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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B62J |
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管理番号 | 1086141 |
審判番号 | 不服2003-3394 |
総通号数 | 48 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-08-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-03-03 |
確定日 | 2003-11-25 |
事件の表示 | 特願2000-16706「自転車シフト制御装置用インジケータユニット」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年8月2日出願公開、特開2000-211571、請求項の数(23)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成12年1月26日(パリ条約による優先権主張:1999年1月27日、米国)の出願であって、その請求項1〜23に係る発明は、平成15年3月26日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜23に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1,21,22,23に係る発明は、次のとおりのものと認める。 【請求項1】 ハンドルバーに装着され第1ディレイラケーブルが接続された第1自転車シフト制御装置と、ハンドルバーに装着され第2ディレイラケーブルが接続された第2自転車シフト制御装置とに接続されるインジケータユニットであって、前記第1自転車シフト制御装置に第1端が連結可能であり、前記第1ディレイラケーブルと独立して設けられた第1インジケータケーブルと、前記第2自転車シフト制御装置に第1端が連結可能であり、前記第2ディレイラケーブルと独立して設けられた第2インジケータケーブルと、ハウジングと、該ハウジングをハンドルバーの前記第1及び第2自転車シフト制御装置間に取り付ける為の第1ハンドルバー取付部材と、第1中間部材と、前記第1中間部材が前記第1インジケータケーブルと連動するように該第1中間部材を該第1インジケータケーブルの第2端に連結させる為に、該第1中間部材に連結された第1連結部材と、前記ハウジングの外方から目視可能な別体とされた第1表示部材であって、前記第1中間部材に連動するように該第1中間部材に係合された第1表示部材と、第2中間部材と、前記第2中間部材が前記第2インジケータケーブルと連動するように該第2中間部材を該第2インジケータケーブルの第2端に連結させる為に、該第2中間部材に連結された第2連結部材と、前記ハウジングの外方から目視可能な別体とされだ第2表示部材であって、前記第2中間部材に連動するように該第2中間部材に係合された第2表示部材と、前記第1中間部材を第1方向に付勢する第1付勢部材と、前記第2中間部材を、前記第1方向とは異なる第2方向に付勢する第2付勢部材とを備えていることを特徴とするインジケータユニット。 (以下、本願第1発明という) 【請求項21】 ディレイラケーブルが接続された自転車シフト制御装置に連結されるインジケータユニットであって、前記自転車シフト制御装置に第1端が連結可能であり、前記ディレイラケーブルと独立して設けられたインジケータケーブルと、ハウジングと、該ハウジングをハンドルバーに取り付ける為のハンドルバー取付部材と、前記インジケータケーブルと別部材とされ、且つ、前記ハウジングに対して固定とされたガイド面に沿って移動する中間部材と、該中間部材が前記インジケータケーブルと同じ方向に線状に移動するように、前記ハウジングにおいて、該中間部材を前記インジケータケーブルの第2端に連結させる為に、該中間部材に連結された連結部材と、前記中間部材と係合する別体とされた表示部材であって、前記中間部材のガイド面に沿った移動によって、回転軸回りに回転するように構成された表示部材とを備え、前記表示部材は、前記回転軸方向に沿って目視できるように、露出していると共に、該露出部分が前記回転軸と直交する面に沿って回転することを特徴とするインジケータユニット。 (以下、本願第2発明という) 【請求項22】 ハンドルバーに装着され第1ディレイラケーブルが接続された第1自転車シフト制御装置と、ハンドルバーに装着され第2ディレイラケーブルが接続された第2自転車シフト制御装置とに接続されるインジケータユニットであって、前記第1自転車シフト制御装置に第1端が連結可能であり、前記第1ディレイラケーブルと独立して設けられた第1インジケータケーブルと、前記第2自転車シフト制御装置に第1端が連結可能であり、前記第2ディレイラケーブルと独立して設けられた第2インジケータケーブルと、ハウジングと、該ハウジングをハンドルバーの前記第1及び第2自転車シフト制御装置間に取り付ける為の第1ハンドルバー取付部材と、第1中間部材と、前記第1中間部材が前記第1インジケータケーブルと連動するように該第1中間部材を該第1インジケータケーブルの第2端に連結させる為に、該第1中間部材に連結された第1連結部材と、前記ハウジングの外方から目視可能な別体とされた第1表示部材であって、前記第1中間部材の移動によって、ハウジングに沿って異なる目視可能位置に移動するように、前記第1中間部材に係合された第1表示部材と、第2中間部材と、前記第2中間部材が前記第2インジケータケーブルと連動するように該第2中間部材を該第2インジケータケーブルの第2端に連結させる為に、該第2中間部材に連結された第2連結部材と、前記ハウジングの外方から目視可能な別体とされた第2表示部材であって、前記第2中間部材の移動によって、ハウジングに沿って異なる目視可能位置に移動するように、前記第2中間部材に係合された第2表示部材とを備えていることを特徴とするインジケータユニット。 (以下、本願第3発明という) 【請求項23】 ディレイラケーブルが接続された自転車シフト制御装置に連結されるインジケータユニットであって、前記自転車シフト制御装置に第1端が連結可能であり、前記ディレイラケーブルと独立して設けられたインジケータケーブルと、ハウジングと、該ハウジングをハンドルバーに取り付ける為のハンドルバー取付部分と、前記インジケータケーブルと別部材とされ、且つ、前記ハウジングに対して固定とされたガイド面に沿って移動する中間部材と、該中間部材が前記インジケータケーブルと同じ方向に線状に移動するように、前記ハウジングにおいて、該中間部材を前記インジケータケーブルの第2端に連結させる為に、該中間部材に連結された連結部材と、前記中間部材と係合する別体とされた表示部材であって、前記中間部材のガイド面に沿った移動によって、回転軸回りに回転するように構成された表示部材とを備え、前記中間部材又は表示部材の一方に対し固定され、且つ前記中間部材の移動方向に対して傾斜する傾斜面及び前記中間部材の移動方向に沿った水平面が交互に配列されたカム面と、前記中間部材又は表示部材の他方に対し固定されたカム従動部とをさらに備え前記カム従動部は、前記表示部材が中間部材の動きに応じて動くように、前記カム面に沿って摺動するように構成されていることを特徴とするインジケータユニット。 (以下、本願第4発明という) 2.原査定の理由 本願を拒絶すべきものとした原査定の理由の概要は、「本願の請求項1〜20,21,22,23に係る発明は、引用文献1(米国特許第5178033号明細書)及び引用文献2(実願昭55-149107号(実開昭57-72479号)のマイクロフィルム)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。なお、前記表示部材は、前記回転軸方向に沿って目視できるように、露出していると共に、該露出部分が前記回転軸と直交する面に沿って回転する構造は、自転車用インジケータユニットにおける周知の技術である(例えば、米国特許第3633437号明細書参照)。また、インジケータユニットをハンドルバーの中央部に配置する参考例として特開平7-101375号公報、特開平10-35566号公報、特開平10-218061号公報がある」というものである。 3.当審の判断 [本願第1発明について] 本願第1発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、両者は、少なくとも表示装置に連結されるインジケータケーブルの接続構造において相違しているものと認められる。即ち、本願第1発明では第1インジケータケーブル及び第2インジケータケーブルは、それぞれ、第1ディレイラケーブル及び第2ディレイラケーブルとは独立して設けられ、それらの一端はそれぞれ第1自転車シフト制御装置及び第2自転車シフト制御装置に連結されており、それらの他端はそれぞれ表示装置に連結されているのに対して、引用文献1に記載の発明では、スレーブケーブル31a,31b(インジケータケーブルに相当)は、それらの他端は表示装置に連結されているが、それらの一端は、シフトレバー7a,7b(シフト制御装置に相当)に直接には接続されていない点で相違する。 前記相違点につき検討すると、引用文献1に記載の発明では、ディレイラに連結されたシフターケーブル11aにクランプ33aを介してスレーブケーブル31aが連結されているために、ディレイラ側のリターン力が常時シフターケーブルを介してスレーブケーブルひいては表示装置の部分に作用しており、表示装置を構成する上で、比較的強力なディレイラ側のリターン力を考慮する必要があるのに対して、本願第1発明では、前記相違点に係るインジケータケーブルの接続構造を有することによりディレイラケーブルは、それが接続されたディレイラ装置のリターン力を受けるが、インジケータケーブルがディレイラケーブルと独立して設けられているため、インジケータケーブルひいては表示装置にディレイラ装置のリターン力が影響しない、という特有の作用・効果を発現するものと認められる。 そして、前記相違点に係る構成は引用文献2、前記周知例及び前記各参考例にも開示されてはいない。また、斯かる構成は当該技術分野において自明な構成ともいえない。 したがって、本願第1発明は、引用文献1に記載の発明及び引用文献2に記載の技術事項、更には前記周知技術及び前記参考例の技術から容易に想到し得たものではなく、引用文献1に記載の発明に引用文献2に記載の技術事項、前記周知技術及び前記参考例の技術を組み合わせることにより容易に想到し得たとする原査定の理由は失当であるといわざるを得ない。 一方、本願の請求項2〜20に係る発明は、本願第1発明の構成を直接的又は間接的に全て含み、その上で更に特定事項の構成を限定しているものであるから、本願第1発明が前述したように進歩性を有しているものである以上、本願の請求項2〜20に係る各発明も進歩性を有しているものであるのは明白である。 [本願第2発明について] 本願第2発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、両者は、少なくとも表示装置に連結されるインジケータケーブルの接続構造において相違しているものと認められる。即ち、本願第2発明では、インジケータケーブルはディレイラケーブルとは独立して設けられ、その一端は自転車シフト制御装置に連結されており、他端は表示装置に連結されているのに対して、引用文献1に記載の発明では、スレーブケーブル31a(インジケータケーブルに相当)は、その他端は表示装置に連結されているが、その一端は、シフトレバー7a(シフト制御装置に相当)に直接には接続されていない点で相違する。 前記相違点につき検討すると、引用文献1に記載の発明では、ディレイラに連結されたシフターケーブル11aにクランプ33aを介してスレーブケーブル31aが連結されているために、ディレイラ側のリターン力が常時シフターケーブルを介してスレーブケーブルひいては表示装置の部分に作用しており、表示装置を構成する上で、比較的強力なディレイラ側のリターン力を考慮する必要があるのに対して、本願第2発明では前記相違点に係るインジケータケーブルの接続構造を有することにより、ディレイラケーブルは、それが接続されたディレイラ装置のリターン力を受けるが、インジケータケーブルがディレイラケーブルと独立して設けられているため、インジケータケーブルひいては表示装置にディレイラ装置のリターン力が影響しない、という特有の作用・効果を発現するものと認められる。 そして、前記相違点に係る構成は引用文献2、前記周知例及び前記各参考例にも開示されてはいない。また、斯かる構成は当該技術分野において自明な構成ともいえない。 したがって、本願第2発明は、引用文献1に記載の発明及び引用文献2に記載の技術事項、更には前記周知技術及び前記参考例の技術から容易に想到し得たものではない。 [本願第3発明について] 本願第3発明と引用文献1に記載の発明とを対比すると、両者は、[本願第1発明について]のところで言及したのと同様に、少なくとも表示装置に連結されるインジケータケーブルの接続構造において相違しているものと認められる。そして、この相違点に関する評価は容易に想到し得るものではないのは前述したとおりであるから、本願第3発明も引用文献1に記載の発明、引用文献2に記載の技術事項、前記周知技術及び前記参考例の技術から容易に想到し得たものではない。 [本願第4発明について] 本願第4発明と引用文献1に記載の発明とを対比すると、両者は、[本願第2発明について]のところで言及したのと同様に、少なくとも表示装置に連結されるインジケータケーブルの接続構造において相違しているものと認められる。そして、この相違点に関する評価は容易に想到し得るものではないのは前述したとおりであるから、本願第4発明も引用文献1に記載の発明、引用文献2に記載の技術事項、前記周知技術及び前記参考例の技術から容易に想到し得たものではない。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1〜20,21,22,23に係る各発明は、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術事項、前記周知技術及び前記参考例の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本願については、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-11-10 |
出願番号 | 特願2000-16706(P2000-16706) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B62J)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 成彦、小山 卓志 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
鈴木 久雄 出口 昌哉 |
発明の名称 | 自転車シフト制御装置用インジケータユニット |
代理人 | 小野 由己男 |