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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1084811
異議申立番号 異議2002-71264  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-20 
確定日 2003-08-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3231031号「遊技機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3231031号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1・手続の経緯
特許第3231031号の請求項1、2に係る発明についての特許出願は、平成3年7月30日に出願された特願平3-190168号の一部が、平成11年12月28日に、特許法第44条第1項の規定により、新たな特許出願として分割されたものであって、平成13年9月14日にその特許権の設定登録がなされ、その後、本間幹雄より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年4月4日に訂正請求がなされたものである。
2・訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア・訂正事項a
明細書の特許請求の範囲の請求項1を、
「複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタと、
前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段と、
該判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段と、
リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を予め定められた複数種類の中から選択する選択手段と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段とを含み、
前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択することを特徴とする、遊技機。」
と訂正する。
イ・訂正事項b
明細書の特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ・訂正事項c
明細書の段落【0007】を、
「【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタと、
前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段と、
該判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段と、
リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を予め定められた複数種類の中から選択する選択手段と、 前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段とを含み、
前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択することを特徴とする。」
と訂正する。
エ・訂正事項d
明細書の段落【0008】を、
「【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、判別手段の働きにより、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタの数値情報が用いられて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かが判別される。また、識別情報選択手段の働きにより、判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報が選択される。また、選択手段の働きにより、リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様が予め定められた複数種類の中から選択される。制御手段の働きにより、前記複数の可変表示部が可変開始された後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様が前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様とされてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果が表示される。前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択する。」
と訂正する。
オ・訂正事項e
明細書の段落【0056】中の
「S58(図7)」
を、
「S61(図7)」
と訂正する。
カ・訂正事項f
明細書の段落【0086】中の
「マイコン60により・・・ランダム性を向上させることができる。」
を、
「マイコン60により、前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段が構成されている。
図6のフローチャートのS40,S41,S44,S45,S47,S48により、判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段が構成されている。
図7のS52,S53および上記した実施例の変形例として示されているように、予定停止図柄が大当たりとなる場合とそれ以外とで図12(e)、(f)に示されるように表示態様を区別することにより、リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を予め定められた複数種類の中から選択する選択手段が構成されている。
上記した実施例の変形例として示されているように、予定停止図柄が大当たりとなる場合とそれ以外とで図12(e)、(f)に示されるように表示態様を区別することにより、前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択することが開示されている。
(2)当りはずれ決定用カウンタにより、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタが構成されている。図6のS44により、前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段が構成されている。
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれるために、遊技者は、リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を見て可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報の組合せになることを予想できるようになり、可変表示の面白みを向上させることができる。」
と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a及びbは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項c、d及びfは、上記訂正事項a及びbと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項eは、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当し、何れも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3・特許異議の申立てについての判断
(1)特許異議の申立ての理由の概要
申立人は、
甲第1号証(特開平3-49785号公報、平成3年3月4日公開)
及び
甲第2号証(特開平3-55081号公報、平成3年3月8日公開)
を引用し、
本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、又、当業者が甲第1及び2号証に記載された各発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号、又、同条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
(2)本件の発明
上記2・で示したように上記訂正が認められたので、本件特許第3231031号の請求項1に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記2・の(1)のア・参照)。
(3)甲号各証に記載された発明
甲第1号証(特開平3-49785号公報)には、
特に、
(ア)第6頁右上欄第19行〜左下欄第1行の「3桁の表示されるべき識別情報・・・が選択される(ステップS2)」、第4頁左下欄第11〜14行の「乱数テーブルからそれぞれの識別情報表示部16a〜16cに表示されるべき識別情報を選択し」、第6頁左下欄第7〜10行の「選択された表示情報の組合せが・・・大当りの表示態様であるか否かが判別され(ステップS3)」、第1頁左下欄第16〜18行の「識別情報の組合せがすべて特定識別情報であるときに遊技者に所定の遊技価値を付与する」及び第6頁右下欄第3〜5行の「先に表示されている2つの識別情報表示部16a、16bの表示が大当り態様となる可能性があるとき」の記載、
(イ)第7頁左上欄第4〜16行の「選択された表示情報の組合せが「n、7、7」又は「7,n、7」・・・で・・・「7」が過半数(2つ)含まれており、且つその順番が最初から・・・連続していない・・・場合には・・・「7」が最初から連続するような順番に並び変えされ」、第9頁左下欄第11〜18行の「上記実施例では、識別情報表示部の停止順序を一定にしたものを示したが、特定識別情報と通常識別情報との組合せとなったとき、その順序を並び代えるのではなく、特定識別情報に対応する識別情報表示部から順次表示させてもよい。また、大当りに対応する組合せが選択されたときには、識別情報表示部の停止順序をランダムにしてもよい」の記載から、
ステップS2により選択された前記識別情報表示部16a〜16cの識別情報が大当りの表示態様であるか否かに応じて、大当り態様となる可能性での可変表示中の識別情報の表示態様を、識別情報表示部の停止順序を一定にした表示態様と識別情報表示部の停止順序をランダムにした表示態様の2種類の中から選択する選択手段があり、又、識別情報表示部の停止順序を一定にした表示態様と識別情報表示部の停止順序をランダムにした表示態様の2種類の中には、前記ステップS2により前記大当りの表示態様が選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記ステップS2により選択された前記識別情報表示部16a〜16cの識別情報が前記大当りの表示態様であるとき、当該表示態様を選択するものと認められること、
からみて、
「複数種類の識別情報を可変表示可能な識別情報表示部16a〜16cを有する可変表示装置14を含み、該可変表示装置14の表示結果が大当りの表示態様になった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置14の表示結果を前記大当りの表示態様とするか否かを判別するために用いられる乱数テーブルと、
前記乱数テーブルの乱数を用いて、前記可変表示装置14の表示結果を前記大当りの表示態様とするか否かを判別するステップS3と、
該ステップS3の判別に従う前記識別情報表示部16a〜16cの各々の表示結果となる識別情報を選択するステップS2と、
前記ステップS2により選択された前記識別情報表示部16a〜16cの識別情報が前記大当りの表示態様であるか否かに応じて、大当り態様となる可能性での可変表示中の識別情報の表示態様を、識別情報表示部の停止順序を一定にした表示態様と識別情報表示部の停止順序をランダムにした表示態様の2種類の中から選択する選択手段と、
前記識別情報表示部16a〜16cを可変開始させた後、前記大当り態様となる可能性での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により選択された表示態様としてから、前記ステップS2が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御回路とを含み、
前記識別情報表示部の停止順序を一定にした表示態様と識別情報表示部の停止順序をランダムにした表示態様の2種類の中には、前記ステップS2により前記大当りの表示態様が選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記ステップS2により選択された前記識別情報表示部16a〜16cの識別情報が前記大当りの表示態様であるとき、当該表示態様を選択する、遊技機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
同じく甲第2号証(特開平3-55081号公報)には、
特に、
(ア)第13頁右上欄第10〜13行の「デジタルA、B、Cのすべてが停止し・・・大当たりとなれば・・・特別遊技が行われる」、第10頁左上欄第6〜10行の「RNDGEN=0であれば大当たりとして大当たり図柄選択用乱数HITGENの抽出値に対応する大当たり図柄となる値を選出し、RNDGEN≠0であれば・・・RANDOMの値を選出する」、第9頁左下欄第2,3行の「表示用乱数RANDOMは、大当たり以外の・・・表示図柄組み合わせを発生させる」、第9頁右上欄第8〜11行の「主乱数RNDGENは・・・更新を行い」及び第10頁右上欄第7行の「STEP4(大当たり/外れ判定処理)」の記載、
(イ)第9頁右下欄第8〜10行の「ランダム時間は、副乱数SUBGENから算出する・・・ε時間よりなる」、第9頁右下欄第18,19行の「ε時間は、最後に停止する右デジタルCのスクロール時間を設定する」、第11頁左下欄第20行〜右下欄第2行の「デジタルCはリーチ目であればε時間(ランダムに選択される)・・・スクロールする」の記載から、
副乱数SUBGENが、リーチ目での変動表示中の図柄の右デジタルCのスクロール時間をランダムに選択されるスクロール時間の中から選択するものと認められること、
からみて、
「複数種類の図柄を変動表示可能なデジタルA、B、Cを有する画像表示装置4を含み、該画像表示装置4の表示結果が大当たりになった場合に、特別遊技となるパチンコ機であって、
前記画像表示装置4の表示結果を前記大当たりとするか否かを判定するために用いられる乱数を更新する主乱数RNDGENと、
前記主乱数RNDGENの乱数を用いて、前記画像表示装置4の表示結果を前記大当たりとするか否かを判定するSTEP4と、
該STEP4の判定に従う前記デジタルA、B、Cの各々の表示結果となる図柄を選択するHITGEN及びRANDOMと、
リーチ目が成立してから前記デジタルA、B、Cすべての表示結果が表示されるまでのリーチ目での変動表示中の図柄の右デジタルCのスクロール時間を、ランダムに選択されるスクロール時間の中から選択する副乱数SUBGENと、
前記デジタルA、B、Cを変動開始させた後、前記リーチ目での変動表示中の図柄の右デジタルCのスクロール時間を前記副乱数SUBGENにより設定された右デジタルCのスクロール時間としてから、前記HITGEN及びRANDOMが選択した図柄による表示結果を表示させる制御装置82とを含む、パチンコ機」が記載されているものと認められる。
(4)本件特許の請求項1に係る発明と甲号各証に記載された発明との対比及び判断
本件特許の請求項1に係る発明(前者)と、甲第1号証に記載された発明(後者)とを対比すると、
後者の
「識別情報表示部16a〜16c」、「大当りの表示態様」、「大当りの表示態様」、「乱数テーブル」、「乱数」、「ステップS3」、「ステップS2」、「大当り態様となる可能性での」、「識別情報表示部の停止順序を一定にした表示態様と識別情報表示部の停止順序をランダムにした表示態様の2種類」、「制御回路」及び「識別情報表示部の停止順序を一定にした表示態様と識別情報表示部の停止順序をランダムにした表示態様の2種類の中」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「複数の可変表示部」、「予め定められた特定の識別情報の組合せ」、「特定の識別情報の組合せ」、「判別用カウンタ」、「数値情報」、「判別手段」、「識別情報選択手段」、「リーチ動作状態での」、「予め定められた複数種類」、「制御手段」及び「複数種類の表示態様」
に相当するものと認められるから、
両者は、
「複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる判別用カウンタと、
前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段と、
該判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段と、
前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて、リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を、予め定められた複数種類の中から選択する選択手段と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により選択された表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段とを含み、
前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択する、遊技機」である、
点において一致し、
ア・判別用カウンタが、
前者は、数値情報を更新するようになっている、
のに対し、
後者は、かかる構成が明らかではない、
イ・前者が、リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを備え、該リーチフラグを、特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定する、
のに対し、
後者が、かかるリーチフラグを備えているのか否か明らかではない、
点において相違しているものと認められる。
先ず、相違点ア・についてみるに、
甲第2号証に記載された発明の
「図柄」、「変動」、「デジタルA、B、C」、「画像表示装置4」、「大当たり」、「特別遊技となる」、「パチンコ機」、「大当たり」、「判定」、「乱数」、「主乱数RNDGEN」、「STEP4」、「HITGEN及びRANDOM」、「リーチ目」、「リーチ目」、「右デジタルCのスクロール時間」、「ランダムに選択されるスクロール時間」、「副乱数SUBGEN」及び「制御装置82」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「識別情報」、「可変」、「複数の可変表示部」、「可変表示装置」、「予め定められた特定の識別情報の組合せ」、「所定の遊技価値を付与可能な状態となる」、「遊技機」、「特定の識別情報の組合せ」、「判別」、「数値情報」、「判別用カウンタ」、「判別手段」、「識別情報選択手段」、「リーチ状態」、「リーチ動作状態」、「表示態様」、「複数種類」、「選択手段」及び「制御手段」
に相当するものと認められるから、
甲第2号証に記載された発明には、
「複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタと、
前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段と、
該判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段と、
リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を、複数種類の中から選択する選択手段と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により選択された表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段とを含む、遊技機」
という構成、
すなわち、
相違点ア・の前者の構成である「数値情報を更新する判別用カウンタ」という構成が備わっているものと認められる。
それゆえ、相違点ア・の前者の構成は、当業者が容易に発明をすることができる程度のものというべきである。
しかし、甲第2号証に記載された発明には、相違点イ・の前者の構成は、備わっていないものと認められる。
そうすると、遊技機の制御において、フラグを利用すること自体は自明乃至周知の技術であるとしても、相違点イ・の前者には、リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるために、フラグを、特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定する、という具体的構成があり、該具体的構成までもが自明乃至周知の技術であるとはいえないから、
前者が、当業者が申立人によって引用された甲第1及び2号証に記載された各発明に基いて容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
又、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタと、
前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段と、
該判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段と、
リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を予め定められた複数種類の中から選択する選択手段と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段とを含み、
前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択することを特徴とする、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシンなどで代表される遊技機に関する。詳しくは、複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する)等を利用して可変表示装置の停止時の表示結果を事前に決定しておき、停止したときの可変表示装置によって表示される識別情報がその事前に決定された内容に従ったものになるように制御したり、あるいは所定の可変開始条件の成立によって可変表示を開始した後可変表示を順次停止して停止時の表示結果に応じて遊技制御を行なったりするものがあった。そして、可変表示装置の停止時の表示結果が予め定められた特定の表示態様(たとえば「777」)となったことを条件として、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となるように遊技機が制御されていた。
【0003】
この従来の遊技機においては、可変表示装置が、たとえば、複数の可変表示部を有しており、その複数の可変表示部がたとえば一斉に可変開始された後時期を異ならせて順次表示結果の導出表示が行なわれるように構成されていた。そして、複数の可変表示部のうちの一部の可変表示部がまだ可変表示されている最中に、可変表示装置の表示状態がリーチ状態となる場合がある。このリーチ状態とは、可変表示装置の可変表示制御が進行してすべての可変表示部の表示結果が導出表示される前段階まで達した時点でも、前記特定の表示態様となる表示条件から外れていない表示状態のことである。
【0004】
そして、従来の遊技機においては、リーチ状態以外のときには前記特定の表示態様が成立することがないために可変表示動作時間を短くし、リーチ状態のときには、可変表示動作時間を長くするようにし、リーチ状態のときに遊技者の期待がだんだんと高められるようにして遊技の興趣が盛り上がるように構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の従来の遊技機においては、リーチ状態となった後の表示結果如何によらず、リーチ状態以降の制御動作のバリエーションが画一的であった。このため、たとえば、表示結果が特定の表示態様になるリーチの場合や、表示結果が特定の表示態様にならないリーチであっても表示結果が特定の表示態様に近い態様になる“惜しいリーチ”の場合、あるいは、表示結果が特定の表示態様とはかけ離れた“惜しくないリーチ”の場合、のいずれの場合でもリーチ状態以降の制御動作が同じであり、どのような種類のリーチ状態であっても、一様に遊技者に「特定の表示態様になるかもしれない」という程度の期待感しか付与できないという問題があった。
【0006】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、リーチ時における制御動作のバリエーションを増加させ、かつ、その制御動作の違いによって遊技者に様々な大きさの期待感を付与可能な遊技機を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機であって、
前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタと、
前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段と、
該判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段と、
リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を予め定められた複数種類の中から選択する選択手段と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段とを含み、
前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択することを特徴とする。
【0008】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、判別手段の働きにより、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタの数値情報が用いられて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かが判別される。また、識別情報選択手段の働きにより、判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報が選択される。また、選択手段の働きにより、リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様が予め定められた複数種類の中から選択される。制御手段の働きにより、前記複数の可変表示部が可変開始された後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様が前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様とされてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果が表示される。前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を取上げて説明するが、遊技機の種類としてはパチンコ遊技機に限らずたとえばコイン遊技機やスロットマシン等であってもよい。
【0010】
図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機1の盤面を示す正面図である。パチンコ遊技機1には図示されない賞品玉貯留皿が設けられており、賞品玉貯留皿内にパチンコ玉が貯留される。パチンコ遊技機1の右下隅には、パチンコ玉を弾発発射させるために遊技者によって操作される図示されない打球操作ハンドルが設けられており、打球操作ハンドルを遊技者が回動操作することにより、図示しない打球ハンマーが間欠揺動して賞品玉貯留皿内のパチンコ玉が1つずつ弾発発射される。弾発発射されたパチンコ玉は、遊技盤5の前面側に形成された遊技領域6内に打込まれる。なお、賞品玉貯留皿内の貯留玉が満杯となりそれ以上貯留できなくなった余剰玉は、図示されない余剰玉貯留皿内に放出されて貯留される。
【0011】
遊技領域6内には、複数種類の識別情報が可変表示可能な可変表示装置9が設けられている。可変表示装置9の下方には蓋24が開閉することにより打玉が入賞しやすい第1の状態と打玉が入賞しにくいまたは入賞しない第2の状態とに変化する可変入賞球装置10が設けられている。可変入賞球装置10の両側および上方には、始動入賞口12a、12b、12cが設けられている。さらに遊技領域6には、入賞口13なども設けられている。遊技領域6内に打込まれたパチンコ玉が前記始動入賞口12a〜12cのいずれかに入賞すれば、始動入賞玉検出器55a、55b、55cのうちの対応する始動入賞玉検出器によって検出され、その検出出力に基づいて前記可変表示装置9が可変表示を開始する。
【0012】
なお、本実施の形態では、左図柄、中図柄、右図柄の3つの図柄を表示する可変表示装置9を示したが、2つの図柄または4個以上の図柄を表示するものであってもよい。
【0013】
この可変表示装置9の停止制御は、可変表示の開始から一定時間が経過した後に、まず向かって最も左の図柄が停止され、所定時間(たとえば1〜2秒)経過した後に中央の図柄が停止され、さらに所定時間(たとえば1〜2秒)経過した後に右の図柄が停止され、左、中央、右の順番で行なわれる。なお、この停止順序は、左、中央、右以外の順序であってもよい。さらに、この可変表示装置9は、常時可変表示させておき、始動入賞により改めて可変表示を開始するものであってもよい。その場合には、始動入賞により可変表示の明るさや早さを切換えて再可変表示開始を遊技者に対して報知するように構成することが望ましい。また、可変表示装置の停止操作スイッチを1個設け、停止操作スイッチを遊技者が操作することにより所定の順番で図柄が停止されるものでもよく、また、表示部の図柄に対応する数だけ停止操作スイッチを設けそのスイッチ操作により対応する表示部の図柄が停止制御されるものでもよい。
【0014】
可変表示装置9の停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せ(たとえば「777」)になれば、大当り状態が発生しソレノイド32により可変入賞球装置10の蓋24を開成させて打玉が入賞しやすい第1の状態となる。蓋24を開成させる大当り制御は、所定時間(たとえば30秒間)の経過かまたは打玉の所定個数(たとえば10個)の入賞のうちいずれか早い方の条件が成立するまで行なわれる。
【0015】
打込玉が可変入賞球装置10や始動入賞口12a〜12cあるいは入賞口13等に入賞すれば、賞品玉払出装置(図示せず)から所定個数の賞品玉が図示されない賞品玉貯留皿内に払出される。
【0016】
また、この遊技内には図示されないスピーカが備えられており、前記大当り状態の発生時などに効果音を発生したり、不正遊技が行なわれた場合に警報音を発生させたりする。
【0017】
可変表示装置9は、7セグメント表示器で構成されており、左可変表示器30a、中可変表示器30b、右可変表示器30cからなる。この各可変表示器30a〜30cの上方には、始動入賞記憶表示器31が設けられている。始動入賞記憶表示器31は、始動入賞口12a〜12cに入賞した入賞玉の入賞個数の記憶値を表示するためのものである。始動入賞記憶は、始動入賞口12a〜12cに入賞があるごとに1ずつ加算され、可変表示装置9の可変表示が行なわれるごとに1ずつ減算される。入賞記憶の上限値は4と定められている。
【0018】
可変表示装置9の下方部分に形成された可変入賞球装置10には、蓋24が平行リンク機構を介して取付けられている。そして、ソレノイド32が取付基板の裏面側に設けられており、ソレノイド32のプランジャが連動部材を介して平行リンク機構の上方のリンク部に連動連結されている。その結果、ソレノイド32が励磁されて連動部材が上方に引上げられれば、平行リンク機構の上方のリンク部分が所定の支点を回動中心として回動され、蓋24上部が前方に回動されて開成状態となる。
【0019】
可変入賞球装置10の中央奥には、特定入賞口34が設けられている。蓋24が開成した状態でパチンコ玉が可変入賞球装置10内に進入すれば、そのパチンコ玉は特定入賞口34に入賞する可能性がある。特定入賞口34内にパチンコ玉が入賞すればその入賞玉は特定入賞玉検出器35によって検出され、遊技制御に用いられる。さらに、この特定入賞口34に入賞した特定入賞玉およびこの特定入賞口34に入賞しなかった通常の入賞玉は合流されて、入賞個数検出器36により検出され遊技制御に用いられる。
【0020】
始動入賞口12a〜12cにパチンコ玉が入賞し、可変表示の結果大当りが発生すれば、ソレノイド32が励磁されて蓋24が開成状態となる。可変入賞球装置10内に進入したパチンコ玉は前述のように入賞個数検出器36により検出され、その検出出力に基づいて入賞個数が所定個数(たとえば10個)に達したと判断された場合または蓋24が開成されてから所定時間(前述のようにたとえば30秒間)経過した場合のうちいずれか早い方の条件が成立した場合にはソレノイド32の励磁が解除されて蓋24が閉成される。蓋24が開成している最中に、可変入賞球装置10内に進入したパチンコ玉が1個でも特定入賞口34内に入賞すれば、その回の蓋24の開成が終了した後さらに蓋24を繰返し開成させる繰返し継続制御が行なわれる。繰返し継続制御の回数は継続回数表示器37(可変表示装置9の上部に設けられている)により表示される。繰返し継続制御の上限値としては本実施の形態の場合16に定められている。
【0021】
本実施の形態では、可変表示装置はセグメント表示器によって構成したが、ドットマトリックス表示器、液晶表示器、蛍光表示管、あるいは回転ドラム式の可変表示装置であってもよい。可変入賞球装置10の開閉部材は、本実施の形態の場合には蓋24を用いたが、1対の回動部材や1対の摺動部材で構成してもよい。開閉部材の開成あるいは閉成をソレノイドやモータなどの電気的駆動源を用いて電気的に行なってもよいし、電気的駆動源を用いずに機械的に行なってもよい。また、可変入賞球装置10を所定時間開成させる代わりに、所定回数または所定時間開閉させるようにしてもよい。
【0022】
なお、遊技領域6の最下部には、入賞口13などに入賞しなかったアウト玉が集められるアウト口14が設けられている。アウト口14のすぐ上方には、可変入賞球装置10に入賞したパチンコ玉の個数を表示するための入賞個数表示器25が設けられている。さらに遊技領域6の側部には、大当たり時や可変表示時に点滅するランプ23が設けられている。
【0023】
図2は、パチンコ遊技機に用いられる制御回路および周辺回路を示すブロック図である。マイコン60は、以下に述べるような各種機器の動作を制御する機能を有する。このため、マイコン60は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することができるMPU(Micro Processing Unit)と、MPU61の動作プログラムデータを格納するためのROM(Read-Only Memory)62と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM(Random Access Memory)63とを含む。
【0024】
マイコン60はさらに、入力信号を受けてMPU61に入力データを与えるとともに、MPU61からの出力データを受けて外部に出力するための入出力回路64と、MPU61から音データを受取り、音声信号を発生するためのサウンドジェネレータ69と、遊技機の電源投入時にMPU61に対してリセットパルスを与えるためのパワーオンリセット回路65と、MPU61にクロック信号を与えるためのクロック発生回路66と、クロック発生回路66から与えられるクロック信号を分周して定期的(たとえば2msecごと)にリセットパルスを発生してMPU61に与えるためのパルス分周回路(定期リセット回路)67と、MPU61からのアドレスデータをデコードしてROM62、RAM63、入出力回路64およびサウンドジェネレータ69にチップセレクト信号を与えるためのアドレスデコード回路68とを含む。
【0025】
アドレスデコード回路68は、MPU61から与えられるアドレスデータをデコードし、ROM62、RAM63、入出力回路64、サウンドジェネレータ69に対してそれぞれチップセレクト信号を与え、上記各回路を能動化するためのものである。
【0026】
なお、この実施の形態では、ROM62は、その内容の書換えを行なうことができるプログラマブルROMが用いられている。すなわち、必要が生じた場合には、ROM62内に格納されたMPU61のためのプログラムデータを変更することができる。MPU61は、このROM62内に格納されたプログラムデータに従って、かつ以下に述べる各制御信号の出力に応答して、種々の機器に対して制御信号を与える。マイコン60には、入力信号として以下のような信号が与えられる。
【0027】
まず、パチンコ玉の始動入賞に伴って始動入賞玉検出器55a〜55cがONしたことに応答して、検出回路70から始動入賞玉検出信号がマイコン60に対して与えられる。パチンコ玉が特定入賞口34(図1参照)に入賞したことに伴って特定入賞玉検出器35がONとなり、それに応答して検出回路71から特定入賞玉検出信号がマイコン60に与えられる。パチンコ玉が可変入賞球装置10内に入賞したことに伴って入賞個数検出器36がONとなり、それに応答して検出回路72から入賞個数検出信号がマイコン60に対して与えられる。
【0028】
マイコン60は、以下の回路および装置に対して制御信号を与える。まず、マイコン60はソレノイド駆動回路73を介してソレノイド32にソレノイド駆動用制御信号を与える。これにより、可変入賞球装置10の蓋24(図1参照)が駆動され、パチンコ玉が入賞しやすい第1の状態とパチンコ玉が入賞しにくいまたは入賞しない第2の状態とに変化する。マイコン60は、7セグメントLED駆動回路74を介してそれぞれの可変表示器30a〜30cに可変表示用制御信号を与える。またマイコン60は、回路74を介して、継続回数表示器37に対して繰返し継続制御の回数を表示するための制御信号を与え、入賞個数表示器25に対して、可変入賞球装置10に入賞したパチンコ玉の個数を表示させるための制御信号を与える。マイコン60は、LED駆動回路22を介して、始動入賞記憶表示器31に対して、始動入賞記憶表示用制御信号を与える。マイコン60は、ランプ駆動回路75を介してランプ23に対しランプ点灯用制御信号を与える。さらにマイコン60のサウンドジェネレータ69は、アンプ76を介してスピーカ21に音発生用音声信号を与える。各種機器および制御回路に対しては、電源回路77から所定の直流電流(+30V、+21V、+17V、+12V、+5V)が供給される。
【0029】
図1および図2に示されるパチンコ遊技機の特徴は、可変表示装置9の可変表示器30a〜30cのうち、可変表示器30a、30bが停止して最も右側の可変表示器30cのみが可変表示を行なっている場合に、可変表示器30a、30bの図柄が一致しており、いわゆる「リーチ状態」であるときに、可変表示器30cに表示される図柄の種類によって、可変表示器30cの可変表示の周期や長さを複数通りに変化させることである。すなわち、本実施の形態では、左、右可変表示器30a、30bが第1の表示部に相当し、右可変表示器30cが第2の表示部に相当する。その制御の方法およびそれによってもたらされる効果は、以下のフローチャートやタイミングチャートを用いた説明によって明らかにされる。
【0030】
図3〜図11は、このパチンコ遊技機の動作を説明するためのフローチャートである。図3はメインルーチンを示す。メインルーチンは前述のようにたとえば2msecごとに1回先頭から実行される。まずステップS(以下単にSという)1により、RAMエラーがあったか否かの判断がなされる。この判断は、RAM内の所定のアドレスに、予め定められたデータが格納されているか否かを調べることにより行なわれる。S1における判断の答がNOであれば制御はS3に進むが、プログラムの暴走時や電源投入直後などには格納データが不定であるためこの判断の答がYESとなり、制御はS2に進む。S2では初期データがRAMなどにセットされる。制御はその後S3に進む。
【0031】
S3およびS4において、遊技機制御のための各種のスイッチの入力をチェックするためのスイッチチェック処理が行なわれ、制御はステップS5に進む。S5においては、スイッチから入力された信号に従い、音・ランプ・LEDコントロール処理が行なわれ、続いてS6においてソレノイドコントロール処理が、S7において可変表示装置9(図1参照)に表示される図柄を制御するための図柄LEDコントロール処理が行なわれる。さらにS8においては、前記S5〜S7の処理によって得られたデータを入出力回路64を介して出力する処理が行なわれる。この後制御はS9に進み、当りはずれを決定するために予め用意されている当りはずれ決定用カウンタの内容を「1」インクリメントする。このメインルーチンはたとえば前述のように2msecごとに実行されるため、当りはずれ決定用カウンタの内容は2msecごとに「1」ずつインクリメントされる。当りはずれ決定用カウンタの上限値はたとえば「234」に定められており、234を越えた場合には、以下に述べる処理により再び0にリセットされる。
【0032】
ステップS10においては、当りはずれ決定用カウンタが「235」に達したか否かの判断がされる。判断の答がNOであれば制御はS12に進むが、YESであれば制御はS11に進む。S11においては、当りはずれ決定用カウンタの内容が0にクリアされる。制御はその後S12に進む。すなわちこのようにすることにより、当りはずれ決定用カウンタの値は、0からカウントアップされて235に達すればクリアされ、再び0からカウントアップが行なわれるわけである。後述するように始動入賞チェック時に当りはずれ決定用カウンタの値が調べられ、その値がたとえば「0」の場合に大当りが発生するように制御される。その結果、実際のプログラム上の大当たりの発生確率は1/235となる。一方、前述のように大当りが発生する図柄の組合せは、可変表示器30a〜30c(図1参照)によって表示される3つの図柄が一致した場合である。図柄の種類はそれぞれの図柄表示器30a〜30cについて、0〜9、A、F、H、J、Lの15種類である。したがって、みかけ上の大当たりの発生確率は15/153=1/225となる。
【0033】
続いてS12においては、図柄表示用カウンタの1桁目に「11」を加算する処理が行なわれる。図柄表示用カウンタとは、前記15種類の図柄に対応した値をカウントするものであり、その1桁目は左可変表示器30a(図1参照)によって表示される図柄を定めるためのものである。図柄表示用カウンタの1桁目の値が0〜9の場合にはそれぞれ「0」ないし「9」の図柄が左図柄表示器30aによって表示され、カウント値が10進数で10〜14の場合にはそれぞれ「A」、「F」、「H」、「J」、「L」の図柄が表示されるように定められている。他の図柄表示器30b、30cはそれぞれ、図柄表示用カウンタの2桁目、3桁目によりその図柄が同様に定められる。
【0034】
制御は続いてS13に進み、図柄表示用カウンタの1桁目が「15」以上であるか否かの判断がされる。判断の答がNOであれば制御は再びS12に進み、図柄表示用カウンタの1桁目に「11」を加算する処理以下の処理が繰返し行なわれる。一方、S13における判断の答がYESであれば制御はS14に進む。S14においては、図柄表示用カウンタの1桁目から「15」を減算する処理がなされるとともに、図柄表示用カウンタの2桁目に「1」を加算する処理が行なわれる。この処理は、図柄表示用カウンタの1桁目から2桁目への繰上り処理である。制御はS15に進む。
【0035】
S15においては、図柄表示用カウンタの2桁目が「15」になったか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであれば制御は再びS12に戻り、S12以下の処理を繰返して実行する。判断の答がYESであれば制御はS16に進む。S16においては、図柄表示用カウンタの2桁目のカウント値から「15」を減算する処理と、図柄表示用カウンタの3桁目に「1」を加算する処理が行なわれる。すなわち、この処理は図柄表示用カウンタの2桁目から3桁目への桁上り処理である。制御はステップS17に進む。
【0036】
S17においては、図柄表示用カウンタの3桁目が「15」になったか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであれば制御は再びS12に戻り、S12以下の処理が繰返して実行される。S17における判断の答がYESであれば制御はS18に進む。S18においては、図柄表示用カウンタの3桁目のカウント値から「15」を減算する処理が行なわれる。その後制御はS12に戻り、S12以下の処理が繰返して実行される。S17およびS18における処理は、図柄表示用カウンタの3桁目の桁上り処理である。この場合、4桁目以上がないため、本来の桁上りの処理は実行されない。
【0037】
S12〜S18による処理は、S1〜S11までの処理を行なった後に、残っているリセット待ち時間の間繰返して行なわれる。すなわち、パルス分周回路67(図2参照)からのりセットパルスがマイコン60に入力された段階でS12〜S18の処理が終了され、再びS1からこのプログラム実行が開始される。本実施の形態の場合には、2msecごとにリセットパルスが発生されるため、2msecから前記S1〜S11までの処理時間を減算した残り時間を利用して、S12〜S18の処理が繰返し行なわれる。なお、S5およびS6において行なわれる処理は、本願発明の特徴とは関係がないため、その詳細な説明はここでは省略する。上述のように処理の残り時間を利用して図柄表示用カウンタの内容をカウントアップすることにより、S1〜S11までの処理を行なうために必要な時間の変化に対応して、図柄表示用カウンタに1回当りのプログラムの実行で加算される数値が変化してくる。したがって、図柄表示用カウンタの内容のランダム性が向上する。
【0038】
図4は、図3のS3、S4によって定義されたサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S19により、カウントスイッチ(入賞個数検出器36)の出力のチェック処理が行なわれる。S20により、Vスイッチ(特定入賞玉検出器35)の出力のチェック処理が行なわれる。S21によりスタートスイッチA(始動入賞玉検出器55a)の出力のチェック処理が行なわれる。S22によりスタートスイッチB(始動入賞玉検出器55b)の出力のチェック処理が行なわれる。S23によりスタートスイッチC(始動入賞玉検出器55c)の出力のチェック処理が行なわれる。その後サブルーチンプログラムは終了する。なお、S19、S20、S22、S23のチェック処理の詳細な説明はここでは省略するが、S22、S23で行なわれる処理の詳細は、図5で説明されるS21で行なわれる処理と同様の内容である。
【0039】
図5は、図4のS21に示したスタートスイッチAチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。図5を参照して、S24により、スタートスイッチAがONになっているか否かの判断が行なわれる。パチンコ玉が始動入賞口12a(図1)に入賞すれば、この判断の答がYESとなり、制御はS26に進む。S26においては、スタートスイッチAチェックのためにも設けられたスタートスイッチAチェックカウンタの値が最大値となっているか否かの判断が行なわれる。スタートスイッチAチェックカウンタは、スタートスイッチAチェックサブルーチンプログラム20が実行されるごとにS27により1ずつ加算されるものであり、その最大値はたとえば255とされている。
【0040】
S26における判断の答がNOであれば制御はS27に進む。S27においては、スタートスイッチAチェックカウンタが1インクリメントされ、制御はS28に進む。S28においては、スタートスイッチAチェックカウンタの内容が2であるか否かが判断される。判断の答がNOであればこのサブルーチンはそのまま終了するが、判断の答がYESである場合には制御はS29に進む。
【0041】
S29においては、始動入賞口に入賞したパチンコ玉の個数を記憶するための始動記憶カウンタの内容が4であるか否かが判断される。前述のように始動記憶の上限値は「4」とされている。そのため、S29における判断の答がYESである場合にはそのままこのサブルーチンプログラムは終了するが、判断の答がNOである場合には制御はS30に進み、始動入賞が発生したことに伴う始動記憶カウンタの「1」の加算処理が行なわれる。制御はS31に進む。
【0042】
S31においては、当りはずれ決定用カウンタのカウント値が0であるか否かの判断が行なわれる。当りはずれ決定用カウンタは、S9(図3参照)によって1ずつ加算され、S11によってクリアされるものである。当りはずれ決定用カウンタが0である場合には制御はS33に進み、それ以外の場合には制御はS32に進む。S33においては、始動記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに大当りデータを記憶してこのサブルーチンプログラムは終了する。一方、制御がS32に進んだ場合には、始動記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに、はずれデータを記憶させてサブルーチンプログラムが終了する。たとえば、始動記憶カウンタが「1」の場合には、データ記憶エリアの1番目のエリアに大当りデータまたははずれデータが記憶され、始動記憶カウンタが「2」の場合にはデータ記憶エリアの第2のエリアに大当りデータまたははずれデータが記憶され、始動記憶カウンタが「3」の場合には第3エリアに、始動記憶カウンタが「4」の場合には第4エリアにそれぞれ記憶されることになる。
【0043】
次に、S24における判断の答がNOの場合に行なわれる処理を説明する。制御はこの場合S25に進む。S25においては、スタートスイッチAチェックカウンタの内容がクリアされ、そのままサブルーチンプログラムが終了する。結局、このスタートスイッチAサブルーチンプログラムが2回実行されてその2回ともスタートスイッチがONとなっている場合にのみ、S28における判断の答がYESとなってS29以降の処理が行なわれることになる。これは、遊技場において特に発生するノイズなどにより瞬間的にスタートスイッチAがONになったとしても、それだけではただちにS29以降の処理が行なわれないようにすることにより、ノイズによる遊技機の誤動作を極力防止することを目的としている。
【0044】
図6〜図8は、図3のS7により定義されている図柄LEDコントロールのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。図6を参照して、S34ないしS36により、右図柄停止フラグがセットされているか否か、中図柄停止フラグがセットされているか否か、左図柄停止フラグがセットされているか否かの判断がそれぞれ行なわれ、すべての図柄停止フラグがセットされていない場合に制御はS37に進む。左図柄停止フラグは後述するS54によりセットされてS58によりクリアされる。中図柄停止フラグは後述するS58によりセットされS61によりクリアされる。右図柄停止フラグは後述するS61によりセットされS75によりクリアされる。
【0045】
S37においては、大当りフラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。大当りフラグは、後述するS74によりセットされるものである。大当りフラグがセットされている場合には制御はS37からサブルーチンの終了に進むが、大当りフラグがセットされていない場合には制御はS38に進む。S38においては、始動記憶カウンタが0であるか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESであればそのままサブルーチンプログラムは終了するが、答がNOであれば制御はS39に進む。S39においては、はずれインタバルタイマーが終了しているか否かの判断が行なわれる。このはずれインタバルタイマーは、後述するS73によりセットされる0.6秒程度の短い時間を計時するタイマーであり、可変表示装置9(図1)の表示結果がはずれの場合に、そのはずれた事実を表す表示を遊技者に視認させるために必要な間隔を確保するためのものである。S39における判断の答がNOであればそのままサブルーチンプログラムは終了するが、YESである場合には制御はS40に進む。
【0046】
S40においては、図柄表示用カウンタの現在値を呼出す制御が行なわれる。図柄表示用カウンタは前述したS12ないしS18により繰返しそのカウント値が変化するように制御されており、S40の実行により、その時のこの図柄表示用カウンタのカウント値が呼出される。具体的にたとえば、S40において呼出された図柄表示用カウンタのカウント値が「777」であるものとする。以下、この値を例としてS41以下の説明を行なう。
【0047】
S41においては、データ記憶エリア(S32、S33参照)の第1エリアのデータを呼出す処理が行なわれる。このとき、第1エリア〜第4エリアに格納されている始動記憶が、それぞれ順に「はずれ」「当り」「はずれ」「始動記憶なし」とする。この場合、S41においては、第1エリアのデータ、すなわち「はずれ」を表すデータが読出される。制御はS42に進む。
【0048】
S42においては、始動記憶カウンタの内容を1減算する処理が行なわれる。これは、S41においてデータ記憶エリアの始動記憶が1つ読出されたためである。制御はS43に進む。S43においては、データ記憶エリアの記憶データを、第4エリアから第1エリアの方向に向かって1ずつシフトさせる処理が行なわれる。前述の例の場合には、S43における処理の結果、データ記憶エリアに格納されたデータは順に「当り」「はずれ」「始動記憶なし」「始動記憶なし」となる。このとき、S42における処理の結果、始動記憶は「3」から「2」となっている。制御はS44に進む。
【0049】
S44においては、S41において呼出されたデータが大当たりのデータであるか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESである場合には制御はS45に進み、さもなければ制御はS46に進む。上述の例の場合には判断の答はNOとなるため、制御はS46に進むことになる。S46においては、S40において呼出された図柄が左=中=右であるか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであれば制御はそのままS48に進む。しかし、判断の答がYESである場合には制御はS47に進み、S47により右図柄を表すカウント値に「1」を加算する処理がなされてS48に進む。すなわち、S47によって、はずれのときに表示される図柄が偶然大当りの図柄となってしまうことがないように強制的に図柄表示用カウンタの値が変更される。前述の場合には図柄表示用カウンタの値はS47の処理により「777」から「778」となる。制御はS48に進む。
【0050】
S45においては、呼出したデータが大当りであるため、呼出した図柄表示用カウンタの中・右の値を、図柄表示用カウンタの左の値に合せる。すなわち、図柄表示用カウンタによって定められる図柄左=中=右となるように強制的に大当たりの図柄で可変表示装置を停止させる制御が行なわれる。制御はS48に進む。
【0051】
S48においては、S40〜S47の処理により決定された図柄を予定停止図柄として記憶する処理が行なわれる。制御は図7のS49に進む。
【0052】
S49〜S53の処理は、本発明の特徴である、リーチ時の図柄表示の態様を変化させるために前もって行なわれる処理である。S49において、左図柄と中図柄とが一致しているか否かが判断される。判断の答がNOであれば制御はS54に進む。判断の答がYESであれば制御はS50に進む。すなわち、図柄表示装置に表示される図柄がいわゆる「リーチ状態」となる場合にのみ制御はS50に進む。S50においてはさらに、左図柄と右図柄とが一致しているか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESであれば制御はS53に進み、さもなければ制御はS51に進む。S51においては、左図柄が右図柄の前後のいずれかに等しいか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESであれば制御はS53に進み、さもなければ制御はS52に進む。すなわち、S50、S51の判断により、最終的に停止表示される図柄が大当りを示すものであるときと、最も右側の図柄が大当り図柄と1だけずれた図柄となるような場合のみ制御はS53に進み、それ以外のリーチのときには制御はS52に進むことになる。S53ではリーチフラグに2が、S52では1がそれぞれセットされる。上述の例の場合、制御はS51からS53に進み、リーチフラグに2がセットされる。S52、S53の後、いずれも制御はS54に進む。
【0053】
S54において基本タイマーおよび左図柄停止フラグがセットされる。基本タイマーはそれぞれの可変表示器を順番どおり停止させる際の最初の可変表示器の停止までの基本時間を定めるものであり、たとえば5秒程度の時間がセットされる。S54の処理の後このサブルーチンは終了する。
【0054】
図6、図7に示す図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムの次回の実行に際しては、S54によって左図柄停止フラグがセットされているために、S36における判断の答がYESとなり、制御は図7のS55に進む。S55では、左図柄LED変動処理、中図柄LED変動処理、ならびに右図柄LED変動処理が行なわれる。制御はS56に進む。S56では、基本タイマーが終了したか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOである場合にはこのサブルーチンプログラムはそのまま終了する。一方、基本タイマーが終了しS56における判断の答がYESとなる場合には制御はS57に進む。S57においては、現在表示中の左図柄番号が予定停止図柄の左図柄番号と一致するか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであればそのままこのサブルーチンプログラムは終了する。この図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムが繰返し実行されてS57の判断が繰返し行なわれ、その間に左図柄LEDが変動して表示中の左図柄と予定停止図柄中の左図柄とが一致する場合が起こる。この場合S57における判断の答はYESとなり制御はS58に進む。S58においては、左図柄停止フラグがクリアされ、中図柄停止フラグがセットされてサブルーチンプログラムが終了する。
【0055】
次回の図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムが実行される際には、S58において中図柄停止フラグがセットされているため、図6のS35における判断の答がYESとなる。その結果この場合制御は図7のS59に進むことになる。S59においては、中図柄LED変動処理および右図柄LED変動処理が行なわれる。S59以下においては左図柄LEDの変動処理が行なわれないために、左図柄は停止制御されることになる。制御はS60に進む。S60においては、表示中の中図柄が予定停止図柄中の中図柄と一致しているか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであればそのままこのサブルーチンプログラムは終了する。表示中の図柄が予定停止図柄中の中図柄と一致するまで図柄が変動した段階でS60における判断の答がYESとなり、制御はS61に進む。S61においては、中図柄停止フラグがクリアされ、右図柄停止フラグがセットされる。制御はS62に進む。S62においてはリーチフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、セットされていればS63に進み、右図柄停止用第1タイマがセットされてサブルーチンプログラムが終了し、リーチフラグがセットされていなければそのままサブルーチンプログラムが終了する。
【0056】
次回の図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムの実行の際には、S61(図7)によって右図柄停止フラグがセットされているために、図6のS34における判断の答がYESとなる。その結果、制御はS34から図8のS64に進む。S64においては、右図柄LED変動処理のみが行なわれる。その結果、左図柄LEDと中図柄LEDの変動処理が行なわれないために、左図柄表示LEDと中図柄表示LEDとは停止制御されることになる。制御はS65に進む。
S65においては、S49〜S53において行なわれるリーチフラグセット処理によって、リーチフラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESであれば制御はS66に進み、さもなければ制御はS71に進む。前述の例の場合、リーチフラグが「2」にセットされているため、S65における判断の結果答はYESとなり、制御はS66に進むことになる。S66においては、図7のS63においてセットされた右図柄停止用第1タイマーが終了しているか否かについての判断が行なわれる。判断の答がYESであれば制御はS70に進み、さもなければ制御はS67に進む。この第1タイマーは、リーチ状態でかつ最終停止図柄が大当りでも大当りの直前または直後でもない場合の、中図柄停止後右図柄が停止するまでの基本的時間を規定するためのものであり、たとえば3sec程度の時間である。S67においては、第1タイマーを-1した結果第1タイマーが終了するか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであればサブルーチンはこのまま終了するが、判断の答がYESであれば制御はS68に進む。S68においては、リーチフラグが2であるか否かが判断される。判断の答がNOであればこのサブルーチンプログラムはそのまま終了するが、判断の答がYESであれば制御はS69に進む。S69においては、右図柄停止用第2タイマーがセットされる。この右図柄停止用第2タイマーは、最終停止図柄が大当りまたは大当りの前後の図柄である場合に、中図柄停止後右図柄停止までの時間をさらに延長するためのタイマーである。右図柄停止用第2タイマーとしては、たとえば5secという値がセットされる。その後このサブルーチンプログラムは終了する。
【0057】
S66における判断の結果答がYESとなり、制御がS70に進んだ場合、S70では以下のような処理が行なわれる。S70においては、S69によってセットされた第2タイマーが終了したか否かが判断される。判断の答がNOであればそのままこのサブルーチンプログラムは終了する。判断の答がYESであれば制御はS71に進む。すなわち、リーチフラグがセットされている場合には、S66およびS70の判断により、第1タイマーも第2タイマーも終了したと判断されたときでなければ制御はS71には進まないことになる。
【0058】
S65における判断の答がNOである場合およびS70における判断の答がYESである場合、制御はS71以下に進むが、S71以下では、右図柄を停止させるための以下のような処理が行なわれる。S71においては、現在表示中の右図柄番号が、予定停止図柄の右図柄番号と一致しているか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESであれば制御はS72に進み、さもなければこのサブルーチンプログラムは終了する。すなわち、現在表示中の右図柄が予定停止図柄の右図柄と一致していない場合には、このサブルーチンは終了し、表示中の右図柄と予定停止図柄の右図柄とが一致して始めて制御がS72に進むことになる。S72において、予定停止図柄番号が左=中=右となっているか否かの判断、すなわち予定停止図柄が大当りを示すものであるか否かの判断が行なわれる。判断の答がYESであれば制御はS74に進み、さもなければ制御はS73に進む。S73においては、はずれインタバルタイマがセットされ、S75によって右図柄停止フラグがクリアされてさらにリーチフラグもクリアされた後サブルーチンプログラムが終了する。このはずれインタバルタイマはたとえば0.6秒程度の短い時間を計時するものであり、前述のように可変表示装置の停止時の表示結果がはずれである旨を遊技者に視認させるために確保するべき猶予期間を計時するためのものである。
【0059】
一方、予定停止図柄が左=中=右となっている場合には制御はS74に進むが、S74においては大当りフラグがセットされ、さらに大当りインタバルタイマをセットする処理が行なわれる。大当りインタバルタイマは、たとえば4秒程度の時間を計時するものであり、大当りが発生することに伴う遊技者の期待感を盛上げるためのものである。大当りフラグは、他の処理においてこのフラグを参照することにより、大当り制御を行なうか否かを判別するためのものである。S74の後制御はS75に進み、はずれの場合と同様に右図柄停止フラグがクリアされ、さらにリーチフラグがクリアされてサブルーチンプログラムが終了する。図6、7、8に示されたフローチャートによるプログラムが、制御手段に対応する。
【0060】
図9〜図10は、前記S55、S59、S64により定義されたサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。図9は左図柄LED変動処理サブルーチンプログラムを示す。図10は中図柄LED変動処理サブルーチンプログラムを示す。図11は右図柄LED変動処理サブルーチンプログラムを示す。
【0061】
図9のS76により、左図柄LED用タイマが終了したか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであればそのままサブルーチンプログラムは終了する。一方、プログラムが繰返し実行され左図柄LED用タイマが終了した場合にはS76における判断の答がYESとなり、制御はS77に進む。S77においては、左図柄LED用タイマがセットされ、左図柄の図柄番号が+1される。S77によりセットされる左図柄LED用タイマは、たとえば14msecである。すなわち、タイマセット後14msecが経過するまでS76においてはNOの判断が繰返し行なわれ、14msecが経過した段階でS76における判断の答がYESとなって再びS77により左図柄LED用タイマがセットされ、左図柄番号がさらに+1される。この左図柄番号の値に応じて、図示されない7セグメントLEDデータのうち、現在表示中の左図柄番号に対応するアドレスのデータが表示データとしてセットされる。制御はS78に進む。
【0062】
S78においては、S77の処理の結果左図柄番号が15になったか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOの場合にはそのままこのサブルーチンは終了する。一方、左図柄番号が15となった段階で判断の答がYESとなり、制御はS79に進む。より具体的には、図柄表示LEDですべての種類の図柄を一通り表示させるのに必要な図柄数は、本実施の形態では前述のように0〜14である。したがってS77によって次の図柄番号に対応する7セグメントLEDデータが順次セットされて左図柄が変動していき、左図柄番号が15になった時点でS78において判断の答がYESとなる。この場合制御はS79に進み、現在の左図柄番号に0がセットされてサブルーチンプログラムが終了する。この処理により、0〜14の図柄を一通り表示した後、左図柄の表示は再び0から始められることになる。
【0063】
図10は、中図柄変動LED処理サブルーチンプログラムを示すフローチャートであるが、その内容は図9の処理と同様であるためにここでは詳細な説明は省略する。ただし、図10のS81においてセットされる中図柄LED用タイマの値としては、左図柄LED用タイマと同様にたとえば14msecという値がセットされる。
【0064】
図11は、右図柄LED変動処理のサブルーチンプログラムのフローチャートである。右図柄LED変動処理において、右図柄のリーチ時の表示変動時間の制御が行なわれるため、以下でその詳細を説明する。まず、S84において、右図柄LED用タイマが終了したか否かが判断される。判断の答がNOであればこのサブルーチンプログラムは終了するが、判断の答がYESであれば制御はS85に進む。図柄LED用タイマは、各図柄の表示図柄を切換る時間を決めるためのタイマである。タイマの設定時間が長くなれば、次の表示に切換わるまでに要する時間が長くなる。したがって、タイマの設定時間を長くすることにより図柄の変動速度を遅くすることができる。
【0065】
S85においては、右図柄停止フラグがセットされているか否かが判断される。判断の答がYESであれば制御はS86に進み、さもなければ制御はS87に進む。S86に制御が進んだ場合、リーチフラグがセットされているか否かが判断される。判断の答がYESであれば制御はS88に進み、さもなければ制御はS87に進む。
【0066】
S87には、右図柄停止フラグがセットされていない場合、または右図柄停止フラグがセットされていてもリーチフラグがセットされていない場合に制御が移る。S87においては、右図柄LED用の第1タイマにたとえば14msecという値がセットされる。さらにS87においては、現在表示中の右図柄番号に+1される。制御はS89に進む。
【0067】
S86からS88に制御が移った場合には、右図柄LED用の第2タイマにたとえば56msecという値がセットされる。さらにS88においては、現在表示中の右図柄番号に+1される。制御はS89に進む。S87、S88において第1タイマおよび第2タイマがセットされるため、右図柄停止フラグがセットされていない場合および右図柄停止フラグがセットされていてもリーチ状態ではない場合には右図柄は14msecの周期で変動し、一方右図柄停止フラグがセットされており、かつリーチ状態である場合には右図柄は56msecの周期で変動されることになる。このようにリーチ状態のときはそれ以外のときより変動の速度を遅く変えることにより、リーチ状態のときの遊技者の興趣をより一層盛上げることができる。
【0068】
S89においては、現在表示中の右図柄番号が15であるか否かの判断が行なわれる。判断の答がNOであればそのままこのサブルーチンプログラムは終了するが、判断の答がYESであれば制御はS90に進む。S90においては、現在の右図柄番号がリセットされ再び0とされる。この後このサブルーチンプログラムは終了する。以上のようにS89、S90の処理により、右図柄表示器に15の図柄が一通り表示された場合、再び先頭の図柄から繰返し表示が行なわれることになる。
【0069】
図12は、本発明にかかるパチンコ遊技機において左、中、右図柄を停止させるときのタイミングを示すタイミングチャートである。図12(a)を参照して、始動入賞口12a〜12cのいずれかに遊技玉が入賞し、スタートスイッチ55a〜55cのいずれかから始動入賞玉検出パルスが発生されたものとする。このパルスの立下り時に、正確には前述のS28でYESの判断が成されたときに、前述の当たり外れ決定用カウンタの内容が取出され、その始動入賞について大当りであるか外れであるかが決定される。
【0070】
スタートスイッチのパルスの検出から所定時間たった時点で図12(b)に示されるように、図柄表示用カウンタの値が取出され、左図柄、中図柄、右図柄の停止時の図柄が決定される。図12(b)に示されるように、左図柄表示器30aに表示される左図柄は、基本タイマのセットとともに変動が開始され、基本タイマ終了後変動中の図柄が予定停止図柄中の左図柄と一致するまで図柄変動が行なわれた後停止される。
【0071】
図12(c)に示されるように、中図柄表示器30bに表示される中図柄も、基本タイマのセットとともに変動が開始され、さらに図12(b)に示される左図柄の停止後可変表示中の中図柄が予定停止図柄と一致するまで可変表示が行なわれた後停止される。
【0072】
これに対し、右図柄の停止制御は図12(d)〜(f)に示されるように、本実施の形態の場合には3通りに変更され得る。図12(d)は、リーチ状態でないときの右図柄の停止制御のタイミングを示す。この場合右図柄表示器30cに表示される右図柄は、基本タイマのセットとともに変動が開始され、図12(c)に示される中図柄の停止後、表示中の右図柄が予定停止図柄と一致するまで可変表示された後停止する。すなわち、リーチ状態以外のときには、中図柄停止後比較的短い時間で右図柄も停止される。
【0073】
これに対し、図12(e)、(f)に示されるように、すでに停止した左図柄および中図柄がリーチ状態であるときには、右図柄停止制御はより長い時間かけて行なわれる。すなわち図12(e)を参照して、左図柄および中図柄が一致しており、かつ予定停止図柄中の右図柄がこれら左、中図柄でもなく、左、中図柄の前後の図柄でもない場合には、図12(c)に示される中図柄の停止とともに第1タイマのセットが行なわれる。そして、第1タイマの終了後表示中の右図柄が予定停止図柄と一致するまで可変表示が行なわれ、一致した時点で可変表示が停止される。すなわち、この場合停止までの時間はほぼ第1タイマにセットされている時間だけ長くなる。
【0074】
これに対し、大当たりとなる場合または右図柄が大当たり図柄の前後となるように停止制御される場合には、図12(f)に示されるようにさらに長い時間をかけて停止制御が行なわれる。すなわちこの場合、図12(c)に示される中図柄の停止とともに右図柄停止用第1タイマがセットされる。そして、第1タイマの終了とともに図8のS69において右図柄停止用第2タイマがセットされ、この間右図柄は可変表示を続行する。そして右図柄停止用第2タイマが終了した時点で図8のS70において判断の答がYESとなり、制御がS71に進むことになる。したがって第2タイマが終了した後表示中の右図柄が予定停止図柄と一致するまで可変表示が行なわれ、一致した時点で可変表示が停止される。したがって、この場合、停止までの時間は図12(e)に示される場合よりさらに第2タイマに設定された時間だけ長くなる。
【0075】
図12(e)、(f)に示されるように、リーチ状態となるときにはそれ以外の場合と比較してより長い時間をかけて右図柄の停止制御が行なわれる。そのため、リーチ状態となったときの遊技者の大当たりに対する期待は盛上がり、遊技の興趣をより一層高めることができる。さらに本発明にかかる遊技機においては、図12(f)に示されるように、大当たりまたは大当たりの前後の図柄が予定停止図柄となっている場合、それ以外のリーチ状態のときと比較してより長い時間をかけて右図柄停止制御が行なわれる。このため、リーチ状態であってしかも最終的な停止図柄が大当たり近辺のものとなるときには遊技者の大当たりに対する期待がより一層高まることになり、従来の装置に比べて遊技の興趣をより一層高めることが可能となる。
【0076】
なお、上述の実施の形態においては左図柄と中図柄とが一致するとともに、右図柄がその図柄と一致するかその前後の図柄となる場合にのみ図12(f)に示されるように最も長い時間をかけた右図柄の停止制御が行なわれるが、表示態様の区別の基準は上述の実施の形態以外のものであってもよい。たとえば、予定停止図柄が大当たりとなる場合とそれ以外とで図12(e)、(f)に示されるように表示態様を区別してもよいし、大当たりおよびその前後の図柄に加えて大当たりの図柄と2つ図柄が前後した停止図柄まで図12(f)に示されるような停止制御を行なうようにしてもよい。その場合にも、上述の実施の形態と同様に従来の遊技機と比べて一層遊技の興趣を盛上げることができる。
【0077】
以上、本発明がパチンコ遊技機を例として説明された。しかし本発明は上述のパチンコ遊技機には限定されず、スロットマシンなどのコイン遊技機や所定の遊技価値を特定可能な情報が記録されたカードなどの記録媒体を用いて遊技が可能なカード式遊技機であってもよい。
【0078】
また、本発明における所定の遊技価値としては、前記可変入賞球装置10を開成することに変えて以下のことを行なうものであってもよい。
【0079】
(1) パチンコ遊技機における賞品玉やコイン遊技機(たとえばスロットマシン)における賞品コインなどの遊技媒体を払出す。
【0080】
(2) カード式遊技機、コイン投入式遊技機(未払出し数を所定枚数まで記憶、表示できるいわゆるクレジット機能付コイン遊技機を含む)や貨幣投入式遊技機等のように得点があることに基づいて遊技可能な遊技機において、得点を付与する。
【0081】
(3) アレンジボールやいわゆるアレパチにおいて、役物を開いてその役物内を打玉が通過したことにより通常時には比較的通過が困難な通過口を打玉が通過したものとみなして組合わせ判定を行なったり、役物を作動させることにより通常時比較的通過が困難な通過口方向に打玉を誘導して通過させやすくするなど、組合わせ成立が容易になるように役物を制御する。
【0082】
(4) アレンジボールやいわゆるアレパチにおいて、直接得点を付与する。この場合に、付与された得点に基づき、1ゲーム終了後に賞品玉、賞品コインを払出してもよく、また、付与された得点に基づき、直ちに賞品玉や賞品コインを払出してもよい。
【0083】
さらに、本実施の形態では当たり外れを始動入賞時に決定し、予定停止図柄を可変開始時に決定するようにして決定時期を異ならせたが、これらを同時に決定するようにしてもよい。また、停止図柄の決定時期は実施の形態に示されたものに限定されない。たとえば、始動入賞時、可変開始時、基本時間終了時であってもよい。また、当たり外れを別に決定することなく、直接停止図柄を事前に決定するようにしてもよい。また事前に当たり外れや停止図柄を決定せず、順次図柄をたとえば乱数等に基づき停止させていき、停止図柄に基づき大当たり制御やリーチ制御をしてもよい。
【0084】
なお、上述の実施の形態においては、複数の表示部のうち第1の表示部は左、中図柄に対応し、第2の表示部は右図柄に対応している。しかしこの対応は上述の場合には限定されない。たとえば左図柄のみが停止した時点でリーチ状態とし、中、右図柄の変動表示の態様を複数種類用意するような場合も考えられる。この場合には第1の表示部が左図柄のみに対応し、第2の表示部が中、右図柄に対応する。また、上述の実施の形態においては、いわゆる「惜しい」リーチと「惜しくない」リーチとで右図柄の停止制御の態様を異ならせた。しかし本発明はこれには限定されず、たとえば左、中図柄が停止した時点でリーチ状態となったか否かを判定し、その時点でどのような態様で右図柄を停止制御するかを、何らかの規則に従って決定したり、たとえば乱数等を用いてランダムに決定したりしてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態では、複数態様の遊技制御の例として、図柄の変動時間の長さが複数種類定められているものを示したが、これに代えて、あるいはこれに加えて、たとえば惜しいリーチ時の図柄の変動速度を惜しくないリーチ時よりもさらに遅くするなど、図柄の変動速度を複数種類定めるようにしたり、たとえば惜しいリーチ時のランプやLEDの点滅や効果音を、惜しくないリーチ時よりもさらに派手にするなど、報知態様を複数種類定めるようにしてもよい。
【0086】
(1) 図1に示される盤面を有するパチンコ遊技機1により、複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を有する可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に、所定の遊技価値を付与可能な状態となる遊技機が構成されている。
可変表示装置9により、前記可変表示装置が構成されている。可変表示装置9において、たとえば「777」となった表示態様により、前記特定の識別情報の組合せが構成されている。大当り状態により、前記所定の遊技価値を付与可能な状態が構成されている。左可変表示器30a,中可変表示器30b,右可変表示器30cにより、複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部が構成されている。
マイコン60により、前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を前記選択手段により設定されたリーチフラグに対応した表示態様としてから、前記識別情報選択手段が選択した識別情報による表示結果を表示させる制御手段が構成されている。
図6のフローチャートのS40、S41、S44、S45、S47、S48により、判別手段の判別に従う前記複数の可変表示部の各々の表示結果となる識別情報を選択する識別情報選択手段が構成されている。
図7のS52、S53および上記した実施例の変形例として示されているように、予定停止図柄が大当たりとなる場合とそれ以外とで図12(e)、(f)に示されるように表示態様を区別することにより、リーチ状態が成立してから前記複数の可変表示部すべての表示結果が表示されるまでのリーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を定めるためのリーチフラグを前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるか否かに応じて設定することによって、前記リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を予め定められた複数種類の中から選択する選択手段が構成されている。
上記した実施例の変形例として示されているように、予定停止図柄が大当たりとなる場合とそれ以外とで図12(e)、(f)に示されるように表示態様を区別することにより、前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれ、前記選択手段は、前記識別情報選択手段により選択された前記複数の可変表示部の識別情報が前記特定の識別情報の組合せであるとき、当該表示態様を選択することが開示されている。
(2) 当りはずれ決定用カウンタにより、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別するために用いられる数値情報を更新する判別用カウンタが構成されている。図6のS44により、前記判別用カウンタの数値情報を用いて、前記可変表示装置の表示結果を前記特定の識別情報の組合せとするか否かを判別する判別手段が構成されている。
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、前記複数種類の表示態様には、前記識別情報選択手段により前記特定の識別情報の組合せが選択された場合にのみ、前記選択手段により選択される表示態様が含まれるために、遊技者は、リーチ動作状態での可変表示中の識別情報の表示態様を見て可変表示装置の表示結果が前記特定の識別情報の組合せになることを予想できるようになり、可変表示の面白みを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明にかかる遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技盤面の正面図である。
【図2】
パチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
【図3】
図2に示される制御回路の動作を説明するためのメインルーチンのフローチャートである。
【図4】
スイッチチェック処理のフローチャートである。
【図5】
スタートSWAチェック処理のフローチャートである。
【図6】
図柄LEDコントロール処理の一部のフローチャートである。
【図7】
図柄LEDコントロール処理の一部のフローチャートである。
【図8】
図柄LEDコントロール処理の一部のフローチャートである。
【図9】
左図柄LED変動処理のフローチャートである。
【図10】
中図柄LED変動処理のフローチャートである。
【図11】
右図柄LED変動処理のフローチャートである。
【図12】
可変表示装置の停止制御のタイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 遊技機の一例のパチンコ遊技機
5 遊技盤
6 遊技領域
9 可変表示装置
10 可変入賞球装置
12a〜12c 始動入賞口
24 蓋
30a 左可変表示器
30b 中可変表示器
30c 右可変表示器
34 特定入賞口
35 特定入賞玉検出器
36 入賞個数検出器
60 マイクロコンピュータ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-22 
出願番号 特願平11-373594
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉村 尚土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 渡部 葉子
瀬津 太朗
登録日 2001-09-14 
登録番号 特許第3231031号(P3231031)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 塚本 豊  
代理人 森田 俊雄  

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