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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01D
管理番号 1087501
審判番号 不服2000-145  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-09-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-06 
確定日 2003-11-20 
事件の表示 平成 9年特許願第 44125号「事故車修理費計算システム」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 9月11日出願公開、特開平10-239095]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年2月27日の出願であって、平成11年11月24日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成12年1月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成12年2月7日付で手続補正がなされたものである。

2.平成12年2月7日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年2月7日付の手続補正を却下する。
[理由]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「事故車修理費見積に必要な車両属性データを記憶する記憶手段と、
事故車修理費見積に必要な見積データを入力するための入力手段と、
各種データを表示するための表示手段と、
前記見積データ及び車両属性データに基いて事故車修理費見積処理を行うデータ処理部と、を有する見積システムにおいて、
前記記憶手段は、外装関係データ、フレーム関係データ、内装関係データ、及び機構関係データの各データを含む、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶し、
前記データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から、車両外部側データの画像データを表示手段に表示して、車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、車両内部側データの画像データを表示手段に表示して、車両内部側データにおける損傷部位を全て指定することにより、損傷箇所を特定することを特徴とする事故車修理費計算システム。」と補正された。

そして、上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「データ処理部」について、補正前の「データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から所定階層の車両画像データを選択して前記表示手段に表示させる」を、「データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から、車両外部側データの画像データを表示手段に表示して、車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、車両内部側データの画像データを表示手段に表示して、車両内部側データにおける損傷部位を全て指定することにより、損傷箇所を特定する」と限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平6-139252号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次のとおりの記載がある。
(ア)「【産業上の利用分野】本発明は例えば自動車,TV,冷暖房装置等の大型耐久消費材の破損や消耗部品の交換等の維持管理を行う場合に有用な見積書作成方法及び携帯型見積書作成装置に関する。
【従来の技術】一般に、交通事故等にて損傷を受けた自動車を修理する場合は、修理代金が高額になる場合が多く、また自動車保険等で支払う場合を考慮して、実際の修理作業を開始する前に、修理に要する費用を見積るようにしている。」(段落【0001】〜【0002】)
(イ)「【作用】このように構成された見積書作成方法及び携帯型見積書作成装置において、操作員は、入力手段としての入力ペンを用いて表示部に表示すべき見積対象の装置の外観図の方向を指定すると、図面記憶部から該当装置における指定された方向からみた外観図が表示される。そして、この外観図が表示された状態で、例えば損傷を受けた部位等を入力ペンで指定(接触)すると、指定された部位を構成する複数の部品からなる部品展開図および該当する各部品の部品名称や価格等が記憶された部品リストが表示部に同時に表示される。
そして、部品展開図と部品リストが表示された状態で、再び入力ペンで見積したい部品を指定すると、指定された部品の部品名称,価格が見積書メモリへ自動的に登録される。したがって、必要なときにこの部品が登録された見積書メモリの記憶内容を出力すればよい。
このように、操作員は、表示部に表示される外観図および部品展開図における目標とする部位や部品の図形(画像)を入力ペンで接触するのみで、たとえその部位や部品の正確な名称や部品コードを知らなかったとしても、確実に最終目標とする部品に関する見積書を作成することが可能である。また、例えば、表示画面の上部位置又は下部位置に入力ペンで次の画面を選択する時の選択項目が表示されるので、操作がより容易になる。」(段落【0013】〜【0015】)
(ウ)「【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図2は実施例の携帯型見積作成装置の外観図である。なお、実施例装置は、例えば事故等で損傷を受けた自動車を修理するために必要な費用の見積計算に用いられる。
薄いB5サイズのケース1の上面に例えば液晶表示板からなる表示部2が取付けられている。そして、この表示部2の前面に磁気を検知する透明パネルが装着されており、この透明パネルを入力ペン3で接触する事によって、接触した位置(座標)情報を入力することができる。
図3は携帯型見積作成装置の概略構成を示すハード構成図である。この携帯型見積作成装置はペン入力型の一種のパーソナルコンピュータで構成されている。バスライン4に対して、各種の情報処理を実行するCPU5,前記表示部2,入力ペン3で指定された位置情報を2値化してCPU5が理解できる情報に変換すペン入力部6,各種プログラムを記憶するプログラムメモリ7,各種のデータを記憶するデータメモリ8,多数の図形や部品リスト等のデータベースが形成されているHDD(ハード・ディスク装置)9、外部との間で各種データの授受を行うためのインタフェース(I/F)10等が接続さている。」(段落【0016】〜【0019】)
(エ)「前記HDD9内には、図4に示すように、この携帯型見積作成装置で取扱可能な各自動車会社毎の車種を記憶する社名・車種記憶部16、自動車の各種図面を記憶する図面記憶部17、および各自動車を構成する各部品を記憶する部品記憶部18が形成されている。
図形記憶部17内には、図4(a)に示すように、各車種毎に「上面」「前面」「後面」「右側面」「左側面」から見た複数枚の外観図19、各車種毎においてバンパー部,ドア部,サスペンション部等の各部位を構成する複数の部品の配置・取付状態を、例えばツリー構造に表現して示す複数枚の部品展開図20が記憶されている。さらに、自動車の内部構成を表示するために、自動車の屋根を取除いた状態の上面図、ボンネットを開いた状態の上面図、さらに、複数位置における断面図も記憶されている。
部品記憶部18内には、図4(b)に示すように、前述した各車種の各部品展開図20毎に、該当展開図で描かれた各部品毎に、部品名称,部品コード,交換や脱着や補修等の作業コード,および価格を記憶する複数枚の部品リスト21が記憶されている。
また、データメモリ8内には、図5に示す各客毎(車毎)の交換.脱着,補修を行う必要のある部品の部品名称,商品コード,作業費用,価格等を登録するための見積書メモリ22が形成されている。また、前記プログラムメモリ7内には、図1に示す各単位業務を実行するための複数のタスク23a〜23hが設定されている。」(段落【0021】〜【0024】)
(オ)「装置の電源が投入されると図6の流れ図が開始される。P(プログラム・ステップ)1において、社名・車種選択手段23aが起動され、HDD9の社名・車種記憶部16に記憶されているすべての車種を読出して、図8(a)に示すフォーマットで表示部2の表示画面2aに表示する。
(中略)
図6のP1において、表示画面2aに複数の車種名16aが表示された状態で、操作員が見積対象の車種の文字(画像)を入力ペン3で触れる(指定)すると、指定された車種がデータメモリ8の見積書メモリ22に登録される。そして、P2において、図形記憶部17から該当車種の5つの外観図19のうちの例えば予め定められた左側面図を読出して、図8(b)に示すように、表示画面2aに表示する。この場合、8つの選択項目27は図9に示す内容となる。
(中略)
さらに、図示しないが、内部指定項目を入力ペン3で指定した後に、例えば表示されている外観図の車の天井を入力ペン3で指示(接触)すると、その天井を取除いた内部図面28が図面記憶部17から読出されて、図8(e)に示すように表示される(P4)。
また、図示しないが、断面指定項目を入力ペン3で指定した後に、例えば表示されている外観図の予め定められている切断箇所を入力ペン3で指示(接触)すると、その切断箇所の断面図が図面記憶部17から読出されて表示される。
(中略)
P9にて、指定された部位の部品展開図20が読出されると、次に、同一部位の部品リスト21を部品記憶部18から読出す(P10)。そして、図11(a)に示すように、読出した部品展開図20及び部品リスト21を表示画面2aに同時に表示する(P11)。
この場合、表示画面2aの上側の8個の選択項目27においては、1番目に「選択」の項目が表示され、2番目に「合計」の項目が表示される。さらに、表示画面2aの下側に「交換」「脱着」「補修」の部品の処理内容を選択する3個の選択項目27aが表示される。
図7のP12において、操作者が入力ペン3で具体的な損傷した部品を指定(接触)し、さらにP13で、該当部品の処理内容を前記3つの選択項目27aから1つ指定するとP14へ進む。なお、この部品の指定手法は、上述した部品の図形を入力ペン3で直接接触する手法の他に、部品名を入力ペン3で実際に記述してもよい。
P14において、指定された部品を表示されている部品リスト21中から抽出して、該当部品の部品名称,部品コード,指定された処理内容に対する作業コード(作業費)、価格等の部品情報を図5に示すデータメモリ8の見積書メモリ22に登録する。そして、表示されている部品リスト21の該当部品の全部の部品情報を反転表示して、すでに見積書メモリ22に登録済みであることを操作者に告知する。」(段落【0029】〜【0042】)

そして、上記引用例に記載されたものは、交通事故等にて損傷を受けた自動車を修理する場合の見積書の作成において、損傷部位を指定することにより、修理費を計算するものであるから、「事故車修理費見積システムにおいて、修理費を計算する事故車修理費計算システム」の発明としても捉えることができる。
また、上記「CPU」は、見積したい部品及びHDDに記憶されたデータに基いて事故車修理費見積処理を行う「データ処理部」として機能することが明らかである。
また、上記(エ)の記載からみて、「図面記憶部」には、「自動車の外観図」、「自動車の内部構成を表示するための図面」が複数記憶されていることが明らかであり、そして、これら図面は、「自動車の外部から内部までの階層的な複数の画像データ」として記憶されているといえる。

そうすると、引用例には、
事故車修理費見積に必要な、各自動車会社毎の車種を記憶する社名・車種記憶部と、自動車の各種図面を記憶する図面記憶部と、各車種の各部品展開図毎に、該当展開図で描かれた各部品毎に、部品名称,部品コード,交換や脱着や補修等の作業コード,及び価格を記憶する複数枚の部品リストが記憶される部品記憶部と、が形成されたHDDと、
事故車修理費見積に必要な、損傷した部品を指定し、見積したい部品を指定する入力ペンと、
自動車の外観図,断面図,部品展開図,部品リスト等を表示する表示部と、
上記見積したい部品として指定された部品と、上記HDDに記憶された車種,各種図面,及び、部品リストに基づいて事故車修理費見積処理を行うデータ処理部と、を有する見積システムにおいて、
前記HDDに形成された図面記憶部は、自動車の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶し、前記データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記HDDから所定階層の自動車画像データを選択して前記表示部に表示して、損傷部位を指定することにより、損傷箇所を特定することを特徴とする事故車修理費計算システム、
が記載されているといえる。

2-2.対比
そこで、本願補正発明(以下、「前者」という。)と上記引用例に記載された発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、
後者の「自動車」、「HDD」、「入力ペン」、「表示部」は、それぞれ、前者の「車両」、「記憶手段」、「入力手段」、「表示手段」に相当することが明らかである。
また、前者の「車両属性データ」とは、発明の詳細な説明、特に、段落【0012】及び【0018】の記載に照らせば、「外装関係データ、フレーム関係データ、内装関係データ、及び機構関係データの各グラフィック画像データを有しており、夫々のデータについて部品名リストと、当該部品の価格及び作業工賃のデータ」を包含するものと解されるから、後者の「各自動車会社毎の車種を記憶する社名・車種記憶部」と、「自動車の各種図面を記憶する図面記憶部」と、「各車種の各部品展開図毎に、該当展開図で描かれた各部品毎に、部品名称,部品コード,交換や脱着や補修等の作業コード,及び価格を記憶する複数枚の部品リストが記憶される部品記憶部」と、が形成されたHDDが、前者の「車両属性データを記憶する記憶部」に対応するといえる。
また、前者の「見積データ」とは、発明の詳細な説明、特に、段落【0012】及び【0022】の記載に照らせば、入力手段8により指定される損傷部位に係るデータを包含するものと解されるから、後者の入力ペンにより指定される損傷した部品、及び、見積したい部品が、前者の「見積データ」に対応するといえる。
また、前者の「記憶手段から、車両外部側データの画像データを表示手段に表示して、車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、車両内部側データの画像データを表示手段に表示して、車両内部側データにおける損傷部位を全て指定することにより、損傷箇所を特定すること」との構成における「車両外部側データの画像データ」および「車両内部側データの画像データ」は、「所定階層の車両の画像データ」であり、また、「表示手段」には、それらを選択して表示するものであるから、後者の「HDDから所定階層の車両の画像データを選択して前記表示部に表示して、損傷部位を指定することにより、損傷箇所を特定すること」との構成は、「車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、」「車両内部側データにおける損傷部位を全て指定する」点を除き、前者の前記構成に対応するといえる。

そうすると、両者は、
事故車修理費見積に必要な車両属性データを記憶する記憶手段と、事故車修理費見積に必要な見積データを入力するための入力手段と、各種データを表示するための表示手段と、前記見積データ及び車両属性データに基いて事故車修理費見積処理を行うデータ処理部と、を有する見積システムにおいて、前記記憶手段は、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶し、前記データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から所定階層の車両画像データを選択して前記表示手段に表示して、損傷部位を指定することにより、損傷箇所を特定する事故車修理費計算システム、
である点で一致し、次の点で相違している。
(1)記憶手段に記憶される車両画像データに関して、前者では、外装関係データ、フレーム関係データ、内装関係データ、及び機構関係データの各データを含む、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データであるのに対して、後者では、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶しているが、当該画像データに、外装関係データ、フレーム関係データ、内装関係データ、及び機構関係データの各データが含まれているか不明な点。
(2)損傷部位の指定の仕方に関して、前者では、記憶手段から、車両外部側データの画像データを表示手段に表示して、車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、車両内部側データの画像データを表示手段に表示して、車両内部側データにおける損傷部位を全て指定するようにしているのに対して、後者では、記憶手段から所定階層の車両画像データを選択して表示手段に表示して、損傷部位を指定するようにしている点。

2-3.判断
上記相違点(1)について検討すると、
後者においても、記憶手段には、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶しており、また、車両が、外装関係、フレーム関係、内装関係、及び構造関係の階層的な構造となっていることも周知の事実であるから、記憶手段に、外装関係データ、フレーム関係データ、内装関係データ、及び機構関係データの各データを含む、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶させておくようにすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

上記相違点(2)について検討すると、
両者において、「車両の画像データを表示手段に表示して、損傷部位を指定する」のは、損傷部位を指定する「オペレータ」であり、そして、その指定の手順は、オペレータが作業の効率等を考慮して取り決めて行う事項である。また、車両の損傷部位を指定していく作業において、「車両外部側における損傷部位を全て指定した後に、車両内部側における損傷部位を全て指定するようにする」ことは、本願明細書の段落【0022】〜【0025】においても記載しているように、普通に行われていることである。
したがって、後者において、記憶手段から所定階層の車両画像データを選択して表示手段に表示して、損傷部位を指定する際に、記憶手段から、車両外部側データの画像データを表示手段に表示して、車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、車両内部側データの画像データを表示手段に表示して、車両内部側データにおける損傷部位を全て指定するようにすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

また、本願の請求項1に係る発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本願補正発明は、上記引用例に記載された発明、及び周知の事実に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

2-4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成12年2月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成11年9月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「事故車修理費見積に必要な車両属性データを記憶する記憶手段と、
事故車修理費見積に必要な見積データを入力するための入力手段と、
各種データを表示するための表示手段と、
前記見積データ及び車両属性データに基いて事故車修理費見積処理を行うデータ処理部と、を有する見積システムにおいて、
前記記憶手段は、外装関係データ、フレーム関係データ、内装関係データ、及び機構関係データの各データを含む、車両の外部から内部までの階層的な複数の画像データを記憶し、
前記データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から所定階層の車両画像データを選択して前記表示手段に表示させることを特徴とする事故車修理費計算システム。」

3-1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2-1.」に記載したとおりである。

3-2.対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「データ処理部」についての限定事項である「データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から、車両外部側データの画像データを表示手段に表示して、車両外部側データにおける損傷部位を全て指定した後に、車両内部側データの画像データを表示手段に表示して、車両内部側データにおける損傷部位を全て指定することにより、損傷箇所を特定する」との構成を省いて「データ処理部は、事故車修理費見積処理を行う際に、前記記憶手段から所定階層の車両画像データを選択して前記表示手段に表示させる」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2-3.」に記載したとおり、上記引用例に記載された発明、及び周知の事実に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用例に記載された発明、及び周知の事実に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-3.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明、及び周知の事実に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-12 
結審通知日 2003-09-24 
審決日 2003-10-07 
出願番号 特願平9-44125
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰金子 幸一  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 岡 千代子
久保田 健
発明の名称 事故車修理費計算システム  
代理人 遠山 勉  
代理人 川口 嘉之  
代理人 松倉 秀実  
代理人 永田 豊  

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