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審決分類 審判 一部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  C07D
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C07D
管理番号 1084836
異議申立番号 異議2001-70672  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-01-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-03-02 
確定日 2003-08-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3083523号「親水性変性用単量体」の請求項1〜3、6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3083523号の請求項1〜3、6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3083523号の請求項1〜8に係る発明についての出願は、平成元年2月27日の出願(特許法第43条による優先権主張 1988年2月26日、米国(US))であって、平成12年6月30日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、田嶋順治より特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年12月3日に訂正請求がなされた後(後日取下げ)、再度取消の理由が通知され、その指定期間内である平成15年6月24日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。
1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1における
「divは、一方の側において、カルボニルオキシにより末端化されている、炭素原子2〜6個を有するアルキレンであって、
ca)カルボニルは、Xに結合し、かつ-NH(CO)O-により一度中断されている炭素原子2〜6個を有するアルキレン、または
cb)他方の側において-NH(CO)-により末端化され、このアミドカルボニルはHyに結合している炭素原子2〜6個を有するアルキレン、
および
Xに結合している末端カルボニルを有する2価の-(CO)O-脂肪族-OC(O)O-アリール-NHC(O)O-脂肪族基から選択され、ここでアリール基は、非置換またはハロゲン若しくはC1-4で置換されているフェニルまたはナフチルであり、そして脂肪族基のそれぞれは、炭素原子10までのアルキルであり、
zは、1〜Hyの原子価までの整数であり、そしてzは、Hyの原子価より小さい場合には、Hyの残りの原子価は、水素と結合しており、
Hyは、
式(XII)<式省略>(式中、dは、1〜3である)のモノアミド基(そのそれぞれは、非置換または低級アルキルで置換されているが、但しXが、H2C=C(CH3)-であり、divが、-(CO)O-CH2CH2NH(CO)-であるときには、Hyは、2-オキシピペリジン-1-イルである);」を
「divは、一方の側において、カルボニルオキシにより末端化されている、炭素原子2〜6個を有するアルキレンであって、
ca)カルボニルは、Xに結合し、かつ-NH(CO)O-により一度中断されている炭素原子2〜6個を有するアルキレン、または
cb)他方の側において-NH(CO)-により末端化され、このアミドカルボニルはHyに結合している炭素原子2〜6個を有するアルキレン、
および
Xに結合している末端カルボニルを有する2価の-(CO)O-脂肪族-OC(O)NH-アリール-NHC(O)O-脂肪族基(ここでアリール基は、非置換またはハロゲン若しくはC1-4アルキルで置換されているフェニルまたはナフチルであり、そして脂肪族基のそれぞれは、炭素原子10までのアルキルである)から選択され、
zは、1〜Hyの原子価までの整数であり、そしてzは、Hyの原子価より小さい場合には、Hyの残りの原子価は、水素と結合しており、
Hyは、
式(XII)<式省略>(式中、dは、1〜3である)のモノアミド基(そのそれぞれは、非置換または低級アルキルで置換されているが、但しXが、H2C=C(CH3)-であり、divが、-(CO)O-CH2CH2NH(CO)-であるときには、Hyは、2-オキソピペリジン-1-イルである);」と訂正する。

2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3における「但しXが、H2C=C(CH3)-であり、divが、-(CO)O-CH2CH2NH(CO)-であるときには、Hyは、2-オキシピペリジン-1-イルである);」を
「但しXが、H2C=C(CH3)-であり、divが、-(CO)O-CH2CH2NH(CO)-であるときには、Hyは、2-オキソピペリジン-1-イルである);」と訂正し、
「請求項1記載の化合物」を「請求項1記載の式(I)の化合物」に訂正する。

3)訂正事項c
請求項5〜7における「請求項1」を「請求項3」に訂正する。

4)訂正事項d
請求項6における「アリル」(2箇所)を「アリール」に訂正する。

5)訂正事項e
明細書41頁7行(特許公報9頁左欄34〜36行の式)の
「-NH(C=O)O-」を「-NHC=O-」に訂正する。

6)訂正事項f
明細書42頁8〜9行(特許公報第9頁右欄12行)の
「ルキル部分」を「アルキル部分」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張、変更の存非
1)訂正事項aにおいて、「オキシピペリジン」が「オキソピペリジン」の誤記であることは式(XII)から明らかであるから、かかる訂正は誤記の訂正を目的とするものである。
また、他の訂正事項は明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。

2)訂正事項bのうち、「オキシピペリジン」を「オキソピペリジン」と訂正することは上記のとおり誤記の訂正を目的とする訂正であり、また、「請求項1記載の化合物」を「請求項1記載の式(I)の化合物」に訂正することは、請求項3が請求項1の化合物について更に限定事項を加えた従属項ではなく、請求項1記載の式(I)におけるHyについて請求項1とは別の定義を行った請求項であることを明らかにしようとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。

3)訂正事項cは、「モルホリン」は請求項1における式IのHyに含まれず、請求項3のHyに含まれるものであるから、誤記の訂正を目的とする訂正である。

4)訂正事項dは、アリル(allyl)基は2-プロペニル基を意味し、アリール(aryl)基はフェニル基等芳香族基を意味する用語であって、請求項6における「フェニルまたはC1-4のアルキルで置換されたフェニル」はアリルではないから、誤記の訂正を目的とする訂正である。

5)訂正事項eは、それに続く記載が「(カルボニルはHyに結合しており....)」となっていることからみて、「-NH(C=O)O-」が誤記であることは明らかであるから、誤記の訂正を目的とする訂正である。

6)訂正事項fは、アルキルのアが脱落していることは明らかであるから、誤記の訂正を目的とする訂正である。

そして、上記訂正事項はいずれも特許明細書の範囲内であって、新規事項を追加するものではなく、また特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)結び
したがって、上記訂正は特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、同条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.異議申立についての判断
(1)異議申立の概要
特許異議申立人田嶋順治は、甲第1号証〜甲第5号証を提出し、
1)請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証及び第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、請求項1及び2に係る発明の特許は、拒絶査定されるべき発明に対してされたものであり(理由1)、また
2)甲第3号証〜甲第5号証の記載からみて、請求項1、3、6に不明瞭な記載があるため、請求項1、3、6に係る発明の特許は、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものである(理由2)から、
これらの請求項に係る発明の特許は取り消されるべきものであると主張している。

(2)本件発明
上記のとおり、訂正請求が認められるから、本件請求項に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の各請求項に記載されたとおりである。

(3)対比判断
1)理由1について
甲第1号証及び甲第2号証に記載された化合物は、本件請求項1の式(I)において、
XがH2C=C(CH3)-、divが-(C=O)O-CH2CH2NH(C=O)-、Hyが2-オキソピロリジン及び2-オキソヘキサヒドロアゼピンに相当する化合物である。
一方、本件請求項1の式(I)において、
XがH2C=C(CH3)-、divが-(C=O)O-CH2CH2NH(C=O)-の時はHyは2-オキソピペリジンであって、上記2つの化合物とは異なる化合物であるから、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明ではない。

請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、Xを1-メチルビニル、2-メチルビニルまたはアリルに限定したものであって、上記同様の理由から甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明ではない。

2)理由2について
上記のとおり本件特許請求の範囲が訂正されたため、特許異議申立人の主張する請求項1、3、6についての記載不備はいずれも解消している。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件特許異議申立人の主張する理由及び提出された証拠によっては本件請求項1〜3、6に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3、6に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
親水性変性用単量体
(57)【特許請求の範囲】
1.式Iの化合物。
(X-div)zHy (I)
上記式において、
Xは、ビニル、1-低級アルキルビニル、2-低級アルキルビニル、1,2-ジ(低級アルキル)ビニルおよびビニル-低級アルキルから選択される、重合し得るエチレン性不飽和基であって、
divは、一方の側において、カルボニルオキシにより末端化されている、炭素原子2〜6個を有するアルキレンであって、
ca)そのカルボニルは、Xに結合し、かつ-NH(CO)O-により一度中断されている炭素原子2〜6個を有するアルキレン、または
cb)他方の側において-NH(CO)-により末端化され、このアミドカルボニルがHyに結合している炭素原子2〜6個を有するアルキレン、および
Xに結合している末端カルボニルを有する2価の-(CO)O-脂肪族-OC(O)NH-アリール-NHC(O)O-脂肪族基(ここでアリール基は、非置換またはハロゲン若しくはC1-4アルキルで置換されているフェニルまたはナフチルであり、そして脂肪族基のそれぞれは、炭素原子10までのアルキルである)
から選択され、
zは、1〜Hyの原子価までの整数であり、そしてzは、Hyの原子価より小さい場合には、Hyの残りの原子価は、水素と結合しており、
Hyは、式(XII)

(式中、dは、1〜3である)のモノアミド基(そのそれぞれは、非置換または低級アルキルで置換されているが、但し、Xが、H2C=C(CH3)-であり、divが、-(CO)O-CH2CH2NH(CO)-であるときには、Hyは、2-オキソピペリジン-1-イルである);式III

(式中、Raは、2または3個の炭素原子のアルキレンまたはアルケニレンである)の5〜6個の環員を有する飽和または不飽和の環式基、式IV

(式中、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜2である)の6〜7個の環員を有する環式アミド基、式V

(式中、Raは、2または3個の炭素のアルキレンまたはアルケニレンである)の環式アミノ基(そのそれぞれは、非置換またはヒドロキシ-C1-5アルキル、カルボキシまたは低級アルキルにより置換されている)、式XVa

(式中、R10は、水素またはカルボキシである)の2価基、および1価のヒドロキシル基で置換されている下記式:

の基から選択される親水性基である。
2.Xが、1-メチルビニル、2-メチルビニルまたはアリルである、請求項1記載の化合物。
3.Hyが、
ba)非置換または低級アルキルによりモノ-〜テトラ-置換であるモルホリノ;
bb)式XII

(式中、dは、1〜3である)のモノアミド基(そのそれぞれは、非置換または低級アルキルで置換されているが、但しXが、H2C=C(CH3)-であり、divが、-(CO)O-CH2CH2NH(CO)-であるときには、Hyは、2-オキソピペリジン-1-イルである);
bc)式XIII

(式中、eは、2〜3である)の基(そのそれぞれは、非置換または低級アルキルで置換されている);
bd)式XIV、XV、XVa、XVI、XVIIaもしくはXVIIb

(式中、R10は、水素またはカルボキシである)の2価基;
be)下記式の基;

bf)下記式

(式中、fは、1または2である)の基(そのそれぞれは、非置換または低級アルキルで置換されている);および
bg)下記式の基

から選択される、請求項1記載の式Iの化合物。
4.divが、下記式(ここで、それぞれの場合に、左の結合はXに結合している)

から選択される、請求項1記載の化合物。
5.Hyが、ピロリド-5-オン-1-イルまたはモルホリン-1-イルである、請求項3記載の化合物。
6.Xが、ビニルまたは1-メチルビニルであり、zが、1であり;divが、-C(O)O-C2-6-アルキル-(これは、アルキル部分で-NHC(O)O-により一度中断されており、末端カルボニル基は、Xに結合している);-C(O)O-C2-6-アルキル-NHCO-(これは、オキシカルボニル部分の末端カルボニルは、Xに結合している);および-C(O)O-C2-6-アルキル-(これは、アルキル部分でOCONH-アリール-NHCOO-で一度中断されており、その末端カルボニル基はXに結合しており:ここでアリールは、フェニルまたはC1-4アルキルで置換されているフェニルである)から選択され、そしてHyは、ピロリドン-5-オン-1-イルまたはモルホリン-1-イルである、請求項3記載の化合物。
7.式XIX、XX、およびXXIVの化合物

から選択される、請求項3記載の化合物。
8.請求項1の式Iの化合物を重合または共重合させて、ホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
本発明は、親水性単量体、および、オリゴマー特にコンタクトレンズの製造に使用されるオリゴマーを変性して、得られる重合体の親水性を増大しそして成型された重合体の製造における成形相溶性を増大するために該単量体を使用することに関するものである。
当該技術において、親水性単量体に関する文献は数多く存在しそして非常に多くのこのような単量体が商業的に入手できる。これらの単量体は、このような単量体が存在しない同じ物質以上に共重合される物質に親水性、水吸収を付与しそして(または)共重合される物質の湿潤性を改善する。これらは、また、高度に親水性、高度に吸収性そして高度に湿潤性の単独重合体物質を与える。これらの

から得ることができる。
このような既知の変性剤の一般的特性は、親水性基および共重合性基が存在するということである。典型的な例は、N-ビニルピロリドンであり、他の例はヒドロキシエチルメタクリレートである。これらのそれぞれは、1個またはそれ以上の遊離(メト)アクリルまたはビニル基を含有する他の単量体またはオリゴマーと共重合するのに適している。遊離ヒドロキシまたはアミドの添加は、このような単量体が存在しない重合体以上に得られた重合体の親水性、水吸収性および湿潤性を増大する。
多くの利用に対して、それから得られる重合体物質が成形された形態にあることが望ましい。これは、コンタクトレンズの分野において典型的である。また、しばしば、成形物はポリ(メタクリル酸メチル)でありそして(a)前述した変性単量体と(b)このような成形物中の変性される単量体またはオリゴマーとの共重合は成形物のエッチングおよび傷あとを生ずる。これは、表面損傷のない表面即ち高品質の光学的表面を必要とする最終的な重合体の利用に対して、非常に大きな不利点である。これらの状況下において、非常にしばしば高度な生産費および緩慢な生産速度を必要とする成形物を置換しなければならない。
それ故に、本発明の一つの目的は、前述した欠点を取り除きそして実質的に親水性的に変性された物質の製造における成形エッチングの量を減少する親水性単量体を提供せんとするものである。
本発明の他の目的は、親水性的に変性された重合体を提供せんとするものである。
本発明の他の目的は、増大された湿潤性および(または)水吸収を有するコンタクトレンズを提供せんとするものである。
更に、本発明の他の目的は、親水性変性剤である単量体によって変性された表面を有するコンタクトレンズを提供せんとするものである。
これらのおよび他の目的は、式I
(X-div)2Hy (I)
(式中、Hyは親水性部分であり、divは2価の結合基であり、Xは他の単量体と共反応または共重合できる基であり、そしてzは1乃至Hyの原子価までの整数であり、そしてzがHyの原子価より小さい場合は、Hyの残りの原子価は水素と結合する)の親水性変性剤である単量体を利用することによって実現することができる。
親水性基Hyは、典型的には、1個またはそれ以上好適には多数の遊離のまたはエーテル化されたヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、および(または)他の典型的に親水性の基を有している。
divは、一般に広範囲な種々の2価の基から選択できる2価の結合基である。divに対する唯一の一般的な限定は、それがHyおよびXの両方に結合することができるということである。
Xは、
(a)エチレン系の不飽和基、好適には、ビニル、1-または2-低級アルキルビニル、より好適には1-メチルビニルまたは2-メチルビニルまたはアリルから選択された重合性または反応性部分である。
divは、
(aa)脂肪族基が、

(式中Rは、水素または低級アルキル例えばC1〜4アルキルである)から選択された中断および(または)末端基によって中断または停止または中断および停止していてもよい25個までの炭素原子の2価の脂肪族基、好適には、好適には20個までの炭素原子、より好適には15個までの炭素原子、更により好適には10個までの炭素原子、そしてもっとも好適には5個までの炭素原子を含有し、そして好適には少なくとも2個の炭素原子、より好適には少なくとも4個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル、
(ab)非環式部分が好適にはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、そして好適には15個までの炭素原子、より好適には10個までの炭素原子、もっとも好適には5個までの炭素原子を含有し、そして好適には少なくとも2個の炭素原子、より好適には少なくとも4個の炭素原子を有しており、そして非環式部分が上記(aa)に記載したものから選択された中断および(または)末端基によって中断または停止または中断および停止していてもよい2価の5〜7員の脂環式環および2価の(5〜7員の脂環式)-C1〜20脂肪族基、
(ac)停止していないかまたは上記(aa)に記載したものから選択された末端基によって停止している6〜25個の炭素原子、好適には6〜18個の炭素原子、より好適には6〜10個の炭素原子、もっとも好適には6個の炭素原子を有する2価のアリーレン基、
(ad)それぞれの脂肪族部分が独立して上記(aa)に記載した同じ脂肪族基から選択されたものであり、そして上記(aa)に示したように中断または停止または中断および停止していてもよい8〜25個の炭素原子の2価の(脂肪族)a-アリール-(脂肪族)b-基(式中aおよびbの一方は1であり、そして他方は0であるかまたはaおよびbの両方が1である)
(ae)式II

(式中、mは8〜100であり、そして(aea)Raは水素であり、Rbはメチルであり、
そしてnおよびpはそれぞれ0であるか、(aeb)Raはメチルであり、Rbは水素であり、
そしてnおよびpはそれぞれ0であるかまたは(aec)RaおよびRbはそれぞれ水素であり、
そしてnおよびpはそれぞれ1である)の基
から選択されたものであり、そして(aa)〜(ab)のそれぞれの基は、置換されていないかまたはハロゲン、C1〜4アルキルおよびパーハロC1〜12アルキルから選択された少なくとも1個の置換分によって置換されており、そして
Hyは、
(i)モルホリノ、炭素および1個の窒素から選択された5〜7個の環員の環式モノアミド基、式III

(式中、Raは2または3個の炭素のアルキレンまたはアルケニレンである)の5〜6個の環員を有する飽和または不飽和の環式基、式IV

(式中、qおよびrはそれぞれ独立して0〜2である)の6〜7個の環員を有する環式アミドおよび式V

(式中、Raは2または3個の炭素のアルキレンまたはアルケニレンである)の環式アミン[それぞれが置換されていないかまたはヒドロキシ-C1〜5アルキル、カルボキシまたは低級アルキルによって置換されている]
から選択された親水性基である。
好適には、Xは式VI

から選択されたビニル基であり、そしてそれに結合しているdivの部分は-C(O)R3(このカルボニル基はXに結合している)または

(左側の結合はXに結合している)で停止している。R1およびR2が水素またはメチルである場合においては、R3は-O-または-NR5-から選択され(但し、それが結合しているdivの次の原子は酸素または窒素以外のものである)またはR3は単一結合であり(但し、それが結合しているdivの次の原子はカルボニル炭素以外のものである)、そしてR5は水素または低級アルキルであるか、または、
R1が水素またはメチルであり、そしてR2が水素、低級アルキルまたはシアノである場合は、R3は低級アルキレンまたは

であり、そして
それぞれの場合において、R4は-O-,-C(O)-,-OC(O)-,-C(O)O-,-NR5C(O)-,-OC(O)O-,-NR5-,-NR5C(O)O-,-C(O)NR5-,-OC(O)NR5-または-NR5C(O)NR5-である(但し、それが結合しているdivの次の原子は酸素または窒素以外のものである)。
更に、好適なX基は、1-メチルビニル、2-メチルビニルまたはアリル、または

[式中、R2は水素またはメチルであり、そしてそれが結合しているdivの部分は-C(O)-R3-(式中、カルボニルはXに結合しており、そしてR3は-O-または-NR5-であり、そしてR5は水素または低級アルキルである)で停止している]、またはH2C=CH-[それが結合しているdivの部分は

(式中、左側の結合はXに結合しており、そしてR4は-O-,-NR5-,-C(O)-,-C(O)NR5-または-C(O)O-である)で停止している]、または

[式中、R2は水素、低級アルキルまたはシアノであり、そしてそれが結合しているdivの部分は-C(O)-R3-(式中、カルボニルはXに結合しており、そしてR3は低級アルキレンまたは

であり、そしてR5は低級アルキルである)で停止している]である。
好適には、Hyは、
(ba)置換されていないかまたは低級アルキル好適にはメチルまたはエチルによってモノ乃至テトラ置換されているモルホリノ、
(bb)置換されていないかまたは低級アルキル好適にはメチルまたはエチルによって置換好適にはモノまたはジ置換されている式XII

(式中、dは1〜3好適には1である)のアミド、
(bc)置換されていないかまたは低級アルキル好適にはメチルまたはエチルによって置換されている式XIII

(式中、eは2〜3好適には2である)の基、
(bd)式XIV、XV、XVa、XVI、XVIIaまたはXVIIb

(式中、R10は水素またはカルボキシである)の1種の2価の基、
(be)

(bf)置換されていないかまたは低級アルキル好適にはメチルまたはエチルによって置換されている

(式中、fは1または2である)
(bg)

から選択される。
好適には、divは、
-V-(CH2)2NHCOO-(CH2)2-

-V-(CH2)2NHCO-及び
-V-(CH2)2NHCO(CH2)2-
(式中、Vは単一結合、または-C(O)R3-
から選択されたものであり、それぞれの場合においてVの左側の結合はXに結合しており、そしてR3は-O-、-NR5-または

または単一結合であり、R5は水素または低級アルキルである)
から選択される。
更に、好適には、Xは、エチレン系不飽和基、即ちビニル、1-低級アルキルビニル、2-低級アルキルビニル、1,2-ジ(低級アルキル)ビニルまたはビニル-低級アルキル、もっとも好適にはビニル、1-メチルビニルまたはアリルである。
Hyは、もっとも好適にはピロリド-5-オン-1-イル、モルホリン-1-イルである。
divは、もっとも好適には、(ca)一方の側においてはカルボニルオキシ(カルボニルはXに結合しており、そして

によって一度中断されている)によって停止し、または(cb)他の側においては

(カルボニルはHyに結合しており、そして好適にはカルボニルはHyの酸素原子に結合している)によって停止している2〜6の炭素のアルキルである。divのアルキルは、もっとも好適には2または4個の炭素原子のアルキルである。
第2のもっとも好適なdivは、末端カルボニル基がXに結合している2価の-C(O)O-脂肪族-OC(O)NH-アリール-NHC(O)O-脂肪族基である。このような基においては、アリールは好ましくは置換されていないかまたはハロゲンまたはC1〜4アルキルによって置換されたもっとも好適にはメチルによって置換されたフェニルまたはナフチルである。このような基においては、脂肪族基のそれぞれは、好適には10個までの炭素原子より好適には5個までの炭素原子のアルキルである。もっとも好適には、このような脂肪族基は、-CH2-CH2-である。
もっとも好適なものは、Xがビニルまたは1-メチルビニルであり、zが1であり、divがアルキル部分において一度-NHC(O)O-によって中断されている-C(O)O-C2〜6-アルキル-(式中、末端カルボニル基はXに結合しており、そして直接上述した同じ基は1〜9のオキシアルキレン基によってアルキル側において停止している)、-C(O)O-C2〜6-アルキル-NHCO-(式中、オキシカルボニル部分の末端カルボニル基はXに結合している)、およびアルキル部分において-OCONH-アリール-NHCOO-によって一度中断されている-C(O)O-C2〜6-アルキル-(式中、末端カルボニル基はXに結合しており、そしてアリールはフェニルまたはC1〜4アルキル好適にはメチルによって置換されたフェニルである)であり、そしてHyがピロリジン-5-オン-1-イル、モルホリン-1-イルである式Iの単量体である。
本発明のもっとも高度に好適な単量体は、次の式XIX、XXまたはXXIVを有するものおよび実施例に説明した化合物である。

これらの単量体の中で、式XIX、XXおよびXXIVの単量体が特に好適である。
本発明の親水性変性剤である単量体は、個々の工程が当該技術において知られている多くの方法で製造することができる。出発物質はすべて当業者によく知られており、そして殆んどのものが商業的に入手することができる。
出発物質の一組は、X-E、W-L-YおよびGHy(EはWと共反応性であり、そしてYはGと共反応性である)である。EとWおよびYとGの反応が完了した場合、基-EW-L-YG-は-divである。基-L-は、何れの置換分または中断基または末端基も有していない簡単な脂肪族炭化水素鎖であることができる。このようにする代りに、それは、多数の中断および(または)末端基ならびに置換分を有する複合体基であってもよい。
例えば、トルエンジイソシアネートは、簡単なW-L-Y化合物を示すことができる。その1モルとN-ヒドロキシエチルピロリドン(G-Hy化合物)1モルとの反応は、式

の化合物を与える。
次に、これを2-ヒドロキシエチルメタクリレート(X-E化合物)1モルと反応させて式XXの化合物を得る。より複雑な同様な構造は、トルエンジイソシアネート1モルをエチレングリコール2モルと反応させて式

の化合物を得ることによって製造することができる。
最終の所望の化合物によって、この化合物1モルを(a)N-(2-イソシアネートエチル)ピロリドンのようなイソシアネート-Hy型化合物1モルと反応させ、そして次にイソシアネートメタクリレート1モルと反応させて本発明の化合物を得るかまたは(b)ジイソシアネート化合物2モルと反応させ次にこれをN-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンおよび2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と反応させて4個の中断基および1個の末端基を有する以外は式XXの化合物と同様な化合物を得ることができる。
勿論、はじめにX-E化合物およびW-L-Y化合物を反応させ、そして次にG-Hy化合物を得られた化合物を反応させるように、反応順序を逆にすることができる。勿論、GがEまたはXと反応せず、そしてEがGまたはHyと反応しない場合は、すべての3種の成分を同時に一緒に添加することができる。
同様に、式XIXの化合物は、イソシアネートエチルメタクリレート(IEM)および2-ヒドロキシエチルピロリドンから製造することができる。
当業者が理解することができるように、上記ビニル基(IEMの一部)を適当なX基で置換することによって、何れかの所望のX-末端化合物が得られる。同様に、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリドンをN-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンで置換することによって、式XXIVに示された生成物が得られる。本発明の残りの単量体への合成経路は、当該技術に精通せし者の知識の範囲にある。
前述した説明を基にして、本発明を説明するために、以下の実施例を示す。しかしながら、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
実施例1
凝縮器、窒素導入口および温度計を具備したきれいな乾燥した100mlの丸底フラスコに、イソシアナトエチルメタクリレート15.53g(0.10モル)、ジブチル錫ジラウレート0.02gおよび塩化メチレン50mlを加える。混合物を、窒素雰囲気下で撹拌して溶解させる。この溶液に、ヒドロキシエチルピロリドン12.93g(0.10モル)を加える。1.5時間後に、イソシアネート吸収帯は、FT赤外スペクトルにおいて観察されない。溶剤を、乾燥空気掃過下における撹拌によって除去する。
実施例2
実施例1の上記変性剤を、10重量%または15重量%の量で、
(a)スチレンイソシアネート末端キャップした(endcapped)ポリプロピレングリコール4000
(b)1987年6月5日出願の米国特許第4,780,488号の式Vの単量体または
(c)1987年7月28日出願の米国特許第4,740,533号の式Iの単量体に加えそしてキュアーした。得られた重合体は、すべて、実施例1の化合物が存在しない相当する重合体以上の増加した水分含量を有している。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-25 
出願番号 特願平1-43357
審決分類 P 1 652・ 113- YA (C07D)
P 1 652・ 532- YA (C07D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 脇村 善一榎本 佳予子  
特許庁審判長 竹林 則幸
特許庁審判官 小柳 正之
横尾 俊一
登録日 2000-06-30 
登録番号 特許第3083523号(P3083523)
権利者 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト
発明の名称 親水性変性用単量体  
代理人 渡邉 睦雄  
代理人 佐伯 とも子  
代理人 篠田 文雄  
代理人 篠田 文雄  
代理人 渡辺 睦雄  
代理人 佐伯 とも子  
代理人 津国 肇  
代理人 津国 肇  

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