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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1086287
審判番号 不服2001-21832  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-06 
確定日 2003-11-06 
事件の表示 平成6年特許願第84537号「排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装置」拒絶査定に対する審判事件[平成7年11月7日出願公開、特開平7-293225]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
(1)特許出願:平成6年4月22日
(2)拒絶の理由の通知:平成13年6月15日(発送日:平成13年6月 26日)
(3)意見書・手続補正書(明細書)の提出:平成13年8月27日
(4)拒絶の査定:平成13年11月1日(発送日:平成13年11月6日 )
(5)審判の請求:平成13年12月6日(方式補正:平成13年12月2 6日)

2.拒絶の査定の理由の概要
拒絶の査定の理由の概要は、上記1.(2)の拒絶理由通知書及び同(4)の拒絶査定書の記載からみて、次のようなものである。
「この出願の請求項1〜20に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記1〜5の引用文献に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、この出願は、拒絶をすべきものである。
<引用文献>
1.特開昭62-162762号公報
2.特開平5-195748号公報
3.特開平2-146217号公報
4.特開平4-265413号公報
5.特開平3-15616号公報

3.本願発明
この出願の請求項1〜20に係る発明は、上記1.(3)の手続補正書により補正された願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜20に記載されるとおりのものであると認められるところ、該請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】 排気ガス中のパティキュレート等をトラップにて捕集し、所定量のパティキュレート等が前記トラップに捕集されたら、前記トラップに付着したパティキュレート等を燃焼させる排気ガス浄化方法であって、トラップに付着したパティキュレート等を燃焼させる時のトラップ温度を500℃以下とした事を特徴とする排気ガス浄化方法。」
(以下、「本願発明」という。)

4.引用文献1に記載された発明
特開昭62-162762号公報(以下、「引用例」という。)には、次のような事項が図面とともに記載されている。
「次に第3図を参照して再生処理ルーチンについて説明する。
第3図を参照すると、まず始めにステップ60において再生条件が成立しているか否かが判別される。・・・・・
次いでステップ62では、フィルタ8の温度を表わす温度センサ24の出力信号からフィルタ温度Tが600℃以上であるか否かが判別される。・・・・・
T≧600℃の場合にはステップ63に進んで背圧センサ18、25の出力信号からパティキュレート量Qが検出される。・・・・・
・・・・・Q>10gの場合、即ちパティキュレートが多い場合にはステップ67に進む。ステップ67では負荷センサ44の出力信号からアクセルペダル45の踏み込み量Lが90%以下であるか否か、即ち高負荷運転でないか否かが判別される。高負荷運転が行われている場合には再びステップ62に進む。L<90%の場合、即ち高負荷運転でない場合にはステップ68に進んでフィルタ8の温度が550℃よりも高いか否かが判別される。
T≧550℃の場合にはステップ69に進んでEGR制御が行われる。このEGR制御は排気ガス中の酸素濃度が6〜9%となるようにEGRガス量を増量することからなる。・・・・・このように酸素濃度が6〜9%に抑えられるためにパティキュレートはゆっくりと燃焼し、斯くしてフィルタ8の温度がかなり高くかつパティキュレート量が多くてもフィルタ8が過熱することがなく、フィルタ8が溶損することもない。」(第4頁左下欄3行〜第5頁左上欄20行)

この記載によれば、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。
「排気ガス中のパティキュレートをフィルタ8にて捕集し、所定量のパティキュレートが前記フィルタ8に捕集されたら、捕集されたパティキュレートを着火燃焼させる排気ガス浄化方法であって、
フィルタ温度が600℃以上のとき、捕集したパティキュレートの量を検出し、検出したパティキュレート量が所定量以上であって、かつ高負荷運転でないとき、フィルタ温度が550℃以上の場合は、EGR制御を行い、パティキュレートをゆっくりと燃焼させる排気ガス浄化方法。」
(以下、「引用発明」という。)

5.本願発明と引用発明の対比、検討及び判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「フィルタ8」は、その技術的意義において、本願発明の「トラップ」に相当し、引用発明において、「フィルタ温度が600℃以上のとき、捕集したパティキュレートの量を検出し、パティキュレート量が所定量以上であって、高負荷運転でないとき、フィルタ温度が550℃以上の場合は、EGR制御を行い、パティキュレートをゆっくりと燃焼させ」ることは、パティキュレートを燃焼させる時のフィルタ(トラップ)温度を所定温度以下とする限りにおいて、本願発明の「トラップに付着したパティキュレートを燃焼させる時のトラップ温度を500℃以下とした事」と一致する。
してみると、本願発明1と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「排気ガス中のパティキュレートをトラップにて捕集し、所定量のパティキュレートが前記トラップに捕集されたら、前記トラップに付着したパティキュレートを燃焼させる排気ガス浄化方法であって、トラップに付着したパティキュレートを燃焼させる時のトラップ温度を所定温度以下とした排気ガス浄化方法。」

<相違点>
トラップに付着したパティキュレートを燃焼させる時のトラップ温度に関して、本願発明では、「500℃以下とした」としているのに対し、引用発明では、「フィルタ温度が600℃以上のとき、捕集したパティキュレートの量を検出し、検出したパティキュレート量が所定量以上であって、かつ高負荷運転でないとき、フィルタ温度が550℃以上の場合は、EGR制御を行」うとしている点。

(2)相違点についての検討
本願発明の上記相違点に係る構成の技術的意義は、本願明細書段落【0007】の作用の記載、段落【0061】の発明の効果の記載によれば、捕集したパティキュレートを温度を抑制しつつ燃焼できるため、トラップ材の溶損、割れの発生を防ぐことと解することができる。
一方、引用例においては、フィルタ(トラップ)温度を500℃以下とする点については記載されていないが、上記4.で摘記した記載によれば、フィルタ(トラップ)温度が600℃以上のとき、捕集したパティキュレートの量を検出し、検出したパティキュレート量が所定量以上であって、かつ高負荷運転でないとき、フィルタ(トラップ)温度が550℃以上の場合は、排気ガス中の酸素濃度が6〜9%となるようにEGR制御を行い、パティキュレートをゆっくりと燃焼させ、フィルタ(トラップ)の過熱、溶損を防止することが示されている。
そして、フィルタ(トラップ)の材質あるいは構造等の仕様に伴い、フィルタ(トラップ)の許容温度が相違すること、及び、該許容温度を低くすれば、より溶損の可能性を減じることができるであろうことは、当業者にとって自明のことであるから、引用発明に基づいて、フィルタ(トラップ)に付着したパティキュレートを燃焼させる時のフィルタ(トラップ)温度を500℃以下とすることは、フィルタ(トラップ)の材質あるいは構造等の仕様に応じ、また実験等によって当業者が容易に到達し得ることというべきである。
してみると、本願発明の上記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明に基づき、当業者が容易に想到することができたものというべきである。

(3)作用効果について
本願発明が奏する作用効果は、引用発明に基づいて当業者が予測することができる範囲を超えるものではない。

(4)対比、検討及び判断のむすび
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する 技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、この出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-08 
結審通知日 2003-09-09 
審決日 2003-09-25 
出願番号 特願平6-84537
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 亀田 貴志  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 清田 栄章
鈴木 充
発明の名称 排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化装置  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  

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