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審決分類 |
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 G03G 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 G03G |
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管理番号 | 1084812 |
異議申立番号 | 異議2002-70905 |
総通号数 | 47 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-02-18 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-09 |
確定日 | 2003-08-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3216633号「画像形成方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3216633号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第3216633号は、平成5年8月24日に出願した特願平5-209666号(優先日平成4年12月3日)の一部を新たに平成11年8月4日に特願平11-221749号として出願したもので、平成13年8月3日に特許の設定登録がなされ、その後、キャノン株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年9月10日に訂正請求がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年12月5日に再度訂正請求がなされて、前回平成14年9月10日の訂正請求が取り下げられたものである。 2.訂正の適否についての判断 2-1.訂正事項 ・訂正事項ア 請求項1の記載において、「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下である」を、「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下である」と訂正する。 ・訂正事項イ 明細書段落【0031】〜【0036】を削除する。 ・訂正事項ウ 明細書段落【0014】の記載において、「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下である」を、「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下である」と訂正する。 ・訂正事項エ 明細書段落【0037】の記載において、「実施例2」を「実施例1」に、「図9」を「図6」に、 同【0038】の記載において、「実施例3」を「実施例2」に、 同【0039】の記載において、「図5」を「図3」に、 同【0041】の記載において、「実施例4」を「実施例3」に、 同【0044】の記載において、「実施例5」を「実施例4」に、 同【0046】の記載において、「実施例6」を「実施例5」に、 同【0047】の記載において、「図6」(2カ所)を「図4」に、 同【0049】の記載において、「実施例7」を「実施例6」に、 同【0051】の記載において、「図10」を「図7」に、 同【0052】の記載において、「実施例8」を「実施例7」に、 同【0053】の記載において、「実施例9」を「実施例8」に、 同【0054】の記載において、「図11」を「図8」に、 同【0055】の記載において、「実施例10」を「実施例9」に、 同【0056】の記載において、「実施例11」を「実施例10」に、 同【0058】の記載において、「図7」を「図5」に、 同【0062】の記載において、「実施例12」を「実施例11」に、 それぞれ訂正する。 ・訂正事項オ 明細書段落【0081】の【図面の簡単な説明】の記載において、 【図3】、【図4】及び【図8】の説明に関する記載を削除し、 【図5】を【図3】に、【図6】を【図4】に、【図7】を【図5】に、【図9】を【図6】に、【図10】を【図7】に、【図11】を【図8】に、 それぞれ訂正する。 ・訂正事項カ 図面【図3】、【図4】及び【図8】を削除し、 同【図5】を【図3】に、【図6】を【図4】に、【図7】を【図5】に、【図9】を【図6】に、【図10】を【図7】に、【図11】を【図8】に、 それぞれ訂正する。 2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項アは、トナーの粒度分布について「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下である」を「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下である」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 訂正事項イは、明細書段落【0031】〜【0036】の記載(訂正前の実施例1を含む)が、画像形成方法として、潜像担持体と非接触に配設された非接触現像部材を用いるものであって、潜像担持体と接触して配設された圧接現像部材を用いるものではないので削除するのであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 訂正事項ウ〜カは、訂正事項ア、イによって生じた、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、図面の三者間に生じた不整合を正すものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして、訂正事項ア〜カは、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 2-3.訂正の適否の結論 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.本件発明 本件請求項1〜4に係る発明は、訂正後の明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】潜像担持体を所定の電位に帯電させる帯電部材、前記潜像担持体に光照射して静電潜像パターンを形成する露光手段、前記潜像担持体に圧接するように配設され、バイアスを印可された状態で静電潜像パターンにトナーを付与して顕像化する圧接現像部材、前記潜像担持体に圧接するように配設され現像された前記トナーをバイアスを印可することにより記録材に転写する圧接転写部材、を有し、これらの電子写真プロセスによって前記記録材上に前記トナーによる画像を形成する画像形成方法であって、 前記トナーの体積抵抗率が1017Ωcm以上であり、前記トナーの体積平均粒子径が6〜10μmであり、5μm以下のトナー粒子が15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。 【請求項2】前記トナーが、樹脂母粒子に対して荷電制御剤が1〜5wt%の範囲で内添されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。 【請求項3】前記トナーが、樹脂母粒子に対して着色剤が1〜10wt%の範囲で内添されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成方法。 【請求項4】前記トナーが、樹脂母粒子に対して離型剤が1〜5wt%の範囲で内添されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の画像形成方法。」 4.特許異議の申立ての概要 特許異議申立人キヤノン株式会社は、本件明細書の記載には不備があり、特許法第36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていないので、訂正前の本件請求項1〜4に係る特許は取り消されるべきである旨主張している。 5.判断 特許異議申立人の不備とする点について検討する。 5-1.本件請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という)の画像形成方法においては、トナーの粒径について「12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下」の規定が必須であり、 また、「潜像担持体上に圧接するように配設され、バイアスを印加された状態で静電潜像パターンにトナーを付与して顕像化する圧接現像部材」を用いるものであるが、同【0031】〜【0036】、同【0081】の【図面の簡単な説明】中の【図8】に関する説明、及び図面【図8】には、「潜像担持体と非接触に配設された非接触現像部材」を用いる実施例1が記載されているため、本件発明1における、上記潜像担持体に圧接するように配設された「圧接現像部材」と該実施例1の圧接してはいない「非接触現像部材」との関係が不明りょうである旨主張している。 しかしながら、訂正事項アによって、トナーの粒径について該「12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下」の規定が加わり、 さらに、訂正事項イ、オ、カによって、該非接触現像部材を用いることにに関する記載及び図面がすべて削除されたことによって、非接触現像部材を用いる画像形成方法を除外することが明りょうになったので、これらの主張の点は解消された。 5-2.訂正前の請求項1に係る発明において、トナーは、「体積抵抗率が1017Ωcm以上」、「体積平均粒子径が6〜10μm」及び「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下」であるが、本件明細書には、該「体積抵抗率が1017Ωcm以上」、「体積平均粒子径が6〜10μm」及び「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下」であるトナーについての実施例の記載がないので、その効果を確認することはできず、 さらに、訂正前の請求項1に係る発明の構成を全て引用して、さらに限定を加えた訂正前の本件請求項2〜4に係る発明のトナーについての実施例の記載もなく、それらの効果も確認することができない旨主張している。 しかしながら、明細書段落【0051】には、トナーの体積抵抗率を1017Ωcm以上にすることについて、同【0063】〜【0066】には、トナーの体積平均粒子径と5mμ以下のトナー粒子の個数%について、それぞれ記載され、しかも、同【0075】には、「トナーの外添剤の量を所定範囲にすること、トナーの抵抗を所定値以上にすること、トナーの離型剤の量を所定範囲にすること、トナーの粒径分布を所定範囲にすること、の何れかにより高解像の画像を安定して形成することができるが、これらの条件をそれぞれ満たせば更に高解像な画像を安定して形成することができる。」と記載されているのであるから、「体積抵抗率が1017Ωcm以上」、「体積平均粒子径が6〜10μm」及び「5μm以下のトナー粒子が15個数%以下」であるトナーの実施例の記載がないからと言って、訂正前の請求項1に係る発明の効果について記載されていないわけではない。 また、同【0050】〜【0053】には荷電制御剤量について(該請求項2に係る発明に関連)、同【0054】〜【0055】には着色剤量について(該請求項3に係る発明に関連)、同【0057】〜【0061】には着色剤量について(該請求項4に係る発明に関連)、それぞれ記載され、しかも、同【0075】には、「トナーの外添剤の量を所定範囲にすること、トナーの抵抗を所定値以上にすること、トナーの離型剤の量を所定範囲にすること、トナーの粒径分布を所定範囲にすること、の何れかにより高解像の画像を安定して形成することができるが、これらの条件をそれぞれ満たせば更に高解像な画像を安定して形成することができる。」と記載されているのであるから、該請求項2〜4に係る発明の効果について記載されていないわけではない。 なお、この点については、訂正後の請求項1〜4に係る発明においても変るところはない。 5-3.訂正前の本件請求項1に係る発明は、「クリーニング部材が圧接クリーニング部材であること」も必須であるのに、その規定がない旨主張している。 しかしながら、本件明細書の記載を検討しても、クリーニング手段として、圧接クリーニング部材を用いることは記載されているが、それ以上の記載が特にない以上、圧接クリーニング部材が必須であるとまではすることができない。なお、平成14年9月10日付特許異議意見書において、権利者は平成13年3月8日付意見書の主張内容に錯誤があったことについて釈明している。 したがって、訂正前の本件請求項1に係る発明には、圧接クリーニング部材を用いることを規定することが必須であったとすることはできない。 なお、この点については、訂正後の請求項1に係る発明においても変るところはない。 5-4.訂正前の本件請求項1〜4に係る発明は、キャリアを含まない一成分現像に関するものであることが明りょうではない旨主張している。 しかしながら、本件発明1において、潜像担持体に圧接するように配設された圧接現像部材を用いることが、キャリアを用いる二成分現像ではなく、キャリアを含まない一成分現像を意味するのであって、訂正前の本件請求項1〜4に係る発明がキャリアを含まない一成分現像に関するものであることが明りょうでないとすることはできない。 なお、この点については、訂正後の請求項1〜4に係る発明においても変るところはない。 したがって、特許異議申立人の本件明細書の記載には不備があり、第36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていないとする主張は採用しない。 6.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由によっては、本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 画像形成方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 潜像担持体を所定の電位に帯電させる帯電部材、前記潜像担持体に光照射して静電潜像パターンを形成する露光手段、前記潜像担持体に圧接するように配設され、バイアスを印可された状態で静電潜像パターンにトナーを付与して顕像化する圧接現像部材、前記潜像担持体に圧接するように配設され現像された前記トナーをバイアスを印可することにより記録材に転写する圧接転写部材、を有し、これらの電子写真プロセスによって前記記録材上に前記トナーによる画像を形成する画像形成方法であって、 前記トナーの体積抵抗率が1017Ωcm以上であり、前記トナーの体積平均粒子径が6〜10μmであり、5μm以下のトナー粒子が15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。 【請求項2】 前記トナーが、樹脂母粒子に対して荷電制御剤が1〜5wt%の範囲で内添されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。 【請求項3】 前記トナーが、樹脂母粒子に対して着色剤が1〜10wt%の範囲で内添されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成方法。 【請求項4】 前記トナーが、樹脂母粒子に対して離型剤が1〜5wt%の範囲で内添されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の画像形成方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真プロセスを用いて画像を形成する方法に関し、さらに詳しくは、接触帯電及び/または圧接現像及び/または圧接転写及び/または圧接クリーニングを用いて電子写真プロセスを構成するのに好適な画像形成方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置では、コロナ帯電やコロナ転写が使われていたが、その使用にあたりオゾンが発生し環境に対し悪影響を及ぼしていた。そこで近年、オゾンの発生量を低減するために、従来のコロナ帯電やコロナ転写に代わり、接触帯電や接触転写の使用が検討されている。接触帯電や接触転写は、有害なオゾンをほとんど発生しないばかりでなく、コロナ帯電やコロナ転写に比べ低電圧で使用することができ、電源面でも有利となっている。 【0003】例えば、特開平3-293364号公報においては、接触帯電部材に離型性被膜を設け、トナーの接触帯電部材へのフィルミングを防止し、一方で、ポリエステル系の構成成分をNを含む官能基で置換し、かつ、帯電性の低い流動性向上剤を外添したトナーを用いてトナーのチャージアップを防止して、トナーのクリーニング性を向上し、接触帯電部材へのトナーのフィルミングを防止している。 【0004】しかしながら、上記の従来例では、トナーの体積平均粒子径が10μm以下と小さいため、流動性向上の目的でトナーの外添量を2wt%を近くにすると、クリーニングブレード等の圧接クリーニング部材で外添剤のみがすり抜けて接触帯電部材に付着し、フィルミングが発生しないまでも帯電むらを発生し所望の静電潜像パターンが得られなくなってしまう。 【0005】また、特開平1-195459号公報においては、疎水性シリカ等の流動性付与剤を外添したトナーを用いて、接触転写に用いる転写ローラーのクリーニング性を向上している。 【0006】 しかしながら、非通紙時に圧接転写部材に接触するトナーは極性が一方のみとは限らず、クリーニングバイアスにより転写ローラーに転移したトナーが次回通紙時に紙裏汚れとなって転写されてしまう。このような現象は、トナーの帯電極性だけでなく、トナーの抵抗が低く電荷注入を受け易い場合にも見られる。 【0007】また、特開平3-121462号公報においては、トナー100重量部に対しシリコーンオイルまたはシリコーンワニスで処理した微粉末0.05〜3重量部外添したトナーを用いて、接触転写時の転写中抜けを抑制している。 【0008】しかしながら、微粉末を2重量部近くすると、クリーニングブレード等の圧接クリーニング部材で外添剤のみがすり抜けて接触帯電部材に付着し、フィルミングが発生しないまでも帯電むらを発生し所望の静電潜像パターンが得られなくなってしまう。また、圧接現像を用いて画像形成を行った場合には、高温高湿下や多量枚数を印字した際に現像カブリを生じてしまう。 【0009】さらに近年、高解像度化の要求が強くなり、トナーの小粒径化が進むと共に、現像時の現像空隙を最小にして現像電極効果を高める一成分非磁性圧接現像法を用いた画像形成装置が提案されている。 【0010】例えば、特開昭63-279261号公報においては、小粒径のトナーを用いてもトナーを迅速に帯電させるトナーの粒度分布構成が、特開平2-262160号公報においては、8μm以下の50%体積平均粒子径のトナーを用いて圧接現像により高精細な画像を形成する方法が、各々記載されている。 【0011】しかしながら、上述の従来例では、5μm以下の微小トナーや凝集したトナーやトナーから剥離した外添剤が、現像部材や潜像担持体に付着しカブリや抜けとなって画像に現れる。このような現象は、トナーの帯電状態だけでなく、トナーの抵抗が低く電荷注入を受け易い場合にも見られる。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術では、トナーの外添剤の剥離、トナーの流動性、トナーの抵抗、トナーの離型剤の滲み出し、微小トナーや粗大トナーの存在、等により潜像担持体に圧接された帯電部材や現像部材や転写部材やクリーニング部材が十分な機能を果たさず、画質を劣化させ画像形成装置の信頼性を低下させていた。 【0013】本発明はかかる従来技術を改良するもので、その目的とするところは、トナーによる圧接部材への付着やフィルミングを低減し、高解像な画像を安定して形成することにある。更に他の目的は、各圧接部分でトナーの電荷の変動が殆どなく、カブリ等の画質の劣化を生じにくい画像形成方法を提供することにある。更に他の目的は、トナーからの異物の滲み出しを低減し、圧接部材や潜像担持体へのトナーの付着やフィルミングを低減し、高解像な画像を安定して形成することにある。更に他の目的は、トナーのクリーニング性を向上し、カブリを低減することにある。更に他の目的は、圧接部材を用いた、帯電、現像、転写、クリーニングの各プロセスにより小型で信頼性の高い画像形成方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】(1)本発明の請求項1記載の画像形成方法は、潜像担持体を所定の電位に帯電させる帯電部材、前記潜像担持体に光照射して静電潜像パターンを形成する露光手段、前記潜像担持体に圧接するように配設され、バイアスを印可された状態で静電潜像パターンにトナーを付与して顕像化する圧接現像部材、前記潜像担持体に圧接するように配設され現像された前記トナーをバイアスを印可することにより記録材に転写する圧接転写部材、を有し、これらの電子写真プロセスによって前記記録材上に前記トナーによる画像を形成する画像形成方法であって、前記トナーの体積抵抗率が1017Ωcm以上であり、前記トナーの体積平均粒子径が6〜10μmであり、5μm以下のトナー粒子が15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子が5個数%以下であることを特徴とする。 【0015】(2)本発明の請求項2記載の画像形成方法は、前記トナーが、樹脂母粒子に対して荷電制御剤が1〜5wt%の範囲で内添されていることを特徴とする。 【0016】(3)本発明の請求項3記載の画像形成方法は、前記トナーが、樹脂母粒子に対して着色剤が1〜10wt%の範囲で内添されていることを特徴とする。 【0017】(4)本発明の請求項4記載の画像形成方法は、前記トナーが、樹脂母粒子に対して離型剤が1〜5wt%の範囲で内添されていることを特徴とする。 【0018】 【作用】本発明の上記の構成によれば、トナーの粒度分布をシャープにして微小トナーや粗大トナーを低減して、圧接部からのトナーのすり抜けや圧接部へのトナーの詰まりやフィルミングを防止すると共に、不良帯電トナーによる現像カブリを低減し転写効率を向上して、高解像な画像を安定して形成することができる。 【0019】 【発明の実施の形態】図1は本発明の画像形成方法の実施例における画像形成装置の断面概観図である。図1において、潜像担持体1は、導電性の支持部2の上に有機または無機の光導電性を有する感光層3を形成したものである。この潜像担持体1に対して、バネ等の弾性体に懸架された帯電ローラーや自身が弾性を持つ帯電ブレード等の帯電部材4を、数gf/mm程度の軽荷重で圧接した状態で、帯電バイアス印加手段5により帯電部材4に電圧を印加して感光層3を所定の電位に帯電する。こうして潜像担持体1を帯電させた後、レーザーやLED等の光源6から出た光を、複数のレンズ及びポリゴンスキャナーを用いた走査光学系やファイバーアレーを用いた等倍結像光学系等の結像光学系7を通して感光層3に画像に応じて選択的に光照射する露光手段8により、潜像担持体1上に電位コントラストを得て静電潜像パターンを形成する。 【0020】一方、現像装置9はトナー10を搬送し現像するものであって、トナー10を搬送する現像部材11は、シャフト12の外周に導電性の弾性体13を同心円状に配設したもので、供給部材14により現像部材11近傍に供給されたトナー10を現像部材11上に保持し、非磁性または磁性の金属や樹脂で構成される板状の規制部材15で適量に薄層規制し、現像部材11を回転させて薄層のトナー10を搬送し現像部に供給するものである。現像部材11は潜像担持体1に対して所定の圧力で押圧されており、潜像担持体1と現像部材11とが接触する現像部にトナー10が搬送されると、潜像担持体1の電位コントラスト及び現像バイアス印加手段16による現像電界に応じて帯電したトナー10が潜像担持体1に転移し静電潜像パターンが顕像化される。尚、シール部材17が現像装置9の開口部に配設され、シール部材17を現像部材11に対して軽く接触させることにより、現像後のトナーの落下や現像装置9の内部からのトナーの飛散を防止している。 【0021】さらに、潜像担持体1上に現像されたトナー10は、潜像担持体1に対してバネ等の弾性体に懸架され数gf/mm程度の軽荷重で圧接された転写ローラーや転写ベルト等の転写部材18に、転写バイアス印加手段19により転写部材18に電圧を印加して記録材20上に転写される。記録材20上に転写されたトナーは、熱や圧力により記録材20に定着され所望の画像が得られる。転写終了後、潜像担持体1は回転してクリーニング装置21に至り、すくいシート22を潜像担持体1に軽接触させてトナーの飛散を防止しながら、樹脂ブレード等で形成され潜像担持体1に圧接されるクリーニング部材23により潜像担持体1上に付着した転写残りトナーや異物を除去し、除電装置24により潜像担持体1上の不要な電荷を除去した後、再び帯電されて上記のプロセスを繰り返して画像を連続形成する。クリーニング装置21で回収されたトナーを再び現像装置9へ送り込みトナーのリサイクルを行っても良い。 【0022】ここで、帯電部材4についてさらに詳しく説明する。帯電部材4は、金属のシャフトに導電性ゴム層を設け、導電性ゴム層の外周に高抵抗層を設けた2層型ローラーを線圧数gf/mmで潜像担持体1に圧接接触させ、放電または電荷注入を用いて潜像担持体1を所定の電位に帯電させるものである。帯電バイアスは、例えば潜像担持体1を-600Vに帯電させる場合には、この電圧に放電開始電圧-570Vをたした-1170Vを印加し、交流成分を重畳する場合には、前述の直流成分に±600V前後の交流電圧を重畳する。また、帯電部材4は、潜像担持体1と同周速で回転させても、異周速で回転或いは固定しても良い。さらに、帯電部材4は、トナーの外添剤を付着しにくいことは云うまでもなく、潜像担持体1を汚染しないこと、粘着しにくいこと、摩耗しにくいこと、表面が平滑で潜像担持体1との接触が良好なこと、等の特性が必要である。 【0023】この他、単層の導電性ゴム層に表面に近付くに従って抵抗が大きくなるような抵抗分布を持たせた単層の弾性導電性ローラーや、上記の抵抗層以外に滲み出し防止層、抵抗調整層、保護層、等を設けた弾性導電性多層ローラーや、抵抗変化の少ない発泡体を用いた弾性導電性ローラーや、金属薄板状に抵抗性樹脂層を形成したフィルム状の弾性体や、抵抗性樹脂で形成した弾性導電性フィルムや、ファーブラシ等の弾性導電性ブラシを用いると、潜像担持体1を所定の電位に帯電することができる。特に、帯電部材4の抵抗については、図2の測定方法による抵抗値で、106〜109Ωとすると、高温高湿から低温低湿にいたる各環境において、潜像担持体1にピンホールが発生してもピンホールに過電流が流れず、帯電の時定数からも十分な帯電時間を確保して帯電むらの少ない帯電を行うことができる。 【0024】図2のローラー抵抗測定法について説明する。ローラー25は、両軸端に各500gfの加重で導電板26に押圧されており、ローラー25の軸と導電板26との間に抵抗計27が接続されローラー25の抵抗を測定するものである。但し、抵抗測定時の印加電圧は10VDCである。 【0025】次に、現像部材11についてさらに詳しく説明する。現像部材11は、少なくとも表面に弾性を持たせて潜像担持体1に対して0.5〜10gf/mmの線圧で圧接するもので、金属のシャフトに導電性ゴム層を設けた弾性導電性ローラーが、潜像担持体1との圧接状態を一定に保つ観点から好ましい。現像バイアスは、例えば潜像担持体1の非露光部電位が-600V、露光部電位が-100Vの場合には、この中間の電圧を印加し、非磁性トナーを用いる場合には-200Vから-300V、磁性トナーを用いる場合には-250Vから-450Vの直流現像バイアス電圧を印加し、交流成分を重畳する場合には、前述の直流成分に±500V前後で1kHz前後の交流電圧を重畳する。また、現像部材11は、潜像担持体1に対して周速比をつけて回転させて、非画像部へのカブリを防止し、飽和現像量を所定値以下にすることが望ましい。さらに、現像部材11は、トナーの外添剤の付着性を下げてトナーの帯電を安定に行うこと、トナーを所定の極性に帯電させる摩擦帯電列であること、トナーの搬送性が安定なこと、トナーを汚染しないこと、潜像担持体1を汚染しないこと、粘着しにくいこと、摩耗しにくいこと、表面が平滑でトナーを介しての潜像担持体1との接触が良好なこと、等の特性が必要である。 【0026】現像部材としては、単層の弾性導電性ローラーの他、摩擦帯電層、磁界発生層、滲み出し防止層、抵抗調整層、保護層、等を設けた弾性導電性多層ローラーや、ファーブラシ等の弾性導電性ブラシを用いると、潜像担持体1と安定な接触状態を維持し、高解像な画像を形成することができる。尚、トナーの供給性により印字履歴ゴーストが出る場合には、現像後の位置で現像部材11にトナーの供給及び剥離を行う弾性供給ローラーを接触させて対処したり、規制部材15または供給部材14にトナーの供給及び帯電を促進するバイアス電圧を印加するか現像部材11と同電位にすることにより対処することができる。 【0027】現像部材11に供給されたトナーは規制部材15下を通過することにより均一に1〜2層(トナーの体積平均粒子径は数μmから10μm程度であるからトナー層の厚みは10μm前後である)に摩擦帯電及び薄層化され、現像部に搬送され、現像バイアス電圧に応じて静電潜像パターンを所定の現像トナー量で顕像化する。正常に現像バイアス電圧が印加され、かつ現像遅れが生じないように、かつ現像電極効果により高解像な印字を実現するために、現像部材11の抵抗は、現像ニップ部が約1mm程度で現像時間も短いため、図2のローラー抵抗測定法で、現像電流を流すのに十分小さな時定数が必要であり、20PPM程度までの印字スピードを実現するためには、109Ω以下の抵抗を有することが望ましい。但し、これ以上の抵抗を有する高抵抗または絶縁性のトナー担持体においても、トナー担持体の除電機構を付加することにより、印字を継続することができるので、抵抗はこれに限定されない。 【0028】次に、転写部材18についてさらに詳しく説明する。転写部材18は、金属のシャフトに導電性発泡体層を設けた弾性導電性ローラーを用い、線圧数gf/mmで潜像担持体1に記録材20を介して安定に圧接させるものである。転写バイアスは、例えば+600Vから+2000Vを印加し、転写部材18が直接潜像担持体1に接触する状態では転写バイアスを切るか、例えば-800V程度のクリーニングバイアスを印加する。また、転写部材18は、潜像担持体1と略同周速で回転させる。さらに、転写部材18は、トナーを付着しにくいことは云うまでもなく、潜像担持体1を汚染しないこと、粘着しにくいこと、摩耗しにくいこと、表面が均質かつ柔軟で潜像担持体1との接触が良好なこと、等の特性が必要である。 【0029】転写部材としてはこの他、スキン付きの導電性発泡体を用いた単層の弾性導電性ローラーや、滲み出し防止層、抵抗調整層、保護層、等を設けた多層の弾性導電性多層ローラーを用いると、潜像担持体1に記録材20を密着させてトナー飛散や中抜けの無い高解像な転写画像を得ることができる。特に、転写部材18の抵抗については、図2の測定方法による抵抗値で、105〜108Ωとすると、高温高湿から低温低湿にいたる各環境において、転写の時定数からも十分な転写時間を確保して良好な転写を行うことができ、転写バイアスを出来るだけ低電圧にして転写による静電潜像パターンに起因するメモリの発生を低減することが出来る。但し、転写バイアスの印加方法については、上記の定電圧を印加する方法に限らず、定電流を印加する方法であっても良い。 【0030】次に、クリーニング部材23についてさらに詳しく説明する。クリーニング部材23は、ウレタン樹脂等のブレードを潜像担持体1に対して1〜40gf/mmの線圧で稜線を均一に圧接させて異物を機械的に除去するものである。クリーニング部材23からのトナーや外添剤等のすり抜けを低減するためには、クリーニング部材23の稜線精度や当接角度や当接圧力が重要であるが、稜線精度は、数μm程度に、当接角度は潜像担持体1の当接部での接線に対して10〜45度に、当接圧力は、2〜10gf/mm前後にするのが好ましい。 【0031】 【0032】 【0033】 【0034】 【0035】 【0036】 【0037】(実施例1)図1に示した画像形成装置を用いて、トナーの外添剤量を変化させて画像形成を行った。画像形成を行った環境は、常温常湿(25℃、50%)、低温低湿(10℃、15%)、高温高湿(35℃、65%)とした。トナーの外添剤量と現像カブリ量の関係を図6に示す。温度湿度が高くなるほど現像カブリ量は増加し、全環境を通じカブリ許容値を満足したのは、外添剤量1.2wt%以下であった。以上のことから、接触帯電及び圧接現像及び圧接転写及び圧接クリーニングを用いる場合、外添剤量を0.4〜1.2wt%にすることにより、転写バイアス変動に余裕があり、印字を重ねても帯電むらや現像カブリが発生することなく画像形成を行うことができることが判明した。 【0038】(実施例2)図1に示した画像形成装置を用いて画像形成を行った。 【0039】外添剤の種類をA、B、C、Dとして、外添剤量と現像カブリ量との関係を図3に示す。外添剤Aは、1次粒子平均径が約10nmの疎水性シリカで、外添剤Bは、1次粒子平均径が約16nmのAと同様な材質の疎水性シリカで、外添剤Cは、1次粒子平均径が約16nmの疎水性シリカで特に疎水化率の高いもので、外添剤Dは、1次粒子平均径が約7nmの疎水性シリカで疎水化率が低いものである。1次粒子平均径が10nm以上の疎水性シリカを1.2wt%以下の範囲でトナー用樹脂母粒子に外添することにより、印字初期での現像カブリ量を極小に押さえることができた。 【0040】このように、外添剤量を0.4〜1.2wt%、外添剤の1次粒子平均径を10nm以上として圧接現像を用いて画像形成を行ったところ、転写バイアス変動に余裕があり、帯電むらや現像カブリが発生しない印字を得ることができた。また、印字を重ねても外添剤のトナー母粒子への付着状態は一定に保たれ、外添剤のトナー母粒子への埋め込み等は見られず、印字を重ねることによる画像の劣化も認められなかった。以上のことから、外添剤量を0.4〜1.2wt%、外添剤の1次粒子平均径を10nm以上とすることにより、転写効率が高く、帯電むらやカブリの発生しない印字を継続して行えることが判明した。 【0041】(実施例3)疎水性シリカ(商品名R972、R974、R202、R812:以上日本アエロジル社製、商品名TS720、TS530:以上CABOT社製)を0.4〜1.2wt%外添したトナーを用い常温常湿下(25℃、50%)で図1に示す画像形成装置で画像形成を行った。疎水性シリカの仕様と3000枚印字の結果を表1に示す。疎水化処理したシリカ微粉末を0.4〜1.2wt%外添したトナーを用いることにより、印字初期ではカブリの少ない、高転写効率の鮮明な画像が得られた。しかし、3000枚印字後では、R972、R974、R202、TS720、TS530を用いた場合は、カブリの少ない高転写効率の鮮明な画像が得られたが、R812については、転写効率の低下が認められ鮮明な画像を得ることができなかった。3000枚印字後のR812を外添したトナーの表面を観察したところ外添剤の埋没が認められた。このことからも、疎水性シリカに代表され通常使用される外添剤について、外添剤の一次平均粒子径が10nm以下であると、印字枚数を重ねるに従って外添剤の埋没によるカブリが増大しそれに伴い転写効率も低下するため、外添剤の一次平均粒子径は10nm以上が好ましいことが判明した。 【0042】 【表1】 【0043】上表中 ○…良好、△…実使用上問題なし、×…使用困難。 【0044】(実施例4)疎水性シリカ(商品名R972、R974、R202、R812:以上日本アエロジル社製、商品名TS720、TS530:以上CABOT社製)を0.4〜1.2wt%外添したトナーを用い低温低湿(10℃、15%)、高温高湿(35℃、65%)下で図1に示す画像形成装置で画像形成を行った。 【0045】低温低湿下では、いずれのトナーもカブリの許容値を満足したが、高温高湿下では、疎水性シリカの種類による若干の差はあるものの、0.4〜1.2wt%の範囲で外添したトナーについてはカブリの許容値を満足したが1.2wt%を越える量を外添したトナーはカブリの許容値を満足することができなかった。一方、R202、TS720については、0.4〜1.2wt%の範囲で外添したトナーは、全てカブリの許容値を満足し、他の外添剤と比較して、カブリの量は少なかった。 【0046】(実施例5)図1に示した画像形成装置を用いて画像形成を行った。 【0047】トナーの抵抗は、トナーを所定の極性に摩擦帯電させ、トナーの電荷をリークしないために重要であり、特に、圧接現像部や圧接転写部における10V/μm以上の電界でトナーに電荷が注入されトナーの極性が反転しないことが重要である。図4にトナーの体積抵抗と現像カブリ量及び転写効率との関係を示す。図4から、トナーの体積抵抗率を1017Ωcm以上とすることにより、現像カブリ量を低減でき、かつ、転写効率を95%以上の高転写効率にすることができた。また、潜像担持体上に不要に残留するトナーが低減し、潜像担持体に圧接された部材へのトナーや外添剤の付着も見られなかった。以上のことから、トナーの体積抵抗率を1017Ωcm以上とすることにより、現像カブリ量を低減でき、かつ、転写効率を95%以上の高転写効率にできることが判明した。 【0048】但し、トナーの体積比抵抗はトナーを厚さ0.5mmのペレットに圧粉成形し、上下に電極を載せ、1Kg/cm2の荷重を印加した状態で電圧250Vを印加したときの充電電流を含まない飽和時の電流値を求め、体積抵抗値に換算したものである。尚、測定は窒素雰囲気に置換した乾燥デシケータ内で行った。 【0049】(実施例6)図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。 【0050】トナーに添加される荷電制御剤について述べる。荷電制御剤を添加することにより、トナーの帯電の立ち上がりは改善され1枚の印字の先端と後端における画像濃度差は少なくなる。しかし、荷電制御剤は、含金属染料が多く用いられるため、トナーの抵抗を低下させてしまう。 【0051】荷電制御剤量と帯電の立ち上がり性、体積抵抗率の関係を図7に示す。ここで、帯電の立ち上がり性を示す指標として、A4紙にベタ黒画像を得るために現像を行った際の先端の現像量Msと後端の現像量Meの比(Me/Ms)を用いた。つまり、Me/Msが1に近いほど帯電の立ち上がりが良く、逆にMe/Msが1から離れているほど、先端部と後端部でのトナー端持体上のトナーの帯電状態が異なることを示し、帯電の立ち上がりが悪いと言える。先端と後端の画像差が識別されない状態を得るためには、Me/Msが0.8以上、望ましくは0.9以上となることが必要である。先に述べたとおり低現像カブリと高転写効率を得るためには、トナーの体積抵抗率を1017Ωcm以上とする必要があり、荷電制御剤を5wt%以下の範囲で内添することが望ましい。また、1枚の印字中の先端と後端の画像濃度差が識別されない状態を得るためには荷電制御剤を1wt%以上内添することが必要である。以上のことから、荷電制御剤量を1〜5wt%としたところ、先端と後端の画像濃度差が識別されず、低現像カブリ、高転写効率で画像形成を行うことができた。以上のように、荷電制御剤量を1〜5wt%とすることにより1017Ωcm以上のトナーの体積抵抗率を確保し、画像濃度が均一で、現像カブリが少なく、転写残りの少ない画像形成を行うことができることが判明した。 【0052】(実施例7)荷電制御剤(商品名Bontron S-34:オリエント化学製、商品名AIZEN スピロンブラツク、T-95、T-77:以上保土ケ谷化学製、Kayacharge N-3、T-2:以上日本化薬製)を樹脂母粒子に対して1〜5wt%添加したトナーで図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。何れのトナーにおいても1枚の印字において先端と後端で画像濃度差がなく、カブリが少なく、高転写効率の鮮明な画像を得ることができた。前述の荷電制御剤を樹脂母粒子に対し7wt%添加したトナーで図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。このとき、トナーの体積抵抗率は1015から1016Ωcm前後に低下しており、何れのトナーにおいても1枚の印字において先端と後端で画像濃度差がなかったが、カブリや転写不良が発生し、鮮明な画像を得ることができなかった。 【0053】(実施例8)図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。 【0054】トナーに添加される着色剤について述べる。トナーに着色性を持たせる着色剤についても、カーボンブラック等が多く用いられるため、トナーの抵抗を低下させてしまう。着色剤の量とトナーの体積抵抗率、画像濃度の関係を図8に示す。着色剤の量は、画像濃度1.2以上得るためには樹脂母粒子に対し0.5wt%以上、画像濃度1.4以上得るためには1wt%以上添加する必要があることがわかった。また、トナーの体積抵抗率を1017Ωcm以上とするためには、着色剤を10wt%以下の範囲で内添することが望ましい。以上のことから、着色剤量を0.5〜10wt%としたところ、画像濃度1.2が得られ、低現像カブリ、高転写効率で画像形成をすることができた。また、着色剤量を1〜10wt%としたところ、画像濃度1.4が得られ、低現像カブリ、高転写効率で画像形成をすることができた。以上のことから、現像カブリを低減し、転写効率を向上させる上では、トナーの樹脂母粒子の着色剤の量は1〜10wt%が好ましいことが判明した。 【0055】(実施例9)着色剤としてカーボンブラック(商品名PRINTEX:デグサ社製、MOGUL:CABOT社製)を樹脂母粒子に対し0.5wt%添加したトナーを図1に示した画像形成装置を用いて画像形成を行った。何れのトナーを用いた場合も画像濃度1.2程度で、カブリがなく、高転写効率の鮮明な画像を得ることができた。また、PRINTEX、MOGULを樹脂母粒子に対し1wt%添加したトナーでも同様に図1に示した画像形成装置で画像形成を行った。何れのトナーを用いた場合も画像濃度1.4以上で、カブリがなく、高転写効率の鮮明な画像を得ることができた。さらに、PRINTEX、MOGULを樹脂母粒子に対し10wt%添加したトナーでも同様に図1に示した画像形成装置で画像形成を行った。何れのトナーを用いた場合も画像濃度1.4以上で、カブリがなく、高転写効率の鮮明な画像を得ることができた。しかし、PRINTEX、MOGULを樹脂母粒子に対し12wt%添加したトナーでも同様に図1に示した画像形成装置で画像形成を行ったところ、何れのトナーを用いた場合も画像濃度1.4以上は得られたものの、トナーの体積抵抗率は1016Ωcm前後に低下しており、カブリや転写不良が発生し、鮮明な画像を得ることができなかった。 【0056】(実施例10)図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。 【0057】トナーに添加される離型剤について述べる。トナー中に含まれる離型剤は、トナーの定着時のオフセット性を向上するのに重要であるが、トナーが現像部や転写部やクリーニング部において圧接状態を受け続けると離型剤の滲み出しが発生し、潜像担持体や現像部材に固着しフィルミングを発生してしまう。特にポリエステル系のトナーでは離型剤が非相溶な場合が多く、外添量を下げた場合の方がトナー母粒子が直接潜像担持体等と接触する確率が高いため、離型剤によるフィルミングは発生し易い。但し、他のトナー用樹脂の場合も同様な現象は確認される。 【0058】図5に、トナー樹脂母粒子に内添される離型剤量と潜像担持体及び現像部材のフィルミングを起こすまでの耐久印字枚数との関係を示す。離型剤の樹脂母粒子に対する内添量を5wt%以下にすることにより、現像部材や潜像担持体へのトナーのフィルミングを防止して、装置寿命を長くすることができ、装置の信頼性を向上することができた。さらに、離型剤の樹脂母粒子に対する内添量を3wt%以下にすることにより、圧接現像部材や潜像担持体や圧接クリーニング部材を装置寿命に近くすることができ、従来装置の信頼性の低下を防ぐため使い捨てにされていた部材を不要に廃棄しなくてもよかった。 【0059】また、離型剤量と記録材に転写された転写画像の中抜けの関係が確認された。転写画像の中抜けとは、トナーと潜像担持体との間で密着が発生し記録材への移行が阻害され、極端な場合、密着が強固な部分が全く転写せずトナー画像が欠損する現象のことである。中抜けは転写時の加圧力が大きいと生じやすく、つまり、転写材の潜像担持体への加圧力が必要以上大きかったり、記録材として厚紙を使用した場合に生じやすい。従って、トナーに添加する離型剤量を増やすことによりトナー間の凝集力を高め、トナーと潜像担持体の密着力に打ち勝ち、中抜けを低減することができる。離型剤量と中抜けの関係を表2に示す。転写画像の中抜けを低減するためには、離型剤をトナー樹脂母粒子に1wt%以上、望ましくは2wt%以上内添する必要がある。以上のことから、離型剤量を1〜5wt%好ましくは2〜5wt%とすることにより、トナーのフィルミングや転写画像の中抜けを防止することができることが判明した。 【0060】 【表2】 【0061】上表中 A…低分子量ポリプロピレン、B…低分子量ポリエチレン、C…カルナバワックス。 ○…中抜けなし、△…若干の中抜け(実使用上問題なし)、×…中抜けあり。 【0062】(実施例11)図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。 【0063】トナーの形状因子について述べる。トナーの体積平均粒子径は、画像形成装置の高解像化にともない小粒子径化しているが、300DPI相当の集中型グレースケールにより面積階調性を出すためには、トナーの体積平均粒子径は12μm前後のトナーが、600DPI相当の集中型グレースケールにより面積階調性を出すためには体積平均粒子径が10μm以下の微小トナーが必要である。接触帯電部材及び圧接現像部材及び圧接転写部材及び圧接クリーニング部材を有する画像形成装置においても、600DPI相当の画像を形成するためには、各プロセスの接触化による高解像化のみならず、トナーの体積平均粒子径を6〜10μmに小粒子径化することが必要である。ところが、トナーを小粒子径化すると、トナーの粒度分布が広くなってしまい、微小トナーによるすり抜け、微小トナーの帯電不良、粗大トナーの詰まり、等によるカブリやトナー飛散やスジを発生してしまった。 【0064】トナーの体積平均粒子径、粒度分布と階調性、カブリ、フィルミングの関係を表3に示す。トナーの粒度分布について検討した結果、5μm以下のトナー粒子を15個数%以下、かつ、12.7μm以上のトナー粒子を5個数%以下とすることにより、圧接部からのトナーのすり抜けや圧接部へのトナーの詰まりやフィルミングを防止すると共に、不良帯電トナーによる現像カブリを低減し転写効率を向上して、高解像な画像を安定して形成することができることが判明した。このような粒度分布のトナーを得るためには、トナーの分級条件をきびしくし、上下の粒径カットが必要になるため、トナーの収率は幾分低下するが、不良とされたトナーを再使用して粉砕、分級することによりトナーコストの上昇は低く押さえることができた。 【0065】 【表3】 【0066】上表中 ○…良好、△…実使用上問題なし、×…使用困難。 【0067】尚、本発明に用いるトナーの組成は、以下▲1▼〜▲5▼を主成分として構成(非磁性トナー)され、磁性トナーの場合には▲6▼を含む構成となる。また、トナーの製造方法は、粉砕法でも重合法でも良い。 【0068】▲1▼バインダーレジン(樹脂) ポリスチレン、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂をはじめ、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、クマロン酸樹脂、塩素化パラフィン、キシレン樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらの2種以上が適宜混合されたもの。 【0069】▲2▼着色剤 カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン系染料、モノアゾ系染顔料、ジスアゾ系染顔料、トリスアゾ系染顔料、オイルブラック、アゾオイルブラック、これらの2種以上が適宜混合されたもの。 【0070】▲3▼流動化剤(外添剤) 表面を疎水化処理したSiO2やTiO2やAl2O3等の無機酸化物、SiC等の無機微粒子、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、これらの2種以上が適宜混合されたもの。 【0071】▲4▼離型剤 低分子量のポリエチレン、ポリプロピレン、等の合成ワックス類、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホボバ油、等の植物系ワックス類、みつろう、ラノリン、鯨ろう、等の動物系ワックス類、モンタンワックス、オゾケライト、等の鉱物系ワックス類、硬化ひまし油、ヒドロキシステアリン酸、脂肪族アミド、フェノール脂肪酸エステル、等の油脂系ワックス類、これらの2種以上が適宜混合されたもの。 【0072】▲5▼荷電制御剤 トナーが正帯電性の場合には電子供与性物質を用い、ニグロシン系染料、脂肪酸金属塩、第4級アンモニウム塩、ベンゾチアゾール誘導体、グアナミン誘導体、ジブチルチンオキサイド、含窒素化合物等を用いることができる。 【0073】トナーが負帯電性の場合には電子受容性物質を用い、アゾ系等の含金属染料、塩素化パラフィン、塩素化ポリエステル、アルキルサリチル酸の金属錯体、ジカルボン酸の金属錯体、多環体サリチル酸金属塩等を用いることができる。 【0074】▲6▼磁性粉 Fe、Ni、Co、Cr、Mn、のうち少なくとも一種類の元素を含有する磁性材料、例えば、γ-Fe2O3、BaO-6Fe2O3、Ni-Co、Co-Cr、Mn-Al等。 【0075】以上、実施例を述べたが、本発明の画像形成方法は、磁性トナー、非磁性トナーを問わず、潜像担持体に圧接するプロセス(帯電、現像、転写、クリーニングの各プロセス)を含む画像形成方法において、トナーの外添剤の量を所定範囲にすること、トナーの抵抗を所定値以上にすること、トナーの離型剤の量を所定範囲にすること、トナーの粒径分布を所定範囲にすること、の何れかにより高解像の画像を安定して形成することができるが、これらの条件をそれぞれ満たせば更に高解像な画像を安定して形成することができる。尚、本発明は以上の実施例のみならず、広く電子写真プロセスを用いた画像形成装置に応用することができ、特にプリンターや複写機やファクシミリやディスプレーに応用すれば有効である。 【0076】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、トナーによる圧接部材への付着やフィルミングを低減し、高解像な画像を安定して形成でき、各圧接部分でトナーの電荷の変動が殆どなく、カブリ等の画質の劣化を生じにくい画像形成装置を提供することができる。また、帯電、現像、転写、クリーニングの各プロセスの信頼性を高め、小型で長寿命の画像形成装置を提供することができるという効果を有する。 【0077】 【0078】 【0079】また、トナーの抵抗を高めることにより、圧接現像または圧接転写での高電界下でもトナーの電荷が失われず所定極性を保つことができ、現像効率、転写効率を高め、現像でのカブリや転写での飛散を低減し高解像な画像を安定して形成することができるという効果を有する。 【0080】さらに、トナーの離型剤の量を所定量以下にすることにより、圧接部分に起因するトナーのフィルミングを防止し、転写工程で生ずる中抜け現象を抑制して、高解像な画像を安定して形成することができるという効果を有する。 【0081】さらにまた、トナーの粒度分布をシャープにして微小トナーや粗大トナーを低減して、圧接部からのトナーのすり抜けや圧接部へのトナーの詰まりやフィルミングを防止すると共に、不良帯電トナーによる現像カブリを低減し転写効率を向上して、高解像な画像を安定して形成することができるという効果を有する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の画像形成方法の実施例における画像形成装置の断面概観図である。 【図2】ローラーの抵抗測定法を示す図である。 【図3】本発明の更に他の実施例における外添剤量と現像カブリ量との関係を示す図である。 【図4】本発明の更に他の実施例におけるトナーの体積抵抗と現像カブリ量及び転写効率との関係を示す図である。 【図5】本発明の更に他の実施例におけるトナー樹脂母粒子に内添される離型剤量と潜像担持体及び現像部材のフィルミングを起こすまでの耐久印字枚数との関係を示す図である。 【図6】本発明の他の実施例における外添剤量と現像カブリ量との関係を示す図である。 【図7】本発明の他の実施例における荷電制御剤量と帯電の立ち上がり性、体積抵抗率の関係を示す図である。 【図8】本発明の他の実施例における着色剤量と画像濃度、体積抵抗率の関係を示す図である。 【符号の説明】 1 潜像担持体 5 帯電部材 8 露光手段 10 トナー 11 現像部材 18 転写部材 20 記録材 23 クリーニング部材 【図面】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-07-22 |
出願番号 | 特願平11-221749 |
審決分類 |
P
1
651・
531-
YA
(G03G)
P 1 651・ 534- YA (G03G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 菅野 芳男、磯貝 香苗 |
特許庁審判長 |
矢沢 清純 |
特許庁審判官 |
阿久津 弘 六車 江一 |
登録日 | 2001-08-03 |
登録番号 | 特許第3216633号(P3216633) |
権利者 | セイコーエプソン株式会社 |
発明の名称 | 画像形成方法 |
代理人 | 内田 亘彦 |
代理人 | 蛭川 昌信 |
代理人 | 米澤 明 |
代理人 | 山口 芳広 |
代理人 | 白井 博樹 |
代理人 | 青木 健二 |
代理人 | 菅井 英雄 |
代理人 | 阿部 龍吉 |
代理人 | 渡邉 敬介 |
代理人 | 青木 健二 |
代理人 | 蛭川 昌信 |
代理人 | 菅井 英雄 |
代理人 | 内田 亘彦 |
代理人 | 米澤 明 |
代理人 | 阿部 龍吉 |
代理人 | 韮澤 弘 |
代理人 | 白井 博樹 |
代理人 | 韮澤 弘 |