが読み出される。』 |
異議決定日 | 2003-05-30 |
出願番号 | 特願平7-294808 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(G10H)
P 1 651・ 113- YA (G10H) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 千葉 輝久 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
小林 秀美 酒井 朋広 |
登録日 | 2002-04-19 |
登録番号 | 特許第3298384号(P3298384) |
権利者 | ヤマハ株式会社 |
発明の名称 | 自動演奏装置 |
代理人 | 岡部 惠行 |
代理人 | 上島 淳一 |
代理人 | 岡部 惠行 |