ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 判定 判示事項別分類コード:なし 属する(申立て成立) E04H |
---|---|
管理番号 | 1086553 |
判定請求番号 | 判定2003-60069 |
総通号数 | 48 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 1996-09-10 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2003-08-29 |
確定日 | 2003-11-07 |
事件の表示 | 上記当事者による特許第3171096号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面に示すイ号製品は、特許第3171096号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する。 |
理由 |
【1】請求の趣旨 本件判定の請求は、イ号図面に示す製品(以下、「イ号製品」という。)は、特許第3171096号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 なお、本件は、被請求人の存在しない判定請求である。(請求書8頁下から5〜1行) 【2】本件発明 上記請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「屋根体を支持する梁をその左右両側の支柱に取付けてなる下記要件を備えたことを特徴とするカーポート。 (イ)上記左右の支柱を、車2台分のカーポートの幅に対応する間隔を空けて立設してなる。 (ロ)上記梁を、車2台分のカーポートの幅に対応する長さで湾曲状に形成すると共に、その左右の両端部を梁の長さ調整を行うために直線状に形成してなる。 (ハ)支柱側部と梁側部を有する連結金具を2つ形成し、各連結金具の梁側部を、上記梁の両端部と略平行な傾きを有する直線状に形成してなる。 (ニ)上記各連結金具の梁側部を上記梁の各端部にそれぞれ挿入することにより、上記2つの連結金具を上記梁に取付けてなる。 (ホ)上記左右の支柱の上面には、上記連結金具の支柱側部を支柱内に対し上方から挿入可能とする平面略ロ字状の切欠き部を形成してなる。 (ヘ)上記梁の各端部に取付けた連結金具の支柱側部を上記左右の支柱の切欠きに上方から挿入することにより、上記梁を上記支柱に取付けてなる。 (ト)上記梁に、左右の側枠及び車2台分のカーポートの幅に対応する前後枠を枠組してなることにより前記梁の長さに略適合した屋根体を載置させてなる。」 【3】イ号製品 請求人が提出した判定請求書には、イ号図面に記載されたイ号製品に関し「(2)イ号製品の特定」の項に、次の記載(3頁10行〜4頁14行)がある。 「1)イ号図面から把握される構成 イ号製品を表したイ号図面のうち、図1はイ号製品の全体構成図である。また、図2はイ号製品の側面図であり、図3はイ号製品の支柱と梁の組立図である。さらに、図4はイ号製品の支柱と梁の連結部分の拡大図である。これら各図から、イ号製品は以下のように構成されているといえる。 ・ 図1によれば、屋根体1を梁2、2で支持し、その梁2、2は左右両側の支柱3、3により支持されている。 ・ 図1及び図2によれば、梁2、2に左右の側枠7、8と車2台分のカーポートの幅に対応する前後枠5、6を枠組みして、梁2、2の長さに略適合した屋根体1を戴置している。 ・ 図1及び図2によれば、左右の支柱3、3は、車2台分のカーポートの幅に対応する間隔で立設されている。 ・ 図2及び図3によれば、梁2、2は車2台分のカーポートの幅に対応する長さで湾曲状に形成し、その左右の両端部17、18を直線状に形成している。 ・ 図3によれば、支柱側部12と梁側部13を有する連結金具11を2つ用意し、各連結金具11、11の梁側部13は梁の両端部17、18と略平行な傾きを有する直線状に形成している。 ・ 図3及び図4によれば、左右の支柱3、3はその上面に連結金具11の支柱側部12を上方から挿入可能な平面略ロ字状の切欠き部を有している。 ・ 図3及び図4によれば、各連結金具11、11の梁側部13、13を梁の各端部17、18にそれぞれ挿入し、支柱側部12、12を左右の支柱3、3の切欠き部に上方から挿入している。 2)イ号製品の作用 1台分のカーポート2組をつなぎ合わせる場合に必要となる屋根体同士の接続作業等を省略でき、組立て施工が非常に容易となる。 梁の両端部を直線状に形成していることにより、梁が長すぎる場合には両端部を切断して長さ調整を行い、梁が長すぎない場合にはそのまま支柱に取付けることができるので、梁の取付け作業が容易になる。 またこの調整作業の有無に関わらず、梁と連結金具とを常に互いの直線部を介して同じ角度で連係させることができるので、常に同じ構造で梁を支柱に取付けることができ、梁の取付け作業が容易になる。」 上記記載、及びイ号図面によれば、イ号製品は、次のとおりのものと認めるのが相当である。 「(A)屋根体1を支持する梁2をその左右両側の支柱3、3に取付けてなる下記要件(B)〜(H)を備えたことを特徴とするカーポート。 (B)上記左右の支柱3、3を、車2台分のカーポートの幅に対応する間隔を空けて立設してなる。 (C)上記梁2を、車2台分のカーポートの幅に対応する長さで湾曲状に形成すると共に、その左右の両端部17、18を直線状に形成してなる。 (D)支柱側部12と梁側部13を有する連結金具11を2つ形成し、各連結金具11、11の梁側部13を、上記梁2の両端部17、18と略平行な傾きを有する直線状に形成してなる。 (E)上記各連結金具11、11の梁側部13を上記梁2の各端部17、18にそれぞれ挿入することにより、上記2つの連結金具11、11を上記梁2に取付けてなる。 (F)上記左右の支柱3、3の上面には、上記連結金具11の支柱側部12を支柱内に対し上方から挿入可能とする平面略ロ字状の切欠き部を形成してなる。 (G)上記梁2の各端部17、18に取付けた連結金具11、11の支柱側部12を上記左右の支柱3、3の切欠きに上方から挿入することにより、上記梁2を上記支柱3、3に取付けてなる。 (H)上記梁2に、左右の側枠7、8及び車2台分のカーポートの幅に対応する前後枠5、6を枠組してなることにより前記梁2の長さに略適合した屋根体1を載置させてなる。」 【4】対比・判断 まず、イ号製品の構成(B),(D)〜(H)が、本件発明の構成要件(イ),(ハ)〜(ト)を充足するのは、明らかである。 次に、イ号製品の構成(C)が、本件発明の構成要件(ロ)を充足するか否かについて、検討する。 本件特許明細書には、次の記載がある。 「【0013】またこの構造によれば、このように梁2を支柱3に取付ける場合に、梁2が長すぎる場合には上記両端部17、18を適宜切断して長さの調整を行うが、この調整作業の有無に関わらず、梁2の支柱3への取付け作業を同じ方法で行うことができる。すなわち上記両端部17、18を切断しても、これらの長さが連結金具11の細径部13以上の長さであれば、上記両端部17、18と連結金具11の細径部13とを常に互いの直線部を介して同じ角度で連係させることができるので、梁2の長さの調整作業の有無に関わらず、常に同じ構造で梁2を支柱3へ取付けできる。」 「【0018】 【発明の効果】……また特に、梁の左右の両端部を梁の長さ調整を行うために直線状とし、連結金具の梁側部を梁の両端部と略平行な傾きを有する直線状とし、連結金具の梁側部を上記梁の各端部にそれぞれ挿入することで2つの連結金具を上記梁に取付けてなること等により、梁の直線部を任意の長さに切詰めて梁の長さを調整することができ、梁の取付け作業が容易になる。またこの調整作業の有無に関わらず、梁と連結金具とを常に互いの直線部を介して同じ角度で連係させることができるので、常に同じ構造で梁を支柱に取付けることができ、梁の取付け作業が容易になる。」 上記記載によれば、本件発明の構成要件(ロ)の「上記梁を……その左右の両端部を梁の長さ調整を行うために直線状に形成してなる」とは、「梁をその左右両端部の切断により長さ調整を行なうことができるように直線状に形成してなる」ことを意味し、取付けに際して、梁の両端部を切断して調整する場合の他に、寸法がぴったり一致しており、切断による「長さ調整作業」が不要な場合も含む、と解するのが相当である。 一方、イ号製品の構成(C)は「上記梁2を……その左右の両端部17、18を直線状に形成してなる。」というものであり、判定請求書の「2)イ号製品の作用」の項には、上記のとおり、「梁の両端部を直線状に形成していることにより、梁が長すぎる場合には両端部を切断して長さ調整を行い、梁が長すぎない場合にはそのまま支柱に取付けることができる」と記載されていることから、調整作業を行なう態様(梁の左右両端部の切断)と行なわない態様(切断せずにそのまま使用)とを含む、と解するのが相当である。 そうすると、本件発明の構成要件(ロ)は、「上記梁を、車2台分のカーポートの幅に対応する長さで湾曲状に形成すると共に、その左右の両端部を梁の長さ調整を行うことができるように直線状に形成してなる。」であるといえ、イ号製品の構成(C)は、「上記梁2を、車2台分のカーポートの幅に対応する長さで湾曲状に形成すると共に、その左右の両端部17、18を梁2の長さ調整を行うことができるように直線状に形成してなる。」であるといえる。 よって、イ号製品の構成(C)は本件発明の構成要件(ロ)を充足する。 上記のとおり、イ号製品の構成(B)〜(H)は、本件発明の構成要件(イ)〜(ト)を充足するから、イ号製品の前提構成「屋根体を支持する梁をその左右両側の支柱に取付けてなる下記要件(B)〜(H)を備えたことを特徴とするカーポート。」は、本件発明の構成要件(A)を充足する。 したがって、イ号物件の全構成(A)〜(H)は本件発明の全構成要件、すなわち、その前提構成、及び(イ)〜(ト)を充足するものである。 【5】むすび 以上のとおりであるから、イ号図面に示す「イ号製品」は、本件特許の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
|
判定日 | 2003-10-24 |
出願番号 | 特願平8-49654 |
審決分類 |
P
1
2・
-
YA
(E04H)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 五十幡 直子 |
特許庁審判長 |
山田 忠夫 |
特許庁審判官 |
新井夕起子 鈴木 憲子 |
登録日 | 2001-03-23 |
登録番号 | 特許第3171096号(P3171096) |
発明の名称 | カーポート及びその製造方法 |
代理人 | 村田 幹雄 |