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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1087255
審判番号 不服2000-3294  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-09 
確定日 2003-11-13 
事件の表示 平成10年特許願第197248号「画像形成装置のトナー戻し装置」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月28日出願公開、特開2000- 29313]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年7月13日の出願であって、その請求項1ないし6に係る発明は、平成11年5月12日付け、平成11年12月13日付け、平成12年4月6日付け(平成12年8月25日付けで補正された)、および平成15年8月8日付け手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものであり、特に請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
クリーニング装置によって回収された残留トナーを現像装置に戻すための画像形成装置のトナー戻し装置であって、
前記クリーニング装置により回収されたトナーを受け入れる入口と前記残留トナーを前記現像装置に戻すための出口とを有する1本の直線状の管路と、
前記管路内に軸方向に沿って回転自在に配置され、トナーを搬送するトナー搬送部材とを備え、
前記管路は、前記入口側が出口側に比較して上方にくるように傾斜して配置され、前記入口が管路周面上方に前記出口が管路周面下方に形成されており、
前記トナー搬送部材は、両端が前記管路の両端部に回転自在に支持された1本の軸と前記軸の外周に設けられたトナー搬送用の螺旋状の羽根部材とを有し、前記管路の前記出口側におけるトナー搬送力が前記入口側におけるトナー搬送力より大きく、前記管路との間に隙間を有している、画像形成装置のトナー戻し装置。」

2.引用文献記載の発明
これに対して、当審において平成15年6月5日付けで通知した拒絶の理由に引用した刊行物1[実願昭58-75990号(実開昭59-183416号)のマイクロフィルム]、刊行物2(特開平9-212056号公報)、刊行物3(特開昭60-163067号公報)、刊行物4[実願昭58-30145号(実開昭59-136648号)のマイクロフィルム]、刊行物5[実願昭63-158095号(実開平2-78971号)のマイクロフィルム]には次のような技術的事項が図面とともに記載されている。

2-1.刊行物1記載の発明
一般に転写部分で転写紙に転写されるトナーは上記感光ドラム10に付着した70〜80重量%程度で残りのトナーはクリーナ装置12に貯蔵されるが、クリーナ装置12に貯蔵されるトナーはそれを保持するスペースの問題や経済的な問題からクリーナ装置12と搬送手段のパイプ3間に設けたクリーナ部結合手段8並に現像装置11と搬送手段のパイプ3間に設けた還元部結合手段4によってクリーナ装置12内の貯蔵トナーは搬送手段のパイプ3を介して現像装置11に還元される。すなわちクリーナ装置12では適当な手段で集められたトナーが矢印で示す様に移動されて現像装置12内で再利用される。
第3図は第2図に示す搬送手段のパイプ3内の側断面図を示すもので搬送手段を構成するパイプ3の両端は粉体搬送装置フレームに軸支される。すなわちクリーナ部結合手段8と還元部結合手段4が嵌着されている。クリーナ部結合手段8の上部には開口部8aを有し、該開口部8aより上記したクリーナ装置12に貯えられたトナー7が落下して搬送手段のパイプ3内に搬入される。クリーナ部結合手段8の側面には軸受5が嵌着され、該軸受5には駆動軸1が回転自在に嵌合され、上記クリーナ部結合手段8の軸受より外側に突出された駆動軸1にはギヤ9が固定され、図示しない駆動手段からの駆動力を上記ギヤ9に伝えて駆動軸1を所定の回転力で駆動する。6は第1図と同様の鍔環であり、還元部結合手段4は第1図と同様に構成し、下端にトナーの排出口4aを有するも、該排出口4aの端部は還元部結合手段4の側壁内面の端部4bと一致していて第1図に示す様な距離lがない様に形成する。更に還元部結合手段4の側壁の端部4bに駆動軸1を受ける保持部4cを皿状に一体構成させ駆動軸1の外径より保持部4cの内径を0.1〜0.5mm程度大きくなる様に選択して遊嵌状態で嵌合されている。このCの部分の拡大側断面図を第4図に示す。
駆動軸1はクリーナ部結合手段8の軸受5及び還元部結合手段4の保持部4c間に掛け渡されて駆動手段で回動自在に回動し、スパイラル状の搬送部材2は上記駆動軸1に巻き付けられトナーが挿入されて搬送される上流側でのみ片持的に駆動軸1に固定され、他端(下流側)の排出口4a側ではフリー状態となっている。
更に駆動軸1の直径に比べてスパイラル状の搬送部材の中心部の穴径が大きく選択されているので駆動軸1と搬送部材2との固定端を離れるにしたがって搬送部材2の先端部はフリー状態となって搬送手段のパイプ3の内壁に接触する様になる。(マイクロフィルム第5頁第12行〜第7頁末行参照)

以上の記載を対比のためにまとめると、駆動軸1と搬送部材2は、トナーを搬送するトナー搬送部材を構成しているということができるから、刊行物1には次のような発明が図面と共に記載されている。
「クリーナ装置12に集められたトナーを現像装置11に戻すための複写機の粉体搬送装置であって、
クリーナ装置12により集められたトナーを受け入れる開口部8aが設けられたクリーナ結合手段8を一端に、トナーを現像装置11に還元するための排出口4aが設けられた還元部結合手段4を他端に有するパイプ3と、
前記パイプ内に軸方向に沿って回転自在に配置され、トナーを搬送するトナー搬送部材とを備え、
開口部8aはクリーナ結合手段の上部に、排出口4aは還元部結合手段4の下端に形成されており、
前記トナー搬送部材は、両端がクリーナ結合手段8と還元部結合手段4に回転自在に支持された1本の駆動軸と、前記駆動軸の外周に設けられたトナー搬送用のスパイラル状の搬送部材2とを有し、スパイラル状の搬送部材2は駆動軸1に巻き付けられ、上流側でのみ片持的に駆動軸1に固定され、下流側の排出口4a側ではフリー状態となっていて、動作中に搬送部材2の先端がパイプ3の内壁に接触する、複写機の粉体搬送装置。」

2-2.刊行物2記載の発明
a)しかし、そのようにトナー搬送方向aが上向きだと、従来、トナー回収路6を通して残留トナーを回収するとき、トナー搬送コイル7で重力に逆らってトナーを押し上げるように搬送することになり、その結果、トナー回収路6の下部にトナーが溜りやすく、後にそれが凝集してトナー搬送の障害となり、結局、トナーの搬送効率が悪いという問題があった。(段落【0005】〜【0009】参照)
b)ところで、上述のレーザプリンタは、図2に示すとおり、感光体10の上側にクリーニング装置11を、下側に現像装置12をそれぞれ配置する。・・・しかして、図示プリンタでは、クリーニング装置11側のトナー排出口30を、現像装置12側のトナー回収口35より高い位置に設ける構成とする。そして、これらトナー回収口35とトナー排出口30を、トナー回収パイプ31で連結する。トナー回収パイプ31には、上端側に横向きにあけた連結穴31aを設け、下端にトナー出口をあけたフランジ31bを設け、内部にトナー回収路40を形成してなる。そして、トナー回収路40にトナー搬送コイル45を回転自在に配置する。しかして、連結穴31aに排出管19bを差しみ、フランジ31bをトナー回収口35に嵌め込んで、トナー回収パイプ31の上端側をクリーニング装置11と接続する一方、下端側を現像装置12と接続してなる。(段落【0018】〜【0022】参照)
c)ところで、請求項2に記載の発明では、たとえばトナー回収路40におけるトナー搬送コイル45のトナー搬送能力を、クリーニング装置11内のトナー排出路20におけるトナー搬送コイル25のそれより高くする。そして、トナー回収時、トナー回収路40におけるトナー搬送量が、トナー排出路20におけるそれより多くなるようにする。
(段落【0027】参照)
d)請求項2に記載の発明によれば、トナー回収路におけるトナー搬送手段のトナー搬送能力を、トナー排出口から排出するクリーニング装置内におけるトナー搬送手段のトナー搬送能力より高くすることにより、トナー回収時に、クリーニング装置のトナー排出口近くでトナーが滞ることを一層確実に防止することができる。(段落【0030】参照)

以上の記載をまとめると、刊行物2には次のような技術的事項が図面とともに記載されている。
「トナー回収路40(本願発明1の「管路」に相当。)の連結穴31a(本願発明1の「クリーニング装置により回収されたトナーを受け入れる入口」に相当。)をフランジ31bにあけられたトナー出口(本願発明1の「残留トナーを現像装置に戻すための出口」に相当。)より高い位置に設け、クリーニング装置11のトナー排出口30から排出したトナーを、トナー回収路40を通して重力に従ってトナー回収口35から現像装置12に戻すとともに、
トナー回収路40におけるトナー搬送コイル45の搬送能力を、トナー排出口30から排出するクリーニング装置11におけるトナー搬送コイル25の搬送能力より高くして、クリーニング装置11の排出口30近くでトナーが滞ることを防止する技術。」

2-3.刊行物3記載の発明
この発明は以上詳述したように、感光体1より回収した未転写の現像剤をハウジング7外へ搬出する搬送手段9に、現像剤の搬送方向に対して、上流側のピッチが小さく、かつ下流側へ順次ピッチが大きくなる螺旋状の羽根9bを設けたことから、搬送手段9の回転速度を上げることなく第4図に示すように下流側の搬送能力を上げることができるようになる。これによって搬送手段9の下流側で現像剤が詰ったり、下流側に集中した現像剤がハウジング7内より溢れ出す虞がないと共に、搬送手段7を高速回転させる必要もないため、現像剤が飛散して、複写機の各部を汚損するなどの不具合も解消することができる。(第2頁右上欄第13行〜左下欄第6行参照)

2-4.刊行物4記載の発明
第4図は本考案によるスクリューを示すものである。同図に於て、スクリュ12のピッチ12Pは次第に巾広く(12P1<12P2)なるよう構成されている。このスクリュ12は、トナーの搬送始端(第1図奥側)に狭いピッチの側を向けて配置される。(マイクロフィルム第3頁第19行〜第4頁第4行参照)

2-5.刊行物5記載の発明
トナー担持体側からトナー排出口側へ連続して配列された複数のらせん羽根を備え、トナー担持体から取り除かれたトナーを該らせん羽根を回転させることによってトナー担持体側からトナー排出口まで搬送する電子写真装置のクリーニング装置において、トナー排出側のらせん羽根の径をトナー担持体側のらせん羽根の径よりも大きくしたことを特徴とする電子写真装置のクリーニング装置。(マイクロフィルム第1頁 実用新案登録請求の範囲の項参照)

3.対比
本願発明1を刊行物1記載の発明と対比すると、
ア)刊行物1記載の発明の「クリーナ装置12」、「トナー」、「複写機」、「粉体搬送装置」、「駆動軸」、「スパイラル状の搬送部材2」は、それぞれ本願発明1の「クリーニング装置」、「残留トナー」、「画像形成装置」、「トナー戻し装置」、「軸」、「螺旋状の羽根部材」に相当し、
イ)刊行物1記載の発明において、クリーナ結合手段8とパイプ3と還元部結合手段4によって1本の直線上の管路を形成するものであるから、「クリーナ装置12により集められたトナーを受け入れる開口部8aが設けられたクリーナ結合手段8を一端に、トナーを現像装置11に還元するための排出口4aが設けられた還元部結合手段4を他端に有するパイプ3」は、本願発明1の「クリーニング装置により回収されたトナーを受け入れる入口と前記残留トナーを前記現像装置に戻すための出口とを有する1本の直線状の管路」に相当し、
ウ)刊行物1記載の発明の「開口部8aはクリーナ結合手段の上部に、排出口4aは還元部結合手段4の下端に形成されており」は、本案発明1の「入口が管路周面上方に前記出口が管路周面下方に形成されており」に相当し、
エ)刊行物1記載の発明の「駆動軸の外周に設けられたトナー搬送用のスパイラル状の搬送部材2とを有し、スパイラル状の搬送部材2は駆動軸1に巻き付けられ、上流側でのみ片持的に駆動軸1に固定され、下流側の排出口4a側ではフリー状態となってい」る構成は、「スパイラル状の搬送部材2は軸の外周に設けられている」構成であるということができ、
以上のことから、両者間には次のような一致点、相違点がある。
(一致点)
クリーニング装置によって回収された残留トナーを現像装置に戻すための画像形成装置のトナー戻し装置であって、
前記クリーニング装置により回収されたトナーを受け入れる入口と前記残留トナーを前記現像装置に戻すための出口とを有する1本の直線状の管路と、
前記管路内に軸方向に沿って回転自在に配置され、トナーを搬送するトナー搬送部材とを備え、
前記入口が管路周面上方に前記出口が管路周面下方に形成されており、
前記トナー搬送部材は、両端が前記管路の両端部に回転自在に支持された1本の軸と前記軸の外周に設けられたトナー搬送用の螺旋状の羽根部材とを有している、画像形成装置のトナー戻し装置。

(相違点)
(1)本願発明1では、管路が、入口側が出口側に比較して上方にくるように傾斜して配置されているのに対して、刊行物1記載の発明では管路の姿勢については言及していない点
(2)羽根部材が、本願発明1は出口側におけるトナー搬送力が入口側におけるトナー搬送力より大きく、管路との間に隙間を有しているのに対して、刊行物1記載の発明は搬送力が入り口側と出口側で異なるとの記載はないし、動作中にその先端が管路の内壁に接触するものである点

4.当審の判断
相違点(1)について検討する。
刊行物2には、クリーニング装置3のトナー排出口4より現像装置2のトナー回収口2aが高い位置になると、その間を結ぶトナー回収路6の下部にトナーが溜まりやすく、それが凝集してトナー搬送の障害となるという従来技術の問題を解消するために、トナー排出口30をトナー回収口35より高い位置に設け、すなわちトナー回収路40の連結穴31aをフランジ31bにあけられたトナー出口より高い位置に設けて、トナー回収路40を通して重力に従ってトナー回収口35から現像装置12に戻すことが記載されている。
このことから、刊行物1記載の発明において、管路の入口側を出口側に比較して上方にくるように配置して回収された残留トナーを重力に従って現像装置に戻すように構成することは当業者が容易に考えつくことができた構成の変更であるし、そのために管路を傾斜して配置することは設計上普通に考えつくことである。
相違点(2)について検討する。
刊行物2には、トナー回収路40におけるトナー搬送コイル45の搬送能力を、トナー排出口30から排出するクリーニング装置11におけるトナー搬送コイル25の搬送能力より高くすることによって、クリーニング装置11の排出口30近くでトナーが滞ることを防止する点が記載され、トナーが滞りやすい箇所がある場合、その下流側のトナー搬送能力を高くすることによってトナーの滞留が防げることが記載されている。
また一本の直線上の管路内においても出口側でトナーの滞留が発生する場合、出口側におけるトナー搬送力を入口側より大きくすることも、クリーニング装置内に配置した管路においてではあるが、刊行物3〜刊行物5に記載されているように周知技術である。
このように管路の出口側でトナーの滞留が発生しやすく、その場合下流側のトナー搬送能力を上流側に比べて大きくすることが既に知られた技術であるから、刊行物1記載の発明においても管路の出口側である現像装置との接続部においてトナーが滞り易いと考えること、その場合トナー搬送部材の管路の出口側におけるトナー搬送力を入口側より大きくする程度のことは、当業者が容易に考えつくことができたことである。
また、羽根部材が管路との間に隙間を有している点については、刊行物1記載の発明においても羽根部材と管路の間に隙間がなければ動作中に搬送部材2の先端がパイプ3の内壁に接触することはないから、刊行物1記載の発明おいても羽根部材が管路との間に隙間を有しているということができ、この点に実質的な違いはない。
そもそも、出願当初から補正されていない発明の詳細な説明の「さらに搬送部材56の回転軸は管路55の中心線と一致しているため、搬送部材56の羽根部材は管路55との間に隙間を作ることなく配置できる。したがって、トナーが羽根部材の搬送による送りよりも先に出口側に移動することがなく、トナーが出口付近に集まるのを防ぐことができる。」とあり、段落【0027】には「搬送部材56は、外周に螺旋状の羽根部材が設けられた部材である。この羽根部材は、管路55内に配置されたときに、管路55の内径にほぼ一致する外径を有している。」とあり、本願発明1が後述する意見書において主張しているような格別の技術的意義を有する程度に「羽根部材が管路との間に隙間を有している」とすることはできない。
そして、本願発明1は上記相違点(1)や相違点(2)によって、公知技術から窺い知れないような格別の作用効果を奏するものではない。
(まとめ)
したがって、本願発明1は刊行物1ないし4記載の発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.平成15年8月8日付け意見書(以下、「意見書」という。)に対する当審の見解
5-1.「すなわち、(1)の構成のみでは、トナーが管路と搬送部材との間で停滞してしまうおそれがあるところを、(2)の構成が組み合わされることで、管路と搬送部材とに挟まれて摩擦凝集が抑えられるのみでなく、管路とトナー搬送部材との間に介在するトナーが管路に沿って出口側に滑り落ちることができます。」(意見書3頁7行〜10行)
上でも述べたように出願当初から補正されていない明細書の発明の詳細な説明の段落【0026】および段落【0027】の記載からみて、この主張は明細書の記載に基づかない主張であって、相乗効果がある旨の主張は採用できない。
もし審判請求人が主張する管路とトナー搬送部材との間に介在するトナーが管路に沿って出口側に滑り落ちる程度の隙間があるとすれば、それは新規事項の追加に該当し補正が認められない。

5-2.「すなわち、トナーを管路の端面まで運ばなければならないとすれば、搬送部材による搬送力が及ばない可能性のある最も出口側の部分においてはトナーが圧縮されて凝集するおそれがありますが、仮にこの(3)の構成に(1)の構成を組み合わせたとしてもこのような不具合は解消できず、(3)の構成と(4)の構成とを組み合わせることで初めて、凝集が防止されつつ出口側まで搬送されたトナーをスムーズに排出することができます。」(意見書第3頁14行〜19行)
刊行物1記載の発明は、開口部8aよりクリーナ装置12に貯えられたトナー7が落下して搬送手段のパイプ3内に搬入され、排出口4aから現像装置11に落下するるものであり、このような構成において上方のパイプ周面からトナーを取り入れ下方のパイプ周面からトナーを排出する構成はごく自然の配置であり、この構成に出口側におけるトナー搬送力を入り口側より大きくする構成を組み合わせたとして、公知技術から窺い知れないような相乗効果を奏するものとすることはできないから、この点の審判請求人の主張も採用できない。

5-3.「さらに、(4)の構成は、(2)の構成と組み合わせられることによって、トナーの管路内への取り入れ、管路内での移動、管路外への排出といった入口側から出口側にかけてのトナーの一連の動きにおいてスムーズな流れが生じるとともに、一方では、管路をあまり大きく傾斜させることができない設計条件の下でも(例えば、本願図面[図2]のようにクリーニング装置と現像装置との高低差が大きくないような場合)(4)の構成を備えているが故にトナーの流れは阻害されにくくなります。」(意見書20行〜25行)
上の5-2.でも述べたように、管路の入り口出口に関し、上方の周面からトナーを取り入れ、下方の周面からトナーを排出することはごく自然な構成であり、これに管路を傾斜して配置する構成を組み合わせたからといって公知技術から窺い知れないような格別の相乗効果を奏するものとすることはできないから、この点の審判請求人の主張も採用できない。

6.むすび
以上のことから、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本件出願は特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-11 
結審通知日 2003-09-16 
審決日 2003-09-30 
出願番号 特願平10-197248
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小牧 修  
特許庁審判長 石川 昇治
特許庁審判官 梅岡 信幸
六車 江一
発明の名称 画像形成装置のトナー戻し装置  
代理人 小野 由己男  

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